○ビー玉ラバーズ○
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#179 [向日葵]
「今からどっか遠くに行っちゃおうよ。」

「え?」

「それでおじさん達を心配させるんだ!そしたら灯が引越したくないのが分かるんじゃない?!」

僕の考えに、灯は目を輝かせて大きく頷いた。

「“遊ぶのは5時まで”って約束は守らなくていいんだね!」

「むしろ夜になれ!みたいな!」

僕達はまるで冒険にでも行く気分で笑い合って手を繋ぎ、宛てもなく走りだした。

⏰:07/10/27 01:32 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#180 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

>>22に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします

⏰:07/10/27 01:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#181 [向日葵]
「ねぇ巽!あんなトコ初めてみたね!」「あれ何かなっ?ね、巽!」

「巽!ねぇ巽!」

灯は何度も僕の名前を呼んだ。
今の彼女は僕が中心の世界だ。それが僕は嬉しかった。

夕暮れになっても、僕らは疲れる事なく笑い、はしゃぎながら走って行った。

そしてもう日が大分落ちてしまった時、知らない公園に立ち寄った。
僕達はブランコに乗り、目一杯漕ぎ始めた。

「灯、どれくらい飛べるかやってみようぜ!」

「ウンいいよ!」

⏰:07/10/28 01:44 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#182 [向日葵]
「「せーのっ!」」

僕達は一緒に飛んだ。

「よっ!」

「えー!巽そんなトコまで飛んじゃったー!」

勝負は僕の勝ちだった。
悔しそうに口を尖らす灯がとても可愛いかった。

気付けば夜になっていた。外灯が少なかったその公園は、とても星が綺麗だった。

「あれが夏の大三角形かな?」

「はくちょう座と……なんだっけ?」

「私も忘れたっ。」

僕達はシシシ!と笑った。

⏰:07/10/28 01:49 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#183 [向日葵]
全てが輝いていて、隣には大好きな灯がいて、僕にはそれで十分だった。

「灯!」

「巽!」

笑い合ってた僕達は一気に表情を消した。

耳慣れたその声は、まさしく僕らの両親のものだった。

「危ないでしょ?!何してるのよ馬鹿!」

「灯!もうすぐ引越すのに何かあったらどうするの!」

「……っやだ……。おばさんやめて!」

⏰:07/10/28 01:52 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#184 [向日葵]
灯を掴んでいたおばさんの手から灯を奪って、僕は灯を抱き締めた。
そしておばさんを睨んだ。

「灯を連れていかないで!灯だってここにいたいって言ってる!灯の面倒なら俺が見るから!!」

必死だった。

僕は灯の世界から僕がいなくなるのが怖かった。
いつまでも灯の世界で僕は生き続けたかった。

おばさんは悲しそうにすると、細い手で僕の頭を撫でた。

そして呟いた。

「ゴメンネ……。」

⏰:07/10/28 01:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#185 [向日葵]
絶望と言う言葉の意味を知った気がした。

僕は灯を離して静かに自分の手を見た。

なんて小さなちっぽけな手……。
何一つ守れない幼い自分。この時ほど、早く大人になりたいと願った事はなかった。

「好き」と簡単に言えなくても、大切な人を守れるならば、早く大きくなりたかった。

そして遂に、灯が引越す日が来てしまった…………。

「じゃあね巽。手紙書くから。」

⏰:07/10/28 02:01 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#186 [向日葵]
車に乗る前に、灯が喋りかけてきた。
灯は変わらない笑顔で僕に話す。
知ってる。灯、お前も悲しいんだよな……。

「俺も……書く。」

「うん……っ!」

2人に沈黙が流れた時、車の中から申し訳なさそうにおばさんが「灯。乗りなさい。」と言った。

いよいよ……別れの時だ……。

灯は口元に笑みを残したまま車に乗ろうとした。

「……。――っ!!」

⏰:07/10/28 02:04 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#187 [向日葵]
そんな灯を、僕は引っ張って強く抱き締めた。

僕の目からは、大粒の滴が流れる。

「大好きでいるから……っ。灯も大好きでいろよ……っ?!」

あんまり泣いたら格好悪い。なのに涙は後から後からいくつも丸くなって流れていく。

灯は僕の背中のシャツをギュッと握った。

「……っウン……!!」

決してこれは子供の淡い恋心とか、そんな簡単な言葉で片付けないで欲しい。

⏰:07/10/28 02:08 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#188 [向日葵]
年齢なんて関係ない。
僕らは幼いながらも精一杯お互いを好きで、体一杯の気持ちを持っていたんだ。

――――――――……

「巽ー!朝だよーっ!」

母親の声で、2階の自室で寝ていた僕は、ダルそうに起きた。

「……あー。夢か。」

今年、僕は15歳になった。
遠くにいる灯とは、ちゃんと手紙を書いたり送ってきたりと続いてり。
正直携帯が欲しいが、いくら頼んでも親は「高校入ってから!」の一言。

⏰:07/10/28 02:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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