-Castaway-
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#441 [◆vzApYZDoz6]
藍の一言をきっかけに、さっきまでの戦闘が嘘のように場の雰囲気が和む。
皆を一頻り見渡して、ハルキンが満足そうな笑みを浮かべた。

ハルキン「一件落着、だな」
アリサ「帰りましょ、バニッシちゃん♪」
内藤「おいやめろ、くっつくな」
レイン「あーうぜぇうぜぇ」
ライン「おもいっきりひがむな」
京介「……ま、何はともあれ、これで終わったんだな」
ラスダン「いいや。…まだ終わってないみたいだよ」

1人浮かない声のラスダンに、全員が振り返る。
ノートパソコンを具現化し、自分が今しがた頭の中で見ていた映像をディスプレイに表示させ、皆の方に向けた。

⏰:08/02/13 05:11 📱:P903i 🆔:Grvs9S/A


#442 [◆vzApYZDoz6]
そこに映っていたのは、携帯型のミサイル等とは比較にならない程の大きなミサイル。
1基の大陸間弾道弾が、京介達がいるこの基地へ、猛スピードで飛んできていた。基地との距離を見る限り着弾まであと僅かしか無いだろう。

内藤「あいつの言ってた道連れとは、これのことか…!」
リーザ「早く逃げましょう!」

一行が踵を返し、屋上の扉へ向かう。
その時、要塞内部で大きな爆発が連続して発生した。
ハルキン「ちっ!誰かが自爆スイッチでも押しやがったか!?」

続いて起こる激しい縦揺れに要塞が耐えきれず、京介達の足下から真っ二つに分かたれた。

⏰:08/02/13 12:22 📱:P903i 🆔:Grvs9S/A


#443 [◆vzApYZDoz6]
亀裂が走った要塞屋上で、一行は完全に2手に別れた。

内藤「全員無事か!?」

内藤が辺りを見回す。
亀裂を挟んで内藤がいる側は、自分の腕にくっついていたアリサと、後ろで傍観していたハル兄弟、ガリアス。ジェイト兄弟とバイクも居た。
階段は、亀裂を挟んだ向こう側。間に走る溝は深く、階段からは脱出出来そうにもない。

ブロック「みんな掴まれ!!」

だが、内藤側には鉄の巨人がいた。屋上から飛び降りて脱出するのは可能だろう。
内藤が爆音に掻き消されまいと、声を張上げた。

内藤「ハルキン!川上!そっちは頼んだぞ!」

⏰:08/02/14 01:28 📱:P903i 🆔:E0IzjAOc


#444 [◆vzApYZDoz6]
任せろ、という京介の叫びが返ってくる。内藤はそれを確認し、鉄の巨人の元へ駆け出した。
既にエンジンを吹かして準備万端整う巨人の右腕にガリアスが、左腕にハル兄弟が掴まっている。

アリサ「早く!♪」

アリサが大振りに手招きする。自爆の影響で激しく縦に揺れる屋上を這うように走り、アリサを抱え込んで、ちょうど巨人の肩にあたる突起に手を掛けた。

フラット「しっかり掴まってろ、舌噛むなよ!いくぜ!」

アクセルを吹かし、クラッチを弾くように離す。
駆け出した巨人がフェンスを突き破り、内藤の体に浮遊感が生まれる。
次に訪れるであろう落下感に備え、内藤が片目を強く瞑った。

⏰:08/02/14 01:38 📱:P903i 🆔:E0IzjAOc


#445 [◆vzApYZDoz6]
京介「藍、走れるか!?」
藍「大丈夫!急ごう、京ちゃん!」

京介とハルキンの居る階段側に別れたのは、戦力はさして大きくない藍とラスダン、そして手負いのリーザ。
怪我人を守らねばならぬ状況で、懸命に非常通路の大螺旋階段を降りていた。
京介が藍の手を引きながら落ちてくる瓦礫から藍を守り、ハルキンが手負いのリーザに肩を貸しながら瓦礫を潰して道を開く。ラスダンが脳内で頭上を視て状況を見極め、出来るだけ落下物の少ない道を先導する。
そんな風に、出来るだけ全力で螺旋階段が終わる2階に到着した。

ハルキン「あと少しだ!」
京介「よし…うわっ!」

⏰:08/02/14 01:50 📱:P903i 🆔:E0IzjAOc


#446 [◆vzApYZDoz6]
要塞のどこかで2次爆発が起きた。
立っていられない程の揺れと耳をつんざくような爆音。それに加えて、さっきよりも大きな瓦礫が、まるで壁のように落ちてくる。
1階へ降りる階段は廊下の端。だが、そこまでの道程の間に落ちてきた瓦礫が立ち塞がった。

京介「道が!」

行く手を阻まれ、全員が足を止める。
激しい縦揺れでまともに走れていなかった為、巻き込まれる事は無かった。
だが振り返るとそこにも降り注ぐ無数の瓦礫が。

ハルキン「こっちもか!」

瓦礫に挟まれ密閉空間となった廊下から脱出するには、床を壊すしかない。
だがそれよりも先に、瓦礫の塊が京介達の頭上に襲い掛かった。

⏰:08/02/15 01:05 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#447 [◆vzApYZDoz6]
京介「くそっ!」
藍「きゃっ!」

藍が咄嗟に目を瞑り、京介が落ちてくる瓦礫を叩き散らす為身構える。
ハルキンの空間制御は間に合わない。これだけの数と質量の瓦礫を潰しきるのは不可能に近い。
それが分かっていてもハルキンが構えた、その時。

廊下の壁を勢いよく突き破って、無数の隼が現れた。
その隼は全て純白で、体は肉ではなく紙吹雪の塊。
不意の出来事に京介の動きが止まるが、瓦礫の方は隼が次々と粉塵に変えていき、落ちてこない。
程無くして、隼が突き破り穴が空いた壁から、青い巾着袋を片手にクルサが出てきた。

クルサ「危ないところだった…」

⏰:08/02/15 01:15 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#448 [◆vzApYZDoz6]
京介「あっ!あんたは確か…えーっと…」
ハルキン「クルサ!助かったぞ!」
京介「それだクルサ!ありがとう!」
クルサ「うん…くっそ、バニッシの奴こっぴどくやってくれた」

クルサは右手に巾着袋を持ち、左手で右肩を押さえている。
片足を引き摺り苦し気な表情を浮かべるその姿は、内藤に倒された時のダメージを負ったままのようだ。
頭上では隼が最後の瓦礫に突進し、落ちてくる瓦礫は一段落した。
だがしかし、直ぐに次の瓦礫がやってくるだろう。
ラスダンがクルサに肩を貸したのを確認し、ハルキンが床を見据えて拳を振りかぶる。
だがそれは、壁が豪快に吹き飛んだ事によって邪魔された。

⏰:08/02/15 01:27 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#449 [◆vzApYZDoz6]
ハルキン「今度は何だ?」

吹き飛んだ壁は、クルサが出てきた穴の対面側。
ハルキンが舌打ちをして、むせ返りそうになる土埃に鼻と口を押さえながら、かなり派手に空いた巨大な穴の向こうを見る。
そこに居たのは鉄の巨人。だが壁を破壊したのは、巨人の足元にいるハル兄弟の双砲撃だった。

ライン「逃げ道は確保してやったぞ!」
レイン「次の瓦礫が来る前に降りてこい!」
ハルキン「ええい、余計な事を…」
京介「いいから行こうぜ!」

京介が、速く走れない藍を脇に抱えて駆け出した。
ハルキンもリーザを肩に担ぎ上げ走り出す。
しかし、別段身体能力の高くないラスダンと怪我人のクルサは、初動が遅れた。

⏰:08/02/15 01:37 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#450 [◆vzApYZDoz6]
一番に穴に辿り着いたのは京介と、脇に抱えられた藍。振り返ると、すぐ後ろにハルキンが走ってきていた。
まだ奥にいるラスダンとクルサが気になったが、早く穴から飛び降りろ、と顎で指示するハルキンに促され、眼下の地上へ飛び降りた。
続けざまにハルキンが穴に到着し、担ぎ上げていたリーザを降ろす。

ハルキン「1人で飛び降りれるか?」
リーザ「…何とかいけそうですわ」
ハルキン「よし。俺はあいつらを連れて来る」

ハルキンがリーザを送り出し、まだ穴から距離のある場所にいるラスダンとクルサを見る。手助けに行こうと踏み出そしたその時。

とうとう、ミサイルが着弾した。

⏰:08/02/15 01:46 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


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