・・・ゆめみる魚・・・
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#111 [向日葵]
それだけ言ってまた私は足を進めた。
「メ……メガネは認めるが、俺はハゲてねぇぞコラ!!」
――――――……
真は私をなんとか引っ張って、ゲーセンへと連れて来た。
やかましくて敵わん。
UFOキャッチャーやらプリクラやら……ごちゃごちゃしすぎ。
これなら
「寝てた方がマシとか思っただろ。」
:08/01/19 23:15
:SO903i
:☆☆☆
#112 [向日葵]
たった今、そう思おうとしてたトコだ。
「私、うるさいのあんまり好きじゃない。」
「そーか?ゲーセンにはお前の大好きな“刺激”が詰まってると思ったんだが。……例えば、これとかな。」
真が選んだのは、私が先ほどごちゃごちゃしてうっとうしいと見下したUFOキャッチャーだった。
中にはウサギやらクマやらのぬいぐるみが入ってる。
「大枚はたいてまでぬいぐるみなんかいらないんだけど。」
:08/01/19 23:18
:SO903i
:☆☆☆
#113 [向日葵]
真はにやりと笑うと、ポケットから1枚100円玉を抜き取った。
「大枚なんていらないね。俺はこれだけで取る。」
と言って100円玉を機械に挿入。
そんな硬貨1枚で取れる訳が無いと、私は周りを見渡した。
皆が皆、自分の世界に浸っている。
ならば私の世界は夢だ。
夢無しでは生きていけない。
現実に、希望なんて、抱いていける訳がない。
私の希望は、夢と、絵本だけだ。
:08/01/19 23:23
:SO903i
:☆☆☆
#114 [向日葵]
ひょこんと、白い物体が私の真ん前に現れた。
ぼんやりそれを眺めながら、それがウサギと分かった。
それもぬいぐるみの。
「見たか。取ったぞ。たった100円で。」
「で、どーすんのこのウサギ。」
真はにーっこり笑うと、ウサギを私に押し付けた。
「絵本を見る事で夢にのめり込むなら、ウサギ見る事で現実にのめり込んでみろよ。」
そいうえば、コイツは何故ここまで現実を見させようとするのだろうか。
:08/01/19 23:27
:SO903i
:☆☆☆
#115 [向日葵]
コイツの性格を考えれば、ただの同居人に、恋愛ごっこをしてまで世話する気なんかなさそうなのに。
それはコイツも過去に何かあったのか、はたまた、ただ単に現実主義を突き通してるだけなのか……。
「アンタは。」
「真。」
「……真は、夢が嫌い?」
間が開く。
ゲーセンのガチャガチャした音だけが私達をとりまく。
真は、まっすぐ私を見つめていた。
その目の奥に、なんとも言えない闇が潜んでいるように、私は思えた。
:08/01/19 23:32
:SO903i
:☆☆☆
#116 [向日葵]
ようやく、真は口を開いた。
「夢は……嫌いじゃない。俺は………………。世界征服と言う立派な夢があるし……。」
「どこかの敏腕スナイパーにやられてしまえ。私は帰る。」
少しでもコイツの中にナイーブな一面があると思った私が馬鹿だった。
「まーてまてまて!まだ現実体験学習は始まったばっかりなんだぞ!」
そんな名前あったんだ。
どうせ今思いついたんだろうけどさ。
「うるさいとこが嫌ってんなら静かなトコ連れてってやるよ。」
:08/01/19 23:56
:SO903i
:☆☆☆
#117 [向日葵]
「もうやだ。アンタはやっぱり私を遊び道具にしてるだけじゃん。こんなの私が求めてるものじゃない!」
「わーったから、まぁついて来いって!」
面倒くさそうに私をなだめながら、真は私を引っ張っていく。
「だから嫌だってばー!!」
――――――……
「うっわー……!」
さっきの態度とは180゚回転して私は目を輝かせた。
:08/01/20 00:01
:SO903i
:☆☆☆
#118 [向日葵]
海に連れてこられた。
一面真っ青で、太陽の光で反射して水面がキラキラ輝いていた。
直ぐ様かけより、靴を脱ぐ。
「あ、馬鹿!春先だっつーのに海に入んな!風邪引くぞ!」
これは私の身を心配してるように聞こえるが、松川語に直すと、
「あ、馬鹿!春先だっつーのに海に入んな!風邪ひかれて面倒なのは俺なんだぞ!」
だ。
と言う事で、そんな自分大好きな奴の発言は一切無視。
:08/01/20 00:07
:SO903i
:☆☆☆
#119 [向日葵]
指先を海水へつける。
冷たいけど、想像してたよりは然程冷たくはなかった。
パシャパシャ音を立てながら、足首らへんまで浸かる。
耳をすませば、波の音が心地よかった。
“ゆめみる魚”も、こんな海の中で、眠りながら泳いでいるんだろうか。
波はゆりかごに。
水音は子守唄に。
なんて……幸せそうなんだろうか……。
そう思いながら、持っていたウサギを見つめる。
:08/01/20 00:11
:SO903i
:☆☆☆
#120 [向日葵]
[現実にのめり込んでみろよ。]
現実……。
皆が、夢をおぼろげなものと考えるなら、私にとって現実の方がおぼろげだ。
どうして夢で生きてはいけないんだろう。
だって現実は、酷くて、大切なものを次々と奪っていってしまう。
大切なものが無くなってしまった私は、手持ちぶたさで、一気に何もかもが楽しく無くなった。
それはつまり、私はからっぽだと言ってるようなものだ……。
:08/01/20 00:15
:SO903i
:☆☆☆
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