-Castaway-
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#56 [主◆vzApYZDoz6]
-ハルキンVSウィニー-
ウィニーは窓から飛び降りるハルキンと内藤を憂鬱に眺めていた。というのも、彼は戦うのが嫌いだった。
人を殴るのが嫌、等という人間的な理由ではなく、ただ単純に殴られると痛い、殴ると痛いから、嫌いだった。
だから、ハルキンがこちらに向かってくるのを見て、心底うんざりしていた。
ウィニー「はぁ、やだなぁ。…めんどくさいや、カイン、飛ぶぞ」
懐からおもむろに黒い物体を2つ取り出す。1つは小型アンテナのような物で、もう1つはソニーの某家庭用ゲーム機を思い出させるようなコントローラ。
:07/12/19 00:00 :P903i :SHcTx/1A
#57 [主◆vzApYZDoz6]
アンテナのような物を、ウィニーがカインと呼ぶドラゴンの首筋に差し込む。ウィニーがコントローラを操作すると、ドラゴンが天空高く飛翔した。
加速をつけて踏み込んでいたハルキンは、ドラゴンの真下で止まり上を見上げる。
ハルキン「『オペレートゲーマー』か。確か具現化したアンテナを生物に差し込んで操るスキルだったな」
ウィニー「いつまでそこでじっとしているつもりなんだよ。…めんどくさい奴だな。カイン、早くやっつけて家へ帰ろう」
かなり高い位置で様子を伺っていたドラゴン咆哮を上げる。
頭を下にして羽ばたかず、凄まじいスピードでの急降下。
だが、どんどんと近付いてくるドラゴンを前に、ハルキンは余裕の表情を見せていた。
ハルキン「…ワープの原理を知っているか?」
:07/12/19 00:49 :P903i :SHcTx/1A
#58 [主◆vzApYZDoz6]
急降下の加速を使い、ドラゴンの爪を前に出す。ウィニーの駆るドラゴンが、体ごとのし掛かるようにハルキンを押し潰す。
だが、攻撃が当たる直前までそこにいたはずのハルキンがいない。そんな馬鹿な、奴はどこに……
ハルキン「ワープとは、空間を圧縮して現在地点と目的地点を近付け、移動距離を限りなく0に近付ける事を言う」
突然の後ろからの声にウィニーが慌てて振り向くと、いつの間にか背後に回っていたハルキンが話を続けていた。
ウィニーが間髪入れずにコントローラを操作する。今度はドラゴンの太い尻尾がハルキンに叩き付けられた。が、やはりハルキンの姿が見当たらない。
そんな、動く気配すらないのに、一体どこへ……
ハルキン「フィクションでは何万光年と先へ移動する為の手段として使われていたが、近年では軍事兵器への応用が注目され始めていてな」
:07/12/19 01:12 :P903i :SHcTx/1A
#59 [主◆vzApYZDoz6]
今度は遥か数十m先の前方。ハルキンがポケットに手を突っ込んで話しているのが、なんとか肉眼で確認できる距離。
訳の分からない状況にウィニーが呆然とする中、ハルキンは相変わらず余裕の態度で話を続けていた。
ハルキン「ワープさえ使えれば、敵国と自国間の空間を圧縮し、例え地球の裏側からでも直接核兵器をぶちこめるんだ。……こんな―――」
ハルキンが重心を落とし、右手で拳を作り腰に構える。
ハルキン「―――風にな!」
ハルキンの撃ち抜いたストレートは空間を飛び越え、当たるはずのないウィニーの顔面に直撃した。
:07/12/19 01:25 :P903i :SHcTx/1A
#60 [主◆vzApYZDoz6]
ウィニーは今の状況が理解できていなかった。今ハルキンは攻撃が届くはずがない数十m先で、正拳突きの素振りをしただけ。
それだけのはずなのに、左頬が痛い。触ると皮膚が硬くなり腫れ上がっている。口の中は鉄の味がする。
ウィニー「なっ…なんで…」
ハルキン「一応紹介しようか。俺のスキルは『ディメンション』、空間制御能力だ」
はっとして顔を上げると、ハルキンが既に数mのところまで近付いていた。
ハルキン「…さて、君は相対性理論を知っているかね?」
:07/12/19 14:28 :P903i :SHcTx/1A
#61 [主◆vzApYZDoz6]
ウィニー「…知らないよ。あんたの能力は分かった。焼き殺してやる」
ウィニーがコントローラを操作し、ドラゴンが上昇、ある程度の高さで止まった。
次の瞬間にはドラゴンが口を広げ、広範囲の火炎放射攻撃を繰り出していた。
ハルキン「まぁ簡単に言えば…止まってる奴から見れば、動いてる奴が動いてるように見えるのは当たり前だな。しかし、動いてる奴が止まってる奴を見ると、自分が止まってて相手が動いてるように見える、って事だ」
地面に立っていたはずのハルキンは、空中で話をしていた。
:07/12/19 14:58 :P903i :SHcTx/1A
#62 [主◆vzApYZDoz6]
ウィニー「なっ!?…ぐあっ!」
ウィニーが、自分で繰り出した火炎放射を食らっている。
ハルキン「俺のスキル『ディメンション』は一定空間の転移交換もできるのさ。…今のは『俺と地面の一部』と『お前とドラゴンと空の一部』を交換した」
ハルキンが、今度は地面から話をしていた。空間は既に戻っており、ウィニーは空にいる。
ハルキン「さて、そろそろ終わらすか。スティーブの散歩に行かなくちゃならん」
:07/12/19 15:05 :P903i :SHcTx/1A
#63 [主◆vzApYZDoz6]
ゆっくりと近付いてくるハルキンを前に、ウィニーがコントローラを操作する。攻撃は当たらない、防御も不可能。更に、向こうが止めを刺しに来てるとなれば、もはやウィニーに残された行動は1つしかなかった。
ウィニー「カイン、一旦引くぞ!…ハイスピードモードにシフト、飛べ!」
ドラゴンが飛び上がり、凄まじいスピードでバウンサー本部から離れていく。ハルキンもそれを見てジャンプし、右足を振り上げる。空間転移で遥か彼方にいるドラゴンが目の前に現れる。
ハルキン「悪足掻きはよすんだな」
ドラゴンを止める暇を与えず、ウィニーに強烈な回し蹴りを食らわせた。
:07/12/20 14:55 :P903i :luVYk1ak
#64 [主◆vzApYZDoz6]
ウィニーは蹴られた反動でドラゴンから落ち、地面に頭から激突した。ハルキンも少し遅れて着地する。
ハルキン「ま、伊達に会長と呼ばれてないからな。…さてと…」
気絶し地面に臥すウィニーを一瞥し、本部の建物に目をやる。1階ロビーへ続くシャッターから赤い光が漏れていた。
ハルキン「…まぁ、どうなるかはあいつ次第だな。とりあえず終わるまで待っているか」
ハルキンは横になり、眠り始めた。
:07/12/20 15:06 :P903i :luVYk1ak
#65 [我輩は匿名である]
:07/12/20 15:10 :D903i :HrUlyejk
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