―温―
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#466 [向日葵]
{そっか。分かった。じゃあ今度の日曜楽しみにしてる。}

「楽しみ……なの?」

{うん!楽しみ!じゃあまたね。}

何故楽しみなのか聞く前に電話は切られてしまった。

私もそろそろお風呂に入らなければ。
この頃傷が治ってきたのか、傷口が痒い。
だから早くお風呂に入って綺麗にしたい。

「紅葉。風呂入れよ。」

「今から入るとこ。いちいち言わないで。」

⏰:07/09/21 15:21 📱:SO903i 🆔:FFR2DAXk


#467 [向日葵]
横を通りすぎようとすると、静流は私の腕を掴んだ。
止められた私は静流を眉を寄せて「なんだ。」と言う風に見た。

静流は口を開けては閉めを繰り返して、中々言葉を出してこない。

痺をきらした私は腕を掴む手を振り払った。

「もーっ!何っ?!」

「……ごめん。何でもない。」

そう言って部屋に戻ってしまった。

********************

部屋に戻って、風呂上がりでびちゃびちゃの髪の毛をバスタオルで拭いた。

⏰:07/09/21 15:31 📱:SO903i 🆔:FFR2DAXk


#468 [向日葵]
ベッドに座り、今日一日を振り返る。

香月とはこじれるし……。訳の分からない気持ちにはイライラするし。

ってか気になる相手が紅葉だって事を本人が気づいてない。
いや、気づかなくていいけど。

今度の日曜で、俺の今のイライラを打ちきる。

俺は双葉を大切にする……。

双葉を悲しませたりは、決してしない……。

*********************

―――――……

そして日曜がやって来た。
暑い日差しの元で、長い時間歩いてられるかが心配だ。

⏰:07/09/21 15:41 📱:SO903i 🆔:FFR2DAXk


#469 [向日葵]
なんせ久々の遠出。
それに加えあちこち歩き回る。
私の足と体力はもつだろうか。

待ち合わせの場所で、香月さんと双葉さんを待つ。

「なんか心配?」

「体力には自信が無いの。分かってるでしょ?引きこもり生活が長いの。」

「心配しなくて倒れたら家までちゃんと運ぶから。」

「じゃあそうならない様にするわ。」

じゃないとまた双葉さんが悲しむし。

⏰:07/09/21 15:49 📱:SO903i 🆔:FFR2DAXk


#470 [向日葵]
結局私は、幸せになんかなれないのね。

「お待たせー!静流、紅葉ちゃん!」

「ちょっと手間取ったぁ〜!」

双葉さんと香月さんが一緒に来た。
双葉さんは真っ先に静流の元へ。
見せつける(私にはそう見えた。)様に静流の腕に抱きついた。

私は少しずつ後退して行くと、後ろから肩を静かに掴まれた。

振り返れば、そこに香月さんがいた。

そうだ……。
こういう場面。今日は一日ずっと見なくちゃいけないんだった。

そな覚悟を、もう一度しておくの、忘れてた。

⏰:07/09/21 16:04 📱:SO903i 🆔:FFR2DAXk


#471 [向日葵]
まだショック状態の私の手を、香月さんは握り締めて歩きだした。
足は、まだ思考についていってくれなくて、おぼつかない。

「昨日はよく寝れた?」

視線を向けると、香月さんは微笑んで私を見ていた。

静流達は後ろにいるらしい。

「普通。私はどっちかって言うと夜行性だから。夜はあまり寝たくないの。」

「へー。じゃあいつ寝るの?」

「……。あまり眠る事は……好きじゃない。」

⏰:07/09/21 16:18 📱:SO903i 🆔:FFR2DAXk


#472 [向日葵]
今だから、食事同様マシになった。

それでも、やっぱり夜は寝たくない。
これはクセ。

まだ、母さんからの暴力に堪えてた頃。

母さんが私を殴るのが飽きて寝静まった夜が、何より私の救いの時間だった。

寝てしまったら、また朝が来て、殴られる一日が始まる。
だから、私は救いの時間を貪る様に味わう。

単に言えば、眠るのが恐いのだ……。

まだ治りきっていない、腕のいくつかの痣を見つめ、思い返していた。

⏰:07/09/21 16:22 📱:SO903i 🆔:FFR2DAXk


#473 [向日葵]
「夜は……安らぐ。」

「……そっか。」

香月さんはそれ以上は聞いてこなかった。
私の雰囲気で読めたらしい。

「じゃあまた眠れなかったらさ、夜中に電話でもメールでもしといでよ。」

私は香月さんを見上げた。
香月さんはにこりと笑う。

「……ありがとう。」

上手く笑う事が出来ない分、精一杯思いを込めたありがとうを伝えた。

⏰:07/09/22 02:25 📱:SO903i 🆔:1kREaRMM


#474 [向日葵]
香月さんも分かったのか、「うん。」と頷いて別の話題を話始めた。

*********************

「静流。どこ行こっか!」

「んー…?……どこでも。」

「……。」

するりと双葉の手が俺の腕を離れた。
不思議に思った俺はどうしたのかと思い、双葉を見ると、隣にはいず、いつの間にか立ち止まって少し後ろにいた。

「双葉?」

「……だ。」

「え?」

⏰:07/09/22 02:29 📱:SO903i 🆔:1kREaRMM


#475 [向日葵]
聞こえないので聞き返すと、双葉がキッ!と俺を睨んだ。

「最近の静流はなんかやだ!上の空が多いし、私の事、ホントに好きか……分かんないよ……。」

泣き出しそうに話す双葉に気づいた紅葉と香月も立ち止まり、俺を振り返る。

一瞬、紅葉と目が合ったけど、すぐに双葉に目を戻して頭を撫でてやる。

「ゴメン双葉……。最近寝不足だったんだ。だから、調子出なかったって言うか……。」

「……ホントに?」

「うん……。」

⏰:07/09/22 02:33 📱:SO903i 🆔:1kREaRMM


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