DREAMER
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#1 [朔]
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2576/

↑感想版になります。

よければお付き合い
よろしくお願いしますm(_ _)m

⏰:07/08/26 12:21 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#2 [朔]
夢を見たことない人は

きっと

いないと思う…。




―それは本当に突然だった…。

⏰:07/08/26 12:29 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#3 [朔]
8月26日(日曜日)


…ちゃん!
…えちゃん…!!

「お姉ちゃん!!!」

―…

体が揺れて
聞き慣れた声で目が覚めた。

眠い目をうっすっらと
開けるとそこには妹の顔…。

⏰:07/08/26 12:48 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#4 [朔]
「何よ…凛かぁ…」

寝ぼけた声で
うまく呂律の回らない舌を
動かして言う…。

「何よじゃなくて…
プールに連れてってくれるって
約束したじゃん!!!」

…あ。

そんな約束を
軽いノリでしたような気がする。

⏰:07/08/26 12:51 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#5 [朔]
プリプリと怒ると
私に絡まるタオルケットを
剥いで行く。

「ちょっとーー!!!」

小学生の妹に負けてる私…

中岡七瀬 16歳

これから始まる悪夢に
まだ気がついてはいなかった…。

⏰:07/08/26 13:38 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#6 [朔]
――…

「あら…起こされちゃったの?」

寝ぼけ顔の私を見て
母さんが笑う。

「まーね…」
寝癖を手ぐしで梳きながら
苦笑いで答える。

「だって!約束したんだもん!!」

この生意気な強い妹

中岡凛 11歳

⏰:07/08/26 13:41 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#7 [朔]
テーブルには
もう朝ごはんが既に並んでいた。

「いただきます。」

母さんと凛は手を合わせると
美味しそうにご飯を食べ始める。

「…ぅぇ」

私は寝不足と夏バテで
食欲はない…。

⏰:07/08/26 13:44 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#8 [朔]
「食べないの?」

凛がサンドイッチを
美味しそうに大きな口に
ほうばりながら聞いた。

「起きてすぐだしねー…」

そばにあった牛乳を
少しだけの飲んで

まだ完全に起きては
いない頭を目覚めさせる為に
シャワーに向かった…。

⏰:07/08/26 20:39 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#9 [朔]
生温いシャワーを
勢い良く頭から流して
両手でパンパンと顔を叩く。

「あー…眠い…」

昨日は夜中まで漫画を
ずっと読んでいたからだ…。

無数の滴が自分の体を
伝い流れていく様を
俯いて見ていた時…

「…?」

⏰:07/08/26 20:42 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#10 [朔]
"何だろ…今…何かを
思い出した気がする…"

胸の中のモヤモヤと
喉まで出かかっている
思い出しそうな曖昧な記憶…。

…。

……。

……―だめだ。

思い出せない…。

⏰:07/08/26 20:44 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#11 [朔]
蛇口をひねり
更に勢いを増した
シャワーに顔を上げて
思いっきり流した。

「…フゥ」

さっぱりした体と
完全に起きた頭…。

ブルンブルンと
濡れた犬のように
びしょぬれの頭を振って
滴を散らした。

⏰:07/08/26 20:48 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#12 [朔]
お湯の蒸気で
暑い浴室から出ると

ひんやりとした
気持ちのいい空気に
思わず声が漏れた。

「あぁー…涼しい」
体をタオルでふき取り
服を着ていると

凛が急かすように
ドアを開けて入ってきた。

⏰:07/08/26 22:21 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#13 [朔]
「おねえちゃーん!!
早く用意してよぉ!!
あおちゃんも
待ってるんだから!!」

地団太を踏んで
マイペースな私を
早く早くと急かして来る。

「あおちゃんて…
聞いてないけど?」

こんなに暑い日は
クーラーの効いた部屋で
漫画でも読んでいるのが
一番の過ごし方なのに…。

⏰:07/08/26 22:28 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#14 [朔]
何が悲しくて
妹とその友達を

プールになんか
連れて行かなければ
いけないのか…。

「母さんと行けばいいでしょ?」

すると凛の後ろから

「母さんはダメよ。
お爺ちゃんのお墓参りに
行かなきゃいけないもの。」

⏰:07/08/26 22:29 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#15 [朔]
…チッ、だめか。

聞こえないように
舌打ちして

仕方がないと諦めると

「わかったわよ!20分待って。
用意するから…」

凛にそう伝えると
自分の部屋に戻り
急いで用意した。

⏰:07/08/26 22:32 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#16 [朔]
「行って来ま〜す」

凛に伝えた通りに
20分で用意して

私達はいつもの
市営プールに3人で向かった。

せみの声と炎天下の外…。

バス停で立っているだけで
無駄に汗が流れ始める。

「あ!!バス来たよ!!」

⏰:07/08/26 22:36 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#17 [朔]
水色に色彩りどりの
水玉模様の浮き輪を
肩にかけてバスを指差し
嬉しそうに凛が言う。

そそくさとバスに乗り込むと

「あー涼しい!!
ね!あおちゃん!」

バスに乗り込むなり
凛が大声で言った。

⏰:07/08/26 22:42 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#18 [朔]
さっきからひと言も
喋っていない友達が
凛の言葉に小さな声で

「うん…」
と恥ずかしそうに頷く。

車内のアナウンスが流れて
バスが発車した時

突然さっき見た夢が
頭の中に流れるように
浮かんできた。

⏰:07/08/26 22:44 📱:PC 🆔:iPakkb7I


#19 [かぁ]
今回も波乱の予感ですね
ミステリーかぁ…題名と冒頭から私の大好きな匂いがします(笑) 


また私もマイペースに読ませて頂きますので朔さんもマイペースに更新がんばってくださぃ゚+。(*′∇`)。+゚

⏰:07/08/26 23:33 📱:N903i 🆔:5B0iPz/I


#20 [朔]
かぁさん>いつも有り難うございます(*^∀^*)

波乱…そうですね(笑)
更新頑張るので最後までの
お付き合いよろしくお願いします!!

⏰:07/08/27 00:39 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#21 [朔]
>>18

"おねぇ…ちゃ…"

"足が…つか…"

水…泡…それから
凛の声が聞こえて…

"凛ーーー!!嫌ぁ!!"

私が泣き叫んでた…

⏰:07/08/27 00:46 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#22 [朔]
―…凛が溺れ死ぬ夢

そんな嫌な夢を
見たのを思い出して
体がブルブルと身震いした。

凛と友達に視線をやると
嬉しそうに窓を眺めて
何やら話している。

…今さら行くのやめよう

なんて無理だろうし…。

⏰:07/08/27 00:49 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#23 [朔]
そんな時ふと

夏休み前に

クラスの友達が彼氏と
新しく出来たプールに
行ったと話して来たのを
思い出した。

「確か…そんなに
遠くなかったはず…」

携帯を取り出して
マップを開き調べる。

⏰:07/08/27 00:54 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#24 [朔]
…それはただの夢と
思ってしまえば
それだけの事だけど…。

「やっぱり…ね…」

そう考えて

私は新しいプールの
場所を探し出し
凛に行き先を変えようと
話して見た。

⏰:07/08/27 02:13 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#25 [朔]
――…

「わー!!滑り台だ!!
あおちゃん行こう!!」

2人は子供用の
滑り台を見つけはしゃぐと

手を取り合って
走って行ってしまった。

…フゥ

プールの場所が分かって
凛に話してみると

すんなり"いいよ!"と
返事をしてくれた…。

⏰:07/08/27 02:24 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#26 [朔]
「考えるだけ無駄だったかな?」

なんてはしゃぐ2人を
微笑ましく見つめると
ぽつりと呟いた…。

―その日2人は
クタクタになるまで泳ぎ

帰りのバスの中で
お互いもたれかかって
寄り添うように眠っていた…。

⏰:07/08/27 02:37 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#27 [朔]
「「ただいまー!!」」

玄関のドアを開けて
大きな声で母さんに言った。

パタパタとスリッパの音を
鳴らして母さんが出迎えてくれた。

「おかえり。楽しかった?」

凛の浮き輪を持ち
柔らかい笑顔で聞く。

⏰:07/08/27 15:20 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#28 [朔]
「楽しかったよー!!
滑り台があってね…」

凛は母さんに夢中になって
プールの話をし始める。

―……。

私は何だかドッと疲れて
自分の部屋に足早に戻ると

ベッドに体を投げ出して
少し眠ることにした。

⏰:07/08/27 15:28 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#29 [朔]
また夢を見た…

そこは真っ白な空間に
私が1人ポツンと立っている。

「ここは…どこ?」

そう呟いたと同時に
誰かの手がそっと私の手に触れた…。

…?

視線を落とすと
そこには小学生の男の子。

⏰:07/08/27 15:42 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#30 [朔]
「え…と誰?」

見た事はなく
無言で私の手を握る。

私の問いかけには
何も答えようとはせずに

ただ幼くキレイな瞳で
私を見つめるだけ…。

⏰:07/08/27 15:43 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#31 [朔]
すると

その少年は
私を指差し言った。

「ルール違反…
終わらないよ。」

私は言葉の意味を
理解できずに首を傾げる。

「どういう意味?」

⏰:07/08/27 16:33 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#32 [朔]
…パッと目が覚めた。

「あれ?」

目を開けて見えるのは
見慣れた天井…。

"どんな夢を見てた?"

クーラーの効きすぎた部屋で
眠っていた私は冷えた体を労わって

夢の内容は深く考えもしなかった。

⏰:07/08/27 16:40 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#33 [朔]
8月27日(月)

―結局、あのまま
私は朝まで眠ってしまった。

夕方の16時頃から
朝の8時までぐっすり…

母さんも凛も父さんも
私を呆れた顔で見てた。

「寝過ぎ」
「死んでるのかと思った」
「…寝太郎?」
この言われよう…。

⏰:07/08/27 17:11 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#34 [朔]
確かに寝過ぎて
体がダルイのは認める…。

固まった体を
大きな背伸びで
目覚めさせると

午後から会う友達との
約束の為に用意を始めた。

⏰:07/08/27 23:10 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#35 [朔]
―…コンコン

用意をしていると
部屋のドアがノックされた。

「…何?」

私の返事にドアがそっと開き
凛が中を覗き込んでいる。

「あのね?」

「うん。」
ビューラーで睫毛を
上げながら凛に返事する。

⏰:07/08/27 23:17 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#36 [朔]
「あおちゃんがね…?」

両方の睫毛を上げて
鏡越しに凛を怪訝な顔で
見つめると

「さっさと言ってよ!何?」

私の声に凛は眉をしかめると

「彼氏と昨日のプールに
行きたいから道を教えて
欲しいって…。」

⏰:07/08/27 23:20 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#37 [朔]
―…小5の分際で彼氏?

ケツの青いガキが…
生意気な!!

「…さぁ〜忘れたぁ」

大人気ないと分っていても
何だか悔しくて意地悪する。

「嘘つき!!だから
聞くの嫌だったんだ…
ひがむの見えてたし…」

…ムカつく。

⏰:07/08/27 23:24 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#38 [朔]
「あっそ、じゃぁ道順
思い出したけどいっか。」

そう返事して
私は化粧をし始めた。

凛は半べそをかいて
母さんにちくる為に
リビングへと降りて行った。

「…彼氏、いいな」

どんどん化けていく自分の
顔を鏡に映して
小さな声で呟いた…。

⏰:07/08/27 23:28 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#39 [朔]
―用意が出来て

リビングに下りて行くと
凛が嬉しそうにアイスを
食べている…。

"アイスで機嫌直ってやんの"
凛を心で小ばかにすると

「じゃぁ行って来るから。」

こちらに背中を向け
台所で何かをしている
母さんに声をかけて

私は蒸し暑く太陽が
照付ける外へと出て行った。

⏰:07/08/27 23:33 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#40 [朔]
買ったばかりの
歩きづらいミュールを履いて

上から照る太陽とその熱を
吸収して熱くなっていく
アスファルトにやられながら

手扇子で顔を仰ぎながら
汗だくで待ち合わせ場所に行く。

「…あー暑い…」

ぶつぶつと文句を言いながら
とりあえず急いで歩く。

⏰:07/08/27 23:39 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#41 [朔]
「おー!七瀬!!」

待ち合わせ場所に着く前に
待ち合わせていた人間と会う。

私が待ち合わせしてたのは
クラスの男子…彼氏じゃない
と…思う。

今の所・・・。

外で会うのは初めてで
何だか緊張してしまう。

⏰:07/08/27 23:48 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#42 [朔]
「ども…」

軽く会釈をして
黙ってしまう私に

「緊張すんなよ!!!馬鹿。」

こいつはいつものノリで
話しかけて来てくれる。

彼の名前は

中山ユウト 16歳

⏰:07/08/27 23:54 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#43 [朔]
一応…私の好きな人。

…沈黙

「腹…減らない?」

先に中山が沈黙を破る。

「減ったかも…」

そう言って笑いかけると

中山は少し俯いて
私達は歩き始めた。

⏰:07/08/27 23:58 📱:PC 🆔:9A6Vnoog


#44 [朔]
私達が入ったのは
色気のないいつもと同じの
ファーストフード。

「カフェとかが良かった?」

なんて

もう既に目の前にある
ハンバーガを
手に取りながら聞いて来た。

「いいんじゃない?いつも通りで。」

愛想なく答えて
私も大きな口を開けて
ハンバーガーをほうばる。

⏰:07/08/28 00:33 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#45 [朔]
「そだよな…」

ちょっと言い方が
きつくなった事を後悔して

「中山とはどこ行っても
楽しいから…」

なーんてフォローを入れる。

実際に私は彼が好きだから
緊張はしていても
一緒にいられるのは嬉しい…。

⏰:07/08/28 00:37 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#46 [朔]
「あ…そういえば…」

何かを思い出したように
話す私の顔を見ると

「ん?…何?」

美味しそうに口を
動かしながら聞いて来た。

「夢…今日…見た夢…
今、思い出しそうだった…」

⏰:07/08/28 00:41 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#47 [朔]
所々の映像が頭に流れる。

"昨日と同じだ…"

そう考えながら

頭の中の映像を口に
出そうとしても喉まで
でかかるだけで言葉にならない。

「あー…良くあるよなー?」

⏰:07/08/28 00:42 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#48 [朔]
え…よくある事なんだ…。

「そっか…昨日からなんだ。
中山はよくあるんだね?」

中山の顔を見つめながら
聞いてみると

うーんと顔を傾けて

「よく…つーか起きた
途端に忘れる夢はたまにある。」

⏰:07/08/28 00:45 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#49 [朔]
難しそうな顔をして
私に言った。

「それかな…?」

何かもっと…こう…
上手くは言えないけれど…

―…あ

"これ…"
"似合うと思う…"
"好きなんだ…"

…―嬉しい

⏰:07/08/28 00:47 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#50 [朔]
自分の見た夢が
一気に頭の中に映画のように

はっきりと映し出された…。

―‥コレって…

下を向いてしまった私を
不思議そうに見つめると

「七瀬?顔…赤いぞ?」

顔を覗き込むように言う。

⏰:07/08/28 00:55 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#51 [朔]
「あ…うん…何でもない。」

別に中山に
言われた訳じゃなくて
夢を見たってだけの話なのに

私は無性に恥ずかしくて
ポテトをただ食べるしか
出来なくて…

突然、顔を真っ赤にして
黙った私を中山はきょとんと
した顔で見ていた…。

⏰:07/08/28 01:03 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#52 [朔]
それから

私達はご飯を済ませると
ブラブラと街を歩いて
雑貨屋に入った。

可愛い小物がたくさん
置いてあるお店…。

中山は店に入る前に

「女ばっかりじゃないの?」

って嫌がってたけど…案外
楽しそうに小物を見てる。

⏰:07/08/28 01:06 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#53 [朔]
私は…というと
さっき思い出した夢が
頭から離れなくて

自然とシルバーアクセサリーの
置いてあるコーナーに
ついつい足を運んでしまう。

「これ…可愛い…」

目に入ったのは
クロスペンダント。

⏰:07/08/28 01:10 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#54 [朔]
それを手に置いてある鏡に
さりげなく合わせていると

「似合うんじゃない?」

後ろから中山の声がした。

「…!そ…そう?」

驚いて思わず声が裏返る。

⏰:07/08/28 01:14 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#55 [朔]
「…買ってやろうか?」

照れくさそうに顔を
真っ赤にしながら中山が言う。

―…いいのかな?

手に持ったまま
固まっていると

中山は私の手から
ネックレスを奪いレジに
持っていってしまった。

⏰:07/08/28 01:16 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#56 [朔]
店から出ると
中山はすっと立ち止まり

「ほら…やる!」

無愛想に買った品物を
投げ渡してきた。

落としそうになりながら
それを受けとると

「ありがと…う」

とりあえずお礼を言う。

⏰:07/08/28 01:21 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#57 [朔]
こっ恥ずかしくて
中山の顔をまともに
見れない私に

「あのさ…俺…」

来る!?告白来る!!??来るの!!???

……さぁどうぞ!!!

「好きなんだけど…七瀬が。」

⏰:07/08/28 01:24 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#58 [朔]
…来たぁぁ!!!!

生まれて初めての
男子からの告白!!!!

目の前が桃色になって
味わった事のない嬉しさが
胸にこみ上げて来た…。

「…ダメかな?」

ドラマや漫画で見る度に
告白されてみたいと憧れてた。

⏰:07/08/28 01:26 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#59 [朔]
「私も…中山が好き…」

もらったネックレスを手に
女の子らしく返事して…。

―私 中岡七瀬 16歳

生まれて初めての彼氏が
出来ました…。

めでたく両思いになって

私と中山はどちらかともなく
手を繋いで街を歩いた…。

⏰:07/08/28 01:30 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#60 [朔]
私は両思いになって
浮かれていたせいもあるのか

夢のお告げは当たる…

私は何だか他の人とは
違う素敵な能力を手に
入れているような気がして…

でも

…真実なんて
知らない方がいい事が多い
なんて気付かなかった…。

⏰:07/08/28 01:34 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#61 [朔]
楽しい時間は
すぐに終わる・・・

その言葉を始めて
実感した気がした。

「じゃ…また…」

私を家まで送ってくれると

名残惜しそうに伝えると
中山は家に帰って行った。

その姿を小さくなるまで
見送って足取りも軽く
家に入っていく。

⏰:07/08/28 01:55 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#62 [朔]
玄関を勢い良く開けて

「ただいまー!!」

明らかにいつもとは
違う声のトーンで
帰って来た事を

家族に告げてみても

…

……―返事はない。

⏰:07/08/28 01:59 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#63 [朔]
「…出かけたのかな?」

只今の時間 19:30

電気のついていない
リビングは静かで
何となく不安になる…。

父さんの帰る時間は
まだまだ先でいないとしても

凛と母さんが
いないのはおかしい…。

⏰:07/08/28 02:02 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#64 [朔]
歩きすぎて血豆が出来た
履きなれないミュールを

玄関に荒っぽく脱ぎ散らかす。

「…どこかに行くなら
ひと言ぐらい言ってよね!!!」

置いてけぼりを
くらったような気がして

誰もいないリビングで
寂しさを紛らわすように叫んだ。

⏰:07/08/28 02:05 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#65 [朔]
冷蔵庫を開けても
晩ご飯らしき物はない…。

母さんの携帯は電源が
入っていないし凛の電話も
繋がらない…。

リビングの電気とテレビも
つけてソファに座って

生の食パンをかじる。

味気のないパンを食べても
お腹は膨らんだ気にはならず

どうでもいい番組を
ただ見ていた。

⏰:07/08/28 02:11 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#66 [朔]
―…それから

1時間ぐらいして
母さんたちが帰って来た。

私は玄関のドアの前に立ち
文句の1つでも言ってやろうと
待っていると

―ガチャり

玄関が開くと
母さんに肩を抱かれ

凛が大粒の涙を流し
泣いている…。

⏰:07/08/28 02:22 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#67 [朔]
文句を言うのも忘れて
凛に近づくと

「ど…したの?」

私の顔を見るなり
凛は更に涙を流しながら
声を上げて抱きついて来た。

私は訳もわからずに
母さんを見つめてみても

言葉なく首を横に振る。

⏰:07/08/28 02:25 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#68 [朔]
「凛…泣いてても
わかんないよ…どうしたの?」

肩を抱き凛の顔を
覗き込むと優しく聞いた。

凛は声を上ずらせながら

「あお…ちゃんが…あ…
ひっく・・ひっ…あお…」

…あおちゃんて凛の一番の
友達だよね…?

⏰:07/08/28 02:27 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#69 [朔]
「昨日…一緒にプールに
行った子でしょ??」

母さんに視線をやり
聞いてみた…。

凛はもう涙で
ぐしゃぐしゃのまま
私に抱きついて
何が何だかわからない。

「凛…だか「亡くなったのよ。」

私の言葉を遮り
凛を慰めながら母さんが言った。

⏰:07/08/28 02:30 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#70 [朔]
今日の更新はここまでにします(^^*)
お付き合いありがとうございました!!

明日もよろしくお願いします♪

ご意見・感想は↓此方まで*´∀`*
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2576/

⏰:07/08/28 02:33 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#71 [朔]
>>69

「亡くなった?…何で?」

母さんと私の言葉に凛は
腰に回した手に力を込めると
さっきよりも大きな声で泣いた。

私は凛を優しく抱きしめる…。

「プールでね…
溺れたんですって…」

母さんは小さな声で
凛に聞こえないように言った。

⏰:07/08/28 12:11 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#72 [朔]
「溺れた…」

目の前が真っ白になって
この前…見た夢を思い出した。

"おねぇ…ちゃ…"

"足が…つか…"

水…泡…それから
凛の声が聞こえて…

"凛ーーー!!嫌ぁ!!"

ぐ…偶然よね…?

そんな簡単に夢で人が
死ぬなんてあり得ない…。

⏰:07/08/28 14:04 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#73 [朔]
体の体温が下がり
手に嫌な汗が滲んだのが
よく分かった…。

「私のせいじゃないよね…」

顔に出さないように
心で思いながら

私にくっついて離れない
凛を見つめていた…。

⏰:07/08/28 14:11 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#74 [朔]
「あおちゃ…あお…ちゃん」

母さんでもなく
私から離れようとせず

ずっと泣いている
凛の肩を抱きしめ
横目で静かに見ると

"まさか…凛の代わりに
あおちゃんが死んだなんて…
それはないよね?"

⏰:07/08/28 14:18 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#75 [朔]
そんな怖い事を考えると

小さく身震いして
さっきよりも凛を
強い力で抱きしめる

幼くして亡くなった
あおちゃんが天国に逝ける様に
心から願いながら…。

⏰:07/08/28 14:33 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#76 [朔]
―その日の夜

凛の友達の話が
あまりにもショックで

自分に彼氏が出来た喜びにあ
まり浸れずにいた私の
携帯が鳴った。

RRRRR…

「中山からメール…」

⏰:07/08/28 15:06 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#77 [朔]
本当なら彼氏が出来た事

すごく嬉しくて家族や友達に
自慢したいはずなのに…
なぜか素直に喜べない。

「中山との事だって
夢で見たんだよね…。」

これは夢の通りになった…。

⏰:07/08/28 15:11 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#78 [朔]
もしも

私が夢を無視して
中山の告白を受けなかったら
どうなってたんだろう…?

代わりに誰かが中山と付き合って
私がショックを受けた…とか?

携帯を握り締めて
メールマークを開く。

"電話してもいい?"

私はすぐに中山に返事をした。

⏰:07/08/28 15:16 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#79 [朔]
返事を返した途端に
中山は電話をかけてきてくれて

他愛ない話で盛り上がりながら
いつもと変わらない…でも

どこかお互い照れくさいのを
隠しながら話していた。

「今度はいつ会える?」

そう言った中山の顔が
頭に浮かんで少し笑えて
嬉しかった…。

⏰:07/08/28 16:28 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#80 [朔]
中山が私に会いたいと
言ってくれた事も

彼女になったんだと
感じた実感も

夢の事さえなければ

きっと

もっと幸せだと思った。

⏰:07/08/28 16:31 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#81 [朔]
8月28日(火曜日)

今日は嫌な夢を見た。

それは覚えているのに
内容をまた覚えてはいない…。

「…また」

だるい体を起こして
枕もとの時計に目をやると

時間は朝の 6:00

⏰:07/08/28 16:36 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#82 [朔]
朝日は徐々に昇って
少しずつ街を明るくしていく。

「どんな夢だったかな…?」

そう漏らすともう一度
眠りに落ちた…。

―♪〜♪〜♪

「ん…」

耳元で鳴るうるさい音で
さっきと同じ目覚めは悪い…。

⏰:07/08/28 21:53 📱:PC 🆔:PPHCjL6c


#83 [朔]
「もしも…し?」

寝ぼけながら携帯を取り
電話に出ると

「おはよ!ヒロだけどー!!」

同じクラスで仲良しのヒロからの
頼んでいないモーニングコール。

「…あ…どしたの?」

寝起きでうまく話せないまま
ヒロに聞いてみると

「今さーカラオケなんだけど
七瀬も来ない??」

⏰:07/08/28 21:57 📱:PC 🆔:PPHCjL6c


#84 [朔]
…カラオケってこんな朝早くから
開いてる?

そう思いながらも
自分の部屋の時計を見れば

時間はもう午後をとっくに
過ぎていた。

「…メンバー誰?」

寝ぼけていてもちゃっかり
メンバーを聞いて中山も
行かないかな…なんて考えてる。

⏰:07/08/28 22:00 📱:PC 🆔:PPHCjL6c


#85 [朔]
「メンバーは崎浜と上田と
中山と藍とあたしの5人!!七瀬が
来れるなら6人だね!!」

…―中山も来てるんだ。

「じゃぁ…着替えたら行くね。」

そう言って電話を切って
大急ぎで用意をすると

何だか暗い凛と母さんに
行き先も告げることなく
カラオケに走った。

⏰:07/08/28 22:03 📱:PC 🆔:PPHCjL6c


#86 [朔]
皆が待っている
いつものカラオケに着くと
とりあえず中山にメールを入れた。

すると5分も経たない内に
中山が照れくさそうに
外まで出て来てくれて…

「おっす…」

まだぎこちない挨拶を
交わすと店の中に入った。

⏰:07/08/28 22:06 📱:PC 🆔:PPHCjL6c


#87 [朔]
爆音で音楽の鳴る部屋に
入ると楽しそうに上田が

身振り手振りを大げさに
歌っている。

私は中山の隣に座ると
曲目本をペラペラと捲って

"皆に付き合ってるって
言ったのかな…?"

なんて1人でドキドキしていた。

⏰:07/08/28 22:09 📱:PC 🆔:PPHCjL6c


#88 [朔]
上田の下手くそな歌を
聞いて笑っていると
ヒロが隣に座った。

「七瀬は何歌うのー??」

爆音に負けないように
私の耳元でヒロが大きな声で
聞いてくる。

「今、決めてるー!!」

そう話す私の胸についている
ネックレスを指差すと

「可愛いねー!!」
と口の動きだけで言った。

⏰:07/08/28 22:13 📱:PC 🆔:PPHCjL6c


#89 [朔]
―…えへへ

私はヒロの言葉が嬉しくて
にんまりと笑って

隣にいる中山を指差すと

「中山が買ってくれた!!」

ヒロの耳元で叫んだ。

ヒロは一瞬、動きが止まると

「…なんで??」
不思議そうに聞いてくる。

⏰:07/08/28 22:15 📱:PC 🆔:PPHCjL6c


#90 [朔]
「何でって…」

付き合い始めた事を
ヒロに言っていいのか
戸惑っていると

藍がヒロを自分の方に
手招きするとマイクを
手渡して2人で歌い始めた。

―トントン

肩を軽く叩かれて
隣を振り向くと中山が
私を見て微笑んでいた。

⏰:07/08/28 23:08 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#91 [朔]
「…何?」

藍とヒロの歌に
負けないように中山に
大声で尋ねると

「出よう…」

とドアを指差している。

「うん…」

中山に頷いて2人で
うるさい室内から出ていく。

⏰:07/08/28 23:11 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#92 [朔]
クーラーが効き過ぎている
ロビーまで降りてくると

中山は備え付けてある
ソファに腰かけると

「カラオケ苦手…」

テーブルの上に顎を置いて
目線だけ私によこすと
ぼそっと呟いた。

「実は私も…」

なんて言いながら
中山の前に腰かけた。

⏰:07/08/28 23:17 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#93 [朔]
テーブルに顎を置いたまま
暑そうな外を店の中から見て

「俺ん家に来ない?」

…え!!??

「俺ん家って中山の家?」

そのまんまの言葉を
中山に聞き返す。

中山は私の言葉に

「まんまじゃん。」

プッと子供みたいな顔で笑った。

⏰:07/08/28 23:30 📱:PC 🆔:PQMm7PGM


#94 [朔]
私達は他の皆に
怪しまれないように

別々で部屋に戻ると
時間差で店を出て
中山の家に向かう。

「初めてだよ…
男の子の家に行くの…。」

恥ずかしくて俯きながら
中山に伝えると

少し驚いた顔をして

「なんか意外…」
微妙な答えが返って来た。

⏰:07/08/29 01:11 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#95 [朔]
「どういう意味よ…!」

軽く中山の体を叩いて
手を繋いで話しながら歩く。

それから

20分ぐらい歩いた場所に
中山の家はあった…。

「ち…近いんだ…ね?」

ヤバイ…緊張してきた…
声も裏返って明らかにおかしい。

⏰:07/08/29 01:16 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#96 [朔]
中山は私の手を引き
家の中にスタスタと入っていく。

ガチャガチャと
硬質な音を鳴らして
鍵を開ける。

「誰もいないとか…?」

少し遠慮気味に聞く。

警戒してるとか思われるのは
何となく嫌だったから…。

⏰:07/08/29 01:21 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#97 [朔]
私の質問に中山は

「…いないけど?」

あっけらかんと答える。

えと…どうだろう?

警戒していないと
言えば嘘になる。

でも中山は…そんな
つもりはないから…こんなに
普通なのかも知れないし…。

⏰:07/08/29 01:24 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#98 [朔]
頭の中がいっぱいで
混乱してくる…。

「入らないの?」

玄関で頭を抱えて
色んな事を考えている私に

中山が変な顔で声をかけてきた。

ハッと我に返ると

「あ!!入るよ!!お邪魔します!!」

靴をかかとから揃えて
家に上がった。

⏰:07/08/29 01:26 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#99 [朔]
「部屋は2階だから。」

女の子を家に上げるのが
慣れているような感じで

私を案内すると
自分は飲み物を持ってくるからと
台所らしき場所に行ってしまった。

1人で初めての場所の階段を
ゆっくりとドキドキしながら上り
中山の部屋で待っていた。

⏰:07/08/29 01:34 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#100 [朔]
―‥中山が入って来て
かしこまって待つ私を見て

「何で緊張してんの?」

そう笑うとお茶を手渡してくれた。

「初めてだから…緊張して。」

尋常じゃないぐらいに
心臓はバクバクで手に汗を
掻きまくって本気でヤバかった。

⏰:07/08/29 01:40 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#101 [朔]
「緊張って…ハハ」

からかうような意地悪な顔をして
中山は徐々に私に近づいて

私は緊張で後ずさりして
中山から逃げてしまう…。

トン―・・と
背中にベッドが当たった。

⏰:07/08/29 01:42 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#102 [朔]
「捕まえた…」

中山の初めて見る男の顔に
思わず目をつぶった瞬間…

―…え?

"マジで…何で中岡ぁ?"

"だから…処女だからでしょ?"

"ユウトはあたしが1番でしょ?"

私の頭の中に今朝見た夢が
一気に溢れ出した。

⏰:07/08/29 01:47 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#103 [朔]
>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200

アンカーです!

⏰:07/08/29 01:49 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#104 [朔]
今日の更新はここまでにします。

今日も読んでくれた
皆さん有り難うございました<(_ _)>

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2576/

感想・ご意見コチラです↑(^□^)

明日もよければ読んでください。

⏰:07/08/29 01:52 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#105 [朔]
>>102

何…これ?

"七瀬とはちょっとした遊びだよ"

―…ドン!!!

「やめて!!!!」

大きな声を出して
中山の体を思いっきり
突っ撥ねた。

⏰:07/08/29 13:23 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#106 [朔]
突然の事に中山は
目を丸くすると

「な…なに?」

戸惑いながら言った。

"何…今の…"

中山から目を逸らすと
思い出した夢を
考えていた…。

⏰:07/08/29 14:35 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#107 [朔]
「ご…ごめん…帰る!!」

バッグを手に取ると
急いで中山の家から出て行く。

「あ…おい!!七瀬!!?」

中山が私を
呼び止める声が聞こえても
振り向く事をせずに

蒸し暑い外へと飛び出した。

⏰:07/08/29 14:37 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#108 [朔]
とぼとぼと来た道を戻る…

ヒロに電話をしても
繋がらない…。

「…話しても信じて
なんかもらえないよね…。」

"夢で中山の浮気が発覚しました。
だから逃げました…"

そんな理由…誰が信じるだろ…?

⏰:07/08/29 14:42 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#109 [朔]
例えば

私に誰かがそんな話を
しても私は

きっと信じたりはしないと思う。

「…夢なのは分かってる。」

たかが夢でしょ?

そう言われてしまえば
それまでの話なのに…。

⏰:07/08/29 14:43 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#110 [朔]
何だか馬鹿らしくなって
笑いがこみ上げた…。

「あはは…しょうもなー…」

初めて出来た彼氏とは
もう終わりかも知れない…。

「もう…やだぁ…。」

今度は泣けてきて
小さな声で泣いた。

⏰:07/08/29 14:46 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#111 [朔]
「…」

後ろを振り向いても
中山は追っても来ない…。

「ハァ…」

大きなため息をついて
俯き歩き出した。

その時

RRRR…

⏰:07/08/29 16:59 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#112 [朔]
バッグから携帯を
取り出すと

着信が誰からなのかを
確かめる事もせずに
通話ボタンを押す。

「もーしもーし…?」

「…七瀬?」

ヒロだった。

⏰:07/08/29 17:00 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#113 [朔]
「あー…うん。」

いかにもやる気のない声で
電話に出ると返事する。

「ごめん、電話に
気が付かなかった。」

「…大丈夫。」

本当は
大丈夫なんかじゃない。

⏰:07/08/29 17:02 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#114 [朔]
「あのさ…七瀬
今まで誰といたの?」

ヒロは遠慮がちに聞く。

「…中山といた。」

私の返事にヒロは
黙ってしまった。

「…?何?」

何を黙ってしまう事が
あるんだろ…。

⏰:07/08/29 17:04 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#115 [朔]
私が聞きなおす…。

「中山って藍と
付き合ってるよ…?」

ヒロの遠慮がちな
苦笑いしてる顔が思い浮かぶ。

「…え?」

…夢の中で見た

中山の話し相手は"藍"

⏰:07/08/29 17:07 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#116 [朔]
「う…嘘?だって…」

昨日デートして
ネックレスもくれて
告白だって中山からして来た。

「嘘じゃないよ…七瀬さ
中山と藍には関わらない方が
いいと思うよ…?」

ヒロは優しくて
友達想いで自分の感情だけで
こんな事言うような子じゃない…。

⏰:07/08/29 17:12 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#117 [朔]
きっと本当に
関わらない方がいいんだと思う。

実際、学校でも
ヒロは私といつもいて

藍とはあんまり話したりしない。

「…関わらない方が
いいのは何で…?」

私の質問にヒロは
間を置くと

「あの2人が付き合ってるの
知ってる人は少ないと思うけど…
あんまりいい噂聞かないし…」

⏰:07/08/29 17:18 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#118 [朔]
「そうなんだ…」

何でヒロは知ってるんだろ…?

「こんな事いうの酷いかも
知れないけど…あの2人には
関わって欲しくない…。」

ヒロの真剣な声に
私も落ち着きを取り戻すと

「…うん、教えてくれて
ありがと…。」

⏰:07/08/29 17:22 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#119 [朔]
もしも

夢を見ないで

中山に体を任せていたら

今よりももっと
傷ついていたかも知れない…。

もしもなんて言葉は
馬鹿げているかも知れないけれど

私は自分の心の傷を
少しでも癒そうと
そんな事を考えていた…。

⏰:07/08/29 19:15 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#120 [朔]
ヒロと電話で
他愛ない話をしながら
歩いて自分の家に帰る。

その間にも

中山からのキャッチは
何度もかかっていた。

でも私は気にしながらも
電話に出ることはなく

私はヒロと話しながら
中山との付き合いを
断る為の言葉を探していた。

⏰:07/08/29 19:47 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#121 [朔]
―‥家に着いた事を
ヒロに告げて電話を切る。

その途端

中山に指定していた着信音が
大きな音で鳴った。

「…はい。」

昨日までの明るい声は
今の私にはない。

「あ…七瀬…?」

しらじらしく低い
落ち込んだ声で中山が言う。

⏰:07/08/29 19:49 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#122 [朔]
「うん…何?」

私も嫌な奴だなぁなんて
自分の事を思いながら

冷めた声で返事をする。

「今…どこ?てかさ…
何でいきなり帰るんだよ?」

中山の言葉に
わざとらしく大きなため息をついた。

⏰:07/08/29 19:52 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#123 [朔]
そして

「彼女に悪いでしょ?」

思いっきり嫌味を言うと
もう1度、ため息をついて黙る。

「…彼女って…お前だろ?」

…こいつはヌケヌケと。

「彼女は2人もいらないよ?
藍だけで充分でしょ?」

⏰:07/08/29 19:54 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#124 [朔]
これ程までの嫌味を
誰かに言ったのは初めてだ…。

私の言葉に

「藍…て何で…知って…あ!!」

…こいつ…墓穴を…。

「ネックレスも学校が
始まったら返す!!!
じゃぁーね!!!!!」

そう馬鹿な中山に
別れを告げて電話を切った。

⏰:07/08/29 22:34 📱:PC 🆔:jn5vcDT6


#125 [朔]
「あー!!!せーせーした!!!!」

大きな声で1人叫ぶと

玄関のドアに手を伸ばし
携帯を力いっぱい閉じ
ドアを開けて中に入る。

「ただいま…」

私の声に母さんが
リビングから出て来ると

「大きな声で何言ってるの?」
呆れた顔で言う。

⏰:07/08/30 01:40 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#126 [朔]
「別に…」

靴を乱暴に脱いで
階段を駆け上がり自分の
部屋に戻った。

―‥バタン!!

ドアを閉めると
バッグをベッドに投げつける。

「ハァァ…」
力ない声を出して
ドアにもたれかかると
その場にしゃがみ込んだ。

⏰:07/08/30 01:43 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#127 [朔]
それから1週間…

―‥夏休みが終わり
新学期が始まった。

9月4日(火曜日)

「おはよー」

「だるいねー…」

夏休みボケで皆のダルそうな
声が教室に飛び交う。

⏰:07/08/30 01:50 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#128 [朔]
私も眠い目をこすり
教室に入ると

窓際で眠気を誘う机に
カバンを置くと

雑誌をめくるヒロに近づく。

「おはよ。」

私の声にヒロも眠そうな
顔を私の方に向けると

「おはよー」
いつも通りに返事をした。

⏰:07/08/30 01:58 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#129 [朔]
中山とは
あの事があってから

1度も話をしていないし
目さえも合わない。

中山の彼女である藍も
私に話しかけようとしない…
けど別に困りはしないし辛くもない。

返せていないネックレスを
未だに持っているのが嫌だけど。

⏰:07/08/30 02:25 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#130 [朔]
―‥あと私はおかしな夢を
全く見なくなった

それは
中山との事があった日から。

原因が何かはわからない…
不思議とよく眠れる訳でもない。

「何だったんだろ…。」

雑誌がパラパラと
捲られていくのをボーっと
見つめながら呟いた。

⏰:07/08/30 02:29 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#131 [朔]
「何?何か言った?」

私の独り言にヒロが
返事をした。

「…何でもない。」

ヒロは私の言葉に
"ふーん"と返事をすると

また雑誌に視線を落とし
黙々と読み始めた。

⏰:07/08/30 17:47 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#132 [朔]
2人で雑誌を見ていると

私達の机のそばに
誰かが立つ気配がした。

「…?」

私とヒロが同時に顔を上げる。

「中山…」

ヒロではなく私のみを
上から見下ろす中山がいる。

⏰:07/08/30 17:50 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#133 [朔]
ヒロは雑誌をめくる手を止め
私の方を心配そうに見ている。

「ちょっといい?」

中山が遠慮がちに聞く。

"今さら何の話だよ…"

ハァとため息をつくと
ヒロに笑顔を向けて

「ちょっと行って来る。」

⏰:07/08/30 17:52 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#134 [朔]
中山の後に着いて
教室を出て行った。

―‥気まずい沈黙のまま
私達は廊下の奥に進んで行く。

「中山…何か話でもあるの?」

不機嫌な声で中山に声をかけて

スカートのポケットに
入れたままにしていた
ネックレスを握った。

⏰:07/08/30 18:49 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#135 [朔]
中山は窓際の
壁にもたれかかると

下に落としていた視線を
私の方に戻すと

「…なんか悪かったなって
思ってな…。」

―…。

「別に…もういいから。
あと…これ返すね…」

握ったままの手を
中山の方に差し出す。

⏰:07/08/30 20:19 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#136 [朔]
中山は不思議そうな顔で

戸惑いながらも
私の手の下に置くと
手を広げた。

―シャララ

きれいな音を鳴らして

中山の大きな掌へ
ネックレスを置く。

⏰:07/08/30 20:46 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#137 [朔]
「これ…」

ネックレスのチェーンを
持ち上げて窓から差し込む
光に照らす。

「…藍にあげれば?」

それだけ言うと

私は中山の方を見る事なく
足早に教室に戻った。

⏰:07/08/30 20:49 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#138 [朔]
胸が痛くないといえば…

それは嘘になる。

中山の事実を知らなければ
まだ好きでいたかも知れないんだし…。

「夢に感謝するべき…かな…」

なんて言いながら
教室に入るとヒロが
安心したような顔で笑った…。

⏰:07/08/30 22:16 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#139 [朔]
それから

1限目の授業が始まり

黒板の内容を
ノートに書き写す私に
強烈な睡魔が襲って来た。

―‥‥

「七瀬…すごい寝てる…」

ガタンと体が揺れて
目を開けると…

⏰:07/08/30 23:16 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#140 [朔]
私の前にヒロが座って
こっちを見て笑っている。

「…授業は?」

寝ぼけてヒロに聞くと
呆れた顔して

「終わってるよ…てか
よく寝てたね…?」

―…そんな寝てたっけ?

⏰:07/08/30 23:19 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#141 [朔]
「あー…」

頭を抱えて唸る。

まただ…夢の内容が
ぷっつりと途切れてる…。

「どしたの?調子悪い??」

様子のおかしい私に
ヒロが困ったように聞いた。

⏰:07/08/30 23:21 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#142 [朔]
「あ…ううん…大丈夫…
ちょっと…トイレ…」

ヒロにそう伝えて

ふらふらと
定まらない足取りで
トイレに向かう。

気分が悪い…

今にも吐きそうで
トイレに向かって小走りする。

⏰:07/08/30 23:25 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#143 [朔]
その時

私がトイレに入ろうとするのと
出て行こうとした人がぶつかった。

「あ…ごめん…」

なぜかはわからない…

今、ぶつかった人と
思いっきり目が合ってしまった。

⏰:07/08/30 23:28 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#144 [朔]
それは同じクラスの…

滝 柚亜

クラスに未だに
馴染めていない…
(ように見える人…)

「何だろ…」

横目で彼女を見送ると
私は個室に入り

胃の中身をキレイに
吐いてしまった。

⏰:07/08/30 23:33 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#145 [朔]
「ゲホ…おえ…」

…調子悪かったのかな?

便器を抱えて座り込む
私に聞こえるノックの音…。

―コンコン

無言のままドアをノックして
入っている事を知らせる。

⏰:07/08/30 23:36 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#146 [朔]
―コンコン

"誰だよ…入ってるって
合図したじゃん…"

それでもノックする
ドアの向こうに立っている人に

聞こえるように
大きくため息をついた。

その時

「中岡さん…大丈夫?」

⏰:07/08/30 23:40 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#147 [朔]
静かな落ち着いた声…

誰だろ…
ヒロの声じゃないよね?

「えっと…大丈夫…」

ゆっくりと立ち上がり
ドアをそっと開ける。

そこには、滝さんが居た。

⏰:07/08/30 23:42 📱:PC 🆔:UAfIJH26


#148 [朔]
「滝さん…だったんだ…。」

彼女とは初めて話す。

私の戸惑いを含んだ言葉に
彼女は少し微笑むと

「何か調子悪そうだったし。」

私にハンカチを差し出した。

⏰:07/08/31 00:15 📱:PC 🆔:4usHpJ8g


#149 [朔]
洗面台の前に立ち
水道で口をゆすいで

鏡に映る滝さんに

「…よくわかったね?
私が調子悪いって…」

そう言った私の言葉に

「さっき…見たから…」

意味深な言葉を残して
トイレから出て行ってしまった。

⏰:07/08/31 00:24 📱:PC 🆔:4usHpJ8g


#150 [朔]
「見たって…何を?」

後ろを振り返ると

とっくに教室に戻っている
彼女に聞こえない質問をした。

⏰:07/08/31 00:40 📱:PC 🆔:4usHpJ8g


#151 [朔]
―‥2限目が始まり

まだムカムカする胃を
押さえながら教室に戻った途端
チャイムが鳴った。

2限目は数学

また寝ちゃうかも…なんて
考えていると後ろの席の子に

背中をつつかれて振り返る。

⏰:07/08/31 00:44 📱:PC 🆔:4usHpJ8g


#152 [朔]
「これ…ヒロから…」

先生に聞こえないように
小さく折りたたんだ手紙を
そっと手渡してくれた。

前の席の子の背中で
分からない様に手紙を広げて
ヒロからの手紙を見る。

中身を読まなくても
大体、内容は分かってるけど…。

⏰:07/08/31 00:47 📱:PC 🆔:4usHpJ8g


#153 [朔]
「…」

やっぱり私の体調を
心配してくれてる手紙…。

私はヒロの方を振り向くと

親指を立てて
少し古いジェスチャーで
大丈夫という事を伝えた。

その時

ちょうど滝さんとも
目が合って軽く会釈した。

⏰:07/08/31 01:34 📱:PC 🆔:4usHpJ8g


#154 [朔]
滝さんは私の会釈に
優しく微笑んでくれた。

"私…滝さんを
誤解してたかも…"

ちょっと親切にされたからって
私も調子のいい奴だな…
なんて考えながら

今度は真面目に授業を受けた。

⏰:07/08/31 16:13 📱:PC 🆔:4usHpJ8g


#155 [朔]
それから

2、3、4限目が
ようやく終わって
お弁当の時間…

「ねぇ…さっき…
滝さんと何かあった?」

ソーセージをほうばる私に
ヒロが怪訝な顔で聞いた。

⏰:07/08/31 16:19 📱:PC 🆔:4usHpJ8g


#156 [朔]
「何って…別にないけど。
さっきは何も言わなかったのに
どうしたの…いきなり…」

私の言葉にヒロは
顔を赤くして俯いた。

「ちょっとだけ気になって…」

ヒロがこんな事言うのは
珍しい…。

⏰:07/08/31 16:22 📱:PC 🆔:4usHpJ8g


#157 [朔]
「トイレで吐いちゃった私に
滝さんがなぜか…気付いてハンカチ
貸してくれただけだよ?」

本当に不思議だった…

私とトイレの入り口で
すれ違っただけで…

私の体調が悪いって気付いたなんて。

⏰:07/08/31 16:24 📱:PC 🆔:4usHpJ8g


#158 [朔]
「そう…なんだ…」

ヒロは曖昧な顔で返事をして
黙々とお弁当を食べ始める。

「…?」

ヒロの態度が気になったものの
特に深く追求することなく
私も残りのお弁当を食べた。

⏰:07/08/31 18:53 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#159 [朔]
お弁当を食べ終わって

私とヒロはいつものように
雑誌を広げて盛り上がっていた。

「これならピンクでしょー!」

「この服が男にうけるのー!!」

とか…

高すぎて手が出せそうにない
流行の服で話すのが楽しいだけ。

⏰:07/08/31 18:56 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#160 [朔]
そんなくだらなくも
楽しい話をしている時にも

私は滝さんを目で追ってしまう。

「…」

滝さんはいつも1人で休み時間も
お弁当の時間も過ごしている。

別に嫌われている訳でも
いじめられている訳でもないのに…。

⏰:07/08/31 18:59 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#161 [朔]
「七瀬…滝さんが気になる?」

ヒロが首を傾げて
私の顔を覗き込む。

「うーん…気になるっていうか
何でいつも1人なのかなぁって
思ったんだよねぇ…。」

私が言った言葉にヒロも
窓際の席で1人本を読む

滝さんに視線をやる。

⏰:07/08/31 19:03 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#162 [朔]
「確かに…1人だよね?」

聞こえるか聞こえないかの
声のボリュームでヒロが言った。

それに返事をするように

「滝は1人が好きなんだって!」

声が聞こえた方へ2人で
顔を上げるとそこには
クラスメイトの菜穂が立っている。

⏰:07/08/31 19:06 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#163 [朔]
「菜穂…」

菜穂は私とヒロの間に
椅子を持って来て座ると

「これ今月号でしょ?
一緒に見てもいい!!??」

菜穂はいつも騒がしくて
ちょっと苦手…だけど

ヒロと苦笑いで顔を見合わせ
3人で雑誌を見る事にした。

⏰:07/08/31 19:09 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#164 [朔]
ペラペラと雑誌を捲りながら
3人で話していると

菜穂が何をきっかけに
思い出したのか…

「あ…ねぇ…最近さ…
通り魔がここらへんに
出没してるらしいよ…」

菜穂が眉をしかめて言う。

⏰:07/08/31 19:12 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#165 [朔]
「通り魔…?」

菜穂の言葉に
私はゴクっと喉を鳴らした。

「あぁ…新聞に載ってたかも」

ヒロが思い出したように言った。

菜穂は少し楽しそうに
興奮した感じで

「被害者は女ばっかりで
時間は18時から21時が
出没率が高いらしいよ」

⏰:07/08/31 19:15 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#166 [朔]
…菜穂は何が嬉しいのか
不謹慎にテンションが高い。

「怖…捕まってないんだ…」

自分の両手で肩を
包み込んで震えるふりをした私に

「七瀬は…塾とか行ってないし
この時間は大丈夫じゃない?」

ヒロが優しく微笑み言った。

⏰:07/08/31 19:19 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#167 [朔]
…確かに出不精だし
夕方とか夜はあまり出歩かない。

「そういや…そうだね!」

アハハとヒロと2人で笑い合う。

「私…塾に行ってるけど
大丈夫だろうけどねー!!
いざとなったら叫ぶし!!!」

ガハハと大きな声で
菜穂が笑って見せた。

⏰:07/08/31 19:22 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#168 [朔]
私とヒロも菜穂につられて
笑っていると

"キャ…ヤダ…!!!"

"来ない…で…よ!!誰か!!"

"…あ…嘘…でしょ…"

さっき見た夢の映像が
また突然、途切れて頭の中に流れた。

⏰:07/08/31 19:25 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#169 [朔]
…―ガタ

椅子から落ちそうになって
思わず机を掴み体を支える。

「ど…したの?」

目を丸くしてヒロと
菜穂が聞いてきた。

…何よ…これ…

頭の中に見えた映像は
ノイズが混じり
はっきりとは分からなかった…

⏰:07/08/31 19:29 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#170 [朔]
「…あ…のね…」

不思議そうな顔で
私を見る2人に

今、自分に起きた事を
話そうとした時…

「中岡さん…」

滝さんが私の名前を
突然、呼んだ。

⏰:07/08/31 19:36 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#171 [朔]
「滝さん…どしたの?」

私を見つめる滝さんは
悲しそうな顔をしている。

「ちょっと…いい?」

ヒロと菜穂は顔を見合わせ
2人で同時に私を見た。

「あ…うん…いいけど…」

今日はやたらと人に
呼び出される日だななんて
考えながら滝さんに着いて行く。

⏰:07/08/31 19:39 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#172 [朔]
ヒロと菜穂の視線を感じながら
教室の外に出ると

滝さんは険しい表情のまま
窓の外を指差すと

「屋上行かない?」

「…うん」

滝さんの言葉にただ
従って屋上へと向かう…。

⏰:07/08/31 23:05 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#173 [朔]
2人で屋上への階段を上り

錆び付いた扉を開けて
蒸し暑い外の空気を吸う。

「何か…私に用事?」

とりあえず昼休みも
そんなに長くはないから

私から話を切り出してみる。

「…」
沈黙のまま奥へと歩いていく。

⏰:07/08/31 23:08 📱:PC 🆔:qkEg9TSM


#174 [朔]
手すりの近くまで来ると
彼女は私を振り向き

「中岡さんも…ドリーマー
なんでしょ?」

…―ヘ?ドリ…マ…?

「ドリーマーって何??」

滝さんの意味不明な言葉に
私はポカンと口を開ける。

⏰:07/09/01 01:02 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#175 [朔]
滝さんは私の質問に
少し困った顔をすると

「夢を渡り歩く人…」

―‥更に意味不明

「夢を…渡り歩く…?
滝さん…何言ってるの?」

おかしな夢は見ている…
それは事実。

だけど夢は夢でしょ?

⏰:07/09/01 01:04 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#176 [朔]
状況と滝さんの言葉を
理解できない私は

強く吹きつける風に
たなびく彼女の長い髪を見ていた。

「さっき…トイレで吐いてた
でしょ?」

滝さんの言葉は続く…

「あぁ…うん…」

⏰:07/09/01 01:07 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#177 [朔]
「あれもね…夢で知ったの…
同じクラスのドリーマーの
体調が悪いって…」

―……へぇ

「そうなんだー!!」

とりあえず棒読みでも
何でも話を合わせておかないと
後々、痛い目に合わされるかも…。

⏰:07/09/01 01:10 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#178 [朔]
私の心のこもらない言葉に
滝さんは目を伏せると

「こんな話を信じろって言う方が
無理よね…ごめん…」

悲しそうに謝ってくる。

…信じないっていうか
突然すぎる話に頭がついていかない
っていうか…

困惑する私に滝さんは

「さっき中岡さんが見た夢…
あれは…2人には黙っておいた
方がいいと思う…」

⏰:07/09/01 01:14 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#179 [朔]
「どうして?」

私の言葉に滝さんは
手すりの剥げている部分の
錆をガリガリと爪でこすると

「夢は例え、回避しても
別の形で必ず現実となる…から…」

それって…つまり

「中岡さんが見た夢は通り魔の
夢…2人のどちらかが襲われるわ…
それを回避しても別の犠牲者が出る。」

⏰:07/09/01 01:25 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#180 [朔]
滝さんの淡々と話す言葉に
私は寒気さえ覚える…

「…そんなやめてよ…
縁起でもない…」

私は疲れていて少し
後味の悪い夢を見ているだけ…。

そう思いたい。

だってそうじゃなきゃ
中山の事も凛の友達の事も…
つじつまが合ってしまうから…。

⏰:07/09/01 01:28 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#181 [朔]
「夢で終わらせるなら
それでいいと思う…誰かが
傷つくのは絶対だから…」

冷めた瞳で私を見つめ
それだけ伝えると

滝さんはさっさと屋上から
出て行ってしまった。

「そんな…傷つくなんて
どうして…」

私は滝さんの言葉を
信じていいのかわからないまま

自分も教室に戻った。

⏰:07/09/01 01:32 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#182 [朔]
教室に着くと

ちょうどチャイムが鳴り
先生が教室に入って来た。

「ヒロ…気にしてるよね…」

チラッと肩越しにヒロを
振り向いてみると

頬を膨らませて
私をじっと見ている。

"やっぱり…"
今度は私がヒロに手紙を書く。

⏰:07/09/01 01:41 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#183 [朔]
「ごめん…ヒロに渡して…」

先生に見られないように
ヒロに手紙を回してもらい

ノートを広げて書くのは
黒板の字ではなくて
滝さんの言葉だった…。

『ドリーマー 夢を渡り歩く????
意味不明 滝さん 通り魔』

それこそ意味不明な私にしか
わからない言葉がノートを埋めていく。

⏰:07/09/01 01:44 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#184 [朔]
さっきの言葉を信じるべきか

それとも

ヒロ達に話して
一緒に笑い話にするべきか…

"うぅー!!!"

ノートにグルグルと円を
書きなぐり頭を抱えた…。

⏰:07/09/01 01:47 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#185 [朔]
少しして背中をつつかれて
ヒロからの手紙が回って来た。

内容はあっけなく

『滝さんと何話してたの??
菜穂と2人にしないでよ!』

―…そうだった…ヒロは
菜穂が私以上に苦手だったんだ。

「何の話って…言われても…」

もしも…何も起こらなければ
それはそれでいい事だけど…

⏰:07/09/01 01:52 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#186 [朔]
本当に滝さんの言葉通りに

通り魔にヒロと菜穂の
どちらかが襲われてしまったら…

夢を見て知らん顔した私が
一番…ひどい人間になって
しまうんじゃないかって考える。

"いずれは現実になる…"

その言葉も滝さんの話も
信じたくはなかった。

⏰:07/09/01 01:57 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#187 [朔]
とりあえず

ヒロにした返事は

『体の調子を聞いてくれただけ…』

夢の話はやっぱり言えなかった。

私はもう1度だけ滝さんと
ちゃんと話そうと決めると

彼女にも手紙を書いた。

⏰:07/09/01 02:03 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#188 [朔]
―…HRも終わり

みんなそそくさと帰っていく中
私はヒロに用事があると伝えて

誰もいない教室で1人滝さんを待つ。

教壇に立って黒板に
思いついた言葉を書いていると

「何の呪文…?」

背後から滝さんの声が聞こえた。

⏰:07/09/01 02:38 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#189 [朔]
黒板に書いた文字が
何だか恥ずかしくなって
すかさず消すと滝さんと向き合う。

「あの…さ…」

私の質問が分かっているのか

滝さんはどうぞと言わんばかりに
私に掌を差し出してきた。

「滝さんの話を…信用しても
いいのかなって…私が見た通り魔の
夢の話…本当なの?」

⏰:07/09/01 02:45 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#190 [朔]
彼女はハァと小さく息を漏らすと

「2〜3日待てばきっと私の
話が嘘じゃないって証明されるはずよ?」

「…それって被害者が出れば
分かるって事…?」

彼女の軽率な言葉に
私を怒りを込めて聞いた。

睨む私を無表情で見つめ

「それが一番…てっとり早いでしょ?」

また冷たい言葉を吐いた。

⏰:07/09/01 17:31 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#191 [朔]
私は握った拳に力を込め

「…それじゃ遅すぎる!!
誰かが傷つくと分かっているのに
ただ見てるだけなんて…」

知らない間に溢れた涙が
頬に伝い流れる…。

「中岡さん…彼から
一度…忠告を受けたはずよね?」

そばにあった机に
腰をかけながら彼女が聞いた。

⏰:07/09/01 17:36 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#192 [朔]
―‥‥忠告?

「何…それ?知らない…」

首を横にふり否定する。

「覚えてないってわけね…
まぁいいわ…いずれ彼とは
また会う事になるでしょ?」

話が全く見えないまま
彼女は1人呟くと

「1つだけ夢を回避する方法が
あるわよ…」

腕を組み彼女が言う。

⏰:07/09/01 17:39 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#193 [朔]
「教えて!!どうするの?!」

彼女に近づき
その方法を聞いてみる…。

伏せていた目をゆっくりと
開き私を見つめて

「私か中岡さんが被害者に
なれば他の誰かが傷つく事は
回避出来る…」

―…え?

彼女の言葉に冷たい汗が
背中に伝った気がした。

⏰:07/09/01 17:45 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#194 [朔]
動きの止まった私に

「それしかないわ…
どうする?」

どうするって…言われても
誰も傷つかない方法って訳じゃない。

私か…滝さんのどちらかが
傷を負う事になってしまう…。

「死なないよね…?」

恐る恐る彼女に聞く。

⏰:07/09/01 17:50 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#195 [朔]
「それはわからない…
死なないなんて保障はどこにも
ないわ…」

さっきと変わらずに
淡々と恐ろしい事を話す。

「…わかった。」

彼女は私の言葉に焦りを
見せるように顔を上げる。

⏰:07/09/01 17:57 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#196 [朔]
「じゃ…」

彼女の目を
真っ直ぐに見つめると

「私が被害者になる…」

誰かが傷つくのを
見ているなんて出来ない…。

それなら

いっそ私が通り魔と向き合って
どうにか怪我を回避できれば…。

⏰:07/09/01 17:59 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#197 [朔]
「本当にいいのね?」

滝さんが見せる戸惑いの言葉に
私は迷う事無く強い眼差しで頷いた。

―‥きっと大丈夫

そんな根拠のない自信を胸に

私達は夢で見た場所に向かった。

⏰:07/09/01 18:02 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#198 [朔]
――その場所は

意外に学校から近く
歩いて30分もかからなかった。

「ここ…?」

辺りはまだ暗くもなく
人が全くいない訳じゃない。

滝さんは何かを考えるように
スタスタと1人歩いていくと

道の端っこを指差した。

⏰:07/09/01 18:06 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#199 [朔]
「…ここで斬りつけられて
倒れてた映像が見えた」

その場所に大きく円を
描くようなそぶりを見せ言った。

「ここ…」

私が見えたのは場所や
人じゃなくて

誰かに襲われている時の
情景そのもので…。

⏰:07/09/01 18:09 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#200 [朔]
「…でもどうして…滝さんは
ヒロか菜穂が襲われるって
分かったの?」

…ふいに浮かんだ疑問

「…それは言えない。」

彼女は口をつぐみながら
眉をしかめて黙ってしまった。

「…そっか」

よほど言いたくないのか
彼女は目を伏せて黙った。

⏰:07/09/01 18:12 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#201 [朔]
―‥‥気まずい空気が流れる

私達は夢で見た現場を
ウロウロと探索していた。

私が通り魔に襲われるのは
確定していて…

逃げれば他の誰かが襲われるなんて
本当に逃げ道のない最悪な出来事

そんな言いようのない恐怖心が
胸の中を埋め尽くしている。

⏰:07/09/01 18:18 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#202 [我輩は匿名である]
>>170-200

⏰:07/09/01 18:22 📱:P903i 🆔:V1FFM6Bk


#203 [朔]
私の震える手を
彼女は優しく握ると

「…今日は現れないかも」

物陰に隠れて辺りを見回すと
彼女が小さな声で呟いた。

「…分かるの?」

声なく頷くと私を
柔らかな笑顔で見つめて

「夢で見た時間は
もう少し明るかったし
雨が…降り始めてた…」

―…雨?

⏰:07/09/01 18:23 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#204 [朔]
>>202

我輩は〜さん>アンカー感謝します(^-^)

⏰:07/09/01 18:24 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#205 [朔]
>>203

彼女の言葉に空を見上げると
オレンジ色と紫色が入り混じった
雲ひとつない天気で…

「雨は降りそうにないね…」

私の言葉に彼女は腰を上げて
お尻についた泥を払い落とすと

「…明日か明後日ね。」

そう言って約束らしき事を
言うとあっけなく帰ってしまった。

⏰:07/09/01 18:29 📱:PC 🆔:U6E0oiUc


#206 [なつ]
気になるよお
頑張ってね〜

⏰:07/09/01 21:24 📱:F703i 🆔:LNr6Zr9o


#207 [朔]
>>206

なつさん>レス有り難うございます(^∇^)
更新頑張るのでお付き合いお願いします!

>>205

‥―私もあの後すぐ家に帰って
いつも通りの家族との団欒

もしかすると

近い内に怪我をして
家族に迷惑をかけてしまうかも
なんて考えると

ささいな会話さえも大事になる…。

⏰:07/09/01 22:09 📱:PC 🆔:NT/WIDOk


#208 [朔]
私はとんでもない作戦を
立ててしまったんだと
改めて後悔してしまった…。

「お姉ちゃん…どしたの?」

箸がすすまない私を凛が
心配そうな顔で見つめる。

「…何でもない」

凛に曖昧な笑顔を返すと

ほとんど食べられなかった
夕飯を後に自分の部屋に戻った。

⏰:07/09/01 22:19 📱:PC 🆔:NT/WIDOk


#209 [朔]
階段を上る足取りも重い…

「…ハァ」

肩をがっくりと落とし
大きなため息をつくと

ベッドに体を
投げ出して寝転がる。

「…夢なんて所詮は夢でしか
ないと思っていたのに」

こんな事になるなんて
思いも寄らなかった。

⏰:07/09/01 22:22 📱:PC 🆔:NT/WIDOk


#210 [朔]
見慣れた天井を見つめ

明日の事を考えながら
私はまた眠りに落ちていた。


‥―きっと私は今日も夢を渡り歩く
見てはいけない未来の扉を開く為に…

⏰:07/09/01 22:26 📱:PC 🆔:NT/WIDOk


#211 [朔]
>>1-100
>>101-200
>>201-300

⏰:07/09/01 22:27 📱:PC 🆔:NT/WIDOk


#212 [朔]
9月5日(水曜日)

「七瀬!!遅刻するわよ!!
起きなさい!!」

―‥‥あれ…いつの間にか
寝ちゃってたんだ?

母さんの声に目が覚める。

「ほら…遅刻しても
知らないわよ!!」

カーテンからの光が眩しくて
目を細める。

⏰:07/09/01 23:04 📱:PC 🆔:NT/WIDOk


#213 [朔]
「はぁい…」

ダルイ体を起こし

両手でこめかみを押さえて
眠い目をゆっくりと開ける。

夢を見ているせいなのか…

どんなに眠っても
眠った気になれず
頭はボーっとしている…。

⏰:07/09/01 23:33 📱:PC 🆔:NT/WIDOk


#214 [朔]
顔を洗い目を覚まさせると

学校へと向かう準備をして
リビングへと降りていく。

大きなあくびをする私に

「おはよう!」

凛が爽やかに挨拶する。

「…おはよ」

凛にダルそうな声で
返事をした時…

⏰:07/09/01 23:52 📱:PC 🆔:NT/WIDOk


#215 [朔]
"凛ちゃん…!!"

"バスケットゴールが
錆びついていて…"

「……!!!」

さっき見た夢が頭の中に
映像となって流れていく…

だけど

"夢は例え、回避しても
別の形で必ず現実となる"

⏰:07/09/02 00:01 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#216 [朔]
滝さんの言葉が頭を
掠めていく。

でも無視は出来ない…

妹が大怪我をするかも知れない。

そう思うと
滝さんの言葉は何の意味も
持たなかった…。

⏰:07/09/02 00:07 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#217 [朔]
「凛…あんた体育とか
今日あるの?」

私の突拍子のない質問に
凛は目を丸くして

「あるけど…それが何?」

「バスケとかじゃないよね?」

言葉を続ける私に
凛は更にきょとんとする。

⏰:07/09/02 00:51 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#218 [朔]
「…バスケだよ?」

…やっぱり

「いい?体育は休みなさい!
絶対よ…約束ね!!」

凛が素直に私の言葉を
飲み込むとは思えない…。

「意味わかんない…ママ
学校行って来るね?」

私を横目で見ると
凛は玄関から出て行ってしまった。

⏰:07/09/02 00:55 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#219 [朔]
「…凛」

私は両手で自分の体を
ギュウと抱きしめると

ゆっくりと閉まる玄関の
扉を見つめて凛の名前を呟いた。

"何もなきゃいいけど…"

凛が怪我を回避しても
きっと誰かは怪我をする…

その事実に胸が痛んだ。

⏰:07/09/02 00:59 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#220 [朔]
凛が学校に出て行って
すぐに私も学校に向かう。

―あぁぁ…ダルイ

朝から何度目だろう
この台詞…

蒸し暑い中でバスを待つのは
寝不足の体にはキツくて

停留所の柱にもたれかかり
バスを待つ私の肩をポンと誰かが叩いた。

⏰:07/09/02 01:10 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#221 [朔]
「…ん?」

気配のする方へと
振り向くとそこには

滝さんが微笑んでいた。

「おはよう…このバスは
1本遅らせた方がいいわよ。」

「…え?」

彼女の言葉の意味を
私はすぐ後に思い知る事になった。

⏰:07/09/02 01:13 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#222 [朔]
バスが到着して…

乗り込もうとする私の手を
滝さんは引っ張ると

無言のまま険しい顔で
顔を横に振った。

「遅刻する…よ?」

備え付けのベンチに座り
携帯をいじり始める滝さんの
隣に仕方がなく座る。

⏰:07/09/02 01:16 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#223 [朔]
バスは私と滝さんを
停留所に残したまま
発車してしまった…

私は何も言わない滝さんと
小さくなって行くバスを見て

次のバスの時間を調べる。

「ハァ…遅刻だね?」

隣に座った私の言葉に

「痛い目見るよりマシでしょ?」

⏰:07/09/02 01:19 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#224 [朔]
そんな言葉を呟いて
また携帯をいじり始める。

「…痛い目って…まさか
あのバス…?」

「事故するのよ…大した
事故じゃないけどね…」

―…ちょっと待ってよ

「私に言ってる事と滝さんが
やってる事が違うんじゃない?」

⏰:07/09/02 01:22 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#225 [朔]
ベンチから立ち上がり
滝さんをきつい言い方で責める。

「…どうして?」

私を下から睨むと
滝さんも冷たい口調で聞いた。

「回避すれば別の形で現実に
なってしまう…大した事故じゃないなら
私達も乗っていればよかったのに!!」

私の言葉に滝さんは
呆れたようにため息をした。

⏰:07/09/02 01:27 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#226 [朔]
「大した事故じゃないから
回避したのよ…」

どういう事…?

「意味が…」

「分からないならいいわ。
バスももうすぐ着くはずよ?」

こちらに向かって来るバスを指差すと
彼女は無表情のまま黙ってしまった。

⏰:07/09/02 01:32 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#227 [朔]
今日はココまでにします!!
お付き合い有り難うございました(^∀^*)

感想・ご意見此方まで↓
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2576/

=朔=

⏰:07/09/02 01:34 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#228 [朔]
>>226

私達は到着したバスに乗って
遅刻確実で学校に向かった。

隣同士に座っても
私達は終始、無言のままだった。

―‥‥学校に着いて

もう既に授業が
始まっている教室に入る。

⏰:07/09/02 10:52 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#229 [朔]
扉が開くと静かに授業を
受けていた皆が一斉に
こちらを振り向く。

すると

黒板に字を書いていた手を止め
先生が私達に言った。

「事故には
巻き込まれなかったのか?」

…私と滝さんは一瞬だけ
目を合わせると静かに頷いた。

⏰:07/09/02 19:37 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#230 [朔]
「そうか…運が良かったな」

それだけ言うと
先生は授業を再開した。

"私達の代わりに事故に
巻き込まれて学校に来ていない
生徒がいるんだ…"

しらじらしい顔で
自分の席に着く滝さんが

少し恐ろしくなった…。

⏰:07/09/02 19:40 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#231 [朔]
―…授業が終わりヒロが
一目散に私の所へ駆けてくる。

「事故…大丈夫だった!?七瀬
…滝さんと一緒に来たの…?」

眉をへの字に曲げて
少し興奮した様子で聞いてくる。

昨日の事があって
何となく気まずくてヒロの
目を見る事が出来ない…。

⏰:07/09/02 21:31 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#232 [朔]
「たまたま…バスが一緒
だったんだよね…」

視線を下に落としながら
話す私の言葉に

「ふーん…たまたまか…」

ヒロは何かを言いたげな顔で
私を見ていた。

⏰:07/09/02 22:00 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#233 [朔]
"ヒロ何か態度がおかしい
んだよね…"

避けられてるとかじゃなくて
嫌がられてるとかでもなく

はっきりとは分からないけどヒロが
何かを私に隠しているような気がした。

それは滝さんと私が
昼休みに抜け出した時から
ヒロの態度がおかしくなった。

⏰:07/09/02 23:49 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#234 [朔]
違和感を感じながらも
ヒロとは行動を共にし

何事もないふりをして
放課後の憂鬱な時間までを過ごした。

―……

「…仲良しさんとは
ぎくしゃくしてるみたい
だったけど大丈夫?」

放課後になって待ち合わせ場所に
着いた私に彼女が言った。

⏰:07/09/02 23:57 📱:PC 🆔:fQxO.6Yo


#235 [朔]
「…さぁね」

強気な態度で彼女の
嫌味に返事をした。

「…まぁどうでもいいけど」

彼女は相変わらず
冷たい目で私に言うと

通り魔の出現スポットに
2人で向かった。

⏰:07/09/03 00:11 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#236 [朔]
天気は曇り…

今にも暗い色の雲から
雨が降り出しそうな空

空を見上げてため息をついた。

「…今日通り魔が
出て来るかも知れないわね?」

その言葉に体が強張る…

彼女に視線をやると
私を怪訝な表情で見つめていた。

⏰:07/09/03 00:19 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#237 [朔]
―‥‥

手に嫌な汗を掻きながら
恐怖で飛び出しそうな心臓を押さえ
通り魔が出現するのを待つ。

それは本当に嫌な時間…

空がどんどん暗くなり
突然、冷たい水の滴が
私の頭上に落ちてきた。

⏰:07/09/03 00:25 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#238 [朔]
パラパラと小降りだった雨が

徐々に勢いを増して
私達をずぶ濡れにしていく。

「…」
「…」

どれ程の時間

ここで恐怖に怯え会いたくもない
待ち人を待ち続けたんだろう…。

⏰:07/09/03 00:32 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#239 [朔]
「ね…本当に…「シッ!」

寒さにこごえながら
震えた声で話そうとする
私の言葉を遮ると

彼女は口元に指を立てて
静かにするように合図した。

…?

彼女が息を殺し
険しい顔で見つめる先には…

⏰:07/09/03 00:35 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#240 [朔]
"何…あの人…"

雨の中

傘を差さず
黒いフードをかぶり

ポケットに手を入れ
うろうろする挙動不審な
人が見えた…。

⏰:07/09/03 00:39 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#241 [朔]
「…あの人…」

彼女を見つめ視線を送ると

彼女は何も言わずに
深く頷いた…。

"あれが…通り魔…"

喉を上下させて
生唾を飲み込むと

バッグからカッターを出した。

⏰:07/09/03 00:44 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#242 [朔]
カチカチ…

手に持ったカッターの
刃をゆっくりと音を立てずに出す。

「持って来たの…?」

彼女の言葉に声なく頷いた。

その時…

カッターを強く握ると
前に出て行こうとした私の目に
向こうから歩いてくる赤い傘が見えた。

⏰:07/09/03 00:47 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#243 [朔]
"嘘でしょ…こんな時に…!?"

私と彼女は目を合わせ

通り魔らしき人物に
視線を戻した。

その人物はフードを深く
かぶり直すような仕草を見せ

ポケットに手を突っ込んだまま
その傘の方に向かって歩き出した。

⏰:07/09/03 00:52 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#244 [朔]
「行かなきゃ…!!」

そう言って焦ったまま
私は彼女の制止を振りきり

その人物を追って
とにかく走った…。

"ここでけが人が出るのは
絶対に嫌…"

水溜りを蹴って
その人物へと向かって行く。

⏰:07/09/03 01:21 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#245 [朔]
―…‥ドン!!

雨の中

泥まみれになりながら
その犯人と思われる人物に
体当たりをする。

体勢を崩し前へと倒れこむ
犯人に馬乗りになって

そのフードを剥ごうとした時…

その犯人の体に妙な違和感を感じた。

⏰:07/09/03 01:29 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#246 [朔]
「あんた…」

フードに手をかけた私を
自分の体の上から振り落とし

地面に尻餅をついた私を蹴って
犯人はふらつきながら逃げて行った。

「…ちょ…待ちなさ…」

急いで追いかけようとした私に

「…それより」

目の前で起きた出来事に腰を抜かし
座り込む女性に声をかける。

⏰:07/09/03 01:34 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#247 [朔]
「大丈夫…?」

下を俯いたままの女性は
滝さんの声に顔を上げた。

雨が降りずぶ濡れの女性は…

「七瀬…」

涙なのか雨なのか目を伏せながら
私の名前を呼んだのは菜穂だった。

⏰:07/09/03 01:37 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#248 [朔]
「…菜穂」

目を丸くしたと思うと
私の顔を見るなり

「七瀬ー!!!!」

大きな声を上げて
私に抱きついて来た。

そっと菜穂を抱きしめて
優しく宥める…。

「怪我がなくて…良かった」
安堵のため息を漏らし言った。

⏰:07/09/03 01:40 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#249 [朔]
―‥その後

私達3人は警察に行かずに
滝さんの家へと向かった。

警察に行こうと言う私達の
言葉に滝さんは

"嫌よ…話すのが面倒くさい"

そう言って断固として
警察には行こうとはしなかった。

⏰:07/09/03 01:42 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#250 [朔]
"確かに…矛盾や犯人を
待ち伏せする行為を不審がられては
私達まで疑われてしまう…"

菜穂を何とか上手く丸め込み
警察に行かなくて済んだ…。

―家に着いて

「コレ…使って…」

びしょ濡れのまま玄関で

立ち尽くす私と菜穂に
タオルを貸してくれた。

⏰:07/09/03 01:46 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#251 [朔]
「「ありがと…」」

どう見ても1人暮らしで
きちんと整理された部屋…。

菜穂と2人で部屋を見回す。

「滝さんて…」

「1人暮らしよ…上がれば?」

また私の質問の答えを言い
私達を部屋へと上げてくれた。

⏰:07/09/03 01:49 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#252 [朔]
‥…―気まずい

どう考えても合わない3人が
1つの部屋で黙り込んだまま…

自分勝手な菜穂は
携帯を取り出して何やら必死に
打ち込んでいる。

滝さんはボーっと
膝を抱えて天井を見上げて…

「ね…ねぇ!菜穂は何であんな
所に居たの?」

⏰:07/09/03 01:52 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#253 [朔]
嫌な空気に耐えられなくなって

沈黙を破ったのは
私の思いついただけの質問。

私の質問に菜穂は
携帯をいじっていた手を止め

「…ちょっと人と
約束してたんだー…」

そう言って笑顔を見せると
また携帯に視線を戻した。

⏰:07/09/03 02:02 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#254 [朔]
‥―また沈黙―‥

ハァ…必死になって
菜穂を助けたのは良かったのに
この空気に耐えられないんだけど…

そう思った瞬間

菜穂が突然、立ち上がり

「ごめん…あたし行くね?!」

そう言って生乾きの制服に
着替えると滝さんにお礼を言って

家から出て行ってしまった。

⏰:07/09/03 02:06 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#255 [朔]
「え…ちょっと菜穂!?」

―‐バタン!

すごい勢いでドアが閉まり
逃げるように帰った菜穂の
すばやさに妙な感心を覚えた…

「…早」

そう呟いた私に滝さんは

「…嫌な空気だったわね」

あえて何もつっこまずに
苦笑いで返事をした。

⏰:07/09/03 02:10 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#256 [朔]
コトリ…私の前に甘い匂いがした。

「ココアよ…飲める?」

何だか彼女に似つかわしくない
飲み物だなんて…失礼な事を考え

「いただきます…」

可愛らしいカップを手に
ふーっと熱い湯気を吹くと

少しだけ口に含んだ。

⏰:07/09/03 02:13 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#257 [朔]
安心する味にホッとして

「あ…美味しい…」

熱い飲み物なんて久しぶり…
雨で冷えた体を温める

ふわふわと立つ湯気の向こうに
見える彼女に質問をした。

「滝さんは…いつから
夢を見ているの?」

自分はドリーマーだと言う
彼女のスキルはきっと並大抵の
時間ではなしえないと思った。

⏰:07/09/03 02:17 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#258 [朔]
「…もう幼稚園の頃から」

私の気のせいなのか

彼女は少し
悲しそうに答えた気がして…

「そんな小さな頃から…
辛くなかった?」

言葉を続けた私を見つめ

「そりゃ初めの頃はね…」

と何とも言えない表情で言った。

⏰:07/09/03 02:20 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#259 [朔]
「親でさえも私をすごい目で
見る時もあった…何かおかしな
生き物でも見ているような目…」

どこを見つめているのか

親の視線を思い出しているように
床を睨みつけながら言う彼女…

「高校に入学と同時に1人暮らしを
始めたのよ…あんな家にいると
気が狂ってしまいそうな気がして」

私が思うよりも彼女は
自分の事をゆっくりと話してくれた。

⏰:07/09/03 02:23 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#260 [朔]
「夢が現実になっていくのが
恐ろしくて眠るのをやめた時もある」

「知りたくもない友達の秘密や
自分に対する気持ちが見え始めて
私は友達を作る事が怖くなった」

それはどれも悲しい言葉…

この力のせいで

普通じゃない道を歩んできた
彼女の言葉はとても痛かった…。

⏰:07/09/03 02:45 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#261 [朔]
あ―…だからなんだ…

滝さんがクラスの誰とも
馴染まずに1人でいるのは

きっとこれ以上
傷つかない為の"予防線"

「…」

何も言わない私を見て
彼女はフッと小さく微笑んだ。

⏰:07/09/03 02:51 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#262 [朔]
「友達なんていらないの…」

私が言おうとしていた

言葉さえも分かっているように
彼女は先に言葉にしてしまった。

同情や慰めじゃなくて
言うつもりだった事…

それは

「友達になろ?」

⏰:07/09/03 02:54 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#263 [朔]
だけど…

私はその言葉を
彼女に伝える事なく

彼女の入れてくれた
温かいココアを飲み干した…。

「それよりも…さっき
犯人の顔は見えたの?」

空になったカップを
流し台に置きながら聞いて来た。

⏰:07/09/03 09:47 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#264 [朔]
「見えなかったんだ…
ごめん」

あそこまで犯人を
追い詰める事が出来たのに

何も手がかりを掴めなかったなんて
何だかとても悪い事をした気になって…

私は俯いたまま彼女に
謝るしかなかった。

⏰:07/09/03 09:49 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#265 [朔]
視線だけを彼女にやり
顔色を覗うと

「…私に謝る事じゃないでしょ?
怪我がなくてよかったじゃない?」

初めて見るような
柔らかい笑顔に戸惑ったものの

その笑顔が彼女の本物の
笑顔のような気がして…

少し嬉しかった。

⏰:07/09/03 09:52 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#266 [朔]
―‥滝さんの家から帰り

「ただいま…」

乾かしてもらった服と
傘を借りて家に着いた。

「おかえりー!!」

リビングから
私を出迎えてくれたのは凛…

あ…!

「凛…怪我はない!?」

今朝見た夢を思い出して
凛に駆け寄った。

⏰:07/09/03 09:57 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#267 [朔]
凛は駆け寄り体を触る
私に少し困った笑い顔を見せて

「大丈夫…何もなかったし…」

「何も…なかったの?」

確かに見た夢のはずなのに…

「なぁーんにもなかった!」

それだけ言うと凛は
リビングへと戻っていった。

⏰:07/09/03 18:46 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#268 [朔]
"夢が外れる事もあるんだ…"

夢が外れて何もない事に
越した事はなくても
やっぱり不安が残る…。

何も知らずにテレビを
嬉しそうに見ている凛を横目に

私は自分の部屋に戻ると
滝さんに電話をかけた。

⏰:07/09/03 21:43 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#269 [朔]
RRRR…

「はい?」

この前聞いた番号に
初めて電話をかける。

電話から聞こえる声も
落ち着いている彼女の声…

「ご…ごめんね!今…
電話…大丈夫?」

⏰:07/09/03 21:46 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#270 [朔]
友達というか…

同級生にこんな気を使いながら
電話をするのは始めてかも…。

「大丈夫だけど…何?」

……

「あのさ…」

私は見た夢の予言が
外れた事を彼女に詳しく話した。

⏰:07/09/03 21:49 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#271 [朔]
―‥私の話に彼女は
ただ無言で聞いていた。

そして

「…そう」

それだけ言うと

「わかったわ…じゃ…」

彼女はさっさと電話を切ってしまった。

⏰:07/09/03 22:04 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#272 [朔]
―…次の日

9月6日(木曜日)

朝からひどい頭痛で
教室に入ると机に顔を伏せて

響いてくるような痛みに
耐えていた。

"痛い…痛い…痛い…"

心の中で痛みのあまり
声を発する事無く叫ぶ…

⏰:07/09/03 22:30 📱:PC 🆔:rdZysXfw


#273 [朔]
―‥トン

小さな振動を机に受け
顔を横に動かすと目線を
上に持ち上げる。

そこにいたのは

思った通り滝さんで…

⏰:07/09/04 00:47 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#274 [朔]
「あぁ…」

不機嫌な声を漏らす私に
ピクリと眉を動かすと

「頭痛いなら…これ
効くから…」

そう言うとそっと
私のそばに薬を置いてくれた。

⏰:07/09/04 00:48 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#275 [朔]
"何も言わないのに…
薬をくれたり…気持ち悪い…"

彼女が夢で私の頭痛を
知っていたんだとしても

自分の心の余裕のなさと
あまりのひどい頭痛に

いつもなら思わないような
ひどい言葉が頭を掠める。

⏰:07/09/04 00:52 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#276 [朔]
置いてくれた薬を
ギュッと手で握ると

「…どうも」

お礼にもならない言葉で

彼女を追い払うような事を
してしまった…。

自分の言葉のひどさに
気付いていたのに

私は彼女の不器用な
優しさを足蹴にしてしまった。

⏰:07/09/04 00:56 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#277 [朔]
目を閉じうつ伏せたままの
私の耳に聞こえたのは

彼女が私のそばから
立ち去る悲しげな足音…

せめて

文句の1つも言ってもらえれば
謝ることが出来るのに…

"ただの嫌な奴じゃん…"

自分で自分を責めた。

⏰:07/09/04 17:18 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#278 [朔]
「おはよう」

今度はヒロの声が
そばで聞こえた。

…さっきと同じ

目線だけを上げて

「おはよ…」

不機嫌な声で返事する。

「七瀬…?どうしたの?
調子悪いの?」

⏰:07/09/04 17:20 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#279 [朔]
ヒロの心配そうな声に
声を出さないままに頷いた。

「どこか痛い?」

―‥頭を指差す

「…薬は?」

―‥もらった薬を見せる

「お茶あるけど薬飲む?」

そっと顔を上げて

「うん…ありがと」

⏰:07/09/04 17:23 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#280 [朔]
ヒロは私の顔を見ると
柔らかく微笑んで

「お茶持って来るね?」

そう言うと自分のバッグから
お茶を取り出して手渡してくれる。

―‥‥ふっと滝さんに
視線をやると彼女は私を見て

なぜかとても優しい顔で笑った。

⏰:07/09/04 17:25 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#281 [朔]
何だか自分がすごく
恥ずかしかった…。

頭痛を心配してくれている
友達に八つ当たりして

"やっぱり嫌な奴だ…"

そう思い直すと
いつの間にか教室に来てた
担任の話をただ…聞いていた。

⏰:07/09/04 17:28 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#282 [朔]
最初の授業は体育で…

私は保健室に逃げ込んで
ベッドの中で休んでいた。

変な感じ…

自分の見慣れた天井じゃなくて
学校の天井を見上げるのは

いつもおかしな感じがして
落ち着かない…。

⏰:07/09/04 17:31 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#283 [朔]
「中岡さん、先生ね会議があるから
授業が終わってしんどくなかったら
教室に戻りなさいね?」

白衣を着直すと
先生は保健室から出て行った。

―…寝よう

頭痛がマシになって
私は少し眠ることにした。

⏰:07/09/04 17:33 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#284 [朔]
――‥‥

「…瀬」

「七瀬…?」

誰かに呼ばれた気がして
ゆっくり目を開ける。

「…ぅん?」

私の顔を
覗き込んでいたのはヒロだった。

⏰:07/09/04 17:37 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#285 [朔]
「…あぁヒロかぁ…体育
終わったんだ?」

寝ぼけた声で聞いて

「どう?まだ痛い…?」

相変わらず心配性だな…

フフっと笑って
ヒロに大丈夫だと伝えた

その瞬間…

⏰:07/09/04 17:41 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#286 [朔]
"来ないで…!!"
"やめて!!!"

―…ザク


突き立てられるナイフ
赤い血が吹き飛び
叫び声が聞こえた…

さっき見た夢が生々しい映像で
頭の中に流れ出した。

⏰:07/09/04 17:43 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#287 [朔]
「…」

どうして…次はヒロが
通り魔の被害者って事…?

見えた映像は逃げ惑う足と
それを追いかける犯人らしき足音。

真っ赤に地面を染める血…

それから

振りかざした鋭い刃…

⏰:07/09/04 17:45 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#288 [朔]
険しい顔でヒロを見る…

「ど…どうしたの…?」

突然の私のおかしな態度に
ヒロは戸惑いながら聞いた…

「あ…えっと…」

鼓動が早くなって手が震えた。

⏰:07/09/04 17:48 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#289 [朔]
「七瀬…?顔色悪いよ?」

―‥‥言えない

「大丈夫…だから…」

ヒロに言っても怖がらせるだけで
何にも出来なくなる…

被害者が変われば私は
それを夢で見ることは出来ない…

⏰:07/09/04 17:50 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#290 [朔]
もしかしたら

滝さんは…もう既に
夢で見ているかも知れない。

この夢の内容をヒロに
伝えてしまうよりも

彼女とこの前と
同じように先に対策を考えた方が

きっといい方法を思い
ヒロには何も伝えなかった…

⏰:07/09/04 17:51 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#291 [朔]
フラフラと定まらない足取りで
ヒロの支えられながら教室に戻る。

「七瀬…大丈夫ー!!??」

菜穂が駆け寄ってきた。

「うん…何とか…」

菜穂の後ろに見える滝さんは
無表情のまま私を見つめている。

⏰:07/09/04 17:53 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#292 [朔]
「ちょっと…ごめん…」

ヒロの肩に置いていた手を
外すと彼女に近づいて行く。

…彼女は机に肘をつき私を見上げ

「屋上に行こっか?」

まだ何も話していないのに
私に聞くとさっさと教室を出て行った。

⏰:07/09/04 17:56 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#293 [朔]
彼女の後を着いていこうとした
私の肩をヒロが止めた。

「どこ行くの?」

「あ…心配しなくても
授業にはちゃんと出るから」

それだけ伝えて
私は早足で屋上に向かって歩いた。

―…滝さんはもう屋上に
いるのかもう廊下にはいない

⏰:07/09/04 17:59 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#294 [朔]
屋上への入り口を開けて
彼女の姿を探す

てすりを手に持ち
空を見上げている滝さんに近づく。

「…夢を見たんでしょ?
また…通り魔の夢」

―……やっぱり

「滝さんも…?」

⏰:07/09/04 18:01 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#295 [朔]
私の質問に小さく頷いた。

「ヒロが…被害者に
なってた…」

私の言葉に彼女は
少し眉をしかめると俯き

「…そう」

一言だけで答えた。

⏰:07/09/04 18:11 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#296 [朔]
「今度は斬りつけられた
とかいう程度じゃすまない
気がするの…血が飛び散って…」

思い出すと身震いしそうな映像に
興奮しながら彼女に伝える…。

「…でも」

彼女が言おうとしている
言葉はわかってる…

「ヒロを助ければ被害者は
別に出る…」

⏰:07/09/04 18:13 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#297 [朔]
きっと彼女が口から
出そうとしていた言葉…

「…そうでしょ?」

一瞬だけ間を置くと

「…どっちにしても
どうせ私が身代わりになるって
言おうとしているでしょ?」

そう…ヒロを助ける代わりに
私が今度こそ通り魔を捕まえる…

⏰:07/09/04 18:15 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#298 [朔]
強い意志で彼女を見つめる…

「やっぱり…わかったてたわ…」

呆れた顔で言うと
私を真っ直ぐな瞳で見つめて

「…何があっても油断は
しないで…」

「…うん?」

彼女の言葉に頷いた。

⏰:07/09/04 18:18 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#299 [朔]
‐―‐―

―‥放課後

ヒロに一緒に帰ろうと言われ
教室を出ようとした時…

「中岡さん…ちょっと…」

滝さんが私を呼び止めた。

⏰:07/09/04 21:04 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#300 [朔]
ヒロが嫌そうな顔をして
私の制服の袖を引っ張った。

「…?」

ヒロの行動を不思議も思いながら
私は滝さんに返事をする。

「―…何?」

滝さんは何も返事しない…

⏰:07/09/04 21:08 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#301 [朔]
"きっと…聞かれちゃまずい
話だからだ…"

「あ…あー!ごめん!忘れてた!!
そうだったね…!」

わざとらしく大きな声を出す。

「七瀬…?」

ヒロが悲しそうな顔をして
私の名前を呼んだ。

⏰:07/09/04 21:10 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#302 [朔]
「ヒロごめん!!ちょっと滝さんと
先約してたんだ…」

ごまかしきれない嘘で
ヒロに言い訳すると

私はヒロに後ろ髪ひかれながら
滝さんと屋上に向かう…

この時

滝さんの異変を少しでも
感じていられたら…

⏰:07/09/04 21:26 📱:PC 🆔:scDl93Pc


#303 [朔]
屋上へ着いて
朝と同じ会話をする…

「…話って?」

私から話題を切り出して
彼女の顔を覗うと

「中岡さんて…クラスで
嫌いな人とかいない?」

…突然な質問

⏰:07/09/04 22:30 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#304 [朔]
「嫌いな人…別に…」

怪訝な顔で彼女に答える。

「いきな…「妹は?」

私の言いかけた言葉を遮って
またおかしな質問…

「まぁ…たまにケンカするけど
嫌いじゃないよ…てか何?」

⏰:07/09/04 22:32 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#305 [朔]
彼女は手の甲の皮膚が
突っ張り血管が浮き出る程に
てすりを思いっきり握っている…

「何かあったの?」

いつもとは違う感じの
彼女に質問をしてみると

「…別に」

もういつもの彼女の顔で
私に複雑な笑みを浮かべた。

⏰:07/09/04 22:36 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#306 [朔]
結局

話はそれだけで…
特に重要な話はなかった。

「何だったんだろ?」

ものの15分程で話は終わり
煮え切らない思いで
教室に戻った。

扉を開けると…

「…ヒロ!」

⏰:07/09/04 22:38 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#307 [朔]
夕焼けでオレンジに
染まりかけた教室で

私を待っているヒロがいた。

「おかえり…さっき滝さんが
帰っていったけど…」

入り口を指差して
ヒロが言う。

「あ…そう…それより
待っててくれたの?」

⏰:07/09/04 22:41 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#308 [朔]
「うん…ダメだった?」

読んでいた雑誌をカバンに
戻しながら言った。

「全然!じゃ…帰ろっか?」

嬉しそうに頷くヒロと
私は教室を後にした。

⏰:07/09/04 22:44 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#309 [朔]
気分転換のつもりで

カラオケに行ったり
買い物したり…

「楽しかった!」

本当に笑ったの久しぶり

クレープを食べながら
ヒロに伝える。

⏰:07/09/04 22:51 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#310 [朔]
「七瀬…最近さ…滝さんと
あんなに何で仲いいの?」

…―聞かれると思ってた

けど…どう答えていいのか
分からずに曖昧な笑顔で
ヒロに向き直すと

「あの子…いい子なの?
ぶっきらぼうな感じしかしない…」

私もそう思ってた…。

⏰:07/09/04 22:54 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#311 [朔]
「そんなに冷たい子じゃ
ないと思うけど…」

私の答えにヒロは

「ふーん」

と気の抜けたような返事をして
残りのクレープを口の中に
放り込んだ。

⏰:07/09/04 23:00 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#312 [朔]
ヒロと久しぶりに遊んで

帰っている途中で
家から電話が鳴った。

「もしもし…?」

―…何も言わない

「もしもーし…」

グスッ…泣いている声が
電話の向こうから聞こえる。

⏰:07/09/04 23:02 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#313 [朔]
「ちょっ…「凛が…」

母さんの泣いている声で
私は一気に血の気がひいて
いったような気がした…。

―…ガクン

「…!!??」

あれ…?

⏰:07/09/04 23:03 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#314 [朔]
「凛!!」

大きな声で凛の名前を呼び
立ち上がる…

「七瀬…?」

隣からヒロの声が聞こえ

「…ん?あれ?何?」

クスクスと笑い声も聞こえて来た。

⏰:07/09/04 23:06 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#315 [朔]
気がつくと…
私はバスの中で寝ぼけていた。

俯いて顔を真っ赤にして
椅子に座りなおしヒロを見ると

声なくお腹を抱え笑っている。

「ちょっと…笑いすぎ…」

「だって…アハハ…寝ぼけて…
アハハ…」

⏰:07/09/04 23:09 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#316 [朔]
恥ずかしくて前を見えない…

「私…いつの間に寝たんだろ?」

まだ笑うヒロを横目で
軽く睨みつけて

次で降りるために
ブザーを鳴らした。

⏰:07/09/04 23:11 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#317 [朔]
「じゃぁね…」

バスが着いて
まだ微妙に笑うヒロに別れを言うと

小走りで家まで帰る。

何となくさっきの夢が
気になって自然と走り出した。

⏰:07/09/04 23:13 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#318 [朔]
カバンから携帯を取ると
着信が残っていないか確かめる。

「残ってないって事は
やっぱり夢だったんだ…」

いつもとは違う生々しい夢に
妙な胸騒ぎを覚える。

家が見えて来たと同時に
タクシーが家に着いた…

⏰:07/09/04 23:16 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#319 [朔]
「…タクシー?」

走る速度を落とし
タクシーから降りてくる
人物を見ていると

母さんと凛が降りてきた。

「凛!!母さん!!」

タクシーが走り去ると
見えた凛の姿に驚いた…。

⏰:07/09/04 23:18 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#320 [朔]
「七瀬…」

「お姉ちゃん…」

凛が松葉杖をついて
玄関の前に立っている

2人に駆け寄り
凛の痛々しい姿の理由を聞いた。

「どうしたの…?」

私の心配をよそに
凛はいつものテンションで答える。

⏰:07/09/04 23:21 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#321 [朔]
「皆で放課後遊んでて…
思いっきりこけて足に
ヒビが入っちゃった。」

…こけてヒビ?

私が見た夢が
どんどん外れていっている。

「もう…驚いたわよ…」

母さんが凛の頭に
手を置いてため息をついた。

⏰:07/09/04 23:25 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#322 [朔]
「ごめんなさーい…」

凛はいつもとか変わらない様子で
母さんに舌を出し謝る。

"どういう事…夢の内容が
微妙に狂い始めてる…"

湧き出た不安が心の中を
どんどん埋め尽くしていく。

⏰:07/09/04 23:27 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#323 [朔]
滝さんに伝えるべきかを
悩んだけれど…

これ以上

頭の中が
混乱してしまうのが嫌で
電話をかけるのをやめた…

どっちにしても

彼女はもう既に
知っているかも知れないし…

⏰:07/09/04 23:29 📱:PC 🆔:8dSFENzs


#324 [朔]
"やっぱり伝えるべき…?"

携帯を見つめて
そう悩んでいたけど

「やっぱりやめた!」

1人大きな声を出し
携帯を閉じると

自分の部屋に戻り
少しだけ眠ることにした。

⏰:07/09/05 15:55 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#325 [朔]
「もう…朝?」

少し寝ようと
横になっただけだったはずなのに

―…目が覚めると

カーテンから漏れる朝陽と
鳥の声が聞こえていた。

9月7日(金曜日)

⏰:07/09/05 16:50 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#326 [朔]
「―‥おはよう」

寝過ぎてダルイ体で
リビングに降りていく。

時間は朝の7:30

凛はすごい物を見るような目で
母さんは何も言わない…

父さんはちらりと私を見ると
「おはよ」
と返事をしてくれた。

⏰:07/09/05 16:53 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#327 [朔]
凛がトーストをかじりながら
私をずっと睨んでいる。

「何よ…寝過ぎて迷惑を
あんたにかけましたか??」

あまりにひどい視線で
私を見る凛に怒りながら聞いた。

「…別にもういいけど」

…はぁ?
返事になってないですけど?

⏰:07/09/05 16:56 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#328 [朔]
「意味わかんない…」

私も出されたトーストを
かじりながら呟く。

―‥‥何この空気

母さんも何も言わないし
父さんもおかしな顔をしてる。

「…何かあったの?」

⏰:07/09/05 17:16 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#329 [朔]
私の言葉に凛は
大きな音を立ててグラスを置くと

「…行って来る」

そう小さな声で呟いて
私をまた睨むと
学校へと行ってしまった。

「七瀬…覚えてないの?」

母さんが眉間にしわを寄せ聞く。

⏰:07/09/05 17:18 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#330 [朔]
「……?」

父さんと母さんは
顔を見合わせ首を傾げると

「昨日…凛にあおちゃんを
殺したのは…あんただって…
言ったのよ…」

―……え?

「嘘でしょ…覚えてない…」
そんなひどい事言うはずない。

⏰:07/09/05 17:20 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#331 [朔]
私は…少し寝ようとして
部屋に戻ってからの記憶がない。

「覚えてないって…晩ご飯も
普通に食べてたわよ?」

―……ハァ?

「食べてないし!覚えてない!
寝てたんだよ!?」

その言葉に母さんはとても
心配そうな顔をして私を見る。

⏰:07/09/05 17:22 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#332 [朔]
「…もういい!!」

私は食べかけた朝ごはんに
ほとんど手をつけずに

学校へ行く準備をして
さっさと学校に行った。

―‐‥…

学校へと着いて
昨日の事を思い出してみる…

⏰:07/09/05 17:25 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#333 [朔]
だけど

覚えているのは

昨日、ヒロと遊んで
家に帰って少し寝ようと
部屋に戻った記憶まで…

「おかしいよ…」

頭を抱えておかしな自分の
行動に唸っている私に藍が
近づいて来た。

⏰:07/09/05 17:27 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#334 [朔]
―……ドン!!

私の机を思いっきり蹴り

「ちょっと…来て…」

腕を組みかなりご立腹な感じで
私に顎で指図する。

「…なに?…ちょっと…!」

私の腕を掴むと椅子から
下ろして私を力任せに連れて行く。

⏰:07/09/05 17:29 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#335 [朔]
「離してよ!!藍!!」

私の言葉も無視して
どんどん屋上の入り口へと向かう。

足が絡まりこけそうになりながら
階段をうまく上り屋上へと着いた。

ドン!!

着いた途端に
肩をどつかれ私はよろけた。

⏰:07/09/05 17:32 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#336 [朔]
「…痛っ!!何すんのよ!!!??」

どつかれた肩を押さえ
藍を思いっきり睨むと

藍は俯いて突然、泣き出した。

"…泣きたいのはこっちよ"

そう心で呟いて藍を見ると

「…な…何?」

⏰:07/09/05 17:34 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#337 [朔]
「ユウトの事…好きだからって
ひどいんじゃないの!?」

―……何言ってるの??

「ちょ…待ってよ?誰が中山を
好きなの…?」

藍が何を言っているのか
さっぱりわからない。

「あんたが!!ユウトを好きなんでしょ!!??」

⏰:07/09/05 17:36 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#338 [朔]
―‥‥えぇぇぇ!!!???

「いやいや…好きじゃないよ!?
何言ってるのかわかんない!!」

そう藍に伝えた時

「七瀬!!!」

タイミング悪く中山が現れた。

⏰:07/09/05 17:37 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#339 [朔]
「ユウト…」

藍は大粒の涙を流しながら
中山を振り返る。

「藍…やめてくれよ…
七瀬は俺の彼女なんだから…」

「か…のじょ?」

戸惑いながら聞くと
中山は顔を赤くして頷いた。

⏰:07/09/05 17:39 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#340 [朔]
「冗談でしょ?何言ってるの?」

藍はまだ泣きながら
私を睨んでいる。

中山は目を丸くすると

「お前が昨日…俺を好きだって
告白してきたんだろ?」

―‥…言ってない!!!!

「そんな事言ってない!!!」

⏰:07/09/05 17:41 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#341 [朔]
「ひどい!!七瀬…あんた
私らをおちょくってんの!!??」

どういう事…凛の事といい
中山との事といい…

身に覚えがない事ばっかり。

「と…とりあえず…放課後に
話してもらえない?」

そう2人に悲願をして
その場は落ち着いた…。

⏰:07/09/05 17:49 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#342 [朔]
もちろん教室に戻ると

他の皆は騒然として
私を避けるような態度を取る。

「私は何も悪くないのに…」

そんな中でも
ヒロと菜穂は普通に接してくれて

滝さんは…相も変わらず
遠目に私を心配そうに見てた。

⏰:07/09/05 17:53 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#343 [朔]
何となく居心地の悪い
教室で一日を過ごしていると

滝さんからメールが来た。

[今日 通り魔が出るかも…]

―…‥最悪な事は続く

私は無言で彼女を振り返り
大きく頷いた。

⏰:07/09/05 17:56 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#344 [朔]
―…放課後

滝さんと2人…
夢で見たという場所へと向かう。

私は前と同じように
カッターナイフをカバンに入れて

恐怖に負けそうになる心に
言い聞かせる…

⏰:07/09/05 18:16 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#345 [朔]
「もうすぐ歩いた先に
通り魔が出る夢を見たの…」

―…この先

「…本当に今日なの…?」

私の質問に彼女は
少しだけ頷いて見せる。

「きっと…雨が降ってくる」

前と同じように雨が降れば
通り魔が出没する気がした。

⏰:07/09/05 18:19 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#346 [朔]
辺りが薄暗くなって来た頃

彼女の言葉どおりに
ポツポツと雨が降り始めた。

「…雨だ」

掌に雨を受けて
彼女を見ると…

膝をついてお腹を押さえて
唸っている。

⏰:07/09/05 18:20 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#347 [朔]
「滝さん…どしたの…?」

彼女は何も言わずに
ただ苦しそうに唸っている。

「え…ちょ…大丈…」

雨がひどくなりお腹を抱えて
うずくまる彼女に声をかけると

「大丈夫…それより…」

―‥‥!!

⏰:07/09/05 19:40 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#348 [朔]
ひどくなる雨の中で
水溜りをバシャバシャと蹴り

こちらに向かって来る
足音が聞こえてきた。

険しい顔で彼女に視線をやると

「…通り魔…かも」

苦しそうに答えた。

⏰:07/09/05 21:49 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#349 [朔]
まえに見た通り魔と同じ…

雨の中で傘をささずに
フードを深く被って
怪しい動きをしている…

「ど…どうしよ…?」

戸惑いながら彼女を見ると
指を差し"行け"と言わんばかりに
ゆっくりと俯いた。

⏰:07/09/05 23:17 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#350 [朔]
"行かなきゃ…ヒロが危ない…"

私の夢の内容がことごとく
外れているとしても

彼女の夢が外れる事はない。

私は…不確かな確信だけで
カバンから出したカッターを握り締め

苦しそうに唸る彼女を後に
勇気を振り絞り

通り魔の前に出て行った。

⏰:07/09/05 23:19 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#351 [朔]
「わぁぁーーー!!!!」

突然に大声を出して
飛び出して来た私に

ビクッと体が跳ね後ずさりした

「ああぁぁぁ!!!!!!」

私は一心不乱に通り魔めがけて
カッターを振り下ろした。

⏰:07/09/05 23:27 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#352 [朔]
―…ドン!!!

勢いに任せて
通り魔に馬乗りになる。

ぶつかったはずみで
通り魔のフードが外れ

私の下にいた通り魔の顔が見えた…


「…え?」

⏰:07/09/05 23:31 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#353 [朔]
私の目に映ったのは…

「ヒロ…どうして…?」

手には刃物を握り
真っ黒なパーカーに黒いズボンを履き

前に見た通り魔と同じ姿で
私の目を見ないように目を逸らす…

「あーぁ…殺し損ねた…」

⏰:07/09/05 23:35 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#354 [朔]
雨の音に混じり

嫌な言葉が耳に入ってきた。

「…!!」

後ろを振り向くと
苦しそうに唸っていた彼女が

真っ直ぐに立ち上がり
私を見つめ笑っている…

⏰:07/09/05 23:37 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#355 [朔]
「滝…さん?」

状況が読めない…

下にいるヒロは眠っているように
目をつぶり動かない。

「どういう事…?」

もう1度だけ彼女に聞いた。

⏰:07/09/05 23:40 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#356 [朔]
クククと笑うと
私を楽しそうに見つめながら

「私はね…見た夢が
現実になるんじゃなくて…
見た夢を現実に出来るの…」

彼女は自慢のように

大げさな身振り手振りで
私に話してくる。

⏰:07/09/05 23:51 📱:PC 🆔:Ivh9Ff96


#357 [朔]
「何の為に…こんな事…」

彼女は少なくとも
私に敵意なんてないと
思っていたのに…

ただ涙が雨に混じりながら
頬を伝って落ちる。

「私は…あんたみたいな女が
好きじゃない…それだけよ…
今までの事も偶然じゃなくて
必然的な物よ…超能力者に
なれたようで楽しかったでしょ?」

⏰:07/09/06 00:33 📱:PC 🆔:RNq2i4rI


#358 [朔]
彼女から吐かれる言葉が

あまりにも痛くて
私は高笑いをする彼女に
近づくと

力任せに頬を打った。

「……」

「私は…あんたを友達だと
思っていたのに…」

雨が激しくなる音で
かき消されないように…伝えた。

⏰:07/09/06 00:35 📱:PC 🆔:RNq2i4rI


#359 [朔]
「…私は友達なんていらない」

叩かれた頬を押さえると

「楽しかったわ…あんた達が
めちゃくちゃになっていくのを
見ているのがね…?」

全ては彼女の必然的な
不思議な能力のせいだった…

⏰:07/09/06 00:38 📱:PC 🆔:RNq2i4rI


#360 [朔]
凛の友達が死んだ事も

好きだった人に
裏切られた事も…

通り魔としてヒロが選ばれた事も

藍と中山の仲が壊れるように
仕組まれた事も…

"全てが彼女の夢のせい"

⏰:07/09/06 00:40 📱:PC 🆔:RNq2i4rI


#361 [朔]
「うわぁぁ…!!!!」

水溜りを叩き
悔しくて泣き叫んだ…

彼女は…
私を1度も振り返る事無く姿を消した。

⏰:07/09/06 00:44 📱:PC 🆔:RNq2i4rI


#362 [朔]
―…それから1週間

「七瀬!!おはよ!!」

学校へと向かう私に
藍と中山が声をかける。

「…おはよ」

手を繋いで嬉しそうに
学校へと向かう2人の背中を見送る。

⏰:07/09/06 00:53 📱:PC 🆔:RNq2i4rI


#363 [朔]
学校へと着いて

教室に入ると
菜穂が私の姿を見ると

「おはよー!!」

いつものテンションで
声をかける。

そして

「七瀬おはよ…」

⏰:07/09/06 00:54 📱:PC 🆔:RNq2i4rI


#364 [朔]
ヒロが私に声をかけた…

「おはよう」

私も変わりなく返事する。

あの後

ヒロは目を覚ましても
何も覚えてはいなかった…

⏰:07/09/06 00:57 📱:PC 🆔:RNq2i4rI


#365 [朔]
いつもと同じ日常に
何も変わらない友達…

「ねぇ…七瀬は知ってる?」

「ん?」

ヒロが窓際を指差す…

⏰:07/09/06 01:04 📱:PC 🆔:RNq2i4rI


#366 [朔]
「あそこ…誰もいないのに
なんで1つだけ空席があるんだろ?」

―……

「…さぁね」

そう…あの日の後から

クラスメイトの人間が
誰一人として彼女を覚えていなかった。

⏰:07/09/06 01:07 📱:PC 🆔:RNq2i4rI


#367 [朔]
"きっと彼女が夢を渡って
みんなの記憶を操作したんだ…"

私は確信はないけれど
そう思っている…

だけど

私1人の記憶が消される事はなかった。

⏰:07/09/06 01:11 📱:PC 🆔:RNq2i4rI


#368 [朔]
きっと彼女が

"私を忘れないで…"

そう言っているような気がして

彼女を
憎む事が今も出来ないでいる…

=end=

⏰:07/09/06 01:13 📱:PC 🆔:RNq2i4rI


#369 [朔]
アンカーです!

>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400

⏰:07/09/06 01:18 📱:PC 🆔:RNq2i4rI


#370 [朔]
DREAMER完結しました!!

最後までのお付き合い
本当にありがとうございました<(_ _)>

感想・ご意見は此方までお願いします↓
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2576/

"朔"

⏰:07/09/06 01:19 📱:PC 🆔:RNq2i4rI


#371 [とみ]
小説の世界に引き込まれて
すごく感動しました!!

お疲れさまでした*゚・

⏰:07/09/06 01:21 📱:N903i 🆔:/jW4PL.o


#372 [朔]
とみさん>さっそくの感想レス嬉しいです!!

有り難うございます<(_ _)>

これからも頑張るので
よろしくお願いします(´ω`*)

⏰:07/09/06 01:39 📱:PC 🆔:RNq2i4rI


#373 [我輩は匿名である]
あげます☆

⏰:08/04/13 12:55 📱:F705i 🆔:☆☆☆


#374 []
あげます

⏰:10/02/12 09:17 📱:SH01B 🆔:9q3BVtzk


#375 [ん◇◇]
↑(*゚∀゚*)

⏰:22/10/26 21:30 📱:Android 🆔:AtV/.tU6


#376 [ん◇◇]
>>340-370

⏰:22/10/26 21:49 📱:Android 🆔:AtV/.tU6


#377 [ん◇◇]
>>1-40

⏰:22/10/27 06:11 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#378 [ん◇◇]
>>1-150

⏰:22/10/27 06:27 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#379 [ん◇◇]
>>150-390

⏰:22/10/27 06:27 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#380 [ん◇◇]
horror

⏰:22/10/27 06:59 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#381 [ん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/10/27 23:15 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


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