―温―
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#291 [向日葵]
「静流。今日空いてる?」
「?うん。空いてるけど?」
そう言うと、双葉は突然顔を赤らめた。
どうしたのかと首を傾げながら双葉の言葉を待っていると、周りのざわめきで聞こえるか分からないくらいの音量で双葉が喋りだした。
「あの……ね。うちで、お誕生日会、二人でしない?親は、仕事で遅いし……。」
「え……。」
それはつまり……そう言うことで……?
:07/09/09 13:59 :SO903i :7H/AWLK.
#292 [向日葵]
思わず二人で赤くなってしまう。
「いぃんじゃねぇの〜?むしろお泊まりでもしちゃえば?」
と香月が肩に腕を乗せながら二人の話に割り込んできた。
そこで思い出した。
そうだ今日コイツ来るじゃん。
それを察したかのように香月は先手を打つ。
「あ、俺なら気にしないで。って言うか、お前の代わりに紅葉ちゃんの面倒見るし。」
「は?!……お前頼むから余計な事アイツにすんなよ。」
:07/09/09 14:06 :SO903i :7H/AWLK.
#293 [向日葵]
その時少し双葉の顔が歪んだ事を二人は知らない。
「何もしないっつーの。まぁしいて言えば……キスくらい?」
それだけ言い残して機嫌良く教室に入って行った。
その後を追う静流。
「ちょ、香月」
「静流!」
ドアにさしかかった所で、双葉が静流を止めた。
静流もその声に足を止める。
「ん?何?」
微笑みながら双葉に聞き返す。
:07/09/09 14:15 :SO903i :7H/AWLK.
#294 [向日葵]
呼び止めたはいいが、双葉は言葉を詰まらせていた。
「あ、あの……。その……。静流は、紅葉ちゃんを」
キーンコーンカーンコーン……
チャイムが鳴ったので、まだ言い足りなさそうだったがなやむを得なく双葉は自分のクラスへと帰って行った。
静流もなんだったのかと首を少し傾げて教室へ入って行った。
******************
「誕生日?」
私は作業しながら話している源さんに聞き直した。
:07/09/09 14:27 :SO903i :7H/AWLK.
#295 [向日葵]
源さんは相変わらず意味の分からない物をカチャカチャ作りながら私に返す。
「ウン。静流君今日で十七歳なんだ。だからお祝いしようかと思って。」
「ケーキとか……?」
「そうだねー。買って来ようか!」
ペンチを置きながら源さんは言った。
でも確か源さんは何個か作品を作らなきゃいけないから今は忙しい。
ちょっとの時間でも惜しい筈…………なら。
「私、行ってくるわ。源さんはお仕事してて。」
:07/09/09 14:33 :SO903i :7H/AWLK.
#296 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・
とは言ったものの……。
昼間に外へ出るのはホント久しぶり。
出たとしても敷地内だから大して気にならなかった。
みんなの視線が、私の治りかけた傷に張ってあるガーゼや包帯へ行くのが分かる。
じろじろうっとおしい……。
見る人を軽く睨むとすぐに目をそらした。
野次馬根性だけはあるらしい。
:07/09/10 02:48 :SO903i :9xBi8V7I
#297 [向日葵]
無視する事は出来なかったけど、なるべく気にしないようにしてケーキ屋さんまで歩いて行った。
ケーキ屋さんに着くと、色鮮やかなケーキが沢山あった。
静流はイチゴのホールでいいんだろうか。
「いらっしゃいませ。お決まりでしょうか?」
店員が話かけたので、15センチのイチゴのホールを指さした。
「これ……一つ。」
「ハイ。メッセージはいれられますか?」
:07/09/10 02:52 :SO903i :9xBi8V7I
#298 [向日葵]
「あー入れて下さい。」
え?と思い、後ろを振り向くと
「香月さん。」
「よ!あ、お姉さん!メッセージは『静流君お誕生日おめでとう』で。あと、語尾にハート入れといて!」
店員は香月さんの注文を承ると、「少々お待ちください」と言って店の奥へと入って行った。
「……。」
あれ?静流がいない。
と私の視線でわかったのか、香月さんはニッと笑うと少し屈んで私と目線を合わせた。
:07/09/10 02:56 :SO903i :9xBi8V7I
#299 [向日葵]
「静流なら一緒じゃないよ。俺じゃ不満?」
「別になんとも思ってないから。」
すると店員が奥から現れてろうそくをどうするか聞いてきた。
私が答える前に香月さんが「十本入りを三袋下さい」と答えた。
何故三十歳に……?
そして綺麗に飾られた箱を持って、私はケーキ屋さんを後にした。
「あ、持ってあげる。それと、君はこっちに来な。」
箱を奪われ、私は道路じゃない方を歩かされた。
:07/09/10 03:01 :SO903i :9xBi8V7I
#300 [向日葵]
「別に子供じゃないんだからいいわよ。」
すると香月さんは眉を寄せて私を見てきた。
「子供?別にそんな扱いしたことないけど?」
「嘘よ。静流はするし。」
香月さんは立ち止まるとまた私と目線を合わせた。
しかも距離が近い。
「近いん……だけど。」
「あのさぁ。俺は静流じゃない訳。だから静流と一緒にしないでくれる?」
だから何だ。
私は近寄って来ないよう手を上げて香月さんの前に軽く出した。
:07/09/10 03:05 :SO903i :9xBi8V7I
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