-Castaway-
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#146 [◆vzApYZDoz6]
シーナとリーザが剣を翻し拳を払い除ける。
ハル・ライン「不意討ちは致し方無い。俺達は平和主義者だからな」
ハル・レイン「刺客、か。本当はバイク野郎と再戦したかったんだが…外で暴れてるようで」
2人に払われたハル兄弟が一旦下がる。
双子の兄レインは双子の姉リーザと、双子の弟ラインは双子の妹シーナと、再び向き合った。
シーナ「ハル兄弟ね。ジェイトから話は聞いてるわ。確かスキルは『ツインキャンサー』―――」
リーザ「―――コンビ技が得意だそうですわね。離れたのは失敗じゃないですか?」
:07/12/31 20:07 :P903i :SihxquWw
#147 [◆vzApYZDoz6]
ライン「そいつは認識違いだな。『ツインキャンサー』の能力は合体攻撃に加えてもう1つ―――」
レイン「―――2人が半径20mの範囲で共闘している場合、総合的に身体能力が上昇する」
兄と姉、弟と妹が、別々に会話する。
―――――――――――
-ハル・ラインVSシーナ-
シーナ「へぇ…ま、タイマンなら望むところだしね!」
ライン「元気のいいお嬢さんだ。……では」
ハル・ラインが構える。
左手を突きだし掌を下へ。ジェイト兄弟と戦った時と同じ構えだが、今回は1人だ。
:07/12/31 20:26 :P903i :SihxquWw
#148 [◆vzApYZDoz6]
ハル・ラインが構えたのを見て、シーナも剣を構える。
シーナが持つのは乱れ波紋の日本刀。鞘を投げ捨て、先刻の不意討ちで既に鞘から抜かれていた刀の柄を握る。正眼の構えから右足を後ろに引き体軸を右に向け、柄の端を持つ左手を臍に当てる…武蔵野の構え。
シーナの戦闘準備が整ったのを確認し、ハル・ラインが口を開く。
ライン「双子柔術ツインキャンサー弟役=ハル・ライン…推参する」
シーナ「…なら私も。…柳生新陰流免許皆伝、双子の妹シーナ」
ハル・ラインが拳を握り身を屈め、重心を前に傾ける。
シーナもそれに倣いゆっくりと切っ先を下ろし右手を引き、重心を前に。
ライン「いざ!」
シーナ「仁恕に勝負よ!」
2人が同時に地を蹴り踏み込み、ぶつかり合う拳と刀から火花が散った。
:07/12/31 21:07 :P903i :SihxquWw
#149 [◆vzApYZDoz6]
5mはあろうかという距離は一瞬で詰まった。右拳と刀の撃ち込む力は互角で、互いに弾かれあう。
シーナ「せいっ!」
休む間も無くシーナが追撃。素早く体勢を立て直し、弾かれあい開いた距離を一足で詰める。
右拳を弾かれ、右膝を地に付いていたハル・ラインに、凄まじいスピードで袈裟斬り下ろしを繰り出した。
ライン「ふっ!」
ハル・ラインは振り下ろされる剣に左手を添え合わせて斬撃を逸らした。
シーナの手元で絞られて水平に止まった刀に添えた左手を乗せて押し、反動で右膝を起こす。更にそのまま身を浮かせての回し蹴り。
:08/01/01 02:17 :P903i :KRat.OYw
#150 [◆vzApYZDoz6]
回し蹴りをガードしようにも刀はハル・ラインに押さえ付けられ動かない。
袈裟懸けに全力で振り下ろし、手元で柄を絞ったために身を屈めるのも間に合わない。
シーナ(…やばっ!)
咄嗟に左腕で蹴りをブロックする。
しかし、ツインキャンサーにより身体能力が強化され、刀と互角の威力を誇るその蹴りは、シーナのか細い腕で止められるものではなかった。
シーナ「きゃっ!」
刀ごと横なりに吹っ飛び、右肩から地に激突する。
素早く身を起こすも、左腕が少し痺れているため刀を持つ手に感覚がない。
:08/01/01 02:34 :P903i :KRat.OYw
#151 [◆vzApYZDoz6]
シーナ「くっ…!」
ライン「余所見はしないほうがいい。」
ハル・ラインが吹っ飛んだシーナとの一足で距離を詰め追撃する。
息をする暇も与えず次々と飛んでくる拳と蹴りを、シーナは捌き続けた。
素早く正確、且つ重い一撃が一分の隙もなく繰り出される。瞬きの間にもやられそうだ。
次第に柄を握る手が痺れてくる。
シーナ(左腕もまだ感覚が無いし…ちょっとキツいかなー)
何合撃ち合っただろうか。
飛んでくる四肢の嵐を捌ききれず、とうとうハル・ラインの拳がシーナの右頬を掠めた。
:08/01/01 02:47 :P903i :KRat.OYw
#152 [◆vzApYZDoz6]
シーナ(やばっ…!)
堪らずバックステップで距離をとる。が、ハル・ラインは見透かしていたかのようにシーナと平行してくっつき、その距離は離れない。
ライン「逃がしはしない!」
くっついた状態で撃たれた腹を狙っての右フックを、刀の横腹で受け止める。
しかし、左を狙ったフックとは別に右脇腹に衝撃が走り、シーナの体がくの字に曲がって宙を舞った。
シーナ「きゃあっ!!」
数m吹っ飛んで背中から地にぶつかった。
仰向けの状態からゆっくりと上半身を起こすが、嘔吐感と下腹部の圧迫痛で身動きができない。
:08/01/01 03:10 :P903i :KRat.OYw
#153 [◆vzApYZDoz6]
嘔吐が混じったような咳が出る。腹筋が圧迫された感じがして息がしづらい。
シーナ「ごほっ!…ふふ、今の…あなた元ボクサーか何か…?」
ライン「元ボクサーではないが言わんとする事は正解だ。……つまり、お嬢さんの肝臓をぶち抜いた」
右フックはフェイント。
本命のリバーブローを食らって動けなかったシーナだが、刀をついて漸く立ち上がった。
シーナ「リバーブローね…でも、今のうちに止めを刺しちゃえばよかったのに」
:08/01/01 03:24 :P903i :KRat.OYw
#154 [◆vzApYZDoz6]
ハル・ラインが左腕を突きだし、再び構える。
表情は少し曇っていた。
ライン「女性をいたぶる趣味はないさ」
シーナ「あら、余裕ねー。じゃ…ちょっとご好意に甘えようかな」
シーナも刀を握り直し、武蔵野構え。
再び向き合い、2人の視線が重なる。
ライン「でもな、お嬢さん―――」
言いかけの言葉を残し、ハル・ラインの姿が忽然と掻き消えた。
:08/01/01 03:38 :P903i :KRat.OYw
#155 [◆vzApYZDoz6]
シーナ「なっ…!?」
油断していた訳ではない。本当に一瞬で、その姿を見失った。
幻でも見たのか、という愚かな考えがシーナの頭を過った、その時。
ライン「―――少し、俺を嘗めすぎだ」
背後からの手刀が、シーナの胸を貫いた。
:08/01/01 03:48 :P903i :KRat.OYw
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