―温―
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#567 [向日葵]
分かる。
好きって気持ちは、ホントどうしようもなくて、押し止めてしまうのが苦しい。
だから言葉が溢れていくんだと思う。
「好き。」
…………と。
静流が目を開けた。
「今……なんて?」
「好き。私は静流が好き。でもね……また違うの。貴方の好きと、私の好きは……。」
静流は一瞬輝かせた目を戻して私の続きを待った。
:07/09/28 15:46
:SO903i
:IaBHbH2A
#568 [向日葵]
「ありがとう。こんな私を好きになってくれて。おやすみなさい。」
私は静流の手を顔から離して横を通り過ぎ、階段を上がって行った。
「紅葉。」
進める足をピタッと止める。下を向くと、さっきのまま静流が私に話しかけている。
「これからも……お前が俺を好きになることは……俺を恋愛対象として見ることは……ないのか?」
あるよ。あるじゃない。
現在進行系で貴方が大好きなの。
――横取りするなんて……っ!
私が双葉さんの立場でも多分そう思う。
私はズルイ。
:07/09/28 15:52
:SO903i
:IaBHbH2A
#569 [向日葵]
静流に大事にされて、優しくされて……。
彼女立場とすれば目の上のタンコブに違いない。
大好きな人の心が、自分に向いてないことは、なんて悲しいんだろう。
「……。ない。」
それだけ言って、私は階段を登って行った。
―――――……
やっと源さんが帰ってくる日。
あれからも態度は変わらない私達。
しかしうっすらと作られてしまった壁。
きっと元に戻る事はない。でもそれでいい。
:07/09/28 15:57
:SO903i
:IaBHbH2A
#570 [向日葵]
源さんは夕方頃にボサボサな頭を更にボサボサにさせて帰ってきた。
「ただいま!仲良く留守番してた?」
「そんな年じゃないっつーの。」
そんな温かい親子を少し微笑みながら見ていた私は、心の中で思った。
――いよいよだ……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜。
良かった事に今日は満月が綺麗に出るほど天気のいい空だ。
ベランダで体育座りをしながら眩しい月を見上げる。
:07/09/28 16:01
:SO903i
:IaBHbH2A
#571 [向日葵]
時間を見れば、夜中の1時。そろそろ静流も寝静まった頃だろう。
リビングを横切り、部屋をそろっと開ける。
予想通り、静流は寝ていた。
暑いのか、布団をあまり被らないで壁側を向いて寝ている。
この方が好都合。
予め用意していた旅行用カバンを持ちながらカチャリとドアを閉めた。
急いで置いてある自分の服、下着をカバンに摘める。
ここまですれば、私が何をするかお分かりだろう。
:07/09/28 16:06
:SO903i
:IaBHbH2A
#572 [向日葵]
そう。
あれは源さんに電話した時だった。
―――――
――――――――……
{旅?}
「そう。一人旅。出来るだけ遠くに行ってみたいの。」
このまま私がいてしまうとダメな気がした私はそう言った。
しばらくの間、静流とも香月さんとも離れて、香月さんはともかく静流にもう一度考えてもらいたかった。
本当に私が好きかどうか……。
:07/09/28 16:10
:SO903i
:IaBHbH2A
#573 [向日葵]
{……。僕の知り合いに、旅館を経営してる人がいるんだ。その人のトコへ行ったらどうかな。}
「じゃあ……そうする。あと、静流には言わないでくれる?」
{?どうして?}
静流が自分のせいだって思って引き止めてしまいそうだから……。なんて言えない。
第一源さんは私達のそんな事情を知らない。
「「子供のくせにまだ早い!」っとか言いそうだから。」
と冗談で返すと、源さんは「確かに。」大笑いした。
:07/09/28 16:16
:SO903i
:IaBHbH2A
#574 [向日葵]
もしかしたら源さんは何か感じとってたかもしれない。
でも何も言わず、ただ私の言う事をウンウンと言って聞いてくれた。
私は朝一の新幹線で源さんの知り合いとやらの旅館へ行く事になった。
駅までは一人で行くと源さんに伝えた。
源さんは「じゃあ駅までの地図を当日渡すね」と言って仕事が忙しくなったのかじゃあと言ってから電話を切った。
――――
―――――……
そして今に至る。
私は朝になるまで寝ないつもり。
:07/10/02 23:13
:SO903i
:P1FKxZVI
#575 [向日葵]
その代わりに静流の寝顔をしっかり見ておくの。
次に会う時までの少しの支え。
きっと会いたくなる時があると思う。
でも我慢しないと。
すぐ帰ってしまっては静流の気持ちが変わってないかもしれない。
本心は、変わってほしくなんかないけど……ね。
私はベッドに歩み寄ってストンと座った。
静流は熟睡して寝息をたてている。
そんな静流の顔を、そっと撫でてみた。
:07/10/02 23:17
:SO903i
:P1FKxZVI
#576 [向日葵]
男の子だって言うのに、すごく肌が綺麗なのかスベスベしてる。
私は静流の頬を何度も指先で往復した。
胸が……苦しい……。
パシッ!
「っ!!」
寝てる静流が私の手を掴んだ。
寝てるのに素早い動きだったので私の心臓がバクバクと急に動き出した。
「……れ……。」
「れ?」
何の事か分からない私に教えてくれるように静流はもう一度寝言を言った。
:07/10/02 23:21
:SO903i
:P1FKxZVI
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