「好き」と言いたい。
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#312 [あんみつ]
 
考えてるうちに、それぞれのクラス、走っているのはすでに4人目の走者になっていた。

走るのは5人なので、次がアンカー。

洋平君の番だ。

アンカーの選手たちは、立ってバトンを待っている。

今のところ、2組は2位。

1位は・・・あ、うちのクラスだ。
 

⏰:07/09/24 17:27 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#313 [あんみつ]
 
差がなかなか縮まらない。

変わらないまま、洋平君にバトンが渡った。

「わ・・・はや」

速い。

洋平君はぐんぐんスピードを上げて、うちのクラスのアンカーと並んだ。

競り合いながら、私たちの応援席の前を通過する。
 

⏰:07/09/24 17:28 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#314 [あんみつ]
 
「洋平君、速いじゃん!!」

奈津美が私の肩を叩いてくる。

私はうなずきながら、洋平君を目で追う。

わずかに洋平君がリードして、そのままゴールした。
 

⏰:07/09/24 17:31 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#315 [あんみつ]
 
「すごい!!1位だー!!」

私は、肩に置かれっぱなしだった奈津美の手を取った。

「ねー!!すごい速かった!!」
奈津美も私の手を持って、ぶんぶんと振り回す。

「うん!!めっちゃすご・・・い」
 

⏰:07/09/24 19:38 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#316 [あんみつ]
 
(・・・やば)

私たちに向けられているのは、7組一同の冷たい眼差し。

私の様子を見て、奈津美もそれに気付いたらしい。

私の手を離して、へへっと苦笑いをしながら、そっと立ち上がって応援席から出ようとする。

私もそれに続いて、応援席から抜け出した。

 

⏰:07/09/24 20:53 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#317 [あんみつ]
 

「あー、失敗したー」

応援席から離れて、私は言った。

けど、本当は口で言うほど気にしてない。

みんなの冷たい眼差しより、走る洋平君の姿が目に焼き付いて離れない。

思い出すと、また顔がほてってきた。

「やっちゃったよねー。けど、ほんと速かった!!」

奈津美もたいして気にしてなさそう。
 

⏰:07/09/24 20:55 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#318 [あんみつ]
 
ピンポンパンポーン

{これで午前の部を終了します。12時40分まで休憩なので、各自お昼をとって下さい}

「もう昼なんだ。お弁当取り行こー」

「うん」

 

⏰:07/09/24 20:56 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#319 [あんみつ]
――――――――


昇降口に着いて、朝クラスごとにお弁当を集めた段ボール箱から、自分のを探す。

「あ、あった!!」

他の人のお弁当をひっくり返さないように、私は自分のを取り出した。

「どうする??この辺で食べる??影だし」

「だねー。あ、あそこは??」

そう言って、奈津美は昇降口前に植えてある木の下を指差した。
 

⏰:07/09/24 20:58 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#320 [あんみつ]
 
私たちは木の下に移動して、囲いのわずかな段差に座った。

「いただきまーす」

お茶で喉を潤した後、私はお弁当を広げて、手をあわせた。

「お、旨そうじゃん」

卵焼きを食べようとすると、上から声がした。
 

⏰:07/09/24 20:59 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#321 [あんみつ]
 
上を向くと、案の定、健二が立っていた。

日に焼けたのか、何となく朝会った時より、鼻が赤くなっている気がする。

「健二、自分のあるでしょー」

私は止まっていた箸を動かして、卵焼きを口に入れた。

「うちの、冷凍食品ばっかだし」

健二は言いながら、私の前にしゃがむ。
 

⏰:07/09/24 21:01 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#322 [あんみつ]
 
「うわ、おばさんに言ってやろーっと」

私は笑いながら、唐揚げに箸を伸ばす。

「どーぞ、ご自由に」

私の箸が唐揚げを取る前に、健二の指が唐揚げをさらっていった。

「あー!!ちょっと!!」

「うめー!!じゃあな」

健二は唐揚げを口に入れると、さっさと友達の元に戻っていった。
 

⏰:07/09/24 21:02 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#323 [あんみつ]
 
「あーあ、唐揚げ・・・」

「ははっ!!相変わらずだねー」

横でやりとりを見ていた奈津美が笑う。
 

⏰:07/09/24 21:03 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#324 [あんみつ]
 
「ほんとに!!全然成長しないよね」

「ねこもねー」

奈津美の言葉に、私はうなった。

ふと奈津美のお弁当を見ると、いつのまにかだいぶ食べ進んでいる。

それを見て私は、慌ててご飯を口に運んだ。

 

⏰:07/09/24 21:04 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#325 [あんみつ]
――――――――


私が食べ終わった時には、もう12時半で、午後1番の綱引きにでる私たちは、早足でグラウンドに向かう。

「あ、ねこちゃん!!」

呼ばれて立ち止まると、洋平君が駆け寄ってきた。

「洋平君、1位おめでとー!!すごい速かった!!ね、奈津美!!」
 

⏰:07/09/24 21:28 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#326 [あんみつ]
 
「あ、うん!!」

急に話をふったからか、奈津美は慌てて何度もうなずいた。

「そ??ありがとう」

洋平君は、私と奈津美の顔を交互に見て言った。

「ねこちゃんは??あと綱引きだっけ??」

「うん、そう。洋平君、借り物頑張ってね!!」

「おう、綱引きもな!!」
 

⏰:07/09/24 21:29 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#327 [あんみつ]
 
「うん!!ごめん、行こ、奈津美」

再び早足で入場門に向かう。

「・・・ねぇ、ねこ」

「ん??」

ピンポンパンポーン

{綱引きと障害物競走に出る選手は、入場門に集まって下さい}
 

⏰:07/09/24 21:30 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#328 [あんみつ]
 
「やば、急ご!!あ、ごめん、何??」

「いや・・・何か2人、付き合ってるって感じしてきたなーって!!」

そう言って、奈津美は私の肩をこづく。

「へ??そう??」

改めて言われると、少し照れ臭かった。

 

⏰:07/09/24 21:31 📱:N901iC 🆔:E6Bwt1vM


#329 [あんみつ]
――――――――


「あー、手の皮むけた」

綱引きを終えて、私たちは応援席に戻った。

手の皮がむけるまで頑張った甲斐あって、結果はなんと1位。

これで100mリレーで、うちのクラスを応援しなかったことは、許してほしい。

まぁ、もうみんな忘れてるみたいだけど。
 

⏰:07/09/30 21:16 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#330 [あんみつ]
 
何となく、前に行きにくい私たちは、応援席の後ろの方に座っていた。

「借り物っていつだっけ??」

奈津美に聞かれて、私はポケットからプログラムを取り出す。

「えっと・・・あ、もう次だ」

「えー。前、行けるかなー」
 

⏰:07/09/30 21:17 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#331 [あんみつ]
 
前には、すでに自分の競技に出終わって、動かなさそうな人たち。

「・・・ちゃんと見たいんだけどなー」

(・・・健二も出るし)

・・・

(・・・いや、私が応援するのは洋平君だし)

思った後、すぐに思い直した。

 

⏰:07/09/30 21:19 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#332 [あんみつ]
 

『・・・借り物競走、健二も出るけど・・・ねこちゃんには俺の事、応援してほしい・・・』


そう。

私が付き合ってるのは、洋平君だもん。

健二より、洋平君を応援するのは当たり前だ。

 

⏰:07/09/30 21:20 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#333 [あんみつ]
 

{次は借り物競走です。選手が入場します}

アナウンスがかかって、私はハッとした。

借り物競走は、わが校の体育祭の中で、盛り上がる種目の1つ。

前にいる人たちがすでに立ち上がっているので、よく見えない。

「もー!!見えないー」

奈津美もいつのまにか立ち上がって、私の横で飛び跳ねている。
 

⏰:07/09/30 21:21 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#334 [あんみつ]
 
私も遅れて立ち上がった。

パンッ!!

ピストルが鳴った。

始まったみたいだ。

歓声が一層大きくなる。

私も奈津美同様、飛び跳ねてみるが、やっぱり見えない。

(・・・え??)

こりずに飛び跳ねていると、急に、前に見える人の頭が、私のいる所を境に、だんだん両側に分かれていく。
 

⏰:07/09/30 21:22 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#335 [あんみつ]
 
(何??まさか、私が見えるように??)

バカなことを考えていると、私のすぐ前にいた背の高い男子が、私の方を振り向く。

そして右によけた。

「ねこ!!」

私の前の視界が開けたのと同時に、声がした。

人と人の間をぬって、声の主が私に向かって走ってくる。
 

⏰:07/09/30 21:24 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#336 [あんみつ]
 
「ねこ、来い!!」

声の主、健二は、私の手首をつかんで引っ張った。

「え??ちょっと、何!?」

私の質問には答えずに、健二は私を、リレーのコースに連れ出した。

「走れ、ねこ!!」

健二は、私の手首を引いて走りだす。

それにつられて、私の足も動く。
 

⏰:07/09/30 21:25 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#337 [あんみつ]
 
応援席からは、キャーとかワーとか、歓声がさらに激しさを増す。

(・・・何なの??)

走るスピードが上がった。

私は、健二に引かれるままに全速力で走る。

「・・・はぁ・・・はぁ」

必死で走るが、足が速い方でない私が、健二のスピードについていけるわけがない。
 

⏰:07/09/30 21:26 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#338 [あんみつ]
 
健二の手が、私の手首から離れた。

それに気付いた健二は振り向いて、今度は私の手をしっかりと握る。

「大丈夫か??あとちょっとだから、頑張れ!!」

そう言って健二は、ゆっくりと走りだす。

今度は、駆け足程度のスピードで。

 

⏰:07/09/30 21:27 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#339 [あんみつ]
 

前方に、白いテープが見えた。

ゴールだ。

あと少し・・・。

・・・3m、2m、1m。


パンッ!!

健二と、2人で並んでゴールした。

途端、私は健二の手を放して、その場にしゃがみこんだ。
 

⏰:07/09/30 21:28 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#340 [あんみつ]
 
「・・・はぁ・・・はぁ」

久しぶりに走ったせいか、かなりしんどい。

その時、健二も隣にしゃがんで、私の頭に手を置いた。

「よく頑張りました。ありがとな!!」

そう言って、ぽんぽんと叩く。

だんだんと落ち着いてくる。
 

⏰:07/09/30 21:29 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#341 [あんみつ]
 
私は、大きく深呼吸した。

「はぁ・・・何??私が借り物だったの??」

私が聞くと、健二はニヤーっと笑いながら、手に持っていた紙を見せる。

「そう!!お題は"猫目の女子"」

そう言うと健二は、私の目元を指差した。
 

⏰:07/09/30 21:30 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#342 [あんみつ]
 
「はぁ!?何、猫目って!!」

「ほんとのことじゃん」

そう言って笑う健二の指先を、私は払った。

「1位の人、こっちに並んでくださーい!!」

1位の旗を持った体育委員が、私たちを呼んだ。
 

⏰:07/09/30 21:31 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#343 [あんみつ]
 
「ほら、行くぞ」

健二は立ち上がって、私に手を差し出す。

私はそれを掴んで、勢いをつけて立ち上がった。
 

⏰:07/09/30 21:32 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#344 [あんみつ]
 
「・・・ふ」

「何だよ??」

「健二の手、汗かいてるー」

私は手を放して、ひらひらと振ってみせた。

「は??ねこの汗だろ!!」

健二に頭をこずかれて、私は笑った。

 

⏰:07/09/30 21:33 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#345 [あんみつ]
――――――――


ねぇ、健二。

猫目の女の子なんて、他にもいるでしょ??

なのに、私の所に来たって事は、健二にとって私の存在は、けっこう大きなものなんだって、思ってもいい??

彼女じゃなくても、特別な存在なんだって、うぬぼれてもいい??

 

⏰:07/09/30 21:43 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#346 [あんみつ]
 

健二の手の温もりや、優しさ。

ずっと、ずっと変わらないでね。

 

⏰:07/09/30 21:44 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#347 [あんみつ]
13話目は以上です
長くなっちゃった
よかったら読んでみてください

感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/36-40

⏰:07/09/30 21:48 📱:N901iC 🆔:t6MEvR6Q


#348 [あんみつ]
14、想い


私は、まわりが見えていなかった。

健二といると、あまりに楽しかったから。

健二の手が、あまりに温かかったから。


・・・私にとって、健二の存在は絶対だった。

 

⏰:07/10/08 14:19 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#349 [あんみつ]
――――――――


私は、間違っていたのかもしれない。

健二と一緒に、素直に走るべきじゃなかったのかもしれない。

後からゴールしてきた洋平君と、目が合って思った。

 

⏰:07/10/08 14:26 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#350 [あんみつ]
 

風が吹いて、グラウンドの砂を舞い上げる。

私は思わず目を閉じ、風が止むのを待って、また開いた。

(・・・あ)

洋平君は、私からすっと目をそらした。

そして、4位の旗の前に並ぶ。
 

⏰:07/10/08 14:32 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#351 [あんみつ]
 
気付いた健二が、心配そうに私の方を振り向いた。

「・・・ねこ、俺」

「ん??大丈夫だよ」

私は、健二の言葉をさえぎって言った。

 

⏰:07/10/08 14:34 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#352 [あんみつ]
 

健二は、きっと「ごめん」って言おうとしたんだ。

「ごめん」なんて言わないで。

健二は悪くない。

私、嬉しかった。

健二が、私の所に来てくれて。
 

⏰:07/10/08 14:36 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#353 [あんみつ]
 
楽しかった。

健二と笑い合えて。

けど、私は・・・間違っていたのかもしれない。

私を見た洋平君の目は、悲しそうだった。

 

⏰:07/10/08 14:37 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#354 [あんみつ]
――――――――


「えーみんな、おつかれ!!7組、総合3位を祝って!!乾杯!!」

「「かんぱーい!!」」

みんな口々に言って、近くの人と缶をぶつけ合う。

小さめの缶ジュースは、担任から、生徒38人への差し入れ。
 

⏰:07/10/08 14:39 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#355 [あんみつ]
 
「おつかれー!!」

「おつかれ!!」

私も近くの人たちと乾杯し、最後に奈津美と缶をぶつけて1口飲んだ。

オレンジの甘酸っぱさが、口の中に広がる。

 

⏰:07/10/08 14:41 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#356 [あんみつ]
 

借り物が終わって、すぐ応援席に戻った。

何か、洋平君に言うべきかと思ったけど、何を言えば良いのか分からなかった。

「ねこ、すごかったねー!!」

応援席に戻ると、みんな口々に言った。
 

⏰:07/10/08 14:46 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#357 [あんみつ]
 
「ねぇ、やっぱねこと竹本君って付き合ってるの??」

今まで何度もされてきた質問。

私は、洋平君と付き合っていることを、奈津美と健二以外に言っていない。

言わなくても、その内気付かれると思ったし、言う気にもなれなかった。
 

⏰:07/10/08 16:21 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#358 [あんみつ]
 
洋平君と付き合ってても、健二を手放そうとしない自分が、ずるいのは分かってるから。

健二を手放せない自分が、臆病なのも分かってるから。

だから私は、ただいつも通りの言葉を返す。

「ただの幼なじみだよー」

言い慣れたはずの言葉が、何となく重くて、痛かった。

 

⏰:07/10/08 16:23 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#359 [あんみつ]
 

「・・・こ、ねこ!!」

奈津美が私の顔を覗き込んでいた。

「あ、ごめん。何??」

教室は盛り上がって、そこら中でカメラのシャッター音が響いていた。
 

⏰:07/10/08 21:24 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#360 [あんみつ]
 
「いや、別に何でもないけど・・・疲れた??」

奈津美が心配そうに聞く。

「んー・・・ちょっとね」

私は、両手で缶を握り締めた。

 

⏰:07/10/08 21:25 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#361 [あんみつ]
 

私は、間違っていたのかな??

きっと私は、これからも健二を手放せない。

絶対に失いたくない存在。

大切な人。

私は、この気持ちを、誰に伝えればいいんだろう。

誰に・・・。

 

⏰:07/10/08 21:27 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#362 [あんみつ]
 

ガタッ

私は残りのジュースを一気に飲んで、立ち上がった。

「ねこ??」

「ごめん、奈津美・・・私帰るね!!」

荷物を引っ掴んで、私は教室を出た。

 

⏰:07/10/08 21:28 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#363 [真帆]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400

⏰:07/10/08 21:30 📱:F902i 🆔:7aA1iCdQ


#364 [あんみつ]
――――――――


うまく言えるか分からない。

けど、伝えなきゃならない。

じゃないと、また私は、あの人を傷つける。

傷つけたくない。

傷つけてはいけない。

私のことを想ってくれる気持ちを、裏切ることになるから。

だから・・・

 

⏰:07/10/08 21:51 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#365 [あんみつ]
真帆さん
アンカー(?)ありがとうございます

⏰:07/10/08 21:53 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#366 [あんみつ]
 

ドンッ!!

廊下の曲がり角で、誰かにぶつかってよろけた。

「わっごめん!!・・・て、ねこちゃん??」

「・・・洋平君」

「ごめん、大丈夫??」

洋平君は、借り物の前と変わらない、優しい目で私を覗き込む。

その目を見て、私はほっとした。
 

⏰:07/10/08 21:59 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#367 [あんみつ]
 
「あ、うん。大丈夫」

(・・・前もこんなことあったな)

「そっか。どしたの急いで??」

「洋平君のとこ・・・行こうと思って」

私が言うと、洋平君は驚いた顔をした。
 

⏰:07/10/08 22:01 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#368 [あんみつ]
 
「俺も、ねこちゃんのクラス行くところだった」

そう言って、洋平君はふっと笑った。

洋平君が笑うから、私も笑えた。

(・・・よかった)
 

⏰:07/10/08 22:02 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#369 [あんみつ]
 
「じゃぁ・・・」

「一緒に帰ろっか」

私が言う前に、洋平君が言った。

「・・・うん」


この人に、伝える。

 

⏰:07/10/08 22:03 📱:N901iC 🆔:cPjKM5TQ


#370 [あんみつ]
――――――――


グラウンドに、私と、自転車を押す洋平君の影が伸びる。

みんなまだそれぞれの教室で騒いでいるのか、外にいる生徒は少なく、静かだった。

「あーなんか疲れたな」

そう言うと、洋平君は首を回した。
 

⏰:07/10/19 22:13 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#371 [あんみつ]
 
「洋平君、100mすごかったしねー!!」

私の言葉に、洋平君は照れ臭そうに「まーな」と言った。

校門を出ると、洋平君はさり気なく車道側に行く。

いつも通りの優しさが、今の私の心にひしひしと伝わってくる。
 

⏰:07/10/19 22:16 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#372 [あんみつ]
 
(・・・言わなきゃ)

「・・・洋」

チリンチリーン

後ろで自転車のベルが鳴った。

洋平君が私の前に来て、1列になる。

2人乗りをした他校の学生が、私たちの横を通り抜けた。
 

⏰:07/10/19 22:17 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#373 [あんみつ]
 
後ろに乗った小柄な女の子が、前の男子の大きな背中にしがみついている。

自転車が通り過ぎて、洋平君は再び私の横に並んだ。

タイミングを逃した私は、口をつぐむ。

「・・・俺が」

洋平君が口を開いた。
 

⏰:07/10/19 22:18 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#374 [あんみつ]
 
私は、洋平君の方を見た。

「・・・俺が、後ろにねこちゃんを乗せないのは・・・歩いて帰って、少しでも長く、ねこちゃんと話していたいから」

洋平君は前を見据えている。

夕日に照らされて、その横顔はオレンジ色だった。
 

⏰:07/10/19 22:20 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#375 [あんみつ]
 
「・・・健二よりも長く、ねこちゃんと一緒にいたいって思うから」

(・・・あ)

「・・・洋平君、健二は」

「分かってる」

洋平君は、私の言葉をさえぎった。

「・・・分かってるよ。ねこちゃんにとっても、健二にとっても・・・お互いが大事なのは」

洋平君は、片手で軽く頭を押さえた。
 

⏰:07/10/19 22:23 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#376 [あんみつ]
 
「けど・・・ねこちゃんの1番って誰??俺は、健二以上になれないの??」

歩くスピードを落とすことなく、洋平君は続ける。

「・・・そんな」

口の中が乾く。

(そんなこと・・・)

言葉がでない。
 

⏰:07/10/19 22:25 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#377 [あんみつ]
 
「・・・ごめん、意地悪言った」

洋平君が、やっと私の方を向いた。

「ごめんな。・・・ただ、健二に嫉妬してるだけだから」

立ち止まって、私の頭を撫でる。

「あとちょっとだけど・・・後ろ乗る??」

そう言って、洋平君は自転車の後ろを手で叩いた。
 

⏰:07/10/19 22:29 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#378 [あんみつ]
 
「・・・うん」

私は頷いた。

洋平君の後ろに乗って、両手で座っている荷台を掴む。

私が乗ったのを確認して、洋平君は自転車を漕ぎ始めた。

ゆっくりと進む。

お互い何も言わない。

 

⏰:07/10/19 22:31 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#379 [あんみつ]
 

あまり、顔を見られたくなかった。

多分、今私は、泣きそうな顔してる。

何も言えなかった。

きっと、また傷つけた。

『ごめん』って。

言うのは私の方だよ。


洋平君の広い背中を見ると、胸が締め付けられる思いがした。

 

⏰:07/10/19 22:32 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#380 [あんみつ]
――――――――


洋平君は、私の家のすぐ前で自転車を止めた。

私は降りて、洋平君からカバンを受け取る。

上手く目を見れない。

けど、このままじゃダメだ。

何か言わなきゃ。

「・・・私」

口を開いたけど、言葉が見つからない。
 

⏰:07/10/19 22:43 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#381 [あんみつ]
 
(なんで・・・)

喉が熱い。

洋平君の顔を見れずに、私はうつむいた。

すると、頭を2度、優しく叩かれた。
 

⏰:07/10/19 22:45 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#382 [あんみつ]
 
「ありがとう・・・じゃ」

洋平君が言い終わると同時に、頭から手が離れた。

私がそっと前を向くと、洋平君はすでにだいぶ進んでいた。

後ろ姿を見ていたら、また泣きそうになった。

 

⏰:07/10/19 22:51 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#383 [あんみつ]
 

あの手に私は、何度救われただろう。

なのに、私は傷つけてばかり。

「ごめん」も「ありがとう」も、みんな私のセリフだよ。

 

⏰:07/10/19 23:04 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#384 [あんみつ]
 

『ねこちゃんの1番って誰??』

あの時、何も言えなかったのは、洋平君の顔を見れなかったのは・・・。


私は門の前に座り込んだ。

「・・・なんで」

 

⏰:07/10/19 23:07 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#385 [あんみつ]
 

あの時、1番に頭に浮かんだのは・・・健二の顔だった。


私には洋平君がいるのに。

私、洋平君のこと好きだよ??

なのに、まだまだ「好き」が足りないの??

 

⏰:07/10/19 23:09 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#386 [あんみつ]
 

考えても考えても、自分の想いの深さは分からなくて。

けど、確かに言えるのは、健二を手放すっていう選択肢は、私の中になかったということ。


ねぇ、健二。

私は・・・ずるい。

 

⏰:07/10/19 23:12 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#387 [あんみつ]
14話目は以上です
感想くれると嬉しいです
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:07/10/19 23:15 📱:N901iC 🆔:L5RMhy3k


#388 [我輩は匿名である]
>>312-400

⏰:07/10/20 10:18 📱:P903i 🆔:LFsXw3nI


#389 [あんみつ]
匿名さん
ぁりがとぅござぃます
今から少し更新します

⏰:07/10/28 21:28 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#390 [あんみつ]
15、明後日


体育祭から1週間たった。

洋平君とは一緒に帰ったりもしたけど、当たり障りのない会話しかしていない。

不自然なのは分かってる。

けど私は、どうすればいいのか、自分がどうしたいのか、分からなかった。

 

⏰:07/10/28 21:33 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#391 [あんみつ]
――――――――


「なぁ、ねこ日曜暇??」

「へ??日曜??」

間抜けな声が出て、健二に笑われた。

「はっ!!・・・久しぶりに2人でどっか行こー」

健二は靴を履きかえながら、平然と言った。

(・・・健二と2人で)
 

⏰:07/10/28 21:40 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#392 [あんみつ]
 
「・・・おい、何止まってんの」

靴を持って止まったままの私の手を、健二がはたく。

「あ、えーと・・・」

私は、靴を下駄箱にしまいながら考える。

「何か用事ある??」

(ないけど・・・)
 

⏰:07/10/28 21:42 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#393 [あんみつ]
 
「おっす、健二!!1時間目体育だよな??」

がっちりした感じの男子が、健二の肩を叩いた。

「あ、やべ!!ねこ、ごめん先行くわ。メールしろよ!!」

「あ、うん」

私がうなずいたのを確認して、健二は友達と階段を駆け上がっていった。

 

⏰:07/10/28 21:49 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#394 [あんみつ]
 

何で誘ってくれたんだろう。

ただの気紛れ??

けど、理由はどうであれ・・・嬉しい。

健二と2人で出かけるのなんて、ほんと久しぶり。
 

⏰:07/10/28 21:51 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#395 [あんみつ]
 
けど・・・

今、健二と2人で出かけてる場合じゃない。

分かってる。

分かってるのに。

・・・胸が高鳴る自分がいるのを、私は否定できなかった。

 

⏰:07/10/28 21:54 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#396 [あんみつ]
――――――――


(・・・どうしよ)

みんながだんだんと帰り始める中、私はまだ自分の席に座ったままでいた。


何だかんだで、洋平君は放課後、いつも私を迎えにきてくれる。

だけど、待ってるだけじゃダメな気がする。

私からも動かなきゃ。

 

⏰:07/10/28 21:58 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#397 [あんみつ]
 

(・・・よし!!)

「ねこー!!呼んでるよー」

私が立ち上がった時、ドアの所にいる友達に呼ばれた。

(え、洋平君かな??出遅れちゃった・・・)

かばんを持って、足早にドアの所へ向かう。

「・・・あ」

驚きを、思わず声に出してしまった。
 

⏰:07/10/28 21:59 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#398 [あんみつ]
 
「こんにちは。あの・・・ちょっといいですか??」

目の前にいるのは・・・佐古さん。


健二の・・・彼女。

 

⏰:07/10/28 22:01 📱:N901iC 🆔:G7bXKkWg


#399 [あんみつ]
――――――――


カチカチッ

――――――――
9/17 16:02
To 田村洋平
Sub 無題

ごめん!!
今日用事できたから、先帰ってて(pω・`)
――――――――
 

⏰:07/10/29 16:14 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#400 [あんみつ]
 
パコンッ

携帯を閉じて、私は前を向いた。

それに気付いて、佐古さんが振り向く。

「ごめんね。・・・で、話って・・・??」

私は、恐る恐る聞いた。

けど、本当は何を言われるか、何となく分かる。
 

⏰:07/10/29 16:16 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#401 [あんみつ]
 
佐古さんは、私と正面から向き合った。

だいぶ前に、洋平君と話した裏庭。

今はあの時より、何となく花も色褪せて見える。

佐古さんは1度下を向いて、顔を上げると口を開いた。

「・・・不安なんです」

活発そうな佐古さんが、消えそうな声で言った。
 

⏰:07/10/29 16:17 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#402 [あんみつ]
 
風が吹いて、お互い前より伸びた髪がなびく。

「・・・根宮先輩のことは聞いてます。大事な幼なじみだって。私も、それで納得しようとしました。けどっ・・・」


・・・あぁ、やっぱり。

ほんとは、こんなことを言われる日が、くるんじゃないかって思ってた。

 

⏰:07/10/29 16:19 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#403 [あんみつ]
 

『・・・分かってるよ。ねこちゃんにとっても、健二にとっても・・・お互いが大事なのは』


佐古さんの姿に、洋平君の姿が重なって見える。

 

⏰:07/10/29 16:21 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#404 [あんみつ]
 

「・・・不安なんです。健二先輩にとって、私は・・・根宮先輩以下の存在なんじゃないかって」

佐古さんは、泣きそうな顔をして続ける。

私は、何も言えなかった。

 

⏰:07/10/29 16:22 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#405 [あんみつ]
 

『ねこちゃんの1番って誰??俺は、健二以上になれないの??』


・・・あぁ、一緒だ。

佐古さんも、洋平君と。

私のせいで、傷ついてる。

 

⏰:07/10/29 16:23 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#406 [あんみつ]
 

ぼーっとする頭で、私は佐古さんの次の言葉を待つ。

佐古さんは言いにくそうに、目をつむる。

そして、一息つくと、目を開いて私を真っすぐ見た。

「だから・・・健二先輩と、離れてください」
 

⏰:07/10/29 16:25 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#407 [あんみつ]
 
予想していたといっても、佐古さんの言葉は、私に重くのしかかった。

体の横に握り締めた佐古さんの手は、かすかに震えていた。

「・・・私のわがままだって分かってます。・・・けど、このままじゃ・・・」

言葉をつまらせて、佐古さんはうつむいた。

 

⏰:07/10/29 16:28 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#408 [あんみつ]
 

・・・ねぇ、健二。

佐古さん・・・健二の彼女。

健二のこと、本当に好きなんだね。

こんなこと言うの、きっとすごい勇気がいるよ。

なのに、泣きそうになりながら。

何、つらい思いさせてんの。

・・・私もか。

 

⏰:07/10/29 16:30 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#409 [あんみつ]
 

佐古さんは、うつむいたまま何も言わない。


『ねこ!!』


(・・・健二・・・私は)


もう、傷つけたくないよ。

 

⏰:07/10/29 16:32 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#410 [あんみつ]
 

「・・・分かった」

私は、重い口をゆっくり開いて、言った。

佐古さんが、涙のたまった目で私を見る。

私も、真っすぐ見返す。

そして、もう1度、口を開いた。

「・・・分かったから。・・・その代わり・・・」

 

⏰:07/10/29 16:33 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#411 [あんみつ]
 

・・・ねぇ、健二。

私・・・

間違ってないよね??

 

⏰:07/10/29 16:34 📱:N901iC 🆔:N8JyO4Pk


#412 [あんみつ]
――――――――


――――――――
9/17 22:03
To 竹本健二
Sub 遅くなってごめん

日曜、大丈夫だよ☆
どこ行くの??
――――――――

メールを送ると、私はベットに座って、携帯を握り締めた。

少したって開いて、閉じてはまた開いてを繰り返す。
 

⏰:07/11/03 15:27 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#413 [あんみつ]
 
私はベットに仰向けになって、天井を見た。


『・・・その代わり・・・もう1度、健二と2人で出かけたい。ちゃんと話がしたいの。・・・明後日、それで最後にするから・・・』


私は佐古さんに、確かにそう言った。

佐古さんはゆっくりうなずいて、私に頭を下げた。

 

⏰:07/11/03 15:29 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#414 [あんみつ]
 

このままじゃダメだと思った。

洋平君や佐古さんを傷つけてまで、健二と一緒にいたいと思うのは、私のわがまま。

・・・いい加減、健二から離れなきゃ。

しっかりしなきゃ。

健二なしでも、大丈夫なように。

強くなれるように。

 

⏰:07/11/03 15:30 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#415 [あんみつ]
 

ピーピピーピー♪

私は飛び起きて、携帯を開いた。

――――――――
9/17 22:08
From 竹本健二
Sub 無題

よし!!
じゃぁ、俺午前は用事あるから1時に駅前でいい??
行く場所は・・・まぁぶらぶらしながら考えよう。
――――――――
 

⏰:07/11/03 15:33 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#416 [あんみつ]
 
(・・・健二)

メールを見た途端、胸が苦しくなった。

カチ・・・カチッ

打ちながら、だんだん視界が滲んでくる。
 

⏰:07/11/03 15:34 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#417 [あんみつ]
 
――――――――
9/17 22:13
To 竹本健二
Sub Re:

分かった☆
じゃぁ、明後日ね!!
――――――――

短い文章に、言葉では言い表わせない気持ちをこめて。

私は、ボタンを押した。

 

⏰:07/11/03 15:36 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#418 [あんみつ]
 

ほんとはね、自信ないんだ。

健二なしで、これから笑っていける自信。


握り締めたままの携帯に、涙が落ちた。

(・・・健二)

 

⏰:07/11/03 15:38 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#419 [あんみつ]
 

一緒にいるのが、当たり前だった。

健二は、私の世界の一部だった。

だけど、健二と必要以上に一緒にいることは、他の人を傷つける。

・・・だから、終わりにしよう。

日曜・・・明後日が最後。
 

⏰:07/11/03 15:40 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#420 [あんみつ]
 
大丈夫、会えないわけじゃない。

「幼なじみ」じゃなくなるわけじゃない。

なのに・・・

ねぇ、健二。

なんで、こんなに涙があふれるのかな??


理由のよく分からない涙は、なかなか止まってはくれなかった。

 

⏰:07/11/03 15:41 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#421 [あんみつ]

15話目は以上です
感想くれると嬉しいです

感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:07/11/03 15:45 📱:N901iC 🆔:KS7POwTM


#422 [め ぐ]
>>312-500

⏰:07/11/03 17:57 📱:F703i 🆔:38tfxjn2


#423 [れな]
一気に読みました
すごい良いです
切ないです
ハッピーエンドがいいな
更新
頑張って下さい!

⏰:07/11/03 21:11 📱:D903i 🆔:bxL3g9vE


#424 [あんみつ]

めぐさん
アンカーありがとうござぃます

れなさん
応援ぁりがとうございます
今から更新します
よかったら感想板にも来てくださぃ

⏰:07/11/11 20:51 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#425 [あんみつ]
16、1番


ずっと、ずっと健二がいた。

私の隣には健二がいて、健二の隣には私がいた。

それだけのことで、私は安心できたんだ。

 

⏰:07/11/11 20:55 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#426 [あんみつ]
――――――――


――――――――
9/18 20:28
From 竹本健二
Sub 無題

悪いけど、明日やっぱり地元の駅じゃなくて、街の駅前の広場で待っといて!!
――――――――

パコンッ

昨日の夜に健二からきたメールを確認して、私は携帯を閉じた。
 

⏰:07/11/11 20:56 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#427 [あんみつ]
 
広場を見回して、空いているベンチに座る。

広場の中央にある時計を見ると、まだ待ち合わせの15分前だった。

(・・・早かったな)

私はぼんやりと、街ゆく人を眺めた。

(・・・健二、用事って何なんだろ)

もう一度時計を見たけど、さっきからまだ2分ぐらいしかたってない。

 

⏰:07/11/11 20:58 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#428 [あんみつ]
 

一昨日、健二と離れるって決めた日。

その日の夜は、泣いた。

泣きたくないのに涙が出てきて、止まらなかった。

なのに、今、私の心は穏やかだった。

あの日に泣きすぎて、もう私の中に涙は残っていないのか。

理由は分からないけど、今日健二の前では、絶対に泣きたくなかったから助かった。

 

⏰:07/11/11 21:00 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#429 [あんみつ]
 

(・・・あと10分)

今日は、風がない。

9月も半分を過ぎたというのに、まだ日が当たると暑い。

私はなるべく木の日陰に入ろうと、少し体をそらせてベンチにもたれた。

その時、駅の方に歩いていく見知らぬカップルの姿が目に入った。

(・・・あ)

以前見た光景が、頭をよぎる。

 

⏰:07/11/11 21:03 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#430 [あんみつ]
 

確かあの時は、まだ7月だった。

・・・ここで、健二と佐古さんが一緒にいるのを見た。

あの後、健二と喧嘩しちゃったんだ。

健二が私に、本当のことを言ってくれなかったのが悲しくて。
 

⏰:07/11/11 21:05 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#431 [あんみつ]
 
・・・あの頃は、私も余裕なかったけど。

もっと余裕持ててたら、あんな風に喧嘩しなくて済んだのかな。


『お前だって・・・俺に何も言わねーだろ!!』

あの時の、健二の言葉がよみがえる。

(・・・言わないんじゃなくて、言えなかったんだよ)

 

⏰:07/11/11 21:07 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#432 [あんみつ]
 

健二と話さなくなって、本当に辛かった。

けど、奈津美がいて、洋平君がいて、落ち着いて考えて、心に余裕を持ったら、きちんと周りが見えたんだ。

それで、洋平君と付き合おうって決めて、健二とも仲直りできたんだ。
 

⏰:07/11/11 21:09 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#433 [あんみつ]
 
・・・私、あの頃より成長したよね??

大丈夫。

前とは違う。

喧嘩して離れるわけじゃない。

・・・大丈夫。

 

⏰:07/11/11 21:53 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#434 [あんみつ]
 

時計を見ると、丁度針が動いて1時をさした。


『だから・・・健二先輩と、離れてください』

目を閉じるとまぶたの裏に、泣きそうな佐古さんの姿が浮かんだ。

 

⏰:07/11/11 21:57 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#435 [あんみつ]
 

・・・話すのは、最後にしよう。

それまでは、楽しみたい。
久しぶりに健二と2人で、楽しい時間を過ごしたい。

・・・いいよね??


1時を5分過ぎた。

(・・・健二、早く来て)

私は手をぎゅっと握り締めた。

 

⏰:07/11/11 21:59 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#436 [あんみつ]
――――――――


また、時計の長針が動いた。

祈っても、虚しく時間は過ぎていく。

・・・健二が、来ない。

1時半を過ぎた。

メールを送ったけど、返ってこない。
 

⏰:07/11/11 22:00 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#437 [あんみつ]
 
(・・・どうしたの、健二)

妙な胸騒ぎがする。

今まで、こんなことなかった。

遅れることさえ滅多になかったけど、遅れるときはちゃんと連絡くれた。

(・・・怖い)

私は握り締めていた携帯を開いて、健二に電話をかけた。
 

⏰:07/11/11 22:03 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#438 [あんみつ]
 
プルルル・・・プルルル・・・

(・・・健二・・・出て)

携帯を握り締める手に、力が入る。

プルルル・・・プルルル・・・

(・・・お願い、健二)

プルルル・・・・・・

長い呼び出し音が、止まった。
 

⏰:07/11/11 22:04 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#439 [あんみつ]
 
私は、耳に携帯を押しつける。

が、何も聞こえない。

「・・・健二・・・??」

名前を呼んだ。

{・・・ねこ}

健二だ。

電話の向こうから聞こえた声は、紛れもなく健二の声だ。
 

⏰:07/11/11 22:06 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#440 [あんみつ]
 
(・・・良かった)

「健二、どうしたの??今どこ??」

{・・・・・・}

沈黙ばかりで、言葉が返ってこない。

健二が無事だと分かったのに、まだ胸が騒ぐ。

「・・・健二??」

{・・・ねこ、悪い。・・・今日、行けない}

やっと聞こえた健二の声は、何だか暗かった。
 

⏰:07/11/11 22:07 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#441 [あんみつ]
 
「・・・え・・・な、何で??」

{・・・・・・}

胸が苦しい。

ドクドクする。

(・・・健二・・・答えて)

{・・・健二先輩}

(・・・え・・・??)

体の中を、何か冷たいものが通った気がした。
 

⏰:07/11/11 22:09 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#442 [あんみつ]
 
かすかに聞こえた・・・佐古さんの声。

(・・・なん、で・・・)

{・・・ごめん、ねこ}

ピッ・・・プープー・・・

健二の言葉を最後に、電話が切れた。

 

⏰:07/11/11 22:11 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#443 [あんみつ]
 

何で??

ねぇ、健二。

ちゃんと答えてよ。

何で来れないの??

何で佐古さんと一緒なの??

何で答えてくれないの??

たくさんの「何で??」が頭に浮かんだけど、本当のことは何1つ分からない。
 

⏰:07/11/11 22:12 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#444 [あんみつ]
 
ただ分かっているのは、今、私の隣に健二はいない。

健二の隣に私はいない。

今、健二の隣にいるのは・・・佐古さん。

・・・私じゃない。

 

⏰:07/11/11 22:14 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#445 [あんみつ]
 

私は力なく手をおろすと、そこから動けなかった。

開きっぱなしの携帯を見つめる。

視界が、にじむ。

枯れたと思った涙が、また頬をつたった。

 

⏰:07/11/11 22:15 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#446 [あんみつ]
 

ねぇ・・・来てよ、健二。

私の隣に、来てよ。

佐古さんは彼女で、私は幼なじみ。

分かってるのに・・・。
 

⏰:07/11/11 22:21 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#447 [あんみつ]
 
健二は私より佐古さんを選んだ。

そう思ったら、苦しかった。

健二が大事なのは、私より佐古さん。

それを実感させられて、悲しかった。

 

⏰:07/11/11 22:23 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#448 [あんみつ]
 

「・・・ひっ・・・く」

止めようとしても止まらない。

この感じ、一昨日と一緒。

 

⏰:07/11/11 22:24 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#449 [あんみつ]
 

私は、健二が佐古さんと付き合い始めても、変わらず私の隣にいてくれることに、安心してたんだ。

何だかんだ言っても、私が健二を必要なように、健二にも私が必要なんだ、って。

心の底では、健二の1番は私なんだ、って。

自惚れてたんだ。
 

⏰:07/11/11 22:32 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#450 [あんみつ]
 
けど、違う。

違うんだ。

健二の1番は・・・私じゃない。

佐古さんなんだ。

 

⏰:07/11/11 22:33 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#451 [あんみつ]
 

「・・・っ・・・ひっ」

ぬぐってもぬぐっても、涙が落ちる。

周りの視線を感じたけど、それどころじゃなかった。

(・・・だって・・・分かった)

 

⏰:07/11/11 22:40 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#452 [あんみつ]
 

・・・ねぇ、健二。

やっと分かったよ。

私は・・・健二の1番になりたかったんだ。

ずっと、ずっと健二の1番でいたかったんだ。

 

⏰:07/11/11 22:42 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#453 [あんみつ]
 

『ねこちゃんの1番って誰??』


・・・ごめん、洋平君。

私にとっての1番は・・・健二なんだ。

健二の1番になりたいって思うのは、私にとって、健二が1番だから。

この涙の訳は、健二の隣にいられないのが、健二が隣にいないのが、つらいから。

 

⏰:07/11/11 22:44 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#454 [あんみつ]
 

・・・健二。

私、やっぱり・・・

・・・健二が・・・


「・・・好き」

小さく呟いた気持ちは、涙と共に流れて、地面に溶けた。

・・・健二には、届かない。

 

⏰:07/11/11 22:50 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#455 [あんみつ]

16話目は以上です
読んだ方、感想くれると
嬉しいです

感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:07/11/11 22:56 📱:N901iC 🆔:yRk1fCsw


#456 [あんみつ]
17、言えない気持ち


健二、大好きだよ。

・・・今更、言えないけど。


けど、もしも、時間が戻せたら。

あの七夕の夜に戻れたら。

私は、今度こそ健二に「好き」って言うのかな??

健二にとって私は、「幼なじみ」だと知っていながら・・・。

 

⏰:07/11/24 22:35 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#457 [あんみつ]
――――――――


あれから、どのくらいたったのだろう。

辺りはすっかり薄暗くなっていた。

涙はもう枯れてしまった。

風が涙の跡を、優しく消していく。

私は、かすむ目をこすって立ち上がった。

 

⏰:07/11/24 22:37 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#458 [あんみつ]
 

・・・健二は来なかった。

もう来ないって、分かってた。

けど、あんな電話がきても、それでも今まで待っていたのは、心の奥では期待してたんだ。

信じてたんだ。

健二は来てくれるって。

 

⏰:07/11/24 22:39 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#459 [あんみつ]
――――――――


地元の駅に着いた時には、辺りは真っ暗になっていた。

私は、重い足を何とか前に出して家に向かう。

電灯の少ない道を、月が明るく照らしている。

 

⏰:07/11/24 22:40 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#460 [あんみつ]
 

次の曲がり角を曲がったら、私の家が見える。

少し離れたところに、健二の家も。

あの日は健二、私の家の前で待ってたね。

・・・結局、喧嘩しちゃったけど。

 

⏰:07/11/24 22:41 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#461 [あんみつ]
 

健二はいない。

そう、自分に言い聞かせながら。

けど、どこか期待しながら。

私は、曲がり角を曲がった。

・・・健二は、いない。

 

⏰:07/11/24 22:43 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#462 [あんみつ]
 

『ねこ!!』


私を呼ぶ、笑顔の健二が頭に浮かぶ。

私は、家の門に手を掛けて、ゆっくりと振り向いた。

見慣れた健二の家。

道路に面した、2階の西側の部屋。

健二の部屋には、灯りがついている。
 

⏰:07/11/24 22:44 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#463 [あんみつ]
 
(・・・健二、帰ってるんだ)

私は門を開けて、家に入った。

ガチャッ

「・・・ただいま」

「おかえりー。遅かったねぇ。ご飯は??」

靴を脱いでいると、リビングからお母さんが顔を出した。

「・・・いいや。お腹空いてない」

顔を上げずにそれだけ言って、私は階段を上がった。

 

⏰:07/11/24 22:47 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#464 [あんみつ]
――――――――


『・・・ごめん、ねこ』

健二は、佐古さんと一緒にいた。

『・・・健二先輩と、離れてください』

ねぇ、健二。

あの「ごめん」は、どういう意味??

健二は・・・私を切ったの??

佐古さんのために。

 

⏰:07/11/24 22:52 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#465 [あんみつ]
 

・・・健二から、連絡がない。

考えたくなくても、これは、きっと、そういうことなんだろう。

健二は、私から離れた。

だとしたら、健二は私に話し掛けて来ない。

 

⏰:07/11/24 22:54 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#466 [あんみつ]
 

周りを傷つけないために、健二と離れようと思ってた。

思ってたけど・・・こんなのを望んでいた訳じゃない。
私は・・・ちゃんと健二と話がしたかった。

だけど・・・

『・・・明後日、それで最後にするから・・・』

・・・私からは、動けない。

 

⏰:07/11/24 22:55 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#467 [あんみつ]
 

本当は、離れずにすむなら、そうしたかった。

本当は、健二に話して、反対してほしかった。

けど・・・健二から先に離れられた。

いっぱい悩んでくれたよね??

簡単に離れたわけじゃないよね??

それで決めたなら、私は何も言えないよ。
 

⏰:07/11/24 22:56 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#468 [あんみつ]
 
「離れないで」なんて言えない。

「離れたくない」とも。

・・・「好き」とも。

言ってはいけない、絶対に。

それは、佐古さんの想いを、健二の想いを、踏みにじることになるから。


私は、健二に、「好き」と言えない。

 

⏰:07/11/24 22:58 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#469 [あんみつ]
 

けど・・・私には、この気持ちを、正直に伝えなきゃいけない人もいる。

傷つけてばかりだったけど。

また傷つけてしまうけど。

・・・このままではいけないんだ。

 

⏰:07/11/24 22:59 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#470 [あんみつ]
――――――――


その日の夜は、泣かなかった。

涙がもう、出てこなかった。

馬鹿な私は懲りずに、明日健二がいつも通り、笑って話し掛けてくれることを、期待して眠った。

 

⏰:07/11/24 23:01 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#471 [あんみつ]
 

健二が好き。

健二の1番になりたい。

自覚してしまった気持ちは、どんどん大きくなって、私の心を埋め尽くしていった。

 

⏰:07/11/24 23:02 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#472 [あんみつ]

17話目更新終了しました
話の展開が遅いです
よかったら感想お願いします
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/

⏰:07/11/24 23:10 📱:N901iC 🆔:6PaKTvn2


#473 [め ぐ]
>>312-500

⏰:07/11/26 22:50 📱:F703i 🆔:dVV6Bg2I


#474 [あんみつ]

めぐさん
またまたありがとうございます

⏰:07/11/28 17:35 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#475 [あんみつ]
18、洋平君


この気持ちを、伝えなきゃならない人がいる。

うまく言葉にできるか分からない。

けど、正直に。

それが私にできる、せめてもの償い。

 

⏰:07/11/28 20:37 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#476 [あんみつ]
――――――――


どんなにつらくても、朝はくる。


今日は、いつもより早く家を出よう。

健二に会わないように。

私を見た時の、健二の態度が怖いから。

予想が、確信に変わるのが怖いから。

 

⏰:07/11/28 20:39 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#477 [あんみつ]
 

「・・・いってきまーす」

ドアノブに手を掛けて、ゆっくりと開ける。

私の気持ちとは裏腹に、眩しいくらいのいい天気。

私はドアを片手で押さえたまま、大きく息を吸った。

(・・・行くか)

そう思って、ドアから手を離そうとした時、私は無意識に健二の家の方を見た。
 

⏰:07/11/28 20:41 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#478 [あんみつ]
 
(・・・えっ)

そこには、ちょうど家から出てくる健二の姿。

私は思わず、もう一度家に入り、ドアを閉めた。

(・・・え、何で??何でこんな早く・・・)

私は恐る恐る、覗き穴から外を見た。

まだ健二は通らない。

気付かれないと分かっていても、なぜか息を潜めてしまう。
 

⏰:07/11/28 20:42 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#479 [あんみつ]
 
(・・・あ)

健二が私の家の前を通り過ぎる・・・と思ったら、立ち止まってこっちを見た。

(何・・・)

健二からこっちが見えるはずないのに、私は目が合っているような気がしてならない。
 

⏰:07/11/28 20:45 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#480 [あんみつ]
 
瞬きができない。

正面から見る健二の顔。

いつもの明るい健二じゃない。

何か言いたそうな・・・そんな顔。

少しして、健二はまた前を向いて歩きだし、私の視界から消えた。

 

⏰:07/11/28 20:46 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#481 [あんみつ]
何、健二??

何か言いたいことがあるの??

あるなら私は、言ってほしいよ。

私だって、言いたいことある。

・・・けど、健二は何も言ってくれないんだね。
 

⏰:07/11/28 20:53 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#482 [あんみつ]
 
それに・・・こんな早くに、学校に行く健二。

・・・ねぇ、健二。

健二も、私を避けたんだね。

・・・予想が、確信に変わっていく。

健二は・・・私から離れたんだね。

 

⏰:07/11/28 20:54 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#483 [あんみつ]
――――――――


結局私は、いつも通りの時間に家を出た。

ちゃんと歩いていたつもりなのに、学校に着いたのがぎりぎりでびっくりした。


「ねこ、今日遅かったね。どしたの??」

1時間目が終わり、奈津美が私のところに来る。
 

⏰:07/11/28 20:59 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#484 [あんみつ]
 
「んー、ちょっとね」

それだけ言うと、奈津美は「ふーん」と言って、前の空いている席に座った。

それから奈津美は、何も言わない。

私は、何も言えない。

 

⏰:07/11/28 21:00 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#485 [あんみつ]
 

奈津美に言いたいこと、聞いてほしいことは、たくさんある。

でも今は、言葉がでない。

それに、奈津美より先に、言わなきゃいけない人がいる。

 

⏰:07/11/28 21:02 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#486 [あんみつ]
 

少しの沈黙のあと、奈津美は私の頭を優しく叩いた。

「言えるようになったら、聞くからね??」

そう言って笑う。

「・・・ありがと」

私が言うと、奈津美は自分の席に帰っていった。

 

⏰:07/11/28 21:03 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#487 [あんみつ]
 

ありがとう。

何度言っても足りないよ。

言える時がきたら、奈津美にもちゃんと話すよ。

奈津美にも、聞いてほしいんだ。

どうしようもない、私の気持ち。

 

⏰:07/11/28 21:05 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#488 [あんみつ]
 

奈津美がいなくなって、私は携帯を取り出した。

カチッカチッ

――――――――
9/20 9:22
To 田村洋平
Sub 無題

話したいことがあるの。
今日の放課後、裏庭に来てほしい。
――――――――

 

⏰:07/11/28 21:06 📱:N901iC 🆔:4YhyEWsw


#489 [む〜み〜]
更新待ってます(´・ω・`)

⏰:07/12/07 13:49 📱:SO903iTV 🆔:Es2Qr2l.


#490 [あんみつ]

む〜み〜さん
ぁりがとうございます

今テスト中で、ただでさえ遅い更新が、ストップしてました
すみません
まだテスト終わってませんが、時間ができたので今から少し更新しますね

⏰:07/12/08 08:41 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#491 [あんみつ]
――――――――


私、洋平君に支えられたこと、いっぱいあったよ。

けど私は、洋平君に何かしてあげれたかな??

 

⏰:07/12/08 08:43 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#492 [あんみつ]
 

裏庭に着いて、辺りを見回す。

洋平君は、まだ来ていない。

私はベンチに腰を下ろして、静かに目を閉じた。

遠くで、生徒達の笑い声が聞こえる。

 

⏰:07/12/08 08:44 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#493 [あんみつ]
 

『洋平君の事・・・ちゃんと考える』

『・・・健二先輩と、離れてください』

・・・いろいろあった。

いろいろあったよ。
 

⏰:07/12/08 08:46 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#494 [あんみつ]
 
洋平君のことちゃんと考えて、付き合うって決めた。

私の選択は、間違ってたのかな。

結局私は、自分のことしか考えてなかったんじゃないかな。

私は・・・洋平君の優しさに逃げたんじゃないかな。

 

⏰:07/12/08 08:47 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#495 [あんみつ]
 

「ごめん、待った??」

目を開けて上を見ると、洋平君が立っていた。

「・・・ううん、全然」

「そっか。なら良かった」

そう言うと洋平君は、私の隣に腰を下ろした。

洋平君は何も言わない。

雰囲気で分かる。

私の言葉を待ってくれている。

 

⏰:07/12/08 08:49 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#496 [あんみつ]
 

温かい人、優しい人。

この人に・・・嘘はつけない。


「・・・洋平君」

私は、振り絞るように言った。

自分の心臓の音が、やけに大きく聞こえる。

洋平君の方を見ると、洋平君も私を見ていた。

真っすぐな瞳で見られると、胸が苦しくなった。

 

⏰:07/12/08 08:50 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#497 [あんみつ]
 

けど、言わなきゃいけない。

このままじゃいけない。


(・・・洋平君)


『ねこ!!』


(・・・健二)

 

⏰:07/12/08 08:52 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#498 [あんみつ]
 

私は、ゆっくり口を開く。

「・・・洋平君」

私はもう一度言って、息を吸った。


大丈夫、言える。




「・・・私、健二が好きなの」
 

⏰:07/12/08 08:54 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#499 [あんみつ]
 
吐き出すように、言った。

これが、どうしようもない私の気持ち。

「・・・洋平君のこと、好きだよ。けど・・・私にとっての1番は・・・やっぱり健二なの」

少しずつ、少しずつ。

言葉をつなげる。
 

⏰:07/12/08 08:56 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


#500 [あんみつ]
 
洋平君は、まっすぐ私を見ている。

怒りとも、悲しみともとれない表情で。

少しも目をそらさない。

「・・・ごめんなさい」

私は頭を下げた。

たまらなく、胸が苦しくなった。

洋平君の真っすぐな瞳から逃げた。

私はやっぱり、弱虫だ。

 

⏰:07/12/08 08:58 📱:N901iC 🆔:YQl3TXec


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