○ビー玉ラバーズ○
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#325 [向日葵]
お兄さんは丁度準備してる所で、ギターを肩にかけていた。
「お兄さん!」
私の声に気づいたお兄さんは準備する手を止めて私の方を向いた。
「こんにちはっ。私のこと覚えます?」
「……誰?」
……昨日の今日なのにもう忘れるだなんて、早いよお兄さん……。
シュンとうなだれていると、クククと声が聞こえた。
「嘘嘘っ。覚えるから。碧ちゃん。」
:07/11/10 16:36
:SO903i
:☆☆☆
#326 [向日葵]
私の顔が笑っていくのを自覚した。
良かった。覚えてもらって。
「今日はお友達と一緒?」
「うん!肇って言うの!」
お兄さんは肇に向かってにっこりと笑うと、ギターの調子を確かめ為か小さく音を鳴らした。
「ウン。今日もいい音。」
まるでギターが恋人かのようにお兄さんは優しく柔らかく笑った。
:07/11/10 16:40
:SO903i
:☆☆☆
#327 [向日葵]
お兄さんの恋人がうらやましい……。
こんな素敵な歌を毎日側で聞いていられるんだもん。
「では初めてのお客さんの肇ちゃん。なんかリクエストありますか?」
お兄さんはにっこり笑って肇に聞いた。
肇はリクエストが出来る嬉しさに目を輝かせていた。
「私、恋の歌がいいな!」
「かしこまりました。」
ギターを鳴らし始めるお兄さん。
恋の歌はバラードのようで、優しく、そしてどこか切ないメロディーだった。
:07/11/10 16:44
:SO903i
:☆☆☆
#328 [向日葵]
<恋を失ってしまった僕を切なげに空が包みこむ。>
そんな歌詞が、なんとなく耳に残った。
お兄さんが作っただろう歌詞は、どこか現実味に溢れていて、もしかしたら実体験をもとにしてるのかなと聞きながら思った。
最初は昨日の私みたいにお兄さんの声に驚いていた肇だったけど、やがてその声、その歌詞に感動してウルウルしていた。
また昨日みたいに、歩いていた人達の足が止まっていく……。
皆、お兄さんの声の引力に惹き付けられて……。
:07/11/10 16:49
:SO903i
:☆☆☆
#329 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「――……り。碧ったら!」
私はハッとした。
いつの間にかぼーっとつっ立っていた。
目の前には、様子がおかしい私を心配そうに見ている肇と、そんな私が面白いのかにこにこ笑いながらギターを片付けるお兄さん。
「あ……ゴメン……。」
「そんなに俺の歌良かった?」
「そ!そんなんじゃないっ!!」
図星だったので思わず否定してしまった。
本当はそうだった。
時間を忘れてしまうようなお兄さんの歌……。
:07/11/10 16:53
:SO903i
:☆☆☆
#330 [向日葵]
でもお兄さんはそんな失礼な態度をとった私ににこにこ笑うだけだった。
「またおいで。」
そう言って頭をグシャグシャ撫でてくれた。
それからと言うもの、「また」ではなく時間の許す限り私は毎日毎日お兄さんに会いに行った。
そんな私をウザがりもせず、お兄さんはやっぱり笑って「なんかリクエストある?」とギターを一鳴らしするのだ。
私はいつも「なんでも。」と言う。
だって聞いてみたいから。
:07/11/10 16:58
:SO903i
:☆☆☆
#331 [向日葵]
優しい曲のお兄さんの歌。
激しく、だけど楽しそうなお兄さんの歌。
寂しく切ないお兄さんの歌。
全て歌い終わった後で、私はやっぱりぼんやりしてしまう。
「クスクス。大丈夫?」
「だ、大丈夫だよっ!」
いつも乱暴に言ってしまう。カワイイ女の子ならここで一言感想を言うんだろうなぁ。
「ハハハ。じゃあ、また明日ね。」
いつからか、お兄さんとの別れの挨拶は「また」ではなく、「明日」になった。
:07/11/10 17:02
:SO903i
:☆☆☆
#332 [向日葵]
――――――――……
「っと言う訳で、碧はあのお兄さんに惚れちゃったって訳か。」
ブー!!
飲んでいたフルーツオーレを吹き出してしまった。
「あら何?違うかった?」
「違っ……。」
[碧ちゃん。]
お兄さんが私を呼ぶ声が頭の中で響く。
「ち、ち、……違わ……ない……。」
:07/11/10 17:11
:SO903i
:☆☆☆
#333 [向日葵]
私の答えに満足したのか、肇はにーっこり笑った。
「じゃあ早いとこ告白しなきゃね。」
「ムリムリムリムリ!!」
「あのねぇ。あれだけ素敵な声の持ち主だよ?早くしないと誰かに取られちゃうんだからっ!」
誰かに……。
それは……嫌かも。
「分かったら、今日にでもちゃんと言ってきな!これ使命ね!」
使命って……。そんなヒーローじゃないんだから。
:07/11/10 17:15
:SO903i
:☆☆☆
#334 [向日葵]
でも……。
「ウン。分かった……っ。」
―――――――――……
とは言ったものの。
いつもの様に私は駅前にいた。
このまま真っ直ぐいけば、多分お兄さんがいつもの場所にいるんだろうな。
って場所で私は立ち止まったままだった。
告白だなんて、人生初だ。
前は告白された側だったし。
少し人の波が切れた時、お兄さんはいた。
:07/11/10 17:18
:SO903i
:☆☆☆
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