darkness;FROM OZ
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#118 [OZ]
漆黒の黒い髪は乱れに乱れ、半ば抜け落ちていた。
なにがどうしたらこうなるのだ?
彼女は今にも死んでしまいそうだった。
腕や足がどのようにしてなくなってしまったかはわからないが、見たところなんの処置もされていないのはあきらかで、それで生きていられのが不思議だった。
「……長谷川さん。
説明してください……」
:07/09/17 19:04
:SH703i
:☆☆☆
#119 [OZ]
その時、長谷川さんのそばに包丁が転がっていたのが目に入った。
「……包丁?」
僕がそう言ったと同時に長谷川さんは、可夜に引けをとらない大声で泣き叫びながら後退して行った。
可夜は畳の上に放り出される。
老婆は這うように動き、部屋の壁に当たると頭を抱え込み、めそめそと泣き出した。
長谷川さんがどうしてこのように泣いているのか知らなかったが、僕はなんともいえない軽蔑の心がざわめき立つ。
:07/09/17 19:18
:SH703i
:☆☆☆
#120 [OZ]
可夜の方はようやく少し落ち着いて、静かに涙を流しながら力無く横たわっていた。
僕は無意識のうちに可夜の側へ行くと、長谷川さんがやっていたように、そっと彼女を抱き抱えた。
長谷川さんはそれから暫くの間泣いていたが、泣き止むと、心ここにあらずといった様子で、ボソリボソリと事の顛末を話し出した。
その頃には、僕は完全に長谷川さんを侮蔑し、憎んでまでいた。
長谷川さんがとても醜いものに感じられた。
:07/09/17 19:29
:SH703i
:☆☆☆
#121 [OZ]
長谷川さんの話はとても現実に起こったことだなんて信じられなかった。
しかもこの家で。
「可夜は私の孫でもなんでもないわ……」
可夜は、僕と同じような理由で長谷川さんの家に住まわせてもらうことになった女子大生だったそうだ。
両親はずいぶん前に亡くなり、結婚をしていなかった長谷川さんはもちろん家族もおらず、孤独だった。
:07/09/17 19:40
:SH703i
:☆☆☆
#122 [OZ]
そんな中、今から一年前くらいに現れた可夜は、長谷川さんにとって、何よりも大切な存在となった。
長谷川さんは可夜の美しさ、優しさを独り占めしたいと渇望した。
そして、可夜が本当の孫であればと思い、実際にそのように接した。
ところがある日突然に、可夜は長谷川さんの家を出ると言い出したそうだ。
それが彼女を哀れな姿に導くことになった。
:07/09/17 19:51
:SH703i
:☆☆☆
#123 [OZ]
長谷川さんはなんとかして引き止めようとしたが、彼女の決心は固かった。
可夜を絶対に手放したくなかった長谷川さんは、彼女の手足を切断した。
そして、僕が使っている部屋の押し入れに彼女を隠した。
可夜は奇跡的に死なず、生き続けた。
これが僕がこの家に来る、一週間前のことだという。
:07/09/17 20:02
:SH703i
:☆☆☆
#124 [OZ]
長谷川さんは僕を初めて見たとき、可夜の兄弟なのではないかと思ったそうだ。
可夜に兄弟を作ってあげるために、僕を自分の家に招き入れた。
彼女自信も男の子の孫が欲しいと思っていた。
僕が家にやってくる前に可夜を長谷川さんの寝室の押し入れに移した。
時が来たら僕に紹介するつもりだったらしい。
:07/09/17 20:15
:SH703i
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#125 [OZ]
けれど、時間が経つにつれて、長谷川さんは可夜を疎ましく思うようになった。
新しい孫ができた今、手足のない孫などいらなくなってきたのだ。
可夜は頭がいかれてしまい、まともに話すことすらままならない。
可愛い孫としての機能を何も果たさなくなった。
それどころか奇声をあげたり、大声をあげるようになってしまった。
:07/09/17 20:21
:SH703i
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#126 [OZ]
僕も何かを怪しみ初めて、ついに長谷川さんは心を決めた。
庭に穴を掘った。
人を埋められるくらい大きな穴を。
そして今日、可夜は死ぬはずだった。
「足腰が悪いのかと思ってました……」
僕の言葉は、静まり返った部屋に間抜けに響いた。
:07/09/17 20:28
:SH703i
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#127 [OZ]
長谷川さんは完全に力を失い、何も答えなかった。
可夜が再び喚き出した。
「……助け…て!痛い……。殺して……あのばあさんを……。殺せーーーーーーーーっ!!」
僕は片手で可夜を抱きながら、空いた手で落ちていた包丁を拾いあげた。
長谷川さんはその様子を見ると、ゆっくりと目を閉じた。
:07/09/17 20:37
:SH703i
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