☆SEX こんぷりーと☆BL
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#1 [H∧Lしおん]
「セックス一回と、ぶん殴られるの、どっちがいい」

…そんな選択肢、おかしくない?

「早くしろ、俺は気が短いんだ」

…言われなくてもわかってるよ。しかたないなぁ…

「………しよ?」

上目遣いに、するっと首に抱きつけば。

…ほら、もうあっと言う間に俺の思いのまま。

男って……………馬鹿。

☆SEX こんぷりーと☆BL

⏰:07/09/18 22:58 📱:W51S 🆔:mJTo58uY


#2 [H∧Lしおん]
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「いち、にい、さん、よん…四万…ビミョー」


本日のお給料、四万円也。

「何で四万かな…キリのいい感じで五万にしろよ…」

くわえたタバコがゆーらゆら。ついでに煙が目にしみる。
未成年の喫煙は法律で禁止されています、だってさ。

「ははっ。笑えるね福沢諭吉くん」

⏰:07/09/18 23:04 📱:W51S 🆔:mJTo58uY


#3 [H∧Lしおん]
くしゃくしゃって学ランのポケットに入れた四人の諭吉もしわくちゃな顔して笑ってた。

ボロボロスニーカーでタバコを踏みつけて、薄汚い繁華街の路地裏を闊歩した。

野良猫、野良犬、ついでに野良人間。

みーんなげっそりした顔で道路の端っこにゴミになってる。

⏰:07/09/18 23:09 📱:W51S 🆔:mJTo58uY


#4 [H∧Lしおん]
ま、俺も似たようなモンだけど。

けど俺はダンボールの家とか、新聞紙のうすっぺらーい布団なんかで寝るなんてごめんだ。
人から物を恵んでもらうなんてまっぴらだ。

だからある意味、この路地裏の世界では俺は[勝ち組]。

あんたらみたいな低俗な奴等とは違うんだ。

⏰:07/09/18 23:13 📱:W51S 🆔:mJTo58uY


#5 [H∧Lしおん]
身体を売って、誰かれ構わずセックスして。

俺の値段は相手次第


今日みたいに[他の奴とセックスしたからマイナス一万]とか[中出ししたいからプラスニ万]とか。

相手によって値段はまちまち。

そんな俺を、学校の奴等は[カマ野郎]とか[ウリ専]とか[ホモ]とかって呼んでるみたいだ。

うん、あながち間違ってないから、否定はしない。

だって別に悪いことしてないしね。

⏰:07/09/18 23:19 📱:W51S 🆔:mJTo58uY


#6 [H∧Lしおん]
「ねえ、キミはどー思う。俺は悪いことしてないよね」

ゴミ捨て場のゴミ袋から生ゴミを漁っていた食事中の猫さんに突撃インタビュー。

しゃがんでにっこり笑ってやると

[ニャァ]

って鳴いてすりよって来た。

「だよね、最後には勝ち組だけが生き残るんだ」

ごわごわした頭を撫でると猫さんはご機嫌の様子。

「キミ、可愛いね。
きっと勝ち組だ」

⏰:07/09/18 23:25 📱:W51S 🆔:mJTo58uY


#7 [H∧Lしおん]
それからブラブラ汚い道をまっしぐら。

たまに空き缶なんか蹴飛ばして。

空には真っ黒な雲と、三日月の細い月。

チカチカうるさい電灯の、一泊五千円の激安ビジネスホテルが今日の宿。

⏰:07/09/18 23:31 📱:W51S 🆔:mJTo58uY


#8 [H∧Lしおん]
シャワーもあるし、ベッドもある。

くしゃくしゃの一枚をポケットから取り出して

「大人一人、一泊お願いします」

受付に出すと、ちょうど五千円が返ってきた。

安い。

渡された部屋の鍵をくるくる回して、エレベーターに乗る。

…どうもこの浮遊感、慣れないな。

⏰:07/09/18 23:36 📱:W51S 🆔:mJTo58uY


#9 [H∧Lしおん]
201号室が、俺の部屋。

鍵を開けて、思いっきりベッドにダイブ。

安価なスプリングがぼよんと身体を受け止めて、俺はたのしくなった。

「はは…っ、なんか壊れそー」

ベッドもそうだけど、なにより3日3晩寝てない頭はもうバカになりそうだ。

⏰:07/09/18 23:40 📱:W51S 🆔:mJTo58uY


#10 [H∧Lしおん]
とりあえず明日は学校だ。

まだ12時前だけど、寝よう……

「おやすみー…俺」






こんな1日が、俺………[春日ゆめと]の
日常。

⏰:07/09/18 23:43 📱:W51S 🆔:mJTo58uY


#11 [H∧Lしおん]
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

[生き物のSEXしてる時ほど馬鹿な顔はないby春日 ゆめと]


でもって、バカな顔して俺に突っ込んでるハゲが、一名。

だーれもいない体育倉庫。
すぐそこの扉一枚向こう側、放課後の部活に励むサッカー部の掛け声が聞こえてくる。

それよりもっと耳障りな、荒くてタバコのヤニくさい息。

俺の耳元で、はぁはぁ気持ワルイ息づかいに歯をくいしばった。

⏰:07/09/19 00:11 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#12 [H∧Lしおん]
「ハァ…ハァ…、声を我慢してるのか…?耐えなくてもいいんだぞ…」

埃っぽい運動マットの上、俺は毎週金曜日の[保健体育]を受けていた。

相手は体育の顧問、兼進路指導のセンコー。

脂ぎったハゲ頭に、ブヨブヨの腹。通称[メタボ]

バックで突かれる度にべちべち太ももの脂肪が当たって不快感極まりないときた。

⏰:07/09/19 00:17 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#13 [H∧Lしおん]
「ハァ…ハッ…本当に…春日は最高だ…」

当たり前だっつの。

ほんとはアンタみたいなの願い下げだけど、茶髪もピアスも長めに伸ばした髪も、んでもって遅刻も…規則という規則は見逃してもらうのが条件だから仕方ない。

じゃなきゃこんな相手も場所も汚ない最悪なトコで俺が足開くわけないだろ、ってね。

⏰:07/09/19 00:22 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#14 [H∧Lしおん]
早く終わらせたくて、ぎゅっと尻に力を入れる。

年と共にイクのが遅くなる、ってゆーのは本当らしい。

かれこれ一時間、もう十分だろ?

「…イクっ…イク……っ!」

ギュッと締めつけるとガンガン腰を振って、ハゲが口走る。

最後に変な声を上げた途端、俺のナカが、じわーっと熱くなった。

…中だしするな、って言ったのに。

⏰:07/09/19 00:27 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#15 [H∧Lしおん]
「ハァ…ハァ…ハァ…」

汗だくの身体が俺の背中にまとわりつく。

重い、早くどいて。

「ハァ…良かったよ…」

ずるっと俺から抜け出すと、汗まみれのスッキリした顔が笑う。

「俺も……先生とするの、気持よかったです…」

ちょっとうつむき加減に微笑んでやれば、ほらもうご機嫌。

「可愛いなあ,春日は……」

そのデレデレ顔、蹴り飛ばしたい。

⏰:07/09/19 00:32 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#16 [H∧Lしおん]
「それじゃ……また来週」

――――ばたん。

一人っきりになった倉庫の中。

俺はマットの上で身悶えた。

「きっ…気持わりぃ――――!!!」











「だーれだっ」

⏰:07/09/19 00:37 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#17 [H∧Lしおん]
「…ゆめ」

ピンポーン!

「大正解!さぁ何が望みだ」

「…頼むから静かにしてくれ」

「そりゃ無理だ」

サボりの場所はお決まりの屋上。

お決まりの数学の時間。

んでお決まりのサボり仲間、[ハルキ]。

ハルキはコンクリートにねそべって雲なんか眺めてた。

俺もその横にちょこんと腰を下ろす。

⏰:07/09/19 00:41 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#18 [H∧Lしおん]
(感想版作ったので見ていらっしゃる方いたら感想お願いしますx)


bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2859/

⏰:07/09/19 00:53 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#19 [H∧Lしおん]
モクモク。

ワタアメみたいな入道雲が真っ青な空に恋をしていた。

いや、アツイね、もうすぐ夏だ。

「今日はコーヒー牛乳ないの?」

胡座をかいたまま、ぐらぐら身体を揺すってねっころがるハルキを見る。

いつもハルキはサボりのお供に、タバコとコーヒー牛乳を持っていて。

俺はそれを失敬するのが楽しみだったりする。

⏰:07/09/19 12:22 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#20 [H∧Lしおん]
「…ない」

俺のことなんかおかまいなしに、空をぼんやり見つめるハルキが言った。

ちぇ、期待してたのに。

俺がペロリと舌を出すと、ハルキはふっと息を吐いた。

「お前…まだウリやってんの?」

「うん」

「あ、そ………」

「うん」

「……………」


あまり興味なさそうな返事をして、ハルキがゴロンと背中を向けた。

⏰:07/09/19 12:27 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#21 [H∧Lしおん]
大きな背中は、地面にねっころがったせいで砂が着いてた。

同じ年なのに、俺よりもデカイ背中。
俺よりも長い手足。
俺よりも男らしい節だった指。

ひ弱でなまっちろくて、女顔の俺とは正反対。

こうやってサボったりタバコすったり殴り合いの喧嘩をするくせに、ハルキはそのへんの意気がったヤンチーみたいじゃないから俺は好きだ。

正しいことは正しい。ダメなものはダメ。

⏰:07/09/19 12:33 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#22 [H∧Lしおん]
他人に迷惑を掛けないような生きざま。

一匹おおかみ。

うん、そうソレ。

無闇やたらに他人とつるまないし、ついでにコワモテな顔もぴったりくる。

「オオカミ君、寝ちゃうの?」

「…誰だよソレ。」

ふて寝しても、ほらね。ちゃんと答えてくれる。

一匹オオカミでも根は優しいんだ、ってか?

⏰:07/09/19 12:36 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#23 [H∧Lしおん]
返事はあるけど背中向けたまま。

ねえコッチ向いてよ。

「……重い」

強行手段に、必殺構ってくれなきゃどかないぞ攻撃。

つまりはハルキの上にどっかりまたがってみた。

三角木馬みたいな恰好。うん、ハルキが尖ってなくてよかった。

「つまんない」

ぶー、って口を尖らせてみた。

「地面としゃべってろ」

「ひどっ」

オオカミさんはなんだかご機嫌斜めな様子。

⏰:07/09/19 20:12 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#24 [H∧Lしおん]
身を乗り出して顔を覗き込む。

切れ長の目を閉じた顔はまるで彫刻みたい。

唇はヘの字に曲がってて、俺も負けじと唇を曲げてやった。

「ねえ、なに怒ってんの」

跨がった腰をゆさゆさ揺さぶってみる。
俺の動きに合わせて、ハルキの黒くて短めの髪がぱさぱさ鳴った。

それでもハルキはふて寝を決め込んでるときたもんだ。

「もしかしてオオカミだから人間語通じない?わんわん、犬語ならわかる?」

⏰:07/09/19 21:21 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#25 [H∧Lしおん]
かく言う俺も犬語なんてわっかんねーけどさ、オオカミは犬科だからハルキなら分かるかも知れない。

「オオカミさんは口が無くなってしまったのですか〜それとも言葉がわからないんですか〜、よーしよしよし可愛いね〜」

一向にシカト続けるオオカミに、ム●ゴロウよろしくその砂だらけの髪をぐしゃぐしゃ撫でまわした。

感触的に、ちょっと硬め。うーん、湯で上げ三分、アルデンテな感じ。

⏰:07/09/19 21:29 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#26 [H∧Lしおん]
しばらくされるがままの頭をグシャグシャ堪能してると、いきなりがしっとその手を捕まれた。

ガシッと…ガシッとね。

そりゃオオカミの握力ですから、あまりの痛みに眉毛も寄ってしまいますよ。

「………いたい」

「るせえんだよ、さっきから人の上でゴチャゴチャ」

⏰:07/09/19 21:35 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#27 [H∧Lしおん]
のそっと起きた体に、乗っかってた俺は転がった。

硬い地面、正直痛い。

……あ、ダンゴムシ発見。


「…なぁ、お前さあ、いちいち何なわけ。
たかがサボり場所が一緒だったってだけで俺につきまとうなよ。
ハッキリ言って迷惑。ダチが欲しいなら他あたれ。
もう昔とは違うんだから」

転がったままダンゴムシをつつく俺の背中で、オオカミがイライラとうなる声が聞こえる。

⏰:07/09/19 21:46 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#28 [H∧Lしおん]
いきなりよくもまぁ一言も噛まずに喋ったもんだ。

けどね、いくら温厚でお人好しな俺でもそこまで言われちゃあ「春日ゆめと」の名が廃る…ベベン。っつーことで。

ラウンド1、名付けて【オオカミとオオカミを救う少年の、過去の友情を掛けた駆け引き】

…タイトル長!

⏰:07/09/19 21:55 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#29 [H∧Lしおん]
とりあえず形から入るタイプなので………


背中をぐっと伸ばして

顎を引いて胸を張って

手は拳、両足の上に揃えて。

ハイこれ基本の正座。

明日テスト出るぞー。

「ハルキくん、準備はよろしいかな?」

⏰:07/09/19 22:36 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#30 [H∧Lしおん]
慎ましく、にっこり微笑。

けど正座で構える俺の前、勝負相手はアウトオブ眼中。

仕舞いにゃ学ランの胸ポケットからタバコなんぞを取り出しやがった。


「そこ、タバコ吸わない!
貧乏揺すりしない!
ガン飛ばさない!
正座しなさい!
ダンゴムシ燃やそうとしない!
先生怒るよ!」

⏰:07/09/19 22:47 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#31 [H∧Lしおん]
目の前でぷかぷかタバコをふかす顎を、斜め下からビシッとチョップ。

俺のチョップがモロにヒットしたハルキの顎がガチンと鳴って、吸い始めたタバコがぽろっと落ちた。

「ありゃ、舌噛んじゃった?」

「……………」

訪ねてみたけど、返って来たのは無言の睨み。

「……………」

だから俺も、とりあえず睨み返しておいた。

⏰:07/09/19 22:48 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#32 [H∧Lしおん]
眉間に皺を寄せて、これでもかっつーくらいガン飛ばした。

キリッとした眉毛、切れ長の目、高い鼻、薄くてちょっとタバコ荒れした口。
屋上でサボってばっかいるからお日様100%天然のこんがり肌。

…どこを取ってもハルキって普通に良い男だな…


なんちゃって。

それどころじゃない!

もうすでに勝負は始まってる。

一見ただのにらみ合い。されどにらみ合い。

瞬きしたら負けなのだ。

⏰:07/09/19 23:04 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#33 [H∧Lしおん]
「…………」

ダメだ、目が痛い。
目がいた―――い!


「…で、何か文句でもあんのかよ」

諦めたように息を吐いて、俺の前に胡座をかいた。

おっ?俺の勝ち?

俺はゴホンと咳払いして、しゃんとハルキを真っ直ぐ見た。

「文句じゃないけど、とりあえず確かめておこうかと」

「何を」

「俺たちの関係」

⏰:07/09/19 23:10 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#34 [H∧Lしおん]
「は?」

「まぁ簡単だよ。
ハルキは俺の質問に、YESかNOで答えればいいんだ」

「……で?」

「まず第一問。
ハルキは俺と、小・中・高、と同じですが、それは全くの偶然である」

「イエス」

「あ、今の質問じゃないよ」

「…………」

「遊ぶ時はいつも一緒。サボるのも一緒、オマケに中学好きだった女の子も一緒。
こんなにも仲が良いのに友達ではないと思いますか」

⏰:07/09/19 23:19 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#35 [H∧Lしおん]
「…………」


「俺たちは友達ですか」

「…………」





「アタァ!」


ビシッ


「ぐ!!」

「良いですか。
質問から五秒以内に答えなければ例外なく斜め下からチョップが発動します。
…もう一度聞きます。俺たちは友達ですか」

⏰:07/09/19 23:24 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#36 [H∧Lしおん]
「……………」



「アタ…「イエス!!」

「…………」
「…………」


「……第二問。
俺がウリ…つまり男相手に売春することをどう思いますか」

「…別に」

「YESかNOじゃなかったのでアタァ!」

ビシッ

「っ!!てめ、いい加減……!」

⏰:07/09/19 23:29 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#37 [H∧Lしおん]
「そんなことで第三問。
何故俺がウリをしているかわかりますか」

「…NO」

「セックスが好きだからだと思いますか」

「……YES」

「それとも父親から性的虐待を受けて、とうとうおかしくなったからだと思いますか」

「……………。NO」

⏰:07/09/19 23:36 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#38 [H∧Lしおん]
「今までの正解率、低すぎます。
先生ガッカリです。

ハルキくんは一見、俺のことなら何でも知ってるようですが、実は知らないことがたくさんたくさーんあるんです。

つまり俺は秘密主義者なんです。
何が正解で何が不正解かも秘密です。

しかし今のハルキくんの回答で、ハルキくんが俺をどんな奴だと思っているかがわかりました。

人間はわかりませんね。
良い勉強になりました。
さて、最後の質問」

⏰:07/09/19 23:40 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#39 [H∧Lしおん]
「…………」

「?お腹いたいの?なんか暗いよ?」

「…いいから続けろ」

「えー、それじゃ第四問。
まだウリやってんの?とハルキくんが聞いた時、俺はうんと答えました。
しかしその時からいじけてそっぽ向きましたよね。
俺が構ってほしくて身体に乗っかった時、ワシャワシャ髪の毛で遊んでたら、慌てて身体を起こしましたよね。
誰かに抱かれたあと、ハルキくんに会うと必ず不機嫌になります」

⏰:07/09/19 23:49 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#40 [H∧Lしおん]
「………」

「ちなみにココに来る前、トイレで三年生に突っ込まれて来ました。
そして今日。
ハルキくんはコーヒー牛乳を買って来ませんでした。
俺がそれを楽しみにしているのを知っているのに」

「…………」

「わざと買って来なかったのも、いつもよりスキンシップを避けるのも、何となくわかります」

「…………」

「それは男に抱かれた俺の身体が、汚いと思っているからですか」
「違う!!」

⏰:07/09/19 23:53 📱:W51S 🆔:Wpi7RUzI


#41 [H∧Lしおん]
いきなり叫ばれてびっくりした。

鳩が豆鉄砲食らったみたいにマヌケな顔してハルキを見ると、ハッとしたような、んでもって何だかバツが悪そうに、ふいっと視線を反らした。

あーね。わかりやすいと言うか…なんつーか。

「俺が他の奴に抱かれんの、そんなに気に入らない?」

ズバリとトドメを指してニヤニヤ笑ってやる。

⏰:07/09/20 08:19 📱:W51S 🆔:4AuWdJA.


#42 [H∧Lしおん]
俺は知ってるよ。

ふて寝したつまらなそうな横顔、声に出さなくても「もうウリなんてヤメロよ」って言ってた。

髪に触れた時、少しほっぺたがが赤くなったこと。

本当はその左ポケットに、俺の大好きなコーヒー牛乳が入ってること。

ハルキは意地っ張りだね。

本当は照れ屋で優しくて、んでもって口ベタで。

昔と変わってないのは、ハルキ。君の方なのに。

⏰:07/09/20 12:21 📱:W51S 🆔:4AuWdJA.


#43 [H∧Lしおん]
「ほんと素直じゃないなぁ」

立ち上がって、少し顔が赤いハルキを見上げてクスクス笑った。

んで、俺はここぞとばかりに最後の技を仕掛ける。

「俺が好きでヤキモチやいてるって、言えばいいのに」

―――――勝った。









「いてえ…」

⏰:07/09/20 12:27 📱:W51S 🆔:4AuWdJA.


#44 [H∧Lしおん]
屋上で一人になった俺は、大の字に寝転んでモクモクのワタアメ雲を眺めて呟いた。

最後の技を仕掛けた途端、容赦なくハルキの右ストレートが顔に飛んで来た。

そのまま地面に倒れた俺に「自惚れんのもいい加減にしろ!」って叫んで出ていっちゃった。

あーあ、口ん中切れた。
顔を売りにバカな男達を騙してるってのに。こちとら顔は商売道具なんだ。

⏰:07/09/20 12:34 📱:W51S 🆔:4AuWdJA.


#45 [H∧Lしおん]
「リベンジはまた今度、ってか?」

地面に転がった、一本のタバコ。

ニコチン、タール、有害物質。

身体になんの特もないそれは、さっき俺が右斜め下チョップしたときハルキの口から落ちたもの。

噛み跡が残ってる、潰れたフィルター。

⏰:07/09/20 19:37 📱:W51S 🆔:4AuWdJA.


#46 [H∧Lしおん]
それをくわえてまた空を眺める。

「喜べハルキ。
関節ちゅーだぞ、イェイ」

にんまり笑ってVサイン。


相変わらず、モクモクの入道雲は真っ青な空に恋をしていた。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

⏰:07/09/20 19:44 📱:W51S 🆔:4AuWdJA.


#47 [H∧Lしおん]
感想などよろしくお願いします(*^□^*)x

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2859/

⏰:07/09/20 19:46 📱:W51S 🆔:4AuWdJA.


#48 [H∧Lしおん]
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【たまには猫みたいに人肌恋しくなる時もある。by思春期な春日ゆめと】

赤、青、黄色。

ついでにミッキーみたいな尾びれがヒラヒラキラキラ。

熱帯魚って忙しいね。

って言ったら

「何かあったのか?」

って突っ込まれた。

はは、そりゃ赤く腫れたほっぺた見ればわかんじゃん。

⏰:07/09/21 02:16 📱:W51S 🆔:9wUNMPE.


#49 [H∧Lしおん]
ふかふかの枕に顔を埋めて、すっと息を吸い込むと甘ったるい香水の匂いがした。

また女連れ込んだな、コノヤロウ。

「今日はやけに大人しいじゃないか、ゆめと」

ふぅーって煙を吐いて、くしゃくしゃって大きな手のひらで頭を撫でられた。

俺みたいな細い指先じゃなくて

ハルキみたいな喧嘩ばっかしてるゴツゴツした指じゃなくて

すらっとした綺麗な、大人の手。

⏰:07/09/21 02:20 📱:W51S 🆔:9wUNMPE.


#50 [H∧Lしおん]
自称嘘つきな俺でも、この人の前だとまだまだ子供らしい。

実際17の俺と、10歳も年が離れてるんだから、そりゃ人を見る目も経験も豊富な訳で。


「…かなわないなぁ、ヨシキさんには」

観念して枕から顔を上げて、仰向けになる。

さっきまで激しいセックスの後だって言うのに、大人なヨシキさんは俺の隣で何でもない顔してる。

ベッドサイドに寄りかかって、タバコなんか吹かしちゃってさ。

⏰:07/09/21 02:26 📱:W51S 🆔:9wUNMPE.


#51 [H∧Lしおん]
「…なんか、やーな感じ」

「俺が?」

フって笑った顔、嫌味ったらしいけどなんか嫌いじゃない。

無駄な筋肉がない広い胸元。

そこに光る、ブランド物のシルバーネックレス。

ついでに左の薬指にも、もう見慣れた結婚指輪。


モノトーン基調の、デカイソファにデカイベッド。
ブルーのネオン菅に照らされた、熱帯魚やアロワナたち。

⏰:07/09/21 02:34 📱:W51S 🆔:9wUNMPE.


#52 [H∧Lしおん]
それからデカイ窓からはマンション最上階ならではの夜景がはめこまれてて。

【最新モデルルーム】なこのマンションは、俺と逢い引きするため…要は俺とセックスする場所のためだけに、わざわざ買ったんだとか。

ハイどんだけー。

金持ち、紳士、優しくて、ついでに色男、とくりゃ言わずもなが彼は【ホスト】で。

結婚してまだ2ヶ月目だけど、俺が知る限り今回で五回目。

27でスピード離婚&結婚。

⏰:07/09/21 02:39 📱:W51S 🆔:9wUNMPE.


#53 [H∧Lしおん]
まあそんなことはどーでもいいんだけどね。


「で…その顔はどうした。誰かに殴られたのか」

タバコを灰皿に押し付けながら、ヨシキさんが言う。

低くて身体が痺れそうな、生まれ持ったセクシーボイス。これで何人の女が落ちたんだろうか。

そんな声で、こんな色男に耳元で「何か飲もうか…?」なんて囁かれたら、世の中の女はボトル何本空けんのかな。

つか

気付くの遅っ!

⏰:07/09/21 02:46 📱:W51S 🆔:9wUNMPE.


#54 [H∧Lしおん]
「これね、殴られたの」

「誰に」

「一匹オオカミに」

「ああ、例の幼なじみか」

婉曲的に言ったつもりだったのに、サラッと答えを出しちゃうんだもんな。

さすが大人は勘が鋭い。

…うむ、あなどれんな。

⏰:07/09/21 15:39 📱:W51S 🆔:9wUNMPE.


#55 [H∧Lしおん]
「うん、結局【オオカミとオオカミを救う少年の、過去の友情を掛けた駆け引き】勝負は、オオカミが逃走しちゃったからまたリベンジしなきゃならないんだけど」

「なんだそりゃ」

「とにかく俺は素直じゃないオオカミに噛み逃げされたってわけ」

「ふうん」

⏰:07/09/22 09:29 📱:W51S 🆔:ZIcazCVw


#56 [H∧Lしおん]
あまり興味なさそーに、ヨシキさんが二本目のタバコに火をつける。
銀色の高級ライターが“キィン”って小気味良い音を鳴らして。

俺と同じ銘柄のタバコでも、そのライターで火をつけると旨そうに見えるから不思議。

なんでもホストNo.1になった記念に、店長から貰ったんだとか。

いいなぁ、それ。


「そいつ、ぶっ殺したい」

「へ?」

⏰:07/09/23 19:19 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#57 [H∧Lしおん]
ライターに釘付けだった俺は、物騒な言葉にヨシキさんを見た。

「どーゆー意味」

ベッドサイドに寄りかかってるヨシキさんの膝を枕にして聞いてみると、

「お前を傷付けるなんて気に入らない。
――俺がリベンジしようか?」

「ぶっ!」

思わず吹き出しちゃった。

なに、そんな真顔でそんな言葉。ヨシキさんらしくない。

⏰:07/09/23 19:25 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#58 [H∧Lしおん]
「お前は他の男のモノでもあるが――同時に俺のモノでもある。
それを易々と傷を付けるなんて、俺に喧嘩を売っているのと同然だ。
例えお前とその友人の私情でも、俺の目に見える痕を残したんだ。黙っているわけにいかない」

そう言って、ヨシキさんは苦々しくふーっと紫煙を吐いた。

視界を覆う、ユラユラ揺れる煙。
その煙の向こうで、今まで見たことないようなヨシキさんの横顔。

⏰:07/09/23 19:32 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#59 [H∧Lしおん]
まるで子供がお気に入りのオモチャを取り上げられたみたいな顔。
いつも余裕なヨシキさんでも、こんな顔するんだね。

なんか、おかしい。

「今日のヨシキさん、へんなの」

たえきれなくて、枕に顔を埋めて笑ってたら、
気に入らない。

って言って、不機嫌そうな声と一緒に頭を小突かれた。

「なんでヨシキさんがそんなに怒るのさ?
俺とは身体だけの関係じゃん」

⏰:07/09/23 22:50 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#60 [H∧Lしおん]
俺から言わせてみりゃ、こんなアザ、傷のうちに入らないけど。

むしろSM好きな奴に縛られたり、それこそ髪が抜けるまで頭捕まれたりするセックスのほうが、俺は苦痛なんですけどね。

けど目の前の不機嫌な大人で子供のヨシキさんは、そうじゃないらしい。

「しかし…お前のこんな綺麗な顔に、よくもまあ手が上げられたもんだ。
ある意味関心するな。
俺がお前を殴るなら、俺は絶対顔は避ける」

⏰:07/09/23 23:19 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#61 [H∧Lしおん]
「そりゃどーも」

どーせなら殴る前に「どこ殴っていい?」って聞かれた方がまだ覚悟出来たんだけどさ。

……とか言って素直に歯を食いしばるワケないけど。

「でもね、ああ見えてオオカミくんは根は優しいんだよ」

ちょっとぶっきらぼうで、恥ずかしがりで、口下手なだけ。

だからみんな勘違いしてオオカミくんから遠ざかる。

⏰:07/09/23 23:28 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#62 [H∧Lしおん]
ほんとはオオカミだって怖くないんだ。
彼を一匹オオカミにしちゃったのは、素直じゃないオオカミくん自身なんだけど。

「ある意味、損だよね。素直じゃない性格ってさ」

人を寄せ付けないオオカミは、ほんとは一人ぼっちで寂しいんだってわかってる。

甘いもの嫌いなオオカミくんのお供は、決まってコーヒー牛乳。

なんで甘いもの嫌いなのに、って?

⏰:07/09/23 23:33 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#63 [H∧Lしおん]
そんなの簡単。

俺がコーヒー牛乳すきだから。

それだけ。

大嫌いな数学の時間。

晴れた日には屋上に行く。
雨の日には屋上前の階段。

必ずオオカミは一匹で、飲みもしないコーヒー牛乳片手に俺を待っている。

俺が喜ぶってわかってるから。
俺からコーヒー牛乳餌付けして、離れていかないようにするために。

⏰:07/09/23 23:39 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#64 [ゆか]
ぉもしろぃ

⏰:07/09/23 23:53 📱:N703imyu 🆔:Br2U0M6I


#65 [H∧Lしおん]
ゆかさんありがとう(*´∇`*)ガンバルヨ-イ

⏰:07/09/24 11:04 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#66 [H∧Lしおん]
ああみえて、寂しがり屋なんだ。

―――ひとり言みたいに、ヨシキさんの膝枕でベラベラ喋ってると、益々キレーに整った眉毛が持ち上がった。

「…お前はそいつのことばかりだな」

タバコ片手のヨシキさんは、どうやら【俺の幼なじみのオオカミくん】が気に入らないみたいで。
会ったこともないのに、ガキみたいなライバル心燃やしてる。

「なに?もしかして、妬いてる?」

⏰:07/09/24 11:09 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#67 [H∧Lしおん]
ニヤニヤ笑ってやったのに、俺を見つめる顔はマジで。

こんな真面目な顔、初めて見たから不覚にもドキッとしたのは…

…不整脈か??

「ああ、そうだ。
妬いてる」



…………。



「…今日のヨシキさん、なんか…」


変。

⏰:07/09/24 11:16 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#68 [H∧Lしおん]
複雑な顔したら、タバコを消したその手で俺をぎゅっと引き上げた。

窒息すんじゃないかってくらいのすごい力。

「…どーしたの」

「俺はお前を側に置きたい」

タバコの苦い香りと一緒に、なんだか少し辛そうな声。

どうしたんだよ、あんたがそんな切迫詰まった声なんて。らしくない。

「…側に?いるじゃん、ほとんど、2日置きくらいに」

結婚しても、ヨシキさんは俺を呼ぶ。長く持たない結婚生活の理由が分かる気がするけど。

⏰:07/09/24 12:21 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#69 [H∧Lしおん]
「そうじゃない。
ずっと、毎日一緒にいてほしい」

「……は?」

「愛してるんだ、お前が」

「……………」



………ん?

身体を離して、ヨシキさんの顔をまじまじ見つめた。

つい笑いたくなっちゃうような不安な顔して俺の返事を待っている。

「それは俺の身体だけでしょ?」

中だししても妊娠しないし、多少乱暴に扱っても、女の子みたいに傷を作ることはない。いい性欲処理の身体。

⏰:07/09/24 12:26 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#70 [H∧Lしおん]
俺はヨシキさんに金をもらう代わりに身体を差し出す。

お互いそれ以上でもそれ以下でもない関係。

だからヨシキさんが結婚しても俺はなんとも感じなかった。
むしろこれから会えなくなって、金が貰えなくなるんじゃないかって不安のが大きかった。

それなのに、ヨシキさんはなんだか傷付いたみたいに顔を歪めて、しまいにゃ俺の肩に顔を埋めて「お前自身を愛してるんだ」なんて呟いた。

……酔っ払ってんの?

⏰:07/09/24 12:31 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#71 [H∧Lしおん]
「お前を一人占めにしたい…」


…………なんなんだよ、もう。

ヨシキさんてこんなに甘ったれでヘタレだったっけ?

「それ、わがままってヤツだってこと分かって言ってる?
俺を困らせてるって、ちゃんと分かって言ってる??」

⏰:07/09/24 12:42 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#72 [H∧Lしおん]
子供を叱る母親みたいに言ってやれば、俺の肩からのろのろと顔をを上げた。

「……なんつー顔しちゃってんの、ナンバーワンホストが」

「お前の前じゃ、ただの男だ」

「それ、すごい重い」

「……………」


………あーもう、なんだよさっきから。

イライラしてきた俺に、ヘタレな大人はとんでもない事を言い出した。

「もうウリはやめろ」

⏰:07/09/24 12:46 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#73 [H∧Lしおん]
「はあ?」

「金が必要なら、いくらでも出してやる。
だから、俺の側に―――「アタァ!」

言い終わらせる前にビシッとチョップ。


いきなりチョップされて、ポカンと目を丸くするヨシキさん。

「もう悪ふざけは終わり。
口説き文句の練習なんかしなくても、ヨシキさんなら良い客付くから大丈夫だって」

⏰:07/09/24 12:55 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#74 [H∧Lしおん]
「何言ってるんだ、俺は本気で―――「あのね、」

ベッドから下りて、床に散らばった制服に袖を通しながら、俺はため息を吐いた。

「俺がウリをする理由に、ヨシキさんのわがままは通用しないよ」

下着、靴下、ワイシャツ。

…あ〜あ、制服シワになっちゃった。
学ランだから目立つんだよなぁ。

「…金が目的じゃないのか」

⏰:07/09/24 13:01 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#75 [H∧Lしおん]
「うん」

「セックスか?」

「ちがう」

「出会い探しか」

「それもハズレ」

「じゃあ何だ」


そこまでの会話で、身支度終了。

あとはソファに投げっぱなしのカバンひっ掴めばオシマイ。

俺はくるっと振り返って、ベッドの上のヨシキさんに、にっこり笑った。

⏰:07/09/24 13:05 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#76 [H∧Lしおん]
「俺と一匹オオカミくんとの、二人だけの秘密の約束のためにね」


Vサインを付き出すと、ハルキさんは一瞬目を見張って、次には落胆したように苦笑いを浮かべた。

「…そうか」

それ以上何も聞くことなく、それだけ言った。
ふ、って笑った顔、なんか寂しそうだけど、元の大人なヨシキさんに戻ったみたいだ。よかった。

カバンを掴んで部屋を出ようとして、はた、と足を止めた。

⏰:07/09/24 13:11 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#77 [H∧Lしおん]
あ。大事なの忘れるトコだった。

「今日は中出し二回もしたから、六万になりまーす」

スマイル0円と共に、目の前に差し出した手のひら。
ヨシキさんは唇の端だけ吊り上げて、六人の諭吉をそこに乗せた。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

⏰:07/09/24 13:15 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#78 [H∧Lしおん]
感想お待ちしてます(≧ε≦)
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2859/

⏰:07/09/24 13:16 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#79 [H∧Lしおん]
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【あの日の約束は、俺にとって全てが始まりだったby過去を振り返る春日ゆめと】



住宅地の真ん中にある小さな公園。

ブランコと滑り台と、ボロボロの白いベンチしかないソコは、ハルキと遊ぶ定番の場所だった。

「はぁ、疲れた〜」

サビついたベンチにゴロンと寝そべれば、真っ黒な夜空にキラキラ無数の星が輝いて。

「あ、夏の大三角形」

三つの大きな光を指で結んで、ちょっと幸せになった。もうすっかり夏だ。

⏰:07/09/24 20:39 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#80 [H∧Lしおん]
今日の宿はココにしよう。

ヨシキさんから貰った六人の諭吉さんは相変わらずポケットの中。ホテルに行くより、何となく今日はこの公園にきたくなった。

「…なんか調子狂うなあ…」

ヨシキさんからの告白にもそうだけど、最近なんか気分が優れない。

殴られたほっぺた。

左ポケットの六枚。

逃走したまんまの、オオカミくんのこと。

よくわかんないけど、変な罪悪感。

悪いことなんて、してないのに。

⏰:07/09/24 20:43 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#81 [H∧Lしおん]
「なんかビミョー…」

こんなにため息が出るのはなんでかな。

ついでに言うと、胸の辺りがチクチクいたい。

「なんでかな、なんでかな。うーむ」

ちょっと考えて、あ、ってすぐ理由が分かった。

なるほど。
秘密主義の俺が秘密を言ってしまったからだ。

そう、ヨシキさんに。

⏰:07/09/24 20:49 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#82 [H∧Lしおん]
俺がウリをしてる理由。

うん、まさにコレだ。


今まで何人もの相手から「何でウリしてんの?」って聞かれたけど、俺は今まで笑ってごまかして、無理矢理セックス仕掛けてすっとぼけた。

それをつい「オオカミくんとの秘密の約束のために」って真実を打ち明けちゃったからだ。

でも…

「なぜに?」

何で言っちゃった?
しかも、ヨシキさんに。

……………。

「うーむ。わからん…」

⏰:07/09/24 20:53 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#83 [H∧Lしおん]
ちょっと呟いて、俺はポケットから六枚を取り出した。

「1、2、3、4、5、6、よし」

一枚一枚数えて、俺は身体を起こした。

それから今じゃもうちっちゃいと感じる錆びた滑り台の下にしゃがみこんで、せっせと穴をほった。

素手だから爪の間に砂が入ってキモチワルイ。

「スコップ、買うべきかぁ?」

⏰:07/09/24 21:45 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#84 [H∧Lしおん]
ぼやいていると、指先にカツンと当たったプラスチックの感触。

それを掘り出して、パッパッて砂を払う。

四角くて青い、お菓子の箱。
それは俺とハルキが大好きなクッキーの箱で。

砂が詰まった蓋を開けると、そこにはぎっしり詰まった諭吉くんたち。ぎゅうぎゅう詰めで、なんか苦しそうだ。

⏰:07/09/24 21:52 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#85 [H∧Lしおん]
「さ、今日は6人の新入生です。みんな仲良くしてやってね」

ポケットから、その6人の新入生を取り出して、ぎゅうぎゅう詰めな諭吉教室に入れてやる。

これで97人目。
目標達成まであと三人。

「…長かったなぁ」

思い返すと、この箱の一人目の諭吉くんはずいぶん昔のように感じる。 ウリを始めてたった一年半、されど一年半。
集まったのは97人の諭吉くんたち。

⏰:07/09/24 21:56 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#86 [H∧Lしおん]
身体を売って稼ぎ集めた金。

ゲイのひと。

ちょっと男に興味があるひと。

結婚してるひと。

サラリーマンのひと。

大学生。

社長。

教師。

いろんな人が俺を抱いて、諭吉くんを手渡した。

そのたびに俺はこうしてこの滑り台の下に隠してる。ハルキとの約束のために。

⏰:07/09/24 22:00 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#87 [H∧Lしおん]
小さい頃に、母親を病気で亡くした。

まだ30歳くらいだった。

若くて綺麗で優しくて、自慢だったなぁ。

母親の病気は医者でも原因不明。つまりの不治の病。

それは遺伝らしく、ばあちゃんも同じ病で、やっぱり若いときに死んじゃった。

だから俺には母親の親戚を知らない。

みんな呪われた一族みたいに、ばあちゃんも母さんも従兄弟も。
若いときに死んじゃったからだ。

⏰:07/09/24 23:04 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#88 [H∧Lしおん]
つまり、そんな呪われた一族の俺も死んじゃう訳で。

それはいつかなんて分からない。

明日かもしれないし、明後日かも。いや、もしかして30分後かもしれない。

死ぬ前は痛いのかな?血吐いたり、苦しいのかな?

未だ、身体の調子はいつもと変わりはないけど。

母親を亡くして、父親からセックスを強要された時から、俺は人を信じるのが怖かった。

⏰:07/09/24 23:08 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#89 [H∧Lしおん]
まだ小学生だった俺は、そんなことちっともオカシイと思わなくて。
みんな父親とセックスするものだと思ってた。

それを学校の友達に言ったら、キモチワルイとかオカシイって言われた。

俺はオカシイの?
俺はキモチワルイの?

それからイジメが始まった。

⏰:07/09/24 23:10 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#90 [H∧Lしおん]
切り裂かれた教科書に、砂が入ったランドセル。
給食の時間は、誰も机を付けてくれなかった。

学校ではイジメ。
家に帰れば父親の暴力とセックス。

ひとりぼっちの俺の手を引いてくれたのが、隣近所で幼なじみのやんちゃなハルキだった。

⏰:07/09/24 23:13 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#91 [H∧Lしおん]
「おまえ、男なら泣くなよ」

いつも傷だらけの俺に、ハルキは口癖にそう言ってた。

とか言うハルキも喧嘩ばかりで、傷は絶えなかったけれど。

だけどハルキは俺の側に居てくれた。

イジメの原因も聞かないで。
身体中にあるアザの理由も聞かないで。

ただ一緒に居てくれた。

俺は一人じゃない。

初めて、笑えた。

⏰:07/09/24 23:17 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#92 [H∧Lしおん]
いつもみたいに公園で遊んでた日。

ハルキがいきなり「タイムカプセルを埋めよう」

って言い出した。

俺は宝物も何もないって言ったら、

「じゃあ未来で宝物になるものを集めよう」

って言った。

「いみわかんない」

って聞くと、ハルキは自慢そうに、

「これからこの箱に100万円貯めて、未来で使うようにしよう」

って笑って、中身が入ってない空っぽのお菓子の箱を、滑り台の下に埋めた。

⏰:07/09/24 23:23 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#93 [H∧Lしおん]
「どうして100万円なの?」

「お金がいっぱいあると、金持ちになるじゃん」

「うん」

「金持ちはでっけーお城に住むもんだろ?」

「うん」

「おまえと俺で、お城つくりたくない?」

「作りたい!」

「じゃあ今日から、毎日この箱にお金を入れよう!そんで、二人ででっけーお城作ろう!」

「うん!」

⏰:07/09/24 23:28 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#94 [H∧Lしおん]
“ひゃくまんえんたまったら、どっかとおいとこにいってふたりでおしろをつくるんだ”

“そうしたら、ゆめとはえらいおうさまになって、だれもいじめたりしなくなるよ”

“おれはせいぎの「きし」になって、ゆめとをずっとまもってやるから”

「約束、な」

ハルキ、覚えてる?


あのときの約束は、俺にとって全てが始まりだったんだ。

⏰:07/09/24 23:29 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#95 [H∧Lしおん]
忘れっぽいハルキは、一度もこの箱にお金は入れなかったけど。





バイトして働いて稼ぐ時間なんて俺にはない。

どうせ死ぬなら、こんなベンチじゃなくて、デカイ城で死にたい。

早く、二人で遠い所に行こう。そんでもって、誰からも敬れる王様になるんだ。

「キミ、5万でヤらせてくれない?」

中学に入って知らない男に声を掛けられた。

時間がない俺にとって、それはまさに天の助けだった。

⏰:07/09/24 23:33 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#96 [H∧Lしおん]
――吐き気がした。

父親みたいなヤツが、まだ他にいるなんて。
オカシイいヤツが他にいるなんて。

「いーよ」


俺は笑って、男の手を引いてトイレに誘い込んだ。

その日から、俺はウリを始めたんだ。

二人で約束した“デカイお城を作る”ために。


――――“もう昔とは違うんだよ”――――

「――ははッ、…ハルキ、その言葉結構キタわ」

夜空の下で、苦笑い。ついでに歪んで見える夏の大三角形。

涙を流したのは、いつぶりだったかな。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

⏰:07/09/24 23:40 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#97 [H∧Lしおん]
今日はここまでです(o・v・o)

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2859/

⏰:07/09/24 23:41 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#98 [H∧Lしおん]
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【想いが伝わらないのは、素直じゃない自分のせいbyセンチメンタルな春日ゆめと】


次の日は猛暑並みの暑さで、まだ梅雨前なのにせっかちなセミたちがミンミン騒ぎまくった。

空は晴天。

海みたいな真っ青な空には、モクモクの雲ひとつない。

そんな直射日光バリバリの屋上でも、逃走中のオオカミくんはなんでもないように寝転がってた。

⏰:07/09/25 12:22 📱:W51S 🆔:eF/eGsK.


#99 [H∧Lしおん]
「熱くない?地面」

「…………」

隣に座った俺が聞いても、相変わらずのタヌキ寝入り。

今日こそは殴られたほっぺたのリベンジを果たそうとしたけど、暑すぎてどうも調子がでない。

半袖のシャツも、汗でべったり張り付くし、地面にあぐらをかいた尻も暑いし。座ってるだけなのに、身体中から汗がじわじわ滲むし。

⏰:07/09/25 12:26 📱:W51S 🆔:eF/eGsK.


#100 [H∧Lしおん]
ゴロンと俺に背を向けたオオカミくんの広い背中も、汗でシャツが張り付いてた。

「…あーあ、海行きたいなあ」

空を見上げておっきなため息。

泳げないけど、見てるだけでもいい。
どこまでも続くでかーい水溜まり。
想像しただけで涼しくなるから不思議だ。

「…お前さ」

⏰:07/09/25 12:31 📱:W51S 🆔:eF/eGsK.


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