―温―
最新 最初 🆕
#511 [向日葵]
―――トクン……。

それ言う為に……?

「行ってらっしゃい」なんて、静流には行った事がなくて、でも今、とても言いたい。

私は静流が見えそうな範囲まで手を上げてぎこちなく手を振った。
私の精一杯の「行ってらっしゃい」を表現する。

でも静流にはそれで十分だったのか、より一層にこぉっと笑って手を振り返した。
そして学校へと行ってしまった。

あぁどうしよう……。

口の筋肉が揺るんでしまうよ……。

⏰:07/09/24 01:07 📱:SO903i 🆔:WTtaMCAA


#512 [向日葵]
********************

生徒が友達に挨拶する声があちらこちらから聞こえる中、少し汗ばむオデコを手の甲で拭いながら俺は教室へ続く階段を上っていた。

「あ、静流!」

声をかけられた俺は上を見る。
でも逆光のせいで顔が見えない。手を少しかざすと顔が段々見えてきた。

「双葉。おはよう。」

「おはよ!最近どう?紅葉ちゃんとは。」

下りて来て俺の隣まで来た双葉は、また一緒に上りながら俺に話かける。

⏰:07/09/24 01:17 📱:SO903i 🆔:WTtaMCAA


#513 [向日葵]
「何も。普通だよ。」

と言って、少し早歩きで階段を上った。
それを双葉は、シャツの裾を引っ張って止めた。

グイッと引っ張られて、階段から落ちそうになった俺は手すりにつかまってなんとか堪えた。

「ちょ、双葉!」

「静流が冷たい。」

真剣な顔で双葉が言った。

冷たい?
そんな事ないのに。

でも弁解するのが、なんだかめんどくさかった。

⏰:07/09/24 01:21 📱:SO903i 🆔:WTtaMCAA


#514 [向日葵]
「気のせいだよ。」

それだけ言って、俺は双葉を置いて階段を上って行った。





残された双葉は静流の異変に不安を隠せなかった。

自分は何かしただろうか。
私の気持ちが重いの?

誰か好きな人が出来たの?

そう思って、心当たりの人物を頭に思い浮かべてみたけれど、どうしても一人しか出てこなかった。

「紅葉……ちゃん……?」

⏰:07/09/24 01:25 📱:SO903i 🆔:WTtaMCAA


#515 [向日葵]
でも彼女は今香月くんと付き合ってるのに……。





教室に着いて、携帯をマナーにするのを忘れていた事に気づき取り出すと、サブディスプレイにメールのマークがあった。

誰からだ?とパキンと携帯を開けると、紅葉からだった。

<アホ。お弁当忘れてる。>

「あ!」

どうりで鞄が軽いと……っ。

⏰:07/09/24 01:29 📱:SO903i 🆔:WTtaMCAA


#516 [向日葵]
早打ちでメールを返す。

<昼休みに間に合う様に届けてくんない?!>

送信。
返信はすぐに来た。

<いや。>

超短文。
そりゃ早い訳だ。

「……。」

香月とは……どんなメールしてんだろう。
そんな事を思ってると、本人のお出ましだ。

「おっはよーさん。」

「うす。まだコンタクト無いの?」

⏰:07/09/24 01:34 📱:SO903i 🆔:WTtaMCAA


#517 [向日葵]
香月は頷いた。
そして開けっぱにして机に置いてあった携帯に目をやる。

隠す必要もないが、さりげなくでも慌てながら携帯を隠した。

「メールしてんだ?」

「弁当忘れたって教えてくれただけだ。」

香月は俺の前の席。席に座ってから後ろを向いた。
俺はなんとか紅葉に頼みのメールを送る。

「で?どうなの?」

「何が?」

香月が不機嫌そうに返してきた。

⏰:07/09/24 01:47 📱:SO903i 🆔:WTtaMCAA


#518 [向日葵]
「紅葉は……香月に……メロメロ?」

「ブッ!!」

香月が派手に吹き出した。そっぽを向いて肩を揺らす。

ひとしきり笑ったところで、香月はまた俺の方を向いた。

「そんなんじゃないよ。紅葉は……他に好きな奴いるから。」

「え……。」

「ま、フラレても諦めねーけどな。」

そんな香月の顔は、悲しそうだった……。

⏰:07/09/24 01:51 📱:SO903i 🆔:WTtaMCAA


#519 [向日葵]
*********************

一仕事終えた私はフゥゥ……。と満足の息を吐きながらリビングのフローリングに寝そべった。

「あー疲れた。」

もう11時かぁ……。
午後から何しとこっかな。

ブー ブー

携帯がテーブルと擦れて変な音を立てた。

「また静流?」

お弁当お届けメールの件は私の勝ちで幕を下ろした。でももしかしたらリベンジで送ってきたのかも。

⏰:07/09/24 01:56 📱:SO903i 🆔:WTtaMCAA


#520 [向日葵]
でも私の予想は外れた。

「香月さん?」

<外見て!>

外?

ベランダの戸越しに外を見る。

「え?!」

私は急いで階段を降りた。途中こけそうになって冷や汗をかいたけど、とりあえず外へ出た。

ガチャン!

「何してんの?!」

そこにいたのは、紛れもなく香月さんだった。

⏰:07/09/24 02:04 📱:SO903i 🆔:WTtaMCAA


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194