-Castaway-
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#454 [◆vzApYZDoz6]
京介達の元に2人が到着する。
基地の端、車のそばの雪原で、崩壊する要塞を眺めていた。

京介「今度こそ、終わったのか…」
内藤「ああ、終わった。どっと疲れたな」
ラスダン「クルサは…助からなかったけど、ね…」

ラスダンが静かに呟く。
内藤とアリサは、少し表情を暗くした。

内藤「ああ…見ていた」
アリサ「クルサちゃん…最後までちょっと不憫だったわね…♪」
内藤「お前が言うな」

原型をとうに失い、それでもなお崩壊し続ける要塞。
暫くの間全員が沈黙して、要塞が崩れ落ちるのを最後まで見届けた。

⏰:08/02/15 19:16 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#455 [◆vzApYZDoz6]
やがて完全に崩壊し、音も止んでいく。
ハルキンが伸びをしながら切り出した。

ハルキン「さぁ、帰るぞ」
内藤「帰るか」
ブロック「帰ろ帰ろ。早く寝たいよ」

ぞろぞろと車に乗り込む一行。
最初のメンバーで定員だったのに、救出したイルリナやアリサ、車で待機していたバンと、面子が増えた車内は、当然のように狭かった。
仕方無いので、元の形体に戻ったジェイト兄弟の2台のバイクの後ろに、内藤とラスダンが跨がる。
最後に京介が崩壊した要塞を一瞥して、トンネルをくぐり抜け基地を後にした。

ガリアスやハル兄弟とその母親の姿は、いつの間にか消えていたが。

⏰:08/02/15 19:31 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#456 [◆vzApYZDoz6]
京介達の乗った車とバイクが通り抜けた後のトンネルを、何人かが肩を震わせ歩いていた。

レイン「うー、寒っ」
ライン「やっぱり、あいつらの車に乗せてもらった方が良かったんじゃ…」
レイン「無理だろ。乗るスペースもないし」
ハル母「そうだよ!だいたいあたしらは北のローシャの民だろう、これぐらい扇風機程度だよ!」
ライン「いや…捕まってたのに何でそんなに元気なんだよお袋…」

ガリアス「しかし南国育ちの俺らには堪えるな…母さん大丈夫?」
ガリアス母「大丈夫よ…ごめんねぇ、迷惑かけて」
ガリアス「母さんは悪くないよ。早く家に帰ろう」

彼らは、きっと今後も飄々と生きるだろう。

⏰:08/02/15 19:41 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#457 [◆vzApYZDoz6]
-帰りの車内-

ラスダン「結果的に殆ど無事だし、まぁよかったよね」
ラスカ「あたしは殆ど何もやってないけどね」
ハルキン「何人か死亡フラグが立ってたみたいだが」
リーザ「それは私の事でしょうか…」
京介「藍も危なかったなー」
藍「京ちゃん…それ終わった後だからそんな簡単に言ってるんだよね?」

何かよく分からない話題で盛り上がる車内。ちなみに内藤とラスダンとジェイト兄弟は外でバイクに跨がっているため、会話に不参加。

シーナ「あっ…!要塞に刀忘れてきた!」

シーナが唐突に声を上げる。
リーザが顔をしかめた。

⏰:08/02/15 19:55 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#458 [◆vzApYZDoz6]
リーザ「まぁ…そう言えば私があなたを車に運んだ時、持っていなかったわね」
シーナ「どーしよう…あれ大事な刀なのに」
ハルキン「後で取りに行けばいいだろう」
ラスダン「僕が手伝うよ。瓦礫の下にあるんでしょ?」
シーナ「じゃあお願いするね…ジェイトにも頼んどかないと」

そうこう話している内に、車はバウンサー本部に到着した。
京介は車から降り、倉庫にバイクをしまうジェイト兄弟を藍と共にぼんやりと眺めていた。そこに内藤が声を掛ける。

内藤「疲れただろ」
京介「かなり、な」
内藤「今日は寝て、明日地球に帰るぞ」

それだけ言って、内藤はバウンサー本部に入っていった。

⏰:08/02/15 20:05 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#459 [◆vzApYZDoz6]
暫くして京介も本部に入る。
用意された部屋のベッドに1人寝転んで、天井を仰いだ。

考えてみれば、たった1日の出来事。
自分と藍がここへ来た事から始まり、藍が誘拐され、闘い、藍を取り返し、グラシアを倒すまで。
グラシアが起こしたその一連の事件の動機と、その裏にある過去。
それらは全て、特殊な力…スキルと、それを持つ人間…レンサーが関わっていた。

正直、もう関わりたくはない。藍もそう思っているだろう。
その為にどうすればいいか。考えた結果、京介は1つの答えを見つける。

無言でベッドから起き上がり、部屋を出た。

⏰:08/02/15 22:26 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#460 [◆vzApYZDoz6]
-次の日-

地球に帰る京介らを見送る為に、バウンサーの面子が表に揃っていた。
ディフェレスに来て2日目。早くも地球に帰る日となった事が、京介には少し可笑しかった。

帰るには藍のスキルを使うらしいが、藍はスキルを使えない。
京介とグラシアが草原に飛ばされた時に、京介を戻すために藍のスキルを使ったのは内藤だった。
今回も内藤がスキルを使う。

京介「…ってあれ?内藤も地球に帰るのか」
内藤「当たり前だ。お前らが卒業するまで業務契約続いてるからな」
京介「そんな事務的な理由かよ…」

内藤はぶつくさと何かを言っている京介を無視して、藍のスキルを発動した。

⏰:08/02/15 22:41 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#461 [◆vzApYZDoz6]
最初に京介と藍がくぐった茶色い扉が、目の前に現れる。

京介「…本当に大丈夫か?」
内藤「大丈夫だ。早くしろ」
京介「よーし…」

京介が静かにドアノブに手を掛ける。藍が笑いながら、後ろから楽しそうに声を掛けてきた。

藍「おじゃましますって言った方がいいんじゃない?」
京介「いやー、大丈夫だろ?」

京介の顔が綻ぶ。
ノブを下げて押し開けるタイプの扉。その扉のノブである水平棒をゆっくりと下げて、ドアを開けた。
京介、藍、内藤の3人が中に入っていくと、蝶番が独りでに閉まっていく。
バタン、と閉まりきった瞬間に、扉が光を巻いて消えていった。

⏰:08/02/15 22:51 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#462 [◆vzApYZDoz6]
ラスダン「…行ったね」
ラスカ「行ったわね」
リーザ「行きましたね」
シーナ「行ったのね」
ブロック「行ったんだな」
バン「行っちゃったね」
イルリナ「行っt」
フラット「もういいよ!」
イルリナ「……」
フラット「あっ、いやその…ごめんなさい」
ハルキン「何をやってんだお前らは」

ハルキンが呆れたように振り返り、本部を眺めた。
グラシアに対抗する為の組織、その本部。グラシアを倒した今はもう必要ない。

ハルキン「バウンサーも…これで解散だな」
ラスダン「そうだね…」
イルリナ「さっ、私達も帰りましょうか」
バン「うん…あれ?」

バンが辺りを見回す。内藤の他に居る筈のパンデモの人間が1人、見当たらなかった。

⏰:08/02/15 23:00 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#463 [◆vzApYZDoz6]
京介らが扉をくぐったその先は、見慣れた風景。
白い壁に白い階段、側には郵便受け。そこは京介と藍の住まうマンションの1階。
元居た場所に…地球に、帰ってきた。

京介「って言ってもなんか実感ねぇな」
藍「地球とたいして変わらなかったもんね」
内藤「確かにな」
「私は初めてだからなんか新鮮ね♪」

「「「…はっ?」」」

3人が振り返る。
『何で?』と考える程度の驚きの京介と藍に対し、内藤は普段ではあり得ないぐらいに目を丸くして、開いた口がなかなか塞がらなかった。


後日、京介と藍の通う学校に、新しい保険医が着任した…とかなんとか。

⏰:08/02/15 23:11 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


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