黒蝶・蜜乙女
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#760 [向日葵]
ルキはしゃくりを上げながらうつ向き、涙をポタポタ落としながら切々に呟いた。

ルキ「だか、ら…あなた、な、んて……っらい……なのよっ。」

嫌いでもいいから。
だからルキ。

蜜「ここ、寂しいですよね。空が、恋しいですよね。出ましょう……?」

キィ……

鉄格子の扉を開けて、手を差し出す。
ルキはそれを見つめて、また窓に視線をやった。

ルキ「出ない……。」

蜜「…っえ。」

⏰:07/08/04 00:07 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#761 [向日葵]
ルキ「まだ、ここにいる。」

蜜「でも……っ!」

ルキ「いいから。気分が治ったら、出ますわ…。」

それでも、いいよ。
ルキがこれで無事になると確信出来たから。

蜜「待ってますね……。セツナ、行きましょう。」

カツカツカツカツ……

セツナはルキを見つめる。
セツナ「お前がやった事はきっと一生許さん。」

ルキの口がグッと力を入れる。

⏰:07/08/04 00:11 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#762 [向日葵]
セツナは蜜が進んで行った方に顔を戻し、歩きながら呟く。

セツナ「でも蜜が許すなら話は別だ。」

カツカツカツカツ……

ルキはその日、蜜の言葉や自分の事を何度も繰り返し考えていた……。


・・・・・・・・・・・・・・

私は塔を出て、ジッと見つめた。
これで大丈夫。
ルキが死ぬ心配は無くなった。

セツナ「お前はとんだお人好しだな。」

⏰:07/08/04 00:14 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#763 [向日葵]
そんな言葉を投げ掛けるセツナを無視して、花畑を歩き始めた。

何故かって?
恥ずかしいから!!

別に嘘ではないけど

[セツナには側にいて欲しいし、側にいたい……。]

私もあっさりと口に出来る様になっちゃったものだなぁ……。
セツナ効果だこりゃ。

すると襟足を引っ張られ、瞬間的に首が絞まった。

蜜「ぐえっ!何ですか……。」

⏰:07/08/04 00:17 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#764 [向日葵]
セツナ「ん?何故顔が赤い。熱か?」

おでこをコツンと当てて熱計測。

蜜「違いますよ。大丈夫ですから。」

セツナ「なんだ素っ気無い。蜜らしくないじゃないか。」

蜜「私はいつも素っ気無いですよ?」

するとセツナは肩を抱いて私を引き寄せた。

セツナ「そんな事ない。いつも何気ない事で恥ずかしがるのが蜜だ。」

ハハハ。それこそそんな事ねぇーよ……。

⏰:07/08/04 00:23 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#765 [向日葵]
ラフィーユ「セツナ、蜜。」

ラフィーユがフワリと飛んで来てすぐ近くに着地。

蜜「何ラフィーユ。」

ラフィーユ「長が一度蜜、帰せ、言う。これ命令。」

セツナ「は?何だそれ。」

ラフィーユは首を横に振り、自分も訳は知らないと意思表示させる。

ラフィーユ「蜜。私とオウマ、蜜の家行く、駄目か?」

蜜「へ?何で?いや、いいけど。」

⏰:07/08/04 00:27 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#766 [向日葵]
ラフィーユはまた首を振る。

ラフィーユ「これも長の命。私達、ここ以外、行くトコ無い。」

あ、そっかぁ……。なら仕方ないよね。
まぁおばあちゃん達もいない事だし、セツナと二人っきりだとまた心臓もたないし。

蜜「汚くてもいいならどうぞ。」

するとラフィーユは綺麗に笑ってお礼を言った。

ラフィーユ「ありがとう。助かる。」

・・・・・・・・・・・・・・・・

特急で飛行中。
怖くて目が開けられない悲しい事実。

⏰:07/08/04 00:31 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#767 [向日葵]
セツナ「蜜、もう少しだからな。」

風のせいで聞き取るのがやっとだった。
すると

ボフッ!

なんか柔らかい固まりに激突……。
あれ?さっきまでの光が無くなったみたい……。

セツナ「蜜。帰って来たぞ。」

私は恐る恐る片目ずつ開ける。

蜜「あぁ……っ!」

数m下には、馴れ親しんだ家があった。
光が無くなったのは現在こちらが夜だからだ。

そういえばターヤさんが時間の流れ方が違うって言ってたっけ。

⏰:07/08/04 00:35 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#768 [向日葵]
何故か開いてるドアにびっくりしながら、家へ入っていく。
玄関近くにある電気をパチンとつけて、何日ぶりかも分からない家とご対面。

あぁ……ビバ庶民……!
やっぱりこの狭さが一番落ち着く……!

オウマ「うっわー!せまっ!何これあり得ねぇー!!」

……オウマ君。コレが普通です。

ラフィーユ「オウマ、静まれ。うるさい。」

と言われるとオウマ君はすぐに静かになる。

おぉうっ!トップブリーダー……。

⏰:07/08/04 00:43 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#769 [向日葵]
セツナ「はぁ……。」

蜜「?」

どうしたんだろセツナ……。

ラフィーユ「蜜。私とオウマ、どこ、寝る。」

蜜「あぁ。客間使う?それともラフィーユは私と一緒に」

セツナ「客間でいいだろう。客なんだから。」

はぁ……まぁねぇ。
何故そこまでムキに……?

ラフィーユ「分かった。場所は?」

⏰:07/08/04 00:46 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#770 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/04 00:47 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#771 [向日葵]
蜜「真っ直ぐ行ってあの襖の所!」

ラフィーユ「了解。確認、する。」

と言ってオウマ君も一緒に客間拝見に行った。

蜜「さてと、夜って事でお風呂用意してこよう!その後は晩御飯だ。」

はっ!
食材傷んでないかなっ?!
……その時は出前にしよ。私だけだし。
そういえばラフィーユ達は食事どうするんだろ。

カチャ

シャアア――……

⏰:07/08/04 10:33 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#772 [向日葵]
セツナ「オイ。」

蜜「わぁ!セツナ…いたんですか。」

セツナはお風呂場のドアのヘリにもたれていた。
ん?なんかご機嫌ななめだなぁ……。

キュキュキュ

一旦シャワーを止めてセツナに向き直る。

蜜「何かご用で?」

セツナ「なんでアイツらを呼んだ。」

蜜「はい?だって、困ってるし、行く所が無いって……。」

⏰:07/08/04 10:38 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#773 [向日葵]
セツナは何か腹立たし気に息を吐く。

セツナ「それは千歩譲ってやる。」

千歩て貴方…。どんだけ渋々の選択ですか。

セツナ「ラフィーユを何故お前の部屋にやろうとした。」

蜜「へ?女の子同士ですし、なんかこーゆーのって楽しいじゃないですか♪」

ガチャン

ガチャン?
何でドア閉める?

セツナ「もう怒った……。」

⏰:07/08/04 10:44 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#774 [向日葵]
え?え??えぇっ?!
何で?!私何も気に触る事言ってないよね?!

蜜「い、一体何が駄目だったんですか?!結局はラフィーユ達は客間に行ったじゃ…」

セツナ「それでなくてもアイツらが来たから二人っきりになれないのにお前はその機会すら奪おうとした。」

あ、あぁー……そーゆー…。

蜜「い、いいじゃないですか。同じ部屋で寝るんですから!」

ヒタッ……。

セツナはヒンヤリとしたタイルに手をついて私を囲んだ。

⏰:07/08/04 10:49 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#775 [向日葵]
蜜「謝りますから…、そーゆーのは部屋で……っ。」

セツナ「今ここで改めてもらおう。いい加減俺の気持ちくらい読んだらどうだ。」

読んでるつもりなんだけどなぁー……。
って言うかそこまで怒らなくても。

蜜「そうですね…。以後気をつけますよ。」

セツナ「そぅ。いい子だ。」

と言ってオデコに唇を押し付けた。

いい子とか……。
オデコに唇の感触を感じながら、どう反応すればいいかに迷った。

⏰:07/08/04 10:56 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#776 [向日葵]
セツナは人差し指だけで顎をクイッと上げた。
もうすぐそこにセツナの顔。頭がぼぅ…っとなる。

セツナの唇があと少しで触れる時、

オウマ「なぁなぁ蜜――!!……。」

お互いに間そして間。
オウマ君はどうやら最高に間が悪いらしい……。

蜜「わ、私、二人の布団、用意しなくちゃ……っ!」
セツナの腕をくぐって、客間へ向かう。
その途中、オウマ君の叫び声が聞こえた気がした。

ポスポス

蜜「ラフィーユ。入りますね。」

⏰:07/08/04 11:03 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#777 [向日葵]
ラフィーユ「あぁ。」

スラッ

ラフィーユは畳の上で長い髪を広げて寝転がっていた。

蜜「疲れた?」

ラフィーユ「こんな床、初めて。草の匂い、何故する?」

そっか、畳知らないんだ。余談でセツナも畳を初めて見た時珍しがってた。

外国人の人が日本文化に感動する様に畳をテシテシ叩いていた。

蜜「畳って言うの。い草って植物から作ってるんだよ。」

⏰:07/08/04 11:10 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#778 [向日葵]
ラフィーユは「ふぅん」と言うと畳が気に入ったのか畳に顔をくっつけて匂いをかいでいる。

私はその近くで座って布団を探すのも忘れてまったりしていた。
ラフィーユは何だか落ち着く。

ラフィーユ「聞かないのか?」

蜜「え?」

ラフィーユは穏やかな目で私を見つめてくる。

ラフィーユ「私の喋り方、変。自分で、分かる。それ、聞かないのだな。」

蜜「んー。私は気にならなかったよ。ちゃんと想いは伝わってくるし。」

⏰:07/08/04 11:15 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#779 [向日葵]
するとラフィーユはニコッと笑って呟く。

ラフィーユ「同じ事言う。不思議だ。」

蜜「え?なんて?」

しかし、ラフィーユは寝息を立てて寝てしまった。

蜜「あ!布団!」

そこで本来の目的を思い出し、部屋の押し入れから布団を出し、敷くが、ラフィーユが寝てしまったので一個しか敷けない……。

蜜「あ、と。どうしよう……。」

⏰:07/08/04 11:23 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#780 [向日葵]
スラッ

なんかげっそりしているオウマ君登場。

オウマ「あれっ。ラフィー寝ちゃった?」

蜜「ハイ。だから布団引けなくて…ハハ。」

オウマ「しょうがねぇなぁ…。ぃよっ!」

ラフィーユの体を軽々と持ち上げて一個敷いてた布団へ優しく乗せてあげた。
そしてオウマ君は静かに眠るラフィーユの頭を優しく一撫でして微笑んだ。

蜜「オウマ君って…ラフィーユが好き?ラフィーって呼んでるのはそれで?」

⏰:07/08/05 09:33 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#781 [向日葵]
オウマ君はラフィーユから目を離してなんだか嬉しそうに私に笑った。

オウマ「ウン。大好き!ラフィーって誰も呼んでないから特別みたいだろ?」

無邪気な笑顔に私まで笑顔になった。

布団をもう一つ敷いてから私はおやすみなさいと言って客間を後にした。

階段を一歩一歩上りながら少しげんなりしていた。

セツナの事だ。

ラフィーユとオウマ君の事で機嫌が悪かったのに足してお預けをくらったから……。

⏰:07/08/05 09:37 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#782 [向日葵]
『さぞかし部屋で大変に……。』

別に、セツナとそーゆー大人な事するとか言うのは嫌ではないけど、想像がついていかないって言うか……恥ずかしいって言うか……。

気が付いたらもう部屋の前だった。

ゆっくり部屋に入る。

蜜「……。あれ?」

そこにはセツナの姿なんてなかった。

蜜「セツナ……?」

不安になって静かに名前を呼ぶ。

⏰:07/08/05 09:42 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#783 [向日葵]
帰った?
だって今日は帰っちゃ駄目のハズで……。

しゅんとしてベッドに座る。

別に行動範囲制限するつもりはないけど、どこかに行くなら行き先を教えて欲しかった……。

フゥとため息を一回ついてから電気を消そうとした。
ガチャ

蜜「ん?」

セツナ「お。帰って来たか。……。どうした?」

私はぼんやりとセツナを見つめていた。

⏰:07/08/05 09:49 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#784 [向日葵]
蜜「どこ……いたんですか?」

セツナ「庭に出てた。見事な月夜だったんでな。」

蜜「あ、そ、ですか。」

とりあえず電気をパチンと消してぼんやりしたままベッドに行く。
と、ベッド際でセツナが腕を引っ張った。

セツナ「オイ?どうかしたか。」

蜜「いやなにも……。」

なんだかセツナが帰って来るのが、側にいるのが当たり前の気がしてたから……。
いなくなるとこんなに寂しくて不安になるんだなぁと思ったらなんだか呆然としてしまった。

⏰:07/08/05 09:53 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#785 [向日葵]
なんとなく手を伸ばしてセツナの胸元に抱きついた。

セツナは何も言わずに抱き締めてくれて、背中を擦ってくれた。

セツナ「なんだ。甘えてくるなんて珍しいな……。」

意地悪な口調なのに、何故か優しく聞こえる。
ずっとこうしてくっついていたい気がした。

セツナ「蜜。疲れただろ?早く布団に入れ。」

蜜「ハイ……。」

それでも私は離れようとしなかった。
そんな私を見かねてセツナは抱き上げて布団の中に入れる。

⏰:07/08/05 09:57 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#786 [向日葵]
やんわりとセツナから腕が外された。

蜜「……離れたくないです。」

とっさに出た言葉だった。セツナはなんだか驚いていた。

セツナ「離れないよ。」

セツナの唇が、オデコに、頬に、耳元に……押し付けたられる。

暗闇でも分かる。セツナの熱く優しい目が私に向けられてる事が……。

セツナの唇が、優しく私の唇に触れる。
角度を何度も変えて、優しく触れる。

⏰:07/08/05 10:04 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#787 [向日葵]
でもセツナは優しく触れるだけで、それ以上は激しくならなかった。

何で?

セツナが私の唇に止まったのに気付いたのか、一旦離れて私を見つめる。

セツナ「…何?」

蜜「何でそんな優しいんですか?」

セツナは一瞬眉を寄せて考え、言いたい事が分かったのか苦笑いを浮かべた。

セツナ「今激しくしたら、多分止まらないぞ?」

セツナは私を起こすとフワッと抱き寄せた。

⏰:07/08/05 10:21 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#788 [向日葵]
セツナ「別に無理なんてしなくていい。待つてもりだ。ただ……。」

体を離して、私を見つめながら髪をかき上げた。
私は片目を瞑る。

セツナ「なんだかお前が可愛く甘えてくるから我慢出来そうにないんだ……。」
暗闇に柔らかくセツナの声が響く。
この感情……。セツナが愛しくて仕方ない。

一回こんなのあった。
セツナが照れたあの日……。

でもあの日よりはもっと大きい気持ちで――……。

⏰:07/08/05 10:28 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#789 [向日葵]
チャプター15:赤い実







シンとしてる。時計の音が静かになってる。


蜜「我慢しないで下さいと言ったら…セツナは我慢しませんか?」

セツナはフワリと微笑むと、頬に唇を触れる。

セツナ「そんな可愛いらしいことを言われたら、蜜が何を言おうと抑えるのは辛いな。」

鼓動が少しずつ早くなる。

蜜「じゃぁ……我慢しないで下さい…。」

⏰:07/08/05 10:34 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#790 [向日葵]
セツナは不安気に私を見つめてくる。

セツナ「お前いいのか?ホントに。」

私は身を乗り出して触れるだけのくちづけをする。

蜜「ハイ……。」

硬い決意。セツナなら……。ううん。セツナがいい……。

セツナの目が射る様に真剣に変わる。
そしてくちづけをされ、激しさを増していく。

ゆっくり押し倒されて、セツナが上に乗ってくる。

セツナ「後悔しても知らないぞ……。」

⏰:07/08/05 10:39 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#791 [向日葵]
そう言って私の頬を大きな手で包む。
その上から私は手を重ねてその温かさに目を瞑る。

蜜「後悔なんて……しませんよ…。」

セツナはまた優しく唇を重ねてから首筋に唇を這わせる。

ボタンが外されていく。
その時に僅かに体を固まらせてしまった。

それに気付いたセツナが私の頭を撫でながら優しい黒い目で見つめる。

セツナ「大丈夫。ゆっくりやるな……。」

蜜「…ハイ……。」

⏰:07/08/05 10:45 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#792 [向日葵]
セツナはホントに優しく私を扱ってくれた。
服越しじゃない人の体温は思ったより熱くて、でも気持ち良くて……。

何より幸せであることを感じさせてくれた。

蜜「―――っ。」

セツナ「…蜜?しんどい?」

私は首を横に振った。

蜜「嬉しいんです……。」

嬉し涙なんて初めて流した。でも初めて流した嬉し涙がセツナで良かった。

セツナはオデコにキスをして優しく微笑んだ。

⏰:07/08/05 10:50 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#793 [向日葵]
 






―――――
―――――――……

目を、うっすら開けた。
部屋が明るい……。

トクン……トクン……

あ……落ち着く…。
また目を閉じると、こめかみ辺りの髪の毛がかき上げられて、柔らかい物が触れる。

セツナ「目、覚めたか……?」

⏰:07/08/05 10:54 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#794 [向日葵]
私はまた目を少しだけ開けた。

蜜「…セツ、ナ……?」

セツナ「体、大丈夫か?」

体……?

完全に目を開くとセツナの綺麗な鎖骨が目に入った。

蜜「ええっ!」

一気に覚醒。

顔を上げればセツナが見つめていた。

そうだっ――私昨日……っ!

⏰:07/08/05 10:57 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#795 [向日葵]
うつ向いて顔を隠す。
激しく赤面。

蜜「おはよう……ございます…っ。」

セツナ「ククク…。何を照れてる。」

そう言いながらも優しく抱き締めてくれる。
肌がまた密着する。

胸が、キューッと苦しくなった。

セツナ「…昨日の蜜は……今までで一番可愛いかったなぁ……。」

うわ言の様に呟くセツナの言葉に再び赤面する。

蜜「あぁもぅ…。止めて下さい恥ずかしいっ……!」

⏰:07/08/05 11:02 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#796 [向日葵]
セツナはクククと笑ってる。

いつものセツナだ……。
でもなんだか違う……。

セツナ「服を着ろ。またオウマが来たら、お前の裸を見られるのはご免だ。」

あり得る予想に深く納得。

蜜「こっち……見ないで下さいねっ。」

セツナ「ククッ。ハイハイ。」

セツナはかべ側を向く。
私はソローッと布団を出て散らばった服を集める。

未だに自分がそんな事をしたって事実が信じられないけど、少しダルイ下腹部が昨日の事を物語る。

⏰:07/08/05 11:12 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#797 [向日葵]
服を完全に着てから振り向く。
約束通りセツナはちゃんと壁側を向いてた。

蜜「セツナ。着終りましたよ。」

セツナ「あぁ。分かった。」

するとセツナは私を引っ張って軽く唇を触れた。
そして幸せそうに微笑む。

セツナ「好き……蜜。」

また顔が赤くなる。
セツナはそれを見て満足そうに笑った。

蜜「ハイ……。」

⏰:07/08/05 11:18 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#798 [向日葵]
少しの間、温かい雰囲気が漂って、私はハッと意識をはっきりさせた。

蜜「わ、私……っ二人を見て来ます!」

セツナ「分かった。」

部屋を出ていく時にちらりとセツナを見ると、起き上がり完璧な体が見えていた。

パタン……。

ドアにもたれて口元を両手で軽く隠した。

『ヤバイ……ニヤける……。』

二人に感ずかれないといいけど……。

⏰:07/08/05 11:23 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#799 [向日葵]
――――――――

キリます

⏰:07/08/05 11:23 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#800 [向日葵]
階段をスキップする様に降りて、客間へ向かう。

ポスポス

蜜「おはようございます。」

スラッ

ラフィーユ「蜜。おはよう。」

蜜「おはよー。」

ラフィーユは既に起きていた。畳がとても気に入ってるらしく、畳の上にいる。

オウマ君は、未だに寝ていた。

蜜「皆って……眠り浅いんじゃないの?」

ラフィーユ「それぞれ。コイツ、特に変。」

⏰:07/08/06 00:41 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#801 [向日葵]
変で済ますんだ……。

蜜「朝ごはんってどうしたらいいですか?一応蜂蜜がありますが……。」

ラフィーユ「私とコイツ、外行く。そこで探す。」

蜜「じゃあ、なかったら蜂蜜食べていいですからね。」

私はそう言って出て行こうとした。

ラフィーユ「蜜。熱、あるか?」



蜜「どして?」

ラフィーユは立ち上がって、顔を近付けると匂いを嗅ぐ様に私の首回りで鼻をスンスン言わせた。

⏰:07/08/06 00:45 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#802 [向日葵]
ラフィーユ「匂い、キツイ。」

……。それってアレと関係あるのかな…。
それとも私の顔が若干赤いから体温上昇しすぎ?

蜜「じ、自分じゃ、わか分からないーなぁ……。窓…っ開けてくる。」

ギクシャクしながら庭へ続く窓を開ける。

……不思議。
なんだか世界が変わった気がする。

また新しく、生まれ変わった様な気がする……。

いつも通りのハズなのに……。

⏰:07/08/06 00:48 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#803 [向日葵]
オウマ「ぅ、ああぁぁ……。蜜、うーっす。」

振り返ると頭をボサボサにしてまだ眠たそうなオウマ君がいた。

蜜「オウマ君。おはよー。よく寝れた?」

オウマ「地べたの布団って結構体痛くなるな!」

ニカッと笑う本人には悪気は無いんだろうが少し殴りたい衝動に刈られた。

ラフィーユ「オウマ。さっさと朝飯、済ます。」

オウマ「そうだな!ちょっくら行ってくるわ!」

ビュンッッビュンッッ!!!!

いってらっしゃいを言う間もなく、高速で窓から二人は飛んで行ってしまった。

⏰:07/08/06 00:55 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#804 [向日葵]
蜜「そんなに…急がなくても……。」

目が点になってやり場のない手をあげたまま空を見上げた。

天気もいいし……洗濯物でもしよっかな。

と振り向いたら、丁度セツナが階段から降りて来た所だった。

―――ドキ……。

セツナ「あれ?二人はどうした?」

蜜「朝ごはんに…行きました。」

セツナ「ほぉー……。」

⏰:07/08/06 00:59 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#805 [向日葵]
私は目を泳がせたままセツナの横を通り過ぎて洗濯機まで行った。

するとセツナも後ろを着いて来て、私の行動をただ見ている。

ゴウンゴウン

じー……

ピッピッ

じー……

蜜「あ、あのぉー!気が散るんですけどっ。」

セツナ「クスクス……。何を緊張してる。」

うっ……。図星…。
だって何か恥ずかしいんだもん……。

⏰:07/08/06 01:03 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#806 [向日葵]
セツナは後ろから私を抱き締めると洗濯機を眺める。

セツナ「普段通りでいいんだよ。何も変わらないんだから。」

蜜「そんな事ない!」

そこで私はセツナを向き直った。

蜜「なんだか……今日はいつもより特別で、いつも見てる空ですら綺麗で……。セツナを見ると、もっとドキドキして……そのっ…。」

とにかく色鮮やかになった。もう一度色を塗り直したみたいで不思議な感覚が続いてる。

⏰:07/08/06 01:10 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#807 [向日葵]
自分で言った事が恥ずかしくてうつ向いた。

セツナがクスッと笑うのが聞こえた。

セツナ「俺も……もっと蜜が好きになったよ。」

セツナが私の手を取って自分の顔に押し当てる。
完璧な顔の肌は、とてもすべすべだった。

セツナ「今すごく、胸が熱い…。」

セツナの優しい目が私を見つめる。
最近この目が多い……。

蜜「セツナも……緊張しました?」

⏰:07/08/06 01:15 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#808 [向日葵]
セツナが少し苦笑する。
でも目はそのまま。

セツナ「当たり前だろ。蜜を壊さない様にするので精一杯だった。手だって……震えてた。」

微かにセツナの顔が赤くなる。緊張していた自分が恥ずかしくなったらしい。

それがまた温かくて微笑む。

蜜「良かった……。」

セツナは私の頭を撫でながら抱きしめる。

セツナ「これで……。」

セツナの声が一変。

⏰:07/08/06 01:20 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#809 [向日葵]
セツナ「免疫がついたからいつでも襲えるなぁ。」

あの意地悪な、それでいて面白がっている声。
S復活。

蜜「もー!!女の子はそんな安売りしませぇん!!」

セツナが声をあげて笑う。

セツナ「まぁ、蜜は大事に扱わないとな。」

蜜「そうですよ。大事に大事にして下さい!」

セツナは私の髪の毛をかき上げて、首筋に唇を触れる。

⏰:07/08/06 01:25 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#810 [向日葵]
セツナ「するよ。当たり前だろ。」

―――ドキ…

目を細めて微笑んで、私はセツナの胸に顔を埋めた。
子供みたいな行動。
でも今はただ抱き締めて欲しくて、セツナがより恋しくて……。

セツナは何も言わず髪の毛を撫でながら私を抱き締める。
それがまた胸を苦しくさせて、どうにかなりそうな感じに襲われる。

愛を感じるってこーゆー事なのかな……?

……いやいや私っ
愛って貴方!

⏰:07/08/06 01:32 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#811 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/06 01:34 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#812 [ミキ]
>>100-200
>>200-300
>>300-400
>>500-600
>>600-700
>>700-800
>>800-900

⏰:07/08/06 15:49 📱:SO903i 🆔:VXXlOVEs


#813 [向日葵]
ミキさん

安価ありがとうございました

⏰:07/08/06 16:40 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#814 [ラナ]
>>780-900

⏰:07/08/06 20:42 📱:P901i 🆔:2/H22MTg


#815 [ラナ]
>>760-900

⏰:07/08/06 20:43 📱:P901i 🆔:2/H22MTg


#816 [ラナ]
>>750-900

⏰:07/08/06 20:44 📱:P901i 🆔:2/H22MTg


#817 [かー子]
ラナさん
それ意味なくなあい?

⏰:07/08/06 22:40 📱:F902iS 🆔:3wGzI3vU


#818 [向日葵]
ラナさん

安価どうもです

――――――――

1、2時間するとラフィーユ達が帰って来た。
もう3月なので花は結構咲いていたらしい。

3月かぁ…。
4月になれば私も高2……。そして来年は高3……。
意外にも季節は早足に進んでいる。
そういえば、セツナはどう言う細工を使って同学年になるんだろう。

あと、ラフィーユ達は、高校には入らないのかなぁ。

⏰:07/08/06 23:55 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#819 [我輩は匿名である]
此処おもんない
意味不やし

⏰:07/08/06 23:58 📱:W42SA 🆔:a9zA8cbw


#820 [向日葵]
洗濯物をパンパンと干しながらぼんやり考えた。

干している時に風さん達が来て手伝ってくれた。

そういえば……風さん達には前いっぱい助けて貰ったのにお礼してない。
それにラフィーユ、オウマ君。……ルキも。

まぁ……セツナはこの身を捧げたばかりだから……ね……。

今日は……あちらの世界へ行く事は出来ないのかなぁ。

蜜「ねぇ、ラフィーユ!」
窓にラフィーユが姿を見せる。

ラフィーユ「ん?」

⏰:07/08/07 00:01 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#821 [向日葵]
我輩さん

面白くないのは今日、感想板でも言われましたが楽しみにしている人がいるんで書かせてくださいね。

面白くなる様自分も努力しますんで

⏰:07/08/07 00:03 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#822 [向日葵]
蜜「今日は、あっちの世界へ行っちゃいけないの?」

ラフィーユは眉を寄せて顔をしかめる。

ラフィーユ「わからない。昨日、話、長に聞いた。城、補修するらしい。」

あれだけ大きな城だったらそりゃ時間かかるよね……。
ならしばらくは無理なのかもしれない。

蜜「分かった。ありがとう。」

ラフィーユは一回頷くとまた家の中に姿を消して行った。

なら、お礼はまた今度かな……ー

⏰:07/08/07 00:06 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#823 [向日葵]
籠を持って、洗濯機の横に置く。

風さん達もついてきた。

あ、そうだ。

蜜「風さん達は人間の物食べれるよね?」

確か前にクッキーあげたら食べたし。
問いかけに風さん達は首を傾げてからにこにこ笑った。
肯定と受け取っていいのかな?

蜜「ぃよしっ!」

ならばっ風さん達にはいち早くお礼をしましょう!

前にあげたクッキーでいいかな?

⏰:07/08/07 00:11 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#824 [向日葵]
台所にいそいそと行って、クッキーに必要な材料を探し回る。

蜜「小麦粉…バター……。砂糖……。うん。後もそろってるみたい。」

不思議そうに見る風さんに少し離れる様に指示してからクッキー作りを始めた。

ラフィーユ「何するんだ?」

近くまで来て私の手元を見ながらラフィーユが尋ねた。

蜜「クッキーって言うのを作るの。ラフィーユも作ってみる?」

⏰:07/08/07 00:16 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#825 [向日葵]
ラフィーユ「なんだそれ……。魔術……?」

いやいや違う違う。

蜜「食べ物!」

ラフィーユ「作って、みる……。」

この人達にとったら料理なんて初めてなんだろうなぁ……。
花の蜜は調理なんか必要ないしね。

私は小麦粉をふるうのを手伝ってもらった。
身振り手振りで教えるとやっぱり機転がいいのか直ぐに出来た。

すると私達の行動に気付いたセツナとオウマ君がソファーに座りながら私達を見学する。

⏰:07/08/07 00:21 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#826 [向日葵]
オウマ「なんかやってる!俺も混ぜて!!」

目を輝かせながら背もたれに乗り出すオウマ君をラフィーユは冷たい目でギンッ!と睨む。

ラフィーユ「お前が来る、邪魔。大人しくしろ。」

オウマ「ハイ……。」

そこまで冷たくしなくても……。
ラフィーユを見ながら思わず苦笑い。
オウマ君は小さくなってラフィーユに言われた通り大人しく私達を見ている。

生地を作りながら小声でラフィーユに話かける。

⏰:07/08/07 00:27 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#827 [向日葵]
蜜「ねぇラフィーユ。なんでオウマ君にそんな厳しいの?」

ラフィーユは生地を混ぜる手を止めて私を見ると、ため息をついてからオウマ君を一瞬見て、また私に視線を戻した。

そして私と同じ様に小声で喋る。

ラフィーユ「アイツ、それでなくても騒がしい。これぐらいで丁度。だから私厳しい。」

あぁ…。と納得してしまう。ゴメンねオウマ君。
するとラフィーユは口を開いて「けど」と続ける。

ラフィーユ「知ってる。ホントは、いい奴。」

⏰:07/08/07 00:33 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#828 [向日葵]
その時ラフィーユの目が一瞬揺らいだ気がした。

もしかして……ラフィーユも……?

・・・・・・・・・・・・・・

一方変わって男組の会話。

セツナとオウマも蜜達の様に小声で話していた。

セツナ「お前も懲りないな。あれだけラフィーユが冷たくしてるのに。」

オウマはセツナを軽く睨んで口を尖らせる。

オウマ「ラフィーは別に冷たくなんかないよ。」

⏰:07/08/07 00:41 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#829 [向日葵]
オウマの目が穏やかになって、口元には笑みが浮かぶ。

オウマ「ラフィーユが言ってる事は全部正しいよ。それに、冷たくなんかない。表に出ないだけ。」

背もたれに腕を乗せて、その上に顎を乗せてラフィーユを見つめる。

セツナは首だけを動かして楽しそうにラフィーユとクッキーを作る蜜を見つめる。

セツナ「お前の……蜜乙女と出会ったら、どうするんだ?」

オウマは目だけを動かす。

⏰:07/08/07 00:46 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#830 [向日葵]
オウマ「セツナはそーゆー目で蜜の事見てるのか?」

セツナ「そーゆーんじゃない。ただ……蜜乙女と出会ってしまったら、必ず二人は惹かれあってしまう……。俺はただ、ずっと前から好きだった蜜が、蜜乙女だったって言うだけだ。」

オウマはウーンと唸り、首を捻る。

オウマ「なんかさ、俺それ半分迷信みたいに思ってるんだわ!」

明るく言ってのけるオウマに思わずズリッと体を傾けるセツナ。

オウマ「俺だってそうだよ。好きになったのがラフィーユなら、蜜乙女なんか関係ない。見向きもしない。ラフィーユをずっと好き。」

⏰:07/08/07 00:52 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#831 [向日葵]
セツナは静かに目を閉じてため息混じりにフッと笑った。

セツナ「あぁ……。そうだな……。」

オウマ「ところでセツナ。蜜の“蜜”の匂い、今日きつくないか?」

………………。
沈黙が続く。セツナはそっぽを向いて「バレたか」と思っている。

オウマ「え…。セツナマジ……?」

セツナ「……。」

オウマ「つまり昨日?」

セツナは口にチャック状態。何も喋らないつもりらしい。

⏰:07/08/07 00:56 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#832 [向日葵]
オウマの顔が少し赤くなる。自分達が寝ている間に二人にそんな事があったなんて……。

自分は二回二人の邪魔をしているが、その時に起きていなくて良かったと心から思うオウマだった。

オウマ「そ…っ、そっか。でも、そっかぁ……。蜜が…。(大人の)階段昇ったかぁ…。」

セツナ「いいって言ったのも蜜からなんだ。」

ここで口を開くセツナ。
オウマはそれを聞いて更に赤くなる。

オウマ「え?!蜜が?!」

⏰:07/08/07 01:02 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#833 [向日葵]
セツナは静かに頷く。

オウマ「ぜってーお前が口説き落としたんだと思った……。」

セツナ「俺はタラシじゃない。タラシになれるのは蜜だけだ…。」

オウマ「うわノロケ!!」

長の息子ともあろう奴が、完璧にノックアウトされてる事実にオウマは驚いた。
まさかそこまでとは……。

オウマ「青林檎から赤林檎になったか二人共。」

セツナ「意味が分からんぞそれ……。」

⏰:07/08/07 01:06 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#834 [向日葵]
やはり人外と言えど男子。興味がわかない訳がないらしい……。

オウマはセツナに詰め寄り話を更に聞き出す。

オウマ「蜜可愛いかった?」

セツナ「アイツはいつでも可愛い。……だけど昨日は一番だったな…。」

少し赤くなりながらセツナは昨日の蜜を思い出していた……。
そんなセツナを見て、何故かテンションがUPするオウマ。

オウマ「うっわ!いぃなぁラブラブってさぁ!!俺憧れ」

ゴツン!

オウマ「痛っ!……っとラフィー……。」

⏰:07/08/07 01:11 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#835 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・

いきなり大声を出したオウマ君にびっくりした私。
そんなオウマ君にラフィーユはツカツカ寄って行きゲンコツを振り上げる。

ゴツン!

骨と骨がぶつかる音がよく聞こえた。

オウマ「痛っ!……っと、ラフィー……。」

叩かれた場所を撫でながらオウマ君はタジタジと笑う。

ラフィーユ「うるさい。発言、音量、下げろ。」

オウマ「ハイー……。」

⏰:07/08/07 01:16 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#836 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/07 01:16 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#837 [夏野]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:07/08/07 01:19 📱:SH903i 🆔:llQxvNoE


#838 [向日葵]
夏野さん

安価ありがとうございました

⏰:07/08/07 01:31 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#839 [向日葵]
――――――――
書きます

⏰:07/08/08 01:24 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#840 [向日葵]
オーブンで焼くこと20分……。

いい匂いと共にクッキー(直径1センチサイズ)完成!

風さん達は喜んで私の頭の周りをブンブン飛び回る。

蜜「熱いんで気を付けて食べてくださいね。」

そんな言葉を聞いているのかいないのか、風さん達は直ぐにクッキーを食べてしまった。

そして外へと出ていった。
セツナ「それは前に作ってたやつか?」

⏰:07/08/08 01:30 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#841 [向日葵]
いつの間にか私の隣に来たセツナが残ったクッキーを見ながら問う。

蜜「そーです。」

セツナ「ふぅん……。」

おもむろに一つ摘むと口の中に放りこんだ。

蜜「え?!食べても平気ですか……っ?」

セツナ「当たり前だろ。……フーン。口の中がボロボロする。」

だってクッキーだもん。

セツナ「どうして焼こうと思ったんだ?」

私はセツナやラフィーユ、オウマ君を見渡してニコッと笑った。

⏰:07/08/08 01:35 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#842 [向日葵]
蜜「皆にお礼をしたかったんです。今日したかったんです……。ルキも呼んで。でも、」

ラフィーユ「あちらには行けない。」

私が言いたい事を先に言うラフィーユにコクリと頷いた。

蜜「だから今日は言葉だけ。皆、この間は助けてくれてありがとうございました。」

一例をする。
皆は一瞬呆然てしていたが、直ぐに温かく笑ってくれた。

オウマ「良いってことよ!」

⏰:07/08/08 01:41 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#843 [向日葵]
そして皆で笑い合い、台所は温かい空気に包まれた……。

―――
――――……

―黒蝶族―

ルキはあの塔の中にいた。
そして脅えていた。
――――近づいてくる足音に……。

カツン…カツン……。

目をギュッと瞑った瞬間声がこだました。

ターヤ「この前はよくも裏切ってくれたねルキ。」

ルキの呼吸が不自然に上がる。

⏰:07/08/08 01:44 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#844 [向日葵]
ルキ「もう……止めましょう?どうせ負けるん、ですから……。」

ターヤ「なら勝つまでやるまでさ。」

ルキは勇気を振り絞ってターヤを一睨みする。

ルキ「私はもう何もしたくない…っ!何を言われても絶対に……!」

ターヤ「じゃあお前の母さまがどうなってもいいんだな?」

ルキは言葉を失う。
自分達の母親を殺そうって……?
そんな――っ!!

ルキ「やだ……。」

ターヤ「だよな?まぁ俺はあんな奴どうでもいいがな。蜘蛛族として俺を生んでくれたおかげで俺の人生めちゃくちゃだ……。」

⏰:07/08/08 01:52 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#845 [向日葵]
ルキは震える手で腕を掴み、なんとかして自分が持ち堪える様に踏ん張った。

ルキ「や……めて。」

ターヤ「もちろん。お前がいい子に言う事を聞いてくるたらなぁ?」

ルキは豊かな唇を噛み締めて、悔しさから出る鳴咽を噛み砕いた。

ターヤ「セツナを……殺す。が、囮として………………蜜乙女を狙う。」

⏰:07/08/08 01:55 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#846 [向日葵]
チャプター13:怪奇現象









春休みが終わり、いよいよ私も2年生。

セツナ「同じクラスだな。まぁ当然だろ。」

私は隣にいるそれはそれは美しい人をジトッと見る。

蜜「ホントに実行しちゃうんですね……。」

⏰:07/08/08 01:58 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#847 [向日葵]
――――――――

キリます

オーダーをして私しか書けない様にしてるんでご注意を

⏰:07/08/08 01:59 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#848 [向日葵]
いや違うか……。
しちゃったんだ……。

仕掛けをしりたくありません?
お教えしますよ。

いわゆる催眠術みたいなもので、セツナは鱗片を巻き散らして学校中の人を思い込ませたんです。

自分は2年であると。

詳しい仕掛けはよく知らない。私が聞いたのはそこまでだった……。

しかも……。

蜜「ラフィーユとオウマ君まで同じクラス……って……。」

⏰:07/08/08 23:27 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#849 [向日葵]
お城修理中により、ラフィーユ達も転入……。
それもまた催眠術を使って(以下略)

こんなお約束的な事があっていいのだろうか。いやよくない。

セツナ「ごちゃごちゃ言ってないでさっさとクラス行くぞ。」

私はセツナに引っ張られながらクラスへと行った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

ガヤガヤ ガヤガヤ……

クラス替えは浮足立つ。
新しい友達が出来るかなとか、クラスは楽しいかなとか。

⏰:07/08/08 23:31 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#850 [向日葵]
私はセツナもラフィーユもオウマ君もいるから浮足立つことはとりあえずなく、ラフィーユ達の姿を探した。

オウマ「あ!蜜!セツナ!こっちこっち!」

一際鮮やかな髪の色をしたオウマ君がラフィーユと一緒にいて私達を呼んだ。

『校則違反……。いや地毛だからクリア?』

ふとそんな事がよぎる。

ラフィーユ「オウマ、静かに。」

びっくりするくらい制服が似合うラフィーユは頬杖を付いて私達が来るのを見ていた。

⏰:07/08/08 23:34 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#851 [向日葵]
クラスの視線は私達に集まる。
特にこの目立つ3人……。
もちろん私にもくる。
「なんでこんな子が混ざってるの?」みたいな女子からのチクチクした視線……。

あーハイハイすいませんねぇ。どうせ地味子ですよ。

「あ、本山?」

振り向くとそこには見慣れた人物が。

蜜「あ、小川君!久しぶりぃ。」

爽やか青年小川君。

⏰:07/08/08 23:40 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#852 [向日葵]
小川君はにこにこ笑いながら私に近づいてきた。

小川「また同じクラスだね。西堂が違うクラスなのは残念だったけど……。」

そうなのだ。清とはクラスは別々になってしまった。その事にさっきまで嘆いて中々クラスへ行こうとしなかったのだ。

蜜「清ならまた友達が出来るよ。それよりまた委員会入る?」

小川「うん。前と一緒。本山は?」

蜜「私もそのつもり。」

二人してにこにこ笑いながら和やかムードを醸し出してると……やって参りました。独占大王。

⏰:07/08/08 23:47 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#853 [向日葵]
頭をガシッと掴まれたと思うとグーッと自分の元に寄せてセツナは小川君を一睨み。

セツナ「人の女に勝手に話かけるな。」

いやアンタそれは無理な話って言うか許そうよそれくらい。

小川君はなんだかムッとした顔をするとセツナに言い返してきた。

小川「いいだろ。誰と話そうが本山の勝手じゃないか。」

二人の間に火花がバチバチー…バチバチー…と交差する。

⏰:07/08/08 23:53 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#854 [向日葵]
オウマ「花火?」

蜜「んーちょっと違う…。」

その時だった。

ギュンッ!
バリィィ……ン……
パラパラパラ……

どこからともなく植木鉢が飛んで来て、私の顔の横を勢いよく過ぎて黒板に激突……。

蜜「……はい?」

床に散らばる無惨な姿の植木鉢を振り返り固まる。

セツナ「蜜!平気か?」

クラスがざわつく。

⏰:07/08/09 00:00 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#855 [向日葵]
一つは植木鉢が急に飛んで来たから。

二つ目は…………


植木鉢なんて教室にはなかったから……。


・・・・・・・・・・・・・・・・

蜜「なんか……初日から大変な事になっちゃいましたね。」

帰り道を歩きながらさっきまでの出来事を話す。
3人共飛べるけど、久々に歩いて帰りたいと言ったら応じてくれた。

⏰:07/08/09 00:08 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#856 [向日葵]
ラフィーユ「怪奇……。」

蜜「カイキ…?」

ラフィーユ「怪奇現象。似てる。」

まっさかぁ?!ウチの学校はまだ40周年も経ってない結構新しい学校なのに!

蜜「ないないない!あり得ないよ。」

オウマ「じゃあ呪い?」

笑いながら言うオウマ君にシャレにならんと思った。例えばセツナが好きだった女の子からとか、オウマ君に一目惚れした女の子だとか……。

⏰:07/08/09 00:15 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#857 [向日葵]
わぁい私知らない内にすっごいケンカ売ってんじゃん☆
そりゃ呪われちゃうよ丑三つ時とかに!

セツナ「とにかくだ。明日からまた気を付けなきゃいけないって事だ。」

なんか近頃気を付けなきゃならないことばっかりでいい加減うんざりしてきたなぁ……。

蜜「あ。」

ラフィーユ「なんだ?」

蜜「ううん…。ちょっとね。」

学校始まったって事は……ルキもこっちに来てるかもしれない。

⏰:07/08/09 00:20 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#858 [向日葵]
怪奇現象……ねぇ……。




――――次の日――――

通常で授業が行われる。ちなみに今は3時間目。
昨日の植木鉢騒ぎはとりあえずおさまったみたい。

オウマ君はしょっぱなから机につっ伏して寝てたし、セツナはずっとつまんなそうに窓の外を見つめている。
唯一真面目に受けていたのはラフィーユだった。

特に英語は凄い。
音読を当てられた時のあの滑らかな読み方はクラス中が感嘆の声を上げた。

⏰:07/08/09 00:26 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#859 [向日葵]
当の私は可もなく不可もなく授業を受けた。
ぼんやり聞いてはノートをとりの繰り返し。

ヒュンッ

何かが私の耳元を通り過ぎる。

『虫?』

しばらく耳をすましてみてもそれらしい音は聞こえてこなかった。

『気のせいか。』

そう思うには早かった。
何故ならクラスのあちこちで聞こえてたらしい。

「ねぇ、なんかいない?」

「いるいる。虫かなぁ?」

⏰:07/08/09 00:32 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#860 [向日葵]
正体が見えない物体にクラス中がまたザワザワし始めた。

先生「おーい。静かにー。」

ラフィーユの顔を見ると目だけを動かして物体を探してるらしく色んな方向に視線を向けていた。

オウマ君は体を起こして机を見つめたままラフィーユと同じ様に物体に耳をしまして探してるらしい。

セツナは窓から視線を私に向けて私の安全確認をしていた。

するとまた

ヒュンッ

耳元を通り過ぎた。

⏰:07/08/09 00:36 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#861 [向日葵]
セツナがガタッと席を立った。

先生「おーい。席に着けー。」

先生、貴方には聞こえないかヒュンヒュン飛び回る物の音が……。

先生の言葉を無視したセツナは物体を見つけたのか捕まえ様と狙いを定めている。

セツナ「蜜!」

蜜「へ?」

ブツッ……!

ポタポタポタ……。

私のノートに赤い滴が垂れた。

⏰:07/08/09 00:42 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#862 [向日葵]
私は目の前で物体を掴んだセツナの手を見つめた。
次々と流れていくセツナの鮮血。

セツナは物体から手を離した。

――カランカラン

床に落ちたそれは……鋭い小型ナイフだった。

蜜「セツナ……っ!」

オウマ「大丈夫かよ……。」

周りは騒然としていた。
何故ナイフが?

そして何故、標的が私?

先生「き、君。とりあえず、保健室に行きなさい……。」

⏰:07/08/09 00:48 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#863 [向日葵]
先生もこれには流石に驚きを隠せないでいた。
当然だけど…。

持っていたタオルでセツナの手を止血してから腕を引っ張り、ドアへと促した。

蜜「セツナ。行きましょう。」


・・・・・・・・・・・・・・

大量出血のセツナを見てさっちゃんは目を見開いた。

さっちゃん「やっだコレどうしたの?!」

蜜「ちょっと…ね。それより早く手当てしてあげて!」

⏰:07/08/09 00:53 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#864 [向日葵]
さっちゃんはもうほぼ血色になってしまった私のタオルを取る。

真っ赤にしたセツナの掌が現れる。

私は目を見開いて青ざめた。
酷い…。大丈夫なのかな……。


さっちゃん「ちょっと血、拭くからね。」

ガーゼをピンセットで持って傷口周辺を拭く。
そして消毒液を含んだコットンを傷口に当てた。

セツナ「……っつ。」

少しだけセツナの痛そうな声が聞こえた。

⏰:07/08/09 00:58 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#865 [向日葵]
さっちゃん「あー。これなら平気。出血の割りに傷は浅いから。包帯巻いておくね。」

“浅い”と聞いたので、すこしホッと出来た。

さっちゃんは私の方を見るとニカッと笑った。

さっちゃん「だぁーいじょうぶよっ!大したことないから。」

さっちゃんに弱々しい微笑みを返してからセツナを見る。
セツナも励ます様に優しく笑っていた。

大丈夫なんだ…。良かった……。

⏰:07/08/09 01:02 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#866 [向日葵]
蜜「さっちゃんありがとう!」

さっちゃん「なぁに!こんくらいの事ぉ!またいつでも来な!」

さっちゃんは女の人の割りに大きい手で私の頭をわしゃわしゃ撫で回した。

そして私達は保健室を出た。

静かな廊下を歩きながらぼそぼそ喋る。

蜜「大丈夫…ですか?」

セツナ「あぁ。熱い感じはするがな。」

熱い?!それって大丈夫じゃないんじゃ……。

⏰:07/08/09 01:06 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#867 [向日葵]
しゅんと落ち込む私を見てセツナは傷ついてない左手で私の頭を撫でる。

セツナ「気にするな。何よりお前が無事で良かったぞ。」

頭に手を乗せられたまま顔を上げると、セツナはまた優しく微笑んでいた。

蜜「……ありがとうございます…。」

ガラガラガラ

職員室辺りで扉が開く音が聞こえたので、私達はさっと歩き始めた。

蜜「…ん?ルキ?」

紛れもないあの薄いピンクがかった髪の毛は……。

⏰:07/08/09 01:09 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#868 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/09 01:10 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#869 [向日葵]
蜜「ルキ!」

しなやかで小柄な姿が一瞬ピクッと震える。
何かを恐れる様な、だけど睫毛が長く大きな瞳は、私をしっかりと捕えた。

私は駆けよって行くと、予想外にルキはどこへも行かなかった。

蜜「職員室で何か用事?」

ルキ「何でも……ありませんわ。」

失礼しますと言って姿を消そうとするルキを私は止めた。

蜜「待ってルキ!」

⏰:07/08/10 19:54 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#870 [向日葵]
ルキは数歩進んで前を向いたまま立ち止まる。
どうやら話を聞いてくれるらしい。

蜜「この間のお礼がしたいの……。今日、うちにこれる?」

ルキ「……ごめんなさい。」

それだけ言うと、ルキは去って行ってしまった。

この時、ルキの“ごめんなさい”を、“うちにこれなくてごめんなさい”と解釈した私は、後に、その単語が他の意味を含む事を知る……。

――――――……

学校が終わり、家へと帰った私達。

⏰:07/08/10 19:58 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#871 [向日葵]
蜜「今日は絶対安静ですからね!」

ソファーに座り、くつろぐセツナの前に立ち、私は告げた。
その横でオウマ君は物珍しそうにセツナの包帯を見つめる。

オウマ「傷知らずのセツナが怪我するとはなぁ。」

セツナ「ほっとけ。」

とりあえず体は元気なのでホッとした。
夕飯の準備に取り掛かろうとした私は、ラフィーユに目が行った。

そのクールな美貌は何かを警戒する様な目つきをしていた。

⏰:07/08/10 20:03 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#872 [向日葵]
そして呟く。

ラフィーユ「おかしい。」



私の問いかける様な目に気が付いてラフィーユは説明する。

ラフィーユの呟きがセツナ達二人の耳にも入ったのか、肩越しに私とラフィーユを見る。

ラフィーユ「昨日今日とあった怪奇現象。両方、蜜狙い。なら何故、今はない。」

…………っ。
そういえばそれはおかしいかもしれない。

⏰:07/08/10 20:07 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#873 [向日葵]
オウマ「そりゃ学校だけについてるもんだからじゃねぇ?」

ラフィーユ「被害、全て蜜にある。なら家で起こる、おかしくない。」

三人の表情が厳しくなった。

それに学校で狙われたとしても襲ってくるものが変だ。

教室には無いハズの植木鉢。
――何故飛ンデ来タ?

一人でに動くナイフ。
――ドウシテ飛ンデル?

四人は口を閉ざした。

⏰:07/08/10 20:12 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#874 [向日葵]
その時だった。

コンコン

蜜「ぎゃぁぁぁぁ!」

突然庭へ続く窓が鳴ったものだから勢いよくラフィーユに抱きついてしまった。
なんていいタイミング……。

しかし外にいる人物で恐怖は消えた。

蜜「ルキ……?」

ルキは悲しい様な険しい様な顔をして外で待っていた。
私は中へ入れてあげようと窓を開ける。

⏰:07/08/10 20:16 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#875 [向日葵]
蜜「ルキ、来てくれたの?!」

ルキの表情は一層こわばり、その視線は一旦セツナを捕えてから私に戻される。

ルキ「セツナに…用がありますの。いいですか?」

セツナ「俺には無い。さっさと帰れ。」

ルキ「お願いです。今しか……もう無いんです。」

只ならぬ雰囲気を読み取ったのか、セツナは立ち上がると私の隣まで来た。


ルキ「こちらへ……来てください。心配しなくても何もしませんから……。」

⏰:07/08/10 20:19 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#876 [向日葵]
信じたセツナはルキと共に離れた場所に行く。
話声は聞こえるけど、内容までは聞きとれなかった。

その中でセツナが驚いていたり、怒っていたりと言うのがよく分かった。

近くにラフィーユ達に分かる?と言う風に目を向けても、分からないらしく首を横に振るだけだった。

二人が話をしている姿をしばらく見ていると、ルキが背中に光を放ち、羽を出現させたかと思うと飛んでいってしまった。

蜜「あ……。」

呼び止める間なく、ルキはあっという間に姿を消してしまった。

⏰:07/08/10 20:25 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#877 [向日葵]
セツナは少し落ち込んだ様にゆっくり帰ってきた。

蜜「ルキ……どうしたんですか?」

セツナ「……いや。オウマ、ラフィーユ。少しいいか。」

二人の顔がスッと引き締まる。
もしかしたら聞かれたくない話なのかもしれない。

蜜「私、部屋に行ってますね。」

そして私は部屋を後にした。階段を上りながら、あちらの世界で良からぬ事が起こってると認識した。

『あっちもあっちで大変なんだなぁ。』

⏰:07/08/10 20:29 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#878 [向日葵]
なんてったってセツナは長の息子。
それそれなりの責任とか、重圧とかあるんだろうな……。

なのに私に構いっ放しで大丈夫なんだろうか。

部屋についてベッドに勢いよく横になる。
ベッドのスプリングで少し体が浮いた。

明日もこんな調子だったらどうすればいいんだろ。
セツナがまた私のせいで怪我するのは嫌だなぁ……。

もんもんと嫌な事を思い出していると、階下からオウマ君の声がした。

と同時にセツナがドアを開けた。

⏰:07/08/11 00:46 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#879 [向日葵]
ガチャ

オウマ「待てよセツナ!まだ話終わって」

バタン

蜜「い、いいんです……か?」

セツナに聞いてみると、セツナの顔色がなんだか優れかった。
笑ってるけど目がどこか悲しそうで……。

セツナ「いいんだ。それより、俺は今から寝る。」

蜜「今からですか?」

セツナはボスッとベッドに横になる。
私はそれを見てならば部屋を出ようと思った。……が。

⏰:07/08/11 00:50 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#880 [向日葵]
クンッと服を引っ張られて部屋から出ていくのを許されるなかった。

セツナ「蜜。添い寝しろ。」

添い寝?
いつも勝手になったら寝てる癖に。

私がえー……って感じで見ていると、強制でベッドへ引きずりこまれた。

蜜「ちょ、制服シワになる!」

セツナ「気にするな。後でアイロンかければいいだろ。」

人事だと思ってこの人は…ったく…。
アイロンは面倒くさくて嫌いなんだよぅ!

⏰:07/08/11 00:55 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#881 [向日葵]
セツナは満足して私をしったり抱きかかえると、私も眠らせ様とさせてるのか子供をあやす様に背中をポンポンと優しく叩く。

蜜「ちょっと…私は寝ませんよ。」

セツナ「蜜の寝顔見ながら寝たいから寝ろ。命令。」

横暴反た―――い!!!!

でも早く寝ないとこの手からは逃れられそうもない…。私はなんとかして寝ようと試みる。

セツナを見てみると、まだ瞳には憂いが残ってる様に感じられた。

⏰:07/08/11 00:59 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#882 [向日葵]
ソッとセツナの顔に指先を触れる。
でも憂いは更に深まってしまった。

蜜「何か……ありましたか?」

セツナは何も答えない。
ただ私の背中を叩き、私を見つめ、悲しげの瞳で微笑むだけ。

何かを伝えたいの?
でも何を?

蜜「セツナ……?」

名前を囁くと、空間があった体は完全に密着し、セツナの腕の力が強まるだけだった。

セツナは黙って私が寝るのを待っている。
早く寝ろとせかされてる気さえした。

⏰:07/08/11 01:04 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#883 [向日葵]
私は目を閉じ、セツナの体温と息遣いに耳をすませた。

それだけで充分眠気はやって来る。
でも何故か寝たくなんかなかった。

いつも寝る時はセツナの暖かい笑顔を見てから寝るのに、今日はこんな寂しげな顔を見てから寝なくちゃならないなんて。

後から気付いた。





これは警鐘だったんだ……。


私はゆっくりと眠りへと誘われていった……。

⏰:07/08/11 01:07 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#884 [向日葵]
最後にセツナが何か言った。
聞かなきゃならなかったのに、起きてからでいいやって思って私は眠気に身を任せた。





――――
――――――――
……

蜜「ん……んー……。ん?」

あれ?今何時だろう。
携帯携帯……。

……待って。
それどころじゃない。

⏰:07/08/11 01:10 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#885 [向日葵]
蜜「セツナ……?」

隣にいたハズのセツナが




いない。

胸が不規則に動き始める。
落ち着いて。大丈夫。
きっと私が寝てるから気を使って下に行ったんだよ。

でも何故、胸騒ぎが止まらないの?

早歩きで下まで行き、リビングに続くドアを開けた。

―――でも。

⏰:07/08/11 01:13 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#886 [向日葵]
シー……ン。

リビングには暗闇独特の静寂しかなかった。

蜜「セ……セツナ……?」

ギシッ

後ろに誰かいる気配がして、期待を込めて振り向いた。

ラフィーユ「蜜。」

でもそこにいたのはクールな美貌を持った彼女と爽やかなオレンジ色の髪の毛をした青年だった。

蜜「ラフィーユ、オウマ君……。セツナを、知らない…?」

⏰:07/08/11 01:16 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#887 [向日葵]
二人は黙り込む。

それで分かった。

……セツナはいない。

蜜「なん、で……?だって普通に過ごしてたじゃない。……え?……ラ、ラフィーユ……?」

声が震えない様に、そう心がけたら言葉がたどたどしくなった。

半泣き状態でラフィーユに一歩近づく。
クールな彼女の顔に、緊張が走るのが分かった。

蜜「ラフィーユったら!」
半狂乱でラフィーユの腕をガシッと掴むと、オウマ君が停めに入る。

⏰:07/08/11 01:21 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#888 [向日葵]
いつも元気な笑顔の彼の顔は、水面の様に静かだった。

ラフィーユ「蜜。」

何かを決心したかの様にラフィーユは私の名を紡ぐ。そしてか弱そうな手が私の手に置かれた。

ラフィーユ「蜜。落ち着いて聞いて。」

そして悟った。
セツナの瞳の意味。

あれは、さよならを意味してたんだ……。

⏰:07/08/11 01:25 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#889 [向日葵]
チャプター14:別れの説明








リビングに電気をつけて、私はソファーに座った。

ラフィーユは横に。
オウマ君は背もたれをはさんで私の後ろにいる。

ラフィーユ「蜜。」

ラフィーユがもう一度私の名を呼んだ。

ショックで焦点の合わない目が必死にラフィーユを見つめた。

⏰:07/08/11 01:29 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#890 [向日葵]
ラフィーユは一回深呼吸すると話出した。

ラフィーユ「セツナ、いない訳、言う。いなくなったの、蜜、狙われてたから。」

だからって、何故セツナが?
分からない。
ホントに狙われてたからセツナは去ってしまったの?

ラフィーユは上手く話せない自分に困って、オウマ君に目を向ける。

オウマ「セツナ、またターヤに狙われてたんだ。それの囮として蜜がここ二日、危ない目に合ってたんだそうだ。」

それを伝えに来たのが、今日、あの時。ルキが言った。

⏰:07/08/11 01:34 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#891 [向日葵]
ルキは弱味を握られて、でも協力したくなくてターヤさんの目を盗んでセツナに伝えに来たらしい。

そして……私が部屋にいる間の会話がこうだった……。

――――………

一通りを話終え、セツナは二人の反応を見る。

オウマは驚き、ラフィーユは怒りを顔に示していた。

オウマ「また痛い目に合わせるか!」

腕を振りながらやる気満々に笑うオウマ。
それにラフィーユの厳しい目がいく。

⏰:07/08/11 01:37 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#892 [向日葵]
セツナ「いや。俺一人で解決する。」

その言葉に二人はセツナを見つめた。

オウマ「おいセツナ。蜜がいるんだろ?なら止めた方が……。」

セツナ「俺がここにいるせいで蜜にも被害が及ぶ……。少々時間は掛るが行くしかないだろう。」

セツナは過去二回のターヤが蜜に仕掛けた事を未だ悔やんでいた。
自分が守れなかったせいで、彼女はどれほど体に、心に……傷を負っただろう……。

ラフィーユ「そんな事する、蜜心配する。」

⏰:07/08/11 01:42 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#893 [向日葵]
セツナ「だから黙って出ていくつもりだ。……しばしの別れってやつだな……。」

でもこれで蜜が傷付かないで済むならそれでいい。
本当ならばもっと早くに決着をつけるべきだったんだ……。

セツナ「だから二人共。蜜の事、頼んだぞ。」


――――……

私は黙ってオウマ君の話を聞いていた。

蜜「そんな、しばらく別れなきゃいけない方法しかなかったの?!」

⏰:07/08/11 01:46 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#894 [向日葵]
オウマ「あちらに行けば完璧に狙われるのはセツナだ。しかもセツナはターヤのトコまで乗り込むらしいから尚更だろ。」

そんな……。

蜜「馬鹿みたい……。」

それで守ったつもり?

何が傷付けたら……よ。
セツナが急にいなくなった方が……よっぽど痛い。

蜜「変なトコ…不器用なんだから……。」


・・・・・・・・・・・・・・

部屋に戻り、空っぽになったベッドを見つめた。

⏰:07/08/11 01:49 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#895 [向日葵]
さっき。
ついさっきここに一緒にいた。
なんであの目に気づいてあげられなかったんだろう。
今更後悔しても仕方なかった。

涙は不思議と出なかった。

しばしのお別れの理由が嫌いになったからじゃなかったからかもしれない。

それでもやりきれないこの気持ちを押しつけるのは、目の前にあるベッドをしたたか殴るしかなかった。

殴る度に埃と一緒にセツナの香りがしたのが、より私を虚しい気分へと落としていくのだった。

⏰:07/08/11 01:54 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#896 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/11 01:55 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#897 [向日葵]
―――
―――――……

いつの間にか、眠りに落ちていた。
体がダルイ…。学校、行かなきゃ……。

しまった。
制服のまんま寝ちゃったか。

[アイロンかければいいだろ。]

蜜「……。」

とりあえず、お風呂に入ろう。

キュッキュッ……
シャァァァァ……

⏰:07/08/11 23:23 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#898 [向日葵]
カチャ

ラフィーユ「蜜!何してる!」

蜜「へ?」

あ、服着たままだ。
何してんだろう……。
いっか、シワ伸びるかも(笑)

ラフィーユはシャワーを止めて、バスタオルで私の全身を隈無く拭いてくれる。

ラフィーユ「顔色、良くない。今日は学校休め。」

蜜「大丈夫よ。行けるから。」

ラフィーユは私の頭を予め拭くとタオルを乗せて私の顔をジッと見つめる。

⏰:07/08/11 23:28 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#899 [向日葵]
この目知ってる。
怒ってるけど心配してる目。優しい気持ちがこもってる目……。

蜜「ありがとう…。でも本当に大丈夫だから。ラフィーユも学校行こう。」

それでもラフィーユは私の両方の目を交互に見つめる。
どうしても休めと言ってるらしい。
大丈夫。……大丈夫だから。

私はニコッと笑ってみせた。元気だと言う証拠を見せる為に。

蜜「行こう。ラフィーユ。」

⏰:07/08/11 23:37 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#900 [向日葵]
―――
―――――……

怪奇現象騒ぎは勿論無くなって、クラスには平和が訪れていた。

これでやっと高校二年生になった感じだ。

小川「お早う本山!」

蜜「あ…。お早う。」

私は小川君の後ろの席。左はラフィーユ。オウマ君はその後ろ。

蜜「……。」

そして右には……。
いたんだ。昨日まで。

小川「……本山?」

その声に、自分の世界から引き戻された。
まだ頭がぼんやりしてる。

蜜「…何?」

⏰:07/08/11 23:49 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


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