・・・ゆめみる魚・・・
最新 最初 🆕
#596 [向日葵]
ゆっくりと、でも確かに真の指に輪をはめる。

「……」

2人して、沈黙。

真は黙ったまま私の隣に座ると、肩を優しく抱いてくれた。

「夫婦?」

「んー、まだだな。だってこれペアリングだし」

それでも嬉しい。
2人で歩む未来が待っていると思ったら、早く卒業したくてたまらなかった。

私一体どうしちゃったんだろう……。

⏰:08/03/17 01:51 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#597 [向日葵]
「なぁみかげ」

「ん?」

「子供って女?男?」

なんかもう私のお腹にいるみたいな会話だ。
生まれてくるのが楽しみで仕方ないような……そんな感じ。

「夢では女だったよ」

「じゃあ嫁には行かせないね」

「いつの時代の言葉よ」

父親になった気分の真に笑ってしまう。

「あー!早く欲しい!」

⏰:08/03/17 01:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#598 [向日葵]
「大丈夫よ」

未来は……すぐ側まで近づいてるから……。

・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

魚はいっしょうけんめいおよぎました。

みんなにあいたい。
はやくあいたい。

どこにいるの?
ぼくはここだよ。

ぼくわかった。

ゆめみるばかりがすべてじゃない。
げんじつのせかいで、たいせつななにかをみつけるのがだいじだって。

⏰:08/03/17 01:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#599 [向日葵]
どれくらいおよいだかわからないくらい、魚はずっとおよぎつづけました。

するとどうでしょう。

だんだんとやみがきえ、いつものあおいうみへともどってきたではありませんか。

『みんなー!』

魚はさけびました。

へんじがかえってこなくても、なんどもなんどもさけびつづけました。

・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あれから、ずっと変わらない日々を送っている。

⏰:08/03/17 02:00 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#600 [向日葵]
毎日毎日、買い物、料理、掃除……。

時間がすぎるのが早いくらい、あっという間に毎日が過ぎていく。

でも決して、刺激を求めて夢へ逃げたりしない。

ううん違う。

もう刺激なんかいらないの。
だってね……。

「ママー」

足元で声がしたので、私は下を向く。
そこには小さな宝物がいた。

「なに?ゆめ」

⏰:08/03/17 02:03 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#601 [向日葵]
「あのねーご本よんでほしいのー」

可愛らしいえくぼを作りながら微笑む我が子に、満面の笑みを向けながら私は言った。

「うんいいよ。何がいい?」

「えとね、これ!」

小さな手に抱かれたそれは……。

「ゆめ、これが好きね。」

「うん!だってママがくれたもん!」

「そっか。じゃあ読もうかな。」

⏰:08/03/17 02:06 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#602 [向日葵]
私は絵本の1ページ目を開く。

「“ゆめみる魚”……」

―――――…………

「ただいまー。」

夕飯の用意をしていると、真一が帰ってきた。

玄関まで迎えに行って、カバンを持ってあげる。

「おかえり。今日職員会議じゃなかったの?」

「早目に終わったから全速力で帰ってきた。」

その理由はもちろんゆめがいるからだ。
真一がここまで親ばかになるだなんて思っても見なかった。

⏰:08/03/17 02:09 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#603 [向日葵]
「絵本読んだら寝ちゃったから起こさないでよ」

「なんだ寝てんのか。んじゃ奥さんで我慢するわ」

「ちょっと、我慢っとどういう意味よ」

反論していると、後ろから抱き締められた。
前よりも長くなった私の髪に、真一の吐息がかかる。

「じょーだん。我慢だなんてとんでもない」

「当たり前。誰だったかしらね。卒業の日に婚姻届出しに行こうって勝手に盛り上がってた人は……。」

その時のビデオでもあったら見て欲しいくらいだ。

⏰:08/03/17 02:15 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#604 [向日葵]
私が呆れるほど目を輝かせてはしゃいでるもんだから、落ち着けと頭をどついてやらないと真一は冷静にならなかった。

「それぐらいみかげが好きって事さ。そろそろゆめに兄弟作ってあげてもいいんじゃない?」

ギクッと固まる。

さすがはもとタラシ。
そういう際どい事を安々と言ってのけるあたりまだまだ現役バリバリのタラシだと思う。

「みかげ……返事は?」

「み、耳元で喋んないで……っ!」

⏰:08/03/17 02:19 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#605 [向日葵]
真一が編み出した技。

こうすれば私が断らない事を知っているのだ。

「し……真い」

「あ、パーパー!」

起きてきたゆめが、私達の元に走ってくる。

「おかえりなさぁぁい!」

嬉しそうに抱きつくゆめを、真一は愛しいそうに抱き上げる。

「ただいま。いい子にしてたか?」

「ウン!」

⏰:08/03/17 02:21 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194