-Castaway-
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#126 [◆vzApYZDoz6]
-要塞内部・京介とラスダンの場合-
ハルキンがウィニーと対峙していた頃、京介とラスダンは地下牢にいた。2人が入った扉は、入ってすぐに地下に下りる階段があったからだ。
京介「何でこんなところに牢屋が有るんだろ」
ラスダン「捕まってる人は…いないみたいだけど」
2人はゆっくりと歩いていた。
辺りは1階よりもさらに薄暗く、横幅3mぐらいの狭い通路の天井に、5mおきぐらいに小さな電球があるだけ。
両脇には鉄格子が延々と真っ直ぐ続いており、だいたい3m間隔で壁に仕切られている。広さからして1つの牢に1人だけのようだが、辺りが暗いので牢の奥の方が視認できない。
:07/12/26 11:54 :P903i :iPwdxIVQ
#127 [◆vzApYZDoz6]
ラスダン「うーん、もしかしたらここに藍ちゃんが捕まってるんじゃ…とか思ったけど」
京介「違うみたいだな。…誰もいないし、戻った方がいいんじゃね?」
2人が歩みを止める。
確かにそこは埃が積もってるし、鉄格子は赤錆だらけ。長い間使われていない感じがした。
ラスダン「そうだね…戻ろうか」
元来た道を戻ろうと2人が踵を返した時、背後から小さな声がした。
?「…そこに、誰かいるの…?」
京介とラスダンが同時に振り返る。
通路に人は居なかった。となると、声の主がいる場所は1つしかない。
京介「…今の、牢屋からだよな?」
2人は顔を見合わせ、牢に人がいないか確認しながら声の元へ向かった。
:07/12/26 12:10 :P903i :iPwdxIVQ
#128 [◆vzApYZDoz6]
京介「あっ、人がいる!」
2人が両脇の牢を一つ一つ確認していく中で京介が声を上げた。ラスダンが京介側の牢を見ると、確かに人が2人いる。
どちらも中年ぐらいの女性。精神的な疲労からだろうか、弱っている感じは無いが少し痩せていた。
囚われの女性が京介とラスダンを確認し口を開く。
女性「あなた方は…?」
京介「俺は京介って言うんだ」
ラスダン「僕はラスダンと言います。ここに囚われている仲間を助けに来ました。…お2方は?なぜここに囚われているのですか…?」
:07/12/27 14:05 :P903i :IeTfHkfs
#129 [◆vzApYZDoz6]
2人の女性が顔を見合わせる。少しの間沈黙し、話し出した。
女性A「私達は…人質としてここに捕まっています」
京介「人質…?」
女性B「私達の息子は強い力を持ったレンサーなんです。グラシアがそこに目を付けて…」
ラスダン「グラシアとは?」
女性A「グラシアはウォルサーの総司令官です。……グラシアは、従わなければ私達を殺す、と脅して息子を…ガリアスを働かせているんです」
京介とラスダンが顔を見合わせた。
京介「そんな非人道な事をやってんのかよ…」
ラスダン「じゃあ、もう1人の方は…」
?「おっと、そろそろ話はやめといた方がいいんじゃねぇか?」
ラスダンが振り向くと、人形と共に声の主が立っていた。
:07/12/27 14:43 :P903i :IeTfHkfs
#130 [◆vzApYZDoz6]
京介「またてめえか…!」
声の主はリッキーだった。リッキーが立つ狭い通路の後ろには、風船人形が無数に蠢いている。
リッキー「彼女らが解放されると少々面倒な事になるからな。その前に君達を倒してしまうぞ」
京介「……て事は、解放すればこっちに分がある、って事だな?」
ジリジリと詰め寄るリッキーに、京介が笑みを浮かべた。
リッキー「残念ながらそこまでじゃないな。第一、俺が阻止するんだからそんな事不可能だ」
京介「お前を倒してしまえばいいだけだ」
:07/12/27 23:05 :P903i :IeTfHkfs
#131 [◆vzApYZDoz6]
リッキーはやれやれ、という動作を見せたあと、人形に擬態化した。
リッキー「やるだけ無駄だろうけどね」
京介「いや、多分そうでもないけど」
髪は逆立ち、瞳は紅く、身体は赤く発光し辺りを包む。バウンサーでも見せたその姿は、まるで人を宿した鬼のよう。
京介「なんか知らんけど今の俺、絶好調なんだよな」
再び紅い鬼人と化した京介が薄く笑みを浮かべ、右手を開いて突き出した。京介を纏う赤い光が掌に集束される。
軈て撃ち出された紅球が、狭い通路をレーザーの如く駆け抜け、人形達を薙ぎ散らした。
:07/12/29 20:51 :P903i :Z.e5IRec
#132 [◆vzApYZDoz6]
散り散りになる人形の群れの中に、人形に擬態化したリッキーが目を見開き驚いた顔で立っていた。俯きながら独り言を呟いている。
リッキー「馬鹿な…!何故今その姿に…」
京介「どうでもいいけど余所見してていいのかよ?」
ハッとして顔を上げたリッキーの視界から京介が消える。次の瞬間に右脇腹に走った衝撃にリッキーの顔が歪む。
体をくの字に曲げ宙を舞い、鉄格子に激突した。
リッキー「ぐっ…貴様…!」
京介「今だ!」
リッキーの動きが止まった隙に、京介が鉄格子に掛けられた南京錠を壊した。
ガリアスが、母親ともう1の女性を牢から出した。
京介「2人を頼むぜ!」
ラスダン「よし…!」
ラスダンが2人を抱え、入口に走り出した。
:07/12/29 23:38 :P903i :Z.e5IRec
#133 [◆vzApYZDoz6]
ラスダンが最後にリッキーを一瞥し、その姿が小さくなっていく。
リッキーは女性を抱え走り去るラスダンを横目に、服に付いた埃と赤錆を払い拭った。
リッキー「始めからそのつもりだったか…まさか私を1人で倒そうとでも?」
京介「そのまさか。言ったろ?今の俺は絶好調だってな」
リッキー「…はははは!そうかそうか!」
何が可笑しかったのか、リッキーは突然腹を抱えて笑いだした。
:07/12/30 14:00 :P903i :crD5S7T2
#134 [◆vzApYZDoz6]
京介「…?なんだよ」
リッキー「いやー、すまんすまん」
笑いを堪えられないのか、リッキーは一頻り笑ってもまだクックッと含み笑いをしていた。
リッキー「そう言えば、君にはまだ見せていなかったな」
京介「はぁ?」
中腰気味の格好で笑っていたリッキーが背筋を伸ばして立ち、右腕を上げて指を鳴らす。
と同時に、京介に潰されていた人形の残骸が煙になり、リッキーに収束されていく。
リッキー「悪いが俺の真の力は、風船を操る事じゃないんだ」
:07/12/30 14:14 :P903i :crD5S7T2
#135 [我輩は匿名である]
『続き』って出てる事が多くて読みにくいかも
:07/12/30 16:33 :SH902iS :☆☆☆
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