-Castaway-
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#376 [◆vzApYZDoz6]
グラシア「そらよ!」

振り回すスピードは凄まじく早い。近くにいたハル・ラインに逃げる暇を与えず回転に巻き込んで、既に意識の無いリーザごと後ろの壁に投げ飛ばした。

ライン「ぐあっ!!」
レイン「ライン!!」
グラシア「おっと、余所見していていいのか?あれだけ離れればツインキャンサーの効果は無いぞ」

グラシアが右腕を引いてハル・レインに向かい振り下ろす。
乱暴に、だが凄まじいスピードで振り下ろされた拳は、ツインキャンサーの効果が切れて身体能力が低下したハル・レインに避けられるものでは無かった。
あっという間に吹き飛ばされ、京介らが居る階段の側の壁に激突し気を失った。

⏰:08/01/29 00:57 📱:P903i 🆔:mb3nTzbM


#377 [◆vzApYZDoz6]
京介「みんな!」
内藤「遅かったか…!」

気絶したハル・ラインをつまらなさそうに一瞥するグラシアを、内藤が今にも飛び出しそうな京介を制しながら見据える。
3人が気を抜ききっていた事や、グラシアの足下にある大量の血溜りから見ても、グラシアが1度やられたのは間違いないだろう。
恐らく再生系の、かなり強力なスキルを使ったはず。同時使用ができるのはライフアンドデスの力か。
内藤はそんな思案を巡らせながら、グラシアの能力を確かめるために少しずつにじり寄る。
グラシアが、視線は逸らさず忍び足でこちらに来る内藤を見て、馬鹿にしたように鼻で笑った。

⏰:08/01/29 23:41 📱:P903i 🆔:mb3nTzbM


#378 [◆vzApYZDoz6]
グラシア「来るなら来い…と言いたいところだが、生憎私は君らと戦う暇など無いのでね。戦いたければ追いかけてくるんだな」

勝ち誇ったように言い放つと素早く後ろを振り返り、京介らの対面の中庭出入口に向かって駆け出した。
内藤がすかさず追い掛けようとするが、グラシアの走るスピードはとんでもなく早い。あっという間に姿を見失ってしまった。

内藤「くそっ!逃げ足だけは早いな」

内藤が一旦止まり、舌打ちをしながら振り返る。こちらに走ってくる京介越しに、ラスダンとアリサに叫んだ。

内藤「俺は奴を追う!!リーザ達を頼んだぞ!!」

⏰:08/01/29 23:57 📱:P903i 🆔:mb3nTzbM


#379 [◆vzApYZDoz6]
了解、という叫び声が返ってくる。
内藤は感謝の意を込めて片手を振り上げ、振り返って京介と肩を並べて走り出した。中庭を出て、再び要塞の中に入ると、グラシアに付いた血液が足跡となり点々と続いていた。

内藤「おっ、ご丁寧に足跡残してくれてるな」
京介「それにしてもあいつ…あんな急いで何処に行くつもりなんだ?」
内藤「さぁな。小便にでも行きたかったんじゃないか?」
京介「えー…」

馬鹿馬鹿しい程に胡散臭そうな顔を作って唸る京介にイラッと来て、内藤が平手を振り上げた瞬間。
遠くから、大きな衝撃音と共に床が小刻みに震え、続いて瓦礫が崩れ落ちるような音がした。

⏰:08/01/30 01:17 📱:P903i 🆔:tKsLXZlI


#380 [◆vzApYZDoz6]
突然の騒音に驚いて足を止める。それはどうやら上の階から発生したようだ。

京介「なんだ?」
内藤「ちっ、我慢できなくなってトイレを破壊しやがったか」
京介「いや絶対違うと思うそれ」

気にはなりつつも再び足跡を追って走り出す。コンクリートに付けられた血の足跡を追い掛けて角を曲がると、そこには階段があった。
余程急いでいたのか、足跡は2段飛ばしで付いている。

京介「あいつ上に昇ったんだ…てことはさっきの音はあいつか?」
内藤「ほら見ろ。グラシアは今、膀胱を抑えて走り回ってる筈だ」
京介「いや…うん。そのネタ引っ張りすぎ」

京介は、正直しんどいと思った。

⏰:08/01/30 02:08 📱:P903i 🆔:tKsLXZlI


#381 [◆vzApYZDoz6]
-バリア発生装置がある部屋-

部屋の4隅にある、発生装置である小さな柱は、全てが逆さになって地面に突き刺さっている。柱に繋がっていた制御ケーブルは引き千切れて、ケーブルが繋がっていた制御装置の画面は電力供給用コードが切断されており光が失われていた。
ガリアスはその制御装置にもたれ掛かかって座り込み、虚に宙を仰いで考えていた。
この発生装置はグラシアが使っていたため、要塞内でも普通の通路から隔離され独立していた。

ガリアス「…ここどうやって出ればいいんだろ」

⏰:08/01/30 22:12 📱:P903i 🆔:tKsLXZlI


#382 [◆vzApYZDoz6]
ガリアスが項垂れるように溜め息をつく。
バリア発生装置があった事すら知らなかったガリアスには、実は隠し扉が存在する事など知る由もなかった。
破ってきた窓まで戻るのは如何せん面倒。この隔離空間から出る方法はガリアスには1つしか思い浮かばなかった。

ガリアス「仕方ねぇな…壁ぶち壊すか」

ガリアスは立ち上がり、もたれ掛かっていた制御装置に手を当てる。
ヴィエロシティーの光速移動能力を制御装置に使って、部屋の壁に全力で叩き付けた。
大きな衝撃音が響き破片が飛ぶ。だが音はそこでは終わらず、瓦礫が崩れ落ちるような音が続いていた。

⏰:08/01/30 23:24 📱:P903i 🆔:tKsLXZlI


#383 [◆vzApYZDoz6]
反響音はどんどん小さくなるが、なかなか消えない。気になって、開けた穴から周囲を見回した。

ガリアス「あれ、ここって…非常階段じゃん」

吹き抜けの空間に、階段が大きな螺旋を描きながら上下に伸びている。複雑な要塞の中で唯一、地下2階から6階の上の屋上まで全エリアと繋がっている階段だが、要塞の端に位置するため普段は使われていない。
だが、その階段を掛け上っている人物が見えた。
その人物は開いた穴から出てきたガリアスを見下ろして一瞥し、何事も無かったかのように視線を戻す。
再び螺旋階段を掛け上がる人物に、ガリアスが叫んだ。

ガリアス「グラシア!!」

⏰:08/01/31 20:13 📱:P903i 🆔:.ut2PBe.


#384 [◆vzApYZDoz6]
体は赤く変色し膨れ上がっていたが、顔は変わっていない。巨大な体躯には狭すぎる階段を凄まじいスピードで上がっていくその人物は、紛れもなくグラシアだった。
ガリアスがすぐに穴を飛び出し螺旋階段を駆け上がる。大きな円周を描きながら勾配を付ける階段の壁には、グラシアがその体躯を擦った跡がついていた。
ガリアスのヴィエロシティーは、自分には能力を使えない。有り得ないスピードで駆け上がるグラシアには到底追い付けなかった。
グラシアがあっという間に屋上まで到達して、屋上の扉を開ける。
それを見たガリアスは、懐からジェイト兄弟に渡された無線機を取り出した。

⏰:08/01/31 20:22 📱:P903i 🆔:.ut2PBe.


#385 [◆vzApYZDoz6]
-要塞屋上-

低めのフェンスに囲まれた空間に、白いコンクリートが広がる。その端にある扉が勢いよく開け放たれ、グラシアが出てきた。
遠くの空を仰いで、唇の端を釣り上げて呟く。

グラシア「よし…いい頃合いだ」

グラシアの視線の先には、こちらに向かって飛んでくる1基のヘリコプターが写っていた。それはただのヘリコプターではなく、迷彩が施され、プロペラは3つ付けられた軍用ヘリコプター。
次第にバラバラと響くローターの回転音が大きくなり、続いてプロペラが生み出した直下風がグラシアの髪をなびかせる。

⏰:08/01/31 20:40 📱:P903i 🆔:.ut2PBe.


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