―温―
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#272 [向日葵]
「あら、呼んでるみたいよ紅葉ちゃん。」
「……?」
目をうっすら開けると、光のせいで女性はあまり見えなかったけどにこやかな口元だけが見えた。
「また悩んだら、ここにおいで。」
そして私自身もスゥッと光に包まれて消えていった。
――――
―――――……
眩しい…。目開けれない。
「おい紅葉!」
:07/09/06 13:46
:SO903i
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#273 [向日葵]
眩しさに堪えながら目を開けると、静流がいた。
「何?」
「何じゃねぇよ!お前……っ。」
そこから静流はうつ向いて頭をガシガシかいた。
あ、私発見されちゃったんだ。
よく寝たからか体が軽い。頭ももうしゃっきりしてる。
「心配しただろっ!」
ようやく言葉が浮かんだのか静流は怒鳴りだした。
布団ごと私をぬいぐるみの山から抱き上げる。
:07/09/06 13:50
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#274 [向日葵]
静流はお姫様抱っこをしながら私を抱き締める。
胸が高鳴る。
何故なら静流の顔が近くて、喋れば吐息がかかってしまう。
そんな間近くで見つめられてしまったら、視線を反らしたいのに逆に私も見つめてしまう。
「……っな、何…っ。」
無言で見つめられてから、更に抱き締められる。
私の耳元に、静流の口が近づく。
鼓動が静流にまで聞こえてしまいそう。
「ちょ、静流……っ。」
:07/09/06 13:57
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#275 [向日葵]
「頼むから……。」
搾り出す様な声に体が固まった。
「勝手にいなくならないで……。」
……そうか。
静流は母親が亡くなってるから、急な別れを怖がってるのかもしれない。
だから、私も心配してくれてるのね。
「……はい。」
思わず敬語で返事をしてしまった。
それで終わりかと思った。そろそろ降ろしてくれるもんだと体を立て直す準備をしていた。
:07/09/06 14:07
:SO903i
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#276 [向日葵]
でも、静流はいっこうに降ろしてくれない。
「し、しず……る……?」
******************
自分でもおかしかった。
何でこんなに心臓がバクバクするほど紅葉を心配してるのかとか。
何かを振りきる為に双葉を抱き締めたとか。
紅葉をこのままずって抱き締めていたいだとか。
そんな感情おかしい筈なのに。
俺には双葉がいるのに。
:07/09/06 14:12
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#277 [向日葵]
俺は紅葉に気づかれないように頬のガーゼの上から唇を触れた。
この行動もおかしい事ぐらい気づいてる。
それでも紅葉に触れたくて、どこか心の端で紅葉が大切だと叫んでる。
*****************
「静流……。ねぇ……?」
静流は抱き締めたまま固まってる。
肩にある静流の指先に力が入っていくのが分かった。
どうしちゃったんだろ……。
:07/09/06 14:19
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#278 [向日葵]
顔があんまり見えないけど、なんだか静流が傷ついてる気がした。
片手が上手く動かないけど、伸ばして静流の頭を撫でた。
気づけば初めてだった。
私から静流に触れるのは。
髪の毛が凄くサラサラだ。
「大丈夫……?」
静流はされるがままに私をまだ抱き締めたままでいる。うんともすんとも言わない。
ようやく離れたと思い、手を頭から離した。
また目が合う。
:07/09/06 14:24
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#279 [向日葵]
私は自意識過剰かもしれない。
その目は何かを考えてて、だけど熱くて私を心から大切に思ってる感じがした。
きっとそれは私が静流を好きだから、良いように捕えてるんだ。
本当は「早く降りろ」って思ってるかもしれない。
必死に熱い視線と称するものから逃れて、私は体を動かした。
「降ろしてくれて構わないから。」
そう言って降りようとした。
:07/09/06 14:32
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#280 [向日葵]
でも静流の腕は力を入れたままだった。
「いいから。じっとしてろ。」
そう言うと、やっとこの部屋から出てくれた。
「お、重いでしょっ?!だから、歩くわよ……。」
「病人は病人らしくされるがままになってろ。」
少し怒ってるような口調の静流に私は黙った。
リビングに行って、ソファーへ座らせてくれた。
静流はキッチンへ行って何かゴソゴソやっていた。
何分かしてから手に何かを持ってやって来た。
:07/09/06 14:42
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#281 [向日葵]
「ほら、すり林檎。蜂蜜入りだから体にいいぞ。」
器にすった林檎をいれて静流は私の隣に座った。
器と静流を交互に見る。
いま食べる気分じゃないんだけどなぁ……。
「食べなきゃいけない……?」
静流はハァと息を吐くと、少しすくって私の口に近づけた。
「アーン。」
「は?」
「口開けろっつってんの。」
:07/09/08 00:25
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