DREAMER
最新 最初 全 
#1 [朔]
:07/08/26 12:21
:PC
:iPakkb7I
#2 [朔]
夢を見たことない人は
きっと
いないと思う…。
―それは本当に突然だった…。
:07/08/26 12:29
:PC
:iPakkb7I
#3 [朔]
8月26日(日曜日)
…ちゃん!
…えちゃん…!!
「お姉ちゃん!!!」
―…
体が揺れて
聞き慣れた声で目が覚めた。
眠い目をうっすっらと
開けるとそこには妹の顔…。
:07/08/26 12:48
:PC
:iPakkb7I
#4 [朔]
「何よ…凛かぁ…」
寝ぼけた声で
うまく呂律の回らない舌を
動かして言う…。
「何よじゃなくて…
プールに連れてってくれるって
約束したじゃん!!!」
…あ。
そんな約束を
軽いノリでしたような気がする。
:07/08/26 12:51
:PC
:iPakkb7I
#5 [朔]
プリプリと怒ると
私に絡まるタオルケットを
剥いで行く。
「ちょっとーー!!!」
小学生の妹に負けてる私…
中岡七瀬 16歳
これから始まる悪夢に
まだ気がついてはいなかった…。
:07/08/26 13:38
:PC
:iPakkb7I
#6 [朔]
――…
「あら…起こされちゃったの?」
寝ぼけ顔の私を見て
母さんが笑う。
「まーね…」
寝癖を手ぐしで梳きながら
苦笑いで答える。
「だって!約束したんだもん!!」
この生意気な強い妹
中岡凛 11歳
:07/08/26 13:41
:PC
:iPakkb7I
#7 [朔]
テーブルには
もう朝ごはんが既に並んでいた。
「いただきます。」
母さんと凛は手を合わせると
美味しそうにご飯を食べ始める。
「…ぅぇ」
私は寝不足と夏バテで
食欲はない…。
:07/08/26 13:44
:PC
:iPakkb7I
#8 [朔]
「食べないの?」
凛がサンドイッチを
美味しそうに大きな口に
ほうばりながら聞いた。
「起きてすぐだしねー…」
そばにあった牛乳を
少しだけの飲んで
まだ完全に起きては
いない頭を目覚めさせる為に
シャワーに向かった…。
:07/08/26 20:39
:PC
:iPakkb7I
#9 [朔]
生温いシャワーを
勢い良く頭から流して
両手でパンパンと顔を叩く。
「あー…眠い…」
昨日は夜中まで漫画を
ずっと読んでいたからだ…。
無数の滴が自分の体を
伝い流れていく様を
俯いて見ていた時…
「…?」
:07/08/26 20:42
:PC
:iPakkb7I
#10 [朔]
"何だろ…今…何かを
思い出した気がする…"
胸の中のモヤモヤと
喉まで出かかっている
思い出しそうな曖昧な記憶…。
…。
……。
……―だめだ。
思い出せない…。
:07/08/26 20:44
:PC
:iPakkb7I
#11 [朔]
蛇口をひねり
更に勢いを増した
シャワーに顔を上げて
思いっきり流した。
「…フゥ」
さっぱりした体と
完全に起きた頭…。
ブルンブルンと
濡れた犬のように
びしょぬれの頭を振って
滴を散らした。
:07/08/26 20:48
:PC
:iPakkb7I
#12 [朔]
お湯の蒸気で
暑い浴室から出ると
ひんやりとした
気持ちのいい空気に
思わず声が漏れた。
「あぁー…涼しい」
体をタオルでふき取り
服を着ていると
凛が急かすように
ドアを開けて入ってきた。
:07/08/26 22:21
:PC
:iPakkb7I
#13 [朔]
「おねえちゃーん!!
早く用意してよぉ!!
あおちゃんも
待ってるんだから!!」
地団太を踏んで
マイペースな私を
早く早くと急かして来る。
「あおちゃんて…
聞いてないけど?」
こんなに暑い日は
クーラーの効いた部屋で
漫画でも読んでいるのが
一番の過ごし方なのに…。
:07/08/26 22:28
:PC
:iPakkb7I
#14 [朔]
何が悲しくて
妹とその友達を
プールになんか
連れて行かなければ
いけないのか…。
「母さんと行けばいいでしょ?」
すると凛の後ろから
「母さんはダメよ。
お爺ちゃんのお墓参りに
行かなきゃいけないもの。」
:07/08/26 22:29
:PC
:iPakkb7I
#15 [朔]
…チッ、だめか。
聞こえないように
舌打ちして
仕方がないと諦めると
「わかったわよ!20分待って。
用意するから…」
凛にそう伝えると
自分の部屋に戻り
急いで用意した。
:07/08/26 22:32
:PC
:iPakkb7I
#16 [朔]
「行って来ま〜す」
凛に伝えた通りに
20分で用意して
私達はいつもの
市営プールに3人で向かった。
せみの声と炎天下の外…。
バス停で立っているだけで
無駄に汗が流れ始める。
「あ!!バス来たよ!!」
:07/08/26 22:36
:PC
:iPakkb7I
#17 [朔]
水色に色彩りどりの
水玉模様の浮き輪を
肩にかけてバスを指差し
嬉しそうに凛が言う。
そそくさとバスに乗り込むと
「あー涼しい!!
ね!あおちゃん!」
バスに乗り込むなり
凛が大声で言った。
:07/08/26 22:42
:PC
:iPakkb7I
#18 [朔]
さっきからひと言も
喋っていない友達が
凛の言葉に小さな声で
「うん…」
と恥ずかしそうに頷く。
車内のアナウンスが流れて
バスが発車した時
突然さっき見た夢が
頭の中に流れるように
浮かんできた。
:07/08/26 22:44
:PC
:iPakkb7I
#19 [かぁ]
今回も波乱の予感ですね

ミステリーかぁ…題名と冒頭から私の大好きな匂いがします

(笑)
また私もマイペースに読ませて頂きますので朔さんもマイペースに更新がんばってくださぃ゚+。(*′∇`)。+゚
:07/08/26 23:33
:N903i
:5B0iPz/I
#20 [朔]
かぁさん>いつも有り難うございます(*^∀^*)
波乱…そうですね(笑)
更新頑張るので最後までの
お付き合いよろしくお願いします!!
:07/08/27 00:39
:PC
:9A6Vnoog
#21 [朔]
>>18"おねぇ…ちゃ…"
"足が…つか…"
水…泡…それから
凛の声が聞こえて…
"凛ーーー!!嫌ぁ!!"
私が泣き叫んでた…
:07/08/27 00:46
:PC
:9A6Vnoog
#22 [朔]
―…凛が溺れ死ぬ夢
そんな嫌な夢を
見たのを思い出して
体がブルブルと身震いした。
凛と友達に視線をやると
嬉しそうに窓を眺めて
何やら話している。
…今さら行くのやめよう
なんて無理だろうし…。
:07/08/27 00:49
:PC
:9A6Vnoog
#23 [朔]
そんな時ふと
夏休み前に
クラスの友達が彼氏と
新しく出来たプールに
行ったと話して来たのを
思い出した。
「確か…そんなに
遠くなかったはず…」
携帯を取り出して
マップを開き調べる。
:07/08/27 00:54
:PC
:9A6Vnoog
#24 [朔]
…それはただの夢と
思ってしまえば
それだけの事だけど…。
「やっぱり…ね…」
そう考えて
私は新しいプールの
場所を探し出し
凛に行き先を変えようと
話して見た。
:07/08/27 02:13
:PC
:9A6Vnoog
#25 [朔]
――…
「わー!!滑り台だ!!
あおちゃん行こう!!」
2人は子供用の
滑り台を見つけはしゃぐと
手を取り合って
走って行ってしまった。
…フゥ
プールの場所が分かって
凛に話してみると
すんなり"いいよ!"と
返事をしてくれた…。
:07/08/27 02:24
:PC
:9A6Vnoog
#26 [朔]
「考えるだけ無駄だったかな?」
なんてはしゃぐ2人を
微笑ましく見つめると
ぽつりと呟いた…。
―その日2人は
クタクタになるまで泳ぎ
帰りのバスの中で
お互いもたれかかって
寄り添うように眠っていた…。
:07/08/27 02:37
:PC
:9A6Vnoog
#27 [朔]
「「ただいまー!!」」
玄関のドアを開けて
大きな声で母さんに言った。
パタパタとスリッパの音を
鳴らして母さんが出迎えてくれた。
「おかえり。楽しかった?」
凛の浮き輪を持ち
柔らかい笑顔で聞く。
:07/08/27 15:20
:PC
:9A6Vnoog
#28 [朔]
「楽しかったよー!!
滑り台があってね…」
凛は母さんに夢中になって
プールの話をし始める。
―……。
私は何だかドッと疲れて
自分の部屋に足早に戻ると
ベッドに体を投げ出して
少し眠ることにした。
:07/08/27 15:28
:PC
:9A6Vnoog
#29 [朔]
また夢を見た…
そこは真っ白な空間に
私が1人ポツンと立っている。
「ここは…どこ?」
そう呟いたと同時に
誰かの手がそっと私の手に触れた…。
…?
視線を落とすと
そこには小学生の男の子。
:07/08/27 15:42
:PC
:9A6Vnoog
#30 [朔]
「え…と誰?」
見た事はなく
無言で私の手を握る。
私の問いかけには
何も答えようとはせずに
ただ幼くキレイな瞳で
私を見つめるだけ…。
:07/08/27 15:43
:PC
:9A6Vnoog
#31 [朔]
すると
その少年は
私を指差し言った。
「ルール違反…
終わらないよ。」
私は言葉の意味を
理解できずに首を傾げる。
「どういう意味?」
:07/08/27 16:33
:PC
:9A6Vnoog
#32 [朔]
…パッと目が覚めた。
「あれ?」
目を開けて見えるのは
見慣れた天井…。
"どんな夢を見てた?"
クーラーの効きすぎた部屋で
眠っていた私は冷えた体を労わって
夢の内容は深く考えもしなかった。
:07/08/27 16:40
:PC
:9A6Vnoog
#33 [朔]
8月27日(月)
―結局、あのまま
私は朝まで眠ってしまった。
夕方の16時頃から
朝の8時までぐっすり…
母さんも凛も父さんも
私を呆れた顔で見てた。
「寝過ぎ」
「死んでるのかと思った」
「…寝太郎?」
この言われよう…。
:07/08/27 17:11
:PC
:9A6Vnoog
#34 [朔]
確かに寝過ぎて
体がダルイのは認める…。
固まった体を
大きな背伸びで
目覚めさせると
午後から会う友達との
約束の為に用意を始めた。
:07/08/27 23:10
:PC
:9A6Vnoog
#35 [朔]
―…コンコン
用意をしていると
部屋のドアがノックされた。
「…何?」
私の返事にドアがそっと開き
凛が中を覗き込んでいる。
「あのね?」
「うん。」
ビューラーで睫毛を
上げながら凛に返事する。
:07/08/27 23:17
:PC
:9A6Vnoog
#36 [朔]
「あおちゃんがね…?」
両方の睫毛を上げて
鏡越しに凛を怪訝な顔で
見つめると
「さっさと言ってよ!何?」
私の声に凛は眉をしかめると
「彼氏と昨日のプールに
行きたいから道を教えて
欲しいって…。」
:07/08/27 23:20
:PC
:9A6Vnoog
#37 [朔]
―…小5の分際で彼氏?
ケツの青いガキが…
生意気な!!
「…さぁ〜忘れたぁ」
大人気ないと分っていても
何だか悔しくて意地悪する。
「嘘つき!!だから
聞くの嫌だったんだ…
ひがむの見えてたし…」
…ムカつく。
:07/08/27 23:24
:PC
:9A6Vnoog
#38 [朔]
「あっそ、じゃぁ道順
思い出したけどいっか。」
そう返事して
私は化粧をし始めた。
凛は半べそをかいて
母さんにちくる為に
リビングへと降りて行った。
「…彼氏、いいな」
どんどん化けていく自分の
顔を鏡に映して
小さな声で呟いた…。
:07/08/27 23:28
:PC
:9A6Vnoog
#39 [朔]
―用意が出来て
リビングに下りて行くと
凛が嬉しそうにアイスを
食べている…。
"アイスで機嫌直ってやんの"
凛を心で小ばかにすると
「じゃぁ行って来るから。」
こちらに背中を向け
台所で何かをしている
母さんに声をかけて
私は蒸し暑く太陽が
照付ける外へと出て行った。
:07/08/27 23:33
:PC
:9A6Vnoog
#40 [朔]
買ったばかりの
歩きづらいミュールを履いて
上から照る太陽とその熱を
吸収して熱くなっていく
アスファルトにやられながら
手扇子で顔を仰ぎながら
汗だくで待ち合わせ場所に行く。
「…あー暑い…」
ぶつぶつと文句を言いながら
とりあえず急いで歩く。
:07/08/27 23:39
:PC
:9A6Vnoog
#41 [朔]
「おー!七瀬!!」
待ち合わせ場所に着く前に
待ち合わせていた人間と会う。
私が待ち合わせしてたのは
クラスの男子…彼氏じゃない
と…思う。
今の所・・・。
外で会うのは初めてで
何だか緊張してしまう。
:07/08/27 23:48
:PC
:9A6Vnoog
#42 [朔]
「ども…」
軽く会釈をして
黙ってしまう私に
「緊張すんなよ!!!馬鹿。」
こいつはいつものノリで
話しかけて来てくれる。
彼の名前は
中山ユウト 16歳
:07/08/27 23:54
:PC
:9A6Vnoog
#43 [朔]
一応…私の好きな人。
…沈黙
「腹…減らない?」
先に中山が沈黙を破る。
「減ったかも…」
そう言って笑いかけると
中山は少し俯いて
私達は歩き始めた。
:07/08/27 23:58
:PC
:9A6Vnoog
#44 [朔]
私達が入ったのは
色気のないいつもと同じの
ファーストフード。
「カフェとかが良かった?」
なんて
もう既に目の前にある
ハンバーガを
手に取りながら聞いて来た。
「いいんじゃない?いつも通りで。」
愛想なく答えて
私も大きな口を開けて
ハンバーガーをほうばる。
:07/08/28 00:33
:PC
:PQMm7PGM
#45 [朔]
「そだよな…」
ちょっと言い方が
きつくなった事を後悔して
「中山とはどこ行っても
楽しいから…」
なーんてフォローを入れる。
実際に私は彼が好きだから
緊張はしていても
一緒にいられるのは嬉しい…。
:07/08/28 00:37
:PC
:PQMm7PGM
#46 [朔]
「あ…そういえば…」
何かを思い出したように
話す私の顔を見ると
「ん?…何?」
美味しそうに口を
動かしながら聞いて来た。
「夢…今日…見た夢…
今、思い出しそうだった…」
:07/08/28 00:41
:PC
:PQMm7PGM
#47 [朔]
所々の映像が頭に流れる。
"昨日と同じだ…"
そう考えながら
頭の中の映像を口に
出そうとしても喉まで
でかかるだけで言葉にならない。
「あー…良くあるよなー?」
:07/08/28 00:42
:PC
:PQMm7PGM
#48 [朔]
え…よくある事なんだ…。
「そっか…昨日からなんだ。
中山はよくあるんだね?」
中山の顔を見つめながら
聞いてみると
うーんと顔を傾けて
「よく…つーか起きた
途端に忘れる夢はたまにある。」
:07/08/28 00:45
:PC
:PQMm7PGM
#49 [朔]
難しそうな顔をして
私に言った。
「それかな…?」
何かもっと…こう…
上手くは言えないけれど…
―…あ
"これ…"
"似合うと思う…"
"好きなんだ…"
…―嬉しい
:07/08/28 00:47
:PC
:PQMm7PGM
#50 [朔]
自分の見た夢が
一気に頭の中に映画のように
はっきりと映し出された…。
―‥コレって…
下を向いてしまった私を
不思議そうに見つめると
「七瀬?顔…赤いぞ?」
顔を覗き込むように言う。
:07/08/28 00:55
:PC
:PQMm7PGM
#51 [朔]
「あ…うん…何でもない。」
別に中山に
言われた訳じゃなくて
夢を見たってだけの話なのに
私は無性に恥ずかしくて
ポテトをただ食べるしか
出来なくて…
突然、顔を真っ赤にして
黙った私を中山はきょとんと
した顔で見ていた…。
:07/08/28 01:03
:PC
:PQMm7PGM
#52 [朔]
それから
私達はご飯を済ませると
ブラブラと街を歩いて
雑貨屋に入った。
可愛い小物がたくさん
置いてあるお店…。
中山は店に入る前に
「女ばっかりじゃないの?」
って嫌がってたけど…案外
楽しそうに小物を見てる。
:07/08/28 01:06
:PC
:PQMm7PGM
#53 [朔]
私は…というと
さっき思い出した夢が
頭から離れなくて
自然とシルバーアクセサリーの
置いてあるコーナーに
ついつい足を運んでしまう。
「これ…可愛い…」
目に入ったのは
クロスペンダント。
:07/08/28 01:10
:PC
:PQMm7PGM
#54 [朔]
それを手に置いてある鏡に
さりげなく合わせていると
「似合うんじゃない?」
後ろから中山の声がした。
「…!そ…そう?」
驚いて思わず声が裏返る。
:07/08/28 01:14
:PC
:PQMm7PGM
#55 [朔]
「…買ってやろうか?」
照れくさそうに顔を
真っ赤にしながら中山が言う。
―…いいのかな?
手に持ったまま
固まっていると
中山は私の手から
ネックレスを奪いレジに
持っていってしまった。
:07/08/28 01:16
:PC
:PQMm7PGM
#56 [朔]
店から出ると
中山はすっと立ち止まり
「ほら…やる!」
無愛想に買った品物を
投げ渡してきた。
落としそうになりながら
それを受けとると
「ありがと…う」
とりあえずお礼を言う。
:07/08/28 01:21
:PC
:PQMm7PGM
#57 [朔]
こっ恥ずかしくて
中山の顔をまともに
見れない私に
「あのさ…俺…」
来る!?告白来る!!??来るの!!???
……さぁどうぞ!!!
「好きなんだけど…七瀬が。」
:07/08/28 01:24
:PC
:PQMm7PGM
#58 [朔]
…来たぁぁ!!!!
生まれて初めての
男子からの告白!!!!
目の前が桃色になって
味わった事のない嬉しさが
胸にこみ上げて来た…。
「…ダメかな?」
ドラマや漫画で見る度に
告白されてみたいと憧れてた。
:07/08/28 01:26
:PC
:PQMm7PGM
#59 [朔]
「私も…中山が好き…」
もらったネックレスを手に
女の子らしく返事して…。
―私 中岡七瀬 16歳
生まれて初めての彼氏が
出来ました…。
めでたく両思いになって
私と中山はどちらかともなく
手を繋いで街を歩いた…。
:07/08/28 01:30
:PC
:PQMm7PGM
#60 [朔]
私は両思いになって
浮かれていたせいもあるのか
夢のお告げは当たる…
私は何だか他の人とは
違う素敵な能力を手に
入れているような気がして…
でも
…真実なんて
知らない方がいい事が多い
なんて気付かなかった…。
:07/08/28 01:34
:PC
:PQMm7PGM
#61 [朔]
楽しい時間は
すぐに終わる・・・
その言葉を始めて
実感した気がした。
「じゃ…また…」
私を家まで送ってくれると
名残惜しそうに伝えると
中山は家に帰って行った。
その姿を小さくなるまで
見送って足取りも軽く
家に入っていく。
:07/08/28 01:55
:PC
:PQMm7PGM
#62 [朔]
玄関を勢い良く開けて
「ただいまー!!」
明らかにいつもとは
違う声のトーンで
帰って来た事を
家族に告げてみても
…
……―返事はない。
:07/08/28 01:59
:PC
:PQMm7PGM
#63 [朔]
「…出かけたのかな?」
只今の時間 19:30
電気のついていない
リビングは静かで
何となく不安になる…。
父さんの帰る時間は
まだまだ先でいないとしても
凛と母さんが
いないのはおかしい…。
:07/08/28 02:02
:PC
:PQMm7PGM
#64 [朔]
歩きすぎて血豆が出来た
履きなれないミュールを
玄関に荒っぽく脱ぎ散らかす。
「…どこかに行くなら
ひと言ぐらい言ってよね!!!」
置いてけぼりを
くらったような気がして
誰もいないリビングで
寂しさを紛らわすように叫んだ。
:07/08/28 02:05
:PC
:PQMm7PGM
#65 [朔]
冷蔵庫を開けても
晩ご飯らしき物はない…。
母さんの携帯は電源が
入っていないし凛の電話も
繋がらない…。
リビングの電気とテレビも
つけてソファに座って
生の食パンをかじる。
味気のないパンを食べても
お腹は膨らんだ気にはならず
どうでもいい番組を
ただ見ていた。
:07/08/28 02:11
:PC
:PQMm7PGM
#66 [朔]
―…それから
1時間ぐらいして
母さんたちが帰って来た。
私は玄関のドアの前に立ち
文句の1つでも言ってやろうと
待っていると
―ガチャり
玄関が開くと
母さんに肩を抱かれ
凛が大粒の涙を流し
泣いている…。
:07/08/28 02:22
:PC
:PQMm7PGM
#67 [朔]
文句を言うのも忘れて
凛に近づくと
「ど…したの?」
私の顔を見るなり
凛は更に涙を流しながら
声を上げて抱きついて来た。
私は訳もわからずに
母さんを見つめてみても
言葉なく首を横に振る。
:07/08/28 02:25
:PC
:PQMm7PGM
#68 [朔]
「凛…泣いてても
わかんないよ…どうしたの?」
肩を抱き凛の顔を
覗き込むと優しく聞いた。
凛は声を上ずらせながら
「あお…ちゃんが…あ…
ひっく・・ひっ…あお…」
…あおちゃんて凛の一番の
友達だよね…?
:07/08/28 02:27
:PC
:PQMm7PGM
#69 [朔]
「昨日…一緒にプールに
行った子でしょ??」
母さんに視線をやり
聞いてみた…。
凛はもう涙で
ぐしゃぐしゃのまま
私に抱きついて
何が何だかわからない。
「凛…だか「亡くなったのよ。」
私の言葉を遮り
凛を慰めながら母さんが言った。
:07/08/28 02:30
:PC
:PQMm7PGM
#70 [朔]
:07/08/28 02:33
:PC
:PQMm7PGM
#71 [朔]
>>69「亡くなった?…何で?」
母さんと私の言葉に凛は
腰に回した手に力を込めると
さっきよりも大きな声で泣いた。
私は凛を優しく抱きしめる…。
「プールでね…
溺れたんですって…」
母さんは小さな声で
凛に聞こえないように言った。
:07/08/28 12:11
:PC
:PQMm7PGM
#72 [朔]
「溺れた…」
目の前が真っ白になって
この前…見た夢を思い出した。
"おねぇ…ちゃ…"
"足が…つか…"
水…泡…それから
凛の声が聞こえて…
"凛ーーー!!嫌ぁ!!"
ぐ…偶然よね…?
そんな簡単に夢で人が
死ぬなんてあり得ない…。
:07/08/28 14:04
:PC
:PQMm7PGM
#73 [朔]
体の体温が下がり
手に嫌な汗が滲んだのが
よく分かった…。
「私のせいじゃないよね…」
顔に出さないように
心で思いながら
私にくっついて離れない
凛を見つめていた…。
:07/08/28 14:11
:PC
:PQMm7PGM
#74 [朔]
「あおちゃ…あお…ちゃん」
母さんでもなく
私から離れようとせず
ずっと泣いている
凛の肩を抱きしめ
横目で静かに見ると
"まさか…凛の代わりに
あおちゃんが死んだなんて…
それはないよね?"
:07/08/28 14:18
:PC
:PQMm7PGM
#75 [朔]
そんな怖い事を考えると
小さく身震いして
さっきよりも凛を
強い力で抱きしめる
幼くして亡くなった
あおちゃんが天国に逝ける様に
心から願いながら…。
:07/08/28 14:33
:PC
:PQMm7PGM
#76 [朔]
―その日の夜
凛の友達の話が
あまりにもショックで
自分に彼氏が出来た喜びにあ
まり浸れずにいた私の
携帯が鳴った。
RRRRR…
「中山からメール…」
:07/08/28 15:06
:PC
:PQMm7PGM
#77 [朔]
本当なら彼氏が出来た事
すごく嬉しくて家族や友達に
自慢したいはずなのに…
なぜか素直に喜べない。
「中山との事だって
夢で見たんだよね…。」
これは夢の通りになった…。
:07/08/28 15:11
:PC
:PQMm7PGM
#78 [朔]
もしも
私が夢を無視して
中山の告白を受けなかったら
どうなってたんだろう…?
代わりに誰かが中山と付き合って
私がショックを受けた…とか?
携帯を握り締めて
メールマークを開く。
"電話してもいい?"
私はすぐに中山に返事をした。
:07/08/28 15:16
:PC
:PQMm7PGM
#79 [朔]
返事を返した途端に
中山は電話をかけてきてくれて
他愛ない話で盛り上がりながら
いつもと変わらない…でも
どこかお互い照れくさいのを
隠しながら話していた。
「今度はいつ会える?」
そう言った中山の顔が
頭に浮かんで少し笑えて
嬉しかった…。
:07/08/28 16:28
:PC
:PQMm7PGM
#80 [朔]
中山が私に会いたいと
言ってくれた事も
彼女になったんだと
感じた実感も
夢の事さえなければ
きっと
もっと幸せだと思った。
:07/08/28 16:31
:PC
:PQMm7PGM
#81 [朔]
8月28日(火曜日)
今日は嫌な夢を見た。
それは覚えているのに
内容をまた覚えてはいない…。
「…また」
だるい体を起こして
枕もとの時計に目をやると
時間は朝の 6:00
:07/08/28 16:36
:PC
:PQMm7PGM
#82 [朔]
朝日は徐々に昇って
少しずつ街を明るくしていく。
「どんな夢だったかな…?」
そう漏らすともう一度
眠りに落ちた…。
―♪〜♪〜♪
「ん…」
耳元で鳴るうるさい音で
さっきと同じ目覚めは悪い…。
:07/08/28 21:53
:PC
:PPHCjL6c
#83 [朔]
「もしも…し?」
寝ぼけながら携帯を取り
電話に出ると
「おはよ!ヒロだけどー!!」
同じクラスで仲良しのヒロからの
頼んでいないモーニングコール。
「…あ…どしたの?」
寝起きでうまく話せないまま
ヒロに聞いてみると
「今さーカラオケなんだけど
七瀬も来ない??」
:07/08/28 21:57
:PC
:PPHCjL6c
#84 [朔]
…カラオケってこんな朝早くから
開いてる?
そう思いながらも
自分の部屋の時計を見れば
時間はもう午後をとっくに
過ぎていた。
「…メンバー誰?」
寝ぼけていてもちゃっかり
メンバーを聞いて中山も
行かないかな…なんて考えてる。
:07/08/28 22:00
:PC
:PPHCjL6c
#85 [朔]
「メンバーは崎浜と上田と
中山と藍とあたしの5人!!七瀬が
来れるなら6人だね!!」
…―中山も来てるんだ。
「じゃぁ…着替えたら行くね。」
そう言って電話を切って
大急ぎで用意をすると
何だか暗い凛と母さんに
行き先も告げることなく
カラオケに走った。
:07/08/28 22:03
:PC
:PPHCjL6c
#86 [朔]
皆が待っている
いつものカラオケに着くと
とりあえず中山にメールを入れた。
すると5分も経たない内に
中山が照れくさそうに
外まで出て来てくれて…
「おっす…」
まだぎこちない挨拶を
交わすと店の中に入った。
:07/08/28 22:06
:PC
:PPHCjL6c
#87 [朔]
爆音で音楽の鳴る部屋に
入ると楽しそうに上田が
身振り手振りを大げさに
歌っている。
私は中山の隣に座ると
曲目本をペラペラと捲って
"皆に付き合ってるって
言ったのかな…?"
なんて1人でドキドキしていた。
:07/08/28 22:09
:PC
:PPHCjL6c
#88 [朔]
上田の下手くそな歌を
聞いて笑っていると
ヒロが隣に座った。
「七瀬は何歌うのー??」
爆音に負けないように
私の耳元でヒロが大きな声で
聞いてくる。
「今、決めてるー!!」
そう話す私の胸についている
ネックレスを指差すと
「可愛いねー!!」
と口の動きだけで言った。
:07/08/28 22:13
:PC
:PPHCjL6c
#89 [朔]
―…えへへ
私はヒロの言葉が嬉しくて
にんまりと笑って
隣にいる中山を指差すと
「中山が買ってくれた!!」
ヒロの耳元で叫んだ。
ヒロは一瞬、動きが止まると
「…なんで??」
不思議そうに聞いてくる。
:07/08/28 22:15
:PC
:PPHCjL6c
#90 [朔]
「何でって…」
付き合い始めた事を
ヒロに言っていいのか
戸惑っていると
藍がヒロを自分の方に
手招きするとマイクを
手渡して2人で歌い始めた。
―トントン
肩を軽く叩かれて
隣を振り向くと中山が
私を見て微笑んでいた。
:07/08/28 23:08
:PC
:PQMm7PGM
#91 [朔]
「…何?」
藍とヒロの歌に
負けないように中山に
大声で尋ねると
「出よう…」
とドアを指差している。
「うん…」
中山に頷いて2人で
うるさい室内から出ていく。
:07/08/28 23:11
:PC
:PQMm7PGM
#92 [朔]
クーラーが効き過ぎている
ロビーまで降りてくると
中山は備え付けてある
ソファに腰かけると
「カラオケ苦手…」
テーブルの上に顎を置いて
目線だけ私によこすと
ぼそっと呟いた。
「実は私も…」
なんて言いながら
中山の前に腰かけた。
:07/08/28 23:17
:PC
:PQMm7PGM
#93 [朔]
テーブルに顎を置いたまま
暑そうな外を店の中から見て
「俺ん家に来ない?」
…え!!??
「俺ん家って中山の家?」
そのまんまの言葉を
中山に聞き返す。
中山は私の言葉に
「まんまじゃん。」
プッと子供みたいな顔で笑った。
:07/08/28 23:30
:PC
:PQMm7PGM
#94 [朔]
私達は他の皆に
怪しまれないように
別々で部屋に戻ると
時間差で店を出て
中山の家に向かう。
「初めてだよ…
男の子の家に行くの…。」
恥ずかしくて俯きながら
中山に伝えると
少し驚いた顔をして
「なんか意外…」
微妙な答えが返って来た。
:07/08/29 01:11
:PC
:jn5vcDT6
#95 [朔]
「どういう意味よ…!」
軽く中山の体を叩いて
手を繋いで話しながら歩く。
それから
20分ぐらい歩いた場所に
中山の家はあった…。
「ち…近いんだ…ね?」
ヤバイ…緊張してきた…
声も裏返って明らかにおかしい。
:07/08/29 01:16
:PC
:jn5vcDT6
#96 [朔]
中山は私の手を引き
家の中にスタスタと入っていく。
ガチャガチャと
硬質な音を鳴らして
鍵を開ける。
「誰もいないとか…?」
少し遠慮気味に聞く。
警戒してるとか思われるのは
何となく嫌だったから…。
:07/08/29 01:21
:PC
:jn5vcDT6
#97 [朔]
私の質問に中山は
「…いないけど?」
あっけらかんと答える。
えと…どうだろう?
警戒していないと
言えば嘘になる。
でも中山は…そんな
つもりはないから…こんなに
普通なのかも知れないし…。
:07/08/29 01:24
:PC
:jn5vcDT6
#98 [朔]
頭の中がいっぱいで
混乱してくる…。
「入らないの?」
玄関で頭を抱えて
色んな事を考えている私に
中山が変な顔で声をかけてきた。
ハッと我に返ると
「あ!!入るよ!!お邪魔します!!」
靴をかかとから揃えて
家に上がった。
:07/08/29 01:26
:PC
:jn5vcDT6
#99 [朔]
「部屋は2階だから。」
女の子を家に上げるのが
慣れているような感じで
私を案内すると
自分は飲み物を持ってくるからと
台所らしき場所に行ってしまった。
1人で初めての場所の階段を
ゆっくりとドキドキしながら上り
中山の部屋で待っていた。
:07/08/29 01:34
:PC
:jn5vcDT6
#100 [朔]
―‥中山が入って来て
かしこまって待つ私を見て
「何で緊張してんの?」
そう笑うとお茶を手渡してくれた。
「初めてだから…緊張して。」
尋常じゃないぐらいに
心臓はバクバクで手に汗を
掻きまくって本気でヤバかった。
:07/08/29 01:40
:PC
:jn5vcDT6
#101 [朔]
「緊張って…ハハ」
からかうような意地悪な顔をして
中山は徐々に私に近づいて
私は緊張で後ずさりして
中山から逃げてしまう…。
トン―・・と
背中にベッドが当たった。
:07/08/29 01:42
:PC
:jn5vcDT6
#102 [朔]
「捕まえた…」
中山の初めて見る男の顔に
思わず目をつぶった瞬間…
―…え?
"マジで…何で中岡ぁ?"
"だから…処女だからでしょ?"
"ユウトはあたしが1番でしょ?"
私の頭の中に今朝見た夢が
一気に溢れ出した。
:07/08/29 01:47
:PC
:jn5vcDT6
#103 [朔]
:07/08/29 01:49
:PC
:jn5vcDT6
#104 [朔]
:07/08/29 01:52
:PC
:jn5vcDT6
#105 [朔]
>>102何…これ?
"七瀬とはちょっとした遊びだよ"
―…ドン!!!
「やめて!!!!」
大きな声を出して
中山の体を思いっきり
突っ撥ねた。
:07/08/29 13:23
:PC
:jn5vcDT6
#106 [朔]
突然の事に中山は
目を丸くすると
「な…なに?」
戸惑いながら言った。
"何…今の…"
中山から目を逸らすと
思い出した夢を
考えていた…。
:07/08/29 14:35
:PC
:jn5vcDT6
#107 [朔]
「ご…ごめん…帰る!!」
バッグを手に取ると
急いで中山の家から出て行く。
「あ…おい!!七瀬!!?」
中山が私を
呼び止める声が聞こえても
振り向く事をせずに
蒸し暑い外へと飛び出した。
:07/08/29 14:37
:PC
:jn5vcDT6
#108 [朔]
とぼとぼと来た道を戻る…
ヒロに電話をしても
繋がらない…。
「…話しても信じて
なんかもらえないよね…。」
"夢で中山の浮気が発覚しました。
だから逃げました…"
そんな理由…誰が信じるだろ…?
:07/08/29 14:42
:PC
:jn5vcDT6
#109 [朔]
例えば
私に誰かがそんな話を
しても私は
きっと信じたりはしないと思う。
「…夢なのは分かってる。」
たかが夢でしょ?
そう言われてしまえば
それまでの話なのに…。
:07/08/29 14:43
:PC
:jn5vcDT6
#110 [朔]
何だか馬鹿らしくなって
笑いがこみ上げた…。
「あはは…しょうもなー…」
初めて出来た彼氏とは
もう終わりかも知れない…。
「もう…やだぁ…。」
今度は泣けてきて
小さな声で泣いた。
:07/08/29 14:46
:PC
:jn5vcDT6
#111 [朔]
「…」
後ろを振り向いても
中山は追っても来ない…。
「ハァ…」
大きなため息をついて
俯き歩き出した。
その時
RRRR…
:07/08/29 16:59
:PC
:jn5vcDT6
#112 [朔]
バッグから携帯を
取り出すと
着信が誰からなのかを
確かめる事もせずに
通話ボタンを押す。
「もーしもーし…?」
「…七瀬?」
ヒロだった。
:07/08/29 17:00
:PC
:jn5vcDT6
#113 [朔]
「あー…うん。」
いかにもやる気のない声で
電話に出ると返事する。
「ごめん、電話に
気が付かなかった。」
「…大丈夫。」
本当は
大丈夫なんかじゃない。
:07/08/29 17:02
:PC
:jn5vcDT6
#114 [朔]
「あのさ…七瀬
今まで誰といたの?」
ヒロは遠慮がちに聞く。
「…中山といた。」
私の返事にヒロは
黙ってしまった。
「…?何?」
何を黙ってしまう事が
あるんだろ…。
:07/08/29 17:04
:PC
:jn5vcDT6
#115 [朔]
私が聞きなおす…。
「中山って藍と
付き合ってるよ…?」
ヒロの遠慮がちな
苦笑いしてる顔が思い浮かぶ。
「…え?」
…夢の中で見た
中山の話し相手は"藍"
:07/08/29 17:07
:PC
:jn5vcDT6
#116 [朔]
「う…嘘?だって…」
昨日デートして
ネックレスもくれて
告白だって中山からして来た。
「嘘じゃないよ…七瀬さ
中山と藍には関わらない方が
いいと思うよ…?」
ヒロは優しくて
友達想いで自分の感情だけで
こんな事言うような子じゃない…。
:07/08/29 17:12
:PC
:jn5vcDT6
#117 [朔]
きっと本当に
関わらない方がいいんだと思う。
実際、学校でも
ヒロは私といつもいて
藍とはあんまり話したりしない。
「…関わらない方が
いいのは何で…?」
私の質問にヒロは
間を置くと
「あの2人が付き合ってるの
知ってる人は少ないと思うけど…
あんまりいい噂聞かないし…」
:07/08/29 17:18
:PC
:jn5vcDT6
#118 [朔]
「そうなんだ…」
何でヒロは知ってるんだろ…?
「こんな事いうの酷いかも
知れないけど…あの2人には
関わって欲しくない…。」
ヒロの真剣な声に
私も落ち着きを取り戻すと
「…うん、教えてくれて
ありがと…。」
:07/08/29 17:22
:PC
:jn5vcDT6
#119 [朔]
もしも
夢を見ないで
中山に体を任せていたら
今よりももっと
傷ついていたかも知れない…。
もしもなんて言葉は
馬鹿げているかも知れないけれど
私は自分の心の傷を
少しでも癒そうと
そんな事を考えていた…。
:07/08/29 19:15
:PC
:jn5vcDT6
#120 [朔]
ヒロと電話で
他愛ない話をしながら
歩いて自分の家に帰る。
その間にも
中山からのキャッチは
何度もかかっていた。
でも私は気にしながらも
電話に出ることはなく
私はヒロと話しながら
中山との付き合いを
断る為の言葉を探していた。
:07/08/29 19:47
:PC
:jn5vcDT6
#121 [朔]
―‥家に着いた事を
ヒロに告げて電話を切る。
その途端
中山に指定していた着信音が
大きな音で鳴った。
「…はい。」
昨日までの明るい声は
今の私にはない。
「あ…七瀬…?」
しらじらしく低い
落ち込んだ声で中山が言う。
:07/08/29 19:49
:PC
:jn5vcDT6
#122 [朔]
「うん…何?」
私も嫌な奴だなぁなんて
自分の事を思いながら
冷めた声で返事をする。
「今…どこ?てかさ…
何でいきなり帰るんだよ?」
中山の言葉に
わざとらしく大きなため息をついた。
:07/08/29 19:52
:PC
:jn5vcDT6
#123 [朔]
そして
「彼女に悪いでしょ?」
思いっきり嫌味を言うと
もう1度、ため息をついて黙る。
「…彼女って…お前だろ?」
…こいつはヌケヌケと。
「彼女は2人もいらないよ?
藍だけで充分でしょ?」
:07/08/29 19:54
:PC
:jn5vcDT6
#124 [朔]
これ程までの嫌味を
誰かに言ったのは初めてだ…。
私の言葉に
「藍…て何で…知って…あ!!」
…こいつ…墓穴を…。
「ネックレスも学校が
始まったら返す!!!
じゃぁーね!!!!!」
そう馬鹿な中山に
別れを告げて電話を切った。
:07/08/29 22:34
:PC
:jn5vcDT6
#125 [朔]
「あー!!!せーせーした!!!!」
大きな声で1人叫ぶと
玄関のドアに手を伸ばし
携帯を力いっぱい閉じ
ドアを開けて中に入る。
「ただいま…」
私の声に母さんが
リビングから出て来ると
「大きな声で何言ってるの?」
呆れた顔で言う。
:07/08/30 01:40
:PC
:UAfIJH26
#126 [朔]
「別に…」
靴を乱暴に脱いで
階段を駆け上がり自分の
部屋に戻った。
―‥バタン!!
ドアを閉めると
バッグをベッドに投げつける。
「ハァァ…」
力ない声を出して
ドアにもたれかかると
その場にしゃがみ込んだ。
:07/08/30 01:43
:PC
:UAfIJH26
#127 [朔]
それから1週間…
―‥夏休みが終わり
新学期が始まった。
9月4日(火曜日)
「おはよー」
「だるいねー…」
夏休みボケで皆のダルそうな
声が教室に飛び交う。
:07/08/30 01:50
:PC
:UAfIJH26
#128 [朔]
私も眠い目をこすり
教室に入ると
窓際で眠気を誘う机に
カバンを置くと
雑誌をめくるヒロに近づく。
「おはよ。」
私の声にヒロも眠そうな
顔を私の方に向けると
「おはよー」
いつも通りに返事をした。
:07/08/30 01:58
:PC
:UAfIJH26
#129 [朔]
中山とは
あの事があってから
1度も話をしていないし
目さえも合わない。
中山の彼女である藍も
私に話しかけようとしない…
けど別に困りはしないし辛くもない。
返せていないネックレスを
未だに持っているのが嫌だけど。
:07/08/30 02:25
:PC
:UAfIJH26
#130 [朔]
―‥あと私はおかしな夢を
全く見なくなった
それは
中山との事があった日から。
原因が何かはわからない…
不思議とよく眠れる訳でもない。
「何だったんだろ…。」
雑誌がパラパラと
捲られていくのをボーっと
見つめながら呟いた。
:07/08/30 02:29
:PC
:UAfIJH26
#131 [朔]
「何?何か言った?」
私の独り言にヒロが
返事をした。
「…何でもない。」
ヒロは私の言葉に
"ふーん"と返事をすると
また雑誌に視線を落とし
黙々と読み始めた。
:07/08/30 17:47
:PC
:UAfIJH26
#132 [朔]
2人で雑誌を見ていると
私達の机のそばに
誰かが立つ気配がした。
「…?」
私とヒロが同時に顔を上げる。
「中山…」
ヒロではなく私のみを
上から見下ろす中山がいる。
:07/08/30 17:50
:PC
:UAfIJH26
#133 [朔]
ヒロは雑誌をめくる手を止め
私の方を心配そうに見ている。
「ちょっといい?」
中山が遠慮がちに聞く。
"今さら何の話だよ…"
ハァとため息をつくと
ヒロに笑顔を向けて
「ちょっと行って来る。」
:07/08/30 17:52
:PC
:UAfIJH26
#134 [朔]
中山の後に着いて
教室を出て行った。
―‥気まずい沈黙のまま
私達は廊下の奥に進んで行く。
「中山…何か話でもあるの?」
不機嫌な声で中山に声をかけて
スカートのポケットに
入れたままにしていた
ネックレスを握った。
:07/08/30 18:49
:PC
:UAfIJH26
#135 [朔]
中山は窓際の
壁にもたれかかると
下に落としていた視線を
私の方に戻すと
「…なんか悪かったなって
思ってな…。」
―…。
「別に…もういいから。
あと…これ返すね…」
握ったままの手を
中山の方に差し出す。
:07/08/30 20:19
:PC
:UAfIJH26
#136 [朔]
中山は不思議そうな顔で
戸惑いながらも
私の手の下に置くと
手を広げた。
―シャララ
きれいな音を鳴らして
中山の大きな掌へ
ネックレスを置く。
:07/08/30 20:46
:PC
:UAfIJH26
#137 [朔]
「これ…」
ネックレスのチェーンを
持ち上げて窓から差し込む
光に照らす。
「…藍にあげれば?」
それだけ言うと
私は中山の方を見る事なく
足早に教室に戻った。
:07/08/30 20:49
:PC
:UAfIJH26
#138 [朔]
胸が痛くないといえば…
それは嘘になる。
中山の事実を知らなければ
まだ好きでいたかも知れないんだし…。
「夢に感謝するべき…かな…」
なんて言いながら
教室に入るとヒロが
安心したような顔で笑った…。
:07/08/30 22:16
:PC
:UAfIJH26
#139 [朔]
それから
1限目の授業が始まり
黒板の内容を
ノートに書き写す私に
強烈な睡魔が襲って来た。
―‥‥
「七瀬…すごい寝てる…」
ガタンと体が揺れて
目を開けると…
:07/08/30 23:16
:PC
:UAfIJH26
#140 [朔]
私の前にヒロが座って
こっちを見て笑っている。
「…授業は?」
寝ぼけてヒロに聞くと
呆れた顔して
「終わってるよ…てか
よく寝てたね…?」
―…そんな寝てたっけ?
:07/08/30 23:19
:PC
:UAfIJH26
#141 [朔]
「あー…」
頭を抱えて唸る。
まただ…夢の内容が
ぷっつりと途切れてる…。
「どしたの?調子悪い??」
様子のおかしい私に
ヒロが困ったように聞いた。
:07/08/30 23:21
:PC
:UAfIJH26
#142 [朔]
「あ…ううん…大丈夫…
ちょっと…トイレ…」
ヒロにそう伝えて
ふらふらと
定まらない足取りで
トイレに向かう。
気分が悪い…
今にも吐きそうで
トイレに向かって小走りする。
:07/08/30 23:25
:PC
:UAfIJH26
#143 [朔]
その時
私がトイレに入ろうとするのと
出て行こうとした人がぶつかった。
「あ…ごめん…」
なぜかはわからない…
今、ぶつかった人と
思いっきり目が合ってしまった。
:07/08/30 23:28
:PC
:UAfIJH26
#144 [朔]
それは同じクラスの…
滝 柚亜
クラスに未だに
馴染めていない…
(ように見える人…)
「何だろ…」
横目で彼女を見送ると
私は個室に入り
胃の中身をキレイに
吐いてしまった。
:07/08/30 23:33
:PC
:UAfIJH26
#145 [朔]
「ゲホ…おえ…」
…調子悪かったのかな?
便器を抱えて座り込む
私に聞こえるノックの音…。
―コンコン
無言のままドアをノックして
入っている事を知らせる。
:07/08/30 23:36
:PC
:UAfIJH26
#146 [朔]
―コンコン
"誰だよ…入ってるって
合図したじゃん…"
それでもノックする
ドアの向こうに立っている人に
聞こえるように
大きくため息をついた。
その時
「中岡さん…大丈夫?」
:07/08/30 23:40
:PC
:UAfIJH26
#147 [朔]
静かな落ち着いた声…
誰だろ…
ヒロの声じゃないよね?
「えっと…大丈夫…」
ゆっくりと立ち上がり
ドアをそっと開ける。
そこには、滝さんが居た。
:07/08/30 23:42
:PC
:UAfIJH26
#148 [朔]
「滝さん…だったんだ…。」
彼女とは初めて話す。
私の戸惑いを含んだ言葉に
彼女は少し微笑むと
「何か調子悪そうだったし。」
私にハンカチを差し出した。
:07/08/31 00:15
:PC
:4usHpJ8g
#149 [朔]
洗面台の前に立ち
水道で口をゆすいで
鏡に映る滝さんに
「…よくわかったね?
私が調子悪いって…」
そう言った私の言葉に
「さっき…見たから…」
意味深な言葉を残して
トイレから出て行ってしまった。
:07/08/31 00:24
:PC
:4usHpJ8g
#150 [朔]
「見たって…何を?」
後ろを振り返ると
とっくに教室に戻っている
彼女に聞こえない質問をした。
:07/08/31 00:40
:PC
:4usHpJ8g
#151 [朔]
―‥2限目が始まり
まだムカムカする胃を
押さえながら教室に戻った途端
チャイムが鳴った。
2限目は数学
また寝ちゃうかも…なんて
考えていると後ろの席の子に
背中をつつかれて振り返る。
:07/08/31 00:44
:PC
:4usHpJ8g
#152 [朔]
「これ…ヒロから…」
先生に聞こえないように
小さく折りたたんだ手紙を
そっと手渡してくれた。
前の席の子の背中で
分からない様に手紙を広げて
ヒロからの手紙を見る。
中身を読まなくても
大体、内容は分かってるけど…。
:07/08/31 00:47
:PC
:4usHpJ8g
#153 [朔]
「…」
やっぱり私の体調を
心配してくれてる手紙…。
私はヒロの方を振り向くと
親指を立てて
少し古いジェスチャーで
大丈夫という事を伝えた。
その時
ちょうど滝さんとも
目が合って軽く会釈した。
:07/08/31 01:34
:PC
:4usHpJ8g
#154 [朔]
滝さんは私の会釈に
優しく微笑んでくれた。
"私…滝さんを
誤解してたかも…"
ちょっと親切にされたからって
私も調子のいい奴だな…
なんて考えながら
今度は真面目に授業を受けた。
:07/08/31 16:13
:PC
:4usHpJ8g
#155 [朔]
それから
2、3、4限目が
ようやく終わって
お弁当の時間…
「ねぇ…さっき…
滝さんと何かあった?」
ソーセージをほうばる私に
ヒロが怪訝な顔で聞いた。
:07/08/31 16:19
:PC
:4usHpJ8g
#156 [朔]
「何って…別にないけど。
さっきは何も言わなかったのに
どうしたの…いきなり…」
私の言葉にヒロは
顔を赤くして俯いた。
「ちょっとだけ気になって…」
ヒロがこんな事言うのは
珍しい…。
:07/08/31 16:22
:PC
:4usHpJ8g
#157 [朔]
「トイレで吐いちゃった私に
滝さんがなぜか…気付いてハンカチ
貸してくれただけだよ?」
本当に不思議だった…
私とトイレの入り口で
すれ違っただけで…
私の体調が悪いって気付いたなんて。
:07/08/31 16:24
:PC
:4usHpJ8g
#158 [朔]
「そう…なんだ…」
ヒロは曖昧な顔で返事をして
黙々とお弁当を食べ始める。
「…?」
ヒロの態度が気になったものの
特に深く追求することなく
私も残りのお弁当を食べた。
:07/08/31 18:53
:PC
:qkEg9TSM
#159 [朔]
お弁当を食べ終わって
私とヒロはいつものように
雑誌を広げて盛り上がっていた。
「これならピンクでしょー!」
「この服が男にうけるのー!!」
とか…
高すぎて手が出せそうにない
流行の服で話すのが楽しいだけ。
:07/08/31 18:56
:PC
:qkEg9TSM
#160 [朔]
そんなくだらなくも
楽しい話をしている時にも
私は滝さんを目で追ってしまう。
「…」
滝さんはいつも1人で休み時間も
お弁当の時間も過ごしている。
別に嫌われている訳でも
いじめられている訳でもないのに…。
:07/08/31 18:59
:PC
:qkEg9TSM
#161 [朔]
「七瀬…滝さんが気になる?」
ヒロが首を傾げて
私の顔を覗き込む。
「うーん…気になるっていうか
何でいつも1人なのかなぁって
思ったんだよねぇ…。」
私が言った言葉にヒロも
窓際の席で1人本を読む
滝さんに視線をやる。
:07/08/31 19:03
:PC
:qkEg9TSM
#162 [朔]
「確かに…1人だよね?」
聞こえるか聞こえないかの
声のボリュームでヒロが言った。
それに返事をするように
「滝は1人が好きなんだって!」
声が聞こえた方へ2人で
顔を上げるとそこには
クラスメイトの菜穂が立っている。
:07/08/31 19:06
:PC
:qkEg9TSM
#163 [朔]
「菜穂…」
菜穂は私とヒロの間に
椅子を持って来て座ると
「これ今月号でしょ?
一緒に見てもいい!!??」
菜穂はいつも騒がしくて
ちょっと苦手…だけど
ヒロと苦笑いで顔を見合わせ
3人で雑誌を見る事にした。
:07/08/31 19:09
:PC
:qkEg9TSM
#164 [朔]
ペラペラと雑誌を捲りながら
3人で話していると
菜穂が何をきっかけに
思い出したのか…
「あ…ねぇ…最近さ…
通り魔がここらへんに
出没してるらしいよ…」
菜穂が眉をしかめて言う。
:07/08/31 19:12
:PC
:qkEg9TSM
#165 [朔]
「通り魔…?」
菜穂の言葉に
私はゴクっと喉を鳴らした。
「あぁ…新聞に載ってたかも」
ヒロが思い出したように言った。
菜穂は少し楽しそうに
興奮した感じで
「被害者は女ばっかりで
時間は18時から21時が
出没率が高いらしいよ」
:07/08/31 19:15
:PC
:qkEg9TSM
#166 [朔]
…菜穂は何が嬉しいのか
不謹慎にテンションが高い。
「怖…捕まってないんだ…」
自分の両手で肩を
包み込んで震えるふりをした私に
「七瀬は…塾とか行ってないし
この時間は大丈夫じゃない?」
ヒロが優しく微笑み言った。
:07/08/31 19:19
:PC
:qkEg9TSM
#167 [朔]
…確かに出不精だし
夕方とか夜はあまり出歩かない。
「そういや…そうだね!」
アハハとヒロと2人で笑い合う。
「私…塾に行ってるけど
大丈夫だろうけどねー!!
いざとなったら叫ぶし!!!」
ガハハと大きな声で
菜穂が笑って見せた。
:07/08/31 19:22
:PC
:qkEg9TSM
#168 [朔]
私とヒロも菜穂につられて
笑っていると
"キャ…ヤダ…!!!"
"来ない…で…よ!!誰か!!"
"…あ…嘘…でしょ…"
さっき見た夢の映像が
また突然、途切れて頭の中に流れた。
:07/08/31 19:25
:PC
:qkEg9TSM
#169 [朔]
…―ガタ
椅子から落ちそうになって
思わず机を掴み体を支える。
「ど…したの?」
目を丸くしてヒロと
菜穂が聞いてきた。
…何よ…これ…
頭の中に見えた映像は
ノイズが混じり
はっきりとは分からなかった…
:07/08/31 19:29
:PC
:qkEg9TSM
#170 [朔]
「…あ…のね…」
不思議そうな顔で
私を見る2人に
今、自分に起きた事を
話そうとした時…
「中岡さん…」
滝さんが私の名前を
突然、呼んだ。
:07/08/31 19:36
:PC
:qkEg9TSM
#171 [朔]
「滝さん…どしたの?」
私を見つめる滝さんは
悲しそうな顔をしている。
「ちょっと…いい?」
ヒロと菜穂は顔を見合わせ
2人で同時に私を見た。
「あ…うん…いいけど…」
今日はやたらと人に
呼び出される日だななんて
考えながら滝さんに着いて行く。
:07/08/31 19:39
:PC
:qkEg9TSM
#172 [朔]
ヒロと菜穂の視線を感じながら
教室の外に出ると
滝さんは険しい表情のまま
窓の外を指差すと
「屋上行かない?」
「…うん」
滝さんの言葉にただ
従って屋上へと向かう…。
:07/08/31 23:05
:PC
:qkEg9TSM
#173 [朔]
2人で屋上への階段を上り
錆び付いた扉を開けて
蒸し暑い外の空気を吸う。
「何か…私に用事?」
とりあえず昼休みも
そんなに長くはないから
私から話を切り出してみる。
「…」
沈黙のまま奥へと歩いていく。
:07/08/31 23:08
:PC
:qkEg9TSM
#174 [朔]
手すりの近くまで来ると
彼女は私を振り向き
「中岡さんも…ドリーマー
なんでしょ?」
…―ヘ?ドリ…マ…?
「ドリーマーって何??」
滝さんの意味不明な言葉に
私はポカンと口を開ける。
:07/09/01 01:02
:PC
:U6E0oiUc
#175 [朔]
滝さんは私の質問に
少し困った顔をすると
「夢を渡り歩く人…」
―‥更に意味不明
「夢を…渡り歩く…?
滝さん…何言ってるの?」
おかしな夢は見ている…
それは事実。
だけど夢は夢でしょ?
:07/09/01 01:04
:PC
:U6E0oiUc
#176 [朔]
状況と滝さんの言葉を
理解できない私は
強く吹きつける風に
たなびく彼女の長い髪を見ていた。
「さっき…トイレで吐いてた
でしょ?」
滝さんの言葉は続く…
「あぁ…うん…」
:07/09/01 01:07
:PC
:U6E0oiUc
#177 [朔]
「あれもね…夢で知ったの…
同じクラスのドリーマーの
体調が悪いって…」
―……へぇ
「そうなんだー!!」
とりあえず棒読みでも
何でも話を合わせておかないと
後々、痛い目に合わされるかも…。
:07/09/01 01:10
:PC
:U6E0oiUc
#178 [朔]
私の心のこもらない言葉に
滝さんは目を伏せると
「こんな話を信じろって言う方が
無理よね…ごめん…」
悲しそうに謝ってくる。
…信じないっていうか
突然すぎる話に頭がついていかない
っていうか…
困惑する私に滝さんは
「さっき中岡さんが見た夢…
あれは…2人には黙っておいた
方がいいと思う…」
:07/09/01 01:14
:PC
:U6E0oiUc
#179 [朔]
「どうして?」
私の言葉に滝さんは
手すりの剥げている部分の
錆をガリガリと爪でこすると
「夢は例え、回避しても
別の形で必ず現実となる…から…」
それって…つまり
「中岡さんが見た夢は通り魔の
夢…2人のどちらかが襲われるわ…
それを回避しても別の犠牲者が出る。」
:07/09/01 01:25
:PC
:U6E0oiUc
#180 [朔]
滝さんの淡々と話す言葉に
私は寒気さえ覚える…
「…そんなやめてよ…
縁起でもない…」
私は疲れていて少し
後味の悪い夢を見ているだけ…。
そう思いたい。
だってそうじゃなきゃ
中山の事も凛の友達の事も…
つじつまが合ってしまうから…。
:07/09/01 01:28
:PC
:U6E0oiUc
#181 [朔]
「夢で終わらせるなら
それでいいと思う…誰かが
傷つくのは絶対だから…」
冷めた瞳で私を見つめ
それだけ伝えると
滝さんはさっさと屋上から
出て行ってしまった。
「そんな…傷つくなんて
どうして…」
私は滝さんの言葉を
信じていいのかわからないまま
自分も教室に戻った。
:07/09/01 01:32
:PC
:U6E0oiUc
#182 [朔]
教室に着くと
ちょうどチャイムが鳴り
先生が教室に入って来た。
「ヒロ…気にしてるよね…」
チラッと肩越しにヒロを
振り向いてみると
頬を膨らませて
私をじっと見ている。
"やっぱり…"
今度は私がヒロに手紙を書く。
:07/09/01 01:41
:PC
:U6E0oiUc
#183 [朔]
「ごめん…ヒロに渡して…」
先生に見られないように
ヒロに手紙を回してもらい
ノートを広げて書くのは
黒板の字ではなくて
滝さんの言葉だった…。
『ドリーマー 夢を渡り歩く????
意味不明 滝さん 通り魔』
それこそ意味不明な私にしか
わからない言葉がノートを埋めていく。
:07/09/01 01:44
:PC
:U6E0oiUc
#184 [朔]
さっきの言葉を信じるべきか
それとも
ヒロ達に話して
一緒に笑い話にするべきか…
"うぅー!!!"
ノートにグルグルと円を
書きなぐり頭を抱えた…。
:07/09/01 01:47
:PC
:U6E0oiUc
#185 [朔]
少しして背中をつつかれて
ヒロからの手紙が回って来た。
内容はあっけなく
『滝さんと何話してたの??
菜穂と2人にしないでよ!』
―…そうだった…ヒロは
菜穂が私以上に苦手だったんだ。
「何の話って…言われても…」
もしも…何も起こらなければ
それはそれでいい事だけど…
:07/09/01 01:52
:PC
:U6E0oiUc
#186 [朔]
本当に滝さんの言葉通りに
通り魔にヒロと菜穂の
どちらかが襲われてしまったら…
夢を見て知らん顔した私が
一番…ひどい人間になって
しまうんじゃないかって考える。
"いずれは現実になる…"
その言葉も滝さんの話も
信じたくはなかった。
:07/09/01 01:57
:PC
:U6E0oiUc
#187 [朔]
とりあえず
ヒロにした返事は
『体の調子を聞いてくれただけ…』
夢の話はやっぱり言えなかった。
私はもう1度だけ滝さんと
ちゃんと話そうと決めると
彼女にも手紙を書いた。
:07/09/01 02:03
:PC
:U6E0oiUc
#188 [朔]
―…HRも終わり
みんなそそくさと帰っていく中
私はヒロに用事があると伝えて
誰もいない教室で1人滝さんを待つ。
教壇に立って黒板に
思いついた言葉を書いていると
「何の呪文…?」
背後から滝さんの声が聞こえた。
:07/09/01 02:38
:PC
:U6E0oiUc
#189 [朔]
黒板に書いた文字が
何だか恥ずかしくなって
すかさず消すと滝さんと向き合う。
「あの…さ…」
私の質問が分かっているのか
滝さんはどうぞと言わんばかりに
私に掌を差し出してきた。
「滝さんの話を…信用しても
いいのかなって…私が見た通り魔の
夢の話…本当なの?」
:07/09/01 02:45
:PC
:U6E0oiUc
#190 [朔]
彼女はハァと小さく息を漏らすと
「2〜3日待てばきっと私の
話が嘘じゃないって証明されるはずよ?」
「…それって被害者が出れば
分かるって事…?」
彼女の軽率な言葉に
私を怒りを込めて聞いた。
睨む私を無表情で見つめ
「それが一番…てっとり早いでしょ?」
また冷たい言葉を吐いた。
:07/09/01 17:31
:PC
:U6E0oiUc
#191 [朔]
私は握った拳に力を込め
「…それじゃ遅すぎる!!
誰かが傷つくと分かっているのに
ただ見てるだけなんて…」
知らない間に溢れた涙が
頬に伝い流れる…。
「中岡さん…彼から
一度…忠告を受けたはずよね?」
そばにあった机に
腰をかけながら彼女が聞いた。
:07/09/01 17:36
:PC
:U6E0oiUc
#192 [朔]
―‥‥忠告?
「何…それ?知らない…」
首を横にふり否定する。
「覚えてないってわけね…
まぁいいわ…いずれ彼とは
また会う事になるでしょ?」
話が全く見えないまま
彼女は1人呟くと
「1つだけ夢を回避する方法が
あるわよ…」
腕を組み彼女が言う。
:07/09/01 17:39
:PC
:U6E0oiUc
#193 [朔]
「教えて!!どうするの?!」
彼女に近づき
その方法を聞いてみる…。
伏せていた目をゆっくりと
開き私を見つめて
「私か中岡さんが被害者に
なれば他の誰かが傷つく事は
回避出来る…」
―…え?
彼女の言葉に冷たい汗が
背中に伝った気がした。
:07/09/01 17:45
:PC
:U6E0oiUc
#194 [朔]
動きの止まった私に
「それしかないわ…
どうする?」
どうするって…言われても
誰も傷つかない方法って訳じゃない。
私か…滝さんのどちらかが
傷を負う事になってしまう…。
「死なないよね…?」
恐る恐る彼女に聞く。
:07/09/01 17:50
:PC
:U6E0oiUc
#195 [朔]
「それはわからない…
死なないなんて保障はどこにも
ないわ…」
さっきと変わらずに
淡々と恐ろしい事を話す。
「…わかった。」
彼女は私の言葉に焦りを
見せるように顔を上げる。
:07/09/01 17:57
:PC
:U6E0oiUc
#196 [朔]
「じゃ…」
彼女の目を
真っ直ぐに見つめると
「私が被害者になる…」
誰かが傷つくのを
見ているなんて出来ない…。
それなら
いっそ私が通り魔と向き合って
どうにか怪我を回避できれば…。
:07/09/01 17:59
:PC
:U6E0oiUc
#197 [朔]
「本当にいいのね?」
滝さんが見せる戸惑いの言葉に
私は迷う事無く強い眼差しで頷いた。
―‥きっと大丈夫
そんな根拠のない自信を胸に
私達は夢で見た場所に向かった。
:07/09/01 18:02
:PC
:U6E0oiUc
#198 [朔]
――その場所は
意外に学校から近く
歩いて30分もかからなかった。
「ここ…?」
辺りはまだ暗くもなく
人が全くいない訳じゃない。
滝さんは何かを考えるように
スタスタと1人歩いていくと
道の端っこを指差した。
:07/09/01 18:06
:PC
:U6E0oiUc
#199 [朔]
「…ここで斬りつけられて
倒れてた映像が見えた」
その場所に大きく円を
描くようなそぶりを見せ言った。
「ここ…」
私が見えたのは場所や
人じゃなくて
誰かに襲われている時の
情景そのもので…。
:07/09/01 18:09
:PC
:U6E0oiUc
#200 [朔]
「…でもどうして…滝さんは
ヒロか菜穂が襲われるって
分かったの?」
…ふいに浮かんだ疑問
「…それは言えない。」
彼女は口をつぐみながら
眉をしかめて黙ってしまった。
「…そっか」
よほど言いたくないのか
彼女は目を伏せて黙った。
:07/09/01 18:12
:PC
:U6E0oiUc
#201 [朔]
―‥‥気まずい空気が流れる
私達は夢で見た現場を
ウロウロと探索していた。
私が通り魔に襲われるのは
確定していて…
逃げれば他の誰かが襲われるなんて
本当に逃げ道のない最悪な出来事
そんな言いようのない恐怖心が
胸の中を埋め尽くしている。
:07/09/01 18:18
:PC
:U6E0oiUc
#202 [我輩は匿名である]
:07/09/01 18:22
:P903i
:V1FFM6Bk
#203 [朔]
私の震える手を
彼女は優しく握ると
「…今日は現れないかも」
物陰に隠れて辺りを見回すと
彼女が小さな声で呟いた。
「…分かるの?」
声なく頷くと私を
柔らかな笑顔で見つめて
「夢で見た時間は
もう少し明るかったし
雨が…降り始めてた…」
―…雨?
:07/09/01 18:23
:PC
:U6E0oiUc
#204 [朔]
>>202我輩は〜さん>アンカー感謝します(^-^)
:07/09/01 18:24
:PC
:U6E0oiUc
#205 [朔]
>>203彼女の言葉に空を見上げると
オレンジ色と紫色が入り混じった
雲ひとつない天気で…
「雨は降りそうにないね…」
私の言葉に彼女は腰を上げて
お尻についた泥を払い落とすと
「…明日か明後日ね。」
そう言って約束らしき事を
言うとあっけなく帰ってしまった。
:07/09/01 18:29
:PC
:U6E0oiUc
#206 [なつ]
:07/09/01 21:24
:F703i
:LNr6Zr9o
#207 [朔]
>>206なつさん>レス有り難うございます(^∇^)
更新頑張るのでお付き合いお願いします!
>>205‥―私もあの後すぐ家に帰って
いつも通りの家族との団欒
もしかすると
近い内に怪我をして
家族に迷惑をかけてしまうかも
なんて考えると
ささいな会話さえも大事になる…。
:07/09/01 22:09
:PC
:NT/WIDOk
#208 [朔]
私はとんでもない作戦を
立ててしまったんだと
改めて後悔してしまった…。
「お姉ちゃん…どしたの?」
箸がすすまない私を凛が
心配そうな顔で見つめる。
「…何でもない」
凛に曖昧な笑顔を返すと
ほとんど食べられなかった
夕飯を後に自分の部屋に戻った。
:07/09/01 22:19
:PC
:NT/WIDOk
#209 [朔]
階段を上る足取りも重い…
「…ハァ」
肩をがっくりと落とし
大きなため息をつくと
ベッドに体を
投げ出して寝転がる。
「…夢なんて所詮は夢でしか
ないと思っていたのに」
こんな事になるなんて
思いも寄らなかった。
:07/09/01 22:22
:PC
:NT/WIDOk
#210 [朔]
見慣れた天井を見つめ
明日の事を考えながら
私はまた眠りに落ちていた。
‥―きっと私は今日も夢を渡り歩く
見てはいけない未来の扉を開く為に…
:07/09/01 22:26
:PC
:NT/WIDOk
#211 [朔]
:07/09/01 22:27
:PC
:NT/WIDOk
#212 [朔]
9月5日(水曜日)
「七瀬!!遅刻するわよ!!
起きなさい!!」
―‥‥あれ…いつの間にか
寝ちゃってたんだ?
母さんの声に目が覚める。
「ほら…遅刻しても
知らないわよ!!」
カーテンからの光が眩しくて
目を細める。
:07/09/01 23:04
:PC
:NT/WIDOk
#213 [朔]
「はぁい…」
ダルイ体を起こし
両手でこめかみを押さえて
眠い目をゆっくりと開ける。
夢を見ているせいなのか…
どんなに眠っても
眠った気になれず
頭はボーっとしている…。
:07/09/01 23:33
:PC
:NT/WIDOk
#214 [朔]
顔を洗い目を覚まさせると
学校へと向かう準備をして
リビングへと降りていく。
大きなあくびをする私に
「おはよう!」
凛が爽やかに挨拶する。
「…おはよ」
凛にダルそうな声で
返事をした時…
:07/09/01 23:52
:PC
:NT/WIDOk
#215 [朔]
"凛ちゃん…!!"
"バスケットゴールが
錆びついていて…"
「……!!!」
さっき見た夢が頭の中に
映像となって流れていく…
だけど
"夢は例え、回避しても
別の形で必ず現実となる"
:07/09/02 00:01
:PC
:fQxO.6Yo
#216 [朔]
滝さんの言葉が頭を
掠めていく。
でも無視は出来ない…
妹が大怪我をするかも知れない。
そう思うと
滝さんの言葉は何の意味も
持たなかった…。
:07/09/02 00:07
:PC
:fQxO.6Yo
#217 [朔]
「凛…あんた体育とか
今日あるの?」
私の突拍子のない質問に
凛は目を丸くして
「あるけど…それが何?」
「バスケとかじゃないよね?」
言葉を続ける私に
凛は更にきょとんとする。
:07/09/02 00:51
:PC
:fQxO.6Yo
#218 [朔]
「…バスケだよ?」
…やっぱり
「いい?体育は休みなさい!
絶対よ…約束ね!!」
凛が素直に私の言葉を
飲み込むとは思えない…。
「意味わかんない…ママ
学校行って来るね?」
私を横目で見ると
凛は玄関から出て行ってしまった。
:07/09/02 00:55
:PC
:fQxO.6Yo
#219 [朔]
「…凛」
私は両手で自分の体を
ギュウと抱きしめると
ゆっくりと閉まる玄関の
扉を見つめて凛の名前を呟いた。
"何もなきゃいいけど…"
凛が怪我を回避しても
きっと誰かは怪我をする…
その事実に胸が痛んだ。
:07/09/02 00:59
:PC
:fQxO.6Yo
#220 [朔]
凛が学校に出て行って
すぐに私も学校に向かう。
―あぁぁ…ダルイ
朝から何度目だろう
この台詞…
蒸し暑い中でバスを待つのは
寝不足の体にはキツくて
停留所の柱にもたれかかり
バスを待つ私の肩をポンと誰かが叩いた。
:07/09/02 01:10
:PC
:fQxO.6Yo
#221 [朔]
「…ん?」
気配のする方へと
振り向くとそこには
滝さんが微笑んでいた。
「おはよう…このバスは
1本遅らせた方がいいわよ。」
「…え?」
彼女の言葉の意味を
私はすぐ後に思い知る事になった。
:07/09/02 01:13
:PC
:fQxO.6Yo
#222 [朔]
バスが到着して…
乗り込もうとする私の手を
滝さんは引っ張ると
無言のまま険しい顔で
顔を横に振った。
「遅刻する…よ?」
備え付けのベンチに座り
携帯をいじり始める滝さんの
隣に仕方がなく座る。
:07/09/02 01:16
:PC
:fQxO.6Yo
#223 [朔]
バスは私と滝さんを
停留所に残したまま
発車してしまった…
私は何も言わない滝さんと
小さくなって行くバスを見て
次のバスの時間を調べる。
「ハァ…遅刻だね?」
隣に座った私の言葉に
「痛い目見るよりマシでしょ?」
:07/09/02 01:19
:PC
:fQxO.6Yo
#224 [朔]
そんな言葉を呟いて
また携帯をいじり始める。
「…痛い目って…まさか
あのバス…?」
「事故するのよ…大した
事故じゃないけどね…」
―…ちょっと待ってよ
「私に言ってる事と滝さんが
やってる事が違うんじゃない?」
:07/09/02 01:22
:PC
:fQxO.6Yo
#225 [朔]
ベンチから立ち上がり
滝さんをきつい言い方で責める。
「…どうして?」
私を下から睨むと
滝さんも冷たい口調で聞いた。
「回避すれば別の形で現実に
なってしまう…大した事故じゃないなら
私達も乗っていればよかったのに!!」
私の言葉に滝さんは
呆れたようにため息をした。
:07/09/02 01:27
:PC
:fQxO.6Yo
#226 [朔]
「大した事故じゃないから
回避したのよ…」
どういう事…?
「意味が…」
「分からないならいいわ。
バスももうすぐ着くはずよ?」
こちらに向かって来るバスを指差すと
彼女は無表情のまま黙ってしまった。
:07/09/02 01:32
:PC
:fQxO.6Yo
#227 [朔]
:07/09/02 01:34
:PC
:fQxO.6Yo
#228 [朔]
>>226私達は到着したバスに乗って
遅刻確実で学校に向かった。
隣同士に座っても
私達は終始、無言のままだった。
―‥‥学校に着いて
もう既に授業が
始まっている教室に入る。
:07/09/02 10:52
:PC
:fQxO.6Yo
#229 [朔]
扉が開くと静かに授業を
受けていた皆が一斉に
こちらを振り向く。
すると
黒板に字を書いていた手を止め
先生が私達に言った。
「事故には
巻き込まれなかったのか?」
…私と滝さんは一瞬だけ
目を合わせると静かに頷いた。
:07/09/02 19:37
:PC
:fQxO.6Yo
#230 [朔]
「そうか…運が良かったな」
それだけ言うと
先生は授業を再開した。
"私達の代わりに事故に
巻き込まれて学校に来ていない
生徒がいるんだ…"
しらじらしい顔で
自分の席に着く滝さんが
少し恐ろしくなった…。
:07/09/02 19:40
:PC
:fQxO.6Yo
#231 [朔]
―…授業が終わりヒロが
一目散に私の所へ駆けてくる。
「事故…大丈夫だった!?七瀬
…滝さんと一緒に来たの…?」
眉をへの字に曲げて
少し興奮した様子で聞いてくる。
昨日の事があって
何となく気まずくてヒロの
目を見る事が出来ない…。
:07/09/02 21:31
:PC
:fQxO.6Yo
#232 [朔]
「たまたま…バスが一緒
だったんだよね…」
視線を下に落としながら
話す私の言葉に
「ふーん…たまたまか…」
ヒロは何かを言いたげな顔で
私を見ていた。
:07/09/02 22:00
:PC
:fQxO.6Yo
#233 [朔]
"ヒロ何か態度がおかしい
んだよね…"
避けられてるとかじゃなくて
嫌がられてるとかでもなく
はっきりとは分からないけどヒロが
何かを私に隠しているような気がした。
それは滝さんと私が
昼休みに抜け出した時から
ヒロの態度がおかしくなった。
:07/09/02 23:49
:PC
:fQxO.6Yo
#234 [朔]
違和感を感じながらも
ヒロとは行動を共にし
何事もないふりをして
放課後の憂鬱な時間までを過ごした。
―……
「…仲良しさんとは
ぎくしゃくしてるみたい
だったけど大丈夫?」
放課後になって待ち合わせ場所に
着いた私に彼女が言った。
:07/09/02 23:57
:PC
:fQxO.6Yo
#235 [朔]
「…さぁね」
強気な態度で彼女の
嫌味に返事をした。
「…まぁどうでもいいけど」
彼女は相変わらず
冷たい目で私に言うと
通り魔の出現スポットに
2人で向かった。
:07/09/03 00:11
:PC
:rdZysXfw
#236 [朔]
天気は曇り…
今にも暗い色の雲から
雨が降り出しそうな空
空を見上げてため息をついた。
「…今日通り魔が
出て来るかも知れないわね?」
その言葉に体が強張る…
彼女に視線をやると
私を怪訝な表情で見つめていた。
:07/09/03 00:19
:PC
:rdZysXfw
#237 [朔]
―‥‥
手に嫌な汗を掻きながら
恐怖で飛び出しそうな心臓を押さえ
通り魔が出現するのを待つ。
それは本当に嫌な時間…
空がどんどん暗くなり
突然、冷たい水の滴が
私の頭上に落ちてきた。
:07/09/03 00:25
:PC
:rdZysXfw
#238 [朔]
パラパラと小降りだった雨が
徐々に勢いを増して
私達をずぶ濡れにしていく。
「…」
「…」
どれ程の時間
ここで恐怖に怯え会いたくもない
待ち人を待ち続けたんだろう…。
:07/09/03 00:32
:PC
:rdZysXfw
#239 [朔]
「ね…本当に…「シッ!」
寒さにこごえながら
震えた声で話そうとする
私の言葉を遮ると
彼女は口元に指を立てて
静かにするように合図した。
…?
彼女が息を殺し
険しい顔で見つめる先には…
:07/09/03 00:35
:PC
:rdZysXfw
#240 [朔]
"何…あの人…"
雨の中
傘を差さず
黒いフードをかぶり
ポケットに手を入れ
うろうろする挙動不審な
人が見えた…。
:07/09/03 00:39
:PC
:rdZysXfw
#241 [朔]
「…あの人…」
彼女を見つめ視線を送ると
彼女は何も言わずに
深く頷いた…。
"あれが…通り魔…"
喉を上下させて
生唾を飲み込むと
バッグからカッターを出した。
:07/09/03 00:44
:PC
:rdZysXfw
#242 [朔]
カチカチ…
手に持ったカッターの
刃をゆっくりと音を立てずに出す。
「持って来たの…?」
彼女の言葉に声なく頷いた。
その時…
カッターを強く握ると
前に出て行こうとした私の目に
向こうから歩いてくる赤い傘が見えた。
:07/09/03 00:47
:PC
:rdZysXfw
#243 [朔]
"嘘でしょ…こんな時に…!?"
私と彼女は目を合わせ
通り魔らしき人物に
視線を戻した。
その人物はフードを深く
かぶり直すような仕草を見せ
ポケットに手を突っ込んだまま
その傘の方に向かって歩き出した。
:07/09/03 00:52
:PC
:rdZysXfw
#244 [朔]
「行かなきゃ…!!」
そう言って焦ったまま
私は彼女の制止を振りきり
その人物を追って
とにかく走った…。
"ここでけが人が出るのは
絶対に嫌…"
水溜りを蹴って
その人物へと向かって行く。
:07/09/03 01:21
:PC
:rdZysXfw
#245 [朔]
―…‥ドン!!
雨の中
泥まみれになりながら
その犯人と思われる人物に
体当たりをする。
体勢を崩し前へと倒れこむ
犯人に馬乗りになって
そのフードを剥ごうとした時…
その犯人の体に妙な違和感を感じた。
:07/09/03 01:29
:PC
:rdZysXfw
#246 [朔]
「あんた…」
フードに手をかけた私を
自分の体の上から振り落とし
地面に尻餅をついた私を蹴って
犯人はふらつきながら逃げて行った。
「…ちょ…待ちなさ…」
急いで追いかけようとした私に
「…それより」
目の前で起きた出来事に腰を抜かし
座り込む女性に声をかける。
:07/09/03 01:34
:PC
:rdZysXfw
#247 [朔]
「大丈夫…?」
下を俯いたままの女性は
滝さんの声に顔を上げた。
雨が降りずぶ濡れの女性は…
「七瀬…」
涙なのか雨なのか目を伏せながら
私の名前を呼んだのは菜穂だった。
:07/09/03 01:37
:PC
:rdZysXfw
#248 [朔]
「…菜穂」
目を丸くしたと思うと
私の顔を見るなり
「七瀬ー!!!!」
大きな声を上げて
私に抱きついて来た。
そっと菜穂を抱きしめて
優しく宥める…。
「怪我がなくて…良かった」
安堵のため息を漏らし言った。
:07/09/03 01:40
:PC
:rdZysXfw
#249 [朔]
―‥その後
私達3人は警察に行かずに
滝さんの家へと向かった。
警察に行こうと言う私達の
言葉に滝さんは
"嫌よ…話すのが面倒くさい"
そう言って断固として
警察には行こうとはしなかった。
:07/09/03 01:42
:PC
:rdZysXfw
#250 [朔]
"確かに…矛盾や犯人を
待ち伏せする行為を不審がられては
私達まで疑われてしまう…"
菜穂を何とか上手く丸め込み
警察に行かなくて済んだ…。
―家に着いて
「コレ…使って…」
びしょ濡れのまま玄関で
立ち尽くす私と菜穂に
タオルを貸してくれた。
:07/09/03 01:46
:PC
:rdZysXfw
#251 [朔]
「「ありがと…」」
どう見ても1人暮らしで
きちんと整理された部屋…。
菜穂と2人で部屋を見回す。
「滝さんて…」
「1人暮らしよ…上がれば?」
また私の質問の答えを言い
私達を部屋へと上げてくれた。
:07/09/03 01:49
:PC
:rdZysXfw
#252 [朔]
‥…―気まずい
どう考えても合わない3人が
1つの部屋で黙り込んだまま…
自分勝手な菜穂は
携帯を取り出して何やら必死に
打ち込んでいる。
滝さんはボーっと
膝を抱えて天井を見上げて…
「ね…ねぇ!菜穂は何であんな
所に居たの?」
:07/09/03 01:52
:PC
:rdZysXfw
#253 [朔]
嫌な空気に耐えられなくなって
沈黙を破ったのは
私の思いついただけの質問。
私の質問に菜穂は
携帯をいじっていた手を止め
「…ちょっと人と
約束してたんだー…」
そう言って笑顔を見せると
また携帯に視線を戻した。
:07/09/03 02:02
:PC
:rdZysXfw
#254 [朔]
‥―また沈黙―‥
ハァ…必死になって
菜穂を助けたのは良かったのに
この空気に耐えられないんだけど…
そう思った瞬間
菜穂が突然、立ち上がり
「ごめん…あたし行くね?!」
そう言って生乾きの制服に
着替えると滝さんにお礼を言って
家から出て行ってしまった。
:07/09/03 02:06
:PC
:rdZysXfw
#255 [朔]
「え…ちょっと菜穂!?」
―‐バタン!
すごい勢いでドアが閉まり
逃げるように帰った菜穂の
すばやさに妙な感心を覚えた…
「…早」
そう呟いた私に滝さんは
「…嫌な空気だったわね」
あえて何もつっこまずに
苦笑いで返事をした。
:07/09/03 02:10
:PC
:rdZysXfw
#256 [朔]
コトリ…私の前に甘い匂いがした。
「ココアよ…飲める?」
何だか彼女に似つかわしくない
飲み物だなんて…失礼な事を考え
「いただきます…」
可愛らしいカップを手に
ふーっと熱い湯気を吹くと
少しだけ口に含んだ。
:07/09/03 02:13
:PC
:rdZysXfw
#257 [朔]
安心する味にホッとして
「あ…美味しい…」
熱い飲み物なんて久しぶり…
雨で冷えた体を温める
ふわふわと立つ湯気の向こうに
見える彼女に質問をした。
「滝さんは…いつから
夢を見ているの?」
自分はドリーマーだと言う
彼女のスキルはきっと並大抵の
時間ではなしえないと思った。
:07/09/03 02:17
:PC
:rdZysXfw
#258 [朔]
「…もう幼稚園の頃から」
私の気のせいなのか
彼女は少し
悲しそうに答えた気がして…
「そんな小さな頃から…
辛くなかった?」
言葉を続けた私を見つめ
「そりゃ初めの頃はね…」
と何とも言えない表情で言った。
:07/09/03 02:20
:PC
:rdZysXfw
#259 [朔]
「親でさえも私をすごい目で
見る時もあった…何かおかしな
生き物でも見ているような目…」
どこを見つめているのか
親の視線を思い出しているように
床を睨みつけながら言う彼女…
「高校に入学と同時に1人暮らしを
始めたのよ…あんな家にいると
気が狂ってしまいそうな気がして」
私が思うよりも彼女は
自分の事をゆっくりと話してくれた。
:07/09/03 02:23
:PC
:rdZysXfw
#260 [朔]
「夢が現実になっていくのが
恐ろしくて眠るのをやめた時もある」
「知りたくもない友達の秘密や
自分に対する気持ちが見え始めて
私は友達を作る事が怖くなった」
それはどれも悲しい言葉…
この力のせいで
普通じゃない道を歩んできた
彼女の言葉はとても痛かった…。
:07/09/03 02:45
:PC
:rdZysXfw
#261 [朔]
あ―…だからなんだ…
滝さんがクラスの誰とも
馴染まずに1人でいるのは
きっとこれ以上
傷つかない為の"予防線"
「…」
何も言わない私を見て
彼女はフッと小さく微笑んだ。
:07/09/03 02:51
:PC
:rdZysXfw
#262 [朔]
「友達なんていらないの…」
私が言おうとしていた
言葉さえも分かっているように
彼女は先に言葉にしてしまった。
同情や慰めじゃなくて
言うつもりだった事…
それは
「友達になろ?」
:07/09/03 02:54
:PC
:rdZysXfw
#263 [朔]
だけど…
私はその言葉を
彼女に伝える事なく
彼女の入れてくれた
温かいココアを飲み干した…。
「それよりも…さっき
犯人の顔は見えたの?」
空になったカップを
流し台に置きながら聞いて来た。
:07/09/03 09:47
:PC
:rdZysXfw
#264 [朔]
「見えなかったんだ…
ごめん」
あそこまで犯人を
追い詰める事が出来たのに
何も手がかりを掴めなかったなんて
何だかとても悪い事をした気になって…
私は俯いたまま彼女に
謝るしかなかった。
:07/09/03 09:49
:PC
:rdZysXfw
#265 [朔]
視線だけを彼女にやり
顔色を覗うと
「…私に謝る事じゃないでしょ?
怪我がなくてよかったじゃない?」
初めて見るような
柔らかい笑顔に戸惑ったものの
その笑顔が彼女の本物の
笑顔のような気がして…
少し嬉しかった。
:07/09/03 09:52
:PC
:rdZysXfw
#266 [朔]
―‥滝さんの家から帰り
「ただいま…」
乾かしてもらった服と
傘を借りて家に着いた。
「おかえりー!!」
リビングから
私を出迎えてくれたのは凛…
あ…!
「凛…怪我はない!?」
今朝見た夢を思い出して
凛に駆け寄った。
:07/09/03 09:57
:PC
:rdZysXfw
#267 [朔]
凛は駆け寄り体を触る
私に少し困った笑い顔を見せて
「大丈夫…何もなかったし…」
「何も…なかったの?」
確かに見た夢のはずなのに…
「なぁーんにもなかった!」
それだけ言うと凛は
リビングへと戻っていった。
:07/09/03 18:46
:PC
:rdZysXfw
#268 [朔]
"夢が外れる事もあるんだ…"
夢が外れて何もない事に
越した事はなくても
やっぱり不安が残る…。
何も知らずにテレビを
嬉しそうに見ている凛を横目に
私は自分の部屋に戻ると
滝さんに電話をかけた。
:07/09/03 21:43
:PC
:rdZysXfw
#269 [朔]
RRRR…
「はい?」
この前聞いた番号に
初めて電話をかける。
電話から聞こえる声も
落ち着いている彼女の声…
「ご…ごめんね!今…
電話…大丈夫?」
:07/09/03 21:46
:PC
:rdZysXfw
#270 [朔]
友達というか…
同級生にこんな気を使いながら
電話をするのは始めてかも…。
「大丈夫だけど…何?」
……
「あのさ…」
私は見た夢の予言が
外れた事を彼女に詳しく話した。
:07/09/03 21:49
:PC
:rdZysXfw
#271 [朔]
―‥私の話に彼女は
ただ無言で聞いていた。
そして
「…そう」
それだけ言うと
「わかったわ…じゃ…」
彼女はさっさと電話を切ってしまった。
:07/09/03 22:04
:PC
:rdZysXfw
#272 [朔]
―…次の日
9月6日(木曜日)
朝からひどい頭痛で
教室に入ると机に顔を伏せて
響いてくるような痛みに
耐えていた。
"痛い…痛い…痛い…"
心の中で痛みのあまり
声を発する事無く叫ぶ…
:07/09/03 22:30
:PC
:rdZysXfw
#273 [朔]
―‥トン
小さな振動を机に受け
顔を横に動かすと目線を
上に持ち上げる。
そこにいたのは
思った通り滝さんで…
:07/09/04 00:47
:PC
:8dSFENzs
#274 [朔]
「あぁ…」
不機嫌な声を漏らす私に
ピクリと眉を動かすと
「頭痛いなら…これ
効くから…」
そう言うとそっと
私のそばに薬を置いてくれた。
:07/09/04 00:48
:PC
:8dSFENzs
#275 [朔]
"何も言わないのに…
薬をくれたり…気持ち悪い…"
彼女が夢で私の頭痛を
知っていたんだとしても
自分の心の余裕のなさと
あまりのひどい頭痛に
いつもなら思わないような
ひどい言葉が頭を掠める。
:07/09/04 00:52
:PC
:8dSFENzs
#276 [朔]
置いてくれた薬を
ギュッと手で握ると
「…どうも」
お礼にもならない言葉で
彼女を追い払うような事を
してしまった…。
自分の言葉のひどさに
気付いていたのに
私は彼女の不器用な
優しさを足蹴にしてしまった。
:07/09/04 00:56
:PC
:8dSFENzs
#277 [朔]
目を閉じうつ伏せたままの
私の耳に聞こえたのは
彼女が私のそばから
立ち去る悲しげな足音…
せめて
文句の1つも言ってもらえれば
謝ることが出来るのに…
"ただの嫌な奴じゃん…"
自分で自分を責めた。
:07/09/04 17:18
:PC
:scDl93Pc
#278 [朔]
「おはよう」
今度はヒロの声が
そばで聞こえた。
…さっきと同じ
目線だけを上げて
「おはよ…」
不機嫌な声で返事する。
「七瀬…?どうしたの?
調子悪いの?」
:07/09/04 17:20
:PC
:scDl93Pc
#279 [朔]
ヒロの心配そうな声に
声を出さないままに頷いた。
「どこか痛い?」
―‥頭を指差す
「…薬は?」
―‥もらった薬を見せる
「お茶あるけど薬飲む?」
そっと顔を上げて
「うん…ありがと」
:07/09/04 17:23
:PC
:scDl93Pc
#280 [朔]
ヒロは私の顔を見ると
柔らかく微笑んで
「お茶持って来るね?」
そう言うと自分のバッグから
お茶を取り出して手渡してくれる。
―‥‥ふっと滝さんに
視線をやると彼女は私を見て
なぜかとても優しい顔で笑った。
:07/09/04 17:25
:PC
:scDl93Pc
#281 [朔]
何だか自分がすごく
恥ずかしかった…。
頭痛を心配してくれている
友達に八つ当たりして
"やっぱり嫌な奴だ…"
そう思い直すと
いつの間にか教室に来てた
担任の話をただ…聞いていた。
:07/09/04 17:28
:PC
:scDl93Pc
#282 [朔]
最初の授業は体育で…
私は保健室に逃げ込んで
ベッドの中で休んでいた。
変な感じ…
自分の見慣れた天井じゃなくて
学校の天井を見上げるのは
いつもおかしな感じがして
落ち着かない…。
:07/09/04 17:31
:PC
:scDl93Pc
#283 [朔]
「中岡さん、先生ね会議があるから
授業が終わってしんどくなかったら
教室に戻りなさいね?」
白衣を着直すと
先生は保健室から出て行った。
―…寝よう
頭痛がマシになって
私は少し眠ることにした。
:07/09/04 17:33
:PC
:scDl93Pc
#284 [朔]
――‥‥
「…瀬」
「七瀬…?」
誰かに呼ばれた気がして
ゆっくり目を開ける。
「…ぅん?」
私の顔を
覗き込んでいたのはヒロだった。
:07/09/04 17:37
:PC
:scDl93Pc
#285 [朔]
「…あぁヒロかぁ…体育
終わったんだ?」
寝ぼけた声で聞いて
「どう?まだ痛い…?」
相変わらず心配性だな…
フフっと笑って
ヒロに大丈夫だと伝えた
その瞬間…
:07/09/04 17:41
:PC
:scDl93Pc
#286 [朔]
"来ないで…!!"
"やめて!!!"
―…ザク
突き立てられるナイフ
赤い血が吹き飛び
叫び声が聞こえた…
さっき見た夢が生々しい映像で
頭の中に流れ出した。
:07/09/04 17:43
:PC
:scDl93Pc
#287 [朔]
「…」
どうして…次はヒロが
通り魔の被害者って事…?
見えた映像は逃げ惑う足と
それを追いかける犯人らしき足音。
真っ赤に地面を染める血…
それから
振りかざした鋭い刃…
:07/09/04 17:45
:PC
:scDl93Pc
#288 [朔]
険しい顔でヒロを見る…
「ど…どうしたの…?」
突然の私のおかしな態度に
ヒロは戸惑いながら聞いた…
「あ…えっと…」
鼓動が早くなって手が震えた。
:07/09/04 17:48
:PC
:scDl93Pc
#289 [朔]
「七瀬…?顔色悪いよ?」
―‥‥言えない
「大丈夫…だから…」
ヒロに言っても怖がらせるだけで
何にも出来なくなる…
被害者が変われば私は
それを夢で見ることは出来ない…
:07/09/04 17:50
:PC
:scDl93Pc
#290 [朔]
もしかしたら
滝さんは…もう既に
夢で見ているかも知れない。
この夢の内容をヒロに
伝えてしまうよりも
彼女とこの前と
同じように先に対策を考えた方が
きっといい方法を思い
ヒロには何も伝えなかった…
:07/09/04 17:51
:PC
:scDl93Pc
#291 [朔]
フラフラと定まらない足取りで
ヒロの支えられながら教室に戻る。
「七瀬…大丈夫ー!!??」
菜穂が駆け寄ってきた。
「うん…何とか…」
菜穂の後ろに見える滝さんは
無表情のまま私を見つめている。
:07/09/04 17:53
:PC
:scDl93Pc
#292 [朔]
「ちょっと…ごめん…」
ヒロの肩に置いていた手を
外すと彼女に近づいて行く。
…彼女は机に肘をつき私を見上げ
「屋上に行こっか?」
まだ何も話していないのに
私に聞くとさっさと教室を出て行った。
:07/09/04 17:56
:PC
:scDl93Pc
#293 [朔]
彼女の後を着いていこうとした
私の肩をヒロが止めた。
「どこ行くの?」
「あ…心配しなくても
授業にはちゃんと出るから」
それだけ伝えて
私は早足で屋上に向かって歩いた。
―…滝さんはもう屋上に
いるのかもう廊下にはいない
:07/09/04 17:59
:PC
:scDl93Pc
#294 [朔]
屋上への入り口を開けて
彼女の姿を探す
てすりを手に持ち
空を見上げている滝さんに近づく。
「…夢を見たんでしょ?
また…通り魔の夢」
―……やっぱり
「滝さんも…?」
:07/09/04 18:01
:PC
:scDl93Pc
#295 [朔]
私の質問に小さく頷いた。
「ヒロが…被害者に
なってた…」
私の言葉に彼女は
少し眉をしかめると俯き
「…そう」
一言だけで答えた。
:07/09/04 18:11
:PC
:scDl93Pc
#296 [朔]
「今度は斬りつけられた
とかいう程度じゃすまない
気がするの…血が飛び散って…」
思い出すと身震いしそうな映像に
興奮しながら彼女に伝える…。
「…でも」
彼女が言おうとしている
言葉はわかってる…
「ヒロを助ければ被害者は
別に出る…」
:07/09/04 18:13
:PC
:scDl93Pc
#297 [朔]
きっと彼女が口から
出そうとしていた言葉…
「…そうでしょ?」
一瞬だけ間を置くと
「…どっちにしても
どうせ私が身代わりになるって
言おうとしているでしょ?」
そう…ヒロを助ける代わりに
私が今度こそ通り魔を捕まえる…
:07/09/04 18:15
:PC
:scDl93Pc
#298 [朔]
強い意志で彼女を見つめる…
「やっぱり…わかったてたわ…」
呆れた顔で言うと
私を真っ直ぐな瞳で見つめて
「…何があっても油断は
しないで…」
「…うん?」
彼女の言葉に頷いた。
:07/09/04 18:18
:PC
:scDl93Pc
#299 [朔]
‐―‐―
―‥放課後
ヒロに一緒に帰ろうと言われ
教室を出ようとした時…
「中岡さん…ちょっと…」
滝さんが私を呼び止めた。
:07/09/04 21:04
:PC
:scDl93Pc
#300 [朔]
ヒロが嫌そうな顔をして
私の制服の袖を引っ張った。
「…?」
ヒロの行動を不思議も思いながら
私は滝さんに返事をする。
「―…何?」
滝さんは何も返事しない…
:07/09/04 21:08
:PC
:scDl93Pc
#301 [朔]
"きっと…聞かれちゃまずい
話だからだ…"
「あ…あー!ごめん!忘れてた!!
そうだったね…!」
わざとらしく大きな声を出す。
「七瀬…?」
ヒロが悲しそうな顔をして
私の名前を呼んだ。
:07/09/04 21:10
:PC
:scDl93Pc
#302 [朔]
「ヒロごめん!!ちょっと滝さんと
先約してたんだ…」
ごまかしきれない嘘で
ヒロに言い訳すると
私はヒロに後ろ髪ひかれながら
滝さんと屋上に向かう…
この時
滝さんの異変を少しでも
感じていられたら…
:07/09/04 21:26
:PC
:scDl93Pc
#303 [朔]
屋上へ着いて
朝と同じ会話をする…
「…話って?」
私から話題を切り出して
彼女の顔を覗うと
「中岡さんて…クラスで
嫌いな人とかいない?」
…突然な質問
:07/09/04 22:30
:PC
:8dSFENzs
#304 [朔]
「嫌いな人…別に…」
怪訝な顔で彼女に答える。
「いきな…「妹は?」
私の言いかけた言葉を遮って
またおかしな質問…
「まぁ…たまにケンカするけど
嫌いじゃないよ…てか何?」
:07/09/04 22:32
:PC
:8dSFENzs
#305 [朔]
彼女は手の甲の皮膚が
突っ張り血管が浮き出る程に
てすりを思いっきり握っている…
「何かあったの?」
いつもとは違う感じの
彼女に質問をしてみると
「…別に」
もういつもの彼女の顔で
私に複雑な笑みを浮かべた。
:07/09/04 22:36
:PC
:8dSFENzs
#306 [朔]
結局
話はそれだけで…
特に重要な話はなかった。
「何だったんだろ?」
ものの15分程で話は終わり
煮え切らない思いで
教室に戻った。
扉を開けると…
「…ヒロ!」
:07/09/04 22:38
:PC
:8dSFENzs
#307 [朔]
夕焼けでオレンジに
染まりかけた教室で
私を待っているヒロがいた。
「おかえり…さっき滝さんが
帰っていったけど…」
入り口を指差して
ヒロが言う。
「あ…そう…それより
待っててくれたの?」
:07/09/04 22:41
:PC
:8dSFENzs
#308 [朔]
「うん…ダメだった?」
読んでいた雑誌をカバンに
戻しながら言った。
「全然!じゃ…帰ろっか?」
嬉しそうに頷くヒロと
私は教室を後にした。
:07/09/04 22:44
:PC
:8dSFENzs
#309 [朔]
気分転換のつもりで
カラオケに行ったり
買い物したり…
「楽しかった!」
本当に笑ったの久しぶり
クレープを食べながら
ヒロに伝える。
:07/09/04 22:51
:PC
:8dSFENzs
#310 [朔]
「七瀬…最近さ…滝さんと
あんなに何で仲いいの?」
…―聞かれると思ってた
けど…どう答えていいのか
分からずに曖昧な笑顔で
ヒロに向き直すと
「あの子…いい子なの?
ぶっきらぼうな感じしかしない…」
私もそう思ってた…。
:07/09/04 22:54
:PC
:8dSFENzs
#311 [朔]
「そんなに冷たい子じゃ
ないと思うけど…」
私の答えにヒロは
「ふーん」
と気の抜けたような返事をして
残りのクレープを口の中に
放り込んだ。
:07/09/04 23:00
:PC
:8dSFENzs
#312 [朔]
ヒロと久しぶりに遊んで
帰っている途中で
家から電話が鳴った。
「もしもし…?」
―…何も言わない
「もしもーし…」
グスッ…泣いている声が
電話の向こうから聞こえる。
:07/09/04 23:02
:PC
:8dSFENzs
#313 [朔]
「ちょっ…「凛が…」
母さんの泣いている声で
私は一気に血の気がひいて
いったような気がした…。
―…ガクン
「…!!??」
あれ…?
:07/09/04 23:03
:PC
:8dSFENzs
#314 [朔]
「凛!!」
大きな声で凛の名前を呼び
立ち上がる…
「七瀬…?」
隣からヒロの声が聞こえ
「…ん?あれ?何?」
クスクスと笑い声も聞こえて来た。
:07/09/04 23:06
:PC
:8dSFENzs
#315 [朔]
気がつくと…
私はバスの中で寝ぼけていた。
俯いて顔を真っ赤にして
椅子に座りなおしヒロを見ると
声なくお腹を抱え笑っている。
「ちょっと…笑いすぎ…」
「だって…アハハ…寝ぼけて…
アハハ…」
:07/09/04 23:09
:PC
:8dSFENzs
#316 [朔]
恥ずかしくて前を見えない…
「私…いつの間に寝たんだろ?」
まだ笑うヒロを横目で
軽く睨みつけて
次で降りるために
ブザーを鳴らした。
:07/09/04 23:11
:PC
:8dSFENzs
#317 [朔]
「じゃぁね…」
バスが着いて
まだ微妙に笑うヒロに別れを言うと
小走りで家まで帰る。
何となくさっきの夢が
気になって自然と走り出した。
:07/09/04 23:13
:PC
:8dSFENzs
#318 [朔]
カバンから携帯を取ると
着信が残っていないか確かめる。
「残ってないって事は
やっぱり夢だったんだ…」
いつもとは違う生々しい夢に
妙な胸騒ぎを覚える。
家が見えて来たと同時に
タクシーが家に着いた…
:07/09/04 23:16
:PC
:8dSFENzs
#319 [朔]
「…タクシー?」
走る速度を落とし
タクシーから降りてくる
人物を見ていると
母さんと凛が降りてきた。
「凛!!母さん!!」
タクシーが走り去ると
見えた凛の姿に驚いた…。
:07/09/04 23:18
:PC
:8dSFENzs
#320 [朔]
「七瀬…」
「お姉ちゃん…」
凛が松葉杖をついて
玄関の前に立っている
2人に駆け寄り
凛の痛々しい姿の理由を聞いた。
「どうしたの…?」
私の心配をよそに
凛はいつものテンションで答える。
:07/09/04 23:21
:PC
:8dSFENzs
#321 [朔]
「皆で放課後遊んでて…
思いっきりこけて足に
ヒビが入っちゃった。」
…こけてヒビ?
私が見た夢が
どんどん外れていっている。
「もう…驚いたわよ…」
母さんが凛の頭に
手を置いてため息をついた。
:07/09/04 23:25
:PC
:8dSFENzs
#322 [朔]
「ごめんなさーい…」
凛はいつもとか変わらない様子で
母さんに舌を出し謝る。
"どういう事…夢の内容が
微妙に狂い始めてる…"
湧き出た不安が心の中を
どんどん埋め尽くしていく。
:07/09/04 23:27
:PC
:8dSFENzs
#323 [朔]
滝さんに伝えるべきかを
悩んだけれど…
これ以上
頭の中が
混乱してしまうのが嫌で
電話をかけるのをやめた…
どっちにしても
彼女はもう既に
知っているかも知れないし…
:07/09/04 23:29
:PC
:8dSFENzs
#324 [朔]
"やっぱり伝えるべき…?"
携帯を見つめて
そう悩んでいたけど
「やっぱりやめた!」
1人大きな声を出し
携帯を閉じると
自分の部屋に戻り
少しだけ眠ることにした。
:07/09/05 15:55
:PC
:Ivh9Ff96
#325 [朔]
「もう…朝?」
少し寝ようと
横になっただけだったはずなのに
―…目が覚めると
カーテンから漏れる朝陽と
鳥の声が聞こえていた。
9月7日(金曜日)
:07/09/05 16:50
:PC
:Ivh9Ff96
#326 [朔]
「―‥おはよう」
寝過ぎてダルイ体で
リビングに降りていく。
時間は朝の7:30
凛はすごい物を見るような目で
母さんは何も言わない…
父さんはちらりと私を見ると
「おはよ」
と返事をしてくれた。
:07/09/05 16:53
:PC
:Ivh9Ff96
#327 [朔]
凛がトーストをかじりながら
私をずっと睨んでいる。
「何よ…寝過ぎて迷惑を
あんたにかけましたか??」
あまりにひどい視線で
私を見る凛に怒りながら聞いた。
「…別にもういいけど」
…はぁ?
返事になってないですけど?
:07/09/05 16:56
:PC
:Ivh9Ff96
#328 [朔]
「意味わかんない…」
私も出されたトーストを
かじりながら呟く。
―‥‥何この空気
母さんも何も言わないし
父さんもおかしな顔をしてる。
「…何かあったの?」
:07/09/05 17:16
:PC
:Ivh9Ff96
#329 [朔]
私の言葉に凛は
大きな音を立ててグラスを置くと
「…行って来る」
そう小さな声で呟いて
私をまた睨むと
学校へと行ってしまった。
「七瀬…覚えてないの?」
母さんが眉間にしわを寄せ聞く。
:07/09/05 17:18
:PC
:Ivh9Ff96
#330 [朔]
「……?」
父さんと母さんは
顔を見合わせ首を傾げると
「昨日…凛にあおちゃんを
殺したのは…あんただって…
言ったのよ…」
―……え?
「嘘でしょ…覚えてない…」
そんなひどい事言うはずない。
:07/09/05 17:20
:PC
:Ivh9Ff96
#331 [朔]
私は…少し寝ようとして
部屋に戻ってからの記憶がない。
「覚えてないって…晩ご飯も
普通に食べてたわよ?」
―……ハァ?
「食べてないし!覚えてない!
寝てたんだよ!?」
その言葉に母さんはとても
心配そうな顔をして私を見る。
:07/09/05 17:22
:PC
:Ivh9Ff96
#332 [朔]
「…もういい!!」
私は食べかけた朝ごはんに
ほとんど手をつけずに
学校へ行く準備をして
さっさと学校に行った。
―‐‥…
学校へと着いて
昨日の事を思い出してみる…
:07/09/05 17:25
:PC
:Ivh9Ff96
#333 [朔]
だけど
覚えているのは
昨日、ヒロと遊んで
家に帰って少し寝ようと
部屋に戻った記憶まで…
「おかしいよ…」
頭を抱えておかしな自分の
行動に唸っている私に藍が
近づいて来た。
:07/09/05 17:27
:PC
:Ivh9Ff96
#334 [朔]
―……ドン!!
私の机を思いっきり蹴り
「ちょっと…来て…」
腕を組みかなりご立腹な感じで
私に顎で指図する。
「…なに?…ちょっと…!」
私の腕を掴むと椅子から
下ろして私を力任せに連れて行く。
:07/09/05 17:29
:PC
:Ivh9Ff96
#335 [朔]
「離してよ!!藍!!」
私の言葉も無視して
どんどん屋上の入り口へと向かう。
足が絡まりこけそうになりながら
階段をうまく上り屋上へと着いた。
ドン!!
着いた途端に
肩をどつかれ私はよろけた。
:07/09/05 17:32
:PC
:Ivh9Ff96
#336 [朔]
「…痛っ!!何すんのよ!!!??」
どつかれた肩を押さえ
藍を思いっきり睨むと
藍は俯いて突然、泣き出した。
"…泣きたいのはこっちよ"
そう心で呟いて藍を見ると
「…な…何?」
:07/09/05 17:34
:PC
:Ivh9Ff96
#337 [朔]
「ユウトの事…好きだからって
ひどいんじゃないの!?」
―……何言ってるの??
「ちょ…待ってよ?誰が中山を
好きなの…?」
藍が何を言っているのか
さっぱりわからない。
「あんたが!!ユウトを好きなんでしょ!!??」
:07/09/05 17:36
:PC
:Ivh9Ff96
#338 [朔]
―‥‥えぇぇぇ!!!???
「いやいや…好きじゃないよ!?
何言ってるのかわかんない!!」
そう藍に伝えた時
「七瀬!!!」
タイミング悪く中山が現れた。
:07/09/05 17:37
:PC
:Ivh9Ff96
#339 [朔]
「ユウト…」
藍は大粒の涙を流しながら
中山を振り返る。
「藍…やめてくれよ…
七瀬は俺の彼女なんだから…」
「か…のじょ?」
戸惑いながら聞くと
中山は顔を赤くして頷いた。
:07/09/05 17:39
:PC
:Ivh9Ff96
#340 [朔]
「冗談でしょ?何言ってるの?」
藍はまだ泣きながら
私を睨んでいる。
中山は目を丸くすると
「お前が昨日…俺を好きだって
告白してきたんだろ?」
―‥…言ってない!!!!
「そんな事言ってない!!!」
:07/09/05 17:41
:PC
:Ivh9Ff96
#341 [朔]
「ひどい!!七瀬…あんた
私らをおちょくってんの!!??」
どういう事…凛の事といい
中山との事といい…
身に覚えがない事ばっかり。
「と…とりあえず…放課後に
話してもらえない?」
そう2人に悲願をして
その場は落ち着いた…。
:07/09/05 17:49
:PC
:Ivh9Ff96
#342 [朔]
もちろん教室に戻ると
他の皆は騒然として
私を避けるような態度を取る。
「私は何も悪くないのに…」
そんな中でも
ヒロと菜穂は普通に接してくれて
滝さんは…相も変わらず
遠目に私を心配そうに見てた。
:07/09/05 17:53
:PC
:Ivh9Ff96
#343 [朔]
何となく居心地の悪い
教室で一日を過ごしていると
滝さんからメールが来た。
[今日 通り魔が出るかも…]
―…‥最悪な事は続く
私は無言で彼女を振り返り
大きく頷いた。
:07/09/05 17:56
:PC
:Ivh9Ff96
#344 [朔]
―…放課後
滝さんと2人…
夢で見たという場所へと向かう。
私は前と同じように
カッターナイフをカバンに入れて
恐怖に負けそうになる心に
言い聞かせる…
:07/09/05 18:16
:PC
:Ivh9Ff96
#345 [朔]
「もうすぐ歩いた先に
通り魔が出る夢を見たの…」
―…この先
「…本当に今日なの…?」
私の質問に彼女は
少しだけ頷いて見せる。
「きっと…雨が降ってくる」
前と同じように雨が降れば
通り魔が出没する気がした。
:07/09/05 18:19
:PC
:Ivh9Ff96
#346 [朔]
辺りが薄暗くなって来た頃
彼女の言葉どおりに
ポツポツと雨が降り始めた。
「…雨だ」
掌に雨を受けて
彼女を見ると…
膝をついてお腹を押さえて
唸っている。
:07/09/05 18:20
:PC
:Ivh9Ff96
#347 [朔]
「滝さん…どしたの…?」
彼女は何も言わずに
ただ苦しそうに唸っている。
「え…ちょ…大丈…」
雨がひどくなりお腹を抱えて
うずくまる彼女に声をかけると
「大丈夫…それより…」
―‥‥!!
:07/09/05 19:40
:PC
:Ivh9Ff96
#348 [朔]
ひどくなる雨の中で
水溜りをバシャバシャと蹴り
こちらに向かって来る
足音が聞こえてきた。
険しい顔で彼女に視線をやると
「…通り魔…かも」
苦しそうに答えた。
:07/09/05 21:49
:PC
:Ivh9Ff96
#349 [朔]
まえに見た通り魔と同じ…
雨の中で傘をささずに
フードを深く被って
怪しい動きをしている…
「ど…どうしよ…?」
戸惑いながら彼女を見ると
指を差し"行け"と言わんばかりに
ゆっくりと俯いた。
:07/09/05 23:17
:PC
:Ivh9Ff96
#350 [朔]
"行かなきゃ…ヒロが危ない…"
私の夢の内容がことごとく
外れているとしても
彼女の夢が外れる事はない。
私は…不確かな確信だけで
カバンから出したカッターを握り締め
苦しそうに唸る彼女を後に
勇気を振り絞り
通り魔の前に出て行った。
:07/09/05 23:19
:PC
:Ivh9Ff96
#351 [朔]
「わぁぁーーー!!!!」
突然に大声を出して
飛び出して来た私に
ビクッと体が跳ね後ずさりした
「ああぁぁぁ!!!!!!」
私は一心不乱に通り魔めがけて
カッターを振り下ろした。
:07/09/05 23:27
:PC
:Ivh9Ff96
#352 [朔]
―…ドン!!!
勢いに任せて
通り魔に馬乗りになる。
ぶつかったはずみで
通り魔のフードが外れ
私の下にいた通り魔の顔が見えた…
「…え?」
:07/09/05 23:31
:PC
:Ivh9Ff96
#353 [朔]
私の目に映ったのは…
「ヒロ…どうして…?」
手には刃物を握り
真っ黒なパーカーに黒いズボンを履き
前に見た通り魔と同じ姿で
私の目を見ないように目を逸らす…
「あーぁ…殺し損ねた…」
:07/09/05 23:35
:PC
:Ivh9Ff96
#354 [朔]
雨の音に混じり
嫌な言葉が耳に入ってきた。
「…!!」
後ろを振り向くと
苦しそうに唸っていた彼女が
真っ直ぐに立ち上がり
私を見つめ笑っている…
:07/09/05 23:37
:PC
:Ivh9Ff96
#355 [朔]
「滝…さん?」
状況が読めない…
下にいるヒロは眠っているように
目をつぶり動かない。
「どういう事…?」
もう1度だけ彼女に聞いた。
:07/09/05 23:40
:PC
:Ivh9Ff96
#356 [朔]
クククと笑うと
私を楽しそうに見つめながら
「私はね…見た夢が
現実になるんじゃなくて…
見た夢を現実に出来るの…」
彼女は自慢のように
大げさな身振り手振りで
私に話してくる。
:07/09/05 23:51
:PC
:Ivh9Ff96
#357 [朔]
「何の為に…こんな事…」
彼女は少なくとも
私に敵意なんてないと
思っていたのに…
ただ涙が雨に混じりながら
頬を伝って落ちる。
「私は…あんたみたいな女が
好きじゃない…それだけよ…
今までの事も偶然じゃなくて
必然的な物よ…超能力者に
なれたようで楽しかったでしょ?」
:07/09/06 00:33
:PC
:RNq2i4rI
#358 [朔]
彼女から吐かれる言葉が
あまりにも痛くて
私は高笑いをする彼女に
近づくと
力任せに頬を打った。
「……」
「私は…あんたを友達だと
思っていたのに…」
雨が激しくなる音で
かき消されないように…伝えた。
:07/09/06 00:35
:PC
:RNq2i4rI
#359 [朔]
「…私は友達なんていらない」
叩かれた頬を押さえると
「楽しかったわ…あんた達が
めちゃくちゃになっていくのを
見ているのがね…?」
全ては彼女の必然的な
不思議な能力のせいだった…
:07/09/06 00:38
:PC
:RNq2i4rI
#360 [朔]
凛の友達が死んだ事も
好きだった人に
裏切られた事も…
通り魔としてヒロが選ばれた事も
藍と中山の仲が壊れるように
仕組まれた事も…
"全てが彼女の夢のせい"
:07/09/06 00:40
:PC
:RNq2i4rI
#361 [朔]
「うわぁぁ…!!!!」
水溜りを叩き
悔しくて泣き叫んだ…
彼女は…
私を1度も振り返る事無く姿を消した。
:07/09/06 00:44
:PC
:RNq2i4rI
#362 [朔]
―…それから1週間
「七瀬!!おはよ!!」
学校へと向かう私に
藍と中山が声をかける。
「…おはよ」
手を繋いで嬉しそうに
学校へと向かう2人の背中を見送る。
:07/09/06 00:53
:PC
:RNq2i4rI
#363 [朔]
学校へと着いて
教室に入ると
菜穂が私の姿を見ると
「おはよー!!」
いつものテンションで
声をかける。
そして
「七瀬おはよ…」
:07/09/06 00:54
:PC
:RNq2i4rI
#364 [朔]
ヒロが私に声をかけた…
「おはよう」
私も変わりなく返事する。
あの後
ヒロは目を覚ましても
何も覚えてはいなかった…
:07/09/06 00:57
:PC
:RNq2i4rI
#365 [朔]
いつもと同じ日常に
何も変わらない友達…
「ねぇ…七瀬は知ってる?」
「ん?」
ヒロが窓際を指差す…
:07/09/06 01:04
:PC
:RNq2i4rI
#366 [朔]
「あそこ…誰もいないのに
なんで1つだけ空席があるんだろ?」
―……
「…さぁね」
そう…あの日の後から
クラスメイトの人間が
誰一人として彼女を覚えていなかった。
:07/09/06 01:07
:PC
:RNq2i4rI
#367 [朔]
"きっと彼女が夢を渡って
みんなの記憶を操作したんだ…"
私は確信はないけれど
そう思っている…
だけど
私1人の記憶が消される事はなかった。
:07/09/06 01:11
:PC
:RNq2i4rI
#368 [朔]
きっと彼女が
"私を忘れないで…"
そう言っているような気がして
彼女を
憎む事が今も出来ないでいる…
=end=
:07/09/06 01:13
:PC
:RNq2i4rI
#369 [朔]
:07/09/06 01:18
:PC
:RNq2i4rI
#370 [朔]
:07/09/06 01:19
:PC
:RNq2i4rI
#371 [とみ]
小説の世界に引き込まれて
すごく感動しました!!
お疲れさまでした*゚・
:07/09/06 01:21
:N903i
:/jW4PL.o
#372 [朔]
とみさん>さっそくの感想レス嬉しいです!!
有り難うございます<(_ _)>
これからも頑張るので
よろしくお願いします(´ω`*)
:07/09/06 01:39
:PC
:RNq2i4rI
#373 [我輩は匿名である]
あげます☆
:08/04/13 12:55
:F705i
:☆☆☆
#374 [
]
あげます

:10/02/12 09:17
:SH01B
:9q3BVtzk
#375 [ん◇◇]
↑(*゚∀゚*)
:22/10/26 21:30
:Android
:AtV/.tU6
#376 [ん◇◇]
:22/10/26 21:49
:Android
:AtV/.tU6
#377 [ん◇◇]
:22/10/27 06:11
:Android
:DE5DdzBs
#378 [ん◇◇]
:22/10/27 06:27
:Android
:DE5DdzBs
#379 [ん◇◇]
:22/10/27 06:27
:Android
:DE5DdzBs
#380 [ん◇◇]
horror
:22/10/27 06:59
:Android
:DE5DdzBs
#381 [ん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑
:22/10/27 23:15
:Android
:DE5DdzBs
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194