黒蝶・蜜乙女
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#720 [向日葵]
セツナ「フッ。ざまぁみろ。」
起きて驚くがいい。
これくらいしたって罰は当たるまい。
気持ちよささうに寝る蜜に布団をかけてやって、額の髪の毛を撫でた。
思わず、笑みが溢れた。
額に唇を押しつける。
そして横に寝転び、俺も目を閉じた……。
:07/08/02 01:38 :SO903i :fFIj0jDE
#721 [向日葵]
チャプター14:行方
蜜「ぶわぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
と言う訳でお早うございます。そしてこんばんわ。
それは起きてなんとなく見た。時の事でした。
蜜「え!え!!ええっ?!」
体に複数の“証”。
って言うか花畑から何故いきなりベッドの上?!
セツナ「なんだ騒がしい。」
頭が若干濡れてるセツナが扉の向こうから登場した。
:07/08/02 01:49 :SO903i :fFIj0jDE
#722 [向日葵]
セツナに詰めよって首筋の“証”を見せ付ける。
蜜「な…っ!これ、どっ!!」
セツナ「見ての通りだが?」
首を傾げると、セツナの髪の毛から水滴が垂れる。
蜜「なんで?!どうして!!」
セツナ「気にしなくてもお前が想像している様な事はしてない。」
と言って窓側の椅子に頭を拭きながら座る。
とりあえず胸を撫で降ろす。
:07/08/02 01:58 :SO903i :fFIj0jDE
#723 [向日葵]
セツナが後ろで笑ってるのが聞こえた。
セツナ「期待通りにすれば良かったか?」
頭にタオルを乗せて、タオルの隙間から私を垣間見る。
蜜「結構です…。――うわっ!」
いつの間にかセツナは背後に立っていて、抱き上げられた。
セツナ「さぁ。寝るぞ。」
蜜「私ついさっき寝てたんですけど。」
セツナ「俺も眠くない。布団の中で語ろうじゃないか。」
:07/08/02 02:05 :SO903i :fFIj0jDE
#724 [向日葵]
強制的に布団を被せられて、セツナは私に身を寄せて布団の中に潜る。
蜜「頭乾かしてくださいよ。風邪ひきますよ?」
セツナ「そんな柔わじゃない。」
と言って私の頭の下に腕を入れて更に身を寄せて来る。
ドキドキ胸が高鳴って仕方がない。
蜜「私いつ家に帰れるんですか?」
セツナ「どうせ春休みじゃないか。ならいいだろ。」
蜜「やっぱり落ち着きませんもん。あ!ってか私お風呂入ってない!!セツナ離れて!」
:07/08/02 02:26 :SO903i :fFIj0jDE
#725 [向日葵]
でもセツナは離れてはくれない。
それどころかもう片方の腕できつく抱き締めてくる。
セツナ「そんな事しなくてもお前はいつだって芳しい。」
……。
蜜「なんか微妙。それって貴方の食欲面についてですよね?」
セツナはクスッと笑うと唇をオデコに押し当てる。
あ、かわされた。
分かった分かった。話を変えればいいんでしょ?
蜜「ここの皆さんはいい人ばっかりですね。ラフィーユにオウマ君、シオイさん……。」
そこで口を閉じた。
:07/08/02 02:30 :SO903i :fFIj0jDE
#726 [向日葵]
セツナ「?…蜜?」
そういえば…ルキはどうしたんだろう。
確か助けてくれた時にはいたと思う。
だけどそれからは全然見ない。
それはおかしい。
蜜「セツナ…。ルキは…?」
セツナの腕がピクリと反応する。
セツナは私の目を捕らえる。
セツナ「罰として……監禁されてる。」
蜜「監禁?!」
セツナ「罰は元々受けなければならなかった。蜘蛛族と手を組み、あんな事をしたのだから。」
:07/08/02 02:36 :SO903i :fFIj0jDE
#727 [向日葵]
蜜「でも……っ罰は与えにくいって前……。」
セツナの目が、厳しさを増す。
セツナ「それは蜘蛛族の場合だ。ルキは身内。ならば罰は執行される。」
蜜「監禁されたら蜜を吸えなくなるんじゃ……。」
セツナは小さく頷いた。
つまりそれって……餓死させる気……?
蜜「死なせるなんて…っそんなの駄目!お願い!助けてあげて!!」
私はセツナの胸元のシャツをギュッと握って必死に頼んだ。
:07/08/02 02:40 :SO903i :fFIj0jDE
#728 [向日葵]
セツナ「あんな目にあったのに何を言ってる。」
蜜「でも……っ。」
セツナ「もう嫌なんだ。自分のふがいなさのせいでお前が泣く姿を見るのは……。」
セツナの顔が悲しみで歪む。
セツナは抱き締めていた手を私の顔に触れる。
蜜「セツナ…。」
私はその上から手を乗せた。
蜜「でもね?セツナ…。私だけ生きて、顔見知りの相手が死ぬのなんて嫌だ。」
セツナ「当然の報いだろ。」
:07/08/02 02:45 :SO903i :fFIj0jDE
#729 [向日葵]
蜜「私ずっと考えてた……。歪みあうんじゃなくて、なんで仲直りをしないのかって。」
セツナは不思議そうに眉を寄せる。
私は続ける。
蜜「ターヤさんとの事だって話合えば済みそうだし、お互い分かり合う努力も必要だと思うんです。どうです?」
セツナ「あのなぁ蜜よ。それが出来てたらしてるさ。」
蜜「と言うことはしてないんでしょ?」
セツナはため息を吐いた。吐息が髪の毛を撫でる。
:07/08/02 02:51 :SO903i :fFIj0jDE
#730 [向日葵]
――――
――――
今日はここまでにします
:07/08/02 02:52 :SO903i :fFIj0jDE
#731 [向日葵]
セツナ「お前はどこまで平和主義なんだ。」
蜜「……だって。」
私はセツナに背中を向けた。
広いベッドの真ん中。
寄り添って寝なくても広々と使えばいいのに。とか思うけど、背後から感じられる体温の主には敵いっこないわけで……。
私ってこんな甘い雰囲気醸しだすキャラだっけかぁ〜……?
そっぽを向いた私をセツナは後ろから抱き締める。
優しく力強い腕……。
セツナ「じゃあ明日…父上に会ってみるか?」
……え?
:07/08/02 23:31 :SO903i :fFIj0jDE
#732 [向日葵]
セツナは腕の中で私が固まるのが分かったのか、少し被さって私の顔を覗く。
セツナ「何か支障があるか?」
蜜「や、そーゆーんじゃなうてですね……。」
気分はなんかこー……彼氏の親に結婚のご挨拶ー!……みたいな感じで…。
と考えながら広いベッドの端を目指してゴロゴロ転がっていく。
セツナ「おーい。どこ行く。」
そういえば……そういえばだよ!!
私助けてもらったのにご挨拶しなくて「なんて恩知らず」だなんて思われてたらどーしよー!!
:07/08/02 23:38 :SO903i :fFIj0jDE
#733 [ラナ]
:07/08/02 23:40 :P901i :Bbdarc8c
#734 [ラナ]
:07/08/02 23:41 :P901i :Bbdarc8c
#735 [向日葵]
待て!落ち着け私!!
まだセツナと結婚するって決めた訳じゃないっ!!
なら普通に助けてもらったお礼も兼ねて交流を深めようと言う事で……。
題しまして……「セツナのお父さんと仲良くなろうではないか大会―――!!(出場蜜のみ)」
セツナ「オイ。」
少し離れた為遠くなったセツナがイライラしながら私を呼ぶ。
とりあえず膝立ちでセツナの元へ。
蜜「すいません。少し葛藤を繰り広げて…。」
セツナ「あそ。で父上と会う?会わない?」
:07/08/02 23:43 :SO903i :fFIj0jDE
#736 [向日葵]
ラナさん
安価ありがとうございました
――――
――――
蜜「もち!会いますっ。ご挨拶しませんでしたし。」
セツナは微笑んで私を見つめる。
思わずドキッとして、視線をさ迷わせた。
蜜「じゃ…おやすみ…なさい。」
私は自分からセツナにくっつくのがなんだか恥ずかしくて、少し離れた所で寝転んだ。
セツナ「何故遠い。」
蜜「い、いや、その。広いからもったいないなぁーみたいな…。」
:07/08/02 23:47 :SO903i :fFIj0jDE
#737 [向日葵]
セツナはふぅんと言って天井を向くと静かに目を閉じた。
『あれ?あれれれれ?』
くっついて……来ないの?
しばらくするとセツナは寝息をたて始めた。
なぁんだ……。
私は体をイモムシみたいに動かしてセツナにくっついた。
蜜「……。眠くないって言った癖に…。」
セツナ「あぁ眠くないが?」
蜜「っっ?!」
:07/08/02 23:51 :SO903i :fFIj0jDE
#738 [向日葵]
セツナは私を腕で拘束する。
蜜「ね、ねね寝たんじゃ……っ!!」
セツナ「ククク…。蜜から来るのを待ってただけさ。俺ばかり行くのは不公平だと思ってなぁ。」
いっっやらしぃ……っ!
頭上からクククと笑い声が聞こえてくる。
それが体内に響いているのか、私の耳に密着して当たっている胸元からも聞こえた。
そして、心臓の音も……。
セツナ「随分大人しくなったな。文句攻めは終りか?」
:07/08/02 23:56 :SO903i :fFIj0jDE
#739 [向日葵]
蜜「シー…。聞いてるんです。」
セツナは腕を緩めて体を少しずらし、私と目線を合わす。
セツナ「何を?」
蜜「セツナの心音…。人って、心音聞くと安らぐって言うじゃないですか?だから……安らいでたんです。」
暗闇の中でも感じるセツナの優しい眼差し……。
セツナは私がこーゆー事を言うといつもそうする。
それがまた好きの要素になる……。
セツナ「……蜜のを聞いてもいいか?」
:07/08/03 00:01 :SO903i :mUXToLUQ
#740 [向日葵]
蜜「……。貧相な胸に頭乗せてもクッションにはなりませんよ?」
セツナは声を上げて笑う。そして身を少し起こした。
私は聞きやすい様に上を向く。
するとゆっくりセツナが近づいてきた。
心臓が早く動きだす。
そしてセツナの頭が胸元に触れた時、少しピクッと動いてしまった。
セツナは体重をかけない様に気を使って腕を支えにしていた。
セツナ「へー……。」
初めて聞くのか、セツナは面白そうにそう呟いた。
:07/08/03 00:05 :SO903i :mUXToLUQ
#741 [向日葵]
セツナ「確かに…いいな……。」
セツナは顔を離して私の顔の真上に来る。
蜜「赤ちゃんってお母さんの心音聞くと安心して寝ちゃうらしいですよ。」
セツナ「俺は赤子か。」
フフと笑うと、またセツナの優しい眼差しが向けられる。
頬の体温が上昇して、頭がぼうっとなるのが分かる。
セツナ「じゃあお前は俺の心音を聞きながら寝ろ。」
と言って、唇を軽く重ねてまたギュッと抱き締めてくれた。
:07/08/03 00:10 :SO903i :mUXToLUQ
#742 [向日葵]
人って不思議。
心地いい体温と聞こえる心音があると何故か安心して瞼が重くなる。
セツナ「蜜…。好きだよ…。」
目を閉じたまま私は嬉しくて微笑む。
蜜「私もですよ…。」
――――――……
オウマ「おはよっす蜜!!」
お風呂に入り、またラフィーユに着替えさせてもらった所に、昨日私があげた花冠を頭につけたオウマ君がいた。
:07/08/03 00:15 :SO903i :mUXToLUQ
#743 [向日葵]
蜜「おはようです。花冠気に入ってもらえましたか?」
オウマ「もうばっちりよぉ!!また作ってなぁ!」
ラフィーユ「その前に傷つけた扉、修理する。これ仕事。」
ラフィーユは赤い箱を持って来てオウマ君に押しつける。
オウマ「えー。ラフィーも手伝ってよぉ。」
ラフィーユ「甘える、良くない。自分の事、自分でする。」
オウマ君はブーブー言いながら扉の方へとパタパタ飛んで行った。
:07/08/03 00:20 :SO903i :mUXToLUQ
#744 [向日葵]
蜜「仲がいいのね。」
ラフィーユは私に「何が」と言う眼差しを向ける。
蜜「オウマ君だけ?ラフィーユの事ラフィーって呼ぶの。」
ラフィーユ「あぁ。ユが面倒くさいとか。意味、分からない。」
うん確かに。
でももしかして、オウマ君ってラフィーユの事……?
セツナ「蜜!」
階段の上からセツナが私を呼んだ。
蜜「あ、ハイ!何ですか?」
:07/08/03 00:23 :SO903i :mUXToLUQ
#745 [向日葵]
セツナ「父上が部屋で待ってるそうだ。行く準備は出来てるか?」
・・・・・・・・・・・・・・・
セツナ「オイ。」
蜜「ハ、ハ、ハイ……。」
セツナのお父さんの部屋の扉前に私とセツナはいた。
セツナ「何故そんな硬い。」
蜜「や、やっぱり、長ですから……っ。失礼の無いようにと思いますと……っ。」
:07/08/03 00:28 :SO903i :mUXToLUQ
#746 [向日葵]
――――
――――
今日はここまでにします
:07/08/03 00:28 :SO903i :mUXToLUQ
#747 [失礼します]
:07/08/03 15:35 :P903iX :☆☆☆
#748 [向日葵]
>>747さん
安価ありがとうございました
――――
――――
セツナは呆れてため息をつくと、ゆっくりとドアを開けた。
セツナ「父上、失礼します。」
私は失礼しますも言わず、その部屋の広さに驚いた。セツナの部屋とは比べものにならないくらいの広さ。
東京ドーム1個分……?
蜜「イッツミラクル……。」
思いきりジャパニーズイングリッシュ。
:07/08/03 23:07 :SO903i :mUXToLUQ
#749 [向日葵]
長「ああセツナ。……それに、蜜乙女。」
ダンディな感じのおじさん。この人こそが、黒蝶族長……。
蜜「初めまして。蜜…と申します。」
一例深々と礼をする。
するとシャランと音がしたと思うと、王様の様な格好をした長がすぐそこにいた。
私は礼をしたまま続ける。
蜜「先日は助けて頂き、ありがとうございました。なのにご挨拶もお礼もせず、失礼いたしました…。」
:07/08/03 23:15 :SO903i :mUXToLUQ
#750 [向日葵]
すると、皺がれた低く、それでいて滑らかな笑い声が私の耳に届いた。
長「これは偉く礼儀正しいお嬢さんだねぇ。」
セツナ「真面目すぎるんだ。だから力を抜けと言うんだが。」
長はまた笑う。
そして私の肩に触れて頭を起こさせた。
長「初めまして。私は黒蝶族の長、そしてセツナの父でもあるガラナと申します。」
とても親しみやすく接してくれたので、私の緊張は一気に抜けた。
長「セツナから聞いてるよ。せがれは君を凄く気に入っててね。」
:07/08/03 23:20 :SO903i :mUXToLUQ
#751 [向日葵]
一旦セツナを見てから長に向き直り、本題に入った。
蜜「初めてなのに、とても失礼だとは思いますが……ルキを解放してあげて下さい!」
長は片方の眉を上げる。
後ろではセツナの呆れたため息が聞こえた。
長「君は…、ひどい事をされたのだろう?だったら何故。」
蜜「私だって正直許せません。あんな、怖い思いをして……許せる訳がないです……。」
傷がもう無い首筋に、私は手を触れた。
蜜「でも……歪み合うばかりはもっと駄目。和解したり、納得する事だって必要だと、思う、んです。」
:07/08/03 23:32 :SO903i :mUXToLUQ
#752 [向日葵]
最後らへんは言葉に詰まった。
どう説明すればいいのか。
ルキがやったことは許せない事だけれど死に至らす様なそんな極端な行動は辞めて欲しくてー……。――――っ!!
蜜「とにかくなりません!!」
静かに聞いていた長は面白そうな目で私を見ながら微笑んだ。
長「随分ユニークなお嬢さんだなセツナ。」
セツナ「それが蜜の良い所ですよ。」
:07/08/03 23:35 :SO903i :mUXToLUQ
#753 [向日葵]
長は頷くと、また私に視線を戻した。
長「なら直接話し合ってきなさい。ルキが出たいと言うなら出してあげるといい。」
長は大きく偉大そうな掌で私の頭を撫でた。
まるでお父さんみたい……。
私はその掌に少し懐かしさを感じた。
セツナ「じゃあ蜜、案内する。」
蜜「ハイ。お願いします。」
・・・・・・・・・・・・・
そこはまさしく牢獄。
レンガで出来た塔の螺旋階段を一歩また一歩降りて行く。
塔の中で、私とセツナの足音が響く。
:07/08/03 23:40 :SO903i :mUXToLUQ
#754 [向日葵]
ロウソクを持っているセツナが振り向いて尋ねる。
セツナ「足元、気をつけろ。少し滑りやすいから。」
そう言って手を差し出す。
……しかしここは…。
なんでもありかいっ!!
なんだこの異世界は。
しかも暗くて…………寒い。
蜜「ルキは……一人で?」
セツナ「あぁ。」
思わず身震いする。
私だったら気が狂いそうだ。
:07/08/03 23:43 :SO903i :mUXToLUQ
#755 [向日葵]
やっとの事で地下に着く。
数歩歩けば鉄格子が見えた。これもまただだっ広い。
そしてその中に、小さなか細い影が一つ……。
私はセツナに向かい、小声で話す。
蜜「いいですか。何があってもぜっったい口を出してはいけませんからねっ!」
セツナ「事と次第によるがな。」
もう……。
私は影に目をやり、少しずつゆっくりと話かけた。
:07/08/03 23:47 :SO903i :mUXToLUQ
#756 [向日葵]
蜜「……ル、ルキ……。」
蹲っていた影は、ゆっくりと首をあげた。
その美貌は疲れ果ててるものの綺麗なまま。
ルキ「……。フッ…笑いにきましたの?」
蜜「ううん違う。お礼を言いに来たの。」
ルキは興味無さそうに私を見つめる。
私は視線を合わす為にペタンと地べたに座った。
そして礼をする。
蜜「ありがとう。助けてくれて。」
ルキ「貴方の……為なんかじゃありませんわ……。」
:07/08/03 23:51 :SO903i :mUXToLUQ
#757 [向日葵]
頭を上げると、ルキは空が見える小さな窓をじっと見つめていた。
私はそんなルキをじっと見つめる。
冷たい風が、窓から入りこんだ……。
長い間、沈黙が続いた。
そしてルキのかすれた声が少し聞こえた。
ルキ「……、して……。」
蜜「え…?」
ルキ「どうして貴方は蜜乙女なの……。どうして、私じゃ……。」
ルキの綺麗な黒い目から、涙が流れ始めた。
:07/08/03 23:54 :SO903i :mUXToLUQ
#758 [向日葵]
そしてキッとルキが私を睨む。
ルキ「貴方なんかよりずっとずっと私はセツナが大好きで、ずっと大切だった!なのに……たかが蜜乙女ってだけで…、運命だからって……セツナを……。」
“たかが”と言った所でセツナが口を開いたけど、私がじっと見つめてそれを制した。
ルキ「ズルイ…。貴方、ズルイわ……。」
ルキの涙が石畳に染み込んでいく。
それを見つめながら、私は言う。
蜜「確かに、私はズルイ……。」
:07/08/03 23:58 :SO903i :mUXToLUQ
#759 [向日葵]
「けど」と、ルキの目を見つめる。
蜜「好きの気持ちなら、きっと負けない。」
ルキは目を見開いてまた悲しそうに細める。
蜜「ずっと側にいて欲しいし、いていたい。だからね、ルキも自分の力で私からセツナを奪って。」
セツナ「蜜?!」
蜜「私は……。奪われない様に、頑張るから。だからもう、自分を傷つける様な事、しないで……。」
鉄格子の隙間からそっとルキの手に触れ、重ねる。
:07/08/04 00:03 :SO903i :E9w2M8lM
#760 [向日葵]
ルキはしゃくりを上げながらうつ向き、涙をポタポタ落としながら切々に呟いた。
ルキ「だか、ら…あなた、な、んて……っらい……なのよっ。」
嫌いでもいいから。
だからルキ。
蜜「ここ、寂しいですよね。空が、恋しいですよね。出ましょう……?」
キィ……
鉄格子の扉を開けて、手を差し出す。
ルキはそれを見つめて、また窓に視線をやった。
ルキ「出ない……。」
蜜「…っえ。」
:07/08/04 00:07 :SO903i :E9w2M8lM
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