「好き」と言いたい。
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#312 [あんみつ]
考えてるうちに、それぞれのクラス、走っているのはすでに4人目の走者になっていた。
走るのは5人なので、次がアンカー。
洋平君の番だ。
アンカーの選手たちは、立ってバトンを待っている。
今のところ、2組は2位。
1位は・・・あ、うちのクラスだ。
:07/09/24 17:27
:N901iC
:E6Bwt1vM
#313 [あんみつ]
差がなかなか縮まらない。
変わらないまま、洋平君にバトンが渡った。
「わ・・・はや」
速い。
洋平君はぐんぐんスピードを上げて、うちのクラスのアンカーと並んだ。
競り合いながら、私たちの応援席の前を通過する。
:07/09/24 17:28
:N901iC
:E6Bwt1vM
#314 [あんみつ]
「洋平君、速いじゃん!!」
奈津美が私の肩を叩いてくる。
私はうなずきながら、洋平君を目で追う。
わずかに洋平君がリードして、そのままゴールした。
:07/09/24 17:31
:N901iC
:E6Bwt1vM
#315 [あんみつ]
「すごい!!1位だー!!」
私は、肩に置かれっぱなしだった奈津美の手を取った。
「ねー!!すごい速かった!!」
奈津美も私の手を持って、ぶんぶんと振り回す。
「うん!!めっちゃすご・・・い」
:07/09/24 19:38
:N901iC
:E6Bwt1vM
#316 [あんみつ]
(・・・やば)
私たちに向けられているのは、7組一同の冷たい眼差し。
私の様子を見て、奈津美もそれに気付いたらしい。
私の手を離して、へへっと苦笑いをしながら、そっと立ち上がって応援席から出ようとする。
私もそれに続いて、応援席から抜け出した。
:07/09/24 20:53
:N901iC
:E6Bwt1vM
#317 [あんみつ]
「あー、失敗したー」
応援席から離れて、私は言った。
けど、本当は口で言うほど気にしてない。
みんなの冷たい眼差しより、走る洋平君の姿が目に焼き付いて離れない。
思い出すと、また顔がほてってきた。
「やっちゃったよねー。けど、ほんと速かった!!」
奈津美もたいして気にしてなさそう。
:07/09/24 20:55
:N901iC
:E6Bwt1vM
#318 [あんみつ]
ピンポンパンポーン
{これで午前の部を終了します。12時40分まで休憩なので、各自お昼をとって下さい}
「もう昼なんだ。お弁当取り行こー」
「うん」
:07/09/24 20:56
:N901iC
:E6Bwt1vM
#319 [あんみつ]
――――――――
昇降口に着いて、朝クラスごとにお弁当を集めた段ボール箱から、自分のを探す。
「あ、あった!!」
他の人のお弁当をひっくり返さないように、私は自分のを取り出した。
「どうする??この辺で食べる??影だし」
「だねー。あ、あそこは??」
そう言って、奈津美は昇降口前に植えてある木の下を指差した。
:07/09/24 20:58
:N901iC
:E6Bwt1vM
#320 [あんみつ]
私たちは木の下に移動して、囲いのわずかな段差に座った。
「いただきまーす」
お茶で喉を潤した後、私はお弁当を広げて、手をあわせた。
「お、旨そうじゃん」
卵焼きを食べようとすると、上から声がした。
:07/09/24 20:59
:N901iC
:E6Bwt1vM
#321 [あんみつ]
上を向くと、案の定、健二が立っていた。
日に焼けたのか、何となく朝会った時より、鼻が赤くなっている気がする。
「健二、自分のあるでしょー」
私は止まっていた箸を動かして、卵焼きを口に入れた。
「うちの、冷凍食品ばっかだし」
健二は言いながら、私の前にしゃがむ。
:07/09/24 21:01
:N901iC
:E6Bwt1vM
#322 [あんみつ]
「うわ、おばさんに言ってやろーっと」
私は笑いながら、唐揚げに箸を伸ばす。
「どーぞ、ご自由に」
私の箸が唐揚げを取る前に、健二の指が唐揚げをさらっていった。
「あー!!ちょっと!!」
「うめー!!じゃあな」
健二は唐揚げを口に入れると、さっさと友達の元に戻っていった。
:07/09/24 21:02
:N901iC
:E6Bwt1vM
#323 [あんみつ]
「あーあ、唐揚げ・・・」
「ははっ!!相変わらずだねー」
横でやりとりを見ていた奈津美が笑う。
:07/09/24 21:03
:N901iC
:E6Bwt1vM
#324 [あんみつ]
「ほんとに!!全然成長しないよね」
「ねこもねー」
奈津美の言葉に、私はうなった。
ふと奈津美のお弁当を見ると、いつのまにかだいぶ食べ進んでいる。
それを見て私は、慌ててご飯を口に運んだ。
:07/09/24 21:04
:N901iC
:E6Bwt1vM
#325 [あんみつ]
――――――――
私が食べ終わった時には、もう12時半で、午後1番の綱引きにでる私たちは、早足でグラウンドに向かう。
「あ、ねこちゃん!!」
呼ばれて立ち止まると、洋平君が駆け寄ってきた。
「洋平君、1位おめでとー!!すごい速かった!!ね、奈津美!!」
:07/09/24 21:28
:N901iC
:E6Bwt1vM
#326 [あんみつ]
「あ、うん!!」
急に話をふったからか、奈津美は慌てて何度もうなずいた。
「そ??ありがとう」
洋平君は、私と奈津美の顔を交互に見て言った。
「ねこちゃんは??あと綱引きだっけ??」
「うん、そう。洋平君、借り物頑張ってね!!」
「おう、綱引きもな!!」
:07/09/24 21:29
:N901iC
:E6Bwt1vM
#327 [あんみつ]
「うん!!ごめん、行こ、奈津美」
再び早足で入場門に向かう。
「・・・ねぇ、ねこ」
「ん??」
ピンポンパンポーン
{綱引きと障害物競走に出る選手は、入場門に集まって下さい}
:07/09/24 21:30
:N901iC
:E6Bwt1vM
#328 [あんみつ]
「やば、急ご!!あ、ごめん、何??」
「いや・・・何か2人、付き合ってるって感じしてきたなーって!!」
そう言って、奈津美は私の肩をこづく。
「へ??そう??」
改めて言われると、少し照れ臭かった。
:07/09/24 21:31
:N901iC
:E6Bwt1vM
#329 [あんみつ]
――――――――
「あー、手の皮むけた」
綱引きを終えて、私たちは応援席に戻った。
手の皮がむけるまで頑張った甲斐あって、結果はなんと1位。
これで100mリレーで、うちのクラスを応援しなかったことは、許してほしい。
まぁ、もうみんな忘れてるみたいだけど。
:07/09/30 21:16
:N901iC
:t6MEvR6Q
#330 [あんみつ]
何となく、前に行きにくい私たちは、応援席の後ろの方に座っていた。
「借り物っていつだっけ??」
奈津美に聞かれて、私はポケットからプログラムを取り出す。
「えっと・・・あ、もう次だ」
「えー。前、行けるかなー」
:07/09/30 21:17
:N901iC
:t6MEvR6Q
#331 [あんみつ]
前には、すでに自分の競技に出終わって、動かなさそうな人たち。
「・・・ちゃんと見たいんだけどなー」
(・・・健二も出るし)
・・・
(・・・いや、私が応援するのは洋平君だし)
思った後、すぐに思い直した。
:07/09/30 21:19
:N901iC
:t6MEvR6Q
#332 [あんみつ]
『・・・借り物競走、健二も出るけど・・・ねこちゃんには俺の事、応援してほしい・・・』
そう。
私が付き合ってるのは、洋平君だもん。
健二より、洋平君を応援するのは当たり前だ。
:07/09/30 21:20
:N901iC
:t6MEvR6Q
#333 [あんみつ]
{次は借り物競走です。選手が入場します}
アナウンスがかかって、私はハッとした。
借り物競走は、わが校の体育祭の中で、盛り上がる種目の1つ。
前にいる人たちがすでに立ち上がっているので、よく見えない。
「もー!!見えないー」
奈津美もいつのまにか立ち上がって、私の横で飛び跳ねている。
:07/09/30 21:21
:N901iC
:t6MEvR6Q
#334 [あんみつ]
私も遅れて立ち上がった。
パンッ!!
ピストルが鳴った。
始まったみたいだ。
歓声が一層大きくなる。
私も奈津美同様、飛び跳ねてみるが、やっぱり見えない。
(・・・え??)
こりずに飛び跳ねていると、急に、前に見える人の頭が、私のいる所を境に、だんだん両側に分かれていく。
:07/09/30 21:22
:N901iC
:t6MEvR6Q
#335 [あんみつ]
(何??まさか、私が見えるように??)
バカなことを考えていると、私のすぐ前にいた背の高い男子が、私の方を振り向く。
そして右によけた。
「ねこ!!」
私の前の視界が開けたのと同時に、声がした。
人と人の間をぬって、声の主が私に向かって走ってくる。
:07/09/30 21:24
:N901iC
:t6MEvR6Q
#336 [あんみつ]
「ねこ、来い!!」
声の主、健二は、私の手首をつかんで引っ張った。
「え??ちょっと、何!?」
私の質問には答えずに、健二は私を、リレーのコースに連れ出した。
「走れ、ねこ!!」
健二は、私の手首を引いて走りだす。
それにつられて、私の足も動く。
:07/09/30 21:25
:N901iC
:t6MEvR6Q
#337 [あんみつ]
応援席からは、キャーとかワーとか、歓声がさらに激しさを増す。
(・・・何なの??)
走るスピードが上がった。
私は、健二に引かれるままに全速力で走る。
「・・・はぁ・・・はぁ」
必死で走るが、足が速い方でない私が、健二のスピードについていけるわけがない。
:07/09/30 21:26
:N901iC
:t6MEvR6Q
#338 [あんみつ]
健二の手が、私の手首から離れた。
それに気付いた健二は振り向いて、今度は私の手をしっかりと握る。
「大丈夫か??あとちょっとだから、頑張れ!!」
そう言って健二は、ゆっくりと走りだす。
今度は、駆け足程度のスピードで。
:07/09/30 21:27
:N901iC
:t6MEvR6Q
#339 [あんみつ]
前方に、白いテープが見えた。
ゴールだ。
あと少し・・・。
・・・3m、2m、1m。
パンッ!!
健二と、2人で並んでゴールした。
途端、私は健二の手を放して、その場にしゃがみこんだ。
:07/09/30 21:28
:N901iC
:t6MEvR6Q
#340 [あんみつ]
「・・・はぁ・・・はぁ」
久しぶりに走ったせいか、かなりしんどい。
その時、健二も隣にしゃがんで、私の頭に手を置いた。
「よく頑張りました。ありがとな!!」
そう言って、ぽんぽんと叩く。
だんだんと落ち着いてくる。
:07/09/30 21:29
:N901iC
:t6MEvR6Q
#341 [あんみつ]
私は、大きく深呼吸した。
「はぁ・・・何??私が借り物だったの??」
私が聞くと、健二はニヤーっと笑いながら、手に持っていた紙を見せる。
「そう!!お題は"猫目の女子"」
そう言うと健二は、私の目元を指差した。
:07/09/30 21:30
:N901iC
:t6MEvR6Q
#342 [あんみつ]
「はぁ!?何、猫目って!!」
「ほんとのことじゃん」
そう言って笑う健二の指先を、私は払った。
「1位の人、こっちに並んでくださーい!!」
1位の旗を持った体育委員が、私たちを呼んだ。
:07/09/30 21:31
:N901iC
:t6MEvR6Q
#343 [あんみつ]
「ほら、行くぞ」
健二は立ち上がって、私に手を差し出す。
私はそれを掴んで、勢いをつけて立ち上がった。
:07/09/30 21:32
:N901iC
:t6MEvR6Q
#344 [あんみつ]
「・・・ふ」
「何だよ??」
「健二の手、汗かいてるー」
私は手を放して、ひらひらと振ってみせた。
「は??ねこの汗だろ!!」
健二に頭をこずかれて、私は笑った。
:07/09/30 21:33
:N901iC
:t6MEvR6Q
#345 [あんみつ]
――――――――
ねぇ、健二。
猫目の女の子なんて、他にもいるでしょ??
なのに、私の所に来たって事は、健二にとって私の存在は、けっこう大きなものなんだって、思ってもいい??
彼女じゃなくても、特別な存在なんだって、うぬぼれてもいい??
:07/09/30 21:43
:N901iC
:t6MEvR6Q
#346 [あんみつ]
健二の手の温もりや、優しさ。
ずっと、ずっと変わらないでね。
:07/09/30 21:44
:N901iC
:t6MEvR6Q
#347 [あんみつ]
:07/09/30 21:48
:N901iC
:t6MEvR6Q
#348 [あんみつ]
14、想い
私は、まわりが見えていなかった。
健二といると、あまりに楽しかったから。
健二の手が、あまりに温かかったから。
・・・私にとって、健二の存在は絶対だった。
:07/10/08 14:19
:N901iC
:cPjKM5TQ
#349 [あんみつ]
――――――――
私は、間違っていたのかもしれない。
健二と一緒に、素直に走るべきじゃなかったのかもしれない。
後からゴールしてきた洋平君と、目が合って思った。
:07/10/08 14:26
:N901iC
:cPjKM5TQ
#350 [あんみつ]
風が吹いて、グラウンドの砂を舞い上げる。
私は思わず目を閉じ、風が止むのを待って、また開いた。
(・・・あ)
洋平君は、私からすっと目をそらした。
そして、4位の旗の前に並ぶ。
:07/10/08 14:32
:N901iC
:cPjKM5TQ
#351 [あんみつ]
気付いた健二が、心配そうに私の方を振り向いた。
「・・・ねこ、俺」
「ん??大丈夫だよ」
私は、健二の言葉をさえぎって言った。
:07/10/08 14:34
:N901iC
:cPjKM5TQ
#352 [あんみつ]
健二は、きっと「ごめん」って言おうとしたんだ。
「ごめん」なんて言わないで。
健二は悪くない。
私、嬉しかった。
健二が、私の所に来てくれて。
:07/10/08 14:36
:N901iC
:cPjKM5TQ
#353 [あんみつ]
楽しかった。
健二と笑い合えて。
けど、私は・・・間違っていたのかもしれない。
私を見た洋平君の目は、悲しそうだった。
:07/10/08 14:37
:N901iC
:cPjKM5TQ
#354 [あんみつ]
――――――――
「えーみんな、おつかれ!!7組、総合3位を祝って!!乾杯!!」
「「かんぱーい!!」」
みんな口々に言って、近くの人と缶をぶつけ合う。
小さめの缶ジュースは、担任から、生徒38人への差し入れ。
:07/10/08 14:39
:N901iC
:cPjKM5TQ
#355 [あんみつ]
「おつかれー!!」
「おつかれ!!」
私も近くの人たちと乾杯し、最後に奈津美と缶をぶつけて1口飲んだ。
オレンジの甘酸っぱさが、口の中に広がる。
:07/10/08 14:41
:N901iC
:cPjKM5TQ
#356 [あんみつ]
借り物が終わって、すぐ応援席に戻った。
何か、洋平君に言うべきかと思ったけど、何を言えば良いのか分からなかった。
「ねこ、すごかったねー!!」
応援席に戻ると、みんな口々に言った。
:07/10/08 14:46
:N901iC
:cPjKM5TQ
#357 [あんみつ]
「ねぇ、やっぱねこと竹本君って付き合ってるの??」
今まで何度もされてきた質問。
私は、洋平君と付き合っていることを、奈津美と健二以外に言っていない。
言わなくても、その内気付かれると思ったし、言う気にもなれなかった。
:07/10/08 16:21
:N901iC
:cPjKM5TQ
#358 [あんみつ]
洋平君と付き合ってても、健二を手放そうとしない自分が、ずるいのは分かってるから。
健二を手放せない自分が、臆病なのも分かってるから。
だから私は、ただいつも通りの言葉を返す。
「ただの幼なじみだよー」
言い慣れたはずの言葉が、何となく重くて、痛かった。
:07/10/08 16:23
:N901iC
:cPjKM5TQ
#359 [あんみつ]
「・・・こ、ねこ!!」
奈津美が私の顔を覗き込んでいた。
「あ、ごめん。何??」
教室は盛り上がって、そこら中でカメラのシャッター音が響いていた。
:07/10/08 21:24
:N901iC
:cPjKM5TQ
#360 [あんみつ]
「いや、別に何でもないけど・・・疲れた??」
奈津美が心配そうに聞く。
「んー・・・ちょっとね」
私は、両手で缶を握り締めた。
:07/10/08 21:25
:N901iC
:cPjKM5TQ
#361 [あんみつ]
私は、間違っていたのかな??
きっと私は、これからも健二を手放せない。
絶対に失いたくない存在。
大切な人。
私は、この気持ちを、誰に伝えればいいんだろう。
誰に・・・。
:07/10/08 21:27
:N901iC
:cPjKM5TQ
#362 [あんみつ]
ガタッ
私は残りのジュースを一気に飲んで、立ち上がった。
「ねこ??」
「ごめん、奈津美・・・私帰るね!!」
荷物を引っ掴んで、私は教室を出た。
:07/10/08 21:28
:N901iC
:cPjKM5TQ
#363 [真帆]
:07/10/08 21:30
:F902i
:7aA1iCdQ
#364 [あんみつ]
――――――――
うまく言えるか分からない。
けど、伝えなきゃならない。
じゃないと、また私は、あの人を傷つける。
傷つけたくない。
傷つけてはいけない。
私のことを想ってくれる気持ちを、裏切ることになるから。
だから・・・
:07/10/08 21:51
:N901iC
:cPjKM5TQ
#365 [あんみつ]
:07/10/08 21:53
:N901iC
:cPjKM5TQ
#366 [あんみつ]
ドンッ!!
廊下の曲がり角で、誰かにぶつかってよろけた。
「わっごめん!!・・・て、ねこちゃん??」
「・・・洋平君」
「ごめん、大丈夫??」
洋平君は、借り物の前と変わらない、優しい目で私を覗き込む。
その目を見て、私はほっとした。
:07/10/08 21:59
:N901iC
:cPjKM5TQ
#367 [あんみつ]
「あ、うん。大丈夫」
(・・・前もこんなことあったな)
「そっか。どしたの急いで??」
「洋平君のとこ・・・行こうと思って」
私が言うと、洋平君は驚いた顔をした。
:07/10/08 22:01
:N901iC
:cPjKM5TQ
#368 [あんみつ]
「俺も、ねこちゃんのクラス行くところだった」
そう言って、洋平君はふっと笑った。
洋平君が笑うから、私も笑えた。
(・・・よかった)
:07/10/08 22:02
:N901iC
:cPjKM5TQ
#369 [あんみつ]
「じゃぁ・・・」
「一緒に帰ろっか」
私が言う前に、洋平君が言った。
「・・・うん」
この人に、伝える。
:07/10/08 22:03
:N901iC
:cPjKM5TQ
#370 [あんみつ]
――――――――
グラウンドに、私と、自転車を押す洋平君の影が伸びる。
みんなまだそれぞれの教室で騒いでいるのか、外にいる生徒は少なく、静かだった。
「あーなんか疲れたな」
そう言うと、洋平君は首を回した。
:07/10/19 22:13
:N901iC
:L5RMhy3k
#371 [あんみつ]
「洋平君、100mすごかったしねー!!」
私の言葉に、洋平君は照れ臭そうに「まーな」と言った。
校門を出ると、洋平君はさり気なく車道側に行く。
いつも通りの優しさが、今の私の心にひしひしと伝わってくる。
:07/10/19 22:16
:N901iC
:L5RMhy3k
#372 [あんみつ]
(・・・言わなきゃ)
「・・・洋」
チリンチリーン
後ろで自転車のベルが鳴った。
洋平君が私の前に来て、1列になる。
2人乗りをした他校の学生が、私たちの横を通り抜けた。
:07/10/19 22:17
:N901iC
:L5RMhy3k
#373 [あんみつ]
後ろに乗った小柄な女の子が、前の男子の大きな背中にしがみついている。
自転車が通り過ぎて、洋平君は再び私の横に並んだ。
タイミングを逃した私は、口をつぐむ。
「・・・俺が」
洋平君が口を開いた。
:07/10/19 22:18
:N901iC
:L5RMhy3k
#374 [あんみつ]
私は、洋平君の方を見た。
「・・・俺が、後ろにねこちゃんを乗せないのは・・・歩いて帰って、少しでも長く、ねこちゃんと話していたいから」
洋平君は前を見据えている。
夕日に照らされて、その横顔はオレンジ色だった。
:07/10/19 22:20
:N901iC
:L5RMhy3k
#375 [あんみつ]
「・・・健二よりも長く、ねこちゃんと一緒にいたいって思うから」
(・・・あ)
「・・・洋平君、健二は」
「分かってる」
洋平君は、私の言葉をさえぎった。
「・・・分かってるよ。ねこちゃんにとっても、健二にとっても・・・お互いが大事なのは」
洋平君は、片手で軽く頭を押さえた。
:07/10/19 22:23
:N901iC
:L5RMhy3k
#376 [あんみつ]
「けど・・・ねこちゃんの1番って誰??俺は、健二以上になれないの??」
歩くスピードを落とすことなく、洋平君は続ける。
「・・・そんな」
口の中が乾く。
(そんなこと・・・)
言葉がでない。
:07/10/19 22:25
:N901iC
:L5RMhy3k
#377 [あんみつ]
「・・・ごめん、意地悪言った」
洋平君が、やっと私の方を向いた。
「ごめんな。・・・ただ、健二に嫉妬してるだけだから」
立ち止まって、私の頭を撫でる。
「あとちょっとだけど・・・後ろ乗る??」
そう言って、洋平君は自転車の後ろを手で叩いた。
:07/10/19 22:29
:N901iC
:L5RMhy3k
#378 [あんみつ]
「・・・うん」
私は頷いた。
洋平君の後ろに乗って、両手で座っている荷台を掴む。
私が乗ったのを確認して、洋平君は自転車を漕ぎ始めた。
ゆっくりと進む。
お互い何も言わない。
:07/10/19 22:31
:N901iC
:L5RMhy3k
#379 [あんみつ]
あまり、顔を見られたくなかった。
多分、今私は、泣きそうな顔してる。
何も言えなかった。
きっと、また傷つけた。
『ごめん』って。
言うのは私の方だよ。
洋平君の広い背中を見ると、胸が締め付けられる思いがした。
:07/10/19 22:32
:N901iC
:L5RMhy3k
#380 [あんみつ]
――――――――
洋平君は、私の家のすぐ前で自転車を止めた。
私は降りて、洋平君からカバンを受け取る。
上手く目を見れない。
けど、このままじゃダメだ。
何か言わなきゃ。
「・・・私」
口を開いたけど、言葉が見つからない。
:07/10/19 22:43
:N901iC
:L5RMhy3k
#381 [あんみつ]
(なんで・・・)
喉が熱い。
洋平君の顔を見れずに、私はうつむいた。
すると、頭を2度、優しく叩かれた。
:07/10/19 22:45
:N901iC
:L5RMhy3k
#382 [あんみつ]
「ありがとう・・・じゃ」
洋平君が言い終わると同時に、頭から手が離れた。
私がそっと前を向くと、洋平君はすでにだいぶ進んでいた。
後ろ姿を見ていたら、また泣きそうになった。
:07/10/19 22:51
:N901iC
:L5RMhy3k
#383 [あんみつ]
あの手に私は、何度救われただろう。
なのに、私は傷つけてばかり。
「ごめん」も「ありがとう」も、みんな私のセリフだよ。
:07/10/19 23:04
:N901iC
:L5RMhy3k
#384 [あんみつ]
『ねこちゃんの1番って誰??』
あの時、何も言えなかったのは、洋平君の顔を見れなかったのは・・・。
私は門の前に座り込んだ。
「・・・なんで」
:07/10/19 23:07
:N901iC
:L5RMhy3k
#385 [あんみつ]
あの時、1番に頭に浮かんだのは・・・健二の顔だった。
私には洋平君がいるのに。
私、洋平君のこと好きだよ??
なのに、まだまだ「好き」が足りないの??
:07/10/19 23:09
:N901iC
:L5RMhy3k
#386 [あんみつ]
考えても考えても、自分の想いの深さは分からなくて。
けど、確かに言えるのは、健二を手放すっていう選択肢は、私の中になかったということ。
ねぇ、健二。
私は・・・ずるい。
:07/10/19 23:12
:N901iC
:L5RMhy3k
#387 [あんみつ]
:07/10/19 23:15
:N901iC
:L5RMhy3k
#388 [我輩は匿名である]
:07/10/20 10:18
:P903i
:LFsXw3nI
#389 [あんみつ]
:07/10/28 21:28
:N901iC
:G7bXKkWg
#390 [あんみつ]
15、明後日
体育祭から1週間たった。
洋平君とは一緒に帰ったりもしたけど、当たり障りのない会話しかしていない。
不自然なのは分かってる。
けど私は、どうすればいいのか、自分がどうしたいのか、分からなかった。
:07/10/28 21:33
:N901iC
:G7bXKkWg
#391 [あんみつ]
――――――――
「なぁ、ねこ日曜暇??」
「へ??日曜??」
間抜けな声が出て、健二に笑われた。
「はっ!!・・・久しぶりに2人でどっか行こー」
健二は靴を履きかえながら、平然と言った。
(・・・健二と2人で)
:07/10/28 21:40
:N901iC
:G7bXKkWg
#392 [あんみつ]
「・・・おい、何止まってんの」
靴を持って止まったままの私の手を、健二がはたく。
「あ、えーと・・・」
私は、靴を下駄箱にしまいながら考える。
「何か用事ある??」
(ないけど・・・)
:07/10/28 21:42
:N901iC
:G7bXKkWg
#393 [あんみつ]
「おっす、健二!!1時間目体育だよな??」
がっちりした感じの男子が、健二の肩を叩いた。
「あ、やべ!!ねこ、ごめん先行くわ。メールしろよ!!」
「あ、うん」
私がうなずいたのを確認して、健二は友達と階段を駆け上がっていった。
:07/10/28 21:49
:N901iC
:G7bXKkWg
#394 [あんみつ]
何で誘ってくれたんだろう。
ただの気紛れ??
けど、理由はどうであれ・・・嬉しい。
健二と2人で出かけるのなんて、ほんと久しぶり。
:07/10/28 21:51
:N901iC
:G7bXKkWg
#395 [あんみつ]
けど・・・
今、健二と2人で出かけてる場合じゃない。
分かってる。
分かってるのに。
・・・胸が高鳴る自分がいるのを、私は否定できなかった。
:07/10/28 21:54
:N901iC
:G7bXKkWg
#396 [あんみつ]
――――――――
(・・・どうしよ)
みんながだんだんと帰り始める中、私はまだ自分の席に座ったままでいた。
何だかんだで、洋平君は放課後、いつも私を迎えにきてくれる。
だけど、待ってるだけじゃダメな気がする。
私からも動かなきゃ。
:07/10/28 21:58
:N901iC
:G7bXKkWg
#397 [あんみつ]
(・・・よし!!)
「ねこー!!呼んでるよー」
私が立ち上がった時、ドアの所にいる友達に呼ばれた。
(え、洋平君かな??出遅れちゃった・・・)
かばんを持って、足早にドアの所へ向かう。
「・・・あ」
驚きを、思わず声に出してしまった。
:07/10/28 21:59
:N901iC
:G7bXKkWg
#398 [あんみつ]
「こんにちは。あの・・・ちょっといいですか??」
目の前にいるのは・・・佐古さん。
健二の・・・彼女。
:07/10/28 22:01
:N901iC
:G7bXKkWg
#399 [あんみつ]
――――――――
カチカチッ
――――――――

9/17 16:02
To 田村洋平
Sub 無題
ごめん!!
今日用事できたから、先帰ってて(pω・`)
――――――――
:07/10/29 16:14
:N901iC
:N8JyO4Pk
#400 [あんみつ]
パコンッ
携帯を閉じて、私は前を向いた。
それに気付いて、佐古さんが振り向く。
「ごめんね。・・・で、話って・・・??」
私は、恐る恐る聞いた。
けど、本当は何を言われるか、何となく分かる。
:07/10/29 16:16
:N901iC
:N8JyO4Pk
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