・・・ゆめみる魚・・・
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#544 [向日葵]
『じゃあね、母さんの言う事なら、信じられるでしょ?』
夢と言う信憑性のない中での会話なのに、何よりお母さんの言葉は素直に受け入れる事が出来た。
なので私はコックリと頷いた。
『あの人ね、すっごく不器用。だからね、人を騙すなんて絶対出来ない。』
現に真はつぐみさんに私を好きとバレていたよね。
『だから、今から聞く彼の言葉を目で、耳で、心でよく聞いてごらんなさい。』
:08/03/14 01:21
:SO903i
:☆☆☆
#545 [向日葵]
『それなら、きっと彼を信じる事が出来るわ。』と言って笑うと、お母さんの姿は薄くなってしまった。
そして、私の世界は暗闇へと戻る。
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意識が現実に戻ったのが分かった。
今は瞼を閉じてるせいで視界はゼロ。
でも左手に温かさ感じて、私は少し目を開けた。
「……ん……?」
少しずつ状況を把握すれば、今念願の保健室にいて、私はベッドの上にいる。
:08/03/14 01:26
:SO903i
:☆☆☆
#546 [向日葵]
じゃあ左手の温かさは何?
頭を動かす前に、知りたかったものが視界の隅で動き、私を覗き込む。
「気が……ついたか……?」
そこには、優しく微笑む真がいた。
頭をゆっくり丁寧に撫でてくれる。
「真……。」
「階段から落ちたの覚えてるか?頭痛くないか?」
言われれば、少し重たさを感じる痛みを覚えた。
:08/03/14 01:29
:SO903i
:☆☆☆
#547 [向日葵]
真は握ってた手を、自分の頬に持っていく。
「無事で……良かった……。」
本当に安心して言うから、私の胸は元気に跳ねる。
『目で、耳で、心で……。』
「……。何で、真がここに?」
「運んだんだ。それで……いや、それだけが理由じゃない。」
真は真っ直ぐに私を見つめる。
そのせいで強打したせいではなく、別の意味で頭がクラクラした。
:08/03/14 01:32
:SO903i
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#548 [向日葵]
真は何から話すか迷っているのか、息を吸っては吐きを繰り返し、眉を寄せて考えている素振りをした。
私は寝転んだまま聞くのもどうかと思い、ゆっくりと起き上がる。
すると寝ている時よりも頭に痛みが走った。
「痛……っ。」
呟くように言ったのに、真は聞こえたらしく、体を起こす私に手を貸してくれた。
「大丈夫か?」
「うん……。」
真と間近で見つめあう形になる。
:08/03/14 23:51
:SO903i
:☆☆☆
#549 [向日葵]
真の目の中に私が写ってるのが見えた。
私は真が何を言いたいのかを探るように見つめる。
しかし真は、目線をそらした。
「あんまり見つめんな……。考えてた事が飛びそうになる。」
気が散ると言う事だろうか。
「……なぁみかげ。俺はお前から見ればいい加減な奴かもしれない。」
突然、真が喋りだす。
「でも俺は、こう見えても欲しいもんは力づくだろうがなんだろうが得たいタイプだ。」
:08/03/14 23:55
:SO903i
:☆☆☆
#550 [向日葵]
真は淡々と話す。
それでも言葉の端々には力が入っているように感じた。
私は黙って、真が何を意図しているか聞き入る。
「最初に言える事。つぐみの事だ。」
心臓がドクンと跳ねる。
それでも平常を保とうと心がける。
「お前が何を聞いたかは、増田から聞かせてもらった。でもお前は勘違いしてる。最後に心を込めて好きだと言ってくれと頼まれた。」
「え……。」
声がかすれた。
:08/03/15 00:00
:SO903i
:☆☆☆
#551 [向日葵]
真はまた真っ直ぐに私を見つめた。
今度ばかりは、ドキリとしない訳にはいかなくなった。
「心を込めて……なんて、言える筈ない。だって俺はつぐみが好きじゃない。なんとか心を込めて言えたのは、つぐみをお前だと思ったからだ。」
「そんなの……。」
「簡単な言い訳と思うだろうな。でもこの他に言う事なんかない。」
真はあくまで真剣だった。
嘘をついたり、欺いたりする人が、ここまで強い眼差しを向けるだろうか。
:08/03/15 00:04
:SO903i
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#552 [向日葵]
「お前は分からないだろうが、お前の予想してる範疇を遥かに超えるほど俺はお前が欲しい。」
息が、詰まりそうになった。
「嘘だ。」と切り返したかった。
でも出来なかった。
強いその言葉は、私の考えてる事全てを奪い去ってしまったからだ。
「みかげ、信じて。俺はお前に側にいて欲しい。……これも信じられないのか?」
頭のどこかで、お母さんの声が聞こえた。
『彼、嘘つけないから……。』
:08/03/15 00:08
:SO903i
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#553 [向日葵]
私は被っていた布団に顔を埋めた。
声を殺して泣く。
どれほど、願っただろう。
肉親、それ以上に、自分を求めてくれる存在を。
自分を見つめてくれる存在を。
寂しくて、くじけそうな自分を支えて欲しくて、現実から目を背けている自分を戻して欲しくて……。
初めてだった。
誰かに奪われるのが嫌だと思ったのは。
奪われたら、何かを取って行かれたみたいに心細くて、もう何もかもおしまいだと思った。
:08/03/15 00:13
:SO903i
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