「好き」と言いたい。
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#651 [あんみつ]
――――――――


こんな日が来るんじゃないかって、ずっと思ってた。


「・・・私、健二が好きなの」

ねこちゃんが、吐き出すように言った。

体の中を、冷たいものが通り抜けた気がした。


本当は、話があるって言われた時から、なんとなく分かってた。

けど、認めたくなかった。

.

⏰:08/01/11 14:54 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#652 [あんみつ]
 

「・・・洋平君のこと、好きだよ。けど・・・私にとっての1番は・・・やっぱり健二なの」

ねこちゃんは、続ける。

ゆっくりと、自分の気持ちを言葉にしていく。


・・・健二なんだな。

分かってた。

分かってたけど・・・いいのか??

ねこちゃんは、それで。

.

⏰:08/01/11 14:56 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#653 [あんみつ]
 
また、つらい恋になるよ??

これからもまた、そんな想いを抱えてくのか??

けど・・・そんなこと言えない。

きっと、いっぱい悩んで考えて。

それで、つらい恋を、健二への想いを選んだんだ。

それだけ、ねこちゃんの中で健二は、大きな存在だったのだろう。

俺は、それを越えられなかった。

・・・きっと今、俺が何を言っても変わらない。

.

⏰:08/01/11 14:58 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#654 [あんみつ]
 

「・・・ごめんなさい」

ねこちゃんが、頭を下げる。

(・・・何で)

「・・・謝るなよ」

俺は、ねこちゃんの頭に手を置いた。

「俺・・・ねこちゃんが、ちゃんと俺と向き合ってくれて、嬉しかったよ」

ねこちゃんが、俺を見る。

「・・・ねこちゃんといれて、楽しかったし」

.

⏰:08/01/11 15:00 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#655 [あんみつ]
 

だから、謝るな。

俺は、後悔してない。

ねこちゃんに、「好き」と言ったこと。

ねこちゃんを、好きになったこと。


ねこちゃんの目から涙がこぼれた。

「・・・て、こら泣くなよ」

俺は袖で、それを拭う。

「・・・洋平君、優しすぎだよー・・・」

ねこちゃんが言う。

.

⏰:08/01/11 17:16 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#656 [あんみつ]
 

優しくなんかないよ。

俺は、ねこちゃんをいっぱい傷付けた。

優しくなんか・・・ない。


「泣くなって・・・また、ほっとけなくなるから」

俺は、そう言って笑って見せた。

「ほら、笑え!!」

俺の言葉に、ねこちゃんは自分の手で涙を拭う。

⏰:08/01/11 17:19 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#657 [あんみつ]
 
「・・・ありがと」

ねこちゃんは、笑顔で言った。

俺は、ねこちゃんの頭をぽんぽんと叩く。


頑張れなんて言えない。

頑張っても、君はどうせ泣くだろう??

だから、俺は言う。

.

⏰:08/01/11 17:21 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#658 [あんみつ]
 

「・・・どうしてもつらくなったら、言いなよ。聞くからさ」

俺に言える、精一杯。

ねこちゃんが何か言う前に、俺は立ち上がった。

「・・・じゃ、またな!!」

校舎に向かって、走った。

後ろを振り向かずに。

走りながら、鼻の奥がツンとなった。

.

⏰:08/01/11 17:27 📱:D904i 🆔:9qUYJqO.


#659 [あんみつ]
――――――――


ねこちゃんと別れてから、1週間。

傷は、まだまだ癒えない。


「洋平、俺帰るわ」

健二が立ち上がって言った。

「おう、じゃあな」

俺が言うと健二は、ドアの所にいる佐古さんの方へ向かっていく。

.

⏰:08/01/14 09:21 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#660 [あんみつ]
 

俺が健二に冷たく当たっても、健二は普通に俺に話しかけてくれた。

あんないい奴は、いない。

そう思う。

けど、俺は健二に、ねこちゃんと別れたことをまだ言っていない。

⏰:08/01/14 09:25 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#661 [あんみつ]
 
ねこちゃんと健二の様子が、またおかしいことに気付いたから。

それもある。

けど本当は、正直健二に対して悔しい気持ちがあるから。

だから・・・まだ言わない。


(・・・俺も帰るか)

俺は、カバンを持って立ち上がった。

.

⏰:08/01/14 09:26 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#662 [あんみつ]
 

俺は、ねこちゃんに「好き」と言ったことを、後悔してない。

けど実際の所、ねこちゃんはどうなんだ??

傷つけてばかりだった。

俺と付き合ったこと、後悔してないのか??

.

⏰:08/01/14 09:28 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#663 [あんみつ]
 

「・・・あ」

下駄箱で、ねこちゃんの友達に会った。

木原さんだ。

俺は、軽く頭を下げた。

向こうも気付いて、頭を下げる。

俺と別れたことは、ねこちゃんから聞いているのだろう。

木原さんは少し気まずそうだった。

⏰:08/01/14 09:30 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#664 [あんみつ]
 
「・・・じゃ」

俺は靴を履き替えて、木原さんの横を通り過ぎようとする。

「・・・洋平君!!」

呼ばれて俺は立ち止まった。

振り返ると、俺を呼んだ本人木原さんは、少し赤くなった顔で俺を見ていた。

「・・・あのっ・・・ねこは、洋平君に救われたと思う」

一瞬下を向いた後、言った。

⏰:08/01/14 09:31 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#665 [あんみつ]
 
「ねこは、洋平君と付き合ってよかったと思う。・・・だから・・・」

言葉を詰まらせた木原さんの顔が、赤みを増していく。

「・・・ありがとう」

少しうつむいた木原さんに、俺は言った。

木原さんは、パッと顔を上げて俺を見る。

そして、少し照れたように笑った。

.

⏰:08/01/14 09:32 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#666 [あんみつ]
 

木原さんと別れて、俺は駐輪場に向かう。

自転車をこぎ始めると、少し涼しくなった風が顔に当たった。


ただの同情かもしれない。

けど木原さんの言葉は、俺の中にすんなりと入ってきて、ぽかりとあいた心の穴をほんの少しだが埋めてくれた。

・・・少し、救われた気がした。

.

⏰:08/01/14 09:34 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#667 [あんみつ]
 

『ねこは、洋平君に救われたと思う』

そうかな??

『ねこは、洋平君と付き合ってよかったと思う』

・・・そうだと、いいな。


木原さんの言葉は、俺の中に暖かく響く。

.

⏰:08/01/14 09:35 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#668 [あんみつ]
 

『洋平君!!』


ねこちゃんの笑った顔が、頭に浮かんだ。

胸が痛む。

(・・・あー)

「・・・あー!!」

横を流れる川に向かって思い切り叫んだら、自分の中の余計なものを吐き出した気がして、少し気分がすっとした。

.

⏰:08/01/14 09:37 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#669 [あんみつ]
 

・・・よし、大丈夫。

俺は大丈夫だ。

だから、願う。


大好きな君に、幸あれ。

.

⏰:08/01/14 09:38 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#670 [あんみつ]
20話目の洋平君目線は以上です
長かった割に微妙な感じ・・・
キリがいいんで感想板貼っときます
読んだ方、感想くれると嬉しいです
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/
次の21話目は奈津美目線になります

⏰:08/01/14 09:46 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#671 [あんみつ]
21、「好き」と言えない。


できることなら気付きたくなかった。

けど、あなたのこと見てたら気付いちゃった。

あなたの目線の先にいるのが、私の親友だってこと。



…………奈津美's side…

.

⏰:08/01/14 15:53 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#672 [あんみつ]
 

話した回数なんて、数える程しかない。

私の名前を覚えてくれてるのかさえ危うい。


「奈津美ー、今日うち寄る??」

「うん!!」

ねこの誘いに、私は大きくうなずいた。

.

⏰:08/01/14 15:55 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#673 [あんみつ]
 

根宮奈子、縮めて「ねこ」。

高校に入ってすぐに仲良くなった、私の友達。

高1の秋。

今では、大好きな私の親友。

.

⏰:08/01/14 15:56 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#674 [あんみつ]
 

「あ、健二のとこ寄っていい??一緒に帰れないって言わなきゃ」

廊下を歩きながら、ねこが言った。

「うん、いいよー」

私たちは、健二君のクラス、2組に向かう。

.

⏰:08/01/14 15:58 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#675 [あんみつ]
 

健二君は、ねこの幼なじみ。

そして・・・ねこの好きな人。

幼なじみという立場から、健二君に「好き」と言えないねこ。

ねこは、健二君が好き。

けど、健二君にとって、ねこはただの幼なじみらしい。

1番近くにいるねこが言うんだから、きっとそうなんだろう。

.

⏰:08/01/14 15:59 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#676 [あんみつ]
 

転勤族だった私には、幼なじみと呼べる人がいない。

けど、ねこの気持ちはよく分かる。

叶わないと分かってて気持ちを伝えるなんて、できない。

ねこみたいに、相手との関係が壊れるんじゃないかと思うとなおさら。

怖くて、「好き」と言えない。

.

⏰:08/01/14 16:31 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#677 [あんみつ]
 

「あ、健二!!」

2組のドアの所から、ねこが健二君を手招きした。

気付いた健二君が、こっちに来る。

健二君の隣には、友達だろう、背の高い男子が一緒にいた。

「ねこ、ごめん!!今日一緒に帰れんわ。洋平んち寄るから」

来るなり健二君が言った。

⏰:08/01/14 18:06 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#678 [あんみつ]
 
「あー、ならよかった。私も今日奈津美と帰るから」

ねこが、私を見て言う。

「そうなん??じゃ木原さん、こいつのことよろしくねー」

健二君がねこのお母さんみたいな口調でいうから、おかしくて笑えた。

「あははっ!!まかしといてー!!」

⏰:08/01/14 18:08 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#679 [あんみつ]
 
「洋平君も、健二のことよろしくね!!」

ねこは、もーっという顔をした後、健二君の隣の男子に言った。

「ははっ!!了解」

洋平君と呼ばれた男子が、笑って答える。


・・・それだけだった。

優しそうに笑う顔が、ちょっといいなって思った。

ただ、それだけだった。

.

⏰:08/01/14 20:22 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#680 [あんみつ]
――――――――


別に、好きになったわけじゃない。

けど・・・何だか少し、気になる人。


「今日の日直ー、このあとすぐ職員室来てくれ」

帰りのSHRの時、担任が言った。

「うえー、今日私だー」

そう言って、ねこが机にうなだれる。

⏰:08/01/14 20:48 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#681 [あんみつ]
 
SHRが終わって私が近づくと、ねこはむくりと起き上がった。

「ついてないねー」

私はそう言って、ぽんぽんとねこの頭を叩いた。

「ほんとに!!どうせ雑用だよー」

言いながらねこは、座ったまま地団太を踏む。

⏰:08/01/14 20:51 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#682 [あんみつ]
 
「・・・あ!!健二に先帰ってって言わなきゃ!!」

ねこが思い出したように言った。

「根宮ー。早く来いよー」

「えー!!」

担任の呼ぶ声に、ねこが焦る。

「・・・私、言っとこうか??」

.

⏰:08/01/14 20:52 📱:D904i 🆔:2mvCZBnA


#683 [まあ]
あげ

⏰:08/01/19 23:37 📱:D904i 🆔:z4VRGs.A


#684 [あんみつ]
まあさん
機種一緒ですね
ありがとうございます

⏰:08/01/20 15:44 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#685 [あんみつ]
――――――――


私は今、2組の前にいる。

ねこの代わりに、健二君に伝言を伝えるため。


(・・・えーと)

後ろのドアから、そっと中を覗く。

すでにあまり人がいない教室に、健二君がいないことはすぐ分かった。

⏰:08/01/20 15:46 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#686 [あんみつ]
 
(えー、どうしよ・・・)

「あれ??」

しつこく教室の中を見ていた私の後ろから、聞き覚えのある声がした。

私は、驚いて後ろを振り向く。

「・・・あ」

(・・・洋平君)

目の前には、洋平君がいた。

⏰:08/01/20 15:48 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#687 [あんみつ]
 
「ねこちゃんの友達だよね??」

不思議そうな顔で、私を見る。

「あ、うん」

私はうなずいた。

(・・・覚えててくれたんだ)

そう思うと、嬉しくなった。

.

⏰:08/01/20 15:49 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#688 [あんみつ]
 

洋平君のこといいなって思ったあの日から、約1ヶ月。

本当は、どこかで見かける度、無意識に目で追ってた。

背の高いその姿を、何度も探した。

今日だって・・・本当は、会いたかった。

もっと、話してみたかったんだ。

.

⏰:08/01/20 15:52 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#689 [あんみつ]
 

「で、どしたの??」

洋平君が聞く。

(わ、えっと・・・)

「あ、ねこが健二君に先帰ってて・・・って言ってたの伝えに来たんだけど」

私は、どぎまぎしながら答えた。

洋平君が私の上から、教室の中を覗く。

⏰:08/01/20 15:54 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#690 [あんみつ]
 
「あれ、健二いねーな。荷物あるから戻ってくるとは思うけど・・・伝えとこうか??」

「あ・・・じゃあ、お願い」

「ん、分かった」

洋平君は、笑顔で言った。

(・・・やっぱいいな)

「あ、てかあれねこちゃんじゃない??」

洋平君が、廊下の窓から外を指さす。

見ると、2階の渡り廊下を、ねこがプリントを抱えて歩いていた。

⏰:08/01/20 15:56 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#691 [あんみつ]
 
「あーほんとだ・・・」

ねこを見てそう言った後、私は隣にいる洋平君を見た。

(・・・あ)

ドクンッ

自分の、心臓の音が聞こえた気がした。

ねこを見つめる・・・洋平君の優しそうな顔。

⏰:08/01/20 15:58 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#692 [あんみつ]
 
「あ、じゃあバイバイ!!伝えとくから」

洋平君は突然言って、教室に戻るのかと思ったら、廊下を早足で行ってしまった。


・・・ここで、止めておけばよかった。

大人しく、帰っていればよかった。

けど私は、じっとねこの姿を見ていたんだ。

.

⏰:08/01/20 16:00 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#693 [あんみつ]
(・・・あ)

ねこに、走って近づく後ろ姿。

・・・洋平君だ。

洋平君はねこを引き止めて、何やら話している。

そして、ねこの持っているプリントを半分持った。

2人は、並んで校舎に消えた。

.

⏰:08/01/20 16:01 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#694 [あんみつ]
 

「木原さん??どしたの??」

呼ばれて、私はハッとした。

隣には、いつの間にか健二君がいた。

「あ・・・ねこが、用事できたから先に帰っててって」

「そうなん??わざわざありがとね」

「ううん。じゃ、バイバイ!!」

私はそう言って、健二君の横をすり抜けた。

.

⏰:08/01/20 16:04 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#695 [あんみつ]
 

大丈夫。

別に、好きなわけじゃないし。

ちょっといいなって、思っただけだし。


階段を下りながら、私は深呼吸した。


・・・大丈夫。

洋平君がねこを好きでも、関係ない。

・・・まだ、恋じゃない。

.

⏰:08/01/20 16:06 📱:D904i 🆔:VCGVswmk


#696 [我輩は匿名である]
>>600-750

⏰:08/01/20 17:29 📱:D902iS 🆔:MKauKImE


#697 [あんみつ]
匿名さん
ありがとうございます

⏰:08/01/27 16:59 📱:D904i 🆔:NhPeZHpY


#698 [あんみつ]
――――――――


洋平君はねこを見てる。

ねこは健二君を見てる。

私は・・・恋なんかしてない。


高2、夏の始まり。

「奈津美はさ・・・好きな人いないの??」

放課後、突然ねこが聞いてきた。

(・・・好きな人、か)

.

⏰:08/01/27 17:02 📱:D904i 🆔:NhPeZHpY


#699 [あんみつ]
 

ねこには、私が洋平君をいいなって思っていたことは、言っていない。

別に、もう関係ないし。


「私??・・・んー私は・・・」

ドンッ!!

「きゃ!!」

いないよ、と言おうとしたら、廊下の曲がり角から突然現れた人にぶつかって、ねこがよろけた。

⏰:08/01/27 17:03 📱:D904i 🆔:NhPeZHpY


#700 [あんみつ]
 
(・・・あ)

「ごめん!!大丈夫??」

洋平君だ。

ねことぶつかったのは、洋平君だった。

久しぶりに見るその姿に、私は思わず固まった。

.

⏰:08/01/27 17:06 📱:D904i 🆔:NhPeZHpY


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