―温―
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#626 [向日葵]
父さんはリビングにある机で新聞を見ていた。
「場所を教えたら君は行ってしまうでしょう?」
「当たり前じゃないかっ!」
「それじゃ紅葉ちゃんの希望に沿わない。だから却下。」
色んな感情が渦巻いて、俺はダンッ!!と足を鳴らしてから自室へ向かった。
居場所は分からない。
連絡もつかない。
いらだちで頭が狂いそうになっていた。
どうして紅葉の態度に気づいてやれなかったのかと今更後悔する。
:07/10/10 00:57
:SO903i
:220qOU2E
#627 [向日葵]
「ハァ……。……。――あっ!!」
俺は急いで携帯を手に取った。
********************
ブー ブー
携帯のバイブが鳴ったのに気づいた私は外を眺めるのを止めて携帯を手に取った。
「もしもし。」
{久しぶり。やっと繋がったよ。……元気?}
「!!香月さん……っ。」
あの日以来、私は香月さんと連絡は取らずにいた。
彼女と言う立場でありながら自分でもいけないと思った。
:07/10/10 01:01
:SO903i
:220qOU2E
#628 [向日葵]
{今何処にいるの?}
「……。」
{クスクス。心配しなくても連れ戻したりなんかしないから。}
先に気持ちを読み取った香月さんはそう言った。
前と変わらない穏やかな声で。
「明星岬ってとこの旅館にいる。」
{あぁ。あそこね。随分遠くまで行ったんだね。}
なんだか、会話が続かなかった。
何を言えばいいか。
ううん。言う事なんか決まってた。
でも、言い出せなかった。
:07/10/10 01:05
:SO903i
:220qOU2E
#629 [向日葵]
{ゴメンネ。}
!!
「ど…して、謝るの?」
{紅葉を困らせた。分かってるよ。もう、決心してんだろ?}
ここで泣いたら卑怯な気がして、私は携帯を持ってない手をギュッと握りしめて涙を強制的に出ない様にした。
「ごめんなさい……っ。やっぱり……静流を諦めれなかったっ……。ダメって、分かってても、苦しんでも……。」
心は一つ。ただ真っ直ぐに静流のもとへ。
:07/10/10 01:09
:SO903i
:220qOU2E
#630 [向日葵]
こんな優しい人の気持ちを踏みにじって、私は苦しい道を選んでる。
{アホ!誰が諦めるっつったよ。言っておくけど、まだ挽回のチャンスなんていくらでもあるんだからな!}
いつもと変わらない香月さんの口調。
でも知ってる。
私に気を遣ってくれてるんだね……。
そんな香月さんに惹かれていた事は事実だった。
「……ありがとう。」
いつも背中を押してくれて……大事にしてくれて……。
:07/10/10 01:13
:SO903i
:220qOU2E
#631 [向日葵]
{おぅ。じゃあまたな。}
短い時間の深いやりとりはあっけなく終わった。
香月さんの声がまだ耳に残ってる。
周りの幸せ……。
香月さんは、幸せでしたか?私といて、楽しかったのかなぁ……。
まだ……迷路の途中……。
********************
寝静まった時に、事は動いた。
携帯の着信音で夢の中から現実に引き戻された。
:07/10/10 01:17
:SO903i
:220qOU2E
#632 [向日葵]
「ンン……?――もしもし?香月?」
{この野郎。呑気に寝てやがったな。}
「そりゃ夜は睡眠が為に暗くなるんだもん。」と答えると、香月は「馬鹿。」と短く返した。
代々今は夜中2時。テストで一夜漬けする訳でも無し、不眠症になってる訳でも無し。かと言って夜行性な訳でも無い。
「なんかあったの?」
{あぁ。そりゃもう大収穫だ。}
「畑仕事の話なら明日聞いてやるよ。」
:07/10/11 11:57
:SO903i
:fYkeSG8s
#633 [向日葵]
冗談混じりに言った俺は、次の香月の言葉にベッドから飛び起きた。
{分かったぞ。紅葉の場所。}
「―――っ!!ど、どこにっ!!!」
香月は紅葉の居場所、それに泊まっている所まで教えてくれた。
俺は香月に一旦待ったをかけて、教えてくれた場所をメモにとった。
しかし……
「……お前、行かないのか?」
{……今日、別れたから。それに、アイツが待ってんの俺じゃねーし…。}
:07/10/11 12:01
:SO903i
:fYkeSG8s
#634 [向日葵]
「……ありがとう。」
それだけ言って、俺は電話を切った。
香月に悪いと分かっていても、居場所を知った俺の胸は希望で高まっていた。
今週の土曜……。父さんには内緒で……
紅葉を、迎えに行く。
――――――――……
準備をしている間、幸いにも父さんは仕事で家にはいなかった。
急に喜びで顔色が変わった俺としては願ってもない事だ。
:07/10/11 12:05
:SO903i
:fYkeSG8s
#635 [向日葵]
カバンにある程度の荷物を詰め込みながら、俺は物思いにふけっていた。
紅葉に会ったら、アイツはどんな風に思うだろう。
自分の予想としては、きっと怒鳴り散らされるだろう。
どうして放っておいてくれないのかとか、何でここまで来ているのかとか。
それでも……いい。
帰っておいで?紅葉。
だって言ったじゃん俺。
お前を必要とするってさ……。
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あまりにグータラするのは如何なもんかと思い、自分の部屋だけでも掃除しようと畳の上を掃いていた。
:07/10/11 12:09
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