―温―
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#526 [向日葵]
シャーペンを指先でクルクル回しながら、暇な授業が終るまであと30分だなぁ〜とかぼんやり考える。

ガラガラガラ

クラスの視線が一気にドアの方へ集まる。

「遅れてすんませぇ〜ん。」

あ、香月。

「入室届けは?」

と先生が言うと、素っ気無く「ん。」と教壇に置いてスタスタと俺の前の席まで来た。

「香月。どこ行ってたんだよ。」

「便所。」

長ぇよ。

⏰:07/09/25 01:26 📱:SO903i 🆔:FyVZvjz6


#527 [向日葵]
「クックック。……嘘嘘。また後で話すわ。」

意味あり気な言葉を残して、香月は残り少ない授業を受け始めた。

―――――…………

「静流、お前にプレゼントだ。」

そう言われて差し出されたのは、弁当だった。

「え?!何でお前……。」

「さっきまでお前んちにいたんだよ。」

「は?何しに?」

香月は一瞬キョトンとしてからニヤリと笑った。

⏰:07/09/25 01:30 📱:SO903i 🆔:FyVZvjz6


#528 [向日葵]
……まさか。

俺の表情を読んだのか、香月はにこりと笑った。

「お前が思ってる通りだよ。だから弁当届けてやったんだ。」

「そっ…………か……。」

何もしてないならと、何故かホッとした。

「紅葉可愛いかったんだぜ!俺が抱き締めたら顔真っ赤にしちゃってさ!」

顔……真っ赤に?
ってか抱き締めたって……。

ショックだった。
色んな意味で潔癖な紅葉が、誰かに抱き締められただなんて……。
聞きたくもなかった。

⏰:07/09/25 01:34 📱:SO903i 🆔:FyVZvjz6


#529 [向日葵]
しかも顔真っ赤にさせただなんて……。
俺は香月よりも長い間一緒にいるけど、そんな表情、見た事はない。

表現が下手で、少し照れたりするのはあるけど、異性としての反応は全く知らない。

紅葉は……本気で香月が……?







このくらいの意地悪は別にいいだろう。

静流がショックで黙ってしまったのを見ながら香月は思った。

⏰:07/09/25 01:37 📱:SO903i 🆔:FyVZvjz6


#530 [向日葵]
俺だって相当辛いんだからな。

好きな奴が、他に好きな奴いるのに気持ち押し止めてこちらに見る様を見てるんだ。

紅葉は確かに自分を好きになると努力はしてくれているだろうし、さっきの反応を見れば自分に可能性が無いわけではない。

……でも、やっぱり心は未だ……。

と、静流を見る。

未だ、コイツなんだもんなぁ……。

ついでにもうちょい意地悪してもいいだろうか。

「俺、紅葉とキスしたんだ。」

⏰:07/09/25 01:41 📱:SO903i 🆔:FyVZvjz6


#531 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/09/25 01:42 📱:SO903i 🆔:FyVZvjz6


#532 [向日葵]
…………は?

「ま、カレカノだし。当たり前だろ。」

「おま……ふざけっ!」

パシッ

香月は胸ぐらを掴もうとした俺の手を払い落とした。口元に笑みを浮かべたまま、冷たく俺を見てくる。

「なぁ。お前言ったよな。紅葉ちゃんには恋情を抱いちゃいない。って。覚えてんだろ?」

もちろん覚えてる。
俺の優先順位はいつでも双葉が一番だった。

……なのに。

⏰:07/09/26 01:22 📱:SO903i 🆔:Xn2WQSXM


#533 [向日葵]
どうしてだろう。

いつの間にか、紅葉が一番になってて……どうしても側にいて、守ってやりたくて

誰にも……渡したくなくて……。

「ゴメン香月……。俺、紅葉が好きだ……。」

*********************

ブー ブー

「ん?」

ソファでのんびり寝転んでいた私は、テーブルで鳴っている携帯を見た。

メール?

その割りには長い事バイブが鳴っている。

⏰:07/09/26 01:33 📱:SO903i 🆔:Xn2WQSXM


#534 [向日葵]
「電話……っか!」

勢いよく起き上がって、携帯を取る。

「あ、香月さんだ。」

またサボったとか……。はないか。
時計はすでに4時を指している。
学校ならもう終わってるだろう。

「もしもし。」

{ぃよっ。さっきはどうも。}

「こちらこそ、お弁当ありがとう。どうかした?」

そこで香月さんが黙ってしまった。
一瞬電話が途切れたのかとディスプレイを見てみたけど、通話中だったのでまた耳に当てる。

そして当てた途端香月さんは喋りだした。

⏰:07/09/26 01:49 📱:SO903i 🆔:Xn2WQSXM


#535 [向日葵]
{嬉しいニュースだよ。}

そう言いながら香月さんの声のトーンは低い。

私は黙って続きを待った。

{静流が……。静流が、紅葉を好きだって。}








え?

「冗談……止めてよ。」

{冗談じゃない!!}

⏰:07/09/26 01:54 📱:SO903i 🆔:Xn2WQSXM


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