黒蝶・蜜乙女
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#31 [向日葵]
意味が分からない
意味が分からない

蜜「なんのつもりですか?愛の告白?それとも“蜜乙女”の“蜜”への感想?」

セツナ「お前は……覚えていないのか?」

蜜「はい?」

セツナ「幼い頃、蝶を助けはしなかったか。」

♪蝶々〜蝶々〜
って歌ってる場合じゃなかった。

ってかこんな格好でここまで冷静な自分がある意味凄い。
普通なら「きゃっ☆」みたいな反応しなきゃいけないんだろうな。

⏰:07/07/08 10:17 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#32 [向日葵]
それは私がこの人が自分を“蜜乙女”としか見てないからだと思う。

おっとっと。昔に記憶をたぐらせなきゃ。

蜜「えー…、あー…。……あぁ。そーいえば。確か。」

セツナ「何故助けた?」

何故。……何故って。
知らないけどなんか

蜜「ほっとけなくて。」

するとセツナは美しい顔を歪ませて笑った。
あー眩しい眩しい。

セツナ「あれは俺だ。」

⏰:07/07/08 10:22 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#33 [向日葵]
おーっとお約束的意外な展かーい☆

蜜「その節はどうも。」

いやそりゃ逆か。

セツナ「初めてお前にあった時から俺は知っていたんだ。『こいつは俺の蜜乙女だ』って。」

なんかその単語聞き飽きた。

セツナ「それと同時に胸に衝撃が走った。」

セツナは真剣な顔をした。
あ、どうしよう。声が出ない。体が動かない。
まるでその目のせいで金縛りにあってるみたい。

⏰:07/07/08 10:26 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#34 [向日葵]
セツナ「それから俺はお前を探して探して探しまくった。蜜乙女だからじゃない。“お前”だからだ。」

うわ……これはもしかして……。

セツナ「ここで会った時驚いた。幼かったお前がすぐそこにいた。姿を見られたことなんて対した問題じゃなかった。ただ……お前を捕まえておきたかった。」

もしかしてもしかしてしまう……?

セツナ「蜜乙女なんて、どうだっていい。それよりもただ“お前”が好きなんだ。」

愛の告白だ。

⏰:07/07/08 10:33 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#35 [向日葵]
蜜「……。」

私はただ唖然としていた。

そんな熱烈な告白受けた事もなければした事もない。てっきり乙女の妄想上のものだと思っていたし……。

でも顔が熱を帯びる事に自覚はあった。

セツナ「お前何か示せよ。」

蜜「いや、だって、そんな事言われたの初めてだし…。」

するとセツナは不思議そうに眉を寄せた。

セツナ「初めて?そんな訳ないだろう。こんなに可愛いのに。」

蜜「はぁっ?!視力大丈夫ですか?!」

⏰:07/07/08 10:53 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#36 [向日葵]
そんな事言われたのも初めてだ。
おかしい。ダメだ。確実にワンダーランドに片足浸からせてる。

セツナ「ところで……お前返事は?」

蜜「はい。」

セツナ「いやその返事じゃなくて。」

私の返事?
んーと

蜜「普通。」

セツナ「は?」

蜜「嫌いではないけど好きでもありません。第一好きな人すら出来た事ありませんからそれがどんな感情か知ったことすらあるません。」

⏰:07/07/08 10:57 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#37 [向日葵]
セツナは「フーン」と呟いてそこでやっと起き上がった。

そして手を差し出すと私を起こしてくれた。
その時初めて知った。
セツナのあまりの手のなむらかさに。

『この人一体どこまで綺麗なつもり?』

考え事しているセツナを上から下までジロジロ観察した。

すると不意にセツナがこちらを見たもんだからドキッとしてしまった。

セツナ「なら確かめてみるか。」

蜜「は?」

⏰:07/07/08 11:02 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#38 [向日葵]
無造作にセツナは立ち上がると急に背中の辺りがパアァァァと輝きだした。

蜜「え!え!」

そしてやがて現れたのは、セツナをすっぽり隠してしまいそうな漆黒の羽。
それはよく見ると蝶の羽だ。

それを見た瞬間、現実から目を背けたくなった。

つい2週間前までは普通の生活を送っていたのに今目の前にある光景はなんだ……。

遠い目をしてるとセツナの両手が私の脇をはさんで無理矢理立たせた。

⏰:07/07/08 11:07 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#39 [向日葵]
そして筋肉がある腕を私の腰に巻き付けると衝撃発言。

セツナ「これから空中散歩といかないか。花嫁殿。」

蜜「もしかしなくても空飛びますよね。」

大分こっちの世界に免疫がついてきたみたいだ……。

蜜「お断りします。学校だってあるし。」

セツナ「そんなの対した問題じゃないさ。」

すると足から床がなくなった。
「あれ?」と思いバタつかせてみるがやっぱりない。

⏰:07/07/08 11:10 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#40 [向日葵]
蜜「ちょ、お断りするって言ったじゃないですかぁ!!」

セツナ「まぁそんな堅いこと言わず。」

すると学校が10mほど下になった。

蜜「いやぁぁぁぁぁ!!!!」

私はセツナにひしっと抱きついた。

セツナ「そうそう。しっかり捕まっててくれよ蜜。」

あ、名前久々に呼ばれた。

そしてフワフワ私は学校を離れていく。
信じられない。ホントに飛んでる……。

⏰:07/07/08 11:14 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#41 [向日葵]
セツナ「気分はどう?」

蜜「驚き。」

セツナ「もっとスピード出せるんだぜ!」

蜜「今のままで結構です!!」

でもすごい……人が、車があんなに小さい。
飛行機とかに乗って見るビジョンとはまた違う。

蜜「すごいなぁ……。」

感動して顔をほころばせると、セツナの私を掴んでない方の手が私の顔に触れて上を向かせた。

セツナ「やっと笑ったな。」

その顔に深くにもドキッとしてしまった。
そんな温かな目見せた事ないんだもん。

⏰:07/07/08 11:20 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#42 [向日葵]
蜜「に、人間ですもの。そりゃ笑いますよ。」

セツナ「俺といる時は不機嫌な顔しかしてないから。」

蜜「それは貴方の食事のせいです!!初めてだったのに……。」

セツナが微かに震えてる。それを上目使いでキッと睨む。

蜜「笑い事じゃないんですけど……。」

するとセツナは頭をくしゃくしゃと撫でてきた。
まだ笑っている。

セツナ「クク…いや、非常に可愛らしいと思ってな……ククク…。」

⏰:07/07/08 11:25 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#43 [向日葵]
「なら」とセツナは続けて私の顎をクイッとさせた。

セツナ「愛のくちづけなら満足して頂けたか?」

蜜「顔面パンチいってもいいですか?」

セツナ「してみればいい。そんなのはよける。」

セツナは私に顔を近付ける。「愛のくちづけ」を実践するつもりだ。

蜜「そんなのいーですから空中散歩しますよ!!」

私はセツナの顔をぐいーっと引き離した。
セツナはまだ笑っている。

⏰:07/07/08 11:28 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#44 [向日葵]
*************

ちょっと休憩させてください(◎・ω・◎)

⏰:07/07/08 11:29 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#45 [ちあき]
あげ(^ω^)

⏰:07/07/08 17:35 📱:P902iS 🆔:arn3olvg


#46 [向日葵]
ちあきさん
ありがとうございます

⏰:07/07/08 18:52 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#47 [向日葵]
少しですが更新しますね(◎・ω・◎)

――――――

セツナは徐々に地上に降りて行った。

蜜「どうしたんですか?」

トスッ

そこは公園。
昼間なので人はいない。

蜜「ここ……。」

セツナ「思い出した?」

ここは、小さい頃来た。
そして、セツナを助けたところ……。

⏰:07/07/08 19:03 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#48 [向日葵]
セツナ「あの時、お前が助けてくれなければ……。」

セツナは自分が捕まっていた木の枝の一角を見つめた。

セツナ「俺はここにいなかったし。蜜にも会えなかった。」

そして私に向き直り、深く礼をした。

セツナ「ありがとう。」

私は目を見張った。
この人は、ちゃんと「ありがとう」が言える人なんだ。ただの俺様じゃない……。

蜜「いいえ。どういたしまして……。」

⏰:07/07/08 19:12 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#49 [向日葵]
なんだかこの人が段々分かってきた気が……するようなしないような……。

まぁ、いっか。

するとセツナがまた私の腰に手を回してきた。

セツナ「お前に教えたい場所がある。」

蜜「教えたい…場所?」

セツナ「とても綺麗なんだ。」

また足元がフワッと浮く。
さっきよりも高く上昇した。でま不思議と不安はもうなかった。

私はジッと私を運んでくれる。
この人が……私の運命の相手……。

⏰:07/07/08 19:37 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#50 [向日葵]
実感がわかん。

フワフワとセツナは山に入って行く。

蜜「山?」

セツナ「あぁ。俺が一番落ち着く場所。」

器用に木を分けて飛んでいく。
そして着いた。

セツナ「ここだ。」

セツナは太い枝に私を降ろしてくれた。

蜜「お、折れない?」

セツナ「心配なら俺にくっついてるといい。」

⏰:07/07/08 19:49 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#51 [向日葵]
くっつくのはなんだかなぁと思ったんで服の裾を掴んでおく。

セツナ「蜜。見てみろ。」
と言われて目を上げてみると……。

蜜「う…わぁ……。」

半分が山の緑。半分が海の青。空の水色。そして太陽のせいでキラキラ輝いてるのがわかる。

蜜「長い間ここら辺に住んでるけど、こんなの初めてだぁ……。」

セツナ「気に入ったか?」
蜜「うん……。」

⏰:07/07/08 20:01 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#52 [向日葵]
するとセツナは嬉しそうに笑った。

セツナ「それは良かった。」

――トクン

『あ、あれ……?』

なんだこれ。

セツナ「少しでも株上げになったか?」

蜜「株上げって……。」

セツナ「やっぱり好きな奴には好きになって欲しいからな。」

なんかそんなに“好き”を連呼されると反応に困る。

セツナ「まぁ、この美貌の俺を好きにならない訳がないけどね。」

自我自賛ですか……。

⏰:07/07/08 20:27 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#53 [向日葵]
セツナ「でも、それもお前が認めてくれないと只のいらない物だ。」

蜜「私はどーゆー立場でいたらいいんでいいんですか?」

私達は見つめ合う。
一陣の風がふわりと私達を包む。

セツナ「蜜乙女なんて肝心な問題じゃない。蜜にはただ側にいて欲しい。それじゃいけないか?」

黒蝶族で貴族だかなんだか知らないけどそれはとても人間らしい言葉で……。

蜜「ふーん。わかりました。」

⏰:07/07/08 20:45 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#54 [向日葵]
セツナ「ふーん…って、何だ。」

蜜「じゃあそのつもりでいます。」

段々太陽が夕陽に変わってきた。
私達の顔がオレンジに変わる。

セツナ「それは…俺が好きって事か?」

蜜「さぁ……。はっきり分かりませんが、惹かれ始めてるかも、やも、……って感じなので。」

セツナの顔が、スッと引き締まる。
私はただ見つめる。

セツナ「名前を呼んではくれないか。」

⏰:07/07/08 21:46 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#55 [向日葵]
蜜「はい?何故……。」

セツナ「認められたと思いたいからだ。」

まぁ望むならば……。

蜜「セツ……ナ?」

2つの黒い影は徐々に近づく。セツナは何か躊躇うようにも見えた。

そして影が重なる。

キスをされた。

“食事の時間”ではなく、それは“愛のくちづけ”であった……。

私の運命の相手。
黒羽の君。セツナ……。

私に日常を奪った人。
これから愛を教えてくれる人……。

⏰:07/07/08 21:50 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#56 [向日葵]
チャプター2:美貌の歪み



生まれてきて16年間。
私はこのまま特別なことなんてなく平和に過ごしていくものだと思っていた。

セツナが来るまでは……。

「この式に3を代入して……。」

こんにちわ。
私は本山蜜。そこらにいる平凡な女子高生。

なんか先日急激に大人の階段を駆け上った気がします。

⏰:07/07/08 21:55 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#57 [向日葵]
私がまさか恋愛をするとは……。

いや正式にはしていないか。セツナに関してはまだ感情がどの部分にあるか分からない訳だし。

でも……この前の食事じゃないくちづけには全然抵抗をしなかった。

多分あの瞳に誘惑されてしまっていたんだ……って事にしておこう。

チラリと時計を見る。
12時30分。あと10分もすれば“食事の時間”だ…。
それを黙ってされるがままになっている私はやっぱり変態なのだろうか……。

⏰:07/07/08 22:00 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#58 [向日葵]
ならば今日は教室から出ない様にしてみるってどうだろう。

蜜乙女に飢えてカラッカラになったセツナを思い浮かべると笑わずにはいられなかった。

あのプライドが高そうなのが……カラカラって……。
うつむいて口を必死に力いれてニヤけるのを堪える。

「じゃあ早いけど今日はここまでにするか!終わりー。」

え?マジで?

清「あれー?蜜。珍しいね教室にいるなんて。」

⏰:07/07/08 22:10 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#59 [向日葵]
蜜「ちょっと実験をしてみようかなぁって」

清「実験?」

私は「ウン」と頷いた。
しかしすぐに決着はついてしまった。

セツナ「オイ蜜!」

頬杖ついていた手から私の顔がゴトンと落ちて机に直撃。

教室にズカズカと入ってきた。この見目麗しい人こそがセツナだ。

セツナ「この俺が教室前で待ってたっていうのに授業が終わったのなら何故出て来ない!!」

蜜「あぁいたんですか……。私今からお昼なんでお弁当食べさせてください。」

セツナ「俺も食事時だ。行くぞ。」

⏰:07/07/08 22:22 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#60 [向日葵]
あーハイハイ……。

清「いつの間にそんな仲に……っ!!」

蜜「強制的にみたいな……。」

セツナ「何を言ってる。コイツは俺のだ。」

「「イヤァァァァァァ!!!!」」

教室から、廊下から女子の皆さんの悲鳴喝采。
スイマセンもうホント……。私が“蜜乙女”のせいですね……。

セツナ「もういいだろ。早くお前を食べたい。」

オーイ!!勘違いされる言い方やめぃっ!!!!

⏰:07/07/08 22:30 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


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