-Castaway-
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#326 [◆vzApYZDoz6]
グラシア「おっとその前に」

グラシアが、わざとらしく大振りで手を突きだし、踏み込もうとする内藤を制止した。

内藤「何だ?」
グラシア「いや、邪魔が入っては困るのでね。川上京介、アリサ、ラスダン。君達は…『動くな』」
京介「…は?」

京介が何を言ってるんだこいつは、という風に目を細め、内藤のそばに行こうとする。
だが、京介の体は目と口以外全く動かなくなっていた。驚いて目で周囲を見回すと、ラスダンとアリサも動きが止まっているようだ。

京介「あれっ…何で動かないんだ?」
内藤「そうか…『写し』は終わってたんだっけか?」
グラシア「その通り」

⏰:08/01/22 00:49 📱:P903i 🆔:PI.xtWT2


#327 [◆vzApYZDoz6]
グラシアは言いながら立ち上がり、藍が座る椅子の後ろから、風船人形を引っ張り出した。

グラシア「この風船にはね、川上京介、君のスキルがコピーされている」

グラシアが京介の方を向いて、風船を揺らしながら説明しだした。

京介「俺の、スキル…?」

京介は、分からない事だらけで困惑していた。

グラシア「そう。説明しようか…私のスキルは『アナザーコンプリート』。人体支配とスキル支配、2つの支配を使う事ができる」

グラシアがゆっくりと椅子に腰掛けて、頬杖をつく。

グラシア「この風船は、リッキーが君のスキルをコピーして貼り付けたものだ」

⏰:08/01/22 01:14 📱:P903i 🆔:PI.xtWT2


#328 [◆vzApYZDoz6]
グラシア「私はこの風船に『スキル支配』をかけた。そうする事で、君のスキルを手に入れようと思ってね。ただ、リッキーがスキルをコピーするには、敵がスキルを使用した状態を視認する必要があるんだ」

グラシア「そこで、バウンサー本部にリッキーを送り込んだ。彼の体に、相手にスキルを強制使用させる特殊な周波を出す機械を埋め込んでね。…コピーは成功、私は君のスキルを手に入れた。ただ、リッキーに機械を埋め込みっぱなしにしたせいで、君は地下牢で再びスキルを発現したようだがな。まぁ、彼はもう用済みだったが」
京介「あいつは…使い捨てだった訳か」

⏰:08/01/22 01:23 📱:P903i 🆔:PI.xtWT2


#329 [◆vzApYZDoz6]
京介は動けぬ体で、歯をくいしばりグラシアを見据えていた。

グラシア「まあ、そう怒るなよ。…そうしてコピーし、今使用しているのが、君のスキル『スレイブオブキング』だ。自らを絶対的な『王』とし、他人の『行動選択権』を支配するスキル―――要するに、他人を思い通りに操れる、ということだ」

グラシアが京介を一瞥し、右手で藍の頭を撫でた。

グラシア「…君のスキルはそうして手に入れた訳だが、この子はなかなか目を醒ましてくれないのでね」
京介「てめぇ…!」

眠る藍を見て京介が歯をくいしばるが、体が動かない。
そんな京介の気持ちを察したのか、内藤が後ろ手で京介を制した。

⏰:08/01/22 01:39 📱:P903i 🆔:PI.xtWT2


#330 [我輩は匿名である]
内藤「川上、お前は動けないだろ。下がってろ」
グラシア「バニッシ、まさか君ごときが支配者クラスである私に勝てるとでも?」
内藤「やってみなければ分からんだろう」
京介「支配者クラス?」

次々と疑問が浮かぶ京介を、グラシアがめんどくさそうに一瞥した。

グラシア「なんだ、何も知らないのか?」
京介「そりゃちょっと前まで普通の高校生だったんだから」
内藤「それは俺が説明してやる」

内藤が、なぜか勝ち誇ったような顔をしている京介をちらっと見た。
グラシアは頬杖をついたまま、見下すように京介達を眺めている。

グラシア「それは助かる…説明してやれ」

⏰:08/01/23 00:16 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


#331 [◆vzApYZDoz6]
↑は俺です。なぜか酉が無くなってましたorz

⏰:08/01/23 00:18 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


#332 [◆vzApYZDoz6]
内藤「支配者クラスってのは、お前やグラシアの持ってるような、何かの『支配者』となるスキルの事を指す。
ちなみにそれ以外のスキルは、種類によって分類される。俺やアリサなら『操作』スキル、ラスダンなら『調査』スキルだな」
京介「へー…って、何でそれだけで内藤があいつに勝てないかもって事になるのさ?」
内藤「支配者クラスのスキルは…身体強化能力が最初から付加される。しかもかなり協力なヤツが、な。お前も覚えがあるだろう」
京介「……そういやリッキーと最初に闘った時は、あっという間に風船を蹴散らせたような…」
グラシア「もうその辺でいいだろう?」

⏰:08/01/23 00:30 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


#333 [◆vzApYZDoz6]
グラシアが不意に口を挟んだ。目を細め眉間に皺を寄せ、飽々したようにこちらを見ている。

内藤「…ふん、そういえば俺はお前を倒しに来たんだったな」

内藤が向き直り、重心をゆっくりと落とした。
部屋の奥にいるグラシアとの距離はおよそ7m。内藤なら一瞬で詰め寄れる距離だ。
見えない何かに守られているグラシアとどう闘うか、そんな思案を巡らせながら、地につけた足に力を入れ踏み込もうとしたその時。

グラシア「ああ…言っておくが、闘うのは私じゃない」

グラシアが座る王座の前の小階段に、黒い円柱が煙を巻いて出現した。

⏰:08/01/23 01:43 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


#334 [◆vzApYZDoz6]
現れたのはクルサだった。4年前と変わらずその顔は無表情で、その口は無言で閉ざされ、その視線は俯いたまま。
そんなクルサを前にして、内藤の視線がクルサを通り越してグラシアを一瞥する。静かに目を閉じながら、右ポケットから煙草を取り出した。

内藤「京介のスキル使ったりクルサを使ったりバリアを使ったり…」

呟きながら煙草をくわえ、先端に着火した。深く煙を吸入し、溜め息と共にゆっくりと吐き出していく。

内藤「お前は自分の力で闘おうともしないんだな」
グラシア「何とでも言いたまえ。むしろ今人の力を借りたいのは君なんじゃないか、バニッシ?」

⏰:08/01/23 21:43 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


#335 [◆vzApYZDoz6]
グラシアは椅子の背凭れに体を預け、見下ろすように内藤を眺めていた。その目は完璧に格下を見る目だ。

グラシア「私が自分の力を使わなくとも、今私が有利な状況は変わらないだろう?」

グラシアは言うと、視線をクルサに向けながら、顎で内藤を差した。
後ろに居て見えてもいないグラシアの動きにクルサが反応し、右手に巾着の青袋を具現化する。袋の口が独りでに開き、紙吹雪がクルサの周りを舞った。

グラシア「…だいたいクルサを支配しているのは私のスキルを使っているからだ。れっきとした私の力だろ、バニッシ?」
内藤「自分の力?お前の思考回路はとんだ間抜けだな」

⏰:08/01/23 21:52 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


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