黒蝶・蜜乙女
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#701 [向日葵]
するとセツナはため息を吐いてそっぽを向く。

セツナ「……なんだ。俺は二番手か。」

私は瞬きを2、3回パチパチとした。

セツナ……もしかして……。

蜜「焼きもち焼いてます……?」

さっきからオウマ君の名前を出すと不機嫌になるのって、仲良くしてたから焼きもち焼いてるの?

セツナはそっぽを向いたまま膝に頬杖をついて目を瞑る。

セツナ「当たり前だろっ!」

⏰:07/07/31 01:55 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#702 [向日葵]
ここまではっきり焼きもち宣言した人初めて……。

驚きと同時に胸の奥がキュウッと締まる。
嬉しい……。

私はセツナの腕をぐらぐら揺らす。
怒りをやり過ごそうとしていたセツナはコメカミに青筋を立てた。

セツナ「っんなんだ!」

蜜「まったく。焼きもちを妬かなくてもいいと前に言ったでしょう。」

セツナ「仕方ないだろっ!!お前がそれだけ好きなんだよ!!」

びっくりした。いきなり告白された。

⏰:07/07/31 02:01 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#703 [向日葵]
私はなんだか可笑しくなって静かに笑った。
するとセツナは半目にして私を睨む。

セツナ「…オイ。ここで笑うのはおかしいだろ。」

蜜「フハハッ!だって、嬉しいですもん…。」

セツナの目が私の目を捕らえ、見つめる。
そして三つ編みに手を伸ばす。

セツナ「こうしてるのも可愛らしいな…。」

蜜「不細工じゃなかったんですか?」

セツナ「冗談だと言ったハズだ。」

セツナの目に険が帯びる。

⏰:07/07/31 02:06 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#704 [向日葵]
私はまたクスクス笑った。

セツナは私のオデコの髪をかきあげ唇を押し付けた。

セツナ「もう絶対言わない。可愛いお前にはいらない言葉だな。」

蜜「いやそれはないですけど…。」

セツナは私の顎を持ってクイッと上を向かせる。

セツナ「オウマに沢山触れられていたな。」

蜜「あまりですよ?それも嫌ですか?」

セツナ「馬鹿か。当たり前に決まってるだろ。」

⏰:07/07/31 02:12 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#705 [向日葵]
ダメだ。
今日のセツナはなんだか

蜜「可愛い……。」

と言って私は自ら唇を当ててしまった。
セツナも不意をつかれて少し驚いてたけど、すぐに私を抱き締めて唇を重ね、激しくする。

いつの間にか、舌が絡み合っていた。
自分でも驚くほどキスに集中していたらしい。

それはきっとセツナの可愛らしさを見てしまったからだ。

蜜「ふ……。はぁ…。」

セツナ「蜜も大分上手くなったな…。」

⏰:07/07/31 02:19 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#706 [向日葵]
ニヤリと笑うセツナを横目に、息を整える為セツナね胸に寄りかかる。

そんな私の背中をセツナは子供をあやす様にポンッ、ポンッと叩いてくれる。
それがまた心地いい。

セツナの体温に身を任せているとセツナが聞いてきた。

セツナ「なぁ蜜。俺はいつお前に手を出していいんだ?」

私は思わずチョップしてしまった。

セツナ「な、何をする!!」

蜜「せぇーっかく安心して心地よかったのにぃ!!頭はそればっかですか?!」

⏰:07/07/31 02:26 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#707 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/07/31 02:27 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#708 [ハナ]
ぁげます
頑張って下さい

⏰:07/08/01 22:24 📱:F904i 🆔:rLY7HACI


#709 [向日葵]
ハナさん

ありがとうございます

⏰:07/08/02 00:36 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#710 [向日葵]
セツナ「お前は俺の理性を買い被ってないか?」

蜜「んな事ないですよ。今朝襲ったくせに。」

と言って私はそこら辺の花を一本取って蜜を吸った。

ここの花の蜜はどれもおいしい……なぁー……。

――――――

さて、ここからは俺様、セツナが話を進めていこう。
何故かって?話を続ければ分かるさ。

セツナ「前も言ったハズだ。距離を縮めたいと。なのにお前から誘う割りに待てはかかる邪魔は入る!俺はもう限界が来てるんだ!!」

⏰:07/08/02 00:41 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#711 [向日葵]
蜜は背中を向けたまま俺の話に反応しない。

セツナ「聞いてるのか?蜜。」

すると

蜜「フフ、フフフ……。」

いきなり蜜が不気味に笑いだした。
と思ったら。

蜜「セェーツュナァー♪」

目をトロンとさせて頬を紅潮し、オマケにろれつが回ってない。

セツナ「蜜?!」

蜜は俺に抱きつく。

⏰:07/08/02 00:44 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#712 [向日葵]
蜜「フフセッチュナァ♪」

セツナ「おいお前…、まさか……。」

ちらりと蜜の足元を見ると……やっぱり…。
コイツが今吸った花は酒の花だ。

つまり俺が話を進めなければいけない理由がこれな訳だ。

セツナ「酒……弱すぎだろ……。」

蜜「ん〜?なぁ〜にっ??」
至近距離で小首を傾げて俺を見つめる。
ダメだ……。とりあえず一旦戻ろう。

⏰:07/08/02 00:48 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#713 [向日葵]
蜜を担ぎ、超特急で城へ戻る。
蜜は俺の首に腕を巻き付け、甘える様に頭を擦りつける。

可愛いは可愛いがいささか困ったものだ……。
コイツは酔うと甘え上戸になるらしい。

ギギィィィィ……

セツナ「ラフィーユ。」

ラフィーユはすぐに俺の側へやってきた。

ラフィーユ「何。セツナ。」

俺は蜜をラフィーユに差し出した。

⏰:07/08/02 00:52 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#714 [向日葵]
セツナ「コイツを風呂に入れて酒を抜いてやってくれ。」

蜜「何故酒、飲んでる。」

セツナ「勝手に飲んだんだ。」

ラフィーユは蜜を受け取ろうとした。―――が。

蜜「んーん!!いぃや!!セツナと離れちゃくにやぁいっ!!」

と言って俺にきつく抱きつく。
ラフィーユは眉を寄せて「どうすんだ。」と言った風な目を向けてくる。

俺は困り果てて大きく息を吸い、吐いた。

⏰:07/08/02 00:58 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#715 [向日葵]
セツナ「やっぱり…部屋へ連れていく…。」

ラフィーユは無言で頷くと、静かに何処かへ消えた。
蜜は安心したのかまた俺に甘えてくる。

扉を開け、蜜をベッドに寝かせ、俺はその傍らに座り一息つく。

蜜「んー……。暑い!!」

セツナ「は?」

と後ろを向くと

ポイッ

蜜はブーツを脱ぎ捨てる。
……ちょっと待て…。もしやお前……。

⏰:07/08/02 01:05 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#716 [向日葵]
俺の予想は正しく、蜜は服を脱ごうとしていた。

セツナ「ば……っ馬鹿!脱ぐな!!」

俺は蜜の手を掴んで脱ぐのを辞めさせた。
すると蜜は俺を見てヘニャァと笑う。

蜜「セツナ。しゅき!」

と言って唇を重ねる。

お……前はなぁー……。

無理矢理蜜を離すと蜜は不思議そうに見つめてくる。
蜜「どして?」

どうして、って……。そんな顔でそんな事言われてくちづけされたらいくら何でもなぁ。

⏰:07/08/02 01:12 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#717 [向日葵]
無言で蜜を見ていると、蜜が目に涙を溜め始めた。

蜜「……嫌いに…なっちゃった…?私が……子供だから?」

あー…。もう……違うって。
俺は頭を抱えた。
どうしたらいいか…。

セツナ「そうじゃない。ただ今の状態だったら俺が堪えられないんだ。」

しかし蜜は俺の話なんか聞かず、距離を縮める。

蜜「好き…。セツナ。」

もー……無理。

ボスッ!

⏰:07/08/02 01:19 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#718 [向日葵]
俺は蜜を押し倒して深くくちづけした。

蜜も酒のせいでくちづけに答える。
そして唇を首筋に滑らせ、服のボタンを1個外す。

すると蜜が俺の頭を抱き締めて囁いた。

蜜「大好き……。」

とだけ言って、手がパタリとベッドに落ちる。

セツナ「…ん?蜜……?」
蜜「スー…。スー…。」

セツナ「コイツ…。寝やがった…っ!」

蜜の顔の横に自分の顔を沈めて俺は脱力した。

⏰:07/08/02 01:25 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#719 [向日葵]
蜜「スー…。」

俺は身を起こして蜜の寝顔を見つめる。

まぁ……。実は熟してからって言うからな。
もうしばらく待つさ…。

セツナ「だが酒は絶対飲ません。あと……」

蜜に覆い被さる。

セツナ「おあずけ食らわされた罰だ……。」

と言って首筋に2箇所、鎖骨辺りに1箇所、胸元辺りに2箇所。“証”をつけてやった。

蜜の白い肌に赤い痕がつく。

⏰:07/08/02 01:33 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#720 [向日葵]
セツナ「フッ。ざまぁみろ。」

起きて驚くがいい。
これくらいしたって罰は当たるまい。

気持ちよささうに寝る蜜に布団をかけてやって、額の髪の毛を撫でた。

思わず、笑みが溢れた。
額に唇を押しつける。

そして横に寝転び、俺も目を閉じた……。

⏰:07/08/02 01:38 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#721 [向日葵]
チャプター14:行方






蜜「ぶわぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

と言う訳でお早うございます。そしてこんばんわ。

それは起きてなんとなく見た。時の事でした。

蜜「え!え!!ええっ?!」

体に複数の“証”。
って言うか花畑から何故いきなりベッドの上?!

セツナ「なんだ騒がしい。」

頭が若干濡れてるセツナが扉の向こうから登場した。

⏰:07/08/02 01:49 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#722 [向日葵]
セツナに詰めよって首筋の“証”を見せ付ける。

蜜「な…っ!これ、どっ!!」

セツナ「見ての通りだが?」

首を傾げると、セツナの髪の毛から水滴が垂れる。

蜜「なんで?!どうして!!」

セツナ「気にしなくてもお前が想像している様な事はしてない。」

と言って窓側の椅子に頭を拭きながら座る。
とりあえず胸を撫で降ろす。

⏰:07/08/02 01:58 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#723 [向日葵]
セツナが後ろで笑ってるのが聞こえた。

セツナ「期待通りにすれば良かったか?」

頭にタオルを乗せて、タオルの隙間から私を垣間見る。

蜜「結構です…。――うわっ!」

いつの間にかセツナは背後に立っていて、抱き上げられた。

セツナ「さぁ。寝るぞ。」

蜜「私ついさっき寝てたんですけど。」

セツナ「俺も眠くない。布団の中で語ろうじゃないか。」

⏰:07/08/02 02:05 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#724 [向日葵]
強制的に布団を被せられて、セツナは私に身を寄せて布団の中に潜る。

蜜「頭乾かしてくださいよ。風邪ひきますよ?」

セツナ「そんな柔わじゃない。」

と言って私の頭の下に腕を入れて更に身を寄せて来る。
ドキドキ胸が高鳴って仕方がない。

蜜「私いつ家に帰れるんですか?」

セツナ「どうせ春休みじゃないか。ならいいだろ。」

蜜「やっぱり落ち着きませんもん。あ!ってか私お風呂入ってない!!セツナ離れて!」

⏰:07/08/02 02:26 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#725 [向日葵]
でもセツナは離れてはくれない。
それどころかもう片方の腕できつく抱き締めてくる。

セツナ「そんな事しなくてもお前はいつだって芳しい。」

……。

蜜「なんか微妙。それって貴方の食欲面についてですよね?」

セツナはクスッと笑うと唇をオデコに押し当てる。

あ、かわされた。
分かった分かった。話を変えればいいんでしょ?

蜜「ここの皆さんはいい人ばっかりですね。ラフィーユにオウマ君、シオイさん……。」

そこで口を閉じた。

⏰:07/08/02 02:30 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#726 [向日葵]
セツナ「?…蜜?」

そういえば…ルキはどうしたんだろう。
確か助けてくれた時にはいたと思う。

だけどそれからは全然見ない。
それはおかしい。

蜜「セツナ…。ルキは…?」

セツナの腕がピクリと反応する。
セツナは私の目を捕らえる。

セツナ「罰として……監禁されてる。」

蜜「監禁?!」

セツナ「罰は元々受けなければならなかった。蜘蛛族と手を組み、あんな事をしたのだから。」

⏰:07/08/02 02:36 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#727 [向日葵]
蜜「でも……っ罰は与えにくいって前……。」

セツナの目が、厳しさを増す。

セツナ「それは蜘蛛族の場合だ。ルキは身内。ならば罰は執行される。」

蜜「監禁されたら蜜を吸えなくなるんじゃ……。」

セツナは小さく頷いた。
つまりそれって……餓死させる気……?

蜜「死なせるなんて…っそんなの駄目!お願い!助けてあげて!!」

私はセツナの胸元のシャツをギュッと握って必死に頼んだ。

⏰:07/08/02 02:40 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#728 [向日葵]
セツナ「あんな目にあったのに何を言ってる。」

蜜「でも……っ。」

セツナ「もう嫌なんだ。自分のふがいなさのせいでお前が泣く姿を見るのは……。」

セツナの顔が悲しみで歪む。
セツナは抱き締めていた手を私の顔に触れる。

蜜「セツナ…。」

私はその上から手を乗せた。

蜜「でもね?セツナ…。私だけ生きて、顔見知りの相手が死ぬのなんて嫌だ。」

セツナ「当然の報いだろ。」

⏰:07/08/02 02:45 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#729 [向日葵]
蜜「私ずっと考えてた……。歪みあうんじゃなくて、なんで仲直りをしないのかって。」

セツナは不思議そうに眉を寄せる。
私は続ける。

蜜「ターヤさんとの事だって話合えば済みそうだし、お互い分かり合う努力も必要だと思うんです。どうです?」

セツナ「あのなぁ蜜よ。それが出来てたらしてるさ。」

蜜「と言うことはしてないんでしょ?」

セツナはため息を吐いた。吐息が髪の毛を撫でる。

⏰:07/08/02 02:51 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#730 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/02 02:52 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#731 [向日葵]
セツナ「お前はどこまで平和主義なんだ。」

蜜「……だって。」

私はセツナに背中を向けた。
広いベッドの真ん中。

寄り添って寝なくても広々と使えばいいのに。とか思うけど、背後から感じられる体温の主には敵いっこないわけで……。

私ってこんな甘い雰囲気醸しだすキャラだっけかぁ〜……?

そっぽを向いた私をセツナは後ろから抱き締める。
優しく力強い腕……。

セツナ「じゃあ明日…父上に会ってみるか?」

……え?

⏰:07/08/02 23:31 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#732 [向日葵]
セツナは腕の中で私が固まるのが分かったのか、少し被さって私の顔を覗く。

セツナ「何か支障があるか?」

蜜「や、そーゆーんじゃなうてですね……。」

気分はなんかこー……彼氏の親に結婚のご挨拶ー!……みたいな感じで…。

と考えながら広いベッドの端を目指してゴロゴロ転がっていく。

セツナ「おーい。どこ行く。」

そういえば……そういえばだよ!!
私助けてもらったのにご挨拶しなくて「なんて恩知らず」だなんて思われてたらどーしよー!!

⏰:07/08/02 23:38 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#733 [ラナ]
>>680-700

⏰:07/08/02 23:40 📱:P901i 🆔:Bbdarc8c


#734 [ラナ]
>>680-750

⏰:07/08/02 23:41 📱:P901i 🆔:Bbdarc8c


#735 [向日葵]
待て!落ち着け私!!
まだセツナと結婚するって決めた訳じゃないっ!!

なら普通に助けてもらったお礼も兼ねて交流を深めようと言う事で……。
題しまして……「セツナのお父さんと仲良くなろうではないか大会―――!!(出場蜜のみ)」

セツナ「オイ。」

少し離れた為遠くなったセツナがイライラしながら私を呼ぶ。
とりあえず膝立ちでセツナの元へ。

蜜「すいません。少し葛藤を繰り広げて…。」

セツナ「あそ。で父上と会う?会わない?」

⏰:07/08/02 23:43 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#736 [向日葵]
ラナさん
安価ありがとうございました

――――――――

蜜「もち!会いますっ。ご挨拶しませんでしたし。」

セツナは微笑んで私を見つめる。
思わずドキッとして、視線をさ迷わせた。

蜜「じゃ…おやすみ…なさい。」

私は自分からセツナにくっつくのがなんだか恥ずかしくて、少し離れた所で寝転んだ。

セツナ「何故遠い。」

蜜「い、いや、その。広いからもったいないなぁーみたいな…。」

⏰:07/08/02 23:47 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#737 [向日葵]
セツナはふぅんと言って天井を向くと静かに目を閉じた。

『あれ?あれれれれ?』

くっついて……来ないの?

しばらくするとセツナは寝息をたて始めた。

なぁんだ……。
私は体をイモムシみたいに動かしてセツナにくっついた。

蜜「……。眠くないって言った癖に…。」

セツナ「あぁ眠くないが?」

蜜「っっ?!」

⏰:07/08/02 23:51 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#738 [向日葵]
セツナは私を腕で拘束する。

蜜「ね、ねね寝たんじゃ……っ!!」

セツナ「ククク…。蜜から来るのを待ってただけさ。俺ばかり行くのは不公平だと思ってなぁ。」

いっっやらしぃ……っ!
頭上からクククと笑い声が聞こえてくる。
それが体内に響いているのか、私の耳に密着して当たっている胸元からも聞こえた。

そして、心臓の音も……。

セツナ「随分大人しくなったな。文句攻めは終りか?」

⏰:07/08/02 23:56 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#739 [向日葵]
蜜「シー…。聞いてるんです。」

セツナは腕を緩めて体を少しずらし、私と目線を合わす。

セツナ「何を?」

蜜「セツナの心音…。人って、心音聞くと安らぐって言うじゃないですか?だから……安らいでたんです。」

暗闇の中でも感じるセツナの優しい眼差し……。
セツナは私がこーゆー事を言うといつもそうする。

それがまた好きの要素になる……。

セツナ「……蜜のを聞いてもいいか?」

⏰:07/08/03 00:01 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#740 [向日葵]
蜜「……。貧相な胸に頭乗せてもクッションにはなりませんよ?」

セツナは声を上げて笑う。そして身を少し起こした。

私は聞きやすい様に上を向く。
するとゆっくりセツナが近づいてきた。
心臓が早く動きだす。

そしてセツナの頭が胸元に触れた時、少しピクッと動いてしまった。
セツナは体重をかけない様に気を使って腕を支えにしていた。

セツナ「へー……。」

初めて聞くのか、セツナは面白そうにそう呟いた。

⏰:07/08/03 00:05 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#741 [向日葵]
セツナ「確かに…いいな……。」

セツナは顔を離して私の顔の真上に来る。

蜜「赤ちゃんってお母さんの心音聞くと安心して寝ちゃうらしいですよ。」

セツナ「俺は赤子か。」

フフと笑うと、またセツナの優しい眼差しが向けられる。
頬の体温が上昇して、頭がぼうっとなるのが分かる。

セツナ「じゃあお前は俺の心音を聞きながら寝ろ。」

と言って、唇を軽く重ねてまたギュッと抱き締めてくれた。

⏰:07/08/03 00:10 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#742 [向日葵]
人って不思議。
心地いい体温と聞こえる心音があると何故か安心して瞼が重くなる。

セツナ「蜜…。好きだよ…。」

目を閉じたまま私は嬉しくて微笑む。

蜜「私もですよ…。」

――――――……

オウマ「おはよっす蜜!!」

お風呂に入り、またラフィーユに着替えさせてもらった所に、昨日私があげた花冠を頭につけたオウマ君がいた。

⏰:07/08/03 00:15 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#743 [向日葵]
蜜「おはようです。花冠気に入ってもらえましたか?」

オウマ「もうばっちりよぉ!!また作ってなぁ!」

ラフィーユ「その前に傷つけた扉、修理する。これ仕事。」

ラフィーユは赤い箱を持って来てオウマ君に押しつける。

オウマ「えー。ラフィーも手伝ってよぉ。」

ラフィーユ「甘える、良くない。自分の事、自分でする。」

オウマ君はブーブー言いながら扉の方へとパタパタ飛んで行った。

⏰:07/08/03 00:20 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#744 [向日葵]
蜜「仲がいいのね。」

ラフィーユは私に「何が」と言う眼差しを向ける。

蜜「オウマ君だけ?ラフィーユの事ラフィーって呼ぶの。」

ラフィーユ「あぁ。ユが面倒くさいとか。意味、分からない。」

うん確かに。
でももしかして、オウマ君ってラフィーユの事……?

セツナ「蜜!」

階段の上からセツナが私を呼んだ。

蜜「あ、ハイ!何ですか?」

⏰:07/08/03 00:23 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#745 [向日葵]
セツナ「父上が部屋で待ってるそうだ。行く準備は出来てるか?」


・・・・・・・・・・・・・・・

セツナ「オイ。」

蜜「ハ、ハ、ハイ……。」

セツナのお父さんの部屋の扉前に私とセツナはいた。

セツナ「何故そんな硬い。」

蜜「や、やっぱり、長ですから……っ。失礼の無いようにと思いますと……っ。」

⏰:07/08/03 00:28 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#746 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/03 00:28 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#747 [失礼します]
>>201-400
>>401-600
>>601-800

⏰:07/08/03 15:35 📱:P903iX 🆔:☆☆☆


#748 [向日葵]
>>747さん
安価ありがとうございました

――――――――

セツナは呆れてため息をつくと、ゆっくりとドアを開けた。

セツナ「父上、失礼します。」

私は失礼しますも言わず、その部屋の広さに驚いた。セツナの部屋とは比べものにならないくらいの広さ。
東京ドーム1個分……?

蜜「イッツミラクル……。」

思いきりジャパニーズイングリッシュ。

⏰:07/08/03 23:07 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#749 [向日葵]
長「ああセツナ。……それに、蜜乙女。」

ダンディな感じのおじさん。この人こそが、黒蝶族長……。

蜜「初めまして。蜜…と申します。」

一例深々と礼をする。
するとシャランと音がしたと思うと、王様の様な格好をした長がすぐそこにいた。

私は礼をしたまま続ける。

蜜「先日は助けて頂き、ありがとうございました。なのにご挨拶もお礼もせず、失礼いたしました…。」

⏰:07/08/03 23:15 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#750 [向日葵]
すると、皺がれた低く、それでいて滑らかな笑い声が私の耳に届いた。

長「これは偉く礼儀正しいお嬢さんだねぇ。」

セツナ「真面目すぎるんだ。だから力を抜けと言うんだが。」

長はまた笑う。
そして私の肩に触れて頭を起こさせた。

長「初めまして。私は黒蝶族の長、そしてセツナの父でもあるガラナと申します。」

とても親しみやすく接してくれたので、私の緊張は一気に抜けた。

長「セツナから聞いてるよ。せがれは君を凄く気に入っててね。」

⏰:07/08/03 23:20 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#751 [向日葵]
一旦セツナを見てから長に向き直り、本題に入った。

蜜「初めてなのに、とても失礼だとは思いますが……ルキを解放してあげて下さい!」

長は片方の眉を上げる。
後ろではセツナの呆れたため息が聞こえた。

長「君は…、ひどい事をされたのだろう?だったら何故。」

蜜「私だって正直許せません。あんな、怖い思いをして……許せる訳がないです……。」

傷がもう無い首筋に、私は手を触れた。

蜜「でも……歪み合うばかりはもっと駄目。和解したり、納得する事だって必要だと、思う、んです。」

⏰:07/08/03 23:32 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#752 [向日葵]
最後らへんは言葉に詰まった。
どう説明すればいいのか。

ルキがやったことは許せない事だけれど死に至らす様なそんな極端な行動は辞めて欲しくてー……。――――っ!!

蜜「とにかくなりません!!」

静かに聞いていた長は面白そうな目で私を見ながら微笑んだ。

長「随分ユニークなお嬢さんだなセツナ。」

セツナ「それが蜜の良い所ですよ。」

⏰:07/08/03 23:35 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#753 [向日葵]
長は頷くと、また私に視線を戻した。

長「なら直接話し合ってきなさい。ルキが出たいと言うなら出してあげるといい。」

長は大きく偉大そうな掌で私の頭を撫でた。
まるでお父さんみたい……。
私はその掌に少し懐かしさを感じた。

セツナ「じゃあ蜜、案内する。」

蜜「ハイ。お願いします。」

・・・・・・・・・・・・・

そこはまさしく牢獄。
レンガで出来た塔の螺旋階段を一歩また一歩降りて行く。

塔の中で、私とセツナの足音が響く。

⏰:07/08/03 23:40 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#754 [向日葵]
ロウソクを持っているセツナが振り向いて尋ねる。

セツナ「足元、気をつけろ。少し滑りやすいから。」

そう言って手を差し出す。
……しかしここは…。
なんでもありかいっ!!
なんだこの異世界は。
しかも暗くて…………寒い。

蜜「ルキは……一人で?」

セツナ「あぁ。」

思わず身震いする。
私だったら気が狂いそうだ。

⏰:07/08/03 23:43 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#755 [向日葵]
やっとの事で地下に着く。
数歩歩けば鉄格子が見えた。これもまただだっ広い。

そしてその中に、小さなか細い影が一つ……。

私はセツナに向かい、小声で話す。

蜜「いいですか。何があってもぜっったい口を出してはいけませんからねっ!」

セツナ「事と次第によるがな。」

もう……。
私は影に目をやり、少しずつゆっくりと話かけた。

⏰:07/08/03 23:47 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#756 [向日葵]
蜜「……ル、ルキ……。」

蹲っていた影は、ゆっくりと首をあげた。
その美貌は疲れ果ててるものの綺麗なまま。

ルキ「……。フッ…笑いにきましたの?」

蜜「ううん違う。お礼を言いに来たの。」

ルキは興味無さそうに私を見つめる。
私は視線を合わす為にペタンと地べたに座った。

そして礼をする。

蜜「ありがとう。助けてくれて。」

ルキ「貴方の……為なんかじゃありませんわ……。」

⏰:07/08/03 23:51 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#757 [向日葵]
頭を上げると、ルキは空が見える小さな窓をじっと見つめていた。

私はそんなルキをじっと見つめる。
冷たい風が、窓から入りこんだ……。

長い間、沈黙が続いた。

そしてルキのかすれた声が少し聞こえた。

ルキ「……、して……。」

蜜「え…?」

ルキ「どうして貴方は蜜乙女なの……。どうして、私じゃ……。」

ルキの綺麗な黒い目から、涙が流れ始めた。

⏰:07/08/03 23:54 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#758 [向日葵]
そしてキッとルキが私を睨む。

ルキ「貴方なんかよりずっとずっと私はセツナが大好きで、ずっと大切だった!なのに……たかが蜜乙女ってだけで…、運命だからって……セツナを……。」

“たかが”と言った所でセツナが口を開いたけど、私がじっと見つめてそれを制した。

ルキ「ズルイ…。貴方、ズルイわ……。」

ルキの涙が石畳に染み込んでいく。
それを見つめながら、私は言う。

蜜「確かに、私はズルイ……。」

⏰:07/08/03 23:58 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#759 [向日葵]
「けど」と、ルキの目を見つめる。

蜜「好きの気持ちなら、きっと負けない。」

ルキは目を見開いてまた悲しそうに細める。

蜜「ずっと側にいて欲しいし、いていたい。だからね、ルキも自分の力で私からセツナを奪って。」

セツナ「蜜?!」

蜜「私は……。奪われない様に、頑張るから。だからもう、自分を傷つける様な事、しないで……。」

鉄格子の隙間からそっとルキの手に触れ、重ねる。

⏰:07/08/04 00:03 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#760 [向日葵]
ルキはしゃくりを上げながらうつ向き、涙をポタポタ落としながら切々に呟いた。

ルキ「だか、ら…あなた、な、んて……っらい……なのよっ。」

嫌いでもいいから。
だからルキ。

蜜「ここ、寂しいですよね。空が、恋しいですよね。出ましょう……?」

キィ……

鉄格子の扉を開けて、手を差し出す。
ルキはそれを見つめて、また窓に視線をやった。

ルキ「出ない……。」

蜜「…っえ。」

⏰:07/08/04 00:07 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#761 [向日葵]
ルキ「まだ、ここにいる。」

蜜「でも……っ!」

ルキ「いいから。気分が治ったら、出ますわ…。」

それでも、いいよ。
ルキがこれで無事になると確信出来たから。

蜜「待ってますね……。セツナ、行きましょう。」

カツカツカツカツ……

セツナはルキを見つめる。
セツナ「お前がやった事はきっと一生許さん。」

ルキの口がグッと力を入れる。

⏰:07/08/04 00:11 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#762 [向日葵]
セツナは蜜が進んで行った方に顔を戻し、歩きながら呟く。

セツナ「でも蜜が許すなら話は別だ。」

カツカツカツカツ……

ルキはその日、蜜の言葉や自分の事を何度も繰り返し考えていた……。


・・・・・・・・・・・・・・

私は塔を出て、ジッと見つめた。
これで大丈夫。
ルキが死ぬ心配は無くなった。

セツナ「お前はとんだお人好しだな。」

⏰:07/08/04 00:14 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#763 [向日葵]
そんな言葉を投げ掛けるセツナを無視して、花畑を歩き始めた。

何故かって?
恥ずかしいから!!

別に嘘ではないけど

[セツナには側にいて欲しいし、側にいたい……。]

私もあっさりと口に出来る様になっちゃったものだなぁ……。
セツナ効果だこりゃ。

すると襟足を引っ張られ、瞬間的に首が絞まった。

蜜「ぐえっ!何ですか……。」

⏰:07/08/04 00:17 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#764 [向日葵]
セツナ「ん?何故顔が赤い。熱か?」

おでこをコツンと当てて熱計測。

蜜「違いますよ。大丈夫ですから。」

セツナ「なんだ素っ気無い。蜜らしくないじゃないか。」

蜜「私はいつも素っ気無いですよ?」

するとセツナは肩を抱いて私を引き寄せた。

セツナ「そんな事ない。いつも何気ない事で恥ずかしがるのが蜜だ。」

ハハハ。それこそそんな事ねぇーよ……。

⏰:07/08/04 00:23 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#765 [向日葵]
ラフィーユ「セツナ、蜜。」

ラフィーユがフワリと飛んで来てすぐ近くに着地。

蜜「何ラフィーユ。」

ラフィーユ「長が一度蜜、帰せ、言う。これ命令。」

セツナ「は?何だそれ。」

ラフィーユは首を横に振り、自分も訳は知らないと意思表示させる。

ラフィーユ「蜜。私とオウマ、蜜の家行く、駄目か?」

蜜「へ?何で?いや、いいけど。」

⏰:07/08/04 00:27 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#766 [向日葵]
ラフィーユはまた首を振る。

ラフィーユ「これも長の命。私達、ここ以外、行くトコ無い。」

あ、そっかぁ……。なら仕方ないよね。
まぁおばあちゃん達もいない事だし、セツナと二人っきりだとまた心臓もたないし。

蜜「汚くてもいいならどうぞ。」

するとラフィーユは綺麗に笑ってお礼を言った。

ラフィーユ「ありがとう。助かる。」

・・・・・・・・・・・・・・・・

特急で飛行中。
怖くて目が開けられない悲しい事実。

⏰:07/08/04 00:31 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#767 [向日葵]
セツナ「蜜、もう少しだからな。」

風のせいで聞き取るのがやっとだった。
すると

ボフッ!

なんか柔らかい固まりに激突……。
あれ?さっきまでの光が無くなったみたい……。

セツナ「蜜。帰って来たぞ。」

私は恐る恐る片目ずつ開ける。

蜜「あぁ……っ!」

数m下には、馴れ親しんだ家があった。
光が無くなったのは現在こちらが夜だからだ。

そういえばターヤさんが時間の流れ方が違うって言ってたっけ。

⏰:07/08/04 00:35 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#768 [向日葵]
何故か開いてるドアにびっくりしながら、家へ入っていく。
玄関近くにある電気をパチンとつけて、何日ぶりかも分からない家とご対面。

あぁ……ビバ庶民……!
やっぱりこの狭さが一番落ち着く……!

オウマ「うっわー!せまっ!何これあり得ねぇー!!」

……オウマ君。コレが普通です。

ラフィーユ「オウマ、静まれ。うるさい。」

と言われるとオウマ君はすぐに静かになる。

おぉうっ!トップブリーダー……。

⏰:07/08/04 00:43 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#769 [向日葵]
セツナ「はぁ……。」

蜜「?」

どうしたんだろセツナ……。

ラフィーユ「蜜。私とオウマ、どこ、寝る。」

蜜「あぁ。客間使う?それともラフィーユは私と一緒に」

セツナ「客間でいいだろう。客なんだから。」

はぁ……まぁねぇ。
何故そこまでムキに……?

ラフィーユ「分かった。場所は?」

⏰:07/08/04 00:46 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#770 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/04 00:47 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#771 [向日葵]
蜜「真っ直ぐ行ってあの襖の所!」

ラフィーユ「了解。確認、する。」

と言ってオウマ君も一緒に客間拝見に行った。

蜜「さてと、夜って事でお風呂用意してこよう!その後は晩御飯だ。」

はっ!
食材傷んでないかなっ?!
……その時は出前にしよ。私だけだし。
そういえばラフィーユ達は食事どうするんだろ。

カチャ

シャアア――……

⏰:07/08/04 10:33 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#772 [向日葵]
セツナ「オイ。」

蜜「わぁ!セツナ…いたんですか。」

セツナはお風呂場のドアのヘリにもたれていた。
ん?なんかご機嫌ななめだなぁ……。

キュキュキュ

一旦シャワーを止めてセツナに向き直る。

蜜「何かご用で?」

セツナ「なんでアイツらを呼んだ。」

蜜「はい?だって、困ってるし、行く所が無いって……。」

⏰:07/08/04 10:38 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#773 [向日葵]
セツナは何か腹立たし気に息を吐く。

セツナ「それは千歩譲ってやる。」

千歩て貴方…。どんだけ渋々の選択ですか。

セツナ「ラフィーユを何故お前の部屋にやろうとした。」

蜜「へ?女の子同士ですし、なんかこーゆーのって楽しいじゃないですか♪」

ガチャン

ガチャン?
何でドア閉める?

セツナ「もう怒った……。」

⏰:07/08/04 10:44 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#774 [向日葵]
え?え??えぇっ?!
何で?!私何も気に触る事言ってないよね?!

蜜「い、一体何が駄目だったんですか?!結局はラフィーユ達は客間に行ったじゃ…」

セツナ「それでなくてもアイツらが来たから二人っきりになれないのにお前はその機会すら奪おうとした。」

あ、あぁー……そーゆー…。

蜜「い、いいじゃないですか。同じ部屋で寝るんですから!」

ヒタッ……。

セツナはヒンヤリとしたタイルに手をついて私を囲んだ。

⏰:07/08/04 10:49 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#775 [向日葵]
蜜「謝りますから…、そーゆーのは部屋で……っ。」

セツナ「今ここで改めてもらおう。いい加減俺の気持ちくらい読んだらどうだ。」

読んでるつもりなんだけどなぁー……。
って言うかそこまで怒らなくても。

蜜「そうですね…。以後気をつけますよ。」

セツナ「そぅ。いい子だ。」

と言ってオデコに唇を押し付けた。

いい子とか……。
オデコに唇の感触を感じながら、どう反応すればいいかに迷った。

⏰:07/08/04 10:56 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#776 [向日葵]
セツナは人差し指だけで顎をクイッと上げた。
もうすぐそこにセツナの顔。頭がぼぅ…っとなる。

セツナの唇があと少しで触れる時、

オウマ「なぁなぁ蜜――!!……。」

お互いに間そして間。
オウマ君はどうやら最高に間が悪いらしい……。

蜜「わ、私、二人の布団、用意しなくちゃ……っ!」
セツナの腕をくぐって、客間へ向かう。
その途中、オウマ君の叫び声が聞こえた気がした。

ポスポス

蜜「ラフィーユ。入りますね。」

⏰:07/08/04 11:03 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#777 [向日葵]
ラフィーユ「あぁ。」

スラッ

ラフィーユは畳の上で長い髪を広げて寝転がっていた。

蜜「疲れた?」

ラフィーユ「こんな床、初めて。草の匂い、何故する?」

そっか、畳知らないんだ。余談でセツナも畳を初めて見た時珍しがってた。

外国人の人が日本文化に感動する様に畳をテシテシ叩いていた。

蜜「畳って言うの。い草って植物から作ってるんだよ。」

⏰:07/08/04 11:10 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#778 [向日葵]
ラフィーユは「ふぅん」と言うと畳が気に入ったのか畳に顔をくっつけて匂いをかいでいる。

私はその近くで座って布団を探すのも忘れてまったりしていた。
ラフィーユは何だか落ち着く。

ラフィーユ「聞かないのか?」

蜜「え?」

ラフィーユは穏やかな目で私を見つめてくる。

ラフィーユ「私の喋り方、変。自分で、分かる。それ、聞かないのだな。」

蜜「んー。私は気にならなかったよ。ちゃんと想いは伝わってくるし。」

⏰:07/08/04 11:15 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#779 [向日葵]
するとラフィーユはニコッと笑って呟く。

ラフィーユ「同じ事言う。不思議だ。」

蜜「え?なんて?」

しかし、ラフィーユは寝息を立てて寝てしまった。

蜜「あ!布団!」

そこで本来の目的を思い出し、部屋の押し入れから布団を出し、敷くが、ラフィーユが寝てしまったので一個しか敷けない……。

蜜「あ、と。どうしよう……。」

⏰:07/08/04 11:23 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#780 [向日葵]
スラッ

なんかげっそりしているオウマ君登場。

オウマ「あれっ。ラフィー寝ちゃった?」

蜜「ハイ。だから布団引けなくて…ハハ。」

オウマ「しょうがねぇなぁ…。ぃよっ!」

ラフィーユの体を軽々と持ち上げて一個敷いてた布団へ優しく乗せてあげた。
そしてオウマ君は静かに眠るラフィーユの頭を優しく一撫でして微笑んだ。

蜜「オウマ君って…ラフィーユが好き?ラフィーって呼んでるのはそれで?」

⏰:07/08/05 09:33 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#781 [向日葵]
オウマ君はラフィーユから目を離してなんだか嬉しそうに私に笑った。

オウマ「ウン。大好き!ラフィーって誰も呼んでないから特別みたいだろ?」

無邪気な笑顔に私まで笑顔になった。

布団をもう一つ敷いてから私はおやすみなさいと言って客間を後にした。

階段を一歩一歩上りながら少しげんなりしていた。

セツナの事だ。

ラフィーユとオウマ君の事で機嫌が悪かったのに足してお預けをくらったから……。

⏰:07/08/05 09:37 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#782 [向日葵]
『さぞかし部屋で大変に……。』

別に、セツナとそーゆー大人な事するとか言うのは嫌ではないけど、想像がついていかないって言うか……恥ずかしいって言うか……。

気が付いたらもう部屋の前だった。

ゆっくり部屋に入る。

蜜「……。あれ?」

そこにはセツナの姿なんてなかった。

蜜「セツナ……?」

不安になって静かに名前を呼ぶ。

⏰:07/08/05 09:42 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#783 [向日葵]
帰った?
だって今日は帰っちゃ駄目のハズで……。

しゅんとしてベッドに座る。

別に行動範囲制限するつもりはないけど、どこかに行くなら行き先を教えて欲しかった……。

フゥとため息を一回ついてから電気を消そうとした。
ガチャ

蜜「ん?」

セツナ「お。帰って来たか。……。どうした?」

私はぼんやりとセツナを見つめていた。

⏰:07/08/05 09:49 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#784 [向日葵]
蜜「どこ……いたんですか?」

セツナ「庭に出てた。見事な月夜だったんでな。」

蜜「あ、そ、ですか。」

とりあえず電気をパチンと消してぼんやりしたままベッドに行く。
と、ベッド際でセツナが腕を引っ張った。

セツナ「オイ?どうかしたか。」

蜜「いやなにも……。」

なんだかセツナが帰って来るのが、側にいるのが当たり前の気がしてたから……。
いなくなるとこんなに寂しくて不安になるんだなぁと思ったらなんだか呆然としてしまった。

⏰:07/08/05 09:53 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#785 [向日葵]
なんとなく手を伸ばしてセツナの胸元に抱きついた。

セツナは何も言わずに抱き締めてくれて、背中を擦ってくれた。

セツナ「なんだ。甘えてくるなんて珍しいな……。」

意地悪な口調なのに、何故か優しく聞こえる。
ずっとこうしてくっついていたい気がした。

セツナ「蜜。疲れただろ?早く布団に入れ。」

蜜「ハイ……。」

それでも私は離れようとしなかった。
そんな私を見かねてセツナは抱き上げて布団の中に入れる。

⏰:07/08/05 09:57 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#786 [向日葵]
やんわりとセツナから腕が外された。

蜜「……離れたくないです。」

とっさに出た言葉だった。セツナはなんだか驚いていた。

セツナ「離れないよ。」

セツナの唇が、オデコに、頬に、耳元に……押し付けたられる。

暗闇でも分かる。セツナの熱く優しい目が私に向けられてる事が……。

セツナの唇が、優しく私の唇に触れる。
角度を何度も変えて、優しく触れる。

⏰:07/08/05 10:04 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#787 [向日葵]
でもセツナは優しく触れるだけで、それ以上は激しくならなかった。

何で?

セツナが私の唇に止まったのに気付いたのか、一旦離れて私を見つめる。

セツナ「…何?」

蜜「何でそんな優しいんですか?」

セツナは一瞬眉を寄せて考え、言いたい事が分かったのか苦笑いを浮かべた。

セツナ「今激しくしたら、多分止まらないぞ?」

セツナは私を起こすとフワッと抱き寄せた。

⏰:07/08/05 10:21 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#788 [向日葵]
セツナ「別に無理なんてしなくていい。待つてもりだ。ただ……。」

体を離して、私を見つめながら髪をかき上げた。
私は片目を瞑る。

セツナ「なんだかお前が可愛く甘えてくるから我慢出来そうにないんだ……。」
暗闇に柔らかくセツナの声が響く。
この感情……。セツナが愛しくて仕方ない。

一回こんなのあった。
セツナが照れたあの日……。

でもあの日よりはもっと大きい気持ちで――……。

⏰:07/08/05 10:28 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#789 [向日葵]
チャプター15:赤い実







シンとしてる。時計の音が静かになってる。


蜜「我慢しないで下さいと言ったら…セツナは我慢しませんか?」

セツナはフワリと微笑むと、頬に唇を触れる。

セツナ「そんな可愛いらしいことを言われたら、蜜が何を言おうと抑えるのは辛いな。」

鼓動が少しずつ早くなる。

蜜「じゃぁ……我慢しないで下さい…。」

⏰:07/08/05 10:34 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#790 [向日葵]
セツナは不安気に私を見つめてくる。

セツナ「お前いいのか?ホントに。」

私は身を乗り出して触れるだけのくちづけをする。

蜜「ハイ……。」

硬い決意。セツナなら……。ううん。セツナがいい……。

セツナの目が射る様に真剣に変わる。
そしてくちづけをされ、激しさを増していく。

ゆっくり押し倒されて、セツナが上に乗ってくる。

セツナ「後悔しても知らないぞ……。」

⏰:07/08/05 10:39 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#791 [向日葵]
そう言って私の頬を大きな手で包む。
その上から私は手を重ねてその温かさに目を瞑る。

蜜「後悔なんて……しませんよ…。」

セツナはまた優しく唇を重ねてから首筋に唇を這わせる。

ボタンが外されていく。
その時に僅かに体を固まらせてしまった。

それに気付いたセツナが私の頭を撫でながら優しい黒い目で見つめる。

セツナ「大丈夫。ゆっくりやるな……。」

蜜「…ハイ……。」

⏰:07/08/05 10:45 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#792 [向日葵]
セツナはホントに優しく私を扱ってくれた。
服越しじゃない人の体温は思ったより熱くて、でも気持ち良くて……。

何より幸せであることを感じさせてくれた。

蜜「―――っ。」

セツナ「…蜜?しんどい?」

私は首を横に振った。

蜜「嬉しいんです……。」

嬉し涙なんて初めて流した。でも初めて流した嬉し涙がセツナで良かった。

セツナはオデコにキスをして優しく微笑んだ。

⏰:07/08/05 10:50 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#793 [向日葵]
 






―――――
―――――――……

目を、うっすら開けた。
部屋が明るい……。

トクン……トクン……

あ……落ち着く…。
また目を閉じると、こめかみ辺りの髪の毛がかき上げられて、柔らかい物が触れる。

セツナ「目、覚めたか……?」

⏰:07/08/05 10:54 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#794 [向日葵]
私はまた目を少しだけ開けた。

蜜「…セツ、ナ……?」

セツナ「体、大丈夫か?」

体……?

完全に目を開くとセツナの綺麗な鎖骨が目に入った。

蜜「ええっ!」

一気に覚醒。

顔を上げればセツナが見つめていた。

そうだっ――私昨日……っ!

⏰:07/08/05 10:57 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#795 [向日葵]
うつ向いて顔を隠す。
激しく赤面。

蜜「おはよう……ございます…っ。」

セツナ「ククク…。何を照れてる。」

そう言いながらも優しく抱き締めてくれる。
肌がまた密着する。

胸が、キューッと苦しくなった。

セツナ「…昨日の蜜は……今までで一番可愛いかったなぁ……。」

うわ言の様に呟くセツナの言葉に再び赤面する。

蜜「あぁもぅ…。止めて下さい恥ずかしいっ……!」

⏰:07/08/05 11:02 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#796 [向日葵]
セツナはクククと笑ってる。

いつものセツナだ……。
でもなんだか違う……。

セツナ「服を着ろ。またオウマが来たら、お前の裸を見られるのはご免だ。」

あり得る予想に深く納得。

蜜「こっち……見ないで下さいねっ。」

セツナ「ククッ。ハイハイ。」

セツナはかべ側を向く。
私はソローッと布団を出て散らばった服を集める。

未だに自分がそんな事をしたって事実が信じられないけど、少しダルイ下腹部が昨日の事を物語る。

⏰:07/08/05 11:12 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#797 [向日葵]
服を完全に着てから振り向く。
約束通りセツナはちゃんと壁側を向いてた。

蜜「セツナ。着終りましたよ。」

セツナ「あぁ。分かった。」

するとセツナは私を引っ張って軽く唇を触れた。
そして幸せそうに微笑む。

セツナ「好き……蜜。」

また顔が赤くなる。
セツナはそれを見て満足そうに笑った。

蜜「ハイ……。」

⏰:07/08/05 11:18 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#798 [向日葵]
少しの間、温かい雰囲気が漂って、私はハッと意識をはっきりさせた。

蜜「わ、私……っ二人を見て来ます!」

セツナ「分かった。」

部屋を出ていく時にちらりとセツナを見ると、起き上がり完璧な体が見えていた。

パタン……。

ドアにもたれて口元を両手で軽く隠した。

『ヤバイ……ニヤける……。』

二人に感ずかれないといいけど……。

⏰:07/08/05 11:23 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#799 [向日葵]
――――――――

キリます

⏰:07/08/05 11:23 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#800 [向日葵]
階段をスキップする様に降りて、客間へ向かう。

ポスポス

蜜「おはようございます。」

スラッ

ラフィーユ「蜜。おはよう。」

蜜「おはよー。」

ラフィーユは既に起きていた。畳がとても気に入ってるらしく、畳の上にいる。

オウマ君は、未だに寝ていた。

蜜「皆って……眠り浅いんじゃないの?」

ラフィーユ「それぞれ。コイツ、特に変。」

⏰:07/08/06 00:41 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


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