―温―
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#391 [向日葵]
バンッ!!

「ハァッ!ハァッ!」

私は口をゴシゴシ拭いた。

悔しい。
何でこんな思いしなくちゃいけないの?!
私ばっかり振り回されて、胸の中ぐちゃぐちゃにされて……っ!

ポタポタ。

フローリングに滴が落ちる。

こんなに泣いて……。
最近は泣いてばっかり。

静流を好きって知ってからずっと胸が軋む。

⏰:07/09/17 01:36 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#392 [向日葵]
********************

俺は投げ捨てたガーゼと包帯を拾いながら、反省していた。

忘れろと言った事。
抱き締めてしまった事。

……キスしてしまった事。

抱き締めたまでの自分は覚えてる。
でもキスは…………自分でも何故したか分からない。
そっと指先で、自分の唇をなぞる。

そして軽く叩かれた頬……。

⏰:07/09/17 01:42 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#393 [向日葵]
[ね?分かった?]

「……。」

あの痛ましい笑顔……。
抱き締めずにはいられなかった……。

無理して笑ってるのが分かった。
何でそんなに辛そうなのかは分からない。
せっかくの初めての笑顔だったのに……。

「――ごめん……。紅葉……。」

忘れろなんて……本心じゃないよ。
でもその方が、紅葉の為だと思うから。

――ごめん。今はただ謝るしか出来ない。

⏰:07/09/17 01:49 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#394 [向日葵]
ピリリリリ

突然の着信音に、静流の体はビクッとして机に置いてある携帯に手を伸ばす。

サブディスプレイを見れば、双葉からだった。
どうやら電話。

「……もしもし。」

{静流。寝起き?何か元気ないね。}

「実は」

[彼女さんが傷つく。]

紅葉の事を話そうとした時、さっき言われた事を思い出した。

途端に無言になってしまう。

⏰:07/09/17 02:06 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#395 [向日葵]
[言われなくても忘れてやるわよ!]

「……。」

{静流?}

「……ごめん。何でもない。」

*******************

「ただいまー。」

源さんが帰ってきた。
現在の時刻、昼の一時。

「おかえり……なさい。」

ソファーに座っていた私は肩越しに振り返り、挨拶をする。

源さんは嬉しそうに笑って私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
そこであることに気づく。

⏰:07/09/17 02:13 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#396 [向日葵]
「口赤いけどどうかした?それに傷の手当ては?」

「……。ちょっと、かぶれてきたから。外したの。」

源さんはそれ以上は追及せず「そっか。」と言ってシャワーを浴びに行った。
またリビングが静まりかえる。

するとガチャッとドアが開く音が聞こえて、足音がこちらに向かってくる。
大体予想はつく。

「父さん……帰ってきたのか?」

静流の呼び掛けに、私は背中を向けたまま応じた。

⏰:07/09/17 02:18 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#397 [向日葵]
「そうよ。」

そしてまた黙る。
静流は多分リビングの入口にいるんだと思う。

「……今から双葉が来るんだ。それで…紅葉と喋りたい」

「彼女が来るなら。」

そう言いながら私はベランダの戸を開けた。
雨はいつの間にか止んで晴天。青空が広がっていた。

「消毒してもらうといいよ。口。」

振り返って、静流を見る。見たらまた胸が痛んだ。

「過ちを消すには、好きな人からの消毒が一番でしょ。」

それだけ言って戸をピシャリと閉めた。

⏰:07/09/17 02:22 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#398 [向日葵]
きっと大丈夫……。

忘れれる。
違う。忘れろ。

忘れてまたいつもみたいに喋ればいい。
そしたらまたいつもの日常になる。

私が忘れることで、平和になるんだ。

私は空を見上げた。

また雨が降ればいいのに。そしたら全部流れて、無しになって、ゼロからのスタートだ……。

「……神様…。」

これも罰ですか?

⏰:07/09/17 02:28 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#399 [向日葵]
*********************

[過ちを消すには、好きな人からの消毒が一番でしょ。]

言葉を失った。
過ち?そんな…………。

「俺は……そんな事……。」

思ってないのに。

ルルルルルル!

今度は家の電話が鳴った。何だ今日は……。俺は電話係か……。

「もしもし。」

{あ、静流?俺俺。}

⏰:07/09/17 02:35 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#400 [向日葵]
声の主は香月だった。

ってかお前さっき電話してたじゃん。

{紅葉いる?}

は?

「お前今なんつった。」

「だから……紅葉いるか?って。」

おいいつの間に呼び捨てしてんだよお前!
俺は許した覚えないぞ!
大体なんで俺じゃなく紅葉に用があるんだよ。

「いるけど……。」

{代わってくんない?}

⏰:07/09/17 02:38 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


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