-Castaway-
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#346 [◆vzApYZDoz6]
ガリアス「あー、めんどくせえな」

コンソールを操作し続けていたガリアスは、部屋の4隅の柱に掛けられた結界を解除していた。
バリア発生装置となっている4本の柱のうち3本が、逆さになって地面に突き刺さっている。逆さになっていない残る1本の柱に近付きながら、ぶつくさと文句を垂れた。

ガリアス「ったく、別に俺が闘う訳でもないのに、何で発生装置なんか壊してるんだ俺」

残る1本に手を翳す。ガリアスのスキル『ヴィエロシティー』により、柱が風切り音を出しながら部屋の中を光速で飛び回る。
ガリアスが翳した手を振り降ろすと、逆さになった柱が床に激突し突き刺さった。

⏰:08/01/24 00:06 📱:P903i 🆔:SoaPGRjY


#347 [◆vzApYZDoz6]
グラシア「…まったく」

グラシアが、怒りを吐き出すように息を吐いた。顔を上げ、細めた目で内藤を見据える。

グラシア「自分の思い通りにならないと、こうも苛々するのか」

グラシアはの怒りは既に最高潮まで近付いていた。肩は小刻みに震え、手は自然と拳が握られている。

グラシア「どいつもこいつも…バニッシごときに…」
内藤「やられているのは、お前に力が無いからだよ」

怒りに震えるグラシアに気付いた内藤が、強い口調で言い放った。

内藤「他人の力に頼ってばかりで努力しようともしない。そんなお前が、4年間死に物狂いで努力した俺に勝てると思うか?」

⏰:08/01/24 00:13 📱:P903i 🆔:SoaPGRjY


#348 [◆vzApYZDoz6]
内藤「そして他人の力を失ったお前は、今俺にボコボコにやられている」

内藤が再び煙草を取り出した。余裕をかましながら火をつける内藤をグラシアが賤しく眺める。

グラシア「うるせぇよ…お前はもう『喋るな』!」

怒りで我を忘れてか、効かないと分かっている京介のスキルを発動する。
内藤は煙草の煙を深く吸った。ゆっくりと吐き出しながら、哀れみを込めて言う。

内藤「バーカ、やなこった」グラシア「ああそうか…」

グラシアが何かを企んでいるかのように怪しい笑みを浮かべた。
次の瞬間、バックステップで一気に王座まで戻り、依然眠ったままの藍を素早く抱え上げた。

⏰:08/01/24 00:21 📱:P903i 🆔:SoaPGRjY


#349 [◆vzApYZDoz6]
グラシア「ならこの娘だ!」
内藤「しまった藍を!」

内藤が踏み込むより早く、グラシアが背後の窓ガラスを突き破る。直ぐ様燦に乗って内藤らを一瞥し、そのまま窓から飛び下りた。

内藤「くそっ!」

内藤が慌てて窓から身を乗り出す。降下するグラシアの足下には中庭のような空間が広がっていた。
司令室は5階で、下は恐らく1階。壁に取っ掛かりも無いのに飛び降りるのは危険かもしれない。
ふと、対面の中庭の端からグラシアの着地点に向かって走る人影が、3人見えた。
着地しようとするグラシアに思い切り攻撃する3人を見て、内藤が安堵と真剣さの混じった息を吐いた。

⏰:08/01/25 01:01 📱:P903i 🆔:piHG.QUc


#350 [◆vzApYZDoz6]
内藤「…とりあえずは大丈夫か」

内藤が振り返ると、まだ動けないでいる京介とアリサとラスダンが見えた。

内藤「っと、まだ動けないままか。仕方ないな」

内藤が、さっきまで藍が座っていた椅子に一足で近付き、風船人形に手を掛ける。さっきまで触れる事が出来なかった風船に触れられたのは、発生装置が機能を停止させている事を示唆していた。
内藤が風船の顔に拳を叩き付ける。風船は散々に割れて、それと同時に動けないでいた3人の体に突然自由が戻った。

アリサ「やっと体が戻った♪」
ラスダン「てゆうか僕ら絶対存在を忘れられてたような…」

⏰:08/01/26 18:05 📱:P903i 🆔:ug1pEsy.


#351 [◆vzApYZDoz6]
京介「それよかあいつを追い掛けないと!」

京介がすぐに振り返り、エレベーターのボタンを押す。4階と5階を往復するだけのエレベーターは、すぐに京介らの居る5階に到着した。
京介、ラスダン、アリサに続いて、内藤もエレベーターに乗り込む。京介が4階のボタンを押し、扉を閉めるボタンに手をかけようとしたところで、内藤が唐突に口を開いた。

内藤「川上…焦るなよ。自分の力を自覚するんだ」
京介「えっ?」

思わず振り返ると、内藤は少し俯いて腕を組んでいた。京介は言葉の意味が分からなかったが、内藤はそれ以上何も喋りそうにない。
エレベーターの扉は、そうこうするうちに閉まった。

⏰:08/01/26 23:32 📱:P903i 🆔:ug1pEsy.


#352 [◆vzApYZDoz6]
-中庭・京介らが5階に到着する15分前-

拳が空を切る音と風船が弾ける音が連続で響く。時折、小爆発の音と共に幾体かの風船人形が宙を舞う。
ハル兄弟とリーザが風船人形を潰し始めてから、既に20分近く経過している。初めは中庭を埋め尽くす程に無数の風船人形が蠢いていたが、今はもうハル兄弟とリーザの周囲に居る数十体を残して、それ以外の全ては残骸と化して中庭の地面を覆っていた。

リーザが『ストライクボム』を使うために刀を鞘に納めた回数は、最早数え切れない程。残りも少なくなった風船を前に、リーザが何回目かも分からない鞘納めをする。

⏰:08/01/26 23:51 📱:P903i 🆔:ug1pEsy.


#353 [◆vzApYZDoz6]
これまでは一瞬納めただけですぐに抜刀していたが、今度は刀を抜かない。その様子を尻目にした兄弟が、息を切らしながら背中を合わせて話し掛けた。

ライン「だいぶ数も減ってきたし…」
レイン「できるだけ1ヵ所に集めてみようか?」
リーザ「お願いしますわ」

よし、と小さく頷き、兄弟が左右に分かれて跳ぶ。周りを囲む風船の外側に着地した。
兄弟が風船の腕を掴み、次から次へと中庭の端へ投げ飛ばす。リーザは鞘を持つ左手以外の四肢を使い、風船の単純な攻撃を往なしている。
30秒程で中庭の端に全ての風船が積み上げられる。もがきバラけようとする風船よりも先にリーザが踏み込んだ。

⏰:08/01/27 00:03 📱:P903i 🆔:aI5Q63wk


#354 [◆vzApYZDoz6]
リーザが納められた刀の柄に手をかけ、鞘をしっかりと握り直す。
一瞬足が止まり、次の瞬間には一閃の光と鍔鳴りの音を残して、積み上げられた風船の後ろに居た。鞘には刀が納められたまま。
その刀は、一度抜かれていた。
突如として、積み上げられた風船の中腹から爆発が起こり、辺りに散々になった風船の残骸が飛び散る。
リーザがゆっくりと立ち上がり、振り返る。唇を持ち上げながらこちらに歩いてくる兄弟に微笑んだ。

ライン「やっと終わったな」
リーザ「ええ…疲れました」
レイン「それにしても全くふざけた数だな。なんでここにこんなに風船が居るんだ」

⏰:08/01/27 00:16 📱:P903i 🆔:aI5Q63wk


#355 [◆vzApYZDoz6]
3人が辺りを見回す。
本来なら芝生が生えている中庭の地面は、風船の残骸が覆い尽くして黒いビニールだらけになっている。

レイン「まぁ…今は考えても仕方がないな。とりあえずグラシアを…」

喋り声を遮るように、ガラスが割れる音が響いた。
音がした方を見ると、上からバラバラとガラス片が落ちてくる。続いて落下してきたのは、ハル兄弟にとっては憎役の人間。

レイン「お、今日はついてるな。向こうから降ってきやがった」
ライン「そりゃカウントダウンハイパーで2位だったからな」
リーザ「行きましょう!」

リーザの掛け声と同時に、3人が走り出した。

⏰:08/01/27 00:38 📱:P903i 🆔:aI5Q63wk


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