○ビー玉ラバーズ○
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#501 [向日葵]
「舌打ちしてイライラしてるリアクション見せても急ぎませんからね。」

「イライラさせて後でヒドイ事になるのはお前だからな蜜。」

それを思うと多少急ぎたくなるけど……。
でも私も忙しいんだいっ!

反抗心を持ちながら、後の事を聞かされた私はどこか焦りながら洗濯を干し終えた。

「フー……。オッケーオッケー。」

と思ったら。

「うわぁぁ!」

⏰:07/11/26 02:56 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#502 [向日葵]
急にセツナが私を抱き上げて家へ連れて行った。

無言でソファーに降ろして、履いていた庭用スリッパを脱がされた。

あぁ……ヒドイ事されるのね……。

「さて蜜……。償いはしてもらえるだろうなぁ?」

私は黙って肯定も否定もしなかった。

どうにかしてこの場を切り抜けようと頭を働かす。……けど、思考の回転よりまセツナの手が私の顔を包む方が早かった。

「私だって、いつまでもセツナの思い通りだとか思わないで下さいっ。」

⏰:07/11/26 03:01 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#503 [向日葵]
――――――――――――

今日はここまでにします(◎・ω・◎)

>>283に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします

⏰:07/11/26 03:02 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#504 [向日葵]
「蜜は強がりだからな。俺がくちづけ1つすればいい子になるだろう。」

「私いい子だから必要ありませーん。」

ベーッと舌を出すと流石のセツナも頭にカチンと来たらしい。
目を細めて目元をピクッとさせた。

その瞬間……

「ん……っ!」

唇が重なる。
顔を掴まれてるせいで逃れることすら許されない。

私の思考は段々真っ白になっていく。
気温が手伝って私の体温が上がっていく。

⏰:07/11/26 23:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#505 [向日葵]
少しだけ口からクチュッといやらしい音がしたかと思うと、セツナの唇は離れた。
息が上がってる私に対して、セツナは余裕しゃくしゃくだ。

「この……スケベ蝶々……っ!」

「そのスケベ蝶々とやらを好きなのはお前だろ。」

勝ったと言わんばかりに笑い、私を見下ろす。
それが何だか気に入らない……。
……よし。

私はまだフラつく足を叱咤しながら立ち上がり、階段へと行った。

⏰:07/11/27 00:01 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#506 [向日葵]
後ろから私の足取りを面白おかしく思いながら、セツナはついてくる。

階段を上がり、自分の部屋に入る。
と、その前に……

「セツナ。ここから先、立ち入り禁止ですから。」

「は?何を言ってるんだ。」

「ラフィーユ達が帰ってくるまで私は課題の残りやってしまいますから。」

「また課題か?!お前俺を暇で仕方なくして殺す気か?!」

そんな事で死んだ人は見た事ありません。

⏰:07/11/27 00:05 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#507 [向日葵]
私はそんな不満タラタラのセツナをギロリと睨み、もう一言。

「早く課題が終わればそれだけセツナと遊べるんですよ?なら我慢です!忍耐って言うのがセツナには足りないです。」

そう言ってからバタンと扉を閉めた。

私勝利ぃぃっ!!

と高く拳を上げた。

「納得出来んっ!」

セツナ再び登場。
まだ扉前にいた私はセツナのせいで思いきり後頭部を打った。

⏰:07/11/27 00:09 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#508 [向日葵]
「今遊んでも別にかまわんだろ!なのに何で俺ばかり我慢しなきゃならないんだ!」

「とりあえず頭ぶつけた事謝って下さい。」

そんな私の非難の声も聞かず、セツナは私のベッドにボスッと寝転がった。
長い足を組み、無言でも分かるこの圧迫感……。

「私が納得するまでここに居座ろうたってそうはいきませんよ。」

セツナをじとっと睨みながら言った。
セツナは涼しげな顔で目を瞑っている。

どうやら動く気がないらしい……。

⏰:07/11/27 00:14 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#509 [向日葵]
――――――――――――

今日はここまでにします

>>283に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします

⏰:07/11/27 00:15 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#510 [向日葵]
そういえば……説明するの忘れてましたね。
初めて私達を見る方は、さっきから「あちらの世界」やら、「飛んでいった」だ、「エロ蝶々」だと言っても何がなんだか分からないでしょう。

簡単にご説明しますっ。
あまりにファンタジックなので「何が何だか」と思うかもですが、頑張ってついて来てください!

ここに寝ているセツナという人物。
実は黒蝶族という自然界ではほぼ頂点に近い存在の方なんです。

……はい!そこで最早「はい?」とか思わないで下さい!私だって最初は信じられなかったんですから!!

⏰:07/11/27 22:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#511 [向日葵]
と言うわけで話を続けます。

彼等には伝説の存在、「蜜乙女」と言う人がいます。
なんでもその人は黒蝶族の運命の人らしいのですが、現れるのはとても稀な存在らしいです。

そこで私とセツナの関係に結びつくのです。

早い話が私がその「蜜乙女」だったんです。

最初、私はそんな義務的関係は断固として受け付けませんでしたが……。
セツナは「蜜乙女」としてではなくちゃんと「私」として見てくれてるんです。

⏰:07/11/27 22:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#512 [向日葵]
そんなセツナの真っ直ぐな想いに惹かれた私は……今じゃこんな関係で……。

家に住んでいるのを説明するのはまた長引いてしまうので……本編を読んで下さると嬉しいです。(宣伝?)

と言う事で、特別編の話に戻りますっ。




一向に動く気配がないセツナを見かねて、セツナの両手を引っ張ってみる。

「出て…って…くだ…さい…よっっ!」

「いーやーだーねっ!」

⏰:07/11/27 22:20 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#513 [向日葵]
「課題が済まないでしょ!私を留年さす気ですか!」

すると少しずつ引きずられているセツナは、不満そうに顔を歪めると、さっと私の手を払い、起き上がった。

一際長い指でパチンと鳴らすと、急に風が吹いてきた。

「あ!風さん達!」


風さんとは、セツナの下僕の妖精さんで、ほんの2センチ程しかないんです。

セツナはなにやら風さんにこしょこしょ話。
この時、無理矢理にでも聞いておけば良かった……。

⏰:07/11/27 22:25 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#514 [向日葵]
私が黙って見ていると、風さん達は私の机に移動。

すると……

ビュオォォォォ!!!!

急な突風に、部屋の中があれる。
目も開けれない状態の中、私は見てしまった。

空気抜けの為に開けておいた窓から、課題専用の紙が飛ばされてしまうのを。

「!!……っちょ、待ってぇ!!」

叫ぶ頃には、風さん達と一緒に、紙はどこかへ飛んでいってしまった。

唖然と窓の外を見る。

⏰:07/11/27 22:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#515 [向日葵]
しばらくそうしてから、沸々と胸の中で何かが煮えてきた。

振り向くと、腕を組んで「上出来」と言わんばかりにセツナは頷いていた。

「セェーツゥーナァー……。」

自分でも驚く程の低い声。
でもどんなに凄味をかけてもセツナの顔はケロリとしている。

私はそんなセツナにさらに怒りを覚えた。

「何してんですか!いくら何でもやっていい事と悪い事があるんですよ?!」

⏰:07/11/27 22:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#516 [向日葵]
――――――――――――

一旦キリます(◎・ω・◎)


>>283に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします

⏰:07/11/27 22:34 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#517 [向日葵]
「言っただろ。ヒドイ事するって。」

イラーッ!として歯ぎしりした私は息を深く吸って半ば叫ぶようにセツナに言った。

「大っっ嫌い!!」

―――――――……

ここで冒頭に戻る訳でございます。
長い前フリすいません。

私は家を出て、紙が飛んでいったと思われる方へ探しに行ってる最中です。

唸るような暑さにぐったりしていますが、そうもいかない。学生にとって単位は命です!

⏰:07/11/28 00:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#518 [向日葵]
今回はセツナから謝ってくるまで絶対に許さない!
いくらあの魅力満点の何も考えられないくちづけで説得しようったってそうはいかないんだから……っ!

「ってか……。」

どこまで飛んで行っちゃったのよーぅ……。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ウィー!ただいまーっとぁ!」

オウマとラフィーユが帰って来た。
だが、いつも「おかえりなさい」と向かえる蜜がいない。
いるのはソファーにブスーッとしたセツナだけ。

⏰:07/11/28 00:20 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#519 [向日葵]
「セツナ。蜜、どこいる。」

ラフィーユがセツナに話かける。
が、セツナは「ヘッ!」と言ってそっぽを向く。

「あんな奴もう知らんっ。最近毎日“課題課題”とうるさくて敵わん!」

「なんだケンカかよー。セツナも少しは蜜の事考えてやれよなぁ。」

セツナはオウマをギンッと睨み、目をつり上げる。
その様子に肩をすくめて少し呆れるオウマ。

「セツナ。夏、危険。」

「なんでだ?」

「暑い。水分不足する。日射し、強い。」

⏰:07/11/28 00:25 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#520 [向日葵]
「知るかよ。」

セツナの態度に、ラフィーユがムカッと来たらしく、セツナの前までくると、座っているソファーを思いきり蹴った。

細く長い足からは考えられないほどの脚力はまさしく人外特有のもの。
セツナの座っているソファーはグラグラと揺れた。
まるで大きなロッキングチェアーだ。

「お前……何をするんだ!」

「セツナの態度、良くない。改めるべき。」

「お前誰に物を言ってやがる……。」

⏰:07/11/28 00:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#521 [向日葵]
ラフィーユはその言葉の意味を理解しつつも痛くもかゆくもないと言う風に涼しげな、だけど厳しい顔でセツナを睨む。

一方のセツナも、自分を馬鹿にされたような扱いを受け、イライラした目つきでラフィーユを睨む。

そんな2人の間から、オウマがおずおずとセツナに話しかける。

「あのさセツナ。なんでセツナがイライラしてるか蜜は知ってるのか?」

「知ってるだろ。それぐらい。」

ぶっきらぼうに言い捨てて、ソファーに深く座る。

⏰:07/11/28 00:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#522 [向日葵]
――――――――――――

今日はここまでにします

>>283に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします

⏰:07/11/28 00:37 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#523 [向日葵]
「前にも言ったけどさ、蜜は口でちゃんと伝えなきゃ嫌だと思うぞ?」

セツナは肩をピクッと動かせた。

ずっと黙ってセツナを睨みつけていたラフィーユも口を開く。

「お互い好き、だからと言って、何も言わない。それ一番いけない。」

「そーそー。何も言わず全て分かれだなんて、ちょっと強引だと思うぞ。」

セツナはハァー……っと深くため息をついて目を閉じた。
そして暫くして……

「蜜を探してくる……。」

⏰:07/12/02 11:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#524 [向日葵]
その言葉に、オウマとラフィーユは微笑んだ。

「俺達も手伝おうか?」

「いや、そんな遠くには行ってないだろうし。飛ぶ必要もないだろうから。俺だけで行く。」

そう言って立ち上がり、玄関へ向かった。

――――――……

「あっ……つい……。」

もうどれくらい歩いた……?

滝のように汗を流しながら、紙を探し回る。

そんな事をしなくてもコピーを取らせてもらえば……と最初考えた。

⏰:07/12/02 11:53 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#525 [向日葵]
でも、ラフィーユもオウマ君もいつの間にかパッパと終らしてる為コピーは不可。他の友達で地元の人がいない為これも不可。

……となれば

歩くしかないと言う訳だ。

少し認めるのであれば、意地が入ってるのは認める。
見つけて見返してやりたい。
もちろん誰かと言えばこんな事をした張本人だ。

「……っ?」

突然、めまいがした。

原因はなんとなく分かる。長時間に太陽に当たりすぎた。

⏰:07/12/02 11:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#526 [向日葵]
もう1時間くらいは歩いてるかな。
どこか日陰……。

と言っても、周りには家ばかり。
ちょっと休めそうな公園が見当たらない。

まだそんなフラフラになってる訳でもないし、探してみよう。

だけど歩く内に、めまいの回数が増えてきた。
本能的にヤバイと感じる。

「……あ……。」

バス停のベンチを発見。
近くの木が木陰になってる。

⏰:07/12/02 12:02 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#527 [向日葵]
「ふー……。」

助かった……けど休憩したらすぐに探しにいかなきゃ。
夏だから日が長いとは言え夕暮れになる前には見つけたい。

そう思うのに体が重い……。

少しでも早く疲れがとれるようにと目を閉じたけれど、目を閉じても頭がくらくらしてるような気がした。

早く……立たなきゃ……。

――――――――……

ふと意識が戻る。
まだ目は閉じたままだ。
世界が暗い。
でも瞼ごしに分かる太陽の光。

⏰:07/12/02 12:07 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#528 [向日葵]
そよそよと風が吹いている。とても心地よい。

私寝ちゃったのか……。
……ん……?

ぼやける頭の中で、気がついた。
誰かが私を抱き上げていると。

うっすら目を開けた。

顔の近くには、逆光で見えにくいあの綺麗な顔があった。

「セツ……ナ……?」

セツナは私に顔を向けると、優しく微笑んでくれた。

「心配するな。眠っておけ。」

⏰:07/12/02 12:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#529 [向日葵]
「はい……。」

気だるさがまだ抜けない私は素直に言う事を聞いて目を瞑った。

そして意識はまた闇の中へ……。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ヒヤリとした物が頭に乗った気がした。

あ……アレは夢だったのかな?
セツナが私を運んでくれていたんだけど……。

でもさっきのような眩しさは感じない。
それはやっぱりまだ木陰にいるから?

⏰:07/12/02 12:17 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#530 [向日葵]
「セツナー蜜大丈夫かー?」

オウマ君?

「多分日射病だろう。ゆっくり休ませる。」

ガチャ

「セツナ。あった。ここ置いておく。オウマ、行くぞ。」

トタトタ……パタン……。

音しか聞こえない。
でも分かる。

アレは夢じゃなく現実だったんだ。
私は今きっと、自分の部屋にいる。

⏰:07/12/02 12:21 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#531 [向日葵]
そう思ってると、さらって頭を撫でられた。

それを合図に、私は目をゆっくり開く。

「あ……。目、覚めたか?気分はどうだ?」

少し横を見ると、側にはセツナがいた。

「私……。」

「とりあえず水だ。飲んどけ。」

セツナは手をかして私を起こすと、ガラスのコップに入った水を渡してくれた。

無意識ながら喉が渇いていたのか、私は水をゆっくり一気飲みした。

⏰:07/12/02 12:34 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#532 [向日葵]
セツナは飲み終えたのを見て、私のコップを取ると、また私を寝かせた。

「……。飛ばした紙は、見つけたからな。」

「え……?」

「俺、蜜が課題を終えるまで、あちらの世界にいる事にする。」

セツナは私が水を飲んでいたようにゆっくり一気に喋りだした。

「邪魔をしたのは悪かった。反省してる。蜜をこんなにしたのも自分が悪いしな。……だから、また頃合いを見てこちらへ来る事にする。」

「そんな……っ。」

⏰:07/12/02 12:39 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#533 [向日葵]
セツナは薄く笑って私の頭をポンポンと叩いた。
私はその手を取る。

「そんな事しなくていいですよ?セツナがじっとしといてくれるなら」

「寂しかったんだ。」

うつ向いてそう言うセツナを、私は上体を起こして見つめた。

寂しかった?
それはどういう事だろう……。

「高校の時のように、俺はお前やラフィーユ達とは共に行動を取ってないからな……。1人、おいてきぼりされた気分だった。」

⏰:07/12/02 12:44 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#534 [向日葵]
確かに、セツナはあちらとこちらを行ったり来たり。たまに来た時に私達がいない場合は、大抵が学校だった。
高校時代、あれだけ一緒にいた私達は、会う時間が確実に減っていたのは目に見えていた。
そんな中、私はセツナに構う事はほとんどなかった。

すれ違いが、セツナを寂しくしてたのかもしれない。

「だからと言って、邪魔する事はよくないよな。すまん……。」

いつも……自身満々で、俺様で、偉そうなセツナが、今はこんなにも弱々しい……。

⏰:07/12/02 12:49 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#535 [向日葵]
そうしたのは紛れもなく、私だ。

私は手を伸ばして、ギュッとセツナの頭を抱き締めた。

「ごめんなさい……。そんなに寂しくしてたのに気がつかなくて……。」

やる事は間違いだらけの時もあるけど、セツナがどれほど私を好きでいてくれてるかは知ってる。

こんなに弱々しい姿を見せてくれるのも、きっと私だけだ。

そんな姿が、とても愛しい……。

「課題、早く済ませますから……残った時間、沢山一緒にいましょ……?」

⏰:07/12/02 12:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#536 [向日葵]
「……うん。」

どうしたんだろう……セツナが本当に弱い……。
こんなに素直に……しかも少し可愛いく感じる返事をするだなんて……。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ご飯を食べたり、お風呂に入ったり、全て終らせて寝る準備をする。

「セツナ、今日は一緒に寝ません?」

例え、私の夏休みを利用してあちらの世界での仕事をほったらかしにしたとは言え、セツナは夜になると少しでもその仕事を片付けに行っていた。

⏰:07/12/02 13:02 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#537 [向日葵]
窓枠に座って空を眺めているセツナに私は言ってみた。
セツナは不思議そうに私を見つめる。
断られるかもと言う不安が胸によぎる。

「あぁ……いいけど。」

とりあえずホッとして、電気を消した。
布団に入ると、一緒になってセツナも入ってきた。

「珍しいな。蜜がそう言うだなんて。」

「あのねセツナ。私だって、セツナと一緒にいたいんですよ?こうやって……。」

と言って私はセツナに寄って、胸元にピタッとくっついた。

⏰:07/12/02 13:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#538 [向日葵]
「寄り添いたいですし……。」

セツナは私をゆっくりと抱き締めた。
そして何か切なげにため息をついた。

「私がセツナをワザと拒否していたとでもお思いで?」

「……少し。」

口調はなんだか拗ねていた。
それがおかしくて、私はクスクス笑った。
そんな私の顔を、顎に指を添えて上げると、優しく唇を重ねた。

「蜜……好きだ……。」

⏰:07/12/02 13:21 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#539 [向日葵]
「私もですよ……。」

するとセツナがじっと私を見つめた。

「?何か?」

「俺がどれだけお前が大事か、言った方がいいか?」

頭にハテナを浮かばせながら私はセツナを見つめ返す。

「どうしてです?」

「オウマやラフィーユに言われた。蜜は何でも言った方がいいとな。」

「ふぅん。」と呟きながら、私はセツナの胸におでこを当てた。

⏰:07/12/02 13:24 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#540 [向日葵]
セツナは私の頭のてっぺんに口を当てている。

しばらく考えた。

確かに何でも言ってもらえるのはとても嬉しい。
今みたいに「好き」と言ってくれるなら尚更。

でも、セツナの気持ちは痛い程分かる。

「言わなくても、セツナの気持ちは伝わってます。ただ、寂しかったり、自分がどうして欲しいかとかは言って欲しいかもですねー。」

「そうか……。」

なんだかまた私は笑えた。

頭上でセツナが不機嫌そうに「ん?」と唸るのが聞こえた。

⏰:07/12/02 13:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#541 [向日葵]
――――――――――――

キリます(◎・ω・◎)

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⏰:07/12/02 13:31 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#542 [向日葵]
「セツナは色々器用なくせに変な所不器用ですよね。」

私がまだくすくす笑っていると、セツナはスッと表情を引き締めた。

「でも……お前はちゃんとそれを教えてくれる。それがどんなに嬉しいか、知ってるか……?」

ついつい胸がドキッとしてしまった。

私はまたセツナをじって見つめた。
私だって、セツナに色んな事を教えてもらった。

例えば……こんなにも人を好きになる気持ちだとか……。

⏰:07/12/04 01:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#543 [向日葵]
「足りない部分は、これから補い合いましょうね。」

まだまだ先は長いんですから……。

私の言葉の意味を理解したセツナは、私が大好きなあの優しい笑みを浮かべて頭を撫でてくれた。

まだまだ歩き始めたばかりの私達。
でもこれからも隣には絶対セツナがいる。

それならどんな事も乗り越えていける気がするよ。

⏰:07/12/04 01:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#544 [向日葵]
そして、いつか、何も言わなくても分かりあえるようになったらいいね。

でも時々「好き」と囁いて欲しいかな……。

私は今日も

大好きな人と学び、笑いあいながら

未来へ歩いていく……。





黒蝶・蜜乙女*END*

⏰:07/12/04 01:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#545 [向日葵]
ビー玉ラバーズ*スペシャルストーリー*
*―温―*










寒……。
そりゃそうか。もう12月だ。
なのにベランダに出る馬鹿がどこにいるんだろうか。

……いやここにいるんだけども……。

⏰:07/12/04 01:24 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#546 [向日葵]
「コラ紅葉!!」

襟を後ろから掴まれ、私は強制的に部屋へ連れていかれた。

「あのね静流。私は猫じゃないの。こんな扱いやめてもらえないかしら。」

襟を正しながら私は静流を睨みつけた。
静流は肩をすくませて呆れたように私を見る。

「似たようなもんじゃん。紅葉猫っぽいし。」

その言葉に、少し頭がイラッとした。

私が静流宅へ拾われてから約半年が過ぎた。

⏰:07/12/04 01:28 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#547 [向日葵]
そして今始めての冬を迎えようとしている。

一応自己紹介しておくと、私の名前は紅葉(くれは)。15歳。

梅雨の時期、虐待を受けた挙句ゴミ捨て場に捨てられた私を拾ってくれたのが、さっき私に失礼なことをした静流(しずる)(17歳)の父だった。

それから色々あって、まぁ……私と静流は恋人同士でもある。

「静流君。紅葉ちゃん。今年のイルミネーションどうするの?」

ボサボサした髪に丸眼鏡。この人こそ、拾ってくれた張本人、源さん(げんさん)だ。

⏰:07/12/04 01:34 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#548 [向日葵]
「いるみねぃしょん?」

明らかに棒読みだ。

それもその筈。

私には何のことだかさっぱり分かってないからだ。
いや、イルミネーションの意味くらいは分かるけど、イルミネーションがどうかしたのかと言う話であって……。

「毎年12月中に街の方でイルミネーションやってるんだ。結構有名でデートスポットとかに選ばれてるんだよ。」

デートスポット……っ?!

静流の説明に私は鳥肌がたった。

⏰:07/12/04 01:41 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#549 [向日葵]
私にそんなうすら寒い場所へ行けと……っ?!
冗談じゃない……!
そんなスポットで注目されてる所なんかまっぴらゴメンだ。

「紅葉行かない?丁度もうすぐクリスマスだし。」

「私仏教だからいかない。」

「お前は中年のババアか……。何だその理屈。」

クリスマスなんて、とうの昔に飽きた。
と言うか……虐待を受け始めてからは、イベント事とかどうでもよくなった……。

「ってか静流前言ってなかったっけ。クリスマスの日は強制参加のクラスクリスマス会があるって。」

⏰:07/12/04 01:47 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#550 [向日葵]
――――――――――――

今日はここまでにします(◎・ω・◎)

>>283に感想板がありますんで、よければ感想お願いします

⏰:07/12/04 01:47 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#551 [向日葵]
アンカーです

>>1-100>>101-200>>201-300>>301-400>>401-500>>501-551

⏰:07/12/04 07:55 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#552 [向日葵]
アンカーです

>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-551

⏰:07/12/04 07:56 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#553 [向日葵]
「そんなん強制とかいいながら来ない奴だっているよ。ま、俺は抜けるの簡単だろうな。なんてったって主催者は香月だから。」

香月さんは静流の友達で、私の良き理解者。
香月さんには、返せきれない程の恩がある。

「私は行かないわよ。クリスマスだなんとお子様がやる事じゃない。」

「俺よりお子様が何を言うか。いいじゃん。行こうよ。ベランダからの景色ばっかじゃつまんないっしょ?」

「別に。」

素直ないい子じゃない私に、静流は段々イライラしてきたみたい。笑顔が堅い。

⏰:07/12/06 00:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#554 [向日葵]
「これだけ頭下げてんのに行かないってかお前は。」

「頭下げてないじゃない。」

さてそろそろ限界らしい。
静流の口の端がピクピク痙攣し始めた。

ケンカしたい訳じゃないけど、私は“イルミネーション”なんか行きたくもない。

「たまには自分が折れてやろうとかさ……思わない訳?」

「折れて自分の特になるならとっくの昔に折れてるわよ。」

⏰:07/12/06 00:37 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#555 [向日葵]
カーン。

ケンカ開始のゴングが2人の頭に鳴り響く。
こうなってしまえば決着がつくまで誰にも止められない。

「俺は紅葉が楽しむと思って言ってんのになんでそんな態度とられなきゃなんないんだよ!」

「楽しめないから行かないっつってんの!クリスマス=何かイルミネーション的な物って方程式なんかちゃんちゃらおかしいわよ!」

第一……私には嫌な思い出があった。

「誰もイルミネーションにこだわってねーよ!」

「嘘だね!」

「違う!」

⏰:07/12/06 00:42 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#556 [向日葵]
ガルルと唸り声をあげながらしばらく睨み合い、「ふんっ!」と同時にそっぽを向く。
お決まりのケンカの仕方なので、源さんもただ見てるだけで止めになど入らない。

あぁあ……またやっちゃったよ……。

――――――――……

*****************

次の日。
学校に行きながら俺はウンウン悩んでいた。

せっかくのクリスマスに自分の彼女は興味皆無って……。

⏰:07/12/06 00:46 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#557 [向日葵]
挙げ句、ケンカ……。

「あぁぁぁ……。」

下駄箱に反省のポーズのように手をついて悩みに落ち込みをプラスさせる。

あそこまで固くなに嫌がると言うことは、もしかしたら昔何かあったのかもしれない。
訳を聞きたい所だが、果たしてちゃんと話してくれるんだろうか……?

「……どこの猿軍団出身だお前は。」

「あ、香月。」

香月がグレーのマフラーの垂れてしまった方をうっとおし気に後ろへ巻き直しながら俺に近づいてきた。

⏰:07/12/06 00:52 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#558 [向日葵]
――――――――――――

少しですが今日はここまでにします

>>283に感想板がありますんでよければ感想お願いします

⏰:07/12/06 00:53 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#559 [向日葵]
「紅葉が反抗期で……。」

「んなのいつも似たようなもんじゃん。」

あながち否定できないこのツラさ。
紅葉が反抗期のような態度をとるなんて最早日常茶飯事なのだ。

「なぁ香月。俺ー……クリスマス会……。」

「へー。抜けるとか言う気かお前。」

学校一の人気者の流し目のような鋭く、それでいて茶目っ気を含んだ視線が俺を捕らえる。

その視線に思わず口にチャックする仕草をした。

⏰:07/12/08 23:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#560 [向日葵]
その様子に満足した香月はにっこり笑って「そーそー。」と頷いた。

「俺様主催っつーことをよーく肝に銘じとけよ静流。クリスマス1人で過ごす事になっちまったのも、お前らがくっついちまったせいなんだからな。」

それを聞いて、俺は押し黙った。
香月は、色々協力してくれたのに、俺は……傷つけてしまった……。

暗くなった俺の表情を見て、香月は俺の頭を派手に数回叩いた。

「冗談だっつーの。分かれよな。この俺が引きずってるとでも思った訳?」

⏰:07/12/08 23:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#561 [向日葵]
余裕たっぷりの笑顔に、俺は苦笑いした。

香月は俺の1回りも2回りも器がデカイ……。
きっと一生敵わないんだろうな……。

********************

「イルミネーション行かなきゃ駄目?」

源さんに尋ねた。
キッチンで洗い物をしていた源さんは「んー……」と唸る。

「逆に紅葉ちゃんは何で行きたくないの?」

笑顔で聞いてくる源さんに悪気はない。
でも私は思い出したくもない事を蒸し返されたようでイラッとした。

⏰:07/12/08 23:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#562 [向日葵]
私はしばらく黙ったままその場に立ち、くるりと向きを変えて寒い冬のベランダへと向かった。

空を見上げながら、その悲しい思い出をたぐり寄せる。

どうして楽しい思い出はかすんでしまう程儚いのに、悲しい思い出はこんなにも鮮明なのだろう。

――――
―――――――……

丁度、6年生の頃だった。

虐待は日に日に悪化。止める気配すら一向に無かった。

⏰:07/12/08 23:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#563 [向日葵]
今日も帰って来てから虐待の時間。
最早抵抗するのを止めて、ただ殴られるだけの毎日に変わった時の事だった。

今日は終業式。24日。
誰もがクリスマスと言うイベントに胸踊らせている。

私には、クリスマスの意味すらもう無い。
一生、殴られるのだと。

そんな思いで、ランドセルを背負った時だった。

ガチャ!

「!!」

無表情で、母さんが私の部屋へやって来た。

⏰:07/12/08 23:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#564 [向日葵]
そんな……あんまりだ……。
それでなくても明日から冬休み。
学校と言う逃げ場は無くなるのに……。
朝から……殴られる……。

もちろん私は恐怖で凍りつき、顔は真っ青になった。
そんな私に、母さんは歩みよる。

もう駄目だ……っ!

目を瞑ったその時だった。

母さんの香りを身近に感じた。それに、体温も。

どうして?信じられない……。
お母さんが、私を抱きしめてる……。

⏰:07/12/08 23:37 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#565 [向日葵]
「ごめんね紅葉……。いつもぶったりして……。痛かったよね……。」

母さんの顔を見ると、悲しそうな笑みを見せていた。

夢みたいだ。
母さんが私を殴らないなんて……。謝るだなんて……。

私はその嬉しさに涙を流した。

元の母さんに戻ってくれた。これからまた楽しい毎日がやってくる。

諦めていた希望が、戻り始めていた。

「仲直りの印に、駅前の話題になってるイルミネーション見に行こうね。母さん仕事終わったらすぐに行くから。」

⏰:07/12/08 23:41 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#566 [向日葵]
この言葉……ちゃんと覚えてる。聞き間違えるなんて絶対ない。

私は珍しく笑顔で登校。

終業式が終わって、家にランドセルを置き、駅前まで待ちきれないように走っていった。

まだ昼前なので、駅前のイルミネーションにはただの電飾しかない。

でも私の心は、正にイルミネーションのようにキラキラ輝いていた。

母さんの仕事はいつも昼過ぎには終わる。
私は母さんが来てからのお話を沢山考えていた。

⏰:07/12/08 23:44 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#567 [向日葵]
この前、クラスでクリスマス会やった事。苦手な理科で100点を取った事。体育で、鉄棒の見本を見せた事。

言いたい事が、山ほどあった。
それを考えていると、あっという間に時間は過ぎていった。

現在、1時。

母さんはそろそろ来るかもしれない。

母さんが来そうな所を、そわそわと体を揺らしながら見つめる。

―――1時半。

仕事……長引いてるのかな?
母さん……?

⏰:07/12/08 23:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#568 [向日葵]
待っても待っても母さんは来なかった。
お金なんか持ってなかったから、冷えた体を温めるための飲み物も買えず、私はひたすら母さんを待ち続けた。

とうとう辺りは暗くなり、イルミネーションが色とりどりに光始める。

見にくる人達、笑い合う人達、「綺麗だね」といい合う人達。

そんな中、孤独に震えてる子供が……



1人……。

時計を見ると、もう8時を差していた。

⏰:07/12/09 01:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#569 [向日葵]
「君?」

呼ばれる方に、私は見た。
声をかけたのは警察官だった。

「ずっとここにいるけど何をしてるの?誰か待ってるの?それとも今から塾か何か?」

「母さん……来ない……。」

「家はどこかな?送ってあげよう。」

住所を教えると、警察官は私と手を繋いで家へと向かった。

その手の温かさは、今でも覚えている。

⏰:07/12/09 02:01 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#570 [向日葵]
家に帰ると、灯りがともっていた。

え……。
母さん……?

警察官がチャイムを鳴らすと、愛想良く母さんが出てきた。

「お宅の娘さんですよね?駅前でずっといましたよ?」

母さんは私をじっと見つめる。
そして悲しそうに笑った。

私はその顔を見ていち早く気付いた。




騙されたのだと。

⏰:07/12/09 02:06 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#571 [向日葵]
「すいませんお巡りさん……。この子精神状態がよくなくて、よく出歩くんですよ……。」

母さんが警察官に話してる間、全て私は把握出来た。

これも虐待の1つ。

希望を抱かせて一気に奈落の底へ突き落とす。
その絶望的な私に、母さんはまた一興する。

その証拠に、悲しそうな笑みは、私を哀れんでじゃない。

面白くてたまらないといった、ほくそ笑み……。

警察官との会話が終り、母さんは私の腕を引っ張ると、壁に私を叩きつけて一言。

⏰:07/12/09 02:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#572 [向日葵]
「バーカ。」

高らかに笑いながら、夜の暴力が始まる……。

――――
――――――……

「……っっ!」

寒さじゃない寒気が、私の体を駆け巡る。

両腕を強く抱いて、私はその場に座りこんだ。

当時の事を思い出すのはすごく辛い……。

自分の無力さを思い知らされ、あの鈍い痛みが、体に流れる。

私は少し息を乱した。
口からは白くなった吐息が漏れる。

⏰:07/12/09 02:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#573 [向日葵]
――――――――――――

今日はここまでです(。・ω・。)

>>283に感想板がありますんで、よければ感想お願いします

⏰:07/12/09 02:17 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#574 [向日葵]
「ただいまー。」

静流が帰ってきた。
私は振り向いて、「おかえり」の一言も言えないでいた。

それはケンカした気まずさとかじゃなくて……。

「おかえり。ちょっと今から出かけるからお留守番お願いしますね。」

「ハイヨー。」

そう言って、源さんは階段を降りて行った。

リビングに沈黙が流れる。

思い出の恐怖は、まだ私の心臓を休ませてはくれない。

⏰:07/12/09 13:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#575 [向日葵]
「紅葉……寒いから中入れ。」

静流の声は落ち着いていた。
まだ怒ってると思ってたから、口はその内聞くだろうと思って。

でも、反抗心からでなく、ただ単にその場から動けない私は、結果的に静流の言葉を無視して震えてるだけだった。

キシッとフローリングが軋んだ。
静流が近づいてくる気配を感じる。

体育座りしている足を包んでいる私の腕を見つめていた私の視界に、静流の手が出現する。

⏰:07/12/09 13:23 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#576 [向日葵]
そしてそのまま私をギュッと抱き締めた。

静流の体温が、冷えた体に心地いい。

「どうかした?まだ怒ってんの?」

優しく私に声をかける静流。
私は首を振って否定した。

「じゃあどうしたのさ。」

私は静流に向き直って、一瞬見つめてから静流の胸に抱きついた。
静流も優しく包んでくれる。

「私は……イルミネーションが恐いの……。」

⏰:07/12/09 13:28 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#577 [向日葵]
話を聞いてるだけだと、「何言ってんだコイツ」と反応されるだろう。
でも静流は、静かに「うん。」と言って、話の先を促す。

「だから静流と出かけるのが嫌なんじゃない。私の問題だから……だから……。」

言葉が途切れると、静流はゆっくり頭を撫でてくれた。

「分かったから。……大丈夫だよ。」

静流から離れて、顔を覗くと、理解ある顔で、優しく微笑んでくれていた。

無意識に、何故かホッとする。

⏰:07/12/11 11:06 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#578 [向日葵]
「辛いのに話してくれてありがとう。」

静流の掌が、私の頬を包む。外気で冷えた私の頬に、静流の掌はとても温かく感じた。

「出かけるのだったら別にいいの。まぁどちらにしても、静流はクリスマスは香月さんに監禁状態だとは思うけどね。」

静流はパチパチと瞬きした。

「なんでそんな事分かるの?」

「香月さんから謝罪メールが来たの。」

静流は「なるほど。」と呟く。

⏰:07/12/11 11:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#579 [向日葵]
静流は私の顔から手を離した。温かくなくなった私の頬はスースーする。
その離した手で、私の指先をいじりながら、しばらく静流は、夜の冷蔵庫みたいに「んー……。」と考え事をしていた。

「……。いけるかな……。」

静流が聞こえるか聞こえないかの声でボソッと呟いた。

「え?」

「いやな、クリスマス会出席するわするけど、早めに切り上げて紅葉とどっか行けないかなぁって。」

「私は別にいいわよ。クリスマスって2日あるし。」

⏰:07/12/11 11:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#580 [向日葵]
すると静流は私にデコピンした。
軽くのけぞり、おでこをさすりながら静流に非難の目を向ける。

「お前には乙女のロマンがないのか。イヴが一番盛り上がるっつーのに。」

「なんかその言い方、静流が乙女みたい。」

少しおかしくて、フフッと笑った。
すると静流の顔が少し赤くなった。

どうしたんだろう……。

「わ……笑うな。」

「ごめん。面白かったから。」

⏰:07/12/11 11:20 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#581 [向日葵]
「そうじゃ……なくて……。」

じゃあ何なんだ……?
歯切れが悪いなぁ。

「とにかく、それぐらいなら香月は許してくれると思う。帰り遅くなっても父さんは咎めないだろうし。な?行こう?」

私はうつ向いた。

私に待つ勇気があるだろうか。
もちろん、静流がほったらかしにする訳ない。
それは信じてる。

でも悪いイメージって、いつでも付いてくるものだから……。

⏰:07/12/11 11:23 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#582 [向日葵]
静流は今度は両手で私の顔を包む。
そして真っ黒な潤んだ瞳で私をじっと見つめた。
私も見つめ返す。

「……待つのは恐い?」

嘘はつけない。
目を伏せて、小さく頷いた。

「紅葉……。」

再び静流を見ると、優しく静流の唇が私の唇に重なった。
胸がドキン……と高鳴る。

離れて、間近くで見つめ合う。

「絶対、紅葉を1人ぼっちにはさせないから。俺の事信じて?」

⏰:07/12/11 11:28 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#583 [向日葵]
少し悲しそうな静流の瞳。

私もいつまでも立ち止まってないで、勇気出さなくちゃ……。

私はまた小さくコクンと頷いた。
頷いてから静流はゆっくり私を胸元に抱きよせた。

大丈夫。

静流の抱擁が、そう告げた気がした。

――――――……

「ま……それぐらい許してやるかな……。」

次の日。俺は昨日の件を香月に伝えた。

⏰:07/12/11 11:32 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#584 [向日葵]
「香月愛してるっ!」

香月は抱きつこうとした俺の顔を掌でがっつり掴んで阻止した。

「そーゆーのは紅葉にやってろ。」

「マジ感謝するっ!」

やれやれと言う風に香月はため息をついた。
そして「皆ちゅうもーく!」とクラスの視線を集める。

「クリスマス会は終業式の後、着替えてから行くぞー。だから着替え持参なぁ!時間は昼からー。学校近くのカラオケ予約してっからー。」

⏰:07/12/11 11:37 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#585 [向日葵]
――――――――――――

更新終了です

>>283に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします

⏰:07/12/11 11:39 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#586 [向日葵]
香月が話している間、お許しが出た事を紅葉に告げるため、早打ちでメールを送った。

*******************

ブーブー

携帯のバイブが鳴る。
ぼんやりとテレビを見ていた私は、目の前にあるテーブルの上に乗ってる携帯を見た。

「静流?」

パキッと携帯を開けて、内容確認。

<香月様様!お許し出たぞ!帰ったらまた予定決めような♪>

⏰:07/12/13 12:04 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#587 [向日葵]
お許しもらったんだ。

返信はせず、携帯を閉じ、私はベランダに出た。

きっと静流とのクリスマスは幸せに溢れると思う。

苦手な食事、睡眠、人との触れ合い。
それを全部克服させてくれたのは静流だ。

静流となら、乗り越えられる。そんな気がする……。
―――――……

来たるクリスマスの日。

玄関まで静流を見送る。

「じゃ、行ってくるわ。」

⏰:07/12/13 12:08 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#588 [向日葵]
「ハイハイ。」

靴を履き慣らした静流はぐるりと私に向き直る。

「今日の予定復唱してみ?」

「アンタそれ何回やらす気?」

今日まで静流は決めた予定を何回も私に言わせた。
今みたいに朝学校へ行く時、帰って来て一段落してから、夜寝る前の最低でも3回。

予定はこうだ。

5時、駅前のツリーで待ち合わせ。
私は駅前に行くまでに、戸締まりをし、ちゃんと可愛いく着替える。(静流希望)

⏰:07/12/13 12:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#589 [向日葵]
携帯必ず持参。お金は持たなくて良し。しっかり暖かい恰好をする。

ってかいつも思うけど、これ予定じゃなくて私についてだよね。

「ちゃんと頭に入ってんだから、さっさと学校行って頂戴。」

「ハイハイ。じゃ、後でな。」

と言いながら頭を撫でて、静流は学校へ向かった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

可愛い恰好……と言われてもなぁ……。

つい最近買ってもらったクローゼットを勢い良く開ける。

⏰:07/12/13 12:17 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#590 [向日葵]
寒いのにスカート履けとか言ってたんだよね静流……。

これについて抗議すると「ブーツ履けばあったかいだろ」と反論。
女の冷えを甘く見るなよこの野郎……。

とは言え、仕方ないので、多くある中の気に入っている黒いスカートを手に取った。

全部着替えてから鏡を見る。
まぁ……許してくれるだろう……。

時計を見ると4時40分。
駅前までは15分。5分前についても悪くないだろう。

⏰:07/12/13 12:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#591 [向日葵]
窓よし、ガスの元栓よし、電気消した、鍵持った。
さて……行こうかな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

流石クリスマス……。ツリー前にはカップルカップルカップル……カップルだらけ。

ってか……。

「ツリーデカイ……。」

どうやってここまで運んだか見てみたいくらいデカイ……。まぁツリーの感想はこれくらいにして、静流が来るのを待とう。

北風が寒い。暖かい恰好をしても尚、生地の隙間から冷気が入ってくる。

⏰:07/12/13 12:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#592 [向日葵]
ブルっと震えて腕を摩擦で暖める。
気休めにもならないけど……。

携帯を見て時間を確認しようとすると

ゴーン…ゴーン…

駅前のロータリーにある時計が5時を告げた。

静流め……。5時って言ったからにはちゃんと5時には着いてなさいよ。
寒い中私を待たすなんて。風邪引いたらただじゃおかないんだから。

冬の5時は結構暗い。
ツリーに付いてる電飾がポツポツと点き始めた。

⏰:07/12/13 12:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#593 [向日葵]
どうしようもない不安が私を襲う。

静流……来てくれるよね?
私信じていいんだよね……?

[バーカ]

あの日の言葉が私を闇へと飲みこもうとする。
それをかき消すかね様に、四方八方、静流が来ないか見渡す。

静流……。
静流……。

「やだ……。静流……。」

手が震え始めてきた。

⏰:07/12/17 00:37 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#594 [向日葵]
恐いよ……。

私そんなに強くないの……。

恐い……。
恐い……。

「静流……っ。」

その時だった。

「――……は!」

……!

今のは確かに静流の声だった。
でもどこにいるんだろう。姿がまったく見当たらない。

「し、静流……っ?」

⏰:07/12/17 00:39 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#595 [向日葵]
すると……人混みをかき分けてこちらに息を切らしながら走ってくる静流が姿を現した。

「ハァ……ゴメン……。中々抜けられなくてさ……。ちょっと遅れ……。」

静流が全部言ってしまう前に、私は静流の胸に飛込んだ。
静流の腰辺りをギュッと抱き締めて、胸に顔を埋める。

「……。……遅い。」

ボソッと呟く。
静流の呼吸が段々落ち着いてくるのを耳で聞いていると、静流は私を優しく包んだ。

⏰:07/12/17 00:43 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#596 [向日葵]
「ウン。ゴメン。」

口調は笑みを含んでいてとても優しい。

「5時前にはちゃんといてよ……。」

「ウン。」

「寒かったし……。」

「ウン。」

「……恐かったし……。」

静流はクスッと笑うと、頭を丁寧に撫でてくれる。

私は安堵感が広がっていった。

「大丈夫だから。ホラちゃんと来たでしょ?」

⏰:07/12/17 00:47 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#597 [向日葵]
――――――――――――

今日はここまでにします

>>283に感想板があるんで良ければ感想お願いします

⏰:07/12/17 00:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#598 [向日葵]
「えぇそうね……。」

私は抱き締める力を少し強めた。

「……紅葉?もう離れて?置いてったりしないからさ。」

私は力を緩めて、のろのろと離れた。
静流の顔をチラッと見る。すると、静流の頬が少し赤くなっていた。

「……!静流、熱あるの?!」

静流は苦笑して「ハァ……」と大袈裟にため息をつく。

「無自覚なのが紅葉のいい所って言うか……。」

⏰:07/12/17 14:59 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#599 [向日葵]
私は眉を寄せて何が何だかと言った視線を送った。

静流は苦笑したまま私の頭をガシガシ撫で回す。

「いきなり抱きつかれたらドキドキするでしょーが。」

それを言われて、やっと意味が分かった私は顔が熱くなった。

思えば公衆の面前で何大胆な事をしてるんだ私……っ!

「さて……と。俺が紅葉に襲いかからない内に行きますか。」

「ば、馬鹿じゃないの……っ!」

⏰:07/12/17 15:05 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#600 [向日葵]
静流はくっくっと喉で笑うと、至って普通に自然に私と手を繋ぐ。

静流の指先が思ったより冷たくてビクッと少し震えた。

「何か欲しい物ある?」

「別に……。」

「エリカ様かお前は。」

欲しい物なんて浮かばない。
服だって足りてるし、食べ物はあまり好きじゃないし、アクセサリーなんかもっての他だ。

「んー……じゃあさ、俺が選んだプレゼントあげる。それでいい?」

「静流がー……?」

⏰:07/12/17 15:10 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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