「好き」と言いたい。
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#401 [あんみつ]
佐古さんは、私と正面から向き合った。
だいぶ前に、洋平君と話した裏庭。
今はあの時より、何となく花も色褪せて見える。
佐古さんは1度下を向いて、顔を上げると口を開いた。
「・・・不安なんです」
活発そうな佐古さんが、消えそうな声で言った。
:07/10/29 16:17
:N901iC
:N8JyO4Pk
#402 [あんみつ]
風が吹いて、お互い前より伸びた髪がなびく。
「・・・根宮先輩のことは聞いてます。大事な幼なじみだって。私も、それで納得しようとしました。けどっ・・・」
・・・あぁ、やっぱり。
ほんとは、こんなことを言われる日が、くるんじゃないかって思ってた。
:07/10/29 16:19
:N901iC
:N8JyO4Pk
#403 [あんみつ]
『・・・分かってるよ。ねこちゃんにとっても、健二にとっても・・・お互いが大事なのは』
佐古さんの姿に、洋平君の姿が重なって見える。
:07/10/29 16:21
:N901iC
:N8JyO4Pk
#404 [あんみつ]
「・・・不安なんです。健二先輩にとって、私は・・・根宮先輩以下の存在なんじゃないかって」
佐古さんは、泣きそうな顔をして続ける。
私は、何も言えなかった。
:07/10/29 16:22
:N901iC
:N8JyO4Pk
#405 [あんみつ]
『ねこちゃんの1番って誰??俺は、健二以上になれないの??』
・・・あぁ、一緒だ。
佐古さんも、洋平君と。
私のせいで、傷ついてる。
:07/10/29 16:23
:N901iC
:N8JyO4Pk
#406 [あんみつ]
ぼーっとする頭で、私は佐古さんの次の言葉を待つ。
佐古さんは言いにくそうに、目をつむる。
そして、一息つくと、目を開いて私を真っすぐ見た。
「だから・・・健二先輩と、離れてください」
:07/10/29 16:25
:N901iC
:N8JyO4Pk
#407 [あんみつ]
予想していたといっても、佐古さんの言葉は、私に重くのしかかった。
体の横に握り締めた佐古さんの手は、かすかに震えていた。
「・・・私のわがままだって分かってます。・・・けど、このままじゃ・・・」
言葉をつまらせて、佐古さんはうつむいた。
:07/10/29 16:28
:N901iC
:N8JyO4Pk
#408 [あんみつ]
・・・ねぇ、健二。
佐古さん・・・健二の彼女。
健二のこと、本当に好きなんだね。
こんなこと言うの、きっとすごい勇気がいるよ。
なのに、泣きそうになりながら。
何、つらい思いさせてんの。
・・・私もか。
:07/10/29 16:30
:N901iC
:N8JyO4Pk
#409 [あんみつ]
佐古さんは、うつむいたまま何も言わない。
『ねこ!!』
(・・・健二・・・私は)
もう、傷つけたくないよ。
:07/10/29 16:32
:N901iC
:N8JyO4Pk
#410 [あんみつ]
「・・・分かった」
私は、重い口をゆっくり開いて、言った。
佐古さんが、涙のたまった目で私を見る。
私も、真っすぐ見返す。
そして、もう1度、口を開いた。
「・・・分かったから。・・・その代わり・・・」
:07/10/29 16:33
:N901iC
:N8JyO4Pk
#411 [あんみつ]
・・・ねぇ、健二。
私・・・
間違ってないよね??
:07/10/29 16:34
:N901iC
:N8JyO4Pk
#412 [あんみつ]
――――――――
――――――――

9/17 22:03
To 竹本健二
Sub 遅くなってごめん
日曜、大丈夫だよ☆
どこ行くの??
――――――――
メールを送ると、私はベットに座って、携帯を握り締めた。
少したって開いて、閉じてはまた開いてを繰り返す。
:07/11/03 15:27
:N901iC
:KS7POwTM
#413 [あんみつ]
私はベットに仰向けになって、天井を見た。
『・・・その代わり・・・もう1度、健二と2人で出かけたい。ちゃんと話がしたいの。・・・明後日、それで最後にするから・・・』
私は佐古さんに、確かにそう言った。
佐古さんはゆっくりうなずいて、私に頭を下げた。
:07/11/03 15:29
:N901iC
:KS7POwTM
#414 [あんみつ]
このままじゃダメだと思った。
洋平君や佐古さんを傷つけてまで、健二と一緒にいたいと思うのは、私のわがまま。
・・・いい加減、健二から離れなきゃ。
しっかりしなきゃ。
健二なしでも、大丈夫なように。
強くなれるように。
:07/11/03 15:30
:N901iC
:KS7POwTM
#415 [あんみつ]
ピーピピーピー♪
私は飛び起きて、携帯を開いた。
――――――――

9/17 22:08
From 竹本健二
Sub 無題
よし!!
じゃぁ、俺午前は用事あるから1時に駅前でいい??
行く場所は・・・まぁぶらぶらしながら考えよう。
――――――――
:07/11/03 15:33
:N901iC
:KS7POwTM
#416 [あんみつ]
(・・・健二)
メールを見た途端、胸が苦しくなった。
カチ・・・カチッ
打ちながら、だんだん視界が滲んでくる。
:07/11/03 15:34
:N901iC
:KS7POwTM
#417 [あんみつ]
――――――――

9/17 22:13
To 竹本健二
Sub Re:
分かった☆
じゃぁ、明後日ね!!
――――――――
短い文章に、言葉では言い表わせない気持ちをこめて。
私は、ボタンを押した。
:07/11/03 15:36
:N901iC
:KS7POwTM
#418 [あんみつ]
ほんとはね、自信ないんだ。
健二なしで、これから笑っていける自信。
握り締めたままの携帯に、涙が落ちた。
(・・・健二)
:07/11/03 15:38
:N901iC
:KS7POwTM
#419 [あんみつ]
一緒にいるのが、当たり前だった。
健二は、私の世界の一部だった。
だけど、健二と必要以上に一緒にいることは、他の人を傷つける。
・・・だから、終わりにしよう。
日曜・・・明後日が最後。
:07/11/03 15:40
:N901iC
:KS7POwTM
#420 [あんみつ]
大丈夫、会えないわけじゃない。
「幼なじみ」じゃなくなるわけじゃない。
なのに・・・
ねぇ、健二。
なんで、こんなに涙があふれるのかな??
理由のよく分からない涙は、なかなか止まってはくれなかった。
:07/11/03 15:41
:N901iC
:KS7POwTM
#421 [あんみつ]
:07/11/03 15:45
:N901iC
:KS7POwTM
#422 [め ぐ]
:07/11/03 17:57
:F703i
:38tfxjn2
#423 [れな]
一気に読みました

すごい良いです

切ないです

ハッピーエンドがいいな


更新
頑張って下さい

!
:07/11/03 21:11
:D903i
:bxL3g9vE
#424 [あんみつ]
めぐさん

アンカーありがとうござぃます

れなさん

応援ぁりがとうございます

今から更新します

よかったら感想板にも来てくださぃ
:07/11/11 20:51
:N901iC
:yRk1fCsw
#425 [あんみつ]
16、1番
ずっと、ずっと健二がいた。
私の隣には健二がいて、健二の隣には私がいた。
それだけのことで、私は安心できたんだ。
:07/11/11 20:55
:N901iC
:yRk1fCsw
#426 [あんみつ]
――――――――
――――――――

9/18 20:28
From 竹本健二
Sub 無題
悪いけど、明日やっぱり地元の駅じゃなくて、街の駅前の広場で待っといて!!
――――――――
パコンッ
昨日の夜に健二からきたメールを確認して、私は携帯を閉じた。
:07/11/11 20:56
:N901iC
:yRk1fCsw
#427 [あんみつ]
広場を見回して、空いているベンチに座る。
広場の中央にある時計を見ると、まだ待ち合わせの15分前だった。
(・・・早かったな)
私はぼんやりと、街ゆく人を眺めた。
(・・・健二、用事って何なんだろ)
もう一度時計を見たけど、さっきからまだ2分ぐらいしかたってない。
:07/11/11 20:58
:N901iC
:yRk1fCsw
#428 [あんみつ]
一昨日、健二と離れるって決めた日。
その日の夜は、泣いた。
泣きたくないのに涙が出てきて、止まらなかった。
なのに、今、私の心は穏やかだった。
あの日に泣きすぎて、もう私の中に涙は残っていないのか。
理由は分からないけど、今日健二の前では、絶対に泣きたくなかったから助かった。
:07/11/11 21:00
:N901iC
:yRk1fCsw
#429 [あんみつ]
(・・・あと10分)
今日は、風がない。
9月も半分を過ぎたというのに、まだ日が当たると暑い。
私はなるべく木の日陰に入ろうと、少し体をそらせてベンチにもたれた。
その時、駅の方に歩いていく見知らぬカップルの姿が目に入った。
(・・・あ)
以前見た光景が、頭をよぎる。
:07/11/11 21:03
:N901iC
:yRk1fCsw
#430 [あんみつ]
確かあの時は、まだ7月だった。
・・・ここで、健二と佐古さんが一緒にいるのを見た。
あの後、健二と喧嘩しちゃったんだ。
健二が私に、本当のことを言ってくれなかったのが悲しくて。
:07/11/11 21:05
:N901iC
:yRk1fCsw
#431 [あんみつ]
・・・あの頃は、私も余裕なかったけど。
もっと余裕持ててたら、あんな風に喧嘩しなくて済んだのかな。
『お前だって・・・俺に何も言わねーだろ!!』
あの時の、健二の言葉がよみがえる。
(・・・言わないんじゃなくて、言えなかったんだよ)
:07/11/11 21:07
:N901iC
:yRk1fCsw
#432 [あんみつ]
健二と話さなくなって、本当に辛かった。
けど、奈津美がいて、洋平君がいて、落ち着いて考えて、心に余裕を持ったら、きちんと周りが見えたんだ。
それで、洋平君と付き合おうって決めて、健二とも仲直りできたんだ。
:07/11/11 21:09
:N901iC
:yRk1fCsw
#433 [あんみつ]
・・・私、あの頃より成長したよね??
大丈夫。
前とは違う。
喧嘩して離れるわけじゃない。
・・・大丈夫。
:07/11/11 21:53
:N901iC
:yRk1fCsw
#434 [あんみつ]
時計を見ると、丁度針が動いて1時をさした。
『だから・・・健二先輩と、離れてください』
目を閉じるとまぶたの裏に、泣きそうな佐古さんの姿が浮かんだ。
:07/11/11 21:57
:N901iC
:yRk1fCsw
#435 [あんみつ]
・・・話すのは、最後にしよう。
それまでは、楽しみたい。
久しぶりに健二と2人で、楽しい時間を過ごしたい。
・・・いいよね??
1時を5分過ぎた。
(・・・健二、早く来て)
私は手をぎゅっと握り締めた。
:07/11/11 21:59
:N901iC
:yRk1fCsw
#436 [あんみつ]
――――――――
また、時計の長針が動いた。
祈っても、虚しく時間は過ぎていく。
・・・健二が、来ない。
1時半を過ぎた。
メールを送ったけど、返ってこない。
:07/11/11 22:00
:N901iC
:yRk1fCsw
#437 [あんみつ]
(・・・どうしたの、健二)
妙な胸騒ぎがする。
今まで、こんなことなかった。
遅れることさえ滅多になかったけど、遅れるときはちゃんと連絡くれた。
(・・・怖い)
私は握り締めていた携帯を開いて、健二に電話をかけた。
:07/11/11 22:03
:N901iC
:yRk1fCsw
#438 [あんみつ]
プルルル・・・プルルル・・・
(・・・健二・・・出て)
携帯を握り締める手に、力が入る。
プルルル・・・プルルル・・・
(・・・お願い、健二)
プルルル・・・・・・
長い呼び出し音が、止まった。
:07/11/11 22:04
:N901iC
:yRk1fCsw
#439 [あんみつ]
私は、耳に携帯を押しつける。
が、何も聞こえない。
「・・・健二・・・??」
名前を呼んだ。
{・・・ねこ}
健二だ。
電話の向こうから聞こえた声は、紛れもなく健二の声だ。
:07/11/11 22:06
:N901iC
:yRk1fCsw
#440 [あんみつ]
(・・・良かった)
「健二、どうしたの??今どこ??」
{・・・・・・}
沈黙ばかりで、言葉が返ってこない。
健二が無事だと分かったのに、まだ胸が騒ぐ。
「・・・健二??」
{・・・ねこ、悪い。・・・今日、行けない}
やっと聞こえた健二の声は、何だか暗かった。
:07/11/11 22:07
:N901iC
:yRk1fCsw
#441 [あんみつ]
「・・・え・・・な、何で??」
{・・・・・・}
胸が苦しい。
ドクドクする。
(・・・健二・・・答えて)
{・・・健二先輩}
(・・・え・・・??)
体の中を、何か冷たいものが通った気がした。
:07/11/11 22:09
:N901iC
:yRk1fCsw
#442 [あんみつ]
かすかに聞こえた・・・佐古さんの声。
(・・・なん、で・・・)
{・・・ごめん、ねこ}
ピッ・・・プープー・・・
健二の言葉を最後に、電話が切れた。
:07/11/11 22:11
:N901iC
:yRk1fCsw
#443 [あんみつ]
何で??
ねぇ、健二。
ちゃんと答えてよ。
何で来れないの??
何で佐古さんと一緒なの??
何で答えてくれないの??
たくさんの「何で??」が頭に浮かんだけど、本当のことは何1つ分からない。
:07/11/11 22:12
:N901iC
:yRk1fCsw
#444 [あんみつ]
ただ分かっているのは、今、私の隣に健二はいない。
健二の隣に私はいない。
今、健二の隣にいるのは・・・佐古さん。
・・・私じゃない。
:07/11/11 22:14
:N901iC
:yRk1fCsw
#445 [あんみつ]
私は力なく手をおろすと、そこから動けなかった。
開きっぱなしの携帯を見つめる。
視界が、にじむ。
枯れたと思った涙が、また頬をつたった。
:07/11/11 22:15
:N901iC
:yRk1fCsw
#446 [あんみつ]
ねぇ・・・来てよ、健二。
私の隣に、来てよ。
佐古さんは彼女で、私は幼なじみ。
分かってるのに・・・。
:07/11/11 22:21
:N901iC
:yRk1fCsw
#447 [あんみつ]
健二は私より佐古さんを選んだ。
そう思ったら、苦しかった。
健二が大事なのは、私より佐古さん。
それを実感させられて、悲しかった。
:07/11/11 22:23
:N901iC
:yRk1fCsw
#448 [あんみつ]
「・・・ひっ・・・く」
止めようとしても止まらない。
この感じ、一昨日と一緒。
:07/11/11 22:24
:N901iC
:yRk1fCsw
#449 [あんみつ]
私は、健二が佐古さんと付き合い始めても、変わらず私の隣にいてくれることに、安心してたんだ。
何だかんだ言っても、私が健二を必要なように、健二にも私が必要なんだ、って。
心の底では、健二の1番は私なんだ、って。
自惚れてたんだ。
:07/11/11 22:32
:N901iC
:yRk1fCsw
#450 [あんみつ]
けど、違う。
違うんだ。
健二の1番は・・・私じゃない。
佐古さんなんだ。
:07/11/11 22:33
:N901iC
:yRk1fCsw
#451 [あんみつ]
「・・・っ・・・ひっ」
ぬぐってもぬぐっても、涙が落ちる。
周りの視線を感じたけど、それどころじゃなかった。
(・・・だって・・・分かった)
:07/11/11 22:40
:N901iC
:yRk1fCsw
#452 [あんみつ]
・・・ねぇ、健二。
やっと分かったよ。
私は・・・健二の1番になりたかったんだ。
ずっと、ずっと健二の1番でいたかったんだ。
:07/11/11 22:42
:N901iC
:yRk1fCsw
#453 [あんみつ]
『ねこちゃんの1番って誰??』
・・・ごめん、洋平君。
私にとっての1番は・・・健二なんだ。
健二の1番になりたいって思うのは、私にとって、健二が1番だから。
この涙の訳は、健二の隣にいられないのが、健二が隣にいないのが、つらいから。
:07/11/11 22:44
:N901iC
:yRk1fCsw
#454 [あんみつ]
・・・健二。
私、やっぱり・・・
・・・健二が・・・
「・・・好き」
小さく呟いた気持ちは、涙と共に流れて、地面に溶けた。
・・・健二には、届かない。
:07/11/11 22:50
:N901iC
:yRk1fCsw
#455 [あんみつ]
:07/11/11 22:56
:N901iC
:yRk1fCsw
#456 [あんみつ]
17、言えない気持ち
健二、大好きだよ。
・・・今更、言えないけど。
けど、もしも、時間が戻せたら。
あの七夕の夜に戻れたら。
私は、今度こそ健二に「好き」って言うのかな??
健二にとって私は、「幼なじみ」だと知っていながら・・・。
:07/11/24 22:35
:N901iC
:6PaKTvn2
#457 [あんみつ]
――――――――
あれから、どのくらいたったのだろう。
辺りはすっかり薄暗くなっていた。
涙はもう枯れてしまった。
風が涙の跡を、優しく消していく。
私は、かすむ目をこすって立ち上がった。
:07/11/24 22:37
:N901iC
:6PaKTvn2
#458 [あんみつ]
・・・健二は来なかった。
もう来ないって、分かってた。
けど、あんな電話がきても、それでも今まで待っていたのは、心の奥では期待してたんだ。
信じてたんだ。
健二は来てくれるって。
:07/11/24 22:39
:N901iC
:6PaKTvn2
#459 [あんみつ]
――――――――
地元の駅に着いた時には、辺りは真っ暗になっていた。
私は、重い足を何とか前に出して家に向かう。
電灯の少ない道を、月が明るく照らしている。
:07/11/24 22:40
:N901iC
:6PaKTvn2
#460 [あんみつ]
次の曲がり角を曲がったら、私の家が見える。
少し離れたところに、健二の家も。
あの日は健二、私の家の前で待ってたね。
・・・結局、喧嘩しちゃったけど。
:07/11/24 22:41
:N901iC
:6PaKTvn2
#461 [あんみつ]
健二はいない。
そう、自分に言い聞かせながら。
けど、どこか期待しながら。
私は、曲がり角を曲がった。
・・・健二は、いない。
:07/11/24 22:43
:N901iC
:6PaKTvn2
#462 [あんみつ]
『ねこ!!』
私を呼ぶ、笑顔の健二が頭に浮かぶ。
私は、家の門に手を掛けて、ゆっくりと振り向いた。
見慣れた健二の家。
道路に面した、2階の西側の部屋。
健二の部屋には、灯りがついている。
:07/11/24 22:44
:N901iC
:6PaKTvn2
#463 [あんみつ]
(・・・健二、帰ってるんだ)
私は門を開けて、家に入った。
ガチャッ
「・・・ただいま」
「おかえりー。遅かったねぇ。ご飯は??」
靴を脱いでいると、リビングからお母さんが顔を出した。
「・・・いいや。お腹空いてない」
顔を上げずにそれだけ言って、私は階段を上がった。
:07/11/24 22:47
:N901iC
:6PaKTvn2
#464 [あんみつ]
――――――――
『・・・ごめん、ねこ』
健二は、佐古さんと一緒にいた。
『・・・健二先輩と、離れてください』
ねぇ、健二。
あの「ごめん」は、どういう意味??
健二は・・・私を切ったの??
佐古さんのために。
:07/11/24 22:52
:N901iC
:6PaKTvn2
#465 [あんみつ]
・・・健二から、連絡がない。
考えたくなくても、これは、きっと、そういうことなんだろう。
健二は、私から離れた。
だとしたら、健二は私に話し掛けて来ない。
:07/11/24 22:54
:N901iC
:6PaKTvn2
#466 [あんみつ]
周りを傷つけないために、健二と離れようと思ってた。
思ってたけど・・・こんなのを望んでいた訳じゃない。
私は・・・ちゃんと健二と話がしたかった。
だけど・・・
『・・・明後日、それで最後にするから・・・』
・・・私からは、動けない。
:07/11/24 22:55
:N901iC
:6PaKTvn2
#467 [あんみつ]
本当は、離れずにすむなら、そうしたかった。
本当は、健二に話して、反対してほしかった。
けど・・・健二から先に離れられた。
いっぱい悩んでくれたよね??
簡単に離れたわけじゃないよね??
それで決めたなら、私は何も言えないよ。
:07/11/24 22:56
:N901iC
:6PaKTvn2
#468 [あんみつ]
「離れないで」なんて言えない。
「離れたくない」とも。
・・・「好き」とも。
言ってはいけない、絶対に。
それは、佐古さんの想いを、健二の想いを、踏みにじることになるから。
私は、健二に、「好き」と言えない。
:07/11/24 22:58
:N901iC
:6PaKTvn2
#469 [あんみつ]
けど・・・私には、この気持ちを、正直に伝えなきゃいけない人もいる。
傷つけてばかりだったけど。
また傷つけてしまうけど。
・・・このままではいけないんだ。
:07/11/24 22:59
:N901iC
:6PaKTvn2
#470 [あんみつ]
――――――――
その日の夜は、泣かなかった。
涙がもう、出てこなかった。
馬鹿な私は懲りずに、明日健二がいつも通り、笑って話し掛けてくれることを、期待して眠った。
:07/11/24 23:01
:N901iC
:6PaKTvn2
#471 [あんみつ]
健二が好き。
健二の1番になりたい。
自覚してしまった気持ちは、どんどん大きくなって、私の心を埋め尽くしていった。
:07/11/24 23:02
:N901iC
:6PaKTvn2
#472 [あんみつ]
:07/11/24 23:10
:N901iC
:6PaKTvn2
#473 [め ぐ]
:07/11/26 22:50
:F703i
:dVV6Bg2I
#474 [あんみつ]
:07/11/28 17:35
:N901iC
:4YhyEWsw
#475 [あんみつ]
18、洋平君
この気持ちを、伝えなきゃならない人がいる。
うまく言葉にできるか分からない。
けど、正直に。
それが私にできる、せめてもの償い。
:07/11/28 20:37
:N901iC
:4YhyEWsw
#476 [あんみつ]
――――――――
どんなにつらくても、朝はくる。
今日は、いつもより早く家を出よう。
健二に会わないように。
私を見た時の、健二の態度が怖いから。
予想が、確信に変わるのが怖いから。
:07/11/28 20:39
:N901iC
:4YhyEWsw
#477 [あんみつ]
「・・・いってきまーす」
ドアノブに手を掛けて、ゆっくりと開ける。
私の気持ちとは裏腹に、眩しいくらいのいい天気。
私はドアを片手で押さえたまま、大きく息を吸った。
(・・・行くか)
そう思って、ドアから手を離そうとした時、私は無意識に健二の家の方を見た。
:07/11/28 20:41
:N901iC
:4YhyEWsw
#478 [あんみつ]
(・・・えっ)
そこには、ちょうど家から出てくる健二の姿。
私は思わず、もう一度家に入り、ドアを閉めた。
(・・・え、何で??何でこんな早く・・・)
私は恐る恐る、覗き穴から外を見た。
まだ健二は通らない。
気付かれないと分かっていても、なぜか息を潜めてしまう。
:07/11/28 20:42
:N901iC
:4YhyEWsw
#479 [あんみつ]
(・・・あ)
健二が私の家の前を通り過ぎる・・・と思ったら、立ち止まってこっちを見た。
(何・・・)
健二からこっちが見えるはずないのに、私は目が合っているような気がしてならない。
:07/11/28 20:45
:N901iC
:4YhyEWsw
#480 [あんみつ]
瞬きができない。
正面から見る健二の顔。
いつもの明るい健二じゃない。
何か言いたそうな・・・そんな顔。
少しして、健二はまた前を向いて歩きだし、私の視界から消えた。
:07/11/28 20:46
:N901iC
:4YhyEWsw
#481 [あんみつ]
何、健二??
何か言いたいことがあるの??
あるなら私は、言ってほしいよ。
私だって、言いたいことある。
・・・けど、健二は何も言ってくれないんだね。
:07/11/28 20:53
:N901iC
:4YhyEWsw
#482 [あんみつ]
それに・・・こんな早くに、学校に行く健二。
・・・ねぇ、健二。
健二も、私を避けたんだね。
・・・予想が、確信に変わっていく。
健二は・・・私から離れたんだね。
:07/11/28 20:54
:N901iC
:4YhyEWsw
#483 [あんみつ]
――――――――
結局私は、いつも通りの時間に家を出た。
ちゃんと歩いていたつもりなのに、学校に着いたのがぎりぎりでびっくりした。
「ねこ、今日遅かったね。どしたの??」
1時間目が終わり、奈津美が私のところに来る。
:07/11/28 20:59
:N901iC
:4YhyEWsw
#484 [あんみつ]
「んー、ちょっとね」
それだけ言うと、奈津美は「ふーん」と言って、前の空いている席に座った。
それから奈津美は、何も言わない。
私は、何も言えない。
:07/11/28 21:00
:N901iC
:4YhyEWsw
#485 [あんみつ]
奈津美に言いたいこと、聞いてほしいことは、たくさんある。
でも今は、言葉がでない。
それに、奈津美より先に、言わなきゃいけない人がいる。
:07/11/28 21:02
:N901iC
:4YhyEWsw
#486 [あんみつ]
少しの沈黙のあと、奈津美は私の頭を優しく叩いた。
「言えるようになったら、聞くからね??」
そう言って笑う。
「・・・ありがと」
私が言うと、奈津美は自分の席に帰っていった。
:07/11/28 21:03
:N901iC
:4YhyEWsw
#487 [あんみつ]
ありがとう。
何度言っても足りないよ。
言える時がきたら、奈津美にもちゃんと話すよ。
奈津美にも、聞いてほしいんだ。
どうしようもない、私の気持ち。
:07/11/28 21:05
:N901iC
:4YhyEWsw
#488 [あんみつ]
奈津美がいなくなって、私は携帯を取り出した。
カチッカチッ
――――――――

9/20 9:22
To 田村洋平
Sub 無題
話したいことがあるの。
今日の放課後、裏庭に来てほしい。
――――――――
:07/11/28 21:06
:N901iC
:4YhyEWsw
#489 [む〜み〜]
更新待ってます(´・ω・`)
:07/12/07 13:49
:SO903iTV
:Es2Qr2l.
#490 [あんみつ]
む〜み〜さん

ぁりがとうございます

今テスト中で、ただでさえ遅い更新が、ストップしてました

すみません

まだテスト終わってませんが、時間ができたので今から少し更新しますね

:07/12/08 08:41
:N901iC
:YQl3TXec
#491 [あんみつ]
――――――――
私、洋平君に支えられたこと、いっぱいあったよ。
けど私は、洋平君に何かしてあげれたかな??
:07/12/08 08:43
:N901iC
:YQl3TXec
#492 [あんみつ]
裏庭に着いて、辺りを見回す。
洋平君は、まだ来ていない。
私はベンチに腰を下ろして、静かに目を閉じた。
遠くで、生徒達の笑い声が聞こえる。
:07/12/08 08:44
:N901iC
:YQl3TXec
#493 [あんみつ]
『洋平君の事・・・ちゃんと考える』
『・・・健二先輩と、離れてください』
・・・いろいろあった。
いろいろあったよ。
:07/12/08 08:46
:N901iC
:YQl3TXec
#494 [あんみつ]
洋平君のことちゃんと考えて、付き合うって決めた。
私の選択は、間違ってたのかな。
結局私は、自分のことしか考えてなかったんじゃないかな。
私は・・・洋平君の優しさに逃げたんじゃないかな。
:07/12/08 08:47
:N901iC
:YQl3TXec
#495 [あんみつ]
「ごめん、待った??」
目を開けて上を見ると、洋平君が立っていた。
「・・・ううん、全然」
「そっか。なら良かった」
そう言うと洋平君は、私の隣に腰を下ろした。
洋平君は何も言わない。
雰囲気で分かる。
私の言葉を待ってくれている。
:07/12/08 08:49
:N901iC
:YQl3TXec
#496 [あんみつ]
温かい人、優しい人。
この人に・・・嘘はつけない。
「・・・洋平君」
私は、振り絞るように言った。
自分の心臓の音が、やけに大きく聞こえる。
洋平君の方を見ると、洋平君も私を見ていた。
真っすぐな瞳で見られると、胸が苦しくなった。
:07/12/08 08:50
:N901iC
:YQl3TXec
#497 [あんみつ]
けど、言わなきゃいけない。
このままじゃいけない。
(・・・洋平君)
『ねこ!!』
(・・・健二)
:07/12/08 08:52
:N901iC
:YQl3TXec
#498 [あんみつ]
私は、ゆっくり口を開く。
「・・・洋平君」
私はもう一度言って、息を吸った。
大丈夫、言える。
「・・・私、健二が好きなの」
:07/12/08 08:54
:N901iC
:YQl3TXec
#499 [あんみつ]
吐き出すように、言った。
これが、どうしようもない私の気持ち。
「・・・洋平君のこと、好きだよ。けど・・・私にとっての1番は・・・やっぱり健二なの」
少しずつ、少しずつ。
言葉をつなげる。
:07/12/08 08:56
:N901iC
:YQl3TXec
#500 [あんみつ]
洋平君は、まっすぐ私を見ている。
怒りとも、悲しみともとれない表情で。
少しも目をそらさない。
「・・・ごめんなさい」
私は頭を下げた。
たまらなく、胸が苦しくなった。
洋平君の真っすぐな瞳から逃げた。
私はやっぱり、弱虫だ。
:07/12/08 08:58
:N901iC
:YQl3TXec
#501 [あんみつ]
「・・・謝るなよ」
洋平君が言った。
頭に温もりを感じる。
洋平君の手だ。
私は、そっと顔を上げた。
:07/12/08 08:59
:N901iC
:YQl3TXec
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