―温―
最新 最初 🆕
#151 [向日葵]
―離―







何故か、この頃変だった。

無駄にぎくしゃくするし様子はおかしいし。

でもそれはどちら共に当てはまる事だった。

********************

私は体が言うことを聞かなかった。

静流が私に優しくしてくれる度に胸がモヤモヤして、近づいて欲しいのに近づいて欲しくなくて。

⏰:07/08/31 00:33 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#152 [向日葵]
言葉だって、いつも以上に素っ気なくなってしまう。

******************

俺は変だった。

紅葉に優しくしようとすれば紅葉がぎこちなくなる事に何故か胸が痛んだし、優しくしたいのに優しく出来ない自分がどこかにいた。

何でだ……?

今日の朝でもそうだった。

いつも通り膝で食事をとる紅葉を見ながら何かモヤモヤしていた。

そればかりか、やっとなんとか少量だか食べれる様になった林檎を食べ終えた紅葉の口を拭こうとすれば

紅葉[ふ、拭かなくていい!]

っと拒否された。

⏰:07/08/31 00:38 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#153 [向日葵]
彼女の堅くなな態度ならもう慣れてる筈なのに、何故か胸がチクリとした。

そして視線を紅葉の華奢な肩に向ければ、香月の手が触ったとイライラした。

静流[食べ終わったみたいだし。紅葉どいてくれる?]

紅葉[言われなくても退くわよ!何よ偉そうにっ。]

静流[俺がいつ偉そうにしたよ!]

紅葉[朝からうるさいのよもー!]

と言う風にケンカ勃発……。

⏰:07/08/31 00:42 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#154 [向日葵]
朝の事を思い出していた静流はもう陽が高く暑い日向である教室の窓側にうなだれていた。

何でイライラしてるか自分でも分からなかった。
イライラするのはカルシウム不足と言うが、帰りにスーパーに寄って煮干しでも買おうかと迷う静流。

頭が混乱して少々観点がズレ始めていた。

そんな静流の肩を勢いよく叩く人物がいた。

友人の香月だ。

香月「なぁんだよ冴えねぇ顔して!」

「黙れ元凶。」とボソリと言うが、残念ながら香月の耳には届かない。

⏰:07/08/31 00:47 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#155 [向日葵]
香月はそんな不機嫌な静流を無視してペラペラ喋り始めた。

静流は大半を聞き流していたが、聞いてしばらくして頭で反芻すると今度は静流が香月に喋る。

静流「ちょっと待て。今なんつった?」

香月「ん?だから今日お前んちに遊びに行くなって。」

静流はうなだれていた体をしゃきっと伸ばすと香月に詰め寄った。

静流「何で来んだよ!」

香月「別に行きたいから。前まで理由なくても遊びに行ったじゃん。何気にしてんの?」

⏰:07/08/31 00:55 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#156 [向日葵]
その言葉に静流は「うっ」と唸った。

すると香月は何やらニヤニヤしだした。

香月「もしかして……紅葉ちゃん取られるとか心配な訳?」

静流「はぁっ?!」

香月「紅葉ちゃん可愛いもんなぁ。俺狙おうかなぁ。」

ダァンッ!!

教室中が静まりかえる。
皆の視線が、静流と香月がいる場所に集まる。

香月は静流の意外な行動に驚いていた。
温厚な静流が机をグーで殴ったのはこれが始めてだ。

⏰:07/08/31 01:01 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#157 [向日葵]
静流は射抜きそうな眼光で香月を睨んだ。

香月は少し足を引く。

静流「アイツに何かしてみろ。許さないぞ。」

そんな静流に冷静さをとり戻した香月が問いかける。

香月「なぁ……。お前それどの立場で言ってんだよ。」

静流はかすれた声で「え?」と言った。

確かにそうだ。
自分は何をそこまで怒っている?
何が気に入らない?

⏰:07/08/31 01:05 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#158 [向日葵]
一気に静流は気を静めていった。

静流「ゴメン。何か……。頭、冷やしてくる。」

とだけ言って静流は教室を出て行ってしまった。

そんな静流の後ろ姿を見ながら、香月は静流の心に変化があるのではと感じとっていた。

一方、水道で頭を濡らしながら静流は冷静に分析していた。

さっき怒ったのはつまり……。
半端な気持ちで紅葉に近づくなら許さないって事だ。

⏰:07/08/31 01:10 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#159 [向日葵]
傷ついてる奴を更に傷つけるのなら、兄貴分の自分としては許されないものであって……。

双葉「タオルも持たないで、どうやって頭拭くつもり?」

顔を横に向けると、隣に座りこんで静流を見つめる双葉がいた。

水道を止めた静流に双葉はキャラクターが描かれたタオルを静流に渡した。

静流「ゴメン。タオル駄目にしちまって。」

双葉「別にいいわよ。ん?手、どうしたの?」

ふと静流が右手を見ると、手の甲の骨ら辺が赤くなっていた。

⏰:07/08/31 01:14 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#160 [向日葵]
手を見ながら、またふと考えた。

……どうしたんだろ。俺……。

*****************

やる事が無い私は庭へ出て花壇の水やりをしていた。

じょうろに水を溜める時、自分の腕に巻いてある包帯を見た。

『そういえば、今日はケンカしちゃったからやり変えて貰ってないや。』

今朝はついつい売り言葉に買い言葉になってしまった。

⏰:07/08/31 01:18 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#161 [向日葵]
だって静流の態度が気に入らなかったんですもの。

いつもならヘラヘラしながら自分から下ろす癖に。
今日に限ってなんであんなツッケンドンな態度をとられなくちゃならないのよ。

水がたっぷり溜ったじょうろを持った。
すると

紅葉「あいたっ!」

バシャァン!

まだまだ治りきっていない傷が痛くなった。
反射的に手を離したおかげで足元は水浸し……。

また水を入れなきゃいけなくなった。

⏰:07/08/31 01:22 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#162 [向日葵]
ため息をつきながらじょうろを拾う。

住宅街なので、小学校を終えたガキやら世間話が好きなおばさん達の声が薄く聞こえる。

もしかしたら自分も噂されてるのかもと思うとムカムカした。

何も知らないおばさん風情が脚色つけて何か言ってるに違いない。

しばらく座りこんだまま、私はぼんやりそんな事を考えた。

紅葉「だから……世の中なんて嫌いなのよ……。」

カシャン!

⏰:07/08/31 01:27 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#163 [向日葵]
何か耳慣れた金属音が聞こえた。
多分門の鉄格子の音。

更に耳慣れた声が。

静流「紅葉……っ。」

静流が私の元へ駆け寄って来た。

あぁそうか。もう学校の終わる時間なのね。

静流は心配そうに私を見る。
その姿を見ただけで、さっきのムカつきは収まり、なんだかホッとした。

静流「何かあった?!」

紅葉「じょうろ落としただけよ。」

⏰:07/08/31 01:31 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#164 [向日葵]
立ち上がろうとしたら、気配がした。

目を動かせば、またいる。
例の彼女とミステリアスな香月さん。

静流は私の視線に気づいたのか、少し抱き上げて私を立たすと頭を撫でた。

静流「ゴメンな。また来ちゃってさ。」

痛い……。
この場合、傷が痛いんじゃなくって彼女さんの視線がだ。
どうやら彼女は私に嫉妬してるらしい。

静流の手を軽く振り払って、私は水道に向かった。

⏰:07/08/31 01:38 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#165 [向日葵]
紅葉「早く家に入ったら?」

静流「お前は?」

さっきより少な目に水を入れたじょうろを持って、静流に向き直る。

静流を一旦見てから彼女さんを見た。

不安そうな目で静流と私を交互に見てる。
静流も女の子に鋭いんだか鈍いんだか……。

紅葉「私は水やりがあるの。」

と言って横を過ぎきる事が出来れば良かった。

ズキッ!

紅葉「っいた!」

⏰:07/08/31 01:43 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#166 [向日葵]
今度は足が痛くなった。
カクンと崩れてしまいそうになる時、誰かの腕が私を支えた。

水をまたしても無くしたじょうろが、音を立てて地面に落ちる。

香月「あっぶー…。大丈夫か?」

*****************

紅葉「いたっ!」

その声を聞いて振り向いた時に、静流が手を出すのは遅かった。

何故なら香月が早く反応し、気づけば紅葉の体を支えていたからだ。

⏰:07/08/31 01:46 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#167 [向日葵]
香月「あっぶー…。大丈夫か?」

そのまま香月は紅葉の傷の痛みが引くまで体を支えていた。

一方の静流は、出しかけた行き場の無い手をなかった事にするようにぎこちなく戻した。

静流「……ったく。病人のくせにそんな事すんじゃねぇよ。」

紅葉の体がピクリと動く。
あ、ヤバイ……。これは……。

紅葉「なんですって……?」

⏰:07/08/31 01:50 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#168 [向日葵]
怒った合図だ。

ゴングが良い音を立てて鳴り響いた気がした。

紅葉「少しでもと思ってお手伝いしてるのに何でそんな事言われなくちゃなんないのよっ!」

静流「それでこんな事なってたら意味ないじゃん。無駄だろ。」

紅葉「……っ!静流なんか……キライ!!」

ガコッ!

じょうろを力一杯投げられた静流は不意打ちだったがなんとかすんでの所で止める事が出来た。

⏰:07/08/31 01:53 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#169 [向日葵]
******************

バタン!

力任せにドアを閉めて私は家に入った。

足をダンダン鳴らして階段を上ってやりたいけどまた痛みが走るのが嫌で、歯を食いしばって上った。

直ぐ様カーテンをしてベランダへ出た。
少し、泣きたくなった。

静流[無駄だろ。]

何で、あんな事言われなくちゃいけない訳?
私が何をしたって言うのよ……っ!

彼女はあれだけ大切にしてるくせに、私はこんな粗末にされて……。

⏰:07/08/31 01:59 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#170 [向日葵]
…………。
…………あれ?
何で今彼女が出てきた?

あぁもぅどーでもいぃっ!!
静流なんか、大大大大大っキライ!!!!

香月「あーぁ。静流が紅葉ちゃん泣かした。」

バッと振り返った。いつの間にカーテンやらを開けたんだろう。
ってか今泣かしたって言ったよね?

紅葉「別に泣いてないし!」

すると香月さんはベランダへ出て来て前みたいに私の隣に来ると、並んで座った。

⏰:07/08/31 02:04 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#171 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/31 02:04 📱:SO903i 🆔:4Pp19vdY


#172 [向日葵]
香月さんは自然に右手を伸ばすと、私の左目の下辺りを撫でた。

そして私目の前に人差し指を持ってきてニヤリと笑う。

香月「泣いてない?ならこの水って何かなぁ?」

慌てて目を擦ると水分があった。

不覚……っ。知らないに等しい人に涙なんて見られた。

香月さんはクスクス笑いながら指についた水分を指を擦り合わせてとる。
そしてその後は黙って私の隣に座ってるだけだった。

⏰:07/09/01 01:12 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#173 [向日葵]
紅葉「静流達は?」

香月「ジュース買いに行った。」

ふぅん。と答えてあとは黙った。

すると香月さんは私を見てニヤニヤ笑ってくる。
何だと思い、睨む。

香月「静流に言われた事、ショックだったの?」

紅葉「……。腹が立っただけ。最近の静流はトゲトゲしいの。でも彼女に優しいのは相変わらずみたいね。」

……。あれ。
私また彼女って言った。

⏰:07/09/01 01:15 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#174 [向日葵]
指先で口元を押さえながら頭には複数のはてなを浮かべる。

私が何が何だか分からなくなっていると、隣から「へー」と声が聞こえた。

香月さんを見ると意地悪そうに笑っていた。

香月「なぁんだ。紅葉ちゃんも嫉妬してるんだ。」

紅葉「はぁ?嫉妬?何で私が嫉妬なん―――……。」

え?今何て?
も?私だけじゃなく、誰かが私に対して嫉妬してるって事?

一瞬頭に浮かんだ相手はあり得なくてすぐ取り消した。あぁ。もしかして彼女の事?

⏰:07/09/01 01:20 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#175 [向日葵]
紅葉「彼女のは不可抗力よ。あれは静流が悪い。」

淡々と喋ると、香月さんが目を丸めた。
まるで私が何か間違った事を行ってるみたいに。

香月「何言ってんの?嫉妬してるのは―――…。」

静流「ただいまー。」

犯人が誰か聞く前に静流で邪魔された。
静流の足音が二階へ来る。
すると香月さんが私の肩をちょいちょいと指で叩いてから自分の肩をポンポンと叩いた。

そして小声で告げる。

⏰:07/09/01 01:25 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#176 [向日葵]
香月「俺の肩に寄りかかって寝たフリしてて。」

紅葉「はぁ?!なん―――っ。」

反論してる途中で強制的に肩に寄りかかる形になった。
仕方ないので指示された寝たフリを決行する。

と同時に静流がリビングに現れた。

静流「……何してんの?」

耳だけで分かる。
静流が何故か怒ってる事。

香月「おう!おかえり!なんか紅葉ちゃん寝ちゃったみたいでさぁ!」

⏰:07/09/01 01:28 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#177 [向日葵]
静流「どけ。」

その声を聞いたと同時に私の体は地面から離れた。

びっくりして目を開けるけど静流は気づいてない。

静流「紅葉にいい加減な気持ちで近づくのだけは止めろ。」

静かにそう告げると静流は歩き出した。
おそらく部屋へ向かうんだろう。

静流「双葉。ゴメンけどドア開けてくんないかな。」

私は寝たフリと気づかれない様にまた目を瞑った。
じゃなきゃ今でも彼女の嫉妬の視線をひしひしと感じるのに、これ以上痛く感じるのはゴメンだ。

⏰:07/09/01 01:33 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#178 [向日葵]
双葉「ハイ。」

静流「ありがとう。」

寝かされたのは静流のベッドだ。

まったく……また無意識に彼女を傷つけることになるぞ。

双葉「閉めとく…ね。」

静流「ウン。ありがとう。」

パタン

……。
あれ。なんで静流出ていかないんだ?
寝たフリも楽じゃないんだからさっさと出て……

静流「起きてんだろ?」

⏰:07/09/01 01:36 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#179 [向日葵]
バレてんじゃん。

私はゆっくり目を開ける。
最初に目に入ったのは天井。その次は怒った静流の顔。

紅葉「何怒ってんの?」

静流「怒ってない。」

紅葉「よく言うよ!怒ってるじゃない!私何か静流にしたかしら?!」

静流は黙って腹立たし気に息を吐く。

腹立ってんのはこっちだっつーの。

静流「知らない男の体に無防備に近づくな。」

⏰:07/09/01 01:40 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#180 [向日葵]
紅葉「なら静流にも近寄っちゃ駄目って事ね。」

静流「そんな事言ってないだろ!」

紅葉「貴方だって知らない男じゃない!!」

息遣いだけが部屋に響く。
お互いを睨み合って、次に出てきた言葉にすぐ対応出来る様に言葉を繋ぎ合わせる。

数分が過ぎた時、静流が口を開いた。

静流「……。わかった。もう好きにしろ。」

は……?何それ。

紅葉「何よ好きにしろって……。まるで私をだだこねてる子供みたいに。」

⏰:07/09/01 01:45 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#181 [向日葵]
静流「口答えするならガキと一緒だろ。」

出た。
静流はいつもこう。

怒ったり気に入らない事があれば冷静なフリして私を子供扱いする。

さも自分が全て正しいと勘違いしてる大人である様に……。

紅葉「私はアンタの子供でもなければこの家の子でもないのよ?!」

すると冷たい静流の目が更に冷たくなった。
次に出てくる静流の言葉に私は頭が真っ白になった。

⏰:07/09/01 01:49 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#182 [向日葵]
静流「じゃあ出て行って好きなように暮らせよ。」

紅葉「……え。」

静流が背中を向けてドアを開ける。

静流「元々そうしたいって言ってたしな。いいじゃん。短い間だったけど楽しかった。じゃあな。」

パタ…………ン……

*****************

リビングで談笑をしていながらも、静流は自分の言った事を頭の中でまた繰り返していた。

俺何言ってんだよ。

⏰:07/09/01 01:52 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#183 [向日葵]
香月はダチだし別に親しくしたっていいじゃんか!

でも俺以外の奴になつくのがなんだか気に入らなくって、こう……飼い犬が他人にめちゃじゃれてるみたいな感覚で……。

双葉「静流……?どうかした?」

色々考えてたらいつの間にか黙ってしまった静流に双葉が呼び掛けた。

静流「あ、いや。何でも。そうだ!見せたいもんがあるんだ。部屋取りに言ってくるわ!」

と言いながら紅葉が気になって静流は部屋へ向かった。

⏰:07/09/01 01:56 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#184 [向日葵]
部屋前で立ち止まって深呼吸した。

紅葉に謝ろう。
それでまた仲直りしたらいつも通りに戻れる。

カチャ

静流「紅葉!さっきは……。」

静流はドア付近で足を止めた。

静まりかえる部屋。
いる筈の姿が、どこにもない……。

そう。紅葉が消えてしまったのだ。

静流はパニックになりそうな自分を抑えて机の下、ベッドの下、クローゼット。全てを探した。

⏰:07/09/01 02:00 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#185 [向日葵]
静流[出ていって好きな様に暮らせよ。]

――――ドクン

まさか……ホントに……?

香月「なぁ静流ー。雨降ってったから俺帰るわぁ。」

と来た香月の肩を勢いよく掴んで静流は言った。

静流「紅葉が……いなくなった。」


******************

あ。雨降ってった。

まぁいいわ。服が洗濯されるし。

⏰:07/09/01 02:04 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#186 [向日葵]
私は当てもなく歩いていた。
急な雨だから傘を持ってない人が沢山いたおかげで私は白い目からは免れた。

静流[出て行って好きなように暮らせよ。]

何よ……。

紅葉「自分から言ったんじゃない。住めって……。なのに出て行けって……。」

自己中にも程がある!
しかも八つ当たりみたいに言い捨てて!

ってか……ここどこ?

意外にも雨は激しくて、一寸先は闇じゃないけど雨でほぼ見えなかった。

⏰:07/09/01 02:08 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#187 [向日葵]
ザー……

ザー……

あぁ……あの日が思い出される。

ザー……
ザー……

今みたいに凄い雨で……。やっと天国に行けると嬉しくなった。

世の中は汚い。

世の中は冷たい。

唯一愛していた肉親にさえ、私は愛されなかった。

痛くて何度も泣いた。
つらくて何度も願った。

⏰:07/09/01 02:11 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#188 [向日葵]
 








温かさを下さいと……

⏰:07/09/01 02:12 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#189 [向日葵]
そんな時、くれたのが静流だった。

優しくて、嬉しくて……私は身を委ねてた。

だから忘れてた。

一線引き忘れていた事。
誓ってた筈なのに、馬鹿だわ私って……。

私はまた、一人ぼっち。

今度こそもう誰も助けてはくれないんだろうな……。

私はどこで命を断つべき?

どうやって命を断つべき?

誰も教えてくれない……。

⏰:07/09/01 02:15 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#190 [向日葵]
静流[生きる努力をしようよ。]

パシャ……

どこまで来ただろう。

私は道端で立ち止まった。
外は灰色の雲に覆われた暗い夜となった。

何も聞こえない。

雨の音と、自分の息遣い以外。

……何も……。

知ってる。分かってる。
自分の息が震えていること。

泣いていること。

⏰:07/09/01 02:19 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#191 [向日葵]
紅葉「……っ。ふぇ……っ。」

もうやだ……。

何で……っ。

ウウン。違う。私は神様に祈った事があった。

誰かの代わりに、私が不幸を背負うと。

なら今誰かが幸せになってるのかな?

でも幸せになってる誰かさん。ごめんなさい。
私やっぱり幸せになりたい。

温かさで包まれたい。
いつしか願ってた。あの家にずっといれたらって。

⏰:07/09/01 02:22 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#192 [向日葵]
紅葉「……ひっ……。う―――っ……。」

それはもう無理だけど。

でも私は、ずっとずっとあの家で温かさを感じて生きていきたい。

そう思った。
思わせてくれた。

それは紛れもなく、静流が……そう思わせてくれたんだ……。

⏰:07/09/01 02:24 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#193 [向日葵]
―解―









静流は探し回っていた。

いなくなった紅葉。
この酷い雨の中、まだ治りきってない傷を負ったまま外へ行ってしまった。

そう仕向けたのは、紛れもなく自分……。

ピリリリリ

ポケットに入れておいた携帯が鳴り響く。

⏰:07/09/01 02:28 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#194 [向日葵]
見つかっったらすぐ知らせれるよう、一緒に探してくれてる香月と双葉に告げた。

発信者は香月からだった。

香月{静流?こっちにはいないみたいだわ。}

静流「そっか。ありがとう……。」

そう言って電話を切る。

静流は頭を抱えた。
何であんな事を……っ。

しかも人間不信が治りきってない紅葉に向かって……。

静流「馬鹿だ……。俺……。」

⏰:07/09/01 02:31 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#195 [向日葵]
その時、また電話が鳴った。

静流「はい……。」

源{静流君?今ドコにいるんだい?帰ってきたら家に誰もいないからびっくりしてさ。}

静流は電話をしながら目を瞑って目元を片手で覆った。
受話器から息子の声が聞こえない源は心配して何度も名前を呼んだ。

源{静流君?どうしたんです?}

静流の重い口がゆっくりと開かれる。

静流「実は……。」

⏰:07/09/01 02:35 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#196 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/09/01 02:36 📱:SO903i 🆔:89ZHPoiE


#197 [向日葵]
*****************

紅葉「さ……さむ……。」

ずぶ濡れになった私は近くに公園を発見した。
とりあえず少し休む。

泣いたのと止まない雨とのせいで、私は少々体温を取られていて疲れた。

なんの遊具かはわからないけど、かまくらに穴が空いた様なやつに入って雨が少しでもマシになるまで一休みすることに決めた。

水溜まりがあったけど濡れ続けるよりはまだマシだ。

まぁこれだけ濡れたらいくら濡れても一緒だけど。

⏰:07/09/02 02:23 📱:SO903i 🆔:T7pfKsTk


#198 [向日葵]
少し休んだら、またどこかへ行こう。

出来るだけ遠くに。

もう二度と母さんや静流に会わないように。

人目につかない場所ってどこかな。

山?崖?

歩きながら考えよう。

考える時間なら、もう沢山出来たのだから。

*****************

源は静流からの話に絶句した。

だけど怒る事はしなかった。今怒っても仕方ないからだ。

⏰:07/09/02 02:27 📱:SO903i 🆔:T7pfKsTk


#199 [向日葵]
源{とりあえず、紅葉ちゃんが帰ってきたらいけないから家にいるね。}

静流「うん。お願い……。」

静流は電話を切る。

そして雨が降る道に目を向けてまた歩き出した。

隙間や陰を隈無く探す。

あの傷で……しかもこんな雨の中で……。

もしかしたらどこかで倒れてるかもしれないと言う心配が頭をよぎる。

いくら何でも「出て行け。」なんて言うべきじゃなかった。

⏰:07/09/02 02:33 📱:SO903i 🆔:T7pfKsTk


#200 [向日葵]
雨で少し肩が濡れる。

紅葉はこの雨の中濡れてると言うのに、自分は何傘さしてんだ……。

静流は傘を畳み、走り出す。
走り出すとすぐに雨でびしょびしょになってしまった。

倒れてしまうのも心配だが、誰かに誘拐されてないかも心配だ。
あんな軽いのヒョイと持ち上げたら終りだ。

左右を確認して信号を渡る。
車のヘッドライトがやけに眩しく感じた。

……まさか、事故に遭ったりしてないよな……。

⏰:07/09/02 02:38 📱:SO903i 🆔:T7pfKsTk


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194