-Castaway-
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#306 [◆vzApYZDoz6]
レイン「おっと、誰かが加勢してくれてるみたいだぞ」
ライン「それは助かるな。減る気配がなくてしんどかったところだ」
風船人形に囲まれていたのは、ハル兄弟だった。
始めは外側の風船が吹き飛んでいたが、どんどんこちらに近付いてきている。
軈てあと2、3歩のところまで到達し、爆発のような衝撃でその辺の風船が一基に吹き飛んだ。
リーザ「あら…あなた方は」
レイン「お、あんただったのか」
ライン「出来ればこのまま加勢してほしいんだが」
3人は、迫る風船を吹き飛ばしながら会話した。
リーザ「勿論そのつもりです。ここまで来たら、私も動けませんから」
:08/01/20 11:33 :P903i :YgALv/g.
#307 [◆vzApYZDoz6]
レイン「それは助かる。こいつら一向に減る気配がないからな」
リーザ「それでしたら私のスキルを使えば、多少は楽になるかと」
リーザが言いながら、一度刀を鞘に納めた。
直ぐに風船に抜き打ちを食らわせる。すると、斬った風船の切り口から爆発のような衝撃が生じ、周囲の風船と共に吹き飛んだ。
ライン「なんだそれは?」
リーザ「私のスキル『ストライクボム』です。鞘に納めた刀が、爆弾になります」
レイン「俺と闘った時はそれ使わなかったな」
リーザ「鞘に納める暇がありませんでしたから」
リーザが微笑み、再び鞘に刀を納める。
抜き打ちで、再び風船を吹き飛ばした。
:08/01/20 11:43 :P903i :YgALv/g.
#308 [◆vzApYZDoz6]
リーザのスキル『ストライクボム』。
スキル発動中に刀を鞘に納めると、刀を抜いた最初の一閃だけ斬撃が爆撃と化す。
爆発の威力は、鞘に納めていた時間に比例して大きくなる。
リーザ「…まぁ相手が風船人形ぐらいでしたら、一瞬納めるだけでも十分」
リーザは抜き打ちで吹き飛ばして再び鞘に刀を納める事を繰り返し、どんどん風船を蹴散らした。
レイン「これはなかなかいいな」
ライン「兄貴、使われなくてよかったな」
レイン「それは俺の実力だ」
リーザ「さあさあ、残りを片付けましょう」
3人が笑い合う。依然大量に残る風船に向かい、散り散りに踏み込んだ。
:08/01/20 11:53 :P903i :YgALv/g.
#309 [◆vzApYZDoz6]
-突入・ガリアスの場合-
急ブレーキの反動で跳び出し、窓に拳を突き立てる。
入った亀裂に体を丸めて飛び込み、窓を突き破って中に転がり込んだ。
ガリアス「成功、か。しかし…ここは何処だ?」
そこはガリアスも見た事がない場所だった。
リーザが突入した場所とは違い、こちら側は連絡通路に繋がっていない。
歩いてみると、壁に沿って通路が続いているが、勾配がついている。徐々に下っていく感じがした。
周囲に注意を払いながら暫く歩いていると、1つの扉に突き当たった。
:08/01/20 13:23 :P903i :YgALv/g.
#310 [◆vzApYZDoz6]
ガリアス「…入ってみるか」
暫く考えたが、他に道はない。
意を決して扉を開けた。
扉の奥は、大きな部屋となっていた。
部屋の中央に何やらよく分からない機械が2つあり、4隅には柱のようなものがあった。柱からケーブルが床を伝って、中央にある右側の機械に繋がっているのが見てとれる。
ガリアス「これは…」
機械に近付いたガリアスは驚愕し、食い付くように左側の機械を覗き込む。
機械のコンソールパネルを操作すると、文の羅列が表示された。
柱は、この機械によって張られた結界に守られているようだ。
ガリアスは、無言でコンソールを操作し続けた。
:08/01/20 14:10 :P903i :YgALv/g.
#311 [◆vzApYZDoz6]
-要塞内部・ハルキンとラスカの場合-
ラスカ「もー、何よこの要塞?ゲリラに襲撃される訳じゃあるまいし」
ハルキンらは、2階連絡通路から4階にある管制コントロール室への、複雑かつ長い道程を走っていた。
2階フロアを横切り階段を昇る。次に兵器開発室、資料室、に繋がる廊下を渡る。廊下の突き当たりにある、3階から4階まで吹き抜けになっている兵隊修練場から4階へ上がり、修練場を出て廊下を右へ曲がった突き当たり。
そこに、管制コントロール室はある。
ハルキン「まぁ複雑なのは別に構わんが…人や風船人形すら見当たらんのは気になるな」
:08/01/21 18:03 :P903i :QgkZYMa6
#312 [◆vzApYZDoz6]
ハルキンが後ろを振り返りながら呟く。
長い道程の間には、敵兵はおろか風船人形ですら存在しなかった。
ラスカ「みんな要塞の外に出てたんじゃない?」
ハルキン「だといいがな」
ハルキンは少し不安に駆られながらも走り、管制コントロール室へ到着した。
ハルキンがゆっくりと扉を開ける。
中に入ってまず目につくのが、壁一面に映し出された巨大なスクリーン。
そのスクリーンの下では、コンピュータが無機質な音を立てて稼動している。
ハルキン「誰もいないな…」
部屋を見渡すが、人が隠れている様子もなかった。
:08/01/21 18:13 :P903i :QgkZYMa6
#313 [◆vzApYZDoz6]
監視カメラのモニターを映すスクリーンがあるのだから、無人施設ではないはずだ。
ハルキンは明らかに不自然だと思ったが、とりあえず目的を果たすためコンソールパネルに手を掛ける。
ハルキン「カメラ映像表示は、と…これだな」
ハルキンが少しパネルを操作すると、各場所の映像が巨大スクリーンに分割表示されて映された。
ハルキンとラスカが順番に目で映像を追っていく。
ラスカ「あっ、見てこれ。リーザじゃない?」
ラスカが指差した画面には、大量の風船人形を次々と蹴散らしていくリーザとハル兄弟の姿が移し出されている。
ハルキン「なるほど、外に風船がいなかったのはこれか」
:08/01/21 18:22 :P903i :QgkZYMa6
#314 [◆vzApYZDoz6]
ハルキン「ん?こっちは京介とラスダンか」
ハルキンが違う映像に目をやった。
京介らのいる場所はどうやら2階で、迷っているかのようにウロウロと動いていた。
ハルキン「そういやラスダンのスキル使えなかったんだっけな」
ハルキンがコンソールに手を伸ばし、暫く操作していると、電子音が鳴った。
スクリーンには『特殊結界解除完了』と表示されている。
ハルキン「これでよし、と」
ラスカ「会長!ちょっと見てよこれ、どういうことかしら?」
ハルキンが顔を上げ、ラスカが指差す方に顔を向ける。
3階の物資保管庫前に、アリサと肩を並べて歩く内藤が映っていた。
:08/01/21 18:32 :P903i :QgkZYMa6
#315 [◆vzApYZDoz6]
ラスカ「何で内藤がアリサと…?」
ハルキン「簡単な事だろ」
ハルキンが内藤の映像から目を離し、違う映像を探し始めた。
軈てハルキンの視線が1つの映像で止まる。クックッと含み笑いをしながら、その映像を指差した。
ハルキン「つまり…こういうことだ」
ラスカ「え…誰?」
映っているのは、牢獄。
若くはないが、端麗な顔立ちの女性が、ベッドに座っていた。
ハルキン「あ…お前知らないんだっけ?って言っても俺もこの人は写真で見ただけだが」
ラスカ「…?よく分からないんだけど」
ラスカが難しそうに眉間に皺を寄せた。
:08/01/21 18:40 :P903i :QgkZYMa6
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