-Castaway-
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#359 [◆vzApYZDoz6]
膨張した体躯から繰り出される圧倒的な腕力はダイヤモンドですら砕き、歩くだけでコンクリートを押し潰す圧倒的な脚力にはチーターですら敵わない。
それはイルリナのスキルを使い手に入れたハル兄弟の父親のスキル『レッドデーモン』。
あまりの膨張率に湾曲した背中の筋肉が、赤い鬼の顔に見える事からその名がつけられた。
グラシア「俺の『アナザーコンプリート』では、スキル所持者を殺してしまうとそのスキルが使えなくなるからね。その点では、『ライフアンドデス』は優秀だ」
リーザ「と言うことはまさか…」
グラシア「彼は逃げたからね…仕方がない」
:08/01/27 10:38 :P903i :aI5Q63wk
#360 [◆vzApYZDoz6]
ライン「貴様…なぜだ!? 俺達は忠実に働いた筈だ!!」
グラシア「君達はテーブルの食べ残しをずっと置いておくのか?」
レイン「オヤジはお前の晩飯だった、とでも言うのか!」
グラシア「そうだな、なかなか魅力的な晩飯だったよ。まあ…カレーライスぐらいかな」
レイン「貴様…!!」
ライン「よくもオヤジを殺したな!」
グラシア「いや、死んだかどうかは見ていない。部隊が断崖にまで追い詰めて、崖から飛び下りたそうだ。眼下の海に死体は見付からなかったがね」
ライン「なんだ、驚かせやがって」
グラシアの言葉を聞き、ハル兄弟は顔を見合わせて笑いあった。
レイン「それぐらいであのオヤジが死ぬ訳がないだろう」
:08/01/27 10:49 :P903i :aI5Q63wk
#361 [◆vzApYZDoz6]
リーザ「それぐらいでって、普通死にますわよそれ」
グラシアの後ろで、リーザが呆気に取られた顔をした。
ライン「オヤジは普通じゃないからな。だが、今までこき使われたんだ」
レイン「落とし前はキッチリ取って貰うぜ」
兄弟が腕を突きだし、いつかのバイク乗りと対峙した時のように構える。
ライン「俺達をしっかり覚えてな」
レイン「お前を殺すのは、俺達ハル兄弟だ!」
膨れ上がった体躯の一番上に付いている顔がハル兄弟を見下ろし、ふん、と鼻で笑った。
グラシア「こうなったらお前らで鬱憤を晴らしてやろうか…愛する父親のスキルで千切れ死ね!」
:08/01/27 10:59 :P903i :aI5Q63wk
#362 [アリス]
あげます(^U^♪)
:08/01/28 03:52 :P902iS :☆☆☆
#363 [◆vzApYZDoz6]
>>362どうもです^^
最近忙しさがかなり加速してて、更新できない日もあるかもしれないです(´`)
今から少し更新します
:08/01/28 16:17 :P903i :b5xYdHV2
#364 [◆vzApYZDoz6]
グラシアが膨れ上がった右腕を無造作にふりかぶる。
その時に胸部が初めて顕になり、左脇に抱えられた藍が見えた。
レイン「おっと、あれは確か助けなきゃいけない子だよな?」
ライン「参ったな。派手に戦えそうにもない…っと!!」
2人の会話を遮るように右腕が乱暴に、だがしかし凄まじいスピードで振り下ろされる。
ハル兄弟は迫る拳を飛び退くようにかわして二手にわかれた。そのまま強大な体躯のグラシアの脇腹に潜り込み、2人同時に拳を撃ち出す。
しかし、鉄を殴ったような反響音が響いて、兄弟の拳から血が滲み出るだけだった。
:08/01/28 16:28 :P903i :b5xYdHV2
#365 [◆vzApYZDoz6]
ライン「むぅ…やはり痛い」
レイン「馬鹿野郎、これぐらい我慢しろ」
グラシア「チョロチョロと邪魔だ蟻共が!」
グラシアが右腕1本で両脇腹に潜り込んだハル兄弟を薙払う。兄弟は思わず血が出た拳を振りながら、薙払いをバックステップでかわした。
そこへ、藍をグラシアから奪い返そうと飛び掛かったリーザが放り投げられてきた。
リーザは上手く着地しながら、困ったような顔をして兄弟に呟いた。
リーザ「藍さんをグラシアから引き剥がさない事には、私のスキルも使えません…どうにかならないでしょうか?」
レイン「それならいい方法が…ちょっと」
:08/01/28 16:36 :P903i :b5xYdHV2
#366 [◆vzApYZDoz6]
ハル・レインが横目でグラシアを警戒しながらリーザを手招きし、何やら耳打ちした。
レイン「……ってな具合だ。ちなみに、今はスキルは?」
リーザ「発動中ですわ」
レイン「よっしゃ。行くぞライン、対オヤジ戦法だ」
ライン「おっ、久しぶりにやるか兄貴」
3人が小声の会話を終えて、グラシアに向き合う。会話する3人に特に何もせず、むしろ余裕といった感じに立ち尽くしていた。
グラシア「作戦タイムは終わったかな?」
レイン「待ってくれるとはいい奴だな」
グラシア「何…君達が負けるという結果は変わらない」
レイン「ならやってやろうか。…2人ともタイミングを合わせろ、行くぞ!」
:08/01/28 16:44 :P903i :b5xYdHV2
#367 [◆vzApYZDoz6]
3人が一斉に駆け出す。ハル兄弟が平行に並んで走り、その後ろをリーザが追う形。
今グラシアが使用しているスキル『レッドデーモン』は、ハル兄弟の父親のスキル。ハル兄弟はそれ故に、対処方を熟知していた。
発動中は外皮が鉄のような硬さを持ち、1対1では到底敵わず、また外部からいくら打撃を与えても大したダメージにはならない。
そんなスキル発動中の人間に攻撃を当てる方法は限られている。鋼鉄の皮膚をも裂く程の威力の攻撃を叩き込むか、若しくは皮膚の硬さなど関係ない肉体内部に直接ダメージを与えるか。
藍を抱えているグラシアには、後者の方法を使うしかない。
:08/01/28 16:55 :P903i :b5xYdHV2
#368 [◆vzApYZDoz6]
グラシアが兄弟を迎え撃つために右腕を振り上げた。
その時、左を走ってきていたハル・レインが、一瞬視界から消え去る。次の瞬間には、グラシアの眼前にまで飛び上がっていた。
グラシア「小癪な!」
回し蹴りを繰り出すハル・レインに向かって、振り上げた拳を叩き付ける。が、またしても拳が当たる寸前に視界から消え失せた。
と同時にハル・ラインが踏み込み、一気に懐まで入り込んだ。グラシアが舌打ちをしながら、自分の顔の前にあった右拳を振り下ろすように叩き付ける。が、それも空振り。
グラシア「ちっ…小賢しい!」
ライン「後ろだよ赤鬼野郎!」
:08/01/28 17:13 :P903i :b5xYdHV2
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