―温―
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#396 [向日葵]
「口赤いけどどうかした?それに傷の手当ては?」

「……。ちょっと、かぶれてきたから。外したの。」

源さんはそれ以上は追及せず「そっか。」と言ってシャワーを浴びに行った。
またリビングが静まりかえる。

するとガチャッとドアが開く音が聞こえて、足音がこちらに向かってくる。
大体予想はつく。

「父さん……帰ってきたのか?」

静流の呼び掛けに、私は背中を向けたまま応じた。

⏰:07/09/17 02:18 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#397 [向日葵]
「そうよ。」

そしてまた黙る。
静流は多分リビングの入口にいるんだと思う。

「……今から双葉が来るんだ。それで…紅葉と喋りたい」

「彼女が来るなら。」

そう言いながら私はベランダの戸を開けた。
雨はいつの間にか止んで晴天。青空が広がっていた。

「消毒してもらうといいよ。口。」

振り返って、静流を見る。見たらまた胸が痛んだ。

「過ちを消すには、好きな人からの消毒が一番でしょ。」

それだけ言って戸をピシャリと閉めた。

⏰:07/09/17 02:22 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#398 [向日葵]
きっと大丈夫……。

忘れれる。
違う。忘れろ。

忘れてまたいつもみたいに喋ればいい。
そしたらまたいつもの日常になる。

私が忘れることで、平和になるんだ。

私は空を見上げた。

また雨が降ればいいのに。そしたら全部流れて、無しになって、ゼロからのスタートだ……。

「……神様…。」

これも罰ですか?

⏰:07/09/17 02:28 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#399 [向日葵]
*********************

[過ちを消すには、好きな人からの消毒が一番でしょ。]

言葉を失った。
過ち?そんな…………。

「俺は……そんな事……。」

思ってないのに。

ルルルルルル!

今度は家の電話が鳴った。何だ今日は……。俺は電話係か……。

「もしもし。」

{あ、静流?俺俺。}

⏰:07/09/17 02:35 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#400 [向日葵]
声の主は香月だった。

ってかお前さっき電話してたじゃん。

{紅葉いる?}

は?

「お前今なんつった。」

「だから……紅葉いるか?って。」

おいいつの間に呼び捨てしてんだよお前!
俺は許した覚えないぞ!
大体なんで俺じゃなく紅葉に用があるんだよ。

「いるけど……。」

{代わってくんない?}

⏰:07/09/17 02:38 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#401 [向日葵]
―――――――

今日はここまでにします

⏰:07/09/17 02:39 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#402 [向日葵]
「何の用だよ。」

{……そんなの関係あるわけ?お前に。}

受話器を握る手に力が入る。
香月はそんな俺に構わず続ける。

{お前は紅葉を妹ぐらいにしか思ってないんだろ?ならいいんじゃないのか。紅葉が誰とつるもうと。}

「……っ。」

ガチャン!

図星を付かれて、いらだち任せに受話器を置いた。

頭をグシャグシャとかきまわす。
そういえば風呂、まだだった。

⏰:07/09/18 01:28 📱:SO903i 🆔:EPqLf0/I


#403 [向日葵]
双葉が来るなら、清潔の方がいいだろう。

リビングを出る前、ベランダで空を見上げる紅葉に一回視線を向けて、俺は風呂場へ向かった。

*****************

はぁ……。ちょっと外に出て来ようかな。
……いや今外だけど。
花壇の水やりにでも行ってこようかな。

「こんにちわ。」

「ん?」

下から声がしたから、下を見ると、長い黒髪を風に遊ばせながら彼女さんがにこにこ笑っていた。

⏰:07/09/18 01:35 📱:SO903i 🆔:EPqLf0/I


#404 [向日葵]
「こん……にちわ。開いてると思いますよ。」

彼女はもう一度にこっと笑って家へと入って行った。
とうとう来たか……。
やっぱり花壇に行って来よう……。

私はベランダからリビングに出て、階段を降りた。
玄関のドアに手をかけた。
「あれ?紅葉。どこ行くの?」

フゥー……と息を吐いて後ろを向くと、静流が上半身裸のびしょ濡れでいた。

最早約束を忘れてる。
何だっつーの……。

⏰:07/09/18 01:42 📱:SO903i 🆔:EPqLf0/I


#405 [向日葵]
私は静流を無視して外へ出た。

日差しがもうすっかり暑い。
静流の家に引き取られてどれくらい経つんだろう。

夏は嫌い。早く冬が来ればいい。そしたら逃げ場所のベランダに出るのはちょっと辛くなるかも。

「……その時はその時よね……。」

いつものじょうろを持って水を貯める。
ぼーっと水が貯まるのを見ていると、急に涼しくなった。

あぁ雲で太陽が隠れたんだと思ってたら、今度は目の前が真っ暗になった。

⏰:07/09/18 01:51 📱:SO903i 🆔:EPqLf0/I


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