―温―
最新 最初 全
#286 [向日葵]
―生―
「しっずる〜い!」
学校で静流は友人香月から大声で呼ばれて振り向く。
そして抱きつかれる。
「どわ!何だよ!」
「お前今日誕生日だろ?お祝いのハグ。」
:07/09/08 00:44 :SO903i :qrBbq8eE
#287 [向日葵]
そうなのだ。
梅雨真っ只中の今日。
生憎天気は雨。
そんな中、17年前、静流はこの世に生を受けた。
「いらねぇし……。男のハグなんて嬉しくねぇ。」
「じゃあ誰のだったら言い訳?」
静流は思わず「へ?」と高い声を出してしまった。
香月はとりあえず離れて静流の様子を伺う。
「誰って……。」
「まぁ双葉ちゃんだよな!」
:07/09/08 00:48 :SO903i :qrBbq8eE
#288 [向日葵]
――――
――――
今日はここまでにします
:07/09/08 00:48 :SO903i :qrBbq8eE
#289 [向日葵]
「え?……あぁ。ウン。」
何でだ……?
俺なんで今紅葉の顔が出てきたんだろ。
「なぁ。そういえば、あの子元気?紅葉ちゃんだっけ。」
自分が考えてた事がバレたかと思って心臓が跳ねた。
冷や汗をかきながら香月に返事をする。
「あぁ。やっと熱もひいたみたいで。あと食事も段々出来るようになったよ。」
「そっか。あ、なぁ。今日遊びに行ってもいい?」
:07/09/09 13:46 :SO903i :7H/AWLK.
#290 [向日葵]
「なんで?」
「ん〜。なんかあの子に会いたくて。」
俺は返事に困る。
どうも香月はこの頃よく遊びにくる。
それは俺と遊ぶ為じゃなく、明らかに紅葉目的で。
もしかして……好きなのか?
「あ、双葉ちゃん。」
香月に反応して勢いよく後ろを見ると、友達と喋りながら歩いてくる双葉の姿があった。
双葉は俺に気づくと、友達に何かを言ってから俺の元へやってくる。
:07/09/09 13:52 :SO903i :7H/AWLK.
#291 [向日葵]
「静流。今日空いてる?」
「?うん。空いてるけど?」
そう言うと、双葉は突然顔を赤らめた。
どうしたのかと首を傾げながら双葉の言葉を待っていると、周りのざわめきで聞こえるか分からないくらいの音量で双葉が喋りだした。
「あの……ね。うちで、お誕生日会、二人でしない?親は、仕事で遅いし……。」
「え……。」
それはつまり……そう言うことで……?
:07/09/09 13:59 :SO903i :7H/AWLK.
#292 [向日葵]
思わず二人で赤くなってしまう。
「いぃんじゃねぇの〜?むしろお泊まりでもしちゃえば?」
と香月が肩に腕を乗せながら二人の話に割り込んできた。
そこで思い出した。
そうだ今日コイツ来るじゃん。
それを察したかのように香月は先手を打つ。
「あ、俺なら気にしないで。って言うか、お前の代わりに紅葉ちゃんの面倒見るし。」
「は?!……お前頼むから余計な事アイツにすんなよ。」
:07/09/09 14:06 :SO903i :7H/AWLK.
#293 [向日葵]
その時少し双葉の顔が歪んだ事を二人は知らない。
「何もしないっつーの。まぁしいて言えば……キスくらい?」
それだけ言い残して機嫌良く教室に入って行った。
その後を追う静流。
「ちょ、香月」
「静流!」
ドアにさしかかった所で、双葉が静流を止めた。
静流もその声に足を止める。
「ん?何?」
微笑みながら双葉に聞き返す。
:07/09/09 14:15 :SO903i :7H/AWLK.
#294 [向日葵]
呼び止めたはいいが、双葉は言葉を詰まらせていた。
「あ、あの……。その……。静流は、紅葉ちゃんを」
キーンコーンカーンコーン……
チャイムが鳴ったので、まだ言い足りなさそうだったがなやむを得なく双葉は自分のクラスへと帰って行った。
静流もなんだったのかと首を少し傾げて教室へ入って行った。
******************
「誕生日?」
私は作業しながら話している源さんに聞き直した。
:07/09/09 14:27 :SO903i :7H/AWLK.
#295 [向日葵]
源さんは相変わらず意味の分からない物をカチャカチャ作りながら私に返す。
「ウン。静流君今日で十七歳なんだ。だからお祝いしようかと思って。」
「ケーキとか……?」
「そうだねー。買って来ようか!」
ペンチを置きながら源さんは言った。
でも確か源さんは何個か作品を作らなきゃいけないから今は忙しい。
ちょっとの時間でも惜しい筈…………なら。
「私、行ってくるわ。源さんはお仕事してて。」
:07/09/09 14:33 :SO903i :7H/AWLK.
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194