―温―
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#1 [向日葵]
:07/08/19 12:51 :SO903i :NfUWlfOw
#2 [向日葵]
―始―
梅雨が始まる雨が降っていた。
その中で、朦朧とした中、私は横たわっていた。
あぁ……とうとうかぁ……。
:07/08/19 12:53 :SO903i :NfUWlfOw
#3 [向日葵]
―雨―
良かった。
私やっと天に昇れたんだ……。
あったかい布団にも包まれてて……。
――――え?布団?
体を僅かに動かすと、体のあちこちが痛かった。
「っ!」
「あ、起きた?」
目を開ければ、髪の毛がボサボサの、だけど顔が整っている男性がいた。
:07/08/19 12:57 :SO903i :NfUWlfOw
#4 [向日葵]
「は……?誰アンタ……。」
「僕は源(げん)だよ。」
知らない。
ってかここどこだよ…。
源「君、覚えてないの……?君は、ゴミ捨て場にいたんだよ。しかも凄い怪我だったし。」
あ……そうか。
予想通りで笑える……。
……。それなら何故。
「なんて事、してくれたのよ。」
源「え?」
私はフカフカのベッドから出て、痛い足を叱咤しながらドアまで走った。
:07/08/19 13:05 :SO903i :NfUWlfOw
#5 [向日葵]
源「えっ?!ちょ、君!」
タタタタタ
何よこの家。
無駄に広すぎだし。
ってか何よあのボサボサ男。なんで私を助けたりしたの。
最後の記憶は、母さんの拳についた私の血と、さげずむ言葉。
[アンタなんて何で生まれてきたの?]
そんなの知らない。
貴方が産んだんでしょ……。
もういい。人なんて信じれない。
:07/08/19 13:12 :SO903i :NfUWlfOw
#6 [向日葵]
「ハァ……ハァ……。」
死んで楽になる。
誰も信用なんてしない。
温い感情なんていらない。
「あ、あれ……玄関…っ?!」
足痛い…。顔も、体の節々も……。
その時だった。
ガチャ
「っっ?!」
「ただい…うわっ!」
突然だったので、玄関から入って来た男の子に思いきりぶつかってしまった。
:07/08/19 13:18 :SO903i :NfUWlfOw
#7 [向日葵]
ぶつかった時に体に激痛が走る。
そのせいで崩れそうになる体を、男の子が支えてくれる。
でも私はその手を逃れて、出て行こうとした。
すると、
フワッ
「ちょっ!」
男の子は難なく私を持ち上げて、まるで赤ちゃんを高い高いするみたいに私を上に上げる。
「なんだお前。」
「離しなさいよちょっと!」
:07/08/19 13:25 :SO903i :NfUWlfOw
#8 [向日葵]
私が足をバタバタしても全然敵わかった。
源「あ……ハァ……静流(しずる)君……。おかえり……ハァ。」
静流「ただいま父さん。ってか何この軽いの。捨て猫?」
「誰が……っ!」
ってかこのボサボサ男父親?ならこれ息子?
静流「ってかこれ俺のシャツじゃん!」
私の着ているのはブカブカのシャツ。
どうやらこの息子のらしい……。
:07/08/19 13:36 :SO903i :NfUWlfOw
#9 [向日葵]
「離しなさいよ!なんなのよアンタ達!」
すると静流とか言う息子は私を赤ん坊みたいに抱くと、私をじっと見つめる。
静流「助けてもらったクセに態度デカイぞお前。」
「そんなの頼んでない。私はあのまま死にたかった!」
その言葉に、二人とも黙った。
息子は静かな怒りを込めた目で、私を見つめる。
静流「お前ふざけんなよ…。」
落ち着いてるのに怒ってるその声に私は少し怖じけづいた。
:07/08/19 13:44 :SO903i :NfUWlfOw
#10 [向日葵]
「ふざけてないわよ。説教する気?」
その静かな攻防に耐えかねた父親が、焦って割って入る。
源「ストップストップ!なら、君、怪我が治るまででいいからここにいなさい!」
怪我が治るまで?
……まぁ、悪くないわね。人前で死んで醜態晒すよりは遠く離れる方がいいし。
「……いいわ。怪我が治るまでね。」
源「よし!じゃあご飯にしようかっ!」
:07/08/19 13:48 :SO903i :NfUWlfOw
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