―温―
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#491 [向日葵]
―醒―
自分の気持ち押し殺すって、以外と難しいことで、息が出来ないくらいに苦しい。
でもそれをも超える想いがもしかしたら存在するのかもしれない。
その僅かな可能性に、私は賭ける事にした。
:07/09/23 00:40 :SO903i :NafT.peo
#492 [向日葵]
今日は中途半端な曇り。
だけど私は外に出かける。
約束があるからだ。
[午後四時半。門前にいてな。]
香月さんからそんな感じのメールが届いた。
私はその通りに動く。
何故なら私は香月さんの彼女だからだ。
カレカノなら、毎日でも会いたくなるのが普通でしょ?
だから私は会いにいく。
例えそれが偽りの気持ちだとしても。
:07/09/23 00:45 :SO903i :NafT.peo
#493 [向日葵]
門前に来て、塀にもたれながら空を見上げた。
きっと私にいつかとてつもない罰が下る。
あんなに優しい香月さんの気持ちを踏みにじって、私は香月さんと付き合う事にした。
香月さんは嫌で仕方ないと思う。
だから私は努力する。
香月さんが好きになれるように。
カシャン
「ただいま。」
ハッとして横を見ると、静流が帰ってきた。
「お……おかえり……。」
「……ん。」
それだけ言って、静流は家に入ってしまった。
静流は何も聞いてこない。
:07/09/23 00:52 :SO903i :NafT.peo
#494 [向日葵]
ダブルデートの日、香月さんと何かあったのかとか。
香月さんと付き合うのかとか……。
*********************
本当は問い正したい気持ちでいっぱいだった。
香月から聞いた時は耳を疑った。
まさか紅葉が香月と付き合うだなんて……。
でも……俺には、関係無いことだから。
俺は……双葉がいるから……。
それでも不思議だった。
もともと紅葉はあまり顔に出ないタイプだけど、好きな人と付き合うって言うのに全然嬉しそうに見えない。
:07/09/23 00:55 :SO903i :NafT.peo
#495 [向日葵]
紅葉は香月が好きなんだろうか……。
ピルルルル!
ビクッ!
携帯だ。
発信者は……
「?もしもし。何で俺に?」
{なんか用事ないとしちゃいけねぇのかよ。}
香月だった。
「そういう訳じゃない。……ただ、紅葉にしないのかと思っただけだ。」
{それについて聞きたいんだ。}
:07/09/23 00:59 :SO903i :NafT.peo
#496 [向日葵]
俺は口を一文字にキュッと縛って香月の言葉を待った。
{最後の忠告だ。俺は確かに紅葉が好きだ。でも、お前は俺と紅葉が付き合って本当に後悔しないのか?}
「……俺は、双葉がいるから……。」
{最近のお前さ、双葉ちゃんを好きって言わないよな。}
――ドクン……
「それが……何だよ。」
{大切だの傷つけたくないだの。お前は今双葉ちゃんを好きなのか?}
:07/09/23 01:03 :SO903i :NafT.peo
#497 [向日葵]
「やめろよっ!!」
家に俺の叫び声が響いた。
やめろ……。
これ以上混乱させないでくれ……。
「お前は念願が叶ったんだから、紅葉と仲良くすればいいだろ……っ!」
目元を片手で覆って、玄関のドアにもたれた。
香月からはまだ返事が来ない。
だってそうだろ?
何でいちいち俺に聞くんだ!俺には双葉って彼女がいて、彼女を幸せにす…………。
待てよ俺……。
今なんて思った?
その言葉の続きは……絶対思っちゃいけないだろ。
:07/09/23 01:07 :SO903i :NafT.peo
#498 [向日葵]
{俺だって……限界があんだよ。}
それだけ言って、香月は電話を切った。
プープーと受話器の向こうになってる音を聞きながら、俺はその場に立ち尽くしていた。
あの言葉の続き……。
彼女を幸せにする……義務がある……と。
義務だなんて、思っちゃいけない。
それはつまり…………双葉が好きじゃなくなったってことだろ?
**********************
携帯のバイブが鳴ったので見てみると、香月さんからメールが入った。
[もうすぐ着くから(^.^)]
:07/09/23 01:12 :SO903i :NafT.peo
#499 [向日葵]
返信をせずに、塀から身を乗り出して遠くを見ると、それらしき人物が見えた。
あちらも私に気づいたのか、軽く走って私の所までやって来た。
「……あれ?」
今日は眼鏡かけてる……。
それに気づいた香月さんは人差し指で眼鏡をトントンと軽く叩いて「あぁコレ?」と言いながら微笑んだ。
「実は目、悪いんだわ。いつもコンタクトなんだけどさ、代えが無くって。だから今日は眼鏡!」
:07/09/23 01:16 :SO903i :NafT.peo
#500 [向日葵]
「似合う?!」って言いながら、黒渕眼鏡をクイッとあげる。
私はコクコクと頷いて肯定した。
すると香月さんが真剣な(顔をしたもんだから、私はドキッとしてしまった。
「無理……してない?」
「え……。」
ザァァァ……と風が吹く。
髪の毛で香月さんの顔が見えなくなるのを防ぐ為に髪の毛を手で抑える。
「静流の事。いいの?」
「……。」
「いいんだよ?フッても。」
:07/09/23 01:21 :SO903i :NafT.peo
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