黒蝶・蜜乙女
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#600 [向日葵]
ガチャっと聞こえたと思うと視界にオフホワイトの大きなドアと、赤い絨毯に変わって灰色の絨毯になった。
どこかの部屋に入ったらしい。

ボフッ!

蜜「んむっ!!」

降ろされた先はドアと同じオフハワイトの柔らかく大きなベッド。
ベッドの周りにはワインレッドの天蓋が。

そんな事より早く起きなければ……っ!
……と思って横を向いて起き上がる体勢になったが遅かった。

⏰:07/07/28 23:41 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#601 [向日葵]
ギシッ

先生は私にもう被さっていた。

ターヤ「味わう程度なら手を出しても構わないかなぁ……。お楽しみはまだまだあるわけだし。」

そう言って先生は締めてた群青色のネクタイを少し緩めた。

蜜「嫌!!やだっ!!」

必死に逃げようと足をバタつかせると黒いミュールがあちこちに飛んで行った。
先生は片手で私の両手を掴む。

ターヤ「君にくちづけした時は失神しそうになったよ。あまりの強く甘い蜜の味に……。」

⏰:07/07/28 23:49 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#602 [向日葵]
そう言って私の口内を急に荒らしてきた。

私はショックで目を見開く。

顔を背けてキスから逃げた。そして先生から負けない様に強く睨む。

先生は楽しんでいるのかニヤニヤ笑う。

ターヤ「存分に抵抗していいんだよ?その方が燃えるしね?」

そう言って首筋に舌を這わせた。
またあの気持ち悪い感覚が私を襲う。

嫌だ…嫌だ……!!
セツナ!!!!

⏰:07/07/28 23:54 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#603 [向日葵]
すると

ビュオォォォ!!!!

急に強風が吹き荒れた。

突然の事に先生は私から離れた。
何が怒ったか分からない私はとりあえず起き上がる。
すると頭や腕に、そよ風が当たった。

蜜「風……さん達…。」

小さな姿がいくつか私の周りにあった。
怯えていながら私を必死に守ってくれている。

ターヤ「……黒蝶族のちっぽけな下僕が……。うっとおしい!!」

蜜「止めてっ!!」

⏰:07/07/28 23:59 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#604 [向日葵]
攻撃を仕掛けようとする先生に、私は風さん達をかばうように両手を広げた。

蜜「私はいいけど……風さん達を傷つけるのはよして下さい……。」

先生はスッと目を細めると、ドアへ向かい、部屋を出ていく。

ターヤ「ここは君の部屋だ。自由に使うといい。」

バタン……。

しばらく私はドアを見つめていた。
けど先生は戻ってこないと判断し、私は力を一気に抜いた。

そんな私を心配して風さん達が寄ってくる。

⏰:07/07/29 00:04 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#605 [向日葵]
蜜「大丈夫ですよー…。ありがとう。助けに来てくれて。」

風さん達は私を気遣い、顔の周りをグルグル回る。
そして私の顔によって小さな手で顔を撫でてくれた。

柔らかい、優しい手……。

ポタタタ…。

ドレスに染みが広がる。
気が抜けて、涙が今になって出てきた。

蜜「やだ……。泣きたくなんか…ないの…っに……!!」

怖い……。怖いよ…。
でもセツナが助けにきて、もしもがある方がもっと怖い。

⏰:07/07/29 00:08 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#606 [向日葵]
涙をグイッと拭う。

そして部屋全体を見回す。とりあえず、窓がある。

ここでジッとしているのは嫌だ。
私は自分でセツナに会いに行ってやる。

蜜「ここから……出てやる。」

只の蜜乙女じゃないって分からしてやるんだから……。

⏰:07/07/29 00:12 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#607 [向日葵]
チャプター12:方法





私はジッとベッドの上にいた。
気が狂いそうな静けさを抑えてくれてたのは風さん達の存在のおかげだと思う。

たまたま部屋の中にある時計で時間は分かった。

今は午前か午後か分からない。何故なら外が真っ暗だからだ。
でも針は1時を指している。

なんだか全ての現実に疲れた私は眠りそうになったけど、頑張って起きた。

⏰:07/07/29 00:33 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#608 [向日葵]
とりあえず布団を結んで出来るだけ長くする。

『あ、そういえば……。』

ここはどれくらいの高さ?

窓へ寄って格子窓を開ける。そして下を見てみる。

蜜「え?!」

なんと……下が見えない…。モヤがかかってるみたいに陸地が見えない。

蜜「何で…っ。」

ターヤ「人間界じゃないからだよ。」

バッと振り向くと、先生がドアに寄りかかっていた。

⏰:07/07/29 00:52 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#609 [向日葵]
蜜「先生……。」

ターヤ「ターヤでいい。」

先生もといターヤさんは、部屋に一歩入る。

ターヤ「逃げるなんて辞めた方がいいよ。出ても人間には絶対に陸地は見つけられない。」

風さん達は警戒して私の周りに寄り添う。
それをターヤさんは嘲笑う。

ターヤ「まぁ精々頑張ればいいよ。絶対に無理だけど……ね。」

パタン……

まるで私の計画を前から分かっててそれを止めに来たみたいだ。

⏰:07/07/29 00:59 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#610 [向日葵]
――――――――

ちょっとキリます

⏰:07/07/29 01:00 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#611 [☆チーター☆]
あげちゃいましたトフフ
この小説大好きで毎晩見ていますI
頑張って下さい

⏰:07/07/29 01:51 📱:auSA3A 🆔:Tfv6S/LU


#612 [向日葵]
チーターさん

ありがとうございます

――――――――

ターヤ「君はホントに面白いね。じっとしてるお姫様じゃないんだ?」

蜜「私はお姫様じゃないんで……。」

一定の距離を保ったまま私達は話を続ける。

蜜「今回もルキが一枚噛んでるんですか?」

ターヤ「察しがいいね。その通りさ。アイツはセツナの恋情が故に動く人形だ。」

⏰:07/07/29 02:21 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#613 [向日葵]
私は眉を寄せた。

蜜「……実の妹…ですよね?」

ターヤ「それが何?」

蜜「何故、そんな物言いなんですか?」

ターヤさんは憂鬱そうに笑うと話を続けた。

ターヤ「実の妹だろうがアイツは黒蝶族だろ?兄である俺より恵まれて育った奴に、どうやって親しめと言うんだ?」

――――っ!!

ターヤ「僕達蜘蛛族はとんだ迷惑だ。まぁ黒蝶族に何かしても咎められにくいのは嬉しいがね。それもこれも、自然界のほぼ頂点にいる黒蝶族。アイツらのせいだ。」

⏰:07/07/29 02:29 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#614 [向日葵]
蜜「だからって……セツナを…ましてや私を巻き込むのは可笑しい!!」

ターヤ「直接憎い奴に復讐をかけるより、その関係する物を傷つける方がダメージは大きいものだよ。」

冷笑を浮かべながらターヤさんは続ける。

ターヤ「掟を作ったのは奴らだ。それによって何百年もの間僕達は悪者扱い。意味が分からない。たかが祖先の裏切りで、僕達は関係無い戒めに縛りつけられた。」

ターヤさんの視線が私をしっかりと捕らえる。
私は足に根が生えたみたいにそこから動けずにいた。

⏰:07/07/29 02:34 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#615 [向日葵]
ターヤ「ただ、君を拐ったのはただ単に君を気に入ったからさ。別に他意は無い。セツナの歪んだ顔を見るのは愉快だけどね。」

そこで私はキッと睨んだ。ターヤさんは余裕で受け流す。

ターヤ「部屋の外に食事を置いてるよ。食べておきなよ。」

そしてターヤさんは部屋を出ていった。

『どうして……。』

歪み合うしかしないんだろう……。
誰も、仲を戻すなんて考えなかったのかな……。

⏰:07/07/29 02:40 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#616 [向日葵]
風さん達は指をドアの方に指して食事しろと言ってる。

蜜「ありがとう。でもお腹減ってませんから。」

にこっと笑う事が出来た。ホントに風さん達には助けられる。

セツナ……。なんとか貴方の元に帰るからね。

―――――……

―黒蝶族―

シオイ「セツナ様。お久しぶりです。ルキ様も…。」

セツナ「挨拶はいい。事情は分かっているな。」

シオイは黙ってルキを見る。ルキは気まずそうにうつ向き視線を泳がす。

⏰:07/07/29 02:53 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#617 [向日葵]
シオイ「こちらです。」

向かったのは一軒家が入りそうな広間。
真ん中には長い机が置かれている。

「セツナじゃぁん♪最近とんと見なくなったから家出かと思ったぜ!」

セツナ「オウマ。今は急いでいる。無駄口は後だ。」

オウマと呼ばれるオレンジのツンツンした髪の青年は口を尖らして机に置いてある足を下ろした。

シオイ「長もお見えです。」

机の遥か遠くに髭を蓄えた男性が座っていた。
セツナは羽を出し、直ぐにその人物の近くに来た。

⏰:07/07/29 02:59 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#618 [向日葵]
セツナ「戻りました。父上。」

長「うむご苦労。ルキよ。罰は後で受ける覚悟をなさい。今はせがれの蜜乙女を助けるぞ。」

ルキ「仰せの……ままに……。」

ルキは膝を付いて長に一例する。
長はルキに視線を投じてまたセツナに戻す。

長「如何にあ奴らが力を付けたと言えど、私達を甘く見てもらったら困る。援軍は10人で足りるな?」

セツナはニヤリと口の端を上げる。

セツナ「その半分。5人で上等ですよ。」

⏰:07/07/29 03:04 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#619 [向日葵]
長は一度頷くと上を少し向けて声を上げた。

長「シオイ。ルキ。オウマ。ラフィーユ。」

広間にバラバラにいた4人は一気に長の元へ整列した。

ラフィーユと名乗る女の子はストレートの髪が腰まであり、白に近い青の色をしていた。

長「最近の蜘蛛族はやりたい放題にしすぎた。罰を与えるのに手伝ってくれるな?」

オウマ「もちろんさ長!!ガッツンやってやらぁ!!」

オウマは拳を掲げそこらを飛び回る。

ラフィーユ「オウマ。みっともない。降りろ。」

⏰:07/07/29 03:10 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#620 [向日葵]
冷たい目でオウマを睨み、オウマは縮こまってすぐに戻ってきた。

セツナ「では、行って参ります。」

長「あぁ。助けた暁には蜜乙女を連れて来なさい。」

セツナはクスッと笑うと超スピードで広間を出て行った。

――――――……

カチャ……キィ……

蜜「よし、よし。」

右左を確認し、部屋からソロリと出る。
無駄でも私は抜け出してみせる!
私はやれば出来る子!

⏰:07/07/29 03:14 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#621 [向日葵]
ミュールを履くのも忘れて私は裸足で行動していた。
フカフカ絨毯が足をくすぐる。

『階段…降りて……ドア…。』

こんなお城みたいなとこなんだからさぞかしドアもデカイんだろうなぁ。
そう思いながら周りをキョロキョロする。

蜜「……ここじゃない?」

なんかよくわからないホールみたいなトコをぐるぐる回ってらしきのを探す。

ターヤ「おてんばだね。」

ハッとして後ろを向く。
だけど誰もいない。

……分かった。
ソロソロと視線を上げると……。

⏰:07/07/29 03:20 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#622 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/07/29 03:20 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#623 [向日葵]
上で何故かターヤさんが浮いている。
理由は1つ。蜘蛛の糸でぶらさがってるんだ。

ターヤ「そんなにセツナに会いたい?」

蜜「…。」

私は無視して違う方を探そうとしていた。
と、ターヤさんが目の前に優雅に降りてきた。

ターヤ「ベタ惚れなんだね。」

蜜「……。そー…です……けど何か?!」

後半はヤケクソ……。
でもホントなんだもの。体全身でセツナを呼んでる。

⏰:07/07/29 13:46 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#624 [向日葵]
ターヤ「どうしてアイツがいいの?」

ズイッと前へ来て私の視界をターヤさんのみにする。

ターヤ「あんな天狗野郎好きになる君がわからないよ。」

私はキッとターヤさんを睨む。

蜜「確かにセツナは俺様です!」

ウンそれは認める。
でも……。

蜜「セツナはちゃんとありがとうが言えて、ごめんなさいが言えて、私を誰よりも大切にしてくれる!むやみに人を傷つけたりしない!!」

⏰:07/07/29 14:28 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#625 [向日葵]
セツナの優しい目が脳裏をよぎる。

蜜「貴方は……人を憎むばかりで、人を尊重しない…。」

ターヤさんは目を細めて顔をひく。

シャルルルル

蜜「え?!な、何?キャァァ!!」

体に蜘蛛の糸がまかれ、一気に地面が離れた。
天井に私は吊されてしまった。

蜜「な、ターヤさん!何をっ!」

ターヤさんも糸を天井に付けて私の近くまで来る。

⏰:07/07/29 14:57 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#626 [向日葵]
ターヤ「嫌いなんだよね。そうやって正論づく奴って。しばらくそうやっててよ。」

そう言ってくるくると回転しながら遥か下の床へ降りて行った。

ターヤ「いい眺め……。」

ターヤさんは何処かへ言ってしまった。

蜜「ほーどーけぇぇぇ!!!!」

体を揺らすもののプラプラ揺れるのみ。

『そうだ!』

蜜「風さん!」

⏰:07/07/29 15:21 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#627 [向日葵]
風さん達が私の目の前に現れる。

蜜「風でこの糸を千切ってくれ……」

いや……

私は下をチロリと見た。
あの山の秘密基地より遥かに高いこの場所。

千切れて解放されたとしても絶対に

蜜「死ぬ……。」

あぁ――もうっ!!!!

セツナ……っ!!

―――――……

灰色の世界を高速で飛んでいく陰が5つある。

⏰:07/07/29 15:33 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#628 [向日葵]
セツナ「お前らもっとスピード上げろ!!」

オウマ「おうよぉ!!」

ギュイィイン!!

ルキ「……。」

険しい顔をして黙って着いていく横にラフィーユがつく。

ラフィーユ「余計な事、考えるな。」

ルキ「考えてないわよ……っ!」

ラフィーユ「どうだか。お前は浅はかだ。」

ルキは図星を突かれて下唇をギュッと噛んだ。

ラフィーユ「悔やむのならもうこんな事をするでない。」

⏰:07/07/29 15:37 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#629 [向日葵]
ギュイィイ―――……ン……

―――――……

蜜「んのぉぉ……っムギィィ!!」

糸が簡単に切れず、しかもゴムのように伸びることを発見。

どうにかして体を縦に振って糸が伸びる様にするけど凄い力ですぐに戻されてしまう。

蜜「もう!も―も―も―も―!!!」

牛になった訳じゃないけど思わず不安が募ってしまう。

⏰:07/07/29 15:49 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#630 [向日葵]
ムカついて足をジタバタさせた。

どうしてこんな目に合わなきゃいけないのよ!!
それでも私は体を揺する。

蜜「う゛ぅ―――――っ!!ターヤさんのぶわぁぁぁっかぁぁ!!!!」

ターヤ「馬鹿とはなんだい。」

下を見れば蟻の様なターヤさんがいた。
表情が見えないけど声からして無表情で私を見ている気がする。

蜜「降ろして下さい!!なんでこんな事されなきゃなんないんですか!!」

⏰:07/07/29 15:58 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#631 [向日葵]
ターヤ「うるさいなぁ…。少し黙らないか。」

そう言って指をパチンと鳴らした。
何が起こるのかと思えば、急に体がぐらりと傾く。

蜜「ぎ、いやぁぁぁぁっっ!!」

いきなり落下。
ジェットコースターより遥かにスリリングな体験に気を失いかけた時、ターヤさんの腕にキャッチされた。
蜜「うぅ……っ。」

ターヤ「湯殿の時間だよ蜜乙女。」

えっ?!

⏰:07/07/29 16:11 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#632 [向日葵]
蜜「さっき入ったばっかですよ?!」

ターヤ「さっきだって?何を言ってる。もう一日経ったじゃないか。」

一日?!
せいぜい5時間くらいしか経ってないんじゃ……っ!

そんな私に気付いたのか歩きながらターヤさんは説明した。

ターヤ「人間と僕らじゃ時間の流れが違うんだよ。」
入った事がある部屋に入った。

ターヤ「祝言の為に綺麗にしてやってくれ。」

⏰:07/07/29 16:22 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#633 [向日葵]
祝言?!
つまり……結婚式?!

私はターヤさんの手から逃れて部屋を出ようとしたけど無駄に終わった。

ドアに手を付き、後ろから私の行く手を阻む。

ターヤ「じっとしてくれない?それとも……襲われたいの?」

ターヤさんは後ろから私の太ももを撫で上げた。
グリッとターヤさんの方を向いて下から睨む。

蜜「貴方と結婚式なんて挙げる気更々ありません。」
ターヤ「無くても結婚挙げざるを得ないよ。セツナは助けに来れない。」

⏰:07/07/29 20:21 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#634 [向日葵]
その言葉に涙がうっすら浮かんだ。

蜜「セツナは来るもん!!絶対来るもん!!」

叫んで私はお風呂場へ向かった。

セツナセツナ!

ジャパーン……!

お湯に勢いよく頭まで浸かった。
気泡が口からゴポゴポ出ていく。

『セツナ……。』

――――――……

ザ、ザザザザ、……。

蜘蛛族の城の入口に、セツナらが降り立った。

⏰:07/07/29 20:27 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#635 [向日葵]
シオイ「確かにオーラが大きくなっておりますね。」

ラフィーユ「問題ない。」

オウマ「そーそー!腕が鳴るっつーのぉ!!」

オウマは腕をグルグル回して気合い充分だ。
そんな中、セツナはジッと城を睨む。

セツナ「蜜……!」

今行くから……。

その時だった。

ザザザザザ……

5人の前にあの灰色の外套を被った軍団が現れた。

⏰:07/07/29 20:35 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#636 [向日葵]
「この先は決して通さん。」

セツナは軍団を冷たく睨み、口端を吊り上げる。

セツナ「やってみろよ。」

セツナの指がポキポキ鳴った……。

――――……

鏡を見るとさっきよりも長めの黒いドレスに身を包んでいた。

『普通白だよね。……いや違くて!!』

ワッシャワッシャなってるドレスの裾を持って部屋を出た。

『とりあえず逃げなきゃ!私っ……。』

⏰:07/07/29 20:41 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#637 [向日葵]
部屋を出て出口を探そうとした途端こけた。

蜜「うわぁっ!っあっつ!いった!」

絨毯で手を火傷してしまった。
訳もなく掌にフーフーと息を吹く。

ターヤ「往生際が悪いねホント。」

どうやら足をかけられたらしい。
部屋を出て直ぐの壁にターヤさんは寄りかかっていた。

その姿は黒いタキシードで決めていた。

ターヤ「なかなか綺麗になっているじゃないか。黒はやっぱり引き立つね。」

⏰:07/07/29 20:47 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#638 [向日葵]
私は転んだままターヤさんを睨みつける。

蜜「私と結婚して、貴方はホントにいいんですか……?」

ターヤ「気に入ったって言ったでしょ?」

蜜「それは違うって言った!!」

ガッ!!

蜜「むぅっ!」

顔を片手で掴まれて力を入れられる。

ターヤ「ホント君は嫌だよ。うるさいし無駄に正論ぶるし。」

悔しい。自分が何も出来ないと知らされて。
負けないと引っ込めた涙が再び溢れ出て来る。

それを見て何故かターヤさんが怯んだ。

⏰:07/07/29 20:54 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#639 [向日葵]
蜜「なら結婚式なんてしないで……。私が好きなのは……ただ一人。」

あの優しい笑顔が、ちょっとムカつく俺様節が、愛くるしい寝顔が……全てが私を引き付ける。

蜜「私が結婚したいのはただ一人!


セツナだけなんだからぁぁぁっ!!!!」

バァァァン!!!!

大きな扉が開かれた。
その真ん中に一人、小さな、でも大きな陰が……。

蜜「―――っ!セツ……ナ。」

⏰:07/07/29 20:58 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#640 [向日葵]
その名前を口にした瞬間さらに涙が溢れた。

セツナ「ターヤ。蜜を離せ。」

セツナの射る様な目が、ターヤさんに向けられた。
ターヤさんは私を抱き締める様にセツナに渡さない意思を示す。

ターヤ「僕達は今から祝言なんだ。良かったら招待するけど?」

セツナ「寝言は寝て言え。」

すると急にセツナが消えた。気付くとターヤさんも。
視線をさ迷わせると、全く違う所でセツナがターヤさんを足蹴にしていた。

⏰:07/07/29 21:12 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#641 [向日葵]
ターヤ「ガフガフッ!な、何で……。」

セツナ「何で?お前達より俺様達が勝ってるのは当たり前だろ。」

苦しそうに咳き込むターヤさんを無視してセツナは冷笑しながら見下す。

セツナ「残念だったな。お前の悪い癖だ。驕りを持ちすぎているんだよ。」

そこで外套軍団が集まり、その傍らには見た事無い誰かがいた。

セツナ「これはこれは。蜘蛛族の長殿。」

え?!

長「セツナ様。ターヤにはそれなりの罰を与えます故、勘弁なさってはもらえますぬか。」

⏰:07/07/29 21:18 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#642 [向日葵]
長の目には何も嘘はついていないようだ。

しばらく沈黙が続く。

セツナと長は睨み合い、私は二人を交互に見つめた。

……そしてやがて。

セツナ「良かろう。次は無いと思え。」

そう言って靴を鳴らしながらセツナが私の元へ来て、座ったままの私をお姫様抱っこした。

セツナ「では失礼した。」

大きな扉が閉まっていき、気が付けば灰色の空を飛んでいた。

⏰:07/07/29 21:21 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#643 [向日葵]
私は飛んでる間ずっとセツナの顔を見ていた。

夢なのかもしれない。
セツナが助けに来てくれた。大好きな大きい手で、今私は抱かれている。

『!』

急に光が私の顔を照らした。さっきまでとはうってかわって雲一つない青空。しかも下は色とりどりの花がぎっしり。

『……。私天国に来ちゃった?』

と頭によぎるほど綺麗だった。

そしてその向こうには……

『えっ。』

⏰:07/07/29 23:53 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#644 [向日葵]
なななんと……
あのターヤさんより遥かにでっかいお城が。

まるでディズ●ーキャッスル。もしくはシンデレラ城……。

その高層ビルより遥かに大きいお城の扉前に来た私は、開いた口が塞がらなかった。

ギ、ギィィィ

重たそうに木製の扉が開く。
中は更に凄かった。

どデカイシャンデリアに自分の姿が映りそうなくらいピカピカの大理石の床。

花々もお城のそこここに綺麗に咲いている。

『あー天国に着いちゃった……。』

⏰:07/07/29 23:58 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#645 [向日葵]
未だに現実だとわからない私の頭。
するとセツナがある女の子に私を渡した。

セツナ「そいつを風呂に入れてやれ。あと、服も焼き払って処分しろ。全部終わったら俺の部屋まで連れて来い。」

え?!またお風呂?!

蜜「え…、あの……っ。」

「心配ない。風呂、入るだけ。」

私を軽々と抱き上げている女の子は正にクールビューティ。
綺麗な顔に笑みを浮かべている。

⏰:07/07/30 00:03 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#646 [向日葵]
蜜「あ、あの……。」

ラフィーユ「ラフィーユだ。蜜乙女。」

蜜「ラフィーユ……。ありがとう。」

お礼を言うとラフィーユはニコッと笑った。

ラフィーユ「オウマ。一緒に来い。戸を開けろ。」

オウマ「あぁ〜?なぁんで俺が…。」

ツンツンした頭の男の子は文句を言いながら着いて来てくれた。
そして不思議そうに見る私と目を合わすと無邪気な笑顔を返してくれた。

⏰:07/07/30 00:06 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#647 [凉奈]
この小説大好きですx
セツナかっこいいです~
こっちまで恥ずかしくなります
頑張ってください|

⏰:07/07/30 00:06 📱:W51S 🆔:JEiTTNEo


#648 [向日葵]
涼奈さん

ありがとうございます感想板にも是非来てください

――――――――

オウマ「おっす!俺オウマ!!よろしくな蜜乙女!!」

と言うと私の頭をクシャクシャ撫でてきた。

私は力が抜けて顔がほころぶ。

蜜「ラフィーユ、オウマ、ありがとう…。私は蜜よ。」

二人共ニコリと笑ってくれた。
そしてお風呂場へ到着。

⏰:07/07/30 00:10 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#649 [向日葵]
ラフィーユ「お前は外にいろ。」

オウマ「当たり前だ!セツナに殺されるのはゴメンだぜ!!」

パタン……

まごまごしているとラフィーユがフッと笑った。

ラフィーユ「自由に使え。私は服持ってくる。」

と言って出て行ってしまった。

とりあえず……案内されたからには入らないと……ねぇ?
今日はよく入る……。

お風呂はなんと泡風呂。
プール並の広さの湯船からモコモコ出ている。

⏰:07/07/30 00:14 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#650 [向日葵]
いたれりつくせり……。
いつエンマ様と会うのかしら。……と頭が壊れかけていた。

・・・・・・・・・・・・・

泡風呂を堪能した私はラフィーユに着替えを手伝って貰った。
またもやドレス。……何故この世界ではドレスを着せたがるのか……。

ドレスは真っ白で膝丈。裾にはフリルが付いている。袖は半袖で、肩の辺りが軽くポワンと膨らんでいる。
そして靴は長いリボンが付いている。足に巻き付ける為の物らしい。

頭には、真っ赤なコサージュ。

⏰:07/07/30 00:18 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#651 [向日葵]
蜜「あの……そんなに着飾らなくても……。」

ラフィーユ「セツナの命だ。仕方ない。」

あー……それは仕方ないなぁ。
なんたって俺様節。
あれには勝てっこない。

……ん?

蜜「ラフィーユ。私天国にいるんじゃないの?」

いきなりヘンテコな質問をしたもんだからラフィーユが笑いを堪えて口元を手で隠す。

ラフィーユ「残念……ながら、まだ死んで、は、無いよ。」

⏰:07/07/30 00:25 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#652 [向日葵]
まぁなんと……。
携帯があればこの城内を写メで撮りまくりたいね。

ラフィーユ「出来たぞ。セツナの部屋まで案内する。」

―――ドクン…

急に胸が高鳴り始める。
これが現実だと知った今、セツナにやっと触れられると思うと胸がざわついた。

約一日しか会ってないだけなのに……。

広い階段を一歩ずつ上がりながらなんだか崩れてしまいそうになった。

なんだか前を歩くラフィーユが遠くにいるように感じる。

⏰:07/07/30 00:30 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#653 [向日葵]
そしてラフィーユの足がこれまたデカイ扉の前で止まった。

コンコン

ラフィーユ「セツナ。連れて来た。」

すると部屋の中からセツナの低い声が聞こえてきた。

セツナ「入れろ。」

ラフィーユは大きい扉を安々と片手で開けると私を中へと押し込み、扉を閉めた。

中は下を巻くほど綺麗かつ広い。

蜜「なんじゃこりゃ……。」

思わず呟いてしまった。
いやいやそれよりも……!!

私は頭を振った。

⏰:07/07/30 00:34 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#654 [ラナ]
<<525-<<700

⏰:07/07/30 00:35 📱:P901i 🆔:OZTHkyIA


#655 [ラナ]
失敗
>>525-700

⏰:07/07/30 00:38 📱:P901i 🆔:OZTHkyIA


#656 [向日葵]
窓側の椅子に何故か私に背を向けて座っているセツナ。

光に当たって黒い髪が綺麗に輝いている。
それをぼぅっとして見ていた。

蜜「……セツ……ナ?」

セツナは反応しない。
何でか分からず、私は一歩だけ進む。

『まさか……今度こそ私の浅はかさに怒り狂ってるんじゃあ……。』

そう思うとせっかくの再開が少し憂鬱になってきた。
その時、セツナがため息をついて椅子を立ち、私の方を向いた。

⏰:07/07/30 00:39 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#657 [向日葵]
ラナさん
安価どうもです

――――――――

セツナは苦しそうに椅子の背もたれを握りしめている。

どうしたんだろ……。

するとセツナは意を消した様にあっと言う間に私の前まで来た。

セツナの顔はまだ苦しそう……。

蜜「あの…、服ありがとうございました。とってもピッタシですよ。」

セツナが安心する様に笑顔で喋ってみた。

⏰:07/07/30 00:43 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#658 [向日葵]
グィッ! ギュウゥッ。

セツナが急に強く私を抱き締めた。

蜜「セツナ…っ。苦し……。」

セツナの背中をギブッ!!と叩いてみても力は緩まない。

セツナ「蜜…っ。」

搾り出すような悲痛な声に、私は胸がキュウッとなった。
待ち焦がれたセツナの体温が、今ここにある。

そう思うと急激に視界がボヤけた。

⏰:07/07/30 00:47 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#659 [向日葵]
蜜「セ、ツナァ……っ!」

私の声の変化に驚いてセツナは私の肩を持って引き剥がした。

セツナ「す、すまん。痛かったか?」

私は両手で顔を覆って首を横に振った。

セツナが心配そうに私を見ているのが見なくても分かる。
それが嬉しくて涙でボヤけてるのにセツナの顔を見ようとした。

セツナ「……蜜。泣くな。ゴメン。俺が守るって約束したのに怖い思いさせてしまった……。」

⏰:07/07/30 00:51 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#660 [向日葵]
そんなのどってことない。
だってセツナは助けに来てくれた。
それが何より嬉しくて……。

蜜「セツナ…。会いたかった……。」

名前を口にしたら更に涙が流れていった。

セツナは私の顔を両手で包んで涙を拭う様に瞼に唇を当てる。

あ……セツナの唇だ…。

私もセツナを確かめる様にセツナの顔を手で触れた。
セツナの頬、目、鼻、唇……。全てを指先でなぞった。

⏰:07/07/30 00:55 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#661 [向日葵]
いる…。
セツナが……。

それが嬉しくて、私は笑顔になる。

蜜「セツナだ……。」

一筋涙が流れたら、セツナの顔がちゃんと見れた。

セツナも笑っている。私の大好きなあの優しい目をして。

セツナ「あぁ。ここいる。いつだって絶対…側に……。」

私達は嬉しくて、何故かそれがくすぐったくて、オデコをくっつけて笑い合った。

⏰:07/07/30 00:59 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#662 [向日葵]
セツナが前に言ってた言葉。

[一秒たりともお前と離れるのは嫌だ。]

初めはそんな大袈裟なって思ってた。
離れてみて初めて分かる。セツナの言葉の意味。

私達は笑い合った後、またキツク抱き締め合った。

まるでさっきまで一緒にいれなかった分を取り戻すかの様に……。

私達の絆を確かめる方法……。こんな簡単に出来るんだ……。

⏰:07/07/30 01:05 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#663 [向日葵]
チャプター13:久々の平和





光が顔に当たる。
朝だ……。起きて学校行かなきゃ…。

意識を現実に近付けると枕なのに固く、それでいて温かい物が頭の下にあることに気付く。

『何…?コレ……。』

目をゆっくり開けると

蜜「っ?!」

セツナ「起きたか?」

⏰:07/07/30 01:09 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#664 [向日葵]
目の前には胸元まで開けられた白いシャツと肌。
更に上を少し向くとセツナの顔がドアップ。

蜜「セツナ……。あれ?学校……。」

セツナが眉を寄せる。

セツナ「何を言ってる。お前昨日までのこと覚えとらんのか。」

……昨日…。

――――ハァッ!!

とっさにセツナを見つめて顔に触れる。
セツナはその手を握って優しい微笑みを返してくれた。

⏰:07/07/30 01:12 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#665 [向日葵]
セツナ「大丈夫……。」

そうだ昨日は……。セツナが助けに来てくれて……。

セツナ「寝不足か知らんがよく寝ていたな。もう昼前だ。」

蜜「昼?!あーどうしよ!!学校!いやその前に助けてくれた皆さんにご挨拶っ?!いや違うえっと……!!」

ベッドの上をゴロゴロ転がってるとセツナは大笑いした。

セツナ「流石蜜だ!そーゆー事言うと思ったよ。」

あ、今気付いた。
頭の下の物はセツナの腕だ。

⏰:07/07/30 01:17 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#666 [向日葵]
その腕が私の頭を引き寄せてギュッと優しく抱き締める。

セツナ「そんな事よりまだこのままでいいだろ?」

と言いながら頭に唇を押しつける。

あぁ…。いつもの日常だ……。
ぼんやりと考えながら私はセツナの体温に身を寄せた。

肌が間近くにあるのは心臓に悪いけど……。

セツナの唇がゆっくりと下へ降りてくる。
オデコ、瞼、頬。
……そして…

⏰:07/07/30 01:22 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#667 [向日葵]
唇に来る前に腕枕を外し、フカフカの枕に私の頭を沈めた。

そして軽く覆い被さって、両腕は私の顔の横に置いた。

心臓が苦しいくらいに脈打つ。久しぶりだから?
そういえば昨日はしてない……。

いやおかしいおかしい。
それはただの欲求不満だよ。

と心の中でツッコミをいれながら、セツナに言った。

蜜「ちょーっと心の準備をさせて下さいー?」

⏰:07/07/30 01:26 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#668 [向日葵]
セツナは色気のある顔で微笑むとどうぞと言った。

私は何度か深呼吸をした。

……。準備はまぁ…出来たけど、どうやってセツナに言えばいいかしら……。

オッケィ!!って言うのもおかしいし……。どんだけ元気だよ。

するとセツナが片方の手で優しく頬に触れる。
それだけで甘い雰囲気にスイッチが押された。

セツナ「準備はいいか……?」

蜜「…。」

⏰:07/07/30 01:30 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#669 [向日葵]
セツナは少し顔を近付けてもう一度聞く。

セツナ「いい…?」

出た!魅惑の声。
聞いてるだけで溶けそうだ…。

「いい」と言葉にするのが恥ずかしくて私は小さく頷いた。

セツナの顔が、より一層色気を増す。

セツナ「喋るなよ。」

っとイタズラっぽく言うと静かに唇を重ねてきた。

『頭……ぼーっとする……。』

⏰:07/07/30 01:33 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#670 [向日葵]
私には珍しく、セツナのキスに答えてしまった。

それに気付いたセツナはさっきよりも激しく唇を重ねる。

そして……

蜜「……っ。」

私の口の中にセツナの舌が入ってくる。
容赦なく、だけどどこか優しく私の口内を荒らす。

『息……出来ない……。』

私は苦しくて思わずセツナの襟元をギュッと掴んでしまった。
これが逆効果……。

⏰:07/07/30 01:37 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#671 [向日葵]
セツナの舌がより奥へ入り込む。

蜜「んむ…っ。は、ぁ……。ハァ…。」

ようやく唇が離れた時には体温が二度ほど上がったのか軽く汗ばんだ。

しかしセツナは……。

蜜「ふぇ…っ!」

首筋に唇を押しつける。
そして鎖骨へ……。背中に手を回すとドレスのチャックをゆっくり下ろす。

蜜「セツナセツナセツナセツナ!!!!おかしい!それはおかしいって!!」

セツナ「おかしくはないだろう。お前から誘ったんだ。文句はあるまい。」

⏰:07/07/30 01:43 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#672 [向日葵]
誘っ……?!
もしかして襟元を掴んじゃったから?!

蜜「違う!あれは息が苦しくて……っ!」

セツナ「へーぇ。」

興味なさそうに呟くとチャックは遂に完全に下まで降ろされた。

蜜「ちょ、ちょっとストップセツナぁぁ!!」

オウマ「ウイーッスセツナァァ!そろそろ起きろ…。……あ。」

ストップをかけたと同時にバァンと大きな音を立ててオウマ君が部屋へ登場。

⏰:07/07/30 01:47 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#673 [向日葵]
しかし目の前に広がるはセツナと私の正にそんなシーン。

私の髪の毛とドレスは若干乱れてるわ、セツナは被さってる上に服は胸元まで開いてるわ、私は半泣きだわ……。

オウマ「おーっとぉ……。ゴメン!邪魔した!」

バタン!!

邪魔してくれてありがとうございました……。
おかげでセツナの私に対する欲は抑えられたみたいです……。

セツナはベッドから降りると豪快にシャツを脱ぎ捨てた。

⏰:07/07/30 01:52 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#674 [向日葵]
蜜「どぅわぁぁぁっ!!何しくさってんですかぁ!!」

セツナ「馬鹿。只の着替だ。オウマのせいで気がそれた。」

オウマ様ありがとう(感涙)

よく見ると私達がいたベッドはとてつもなくデカイ……。裕に15〜20人は寝転べそう。
なんか無駄な広さ……。

コンコン

ノックが聞こえて急いで布団を被る。

ラフィーユ「セツナ。起きたか?」

セツナ「オウマの馬鹿のせいで目覚めが悪い。」

⏰:07/07/30 01:57 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#675 [向日葵]
セツナはいつの間にか襟の高い濃い灰色の服を着ていた。

ラフィーユ「すまない。後で注意する。蜜。着替え、手伝う。」

蜜「え、あ、ありがとう…。」

布団を被ったまま、セツナの部屋の隅まで連れていかれる。

今日は何故か人間界でも着れそうな服だった。
白地に青いストライプの入ったシャツに、紺色のカーディガンを羽織る。
前はボタンじゃなく紐で蝶々結びをする。

それに膝より少し長い黒のスカート。

⏰:07/07/30 02:04 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#676 [向日葵]
靴はブーツだ。

何故こんな感じのを昨日着せてくれなかったんだろうと少し疑問がよぎる。

そして何故か髪の毛をくくられた。
顔の横にある部分だけを三つ編みにされた。

しかし……。

人間界では少し早い春の服装に比べてラフィーユはノースリーブのカッターを長くした様な上に黒い半端デニム……。

季節がバラバラですけど……。

ラフィーユ「よしいいぞ。ではまたな。」

と言って長い髪から良い香りを漂わせながらラフィーユは去っていった。

⏰:07/07/30 02:09 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#677 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/07/30 02:09 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#678 [向日葵]
なお、感想などを頂けるのは大変嬉しいのですが、読みにくいとのお声があったのでお手数ですが感想板までお願いしますm(__)m

⏰:07/07/30 02:10 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#679 [にゃ]
>>500-700

⏰:07/07/30 20:43 📱:P904i 🆔:Yw84T./k


#680 [あキ]
あげます

⏰:07/07/30 23:37 📱:SH902i 🆔:AZJQKrXo


#681 [向日葵]
にゃさん
安価ありがとうございました

あキさん
あげありがとうございました

――――――――

私は自分の三つ編みされた髪の毛を持って見つめる。

蜜「私もあんな髪の毛だったらなぁ―……。」

ぽつりと呟くとすぐ側までセツナが来ていた。

セツナ「充分綺麗じゃないか。」

黒髪日本一……いや地球一……いいすぎ?
世界一(下げた)の貴方にはわかりますまい……。

⏰:07/07/31 00:14 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#682 [向日葵]
と言う意味を込めてジトッとセツナを見上げた。

セツナは私の顔を両手で包んだ。

え?!今度は誘ってない自信大有りだよ?!

しかし私の予想は違った。
セツナは指先で私の頬を摘むと伸びる限り横にグニィーッと引っ張った。

蜜「ひばばばば!ふぁんふぇふふぁー!!」

ちなみに「いたたたた!何ですかぁー!!」……っと言ってます。

セツナ「なんか気に入らなかったから。お仕置き。」

それだけ言うとセツナはパッと手を離した。
私のほっぺたは元の形に戻ろうとする。

⏰:07/07/31 00:20 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#683 [向日葵]
私は両手で引っ張られた所を擦る。

蜜「別に捻んなくても…痛いし…絶対赤くなってるし……。」

ブツクサ小声で文句を言うとセツナは私の頭をワシッと掴んで上を向かせた。

蜜「あー痛い。」

半目をして嫌味ったらしくセツナに言ってやった。
セツナはククッと笑う。

セツナ「今の顔、すっごい不細工だぞ…っ。」

んなっ!!
私の顔が怒りで真っ赤になる。

⏰:07/07/31 00:24 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#684 [向日葵]
蜜「ひどい!」

私は扉まで大股で行き、力任せに足を鳴らした。

セツナが絶対来ると思ったのに来ない。
そうやって期待してた自分も腹立つ―――っっ!!!!

心の中で頭をガシガシかきながら扉の取っ手に手をかける。

カチャ



カチャカチャ

??

蜜「ぬ、ぬぅー……っあ!!」

⏰:07/07/31 00:28 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#685 [向日葵]
え?

蜜「開かない…。」

いや違う。開けることが出来ない。
扉がものっそ重い……。

え?だってオウマ君やあのほっそーいラフィーユだって軽々開けて……。

セツナ「お前なんかじゃ開かないぞ。俺達はお前の何百倍も力があるんだからな。」

つまりラフィーユは力持ちさん。
キャア☆素敵!
……って馬鹿!!

セツナ「出て行かないのか?」

振り向かなくてもセツナがニヤニヤしながら私を見ているのは分かる。

⏰:07/07/31 00:33 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#686 [向日葵]
むっきぃぃぃぃ!!!!

蜜「ラフィーユ!!そこにいませんかぁぁ!!!!」

っている訳

カチャ

ラフィーユ「何だ?」

あった。

蜜「良かった!!扉が開かなくて困ってたの。」

ラフィーユはキョトンとして私を見つめた。

セツナ「セツナ、いるじゃないか。」

私は振り向かず嫌味を言ってやった。

蜜「意地悪セツナは頼んでも何もしてくれませんから!」

⏰:07/07/31 00:37 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#687 [向日葵]
と言ってラフィーユが開けてくれたドアの隙間からするりと抜けて私はセツナの部屋を出た。

ラフィーユ「あまりいじめる、良くない。」

セツナはクスッと笑う。

セツナ「最高の愛情表現をしてやってるだけだ。」

セツナも部屋を出た。

・・・・・・・・・・・・・

オウマ「あ!蜜!!」

オウマ君は私を見つけるなりすっ飛んで来た。

オウマ「さっきはお楽しみ中ゴメン!!」

声がデカ――――イ!!!!

蜜「いや、うん。別に気にしてないし……大丈夫!」

⏰:07/07/31 00:42 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#688 [向日葵]
オウマ君はニカァッと笑うと私の手を握った。

オウマ「お詫びに外の花畑案内するぜ!!ひゃっほぉ〜い♪」

楽しそうに駆け出すと、スピードを増し、そして!

オウマ「ほぅら…ぃよ!!」

蜜「ギャァァ!!」

なんと片手だけで空に放り投げられた。

ボスッ

オウマ「おぅさ!!」

⏰:07/07/31 00:45 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#689 [向日葵]
受け止められてお姫様抱っこをされた。

オウマ「イッ…エ―――――イ♪!!!!」

ズガァン!!

オウマ君は蹴ってお城のドアを開けてしまった。
元気と乱暴者ってなんか紙一重の気がする。

下へ近づいていくと正に花畑。
水平線とかじゃなくと花平線……。

オウマ「この蜜吸ってみろ!」

差し出されたのはピンク色の掌くらいの可愛い花。

⏰:07/07/31 00:50 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#690 [向日葵]
蜜「……。どうやって?」

オウマ君は花を裏返す。
するとちゃんと穴が開いていた。

オウマ「そっから!」

口を付けて少し吸ってみた。

……!甘い!!

蜜「わー!美味しい!!」

オウマ「だろ?!俺のお気に入りなんだ!!」

オウマ君はずっとニコニコ私に笑いかけてくれるものだから私も思わず顔が綻ぶ。

蜜「お花、勝手に摘んでもいいですか?」

オウマ「あぁ!好きなだけ!」

⏰:07/07/31 00:55 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#691 [向日葵]
そう言うとオウマ君は少し飛んで自分の好きな花を集めだした。

私は花を摘んで冠でも作ろうかな。

それにしても色とりどり……。

しかも全部見た事が無い。もしかしたら黒蝶族の為だけにある花なのかもしれない。

蜜「サクッと〜サクッと〜♪」

冠を作りながら意味の分からない歌を歌う。

私の行動に気付いたオウマ君は興味津々に私の近くで冠作りを見る。

⏰:07/07/31 01:00 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#692 [向日葵]
オウマ「すっげぇ!輪っかになってる!お前マジシャンか?!」

蜜「へ?」

あまりに目を輝かせて子供みたいに見つめてくるもんだから思わず笑ってしまった。

蜜「待ってね…。もうすぐ出来るから。」

オウマ君はウン!!っと元気よく頷いてまた私の手先を真剣に見始める。

―――2分後

蜜「ハイ。出来ましたよー。」

オウマ「すっげ!すっげ!すっげぇ!!」

そんなに凄くはないけど……。
まぁこの人達にとったら食料でしかなかったもんね……。

⏰:07/07/31 01:04 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#693 [向日葵]
蜜「ハイ。どうぞ。」

オウマ「くれるのか?!」

蜜「お花畑のお礼です。」

オウマ「ィエーイ!!皆に見せてこよっ♪!!」

早っ!

オウマ君はびっくりするくらい早くお城に戻って行った。

私はそれを見送ってまた花冠を作り始めた。
大きいのでも作ろうかなぁ〜。

私も少し浮かれていた。

蜜「…っ!イタタ…。」

草で指を軽く切ってしまった。これがまた地味に痛い。

⏰:07/07/31 01:10 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#694 [向日葵]
口に入れて消毒。
鉄の味が広がる。

蜜「おーえー…。」

持っていた花を口に付けて蜜を吸った。

甘い……。とまったりしたところでまた冠作り再開。

しばらくすると後ろから声がした。

セツナ「ほう。器用だな。」

蜜「あ、セツナ。器用ですか?さっきオウマ君も凄く喜んで…。」

―――ハッ!!

いけない。何和んでる私!さっきセツナに「不細工発言」されたじゃない!!

いや、別に可愛いくもないけど。

⏰:07/07/31 01:16 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#695 [向日葵]
私はプイッと冠に目を向けた。
セツナは後ろでクスクス笑っている。

セツナ「何?怒ってるのか?」

ハイ無視!!

もくもくと花を輪っかにしていく。

セツナ「冗談を言っただけだろ?蜜が不細工なんてあり得るか。」

知るか!!
と口の中で悪態づく。
ってかなんでアンタ若干ふんぞり返ってる口調なんだよ!!

しばし無言。
するとカサカサ音を立ててセツナが私の背後に座る。

⏰:07/07/31 01:24 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#696 [向日葵]
セツナは私ね髪を一束持ってツンツン引っ張った。

セツナ「みーいーつ。」

蜜「痛いから辞めてください。」

セツナ「喋れるんなら口をきいたらどうだ。」

黙れぇぇ!!
女の子はちょっとした事でも傷つきやすいガラスハートなんだそぉぉ!!

もうすぎ冠完成。
最後の花を摘もうとした時だった。

キュッ……。

蜜「あ……。」

⏰:07/07/31 01:28 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#697 [向日葵]
セツナが後ろから抱き締めてきた。
私を足で挟む様にして座り、私はすっかりセツナで包まれてしまった。

セツナ「機嫌直してくれないか?」

プーイ。いずれ負けると思うけど一応勝負!

蜜「オウマ君がせっかく連れてきてくれて機嫌直ったのにセツナが来たせいでまた悪くなりました。」

すると顔を掴まれて無理矢理セツナの方を向かされ、出来上がり直前の冠は地面に落ちてしまった。

セツナ「どの口が言ってる?」

⏰:07/07/31 01:32 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#698 [向日葵]
目を見ると怒っているのが分かった。

しまった……勘に触っちゃったかぁ…。やりすぎた。

まぁ、でもほっといてみよう…。
もしかしたら初勝利になるかもよ?!

蜜「元凶はセツナでしょ?なら、誠心誠意を込めて謝ってくれてもいいじゃないですかっ。」

セツナは眉を寄せて私の顔を解放した。

おっ。勝った?勝った?

私はまた冠を取って冠を完成させた。

⏰:07/07/31 01:36 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#699 [向日葵]
蜜「でーきー…たっ?!」

後ろに引力。
もといセツナがまた抱き締める。

そして唇を耳に押し付けた。

セツナ「ゴメン…。許してくれないか……?」

――ドクン……

卑怯だぁ…。その魅惑の低い声に私は弱いのにぃ……。

セツナ「蜜…?」

蜜「や…っ、耳元で喋らないで下さいよ…っ!!」

セツナはそれでも容赦なく囁いてくる。

⏰:07/07/31 01:41 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#700 [向日葵]
セツナ「許してくれるか…?」

ハイー白旗……。
せっかく勝ったと思ったねに…残念だぁぁ……。

蜜「わかりましたって!!許しますから少し離れて下さい!!」

セツナは腕をとっただけで距離は変わらない。

蜜「ハイ!仲直りの印にセツナにも花冠あげます!!」

と言ってセツナの頭に花冠を乗せてあげる。

セツナ「“も”って…。俺の他誰にやったんだ?」

蜜「え?オウマ君。」

⏰:07/07/31 01:48 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


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