―温―
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#386 [向日葵]
なのに今……

何が起こってるの……?

熱い……。
柔らかい……。

何これ。

静流の顔が目の前にあって、吐息が口の中に少し入って……。

なんで私……静流とキスしてるの……?

目を開いて、瞬きする事もなく私は固まっていた。

静流の顔が、ようやく離れた。
止まってた息がやっと出来る。でも上手く息が吸えない。

⏰:07/09/17 00:52 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#387 [向日葵]
「……。何……して、るの……。」

声がかすれる。
顔が熱くて、唇には感触が残ってて。

静流を見ると口元を手で隠して目を見開いていた。
まるで自分がしたことに驚いてるみたいに。

冷静になれ私。
動悸止まれ。

「こんなことして……いいと思ってんの?」

静流ん見ても、まだ床を呆然と見ているだけ。
言葉を発してくれない。

何で何も言ってくれないの?
後悔してるって言うの……?

⏰:07/09/17 01:04 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#388 [向日葵]
私は静流の横っ面をパシッと音が鳴る程度に叩いた。

その軽い痛みで静流は我に帰ったらしい。
目の色が変わった。
そして私の顔をゆっくり見る。

「聞いてる?……こんな事、していいの?駄目だよね?」

沈黙が私達を包む。
静流はぎこちなく目を動かして頭を働かせているみたい。

私は黙って静流の言葉を待つ。
隠した手から、口をパクパクとするのが見える。

⏰:07/09/17 01:13 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#389 [向日葵]
やっとの事で出てきたのが、次の台詞。

「……忘れろ。」

そう言って静流は自分の部屋に入ってしまった。

―――忘れろ。

今確かにそう言った。
何よそれ。
勝手に抱き締めて、勝手にキスして。
それで忘れろ?

さっきまでの静流に対する熱が怒りの熱に変わる。

いい加減にしなさいよ……。

バンッ!!

⏰:07/09/17 01:21 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#390 [向日葵]
気づけば静流の部屋のドアを開けていた。

ベッドで寝転んでいた静流は突然の訪問者に驚いて飛び起きた。

「……わよ。」

「え……。」

キッと静流を睨みつけて、顔や手に貼ってあるガーゼと包帯を乱暴に取ってやった。

それを、できるだけ静流の方に投げた。

「言われなくても忘れてやるわよっ!勝手にされて、何の感情もないキスなんか、すぐに忘れてやるわよこのスケベジジィ!!」

⏰:07/09/17 01:30 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#391 [向日葵]
バンッ!!

「ハァッ!ハァッ!」

私は口をゴシゴシ拭いた。

悔しい。
何でこんな思いしなくちゃいけないの?!
私ばっかり振り回されて、胸の中ぐちゃぐちゃにされて……っ!

ポタポタ。

フローリングに滴が落ちる。

こんなに泣いて……。
最近は泣いてばっかり。

静流を好きって知ってからずっと胸が軋む。

⏰:07/09/17 01:36 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#392 [向日葵]
********************

俺は投げ捨てたガーゼと包帯を拾いながら、反省していた。

忘れろと言った事。
抱き締めてしまった事。

……キスしてしまった事。

抱き締めたまでの自分は覚えてる。
でもキスは…………自分でも何故したか分からない。
そっと指先で、自分の唇をなぞる。

そして軽く叩かれた頬……。

⏰:07/09/17 01:42 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#393 [向日葵]
[ね?分かった?]

「……。」

あの痛ましい笑顔……。
抱き締めずにはいられなかった……。

無理して笑ってるのが分かった。
何でそんなに辛そうなのかは分からない。
せっかくの初めての笑顔だったのに……。

「――ごめん……。紅葉……。」

忘れろなんて……本心じゃないよ。
でもその方が、紅葉の為だと思うから。

――ごめん。今はただ謝るしか出来ない。

⏰:07/09/17 01:49 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#394 [向日葵]
ピリリリリ

突然の着信音に、静流の体はビクッとして机に置いてある携帯に手を伸ばす。

サブディスプレイを見れば、双葉からだった。
どうやら電話。

「……もしもし。」

{静流。寝起き?何か元気ないね。}

「実は」

[彼女さんが傷つく。]

紅葉の事を話そうとした時、さっき言われた事を思い出した。

途端に無言になってしまう。

⏰:07/09/17 02:06 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


#395 [向日葵]
[言われなくても忘れてやるわよ!]

「……。」

{静流?}

「……ごめん。何でもない。」

*******************

「ただいまー。」

源さんが帰ってきた。
現在の時刻、昼の一時。

「おかえり……なさい。」

ソファーに座っていた私は肩越しに振り返り、挨拶をする。

源さんは嬉しそうに笑って私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
そこであることに気づく。

⏰:07/09/17 02:13 📱:SO903i 🆔:3VM2u4cU


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