-Castaway-
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#242 [◆vzApYZDoz6]
アリサ「もー、1人でどっか行かないでよ!」

アリサが怒ったように口を尖らせる。

バニッシ「…お前、1人でここに来れたのか?」
アリサ「誰かさんのせいで迷っちゃったけど、適当に走ってたらね」
バニッシ「ああ、悪い」

あの小川への道は結構複雑だ。途中に深い谷があったりして、知らない者がそこへ行くのは難しい。本当にアリサは1人で来たのだろうか。
バニッシはそう思ったが、一応アリサは無事だったので、黙って帰ることにした。

⏰:08/01/11 09:25 📱:P903i 🆔:frq1vZoY


#243 [◆vzApYZDoz6]
2人で肩を並べ、アリサの家に向かう。バニッシは、横を歩くアリサの肩が震えているのに気付かなかった。
修練場を出て、細い道を歩く。家が増えるにつれ、ざわめきが目立った。
バニッシは不安が募った。やはり何かあったのだろうか。そう思った時、後ろから声がした。

「兄ちゃん!」

2人が後ろを振り返る。バニッシはその声を知っていたので、同時に返事をした。

バニッシ「どうしたんだバン?」
バン「あっ、アリサ姉ちゃんもいるや。ちょうどよかった」

⏰:08/01/12 00:09 📱:P903i 🆔:QPQfzk3U


#244 [◆vzApYZDoz6]
そこに居たのは少年だった。
背は150センチ前後ぐらい、半袖のシャツに7分丈のズボンを履いている。一見すると小学生くらいに見えるその少年は、少し息を切らしながら後ろから走ってきていた。

(バン。バニッシの歳の離れた弟です)

バニッシ「何かあったのか?」
バン「うん。お祭り終わった頃からイルリナおばちゃんがどっか行っちゃって、まだ帰ってきてないんだ」

バニッシは心臓が大きく鳴った。イルリナが消えたのは、あの気配の主の仕業に違いないだろう。

バン「2人ともどこ行ってたの?イルリナおばちゃん見てない?」

バニッシは驚いているであろうアリサに顔を向ける。
だがアリサは別段驚いている様子はなく、素っ気ない顔をしていた。

アリサ「さあ…あたし達は見なかったよね?」
バニッシ「え?…あ、ああ。まぁ見てない」
アリサ「大丈夫よバンちゃん、そんな心配しなくても。前にもこんなことあったし、そのうち帰ってくるわよ」

⏰:08/01/12 01:05 📱:P903i 🆔:QPQfzk3U


#245 [◆vzApYZDoz6]
また『続き』って出てしまったorz

読んでくださってる方、亀更新すみませんm(__)m
最近忙しいために、平日は1〜2レスぐらいしか更新できません;;;
今日はこれで終わりになります。明日は少し余裕があるので、多少更新できると思います。

ちなみにアリサと内藤の過去話はもうちょっと続きます。

⏰:08/01/12 01:10 📱:P903i 🆔:QPQfzk3U


#246 [◆vzApYZDoz6]
アリサは再び歩き出した。
バンとバニッシは共に訳が分からない、といったように顔を見合わせた。

バン「どうしたのかなアリサ姉ちゃん?心配しなくても、って言われても」
バニッシ「……もう夜も遅いし、とりあえずお前は家に戻ってな。イルリナさんはアリサを家に送ってから俺が探してみる」
バン「分かった。じゃ先帰ってるね!」

手を振って走っていくバンを見送ってから、小走りでアリサを追いかけた。
アリサに追い付いた頃には既にアリサの家が見えていた。
アリサが門の前で振り返る。

⏰:08/01/12 21:59 📱:P903i 🆔:QPQfzk3U


#247 [◆vzApYZDoz6]
アリサ「じゃ、ありがとね」
バニッシ「ん。…お前の母さんは…」
アリサ「だから大丈夫だって!探したりしちゃ駄目よ?」
バニッシ「……あの小川でお前を置いてきた時に、何かあったか?」

バニッシが溜め息をするように呟いた。アリサは俯き、バニッシと視線を合わせない。

アリサ「……ねぇ、あたしが明日パンデモを出る事になったらどうする?」

アリサが唐突に言った。バニッシは驚いたように顔を上げる。

バニッシ「え?」
アリサ「…なんてね、冗談。じゃあね!」
バニッシ「っておい…」

バニッシが何か言う前に、アリサは家に入っていった。

⏰:08/01/12 22:10 📱:P903i 🆔:QPQfzk3U


#248 [◆vzApYZDoz6]
バニッシは考えながら自分の家に向かった。
修練場で感じた気配、イルリナの足取り、アリサの異変。バニッシはこれらが全て関係がある気がしてならなかった。
考えてるうちに、家についた。バニッシは上着を着て、行灯のようなものを持ち、再び外に出る。

バニッシ(…とにかく、イルリナさんを探さないと)

バニッシはそのままイルリナを探しに行った。
もう月も高く昇っていた。辺りは暗く、明かりが無ければ歩けなかっただろう。
集落の中はバンや他の人が探しただろうと考え、集落の外、雑木林や近くにある深い渓谷など、一晩で出来る限りの範囲を探した。

イルリナは見付からなかった。

⏰:08/01/12 22:21 📱:P903i 🆔:QPQfzk3U


#249 [◆vzApYZDoz6]
次の日からも、バンやバニッシ、その他の人もイルリナを探すが、依然見付からないままだった。

アリサは毎日少し変わった行動をとっていた。
朝に家を出て、夜に帰ってくる。何をしているのかは分からないが、バニッシとは一度も会おうとしなかった。


そして、イルリナが行方不明になってから1か月が経ったある日。
修練場に、腕を組んで立つバニッシの姿があった。
バニッシは、アリサに修練場に呼び出されていた。

⏰:08/01/12 22:28 📱:P903i 🆔:QPQfzk3U


#250 [◆vzApYZDoz6]
軈て、アリサが歩いてきた。
アリサとは、イルリナが行方不明になった日から一度も会っていない。バニッシは少し懐かしい感じがした。

バニッシ「どうしたんだ?」
アリサ「ごめんね、呼び出したりしちゃって♪」

バニッシはアリサの話し方に驚いた。以前のような幼さの残る話し方ではない。声は前より甲高く、イントネーションは上がり気味。
バニッシは眉間に皺を寄せた。

バニッシ「…その話し方は何だ?ふざけているのか?」
アリサ「楽しいからかな♪この1か月でいっぱいスキルも手に入ったし♪」
バニッシ「スキル…?」

⏰:08/01/12 22:39 📱:P903i 🆔:QPQfzk3U


#251 [◆vzApYZDoz6]
アリサは手を後ろに組み、愉快そうに話している。

アリサ「1か月間、パンデモの人からスキルをいっぱい集めてたの♪バニッシちゃんにはスキル貰わなかったけど♪」
バニッシ「…何をするつもりなんだ?」

バニッシは、以前とは全く違うアリサを少し警戒していた。まるでアリサを知らないかのように話していた。

アリサ「これから戦う事もあるかも知れないんだし、スキルは多い方がいいでしょ?♪」
バニッシ「戦う?」
アリサ「だって、世界征服しようなんて考えてる人に付いていくんだから♪」

その時、アリサの後ろに2つの黒い円柱が現れた。

⏰:08/01/12 22:52 📱:P903i 🆔:QPQfzk3U


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