-Castaway-
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#40 [主◆vzApYZDoz6]
道はずっと直線で、たまに勾配がついていた。
1時間ほど車を走らせていると、1軒の建造物が見えてきた。
内藤が家の前で車を止めて降りる。京介と藍もそれに倣った。

京介「なんつうか、ちっこい家だな」

京介が呟く。
確かに、家と言うには小さく、大きめの納屋、と言った方が近いかもしれない。

内藤「ま、別荘みたいなもんだな」

内藤が言いながらドアを開けた。

内藤「なっ…シーナ!リーザ!大丈夫か!」

内藤が慌て中に入ったのを見て、京介も中を覗いた。
中は1つの部屋になっていた。さっぱりして、特に物も無い。
が、中央に人が2人、横たわっていた。

⏰:07/12/17 01:37 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


#41 [主◆vzApYZDoz6]
藍「どうしたの?」
京介「あれ!人が倒れてる!」

京介と藍も駆け寄る。
倒れている2人は双子のようで、どちらも長い金髪の髪を束ねている。
意識はあるようだ。

内藤「大丈夫か!?誰にやられた?」
リーザ「う…ん、内藤…?」
シーナ「あなたが来たってことは、まさか…」
京介「なぁ、どうしたんだ?」

京介が内藤の前に身を乗り出したのを見て、2人が声を荒げる。

リーザ「こっちへ来ちゃ駄目!」
藍「きゃっ!!」

京介が驚いて後ろを振り返ると、ジャージをはいた男が藍を肩に抱き抱えていた。

ガリアス「まったく無用心だな、誘拐のし甲斐が無い」
京介「待ちやがれてめぇ!!」

ガリアスが素早く家から出ていった後を、京介が追う。
しかし、京介が家の外に出ても回りに誰もいなかった。

京介「あれ!?どこ行った?」ガリアス「ここだよー、カワカミ君」

辺りを見回していた京介の頭上から声がした。
京介が見上げると、そこにいたのはドラゴンに乗るガリアスだった。
ドラゴンの背中にはもう1人男が乗っている。

⏰:07/12/17 01:59 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


#42 [主◆vzApYZDoz6]
京介「おい!藍をどうする気だ!降りてこい!」
ガリアス「別にどうもしないよ、彼女が抵抗しなければね」

ガリアスの肩に抱かれている藍は暴れたりする様子もない。気絶させられたようだ。

ガリアス「まぁ、取り返したければ取り返しに来なよ」

そう言ってもう1人の男に目配せする。
男は頷き、京介を一瞥してから前を向く。
ドラゴンはそのまま空の彼方へ飛び去った。
京介が肩を落として振り返ると、ちょうど内藤がリーザとシーナに肩を貸しながら、家から出てきた。

内藤「おい、大丈夫だったか!?浅香は!?」
京介「連れていかれたよ…」
内藤「そうか…。だがそれなら行き先は見当がつく」
京介「本当か!?」
内藤「あぁ。藍が抵抗しなければ殺されたりはしないだろう。今はとりあえずこの2人を…」

突然、会話を遮るように、大きな電子音が乗ってきた車から鳴り響く。
内藤が車に近付いてドアを開け、無線機のような物を取り出しボタンを押した。

内藤「どうした?」
『今すぐホームへ戻ってきて!凄い数の襲撃が…!』内藤「何!?分かった、すぐに行く!!」

内藤は無線機を車に放り投げ、京介らの元へ駆け寄った。

京介「どうしたんだよ?」
内藤「説明してる暇はない、とにかく行くぞ!」

内藤が中指で地面を擦る。
京介・内藤・リーザ・シーナの4人がピンクの光に包まれた。

⏰:07/12/17 02:20 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


#43 [主◆vzApYZDoz6]
-バウンサー本部-
円筒状に縦に長い建物に、スキンヘッドの男達が無数の銃弾を浴びせている。
男達の後ろにはアリサが立っていた。

アリサ「んもぅ、鬱陶しい結界ねぇ♪みんな、どんどん撃っちゃってー♪」

アリサの声をバックに、スキンヘッドの男達が銃撃が更に激しさを増す。

「うーん、これじゃスティーブの散歩にも行けやしないな」
「何言ってんですか会長!この結界もあれだけの攻撃が続くと持ちませんし、早く手を打たないとヤバいですよ!」

その様子を中から見ている2人の男が、険しい顔で話をしていた。

(ハルキン、31歳。バウンサーのトップで、通称『会長』と呼ばれています)
(ラスダン、26歳。バウンサーの一員です)

⏰:07/12/17 16:21 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


#44 [主◆vzApYZDoz6]

ハルキン「いやまぁ分かってるんだけどねそれは」
ラスダン「ならばこちらも反撃するなりしないと…!ジェイト兄弟なら出撃準備が出来てますけど、出しますか?」
ハルキン「まぁ待て、ラスカが連絡してたから、そろそろ内藤が戻ってくるはずだ。敵はアリサの他にも何人かいるようだし、こちらの出撃も数が揃ってからだ」
ラスカ「あんたそれまで結界はってろって言うの?冗談じゃないわ、こっちだって辛いんだから!」

部屋の中央から1人の女が喋りかける。
(ラスカ、?歳。バウンサーの一員で、様々な結界を作るスキル『タレント』を持つレンサーです。)

ハルキン「ん?まぁ頑張れ」
ラスカ「まぁ、人の苦労も知らないで…!」

⏰:07/12/17 16:26 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


#45 [主◆vzApYZDoz6]
内藤「ハルキン、大丈夫か?」
ハルキン「おぉバニッシ、着いたか」

ピンクの円が光り、内藤達が現れた。

内藤「今は内藤だ。…しかし、まさかこのタイミングで仕掛けてくるとは…」
ハルキン「うーん、リーザとシーナをお前んとこで養生させたのは間違いだったか」
内藤「まぁ間に合ったし、今話していても仕方がない。敵の数は?」
ハルキン「既に『調査』はすんでいる。…ラスダン!」

OK、とラスダンが親指を立てる。

ラスダン「目ぼしい敵は、アリサ、ウィニー、ハル・レインとハル・ライン。ガリアスはいないみたいだよ。風船人形がやけに多いのが気になるけど…まぁ大丈夫じゃないかな」

内藤「4人か…風船人形がいる外じゃあやりづらいな」
ハルキン「そこはジェイトらに任せよう。出撃準備は出来てるんだろう?…そうだな、1階を使わせてやるか。ラスダン、伝えておいてくれ」
ラスダン「了解」

ラスダンが足早に部屋を出ていく。
ドアのそばにいた京介がどうしていいかあたふたしているのを見て、内藤が近付いた。

内藤「よし、身体強化スキルを渡しておくから、お前も1階へ行くんだ」
京介「あ、あぁ、分かった」
京介がラスダンの後を追って部屋を出ていった。

ハルキン「ラスカ、結界を頼むぞ。やることは分かってるな?」
ラスカ「はいはい…人使い荒いんだから」
内藤「よし、行くぞ」


ラスカが見守る中、内藤とハルキンが窓から飛び出した。

⏰:07/12/17 17:02 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


#46 [主◆vzApYZDoz6]
京介はエレベーターを降り、1階のフロアに出た。
1階は非常に広く、学校の講堂ぐらいの広さがある。
京介は、前方からバイクに乗った2人がやって来ているのに気付いた。
1つのバイクは車輪が車体に比べとても大きく、直径2mはあるかというぐらいだ。
もう1つのバイクは胴体部が大きく、屋根つきのバイクをさらに増築したような感じになっている。

(ジェイト兄弟。大きなタイヤの『ジェイトレッグ』を狩る兄と、大きな胴体の『ジェイトドット』を狩る弟の兄弟です。会話では『兄』と『弟』です)

兄「おーっす!あんたがキョウスケか。話は聞いてるな?俺達があのハゲ風船共を捕まえてくるから、あんたは中で奴らをバチボコにしてやれ」
弟「兄ちゃん、シャッター開けるぜ」

ジェイト弟がシャッターを開けた先に、銃撃を続ける無数の風船人形がいた。
ジェイト兄がエンジンを吹かす。

兄「ほんじゃ、頼むぜ!」

2人のバイク乗りが敵陣に駆けていった。

⏰:07/12/17 17:29 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


#47 [主◆vzApYZDoz6]
感想板立てました

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3130/

⏰:07/12/17 17:33 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


#48 [主◆vzApYZDoz6]
外へ向かう狭い通路を走る2台のバイク。
うち、大胴体のジェイトドットは徐々に減速し、大車輪を持つ機体ジェイトレッグは加速していた。

兄「いくぜ!ジェイトレッグ!バウンサー特製―――」

ジェイト兄が左ハンドルのボタンに手をかける。
シャッターを飛び出し、銃撃を続ける風船の頭上へ大ジャンプした。

兄「捕獲用地引き網!」

ジェイト兄がボタンを押し込む。
機体の横の一部が口を開け、大きな網が左右へ飛び出した。

風船人形「これは!」
兄「よし!いけるか弟よ!」
弟「任せろ兄ちゃん!」

風船達に被さる網の右端を、ジェイト弟が掴む。
ジェイト兄は着地して左へ走り、旋回走行で網の左端を掴みすぐさま加速した。
それを確認したジェイト弟も一気に発進させる。
狭い通路の先に左右からバイクが現れ、通路を隼の如く駆け抜けた。

風船人形の塊が、引っ張られた勢いで飛ぶように中へ突っ込んでいった。

⏰:07/12/18 02:25 📱:P903i 🆔:TmlkQt.c


#49 [主◆vzApYZDoz6]
内藤「はい着地ー、っと」

窓から飛び出した内藤とハルキンは、1階シャッターの前に着地した。
後ろを振り返ると、ジェイト兄弟が風船人形を引き摺って走っていく姿が見える。

ハルキン「よし、隔離は成功だな。さぁ、結界を解きっぱなしにするわけにはいかん、行くぞ。ラスカに合図を出してくれ」

了解、と内藤が胸に着けたピンマイクに話しかける。

内藤「3つ数えたら再度結界を張ってくれ」
ラスカ『了解。無理しちゃ駄目よ』
内藤「ああ。カウントを始める―――3」

ハルキンが敵の配置を確認する。
右前方にアリサがいつでも来い、といった感じに立っている。
左前方には、羽を休めるドラゴンに凭れている男がこちらを見ていた。

⏰:07/12/18 14:08 📱:P903i 🆔:TmlkQt.c


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