[ストリート×チルドレン]
最新 最初 🆕
#512 [トイロ]
#11話#

あたしは林 秋子、中学2年生。

そしてあたしには7年間、クラスが離れたことがないヤツがいる。


「アキコ、サボテンのCD持ってきてやったぞ」

それがこの声主、五十嵐 幸。

⏰:09/01/23 15:26 📱:PC 🆔:☆☆☆


#513 [トイロ]
「あ、サンキュ〜
来週には返すから」


「おう
んじゃ、俺はサッカーしに行くわ
アキコもくる?」


「ん〜‥やめとく
今日はスパッツはいてないし、ジャージも持ってきてないしね」

⏰:09/01/23 15:26 📱:PC 🆔:☆☆☆


#514 [トイロ]
わかったと言って、幸は教室からとび出していった。



「で?そこの二人はなに笑ってんのさ」

あたしは教室の隅っこでこっちをみながら、
にやにや笑ってる二人組に言った。


「いや〜
ほほえましいなぁ、てね♪」

⏰:09/01/23 15:27 📱:PC 🆔:☆☆☆


#515 [トイロ]
歯並びのいい、白い歯をみせてさわやかに笑っているのが、並木 桜(なみき さくら)。

桜は女の子なんだけど、幸にも負けないぐらい、女子にモテる。
理由は簡単。
そこらへんのイケメン男子よりも断然かっこいいから。

ツンツン頭の黒髪に、ほどよく日焼けした肌。
そしてなによりレディファースト!(笑)

⏰:09/01/23 15:28 📱:PC 🆔:☆☆☆


#516 [トイロ]
「五十嵐くんも回りくどいですわね
いつまでも"親友"とかごまかしてないで、
はっきり"好き"だとおっしゃえばよいですのに」

品のよい笑顔をうかべているのが、倉持 小百合(くらもち さゆり)。

この子は言葉遣いでわかると思うけど、正真正銘のお嬢さま!

⏰:09/01/23 15:29 📱:PC 🆔:☆☆☆


#517 [トイロ]
育ちのせいか、ちょっと自己中なときもあるけど、基本的には優しくていい子なんだよ。


「でも、さゆりちゃん
"親友"ていうのは、ホントに‥その〜‥"好き"ていうことなのかなぁ///」


「当たり前ですわ!
男と女の友情は、曖昧で不安定なものですのよ」

⏰:09/01/23 15:31 📱:PC 🆔:☆☆☆


#518 [トイロ]
桜が腕を組んで、うなる。


「う゛〜ん?
てかさ〜、アキコはこのあいだ、幸に『好きだ』て伝えたんだろ?
なんかいつもと変わりなくね?」


「あ゛〜それはたぶん幸‥友達としての『好き』だと思ってる」

⏰:09/01/23 15:31 📱:PC 🆔:☆☆☆


#519 [トイロ]
二人の口がぽかんとあいている。


「‥相当の鈍感だな」


「ええ、‥救いようがありませんわね」


「ちょっと、ふたりとも;」

⏰:09/01/23 15:32 📱:PC 🆔:☆☆☆


#520 [トイロ]
「でもアキコが好きなんだから、どーしようもないよな」




『あたしは、幸がすきだよ』


−ボッ

⏰:09/01/23 15:32 📱:PC 🆔:☆☆☆


#521 [トイロ]
あたしは、あのときの自分の言葉を思い出してしまった。

顔が熱い。


「‥本当に、アキコちゃんは恋愛のことになると
いつも以上に可愛らしいですわね」


「だなァ〜♪」

⏰:09/01/23 15:33 📱:PC 🆔:☆☆☆


#522 [トイロ]
「ッ〜〜〜んもう!///
ふたりともだまらっしゃい!」





そう、あたしは一昨日、幸に好きだということを伝えた。

⏰:09/01/23 15:34 📱:PC 🆔:☆☆☆


#523 [トイロ]
でも、あれは告白とか、
そういうものじゃなかったと思う。


なぜか‥‥なぜか幸に
好きだと伝えなきゃいけないような気がした。


ただ、それだけだよ。

⏰:09/01/23 15:35 📱:PC 🆔:☆☆☆


#524 [トイロ]
++++++++++

おとといの放課後、あたしと幸は窓ガラスを割った罰として、
居残り掃除をさせられていた。


「さっむーい!
なんでこんな季節に外で落ち葉集めなのさ!
せめて教室でしょ」


「そりゃバツ掃除だからな
さっさとゴミ袋、満タンにして帰ろうぜ」

⏰:09/01/24 18:29 📱:PC 🆔:☆☆☆


#525 [トイロ]
「う゛っ」

気まずい声をもらす。


「‥幸、ホントによかったの?」


なにが?ていう顔を向けてくる。

⏰:09/01/24 18:30 📱:PC 🆔:☆☆☆


#526 [トイロ]
「だって、窓ガラス割ったのって‥ほとんどあたしのせいだし
幸はバツ受ける必要ないじゃん」


「いーんだよ
いつも言ってんだろ
アキコは俺の大事な"親友"だって
だからそんなの関係ねぇーの」


「うん、わかった
ありがとうね、幸」

⏰:09/01/24 18:31 📱:PC 🆔:☆☆☆


#527 [トイロ]
−五十嵐くんがおっしゃってる"親友"という言葉は、
女として1番大切な人、つまり"好き"という意味だと思いますわ


あたしはふっと、以前さゆりちゃんに言われたことを思い出した。


(幸があたしのことを好きだなんて思えないけど‥ちょっと確かめてみるか!)

⏰:09/01/24 18:32 📱:PC 🆔:☆☆☆


#528 [トイロ]
「ね、幸」


「ん、落ち葉がたまってるとこ見つけたか?」


「ううん、そうじゃなくてね
その〜‥幸は〜‥///」


いざ本人にきくとなると口ごもってしまう。

⏰:09/01/24 18:33 📱:PC 🆔:☆☆☆


#529 [トイロ]
「なんだよ」


こっちの気も知らずに、幸は急かせる。


「えっと‥その〜幸は好きな人とか、いるのかなぁ〜‥なんて」


幸の表情が固まる。

⏰:09/01/24 18:33 📱:PC 🆔:☆☆☆


#530 [トイロ]
「えっ‥幸?」

予想外の幸の反応にびっくりした。


「あっ、いや‥」


幸はあたしから目を反らした。

⏰:09/01/24 18:35 📱:PC 🆔:☆☆☆


#531 [トイロ]
「どしたの?
もしかして‥怒らせちゃった?」


「いや!それは違う、んだけど‥」


あたしは幸の言葉を待つ。

⏰:09/01/24 18:36 📱:PC 🆔:☆☆☆


#532 [トイロ]
「オレには人を愛する資格なんてないんだ」




(‥‥‥え?)

⏰:09/01/24 18:37 📱:PC 🆔:☆☆☆


#533 [トイロ]
(えーっと‥これはどういう意味なんだろう
もしかして‥あたしに対する遠回しのおことわり?
それとも、なにか嫌なことでもあったとか?)


云々いろいろ思考回路を巡らせていると、
不意に幸の横顔が目にとまった。


どこか淋しそうな横顔だった。

⏰:09/01/24 18:38 📱:PC 🆔:☆☆☆


#534 [トイロ]
次の瞬間、おっきな声で叫んでいる自分がいた。


「あたしは、幸がすきだよ」



幸はすぐにあたしの方をみた。


その顔はさっきとは違って、目を丸くしていたけど、
すぐにいつもの笑顔をみせて言った。

⏰:09/01/24 18:39 📱:PC 🆔:☆☆☆


#535 [トイロ]
「ありがとう、アキコ」


(ああ、やっぱりあたしは"親友"としてじゃなく、
ひとりの"男"として、幸が好きなんだな)

胸の鼓動を感じながら、このとき、あたしはそう思った。


++++++++++

⏰:09/01/24 18:40 📱:PC 🆔:☆☆☆


#536 [トイロ]
部活が終わり、すっかり薄暗くなった廊下を、あたしは一人で歩いていた。


(おととい‥あたし、幸に『好き』て言ったんだよね)


下校時刻のアナウンスが校舎内にながれる。


駆け足で下駄箱を出て、校門へ向かう。

⏰:09/01/24 18:41 📱:PC 🆔:☆☆☆


#537 [トイロ]
(なんか実感わかないや
あっちも告白って思ってないし;)


一人で通る、夜の桜並木はどこか怖い印象がある。


(そもそも‥いつから好きになったんだろう)


幸と初めて会ったのは小2のときだ。

⏰:09/01/24 18:42 📱:PC 🆔:☆☆☆


#538 [トイロ]
当時のあたしは、幸のきれいなオレンジ髪をずっとみていたくて、
いつでもどんなときでも幸のとなりにいた。


桜並木をぬけて、暗闇のなかでもきらめく繁華街に、はいる。


幸を好きになったのは‥好きなのだと実感したのは、
まだ最近の話だ。

⏰:09/01/24 18:43 📱:PC 🆔:☆☆☆


#539 [トイロ]
「気づいたら、もう好きだったんだよね〜」


ネオンの光がまぶしい。


あたしは足をとめた。


そして建物とのあいだにできた暗い小路へ曲がった。

⏰:09/01/25 11:15 📱:PC 🆔:☆☆☆


#540 [トイロ]
自分でも、どうしてそこに入ったのかわからない。


けど、入らなきゃいけない気がしたの。


だって、


「幸っ!?」


幸がいるような感じがしたから。

⏰:09/01/25 11:16 📱:PC 🆔:☆☆☆


#541 [トイロ]
幸は裏仕事の姿、つまり全身を黒でまとっていた。


そして銃弾をかすめたのか、身体のあちこちが破れていて、そこから血が流れていた。


「大丈夫!?
包帯とか入ってないかな、柔道部用のとか‥」

バックのなかを必至にあさる。

⏰:09/01/25 11:17 📱:PC 🆔:☆☆☆


#542 [トイロ]
手にとったのは‥今さっき使ったタオル。


「汗くさいけど‥しょーがないよね!」


一番傷がひどい右腕をおもいっきり縛った。


すると、幸があたしの耳もとで呟いた。

⏰:09/01/25 11:18 📱:PC 🆔:☆☆☆


#543 [トイロ]
「‥アキコ」


−どくん!


「なっ、なに?///」


「今すぐ‥うっ!」

⏰:09/01/25 11:18 📱:PC 🆔:☆☆☆


#544 [トイロ]
「幸!まだ動いちゃダメだよ」


あたしはあわてて幸を支えた。


あらい呼吸のなか、幸は懸命になにかを伝えようとする。


「い、今すぐ‥ココから離れろ
‥俺は‥指名手配の奴を‥‥追ってる‥最中なん‥だ
だから‥逃げ」

⏰:09/01/25 11:19 📱:PC 🆔:☆☆☆


#545 [トイロ]
「イヤ」


「‥は?」


「だって!!
この街が闇に染まっていくほど、幸はどんどん血に染まっていって‥死んじゃうんじゃないか‥とか」


涙が溢れてくる。

⏰:09/01/25 11:21 📱:PC 🆔:☆☆☆


#546 [トイロ]
「1番大切な人がケガしたら、だれだって心を痛めるよ」


−あなたがいない世界なんて、


「だって、あたしの1番大切な人は」


−考えられない

⏰:09/01/25 11:21 📱:PC 🆔:☆☆☆


#547 [トイロ]
「幸だから」


あたしは幸の瞳をみつめた。


みつめ返してくる幸の目には、動揺がはしっているように思えた。


そして−

⏰:09/01/25 11:22 📱:PC 🆔:☆☆☆


#548 [トイロ]
「ぁ、はははッ」


幸は笑い出した。


「まったくおまえはまだガキなんだから
それは"親友"という感情を、"恋"だと勘違いしてるだけだって」


あたしは息をのんだ。

⏰:09/01/25 11:23 📱:PC 🆔:☆☆☆


#549 [トイロ]
「だからおまえ、いーかげん成長し」


−バシッ


幸の左頬を力いっぱい、ひっぱたいた。


「‥ぃて」

⏰:09/01/25 11:24 📱:PC 🆔:☆☆☆


#550 [トイロ]
幸は下を向いている。


あたしと目を合わせようとしない。


あたしは兎のような目で、幸をにらみつけ、その場から離れた。


あざやかな人工の光を発する繁華街のなか、どこをどう走ったのかわからない。

⏰:09/01/25 11:25 📱:PC 🆔:☆☆☆


#551 [トイロ]
はっきりしていたのは、頭のなかで響く、自分の声だった。


−ホントはわかってた


−もしかしたら初めて会ったときから、わかっていたのかな


−でもね

⏰:09/01/25 11:25 📱:PC 🆔:☆☆☆


#552 [トイロ]
−ずっとずっとずーっと、気づいてないフリしてた


−だって、口に出してしまったら、幸が‥‥


−幸のあの笑顔が消えちゃいそうな気がして


−すごくすごく怖かったから‥

⏰:09/01/25 11:26 📱:PC 🆔:☆☆☆


#553 [トイロ]
溢れてくる涙を抑えきれない。


−ねぇ、幸‥


−あたし、ホントは気づいているんだよ?


−あなたが時々みせる、あの寂しげな横顔と

⏰:09/01/25 11:26 📱:PC 🆔:☆☆☆


#554 [トイロ]
−独り言のように、


−自分に言い聞かせているようにつぶやく、あの言葉




"オレには人を愛する資格なんてないんだ"

⏰:09/01/25 11:27 📱:PC 🆔:☆☆☆


#555 [トイロ]
−どうしてそんなこと言うの


−どんなものを今まで背負ってきたの


−なんであんな横顔をみせるの


−なぜ‥‥‥そんなに笑っているの

⏰:09/01/25 11:27 📱:PC 🆔:☆☆☆


#556 [トイロ]
−とてもとっても重いものを背負ってきたんでしょう?




『アキコちゃん、幸が抱えているものは、とても重いんだ』


『かかえているもの、‥て?』

⏰:09/01/25 11:28 📱:PC 🆔:☆☆☆


#557 [トイロ]
『俺の口からは言えないよ
重すぎるからね』


『ふーん?』


『だから
幸が自分の口から言えるようになるまで、待っててくれるかい?』


『はい、こーすけさん』

⏰:09/01/25 11:29 📱:PC 🆔:☆☆☆


#558 [トイロ]
−ごめんなさい



横を通りすぎた人と肩がぶつかる。


フードをかぶった、髪の長い人だった。


「あ!!ごめんなさい!」

⏰:09/01/25 11:29 📱:PC 🆔:☆☆☆


#559 [トイロ]
−ごめんなさい、香介さん



「顔‥みられた」


なにかフードをかぶった人が呟いていたようだけど、あたしには聞こえなかった。

⏰:09/01/25 11:30 📱:PC 🆔:☆☆☆


#560 [トイロ]
−幸は‥‥


−最後まで言ってくれませんでした



「なっ、やめろっ!!!」


後ろから、幸の声がきこえたような気がした。

⏰:09/01/25 11:31 📱:PC 🆔:☆☆☆


#561 [トイロ]
−ねぇ、幸‥‥あたしは


「「ドン!!!」」


−ずっとずっと幸のことが、好き‥でした


あたしがみつめる先には、天空に咲く、大きな花火が輝いていた。

⏰:09/01/25 11:35 📱:PC 🆔:☆☆☆


#562 [トイロ]
++++++++++


#11話#

幸×秋子:{中学2年生


−END−


++++++++++

⏰:09/01/25 11:38 📱:PC 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194