-Castaway-
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#363 [◆vzApYZDoz6]
>>362どうもです^^
最近忙しさがかなり加速してて、更新できない日もあるかもしれないです(´`)
今から少し更新します
:08/01/28 16:17
:P903i
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#364 [◆vzApYZDoz6]
グラシアが膨れ上がった右腕を無造作にふりかぶる。
その時に胸部が初めて顕になり、左脇に抱えられた藍が見えた。
レイン「おっと、あれは確か助けなきゃいけない子だよな?」
ライン「参ったな。派手に戦えそうにもない…っと!!」
2人の会話を遮るように右腕が乱暴に、だがしかし凄まじいスピードで振り下ろされる。
ハル兄弟は迫る拳を飛び退くようにかわして二手にわかれた。そのまま強大な体躯のグラシアの脇腹に潜り込み、2人同時に拳を撃ち出す。
しかし、鉄を殴ったような反響音が響いて、兄弟の拳から血が滲み出るだけだった。
:08/01/28 16:28
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#365 [◆vzApYZDoz6]
ライン「むぅ…やはり痛い」
レイン「馬鹿野郎、これぐらい我慢しろ」
グラシア「チョロチョロと邪魔だ蟻共が!」
グラシアが右腕1本で両脇腹に潜り込んだハル兄弟を薙払う。兄弟は思わず血が出た拳を振りながら、薙払いをバックステップでかわした。
そこへ、藍をグラシアから奪い返そうと飛び掛かったリーザが放り投げられてきた。
リーザは上手く着地しながら、困ったような顔をして兄弟に呟いた。
リーザ「藍さんをグラシアから引き剥がさない事には、私のスキルも使えません…どうにかならないでしょうか?」
レイン「それならいい方法が…ちょっと」
:08/01/28 16:36
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#366 [◆vzApYZDoz6]
ハル・レインが横目でグラシアを警戒しながらリーザを手招きし、何やら耳打ちした。
レイン「……ってな具合だ。ちなみに、今はスキルは?」
リーザ「発動中ですわ」
レイン「よっしゃ。行くぞライン、対オヤジ戦法だ」
ライン「おっ、久しぶりにやるか兄貴」
3人が小声の会話を終えて、グラシアに向き合う。会話する3人に特に何もせず、むしろ余裕といった感じに立ち尽くしていた。
グラシア「作戦タイムは終わったかな?」
レイン「待ってくれるとはいい奴だな」
グラシア「何…君達が負けるという結果は変わらない」
レイン「ならやってやろうか。…2人ともタイミングを合わせろ、行くぞ!」
:08/01/28 16:44
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#367 [◆vzApYZDoz6]
3人が一斉に駆け出す。ハル兄弟が平行に並んで走り、その後ろをリーザが追う形。
今グラシアが使用しているスキル『レッドデーモン』は、ハル兄弟の父親のスキル。ハル兄弟はそれ故に、対処方を熟知していた。
発動中は外皮が鉄のような硬さを持ち、1対1では到底敵わず、また外部からいくら打撃を与えても大したダメージにはならない。
そんなスキル発動中の人間に攻撃を当てる方法は限られている。鋼鉄の皮膚をも裂く程の威力の攻撃を叩き込むか、若しくは皮膚の硬さなど関係ない肉体内部に直接ダメージを与えるか。
藍を抱えているグラシアには、後者の方法を使うしかない。
:08/01/28 16:55
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#368 [◆vzApYZDoz6]
グラシアが兄弟を迎え撃つために右腕を振り上げた。
その時、左を走ってきていたハル・レインが、一瞬視界から消え去る。次の瞬間には、グラシアの眼前にまで飛び上がっていた。
グラシア「小癪な!」
回し蹴りを繰り出すハル・レインに向かって、振り上げた拳を叩き付ける。が、またしても拳が当たる寸前に視界から消え失せた。
と同時にハル・ラインが踏み込み、一気に懐まで入り込んだ。グラシアが舌打ちをしながら、自分の顔の前にあった右拳を振り下ろすように叩き付ける。が、それも空振り。
グラシア「ちっ…小賢しい!」
ライン「後ろだよ赤鬼野郎!」
:08/01/28 17:13
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#369 [◆vzApYZDoz6]
声に反応し後ろを向いた瞬間。
レイン「ツインキャンサー大鵬打撃奥義!」
振り下ろして地面を砕き割り、地面にめり込むように止まっていた右拳の上に、ハル・レインが拳を腰に据えながら着地した。
後ろを向いた時に一瞬見えたハル・ラインに気を取られ、拳に着地したハル・レインへの反応が遅れる。
それを見計らったかのように兄弟が同時に胸部に飛び込み、拳を握り締めた。
狙うは――心臓。
レイン&ライン「――ハートブレイク・ショット!」
ハル・レインが前から、ハル・ラインが後ろから、裏当てを使って心臓を撃ち抜いた。
:08/01/28 17:24
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#370 [◆vzApYZDoz6]
力点と作用点を『ずらす』のが裏当て。
胸筋と背筋に撃ち込まれた拳の威力は皮膚を突き抜け、グラシアの心臓で互いにぶつかり合い炸裂した。
グラシアの心臓は体内で弾け散り、嘔吐感と共に大量の血液が食堂をさかのぼる。
グラシア「ぐっ…がはっ!!」
体内に致命傷を食らい、片膝をついて血を吐き出した。
降り注ぐ鮮血を避けるように、懐に入っていたハル・レインが後ろに飛び退いた。
ハル・レインが退がる隣を、リーザが鞘に納まれた刀の柄に手を掛けながら駆け抜ける。懐に入り込み、止まらぬ血を吐き出し続けるグラシアの無防備な大口に向かって、神速の刺突を繰り出した。
:08/01/28 17:36
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#371 [◆vzApYZDoz6]
突き出された刀の切っ先は、外皮の硬さが影響しない口の中を通って脳に到達する。
リーザは、5階から窓を破って降りてきたグラシアに攻撃した後に、刀を鞘に納めてスキルを発動した。以降この瞬間まで抜刀される事はなく、刀は納めっぱなしにされていた。
その時間、約4分30秒。戦闘前に兄弟とグラシアが言い争っていたのが、思わぬ功を奏した。
リーザが素早く剣を引き抜き、刀身を鞘に滑らせて刀を納めていく。
リーザ「その残忍な頭脳…一度シェイクして差し上げましょう」
チン、という小さな鍔鳴りの音と同時に、グラシアの脳に届いた裂傷が頭蓋の中で大爆発を起こした。
:08/01/28 18:00
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#372 [◆vzApYZDoz6]
グラシアが頭をガクガクと奮わせて白目を向いた。頭部のあちこちに亀裂が走り、どす黒い血液が筋となって噴き出していく。
噴き出した血はグラシアが吐き出した血と混ざりあい大きな血溜りとなり、そこへグラシアがゆっくりと俯せに沈んでいった。
グラシアの赤く硬い皮膚の内側で、心臓は完膚なきまでにその機能を停止させ、脳は原型が分からぬ程に磨り潰され、その体は最早生物的に死んでいた。
グラシアは、今自分が倒れた事すら分かっていないだろう。
3人は血の海に臥すグラシアを一瞥して、交互にハイタッチを交わした。
:08/01/28 22:08
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