☆SEX こんぷりーと☆BL
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#51 [H∧Lしおん]
「…なんか、やーな感じ」

「俺が?」

フって笑った顔、嫌味ったらしいけどなんか嫌いじゃない。

無駄な筋肉がない広い胸元。

そこに光る、ブランド物のシルバーネックレス。

ついでに左の薬指にも、もう見慣れた結婚指輪。


モノトーン基調の、デカイソファにデカイベッド。
ブルーのネオン菅に照らされた、熱帯魚やアロワナたち。

⏰:07/09/21 02:34 📱:W51S 🆔:9wUNMPE.


#52 [H∧Lしおん]
それからデカイ窓からはマンション最上階ならではの夜景がはめこまれてて。

【最新モデルルーム】なこのマンションは、俺と逢い引きするため…要は俺とセックスする場所のためだけに、わざわざ買ったんだとか。

ハイどんだけー。

金持ち、紳士、優しくて、ついでに色男、とくりゃ言わずもなが彼は【ホスト】で。

結婚してまだ2ヶ月目だけど、俺が知る限り今回で五回目。

27でスピード離婚&結婚。

⏰:07/09/21 02:39 📱:W51S 🆔:9wUNMPE.


#53 [H∧Lしおん]
まあそんなことはどーでもいいんだけどね。


「で…その顔はどうした。誰かに殴られたのか」

タバコを灰皿に押し付けながら、ヨシキさんが言う。

低くて身体が痺れそうな、生まれ持ったセクシーボイス。これで何人の女が落ちたんだろうか。

そんな声で、こんな色男に耳元で「何か飲もうか…?」なんて囁かれたら、世の中の女はボトル何本空けんのかな。

つか

気付くの遅っ!

⏰:07/09/21 02:46 📱:W51S 🆔:9wUNMPE.


#54 [H∧Lしおん]
「これね、殴られたの」

「誰に」

「一匹オオカミに」

「ああ、例の幼なじみか」

婉曲的に言ったつもりだったのに、サラッと答えを出しちゃうんだもんな。

さすが大人は勘が鋭い。

…うむ、あなどれんな。

⏰:07/09/21 15:39 📱:W51S 🆔:9wUNMPE.


#55 [H∧Lしおん]
「うん、結局【オオカミとオオカミを救う少年の、過去の友情を掛けた駆け引き】勝負は、オオカミが逃走しちゃったからまたリベンジしなきゃならないんだけど」

「なんだそりゃ」

「とにかく俺は素直じゃないオオカミに噛み逃げされたってわけ」

「ふうん」

⏰:07/09/22 09:29 📱:W51S 🆔:ZIcazCVw


#56 [H∧Lしおん]
あまり興味なさそーに、ヨシキさんが二本目のタバコに火をつける。
銀色の高級ライターが“キィン”って小気味良い音を鳴らして。

俺と同じ銘柄のタバコでも、そのライターで火をつけると旨そうに見えるから不思議。

なんでもホストNo.1になった記念に、店長から貰ったんだとか。

いいなぁ、それ。


「そいつ、ぶっ殺したい」

「へ?」

⏰:07/09/23 19:19 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#57 [H∧Lしおん]
ライターに釘付けだった俺は、物騒な言葉にヨシキさんを見た。

「どーゆー意味」

ベッドサイドに寄りかかってるヨシキさんの膝を枕にして聞いてみると、

「お前を傷付けるなんて気に入らない。
――俺がリベンジしようか?」

「ぶっ!」

思わず吹き出しちゃった。

なに、そんな真顔でそんな言葉。ヨシキさんらしくない。

⏰:07/09/23 19:25 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#58 [H∧Lしおん]
「お前は他の男のモノでもあるが――同時に俺のモノでもある。
それを易々と傷を付けるなんて、俺に喧嘩を売っているのと同然だ。
例えお前とその友人の私情でも、俺の目に見える痕を残したんだ。黙っているわけにいかない」

そう言って、ヨシキさんは苦々しくふーっと紫煙を吐いた。

視界を覆う、ユラユラ揺れる煙。
その煙の向こうで、今まで見たことないようなヨシキさんの横顔。

⏰:07/09/23 19:32 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#59 [H∧Lしおん]
まるで子供がお気に入りのオモチャを取り上げられたみたいな顔。
いつも余裕なヨシキさんでも、こんな顔するんだね。

なんか、おかしい。

「今日のヨシキさん、へんなの」

たえきれなくて、枕に顔を埋めて笑ってたら、
気に入らない。

って言って、不機嫌そうな声と一緒に頭を小突かれた。

「なんでヨシキさんがそんなに怒るのさ?
俺とは身体だけの関係じゃん」

⏰:07/09/23 22:50 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#60 [H∧Lしおん]
俺から言わせてみりゃ、こんなアザ、傷のうちに入らないけど。

むしろSM好きな奴に縛られたり、それこそ髪が抜けるまで頭捕まれたりするセックスのほうが、俺は苦痛なんですけどね。

けど目の前の不機嫌な大人で子供のヨシキさんは、そうじゃないらしい。

「しかし…お前のこんな綺麗な顔に、よくもまあ手が上げられたもんだ。
ある意味関心するな。
俺がお前を殴るなら、俺は絶対顔は避ける」

⏰:07/09/23 23:19 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#61 [H∧Lしおん]
「そりゃどーも」

どーせなら殴る前に「どこ殴っていい?」って聞かれた方がまだ覚悟出来たんだけどさ。

……とか言って素直に歯を食いしばるワケないけど。

「でもね、ああ見えてオオカミくんは根は優しいんだよ」

ちょっとぶっきらぼうで、恥ずかしがりで、口下手なだけ。

だからみんな勘違いしてオオカミくんから遠ざかる。

⏰:07/09/23 23:28 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#62 [H∧Lしおん]
ほんとはオオカミだって怖くないんだ。
彼を一匹オオカミにしちゃったのは、素直じゃないオオカミくん自身なんだけど。

「ある意味、損だよね。素直じゃない性格ってさ」

人を寄せ付けないオオカミは、ほんとは一人ぼっちで寂しいんだってわかってる。

甘いもの嫌いなオオカミくんのお供は、決まってコーヒー牛乳。

なんで甘いもの嫌いなのに、って?

⏰:07/09/23 23:33 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#63 [H∧Lしおん]
そんなの簡単。

俺がコーヒー牛乳すきだから。

それだけ。

大嫌いな数学の時間。

晴れた日には屋上に行く。
雨の日には屋上前の階段。

必ずオオカミは一匹で、飲みもしないコーヒー牛乳片手に俺を待っている。

俺が喜ぶってわかってるから。
俺からコーヒー牛乳餌付けして、離れていかないようにするために。

⏰:07/09/23 23:39 📱:W51S 🆔:whg.j1FQ


#64 [ゆか]
ぉもしろぃ

⏰:07/09/23 23:53 📱:N703imyu 🆔:Br2U0M6I


#65 [H∧Lしおん]
ゆかさんありがとう(*´∇`*)ガンバルヨ-イ

⏰:07/09/24 11:04 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#66 [H∧Lしおん]
ああみえて、寂しがり屋なんだ。

―――ひとり言みたいに、ヨシキさんの膝枕でベラベラ喋ってると、益々キレーに整った眉毛が持ち上がった。

「…お前はそいつのことばかりだな」

タバコ片手のヨシキさんは、どうやら【俺の幼なじみのオオカミくん】が気に入らないみたいで。
会ったこともないのに、ガキみたいなライバル心燃やしてる。

「なに?もしかして、妬いてる?」

⏰:07/09/24 11:09 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#67 [H∧Lしおん]
ニヤニヤ笑ってやったのに、俺を見つめる顔はマジで。

こんな真面目な顔、初めて見たから不覚にもドキッとしたのは…

…不整脈か??

「ああ、そうだ。
妬いてる」



…………。



「…今日のヨシキさん、なんか…」


変。

⏰:07/09/24 11:16 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#68 [H∧Lしおん]
複雑な顔したら、タバコを消したその手で俺をぎゅっと引き上げた。

窒息すんじゃないかってくらいのすごい力。

「…どーしたの」

「俺はお前を側に置きたい」

タバコの苦い香りと一緒に、なんだか少し辛そうな声。

どうしたんだよ、あんたがそんな切迫詰まった声なんて。らしくない。

「…側に?いるじゃん、ほとんど、2日置きくらいに」

結婚しても、ヨシキさんは俺を呼ぶ。長く持たない結婚生活の理由が分かる気がするけど。

⏰:07/09/24 12:21 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#69 [H∧Lしおん]
「そうじゃない。
ずっと、毎日一緒にいてほしい」

「……は?」

「愛してるんだ、お前が」

「……………」



………ん?

身体を離して、ヨシキさんの顔をまじまじ見つめた。

つい笑いたくなっちゃうような不安な顔して俺の返事を待っている。

「それは俺の身体だけでしょ?」

中だししても妊娠しないし、多少乱暴に扱っても、女の子みたいに傷を作ることはない。いい性欲処理の身体。

⏰:07/09/24 12:26 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#70 [H∧Lしおん]
俺はヨシキさんに金をもらう代わりに身体を差し出す。

お互いそれ以上でもそれ以下でもない関係。

だからヨシキさんが結婚しても俺はなんとも感じなかった。
むしろこれから会えなくなって、金が貰えなくなるんじゃないかって不安のが大きかった。

それなのに、ヨシキさんはなんだか傷付いたみたいに顔を歪めて、しまいにゃ俺の肩に顔を埋めて「お前自身を愛してるんだ」なんて呟いた。

……酔っ払ってんの?

⏰:07/09/24 12:31 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#71 [H∧Lしおん]
「お前を一人占めにしたい…」


…………なんなんだよ、もう。

ヨシキさんてこんなに甘ったれでヘタレだったっけ?

「それ、わがままってヤツだってこと分かって言ってる?
俺を困らせてるって、ちゃんと分かって言ってる??」

⏰:07/09/24 12:42 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#72 [H∧Lしおん]
子供を叱る母親みたいに言ってやれば、俺の肩からのろのろと顔をを上げた。

「……なんつー顔しちゃってんの、ナンバーワンホストが」

「お前の前じゃ、ただの男だ」

「それ、すごい重い」

「……………」


………あーもう、なんだよさっきから。

イライラしてきた俺に、ヘタレな大人はとんでもない事を言い出した。

「もうウリはやめろ」

⏰:07/09/24 12:46 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#73 [H∧Lしおん]
「はあ?」

「金が必要なら、いくらでも出してやる。
だから、俺の側に―――「アタァ!」

言い終わらせる前にビシッとチョップ。


いきなりチョップされて、ポカンと目を丸くするヨシキさん。

「もう悪ふざけは終わり。
口説き文句の練習なんかしなくても、ヨシキさんなら良い客付くから大丈夫だって」

⏰:07/09/24 12:55 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#74 [H∧Lしおん]
「何言ってるんだ、俺は本気で―――「あのね、」

ベッドから下りて、床に散らばった制服に袖を通しながら、俺はため息を吐いた。

「俺がウリをする理由に、ヨシキさんのわがままは通用しないよ」

下着、靴下、ワイシャツ。

…あ〜あ、制服シワになっちゃった。
学ランだから目立つんだよなぁ。

「…金が目的じゃないのか」

⏰:07/09/24 13:01 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#75 [H∧Lしおん]
「うん」

「セックスか?」

「ちがう」

「出会い探しか」

「それもハズレ」

「じゃあ何だ」


そこまでの会話で、身支度終了。

あとはソファに投げっぱなしのカバンひっ掴めばオシマイ。

俺はくるっと振り返って、ベッドの上のヨシキさんに、にっこり笑った。

⏰:07/09/24 13:05 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#76 [H∧Lしおん]
「俺と一匹オオカミくんとの、二人だけの秘密の約束のためにね」


Vサインを付き出すと、ハルキさんは一瞬目を見張って、次には落胆したように苦笑いを浮かべた。

「…そうか」

それ以上何も聞くことなく、それだけ言った。
ふ、って笑った顔、なんか寂しそうだけど、元の大人なヨシキさんに戻ったみたいだ。よかった。

カバンを掴んで部屋を出ようとして、はた、と足を止めた。

⏰:07/09/24 13:11 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#77 [H∧Lしおん]
あ。大事なの忘れるトコだった。

「今日は中出し二回もしたから、六万になりまーす」

スマイル0円と共に、目の前に差し出した手のひら。
ヨシキさんは唇の端だけ吊り上げて、六人の諭吉をそこに乗せた。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

⏰:07/09/24 13:15 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#78 [H∧Lしおん]
感想お待ちしてます(≧ε≦)
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2859/

⏰:07/09/24 13:16 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#79 [H∧Lしおん]
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【あの日の約束は、俺にとって全てが始まりだったby過去を振り返る春日ゆめと】



住宅地の真ん中にある小さな公園。

ブランコと滑り台と、ボロボロの白いベンチしかないソコは、ハルキと遊ぶ定番の場所だった。

「はぁ、疲れた〜」

サビついたベンチにゴロンと寝そべれば、真っ黒な夜空にキラキラ無数の星が輝いて。

「あ、夏の大三角形」

三つの大きな光を指で結んで、ちょっと幸せになった。もうすっかり夏だ。

⏰:07/09/24 20:39 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#80 [H∧Lしおん]
今日の宿はココにしよう。

ヨシキさんから貰った六人の諭吉さんは相変わらずポケットの中。ホテルに行くより、何となく今日はこの公園にきたくなった。

「…なんか調子狂うなあ…」

ヨシキさんからの告白にもそうだけど、最近なんか気分が優れない。

殴られたほっぺた。

左ポケットの六枚。

逃走したまんまの、オオカミくんのこと。

よくわかんないけど、変な罪悪感。

悪いことなんて、してないのに。

⏰:07/09/24 20:43 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#81 [H∧Lしおん]
「なんかビミョー…」

こんなにため息が出るのはなんでかな。

ついでに言うと、胸の辺りがチクチクいたい。

「なんでかな、なんでかな。うーむ」

ちょっと考えて、あ、ってすぐ理由が分かった。

なるほど。
秘密主義の俺が秘密を言ってしまったからだ。

そう、ヨシキさんに。

⏰:07/09/24 20:49 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#82 [H∧Lしおん]
俺がウリをしてる理由。

うん、まさにコレだ。


今まで何人もの相手から「何でウリしてんの?」って聞かれたけど、俺は今まで笑ってごまかして、無理矢理セックス仕掛けてすっとぼけた。

それをつい「オオカミくんとの秘密の約束のために」って真実を打ち明けちゃったからだ。

でも…

「なぜに?」

何で言っちゃった?
しかも、ヨシキさんに。

……………。

「うーむ。わからん…」

⏰:07/09/24 20:53 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#83 [H∧Lしおん]
ちょっと呟いて、俺はポケットから六枚を取り出した。

「1、2、3、4、5、6、よし」

一枚一枚数えて、俺は身体を起こした。

それから今じゃもうちっちゃいと感じる錆びた滑り台の下にしゃがみこんで、せっせと穴をほった。

素手だから爪の間に砂が入ってキモチワルイ。

「スコップ、買うべきかぁ?」

⏰:07/09/24 21:45 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#84 [H∧Lしおん]
ぼやいていると、指先にカツンと当たったプラスチックの感触。

それを掘り出して、パッパッて砂を払う。

四角くて青い、お菓子の箱。
それは俺とハルキが大好きなクッキーの箱で。

砂が詰まった蓋を開けると、そこにはぎっしり詰まった諭吉くんたち。ぎゅうぎゅう詰めで、なんか苦しそうだ。

⏰:07/09/24 21:52 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#85 [H∧Lしおん]
「さ、今日は6人の新入生です。みんな仲良くしてやってね」

ポケットから、その6人の新入生を取り出して、ぎゅうぎゅう詰めな諭吉教室に入れてやる。

これで97人目。
目標達成まであと三人。

「…長かったなぁ」

思い返すと、この箱の一人目の諭吉くんはずいぶん昔のように感じる。 ウリを始めてたった一年半、されど一年半。
集まったのは97人の諭吉くんたち。

⏰:07/09/24 21:56 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#86 [H∧Lしおん]
身体を売って稼ぎ集めた金。

ゲイのひと。

ちょっと男に興味があるひと。

結婚してるひと。

サラリーマンのひと。

大学生。

社長。

教師。

いろんな人が俺を抱いて、諭吉くんを手渡した。

そのたびに俺はこうしてこの滑り台の下に隠してる。ハルキとの約束のために。

⏰:07/09/24 22:00 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#87 [H∧Lしおん]
小さい頃に、母親を病気で亡くした。

まだ30歳くらいだった。

若くて綺麗で優しくて、自慢だったなぁ。

母親の病気は医者でも原因不明。つまりの不治の病。

それは遺伝らしく、ばあちゃんも同じ病で、やっぱり若いときに死んじゃった。

だから俺には母親の親戚を知らない。

みんな呪われた一族みたいに、ばあちゃんも母さんも従兄弟も。
若いときに死んじゃったからだ。

⏰:07/09/24 23:04 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#88 [H∧Lしおん]
つまり、そんな呪われた一族の俺も死んじゃう訳で。

それはいつかなんて分からない。

明日かもしれないし、明後日かも。いや、もしかして30分後かもしれない。

死ぬ前は痛いのかな?血吐いたり、苦しいのかな?

未だ、身体の調子はいつもと変わりはないけど。

母親を亡くして、父親からセックスを強要された時から、俺は人を信じるのが怖かった。

⏰:07/09/24 23:08 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#89 [H∧Lしおん]
まだ小学生だった俺は、そんなことちっともオカシイと思わなくて。
みんな父親とセックスするものだと思ってた。

それを学校の友達に言ったら、キモチワルイとかオカシイって言われた。

俺はオカシイの?
俺はキモチワルイの?

それからイジメが始まった。

⏰:07/09/24 23:10 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#90 [H∧Lしおん]
切り裂かれた教科書に、砂が入ったランドセル。
給食の時間は、誰も机を付けてくれなかった。

学校ではイジメ。
家に帰れば父親の暴力とセックス。

ひとりぼっちの俺の手を引いてくれたのが、隣近所で幼なじみのやんちゃなハルキだった。

⏰:07/09/24 23:13 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#91 [H∧Lしおん]
「おまえ、男なら泣くなよ」

いつも傷だらけの俺に、ハルキは口癖にそう言ってた。

とか言うハルキも喧嘩ばかりで、傷は絶えなかったけれど。

だけどハルキは俺の側に居てくれた。

イジメの原因も聞かないで。
身体中にあるアザの理由も聞かないで。

ただ一緒に居てくれた。

俺は一人じゃない。

初めて、笑えた。

⏰:07/09/24 23:17 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#92 [H∧Lしおん]
いつもみたいに公園で遊んでた日。

ハルキがいきなり「タイムカプセルを埋めよう」

って言い出した。

俺は宝物も何もないって言ったら、

「じゃあ未来で宝物になるものを集めよう」

って言った。

「いみわかんない」

って聞くと、ハルキは自慢そうに、

「これからこの箱に100万円貯めて、未来で使うようにしよう」

って笑って、中身が入ってない空っぽのお菓子の箱を、滑り台の下に埋めた。

⏰:07/09/24 23:23 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#93 [H∧Lしおん]
「どうして100万円なの?」

「お金がいっぱいあると、金持ちになるじゃん」

「うん」

「金持ちはでっけーお城に住むもんだろ?」

「うん」

「おまえと俺で、お城つくりたくない?」

「作りたい!」

「じゃあ今日から、毎日この箱にお金を入れよう!そんで、二人ででっけーお城作ろう!」

「うん!」

⏰:07/09/24 23:28 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#94 [H∧Lしおん]
“ひゃくまんえんたまったら、どっかとおいとこにいってふたりでおしろをつくるんだ”

“そうしたら、ゆめとはえらいおうさまになって、だれもいじめたりしなくなるよ”

“おれはせいぎの「きし」になって、ゆめとをずっとまもってやるから”

「約束、な」

ハルキ、覚えてる?


あのときの約束は、俺にとって全てが始まりだったんだ。

⏰:07/09/24 23:29 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#95 [H∧Lしおん]
忘れっぽいハルキは、一度もこの箱にお金は入れなかったけど。





バイトして働いて稼ぐ時間なんて俺にはない。

どうせ死ぬなら、こんなベンチじゃなくて、デカイ城で死にたい。

早く、二人で遠い所に行こう。そんでもって、誰からも敬れる王様になるんだ。

「キミ、5万でヤらせてくれない?」

中学に入って知らない男に声を掛けられた。

時間がない俺にとって、それはまさに天の助けだった。

⏰:07/09/24 23:33 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#96 [H∧Lしおん]
――吐き気がした。

父親みたいなヤツが、まだ他にいるなんて。
オカシイいヤツが他にいるなんて。

「いーよ」


俺は笑って、男の手を引いてトイレに誘い込んだ。

その日から、俺はウリを始めたんだ。

二人で約束した“デカイお城を作る”ために。


――――“もう昔とは違うんだよ”――――

「――ははッ、…ハルキ、その言葉結構キタわ」

夜空の下で、苦笑い。ついでに歪んで見える夏の大三角形。

涙を流したのは、いつぶりだったかな。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

⏰:07/09/24 23:40 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#97 [H∧Lしおん]
今日はここまでです(o・v・o)

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2859/

⏰:07/09/24 23:41 📱:W51S 🆔:4lFjZ.UM


#98 [H∧Lしおん]
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【想いが伝わらないのは、素直じゃない自分のせいbyセンチメンタルな春日ゆめと】


次の日は猛暑並みの暑さで、まだ梅雨前なのにせっかちなセミたちがミンミン騒ぎまくった。

空は晴天。

海みたいな真っ青な空には、モクモクの雲ひとつない。

そんな直射日光バリバリの屋上でも、逃走中のオオカミくんはなんでもないように寝転がってた。

⏰:07/09/25 12:22 📱:W51S 🆔:eF/eGsK.


#99 [H∧Lしおん]
「熱くない?地面」

「…………」

隣に座った俺が聞いても、相変わらずのタヌキ寝入り。

今日こそは殴られたほっぺたのリベンジを果たそうとしたけど、暑すぎてどうも調子がでない。

半袖のシャツも、汗でべったり張り付くし、地面にあぐらをかいた尻も暑いし。座ってるだけなのに、身体中から汗がじわじわ滲むし。

⏰:07/09/25 12:26 📱:W51S 🆔:eF/eGsK.


#100 [H∧Lしおん]
ゴロンと俺に背を向けたオオカミくんの広い背中も、汗でシャツが張り付いてた。

「…あーあ、海行きたいなあ」

空を見上げておっきなため息。

泳げないけど、見てるだけでもいい。
どこまでも続くでかーい水溜まり。
想像しただけで涼しくなるから不思議だ。

「…お前さ」

⏰:07/09/25 12:31 📱:W51S 🆔:eF/eGsK.


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