-Castaway-
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#30 [主◆vzApYZDoz6]
内藤「大事な教え子を殺させる訳にはいかんからな」
アリサ「あら、その大事な教え子を戦わせているのはあなたじゃない♪」
内藤「川上なら大丈夫だ。…あいつがハゲ共を倒すまで、俺が時間を稼ぐ」

内藤が一気に踏み込んだ。

アリサ「ふふっ、できるものならやってごらんなさい♪」

内藤がストレートを打ち出す。
アリサは素早く後ろに下がった。内藤の拳が空を切る。

アリサ「どこまで持つかしら♪」

アリサは左手を前に突き出した。
手には、携帯電話が握られている。

⏰:07/12/16 14:06 📱:P903i 🆔:jBKYDY9A


#31 [主◆vzApYZDoz6]
>>29
ありがとうございます。
頑張らせてもらいます

⏰:07/12/16 14:08 📱:P903i 🆔:jBKYDY9A


#32 [主◆vzApYZDoz6]
開いた携帯電話を、岡っ引きの形で持つ。
その携帯電話に添うように右手を被せる。

アリサ「せいぜい頑張って頂戴ね♪」

右手が輝きだす。
左手を引き抜くようにスライドさせると、携帯電話から光の筋が浮かび上がった。
まるでライトセイバーのようなその光の剣を、八艘構えで持ち向き合う。

内藤「『ハンドルソード』か。そんな何処にでもあるようなスキル…俺も舐められたもんだ」
アリサ「今のあなたならこれで十分よ♪」

アリサが袈裟斬りを繰り出す。

内藤「しかし…ヤバいのは事実かな」

内藤は全力で右前に飛び込んだ。
足元の地面が砕けるのを尻目に、そのままアリサの後ろに回り込み、バックステップで距離を取った。

⏰:07/12/16 14:34 📱:P903i 🆔:jBKYDY9A


#33 [主◆vzApYZDoz6]
アリサ「逃げるのだけは上手いのね♪」
アリサが後ろの内藤と向き合う。

内藤「褒められたもんじゃないけどな」
アリサ「分かってるなら大人しくしていなさい♪」

アリサが踏み込んだ。
先刻よりも早く剣が振り下ろされる。

内藤「それは死んでも嫌だね」

今度は後ろへ跳んだ。
初太刀の袈裟斬りを寸前でかわす。
すかさず左から水平斬りが迫ってくる。

内藤「ノーマルだからって―――」

左手を腰へ。
同時に、跳んだ反動を殺さず体を後ろに反らした。

内藤「―――舐めるなよ!」
左手を上へ打ち出す。
内藤の掌が刀身の横腹を捉え、斬撃を逸らした。
そのまま両手を逆手で地面に突き、体を丸める
反動で前に起き上がった時には、右手がすでに腰に構えられて。

アリサ「なっ…♪」
内藤「悪いが、俺は男女平等主義者でね」

掌呈突きを繰り出した。

⏰:07/12/16 15:02 📱:P903i 🆔:jBKYDY9A


#34 [主◆vzApYZDoz6]
次々とスキンヘッドの男が転がっていくのを、藍がベンチの裏から心配そうに見ていた。
理由は分からないが、自分の幼馴染みが戦っている。
その向こうでは、自分のクラスの担任が戦っている。
藍はその光景をいまだに理解できていなかった。

京介が最後の1人を勢いよく吹っ飛ばしたのを確認して、ベンチから身を出し駆け寄った。

藍「京ちゃん、大丈夫?」
京介「全然余裕だけど」

京介が服の埃を払いながら答える。

京介「まぁ、内藤が何かしたおかげだけどな…つうかその内藤は?」
藍「あっちでさっきの女の人と戦ってるみたいだけど…」

京介が藍の視線の先を辿ると、確かに内藤がいる。
ちょうど、袈裟斬りをかわして女の後ろに回り込んでいた。

京介「あれ…危ねーんじゃねぇの?」

女の袈裟斬りを避けてはいたが、処理能力が強化されている京介の頭脳は、明らかに内藤が不利だと言っていた。
女が2撃目をふりかぶる。
京介は駆け出した。

⏰:07/12/16 15:17 📱:P903i 🆔:jBKYDY9A


#35 [主◆vzApYZDoz6]
内藤はすぐに距離を取った。
今はアリサの油断があったからこそ反撃できたが、次はそうはいかない。

内藤「川上はまだ戦っているのか…」

内藤が横目で背後を確認する。
京介が自分の元へ走ってきていた。

京介「あれ?普通に大丈夫じゃん…」

京介は、確かに脳の処理能力が強化されている状態だ。
それはつまり、普段より反応は早いが、筋力が上がったという訳ではない。
危機が迫る内藤の元へ一瞬で近付く事などできるはずもなかった。

内藤「遅いぞ、川上」
京介「いやだって走る速さ変わってないし…大の男をあんだけ吹っ飛ばせたのに」
内藤「そりゃそうだ。あいつらは風船だからな」
京介「風船?」
内藤「喋ってる暇は無い、とりあえず藍を連れて逃げるぞ」

内藤は、既に立ち上がって埃を払っているアリサを横目で見た。

京介「げっ、あいつピンピンしてんじゃん」
内藤「とりあえずスキルを返せ」

内藤は再び人差し指を突っ込み、引き抜いた。

京介「いってぇ!ったく、それやらないと返せな―――うわっ!!」

内藤は、京介を藍のいるベンチ目掛けて投げ飛ばした。

⏰:07/12/16 15:34 📱:P903i 🆔:jBKYDY9A


#36 [主◆vzApYZDoz6]
京介「いってぇ…」
藍「ちょっと京ちゃんどうしたの?行ったと思ったらすぐ帰ってきて」
京介「いや、逃げるぞって言われて…」

言いかけたところで、地面の異変に気がついた。
自分と藍がいる場所を囲むように、ピンク色の光の筋が、円を描いている。
光の筋が京介達の周囲を360度回りきると、円の中の地面もピンク色に光りだし、京介達が全身光に包まれる。
光が消えると、京介達の姿は無くなった。

⏰:07/12/16 15:44 📱:P903i 🆔:jBKYDY9A


#37 [主◆vzApYZDoz6]
内藤「よし成功」
アリサ「『ゲートキャバ』ねぇ…♪スキルを持ってないフリをするなんてセコいわね♪」
内藤「お前が持ってないと思い込んでいただけだろう」

内藤は京介達が消えたのを横目で確認し、向き合う。中指はピンク色の光を発している。

アリサ「結局計画は失敗ね…でもまぁ逃げた先はあなたの親元でしょう?♪」
内藤「さあな。…さてと、俺ものんびりしてられないから帰らせてもらうわ」

内藤は後ろへ跳んだ。
着地点は、京介達が消えた場所。
内藤が着地と同時に中指を地面に擦ると、地面が再び輝きだした。
同じように内藤を光が包む。

内藤「まぁ、次があればお互い本気でやろうじゃないか」

言い終わるか分からないうちに、内藤も消え去った。

⏰:07/12/16 16:06 📱:P903i 🆔:jBKYDY9A


#38 [主◆vzApYZDoz6]
アリサ「ふふっ、行っちゃった♪」

アリサは手に持った携帯電話に右手をかざす。
右手をスライドさせると、光の剣が消えていった。

アリサが携帯電話をしまっていると、どこからともなく男が現れた。

アリサ「あら、今頃どうしたのよガリアス♪」

ガリアス、と呼ばれたその男が後頭部を掻いた。
外観は若い。下はジャージをはいて、上は丈の長いTシャツという、良く言えばラフな、悪く言えばやる気のない格好だ。

ガリアス「いや、モルディブで張ってたんだけどよ…まさかこんなところに現れるとは思わねぇしさ」
アリサ「そうねぇ♪…アサカ・アイだっけ?♪」
ガリアス「うーん、先に手をうつべきかな」
アリサ「あら、今日は随分やる気じゃない♪」
ガリアス「色々あったんだよ。俺はアサカの方をやるけど、お前はどうする?」
アリサ「騒動は多い方がいいんじゃない?♪」
ガリアス「お前は何だかんだでえげつねぇな…まぁ俺はもう行くわ。早いに越した事はないし、奴等の行き先なら見当がつく」

ガリアスは踵を返し、そのままレンガ道の先の闇へ消えていった。

アリサ「自分でやる気かしら?♪まぁいっか…帰りましょ♪」

アリサが再び携帯電話を取り出しボタンを操作すると、忽然と消え去った。

⏰:07/12/17 01:12 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


#39 [主◆vzApYZDoz6]
京介「今度はどこだよ…」

京介と藍は、またしても見知らぬ場所に出てウンザリしていた。
そこは荒野のようで、京介達はそこを縦断する道路の真ん中に立っていた。
例によってまわりに人影はない。が、道路の端に一台の車が停まっていた

藍「あそこに車があるけど」京介「いやっ、怪しさ満点だぜ」

と、急に京介のそばの地面が光りだす。
現れたのは内藤だった。

内藤「2人とも無事だな。今から俺んち行くぞ」
京介「内藤んちとか別に興味ねぇんだけど」
内藤「いいからついてこい」

内藤は車のドアを開け、エンジンキーを回す。
京介と藍が後部座席に乗り込んだのを確認し、発進させた。

⏰:07/12/17 01:23 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


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