-Castaway-
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#316 [◆vzApYZDoz6]
ハルキン「とりあえずこの人が先かな。…場所は地下1階か」

ハルキンが踵を返し、部屋の扉へ向かう。

ラスカ「えっ、藍ちゃんは?」
ハルキン「恐らく司令室だろう。京介のスキルは『写された』が、内藤なら大丈夫だろうしな」
ラスカ「司令室、ってここには無いね…」

ラスカがスクリーンを見上げた。
殆どの映像に人はいない。先程見つけた映像以外に、誰かが映っているカメラはないようだ。

ハルキン「まぁ司令室の場所は分かる。今はこっちが先だ」
ラスカ「…ま、いっか。了解」

ラスカが小走りで部屋を出る。それを確認し、ハルキンが歩き出した。

ハルキン「地下1階へ…イルリナの救出開始だ」

⏰:08/01/21 18:50 📱:P903i 🆔:QgkZYMa6


#317 [◆vzApYZDoz6]
-要塞内部・京介とラスダンの場合-
管制コントロール室のスクリーンには、依然2階を彷徨いている京介とラスダンの映像が映し出されていた。


京介「はーっ、ここはどこなんだよ…」
ラスダン「分からないけど進むしかないよ…」

京介達は今、要塞の2階の講堂にいた。
15分程前、大物資倉庫地下牢から中央要塞に入ってきた。入った場所は地下1階電力供給室。
要塞に入ってすぐラスダンのスキル『サイレントハッカー』を試してみたが、やはり使えない。
仕方無いので適当に歩いているとエレベーターを発見したので、2階へ上がってきた。
そして、何処へ行けばいいのかさっぱり分からず、迷っている。

⏰:08/01/21 22:58 📱:P903i 🆔:QgkZYMa6


#318 [◆vzApYZDoz6]
京介「大将なんてだいたい天辺にいると思うんだけど」
ラスダン「あのエレベーターは2階までしか無かったからね…」

悪態をつきながら講堂を出る。
その時、ラスダンが急に足を止めた。

京介「あれ、どうしたんだ?」
ラスダン「いや、今『思念』が飛んできたから…」
京介「なんて?」

ラスダンは答える代わりに、手を前に翳す。
使えなかった筈のサイレントハッカーの映像が映し出された、ノートパソコンが出現した。

京介「あれ?使えてるんじゃん」
ラスダン「どうやら会長が妨害結界を解除したみたいだよ」
京介「へー、やるじゃん!」

⏰:08/01/21 23:08 📱:P903i 🆔:QgkZYMa6


#319 [◆vzApYZDoz6]
ラスダン「とにかく内部構造はこれで分かる」

ラスダンがパソコンを消して、頭の中で要塞の映像を見る。

ラスダン「藍ちゃんは、5階の司令室だ」
京介「行道分かる?」
ラスダン「ちょっと複雑だけど、大丈夫だよ。行こう!」

声を合図に京介達が走り出した。
途中までは管制コントロール室への道程を辿る。4階へ上がったら左へ曲がり、更衣室前を通って突き当たりにあるエレベーターに乗る。
エレベーターの階数表示は4階と5階しかなかった。

京介「よし…!待ってろ藍!」

迷わず5のボタンを押す。
軈てエレベーターが5階に到着し、ドアが開く。
そこには、既に内藤とアリサがいた。

⏰:08/01/21 23:19 📱:P903i 🆔:QgkZYMa6


#320 [◆vzApYZDoz6]
-要塞内部・内藤とアリサの場合-

京介らが、道が分からず彷徨っていた頃。
内藤とアリサは、司令室へ繋がる唯一のエレベーターで、5階に到着した。
司令室の中はさっぱりとしていた。絨毯が真っ直ぐ奥まで続き、4・5段の階段を上った先にある、まさに王座といった感じの椅子に、グラシアが座っていた。
その隣には、機械類が繋がれ無駄にゴツくなっている椅子に藍が座わらされていた。眠らされているようで、意識はない。
グラシアは座ったまま、まるで毎朝の挨拶のように内藤に向かって手を上げた。

グラシア「やぁ、てっきり川上京介が先に来ると思っていたが」
内藤「貴様…」

⏰:08/01/21 23:40 📱:P903i 🆔:QgkZYMa6


#321 [◆vzApYZDoz6]
アリサ「今までのお給料はキッチリ払って貰うわよ、グラシアちゃん♪」

グラシアが内藤の隣のアリサに気付き、声を上げて笑い出した。

グラシア「ははは!どうしたんだアリサ?イルリナがどうなってもいいのか?」
アリサ「あら、京介ちゃんのスキルを支配したら、どうせ用済みになるんじゃなくって?♪」
グラシア「よく分かってるじゃないか…その通り、既に彼女は俺に必要の無い人間だ」

グラシアは一頻り笑い、まだ含み笑いをした。
その時、内藤らの背後のエレベーターの扉が開き、京介とラスダンが現れた。

⏰:08/01/21 23:50 📱:P903i 🆔:QgkZYMa6


#322 [◆vzApYZDoz6]
グラシア「や、川上京介。遅かったじゃないか」

グラシアはまたも余裕の顔で手を上げた。
京介は椅子に座らされて眠っている愛を見て、額に青筋を立て叫ぶ。

京介「藍を返せ!」
グラシア「この子のスキルはまだ支配できていないのでね…残念ながら返す訳にはいかない」

グラシアが藍の髪を撫で付ける。
京介は眉間に皺を寄せ、より一層顔が強張った。

京介「…その手で…藍に触んな!」
グラシア「ん?触られたくないなら止めたらどうだい?」
グラシアが余裕の態度なのに警戒心を抱くべきだったが、京介は怒りでグラシアを殴ることしか考えていなかった。

京介「上等だてめぇ!」

⏰:08/01/21 23:58 📱:P903i 🆔:QgkZYMa6


#323 [◆vzApYZDoz6]
内藤「待て川上!」

内藤が我を忘れて飛び出した京介を制止しようとしたが、間に合わない。
京介は一気に踏み込んで振りかぶり、不気味に笑うグラシアの顔面に渾身のストレートを撃ち出した。
しかし、その拳はグラシアまであと数mmのところで止まった。
京介の拳が帯電したように紫電が走り、微細な稲光が光る。いくら拳を押し付けようにも、グラシアには届かなかった。

グラシア「どうした?触られたくないんじゃないのか?」

グラシアが眼前で意地悪くにやついた。まだ右手で藍の髪を撫で付けているのを見て、京介の額に再び青筋が走る。

⏰:08/01/22 00:07 📱:P903i 🆔:PI.xtWT2


#324 [◆vzApYZDoz6]
京介「とりあえずその手を退けやがれ!」

今度は藍を撫でている右腕目掛けて、右足を蹴り上げた。
しかし結果は同じ。蹴り上げた京介の足は見えない何かにぶつかり、グラシアには届かない。何度も拳や蹴りを撃つが、その度に弾かれた。
ならば投げ飛ばそうと掴み掛かるが、やはり見えない何かに阻害され、グラシアに手が届く前に弾かれる。
何も知らない人がここだけ見れば、よくできたパントマイムだと感心するかもしれない。

京介「くそっ…!」
グラシア「止める気は無いのかな?ならば向こうへ帰ってもらおうか」

そう言うとグラシアは藍を撫でるのをやめて、右手を腰に構えた。

⏰:08/01/22 00:17 📱:P903i 🆔:PI.xtWT2


#325 [◆vzApYZDoz6]
京介は無駄な攻撃で体力を使い、息が上がっていた。そこへ、グラシアの素早い掌呈突きが繰り出される。
腹目掛けて放たれた掌呈をかわすことも出来ず、体をくの字に曲げて内藤らの元へ吹っ飛んだ。

ラスダン「大丈夫!?」
京介「くっそ…何で当たらないんだ?」
内藤「不用意に突っ込むんじゃない」

困惑する京介を尻目に、内藤がグラシアを見据えた。グラシアは再び椅子に座りながら、余裕の顔で内藤らを見る。

グラシア「…バニッシ、君は少し気に入らないんでね。遠慮なくやらせてもらうよ」
内藤「好きにしろ。それから、今は内藤だ」

⏰:08/01/22 00:31 📱:P903i 🆔:PI.xtWT2


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