―温―
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#536 [向日葵]
目の前が真っ暗だ……。
そんな事あっちゃいけない。
私……私……双葉さんの幸せを取る事になっちゃう……っ!
そんな権利無いのに……っ!!
どうする?
もし今、静流が帰ってきて、私に告白したら……。
私の……私のせいだ……っ!!
いつの間にか、香月さんの声が耳に入らなくなった。ただ自分のせいだと頭を抱え、だからと言ってどうすることも出来なかった。
:07/09/26 01:59 :SO903i :Xn2WQSXM
#537 [向日葵]
【約束だからね……。】
熱を出した時の双葉さんが脳裏に浮かんだ。
――――――約束……。
ガチャ
「ただいまー。」
ハッ!
静流が帰って来た。
どうするの……私。
どうにか二人をくっつけないと……っ。
――何故?
もう一人の私の声が聞こえた。
何故?私は人の幸せを奪い取るほど偉い人間じゃない……っ!
:07/09/26 02:06 :SO903i :Xn2WQSXM
#538 [向日葵]
――イイジャナイ。十分苦シンダノヨ?奪イナサイヨ。アンタダッテ本当はソウシタインデショ?
―――っ!!
違う!!確かに……確かに二人を見るのは辛い!
でも、私は幸運にも大事にしてくれる人が見つかった。これ以上の幸せは求めてはいけない……っ。
こんな幸せ……許されない……。
正直……嬉しかったっ……。
静流も同じ気持ちだって。私が好きなんだって。
でも、私は自分の幸せと引き換えに他人の幸せを取ってしまった。
:07/09/26 02:11 :SO903i :Xn2WQSXM
#539 [向日葵]
【アンタなんか生まれてこなければ良かった。】
そう言い続けられた……。
そう。
……私なんか。
「紅葉?いるんなら返事しろよ。」
静流が微笑んでる。
優しく、いつもの静流に戻ってる。
あぁ……どうしよう。
その私を見る目が、愛しいのにとても憎い……っ。
どうして私なんか好きになってしまったの……?
どうして……。
どうして……。
:07/09/26 02:14 :SO903i :Xn2WQSXM
#540 [向日葵]
―避―
私はどうしたらいい?
右にも左にも、もう道は無くなってしまった。
私がいけないのかな。
私が香月さんを好きにならず、静流をまだ好きでいるから……?
:07/09/26 02:16 :SO903i :Xn2WQSXM
#541 [向日葵]
カチャン
「あ……。」
スプーンを置く音で現実に戻った。
今は晩御飯を食べている最中。
静流は帰って来てから特に静流自身の気持ちを言わない。
その事にホッとした。
それならば双葉さんにはまだ何も言ってないという気がしたからだ。
「なぁ紅葉。」
―――ドキッ……。
「……私、お風呂用意してくる。」
と言って、その場を去ろうとしたけど失敗した。
:07/09/26 02:21 :SO903i :Xn2WQSXM
#542 [向日葵]
静流は椅子に座ったまま私の腕を掴んで私の足を止めた。
「話があるんだ。」
「あとでにして。私……っ。早く寝たいの。」
手を振り払って、逃げる様にお風呂場へ向かった。
間違いなく、あれは告白する気だったんだ。
きっとこの後も、言ってくるかもしれない。
実際私は「あとで」と答えてしまった。
お風呂場にへたりこんで浴槽に貯まるお湯を眺める。気泡が出来たかと思えば飛沫のせいですぐ割れた。
:07/09/26 02:28 :SO903i :Xn2WQSXM
#543 [向日葵]
静流も私が好きだと勘違いしていたと思ったらいい。この気泡みたいにそんな思いが嘘だったかのように無くなればいい。
だからお願い。
私を好きだなんて、絶対言わないで……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
階段を上がると、部屋のドアに静流はもたれていた。
その前を通ろうか迷った私は、通り過ぎる事を決意して早足に進んだ。
静流の前を少し通り過ぎた時だった。
「紅葉。」
:07/09/26 02:31 :SO903i :Xn2WQSXM
#544 [向日葵]
思わず足を止めてしまった。
「何……?」
恐る恐る、静流の方も見ないで尋ねた。
静流が私の後ろにドアから離れて立っているのが分かった。
「俺なんかしたの?」
「……。」
しばらく間を置いた後、私は首を横へ振った。
すると静流はため息を吐いて、一歩私に近づく。
「じゃあ何その態度…。地味に傷つくんだけど。」
:07/09/26 02:35 :SO903i :Xn2WQSXM
#545 [向日葵]
――――
――――
今日はここまでにします
:07/09/26 02:35 :SO903i :Xn2WQSXM
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